こちら満腹堂【BL】
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#652 [ひとり]
でも今日は・・・・
いつもじゃあり得ないこの状況と、根岸の吐息と一緒に吸い込むアルコールの香りに酔ったせいにしてしまえ。
俺はそろりと腕を伸ばして。
「三田さん?」
俺の行動に驚いたのか、根岸が動きを止めた。俺達は見つめ合う。根岸の瞳に映る己の表情までがはっきりとわかる距離で。
「そんなんじゃ足りねぇよ」
「え?」
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:10/04/18 12:40 :F01B :Kn5n1jUU
#653 [ひとり]
「そんなんじゃ足りないっつってんだよ」
そろそろと伸ばしていた腕の動きを性急にして、ガバッと相手の首に巻き付けた。
「うおっ」
「そんな生温いんじゃ、俺は半勃ちにもなんねぇっつってんだ」
互いに基より承知のことだけど、我ながら色気も糞もあったもんじゃねぇ誘いかただ。それでも俺にとったら上出来。顔から火を噴く勢いで内なる羞恥心と闘った末の誘い文句だった。
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:10/04/18 13:45 :F01B :Kn5n1jUU
#654 [ひとり]
「何度も謂わせんな」
初めはキョトン顔だった根岸だが、次第にその瞳に何かが宿っていくのがわかった。ギラついている。健全な、二十代男子がそこに居た。
「謂ってくれるじゃないすか」
不適な微笑み。俺も同様に返した。
「止まんなくなっても知らないよ」
「どうだか」
謂っとくが、今はちょっとしたラブシーンな訳だけど、やっぱ俺達にセオリーなやり方はできそうもない。
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:10/04/18 13:52 :F01B :Kn5n1jUU
#655 [ひとり]
挑発。と謂ってしまえるような乱暴な誘いに乗った根岸は、さっきまでが嘘のように俺の唇にかぶりついてきた。
懐かしの歌謡曲が一瞬頭の中を過ぎる。男は狼なのよー気をつけなさいー。
まぁ、対する俺も狼。気をつけるも何も、上等じゃねぇか。
髪を鷲掴みにされ、身体を引き寄せられ、何度も角度を変えながら、奥まで舌で弄られる。
息つく暇がない
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:10/04/18 19:52 :F01B :Kn5n1jUU
#656 [ひとり]
でも、どうでも良かった。
苦しくなる呼吸も、キツい大勢も、そんなん関係ねぇ。
根岸───
俺の頭は、バカみたいにそれだけに占領されていく。
根岸、根岸、根岸、
奴の首に回していた腕に力を込め直す。
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:10/04/18 19:57 :F01B :Kn5n1jUU
#657 [ひとり]
すると、根岸はピタリと動きを止めて、俺を正面から射抜いた。
「三田さ、本気・・止まんない、俺、」
呼吸が苦しいのはお互い様だったようで、根岸は上がった息でつっかえつっかえそう謂った。
眉間に刻まれた皺が、本当に辛そう。
「根岸、」
「はい」
俺は奴の耳元に、こう、囁いた。
「止まんなくて、いんじゃね?」
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:10/04/18 20:32 :F01B :Kn5n1jUU
#658 [ひとり]
「三田さ・・」
「止めようなんて考えるから、苦しくなるんだ」
「・・・いいんですか、んな事、謂っちゃって」
「知らなかったのか?」
「何を」
「俺もお前と同じ気持ちだってこと」
「はは」
根岸は短く笑う。俺達はまた互いを求め始める。
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:10/04/18 21:23 :F01B :Kn5n1jUU
#659 [ひとり]
今この瞬間。俺の頭がお前で一杯になってるこの瞬間に、お前の頭も俺で一杯になったらいい。
そう強く、もう"思う"ってより、"願う"に近い気持ちで舌を交えた。
さっきまでひやりとしていた根岸の手が熱い。
いつの間にかそれは直に俺の肌の上を滑るように動き回っている。ただそれだけのことで興奮しちゃうんだから、俺も、俺の息子もそうとういかれてる。
「三田さん、下が苦しそうですよ」
「ば・・か・・・」
油断したらアハンとか謂っちゃいそうで、俺は歯を食いしばって堪えた。
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:10/04/19 10:54 :F01B :Szzdx9cw
#660 [我輩は匿名である]
:10/04/19 13:20 :P03A :3sbxmL8g
#661 [ひとり]
「強がっちゃって」
目を瞑ったままでも、相手が微笑ったのが気配でわかる。
俺の前を寛げようと、根岸が手をかけたベルト。カチャカチャと響く音はやけにイヤらしい。
脳みそがドロドロに溶けてくみたいだ。もう、何も考えられない。ただ、根岸が欲しかった。根岸を、俺だけのものにしたかった。
「三田さん」
「根ぎ・・し」
「くわえていい?」
「一々聞くな・・・バカ」
するとまた、根岸が微笑った。そしてゆっくりと、自身(オレ)を包んだ。
「ぁ・・ん・・・」
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:10/04/19 23:08 :F01B :Szzdx9cw
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