*- エロチュウ -*
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#165 [亜夢]
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「すぐにこの位置にまでのぼりつめた。 それからまだ上がる時なんだよ。」
ここは、ただの俺の意地だけどね、と口元をゆるませる龍紀。
「でもつくづく嫌になるときもあるよ…俺嘘なんてつきたくないもん、ほんとは。」
煙草に火をつける。
「金をもらってるから優しくするわけでもない。 ホストなんか擬似恋愛の世界に、ただ女の子が一線を飛び越えてしまっただけなんだよ。」
頭をかかえる龍紀にアタシはなにもいえなかった。
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:10/05/31 04:35
:F02B
:RUsf33YU
#166 [亜夢]
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なんで龍紀は全部背負い込もうとしてるんだろう。
「だから彼女は作れなかった…」
彼女が起きないままだからかな。
「でもお前に落ちてしまった。」
ホストが言う臭い台詞なんていらない。
ただその胸に頭をうずめて、大きな腕で包みこんでほしい…
「過去のこと話すのつらかった…?」
まあね、と苦笑いする龍紀。
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:10/05/31 04:38
:F02B
:RUsf33YU
#167 [亜夢]
:10/05/31 04:40
:F02B
:RUsf33YU
#168 [亜夢]
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あたしって…そう考えるとあまりにも平凡で、あっけない人生なのかもしれない。
龍紀はいろんな悲しいこと、苦なことを経験してるからこそ、いまの龍紀があって【響皐月】がある。
「俺…何度も恨んだよ。 俺の親友を殺したドライバーや華をこんな状態にした飲酒運転した奴―…それから、華の両親を狂わした金…」
全部嫌いだよ、と言った。
そのときから、4年が経っての今…
龍紀はこれからをどうするんだろう?
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:10/05/31 10:06
:F02B
:RUsf33YU
#169 [亜夢]
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「―…」
そのとき、誰かの心の中の火が消えてしまったことを私たちは気づく余地もなかったんです。
龍紀が過去を話してくれた日は、あたしは龍紀の家にいた。
別にそれ以上を聞くわけじゃない。
ただ、抱きしめてあげたら楽になるんじゃないかと想った。
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:10/05/31 10:09
:F02B
:RUsf33YU
#170 [亜夢]
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今日も仕事がおわったのは朝方。 俺は後輩たち何人かをつれて、よく行ってる定食屋にいった。
夫婦で切り盛りしてる小さな軒だ。
「はいっ…スタミナ焼き一丁ね〜」
「おばちゃん俺頼んでないよ?」
するとふんわり微笑むおばちゃんが鼻をこすった。
「あんた今日元気ないからね!!!! 美味しいご飯食べて元気になってもらわないと、あんたらしくないでしょっ!!!!」
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:10/05/31 10:14
:F02B
:RUsf33YU
#171 [亜夢]
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―…涙が出るかとおもった。
ここ数年、ずっとこの話は誰にも言わずに隠していた。
なぜか亜夢にはいえる、受け止めてくれる気がした。
なんの予想かもわかんないけど。
「おばちゃん…サンキュ…」
たぶん俺は目が潤んでたのかもしれない。 子供みたいだったのかもしれない。
でも今日ぐらいイイ気がした。
今日は我慢しなくていい…
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:10/05/31 10:16
:F02B
:RUsf33YU
#172 [亜夢]
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おなかいっぱいで家に帰るとまだ、見慣れない女性物の靴に…美味しそうなにおい。
まさか…
「亜夢―…」
そこには毛布にくるまってソファで寝ている亜夢がいた。
テーブルには朝ご飯みたい。
ラップを小皿全部にかけて手紙もかいてある。
『今日はつらかったよね…ごめんね。 でも亜夢がそれを溶かしてあげるからね。』
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:10/05/31 10:20
:F02B
:RUsf33YU
#173 [亜夢]
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俺たちの初夜みたいに、亜夢を抱き上げてベッドルームにつれていき、布団をかける。
普段あまり食べない俺だけど…
おばちゃんの愛情と同時に、亜夢の愛情までたくさんはいってきて、俺は小皿を全部きれいに食した。
おなかは膨れて動きにくいけど、心は満たされた気がした。
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:10/05/31 10:22
:F02B
:RUsf33YU
#174 [亜夢]
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それからふたりは亜夢の両親にちゃんと挨拶をして、同棲することがきまった。
先月末で全部の荷物が運びこまれた。
あたしは毎日、龍紀の嫁みたいなことをしている。
洗濯に料理でしょ、それから掃除に買い物しにいったり…すごく充実してる。
「もう子供欲しいもん、俺。」
あたしを後ろからしっかり抱きしめながらそう言う龍紀。
あたし達は幸せの絶頂期だった。
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:10/05/31 10:28
:F02B
:RUsf33YU
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