記憶を売る本屋さん
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#213 [我輩は匿名である]
「…変な事言うけど…夢なのに、…好きなんだ、あの人のこと」

恥ずかしいそうに、響子は途切れ途切れに話す。

薫はそれを見て優しく笑う。

「なんかね、夢だと思えなくて。覚めなかったらいいのにって思うくらい」

「覚めないと困るだろ」

「それはそうなんだけどね」

それに、もうすぐそれは現実になるよ。

薫は心の中で呟いた。

⏰:10/03/30 12:33 📱:N08A3 🆔:3m0ZWZ2s


#214 [我輩は匿名である]
今日は怜奈は、直人に一言も話し掛けて来なかった。

「お前、昨日何か言ったのか?」

帰り道、直人は薫に聞いた。

「あぁ、『悪いけど諦めてくれ』って釘刺しといた」

「よくやるな」

「付きまとわれると面倒だろ?香月に何かあっても困るしな」

薫は参ったように髪を触る。

「まぁそうだよなぁ」

「あーゆー危なそうなやつは、はっきり言っといた方がいいんだよ」

薫はいつになく、少し苛立っているようだ。

⏰:10/03/30 13:24 📱:N08A3 🆔:3m0ZWZ2s


#215 [我輩は匿名である]
怜奈を良く思っていないのだろう。

「そういえば、昨日たまたま香月がいたから、一緒に帰ってきたんだ」

直人は適当に話を変える。

「へぇ、初めて喋ったんじゃないか?」

「あぁ。なんか、女の子らしい奴だな」

「何だよそれ。…まぁ、男っぽくはないけど」

薫は笑う。

「お前の事、『他の子とは違う』って言ってたぞ。多分、雰囲気が」

「そんな事言ってたのか?」

⏰:10/03/30 13:24 📱:N08A3 🆔:3m0ZWZ2s


#216 [我輩は匿名である]
「騒がないからな、お前」

「騒ぐのはお前だけで十分だろ」

「何だよそれ!」

嘲笑う薫に、直人はギャーギャー騒ぐ。

「(…ふぅん、香月っていうんだ。あの女)」

2人の会話を、曲がり角の陰から怜奈が聞いていた。

しばらく2人の後ろ姿を見た後、冷たい笑顔を浮かべてその場を離れた。

⏰:10/03/30 13:25 📱:N08A3 🆔:3m0ZWZ2s


#217 []
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600

⏰:10/03/30 14:13 📱:SO905iCS 🆔:F62lBiEg


#218 [我輩は匿名である]
結局、日曜になるまでまた何も起こらなかった。

5月5日。

約束はなくなったが、要はとりあえず、あの場所に行ってみることにした。

直人もそれが正しいだろうと、黙って景色を見つめる。

もしかしたら、あの場所にいるかもしれない。

要も直人も、少し緊張気味だ。

あと角を2つ曲がってまっすぐ行けば、あの場所に着く。

「あの…」

1つ目の角を曲がる寸前、誰かが要に話し掛けてきた。

⏰:10/03/30 19:38 📱:N08A3 🆔:3m0ZWZ2s


#219 [我輩は匿名である]
振り替えると、細身で綺麗な女性が、困った顔で立っている。

「はい?」

「この辺の方ですか?ちょっと道に迷ってしまって…」

マジかよ。直人も困ったように女性を見返す。

「えっと…どこに行きたいんですか?」

「姫崎公園に…」

「あぁ…結構迷っちゃいましたね」

「遠いんですか?」

「歩いて20分ぐらいかかるんです。…説明しにくいしなぁ…」

要は腕を組んで考える。

⏰:10/03/30 19:38 📱:N08A3 🆔:3m0ZWZ2s


#220 [我輩は匿名である]
そして、「ちょっとここで待ってて下さいね」と言って走りだした。

晶が来ていないか確認しておく為だ。

しかし、やっぱり晶は来ていなかった。

「…来てないな。じゃあいいか」

要はそう言って、また来た道を戻る。

「すいません、待たせちゃって。…僕が一緒に行きます」

「えっ?でも、何か予定があったんじゃ…」

「いえ、散歩してただけですから。行きましょう」

「ごめんなさい、ありがとうございます」

⏰:10/03/30 19:39 📱:N08A3 🆔:3m0ZWZ2s


#221 [我輩は匿名である]
女性は優しい笑顔を見せる。

「…昔でもこんな綺麗な人いるんだな」

女性の顔に、直人はしばし見とれる。

「…はっ!何考えてんだ俺!俺には晶がいるだろ!」

自分で言って、直人はまた考える。

晶と付き合っているのは、直人ではなく要である。

しかし時々、今のように、自分が付き合っているような錯覚に陥る事がある。

「…うーん…俺もヤバくなってきてるかな…?」

いろいろあったりなかったりで、本の怖さを忘れていた。

⏰:10/03/30 19:40 📱:N08A3 🆔:3m0ZWZ2s


#222 [我輩は匿名である]
慣れてきたのかもしれないが。

「この辺、結構ごちゃごちゃしてて、分かりにくいんですよね。よく迷う人いるんですよ」

「そうなんですか?良かった、ちょっと安心です」

要と女性は、ただ黙っていくのもつまらないと、仲良く話しながら歩いている。

「私、ここに来たのは初めてなんです。いい町ですね」

「そう…ですね、いい人ばかりだし。何でこの町に?」

「大学の友達の家に遊びに来たんです。地図もらったんですが、どうしてもわからなくて」

女性は恥ずかしそうに笑う。

「車とかで送ってくれる人がいれば楽なんですけどね」

⏰:10/03/30 19:40 📱:N08A3 🆔:3m0ZWZ2s


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