*- エロチュウ -*
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#201 [亜夢]
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グラスを拭いていてもいつも来る【響皐月】はこなかった―…
こないだの話、
マスターと龍紀のはなし…
聞かなかったほうが幸せだったのかもしれない。
もし、龍紀の華っていう彼女さんが目を覚ましたら、あたしの存在がじゃまでたまらないだろうし…
優しすぎる龍紀はどうすることもできずに苦しむだろう…
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:10/06/07 18:37
:F02B
:kZ685P4M
#202 [亜夢]
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どうしたいんだろ…
「亜夢ちゃん…?」
マスターは心配そうにあたしの顔をのぞき込む。
思わず言葉につまりそうになりながらもあたしは作り笑顔をする。
大丈夫、なにがあっても平凡に生きてきたあたしは平気だ。
「大丈夫ですよっ♪」
龍紀を失うことなんて、付き合ってから考えたこと…これっぽちもなかった。
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:10/06/07 18:40
:F02B
:kZ685P4M
#203 [亜夢]
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〔今出勤したよ〜…俺さ今日華が寝てる病院にいってきた。〕
ドキン―…
そうなんだ。
やっぱり連絡がないと思ったからそんなことじゃないかと思ってた。
〔そっか…〕
あたしはそれしか言えなかった。
それ以外の言葉がみつからなかった。
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:10/06/07 18:48
:F02B
:kZ685P4M
#204 [亜夢]
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そういう日に限って気を紛らわす出来事がないんだ。
珍しくノーゲストで閉店時間10分前。
あたしの返信には龍紀は返事をしてこなかった。
たぶん彼も何を言えばいいのかわからないんであろう。
複雑…
ただ目を覚まさないでほしいなんて不吉なことは考えなかった。
彼女は夢の中でしか龍紀にあえなかったのに…4年間も。
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:10/06/07 18:51
:F02B
:kZ685P4M
#205 [亜夢]
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4年間思い続けて頭の中が彼でしかないひとから、取り上げてしまうことをあたしはできる?
ただでさえ【響皐月】という人物を"お客さん"たちから盗んでしまっているのに。
あたしは大事な彼女から、龍紀を奪ってしまう余裕なんて自信なんてある?…
「おいっ…亜夢っ…」
寝ていると龍紀が肩を揺らす。
「たつき…?」
「一緒にきて!!!!」
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:10/06/08 04:41
:F02B
:1VXwHH.6
#206 [亜夢]
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龍紀はあたしの右手を強くつないだままタクシーで病院に向かってる。
嫌な予感がしてる…
龍紀は無言でじっと右の窓から景色を眺めている。
ほんのり開いた窓からはいる涼しい風…
「龍紀…」
「着いたよ…」
病院をみれば顔もしらない華さんの存在があたしを恐縮させた。
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:10/06/08 04:43
:F02B
:1VXwHH.6
#207 [亜夢]
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「華…さん、目が覚めたの?」
こくり、と龍紀は頷く。
「あたしをつれてっちゃ駄目っ…龍紀…」
あたしは握られた右手をふりほどこうとする。
やだやだ…
「だめっ…」
龍紀はなんで華さんとあたしを会わせたいの?
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:10/06/08 04:45
:F02B
:1VXwHH.6
#208 [亜夢]
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3021号室…
笠屋華と書かれたネームプレート。
あたしは右手を未だにほどこうとしている…もう堪忍するしかないのだろうけれど。
「入る前に聞かせて…なんのために、あたしをつれてきたの?」
「華に会わせるため。」
それだけ言うと龍紀はそのドアを開けた。
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:10/06/08 04:47
:F02B
:1VXwHH.6
#209 [亜夢]
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「龍紀いらっしゃい!!!! あっ―…」
あたしはどうしていいか分からなかった。
華さんの両親であろうひと、友達、たくさんのひとで病室はいっぱいだった。
「龍紀の彼女さんね。 初めまして。」
え―…
「これからあたしが面倒みれないぶん、龍紀を宜しくね。 あたしは4年彼をみれなかったけど、彼女さんは龍紀と会うまでに10年以上会えなかったんだもんね… どう龍紀が変わったか知りたいから、仲良くなろうね!!!!」
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:10/06/08 04:50
:F02B
:1VXwHH.6
#210 [亜夢]
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あたしは華さんに龍紀をとられないということに安心したのか、ただ言われたことに感動したのか、…どんな感情だったかよくわからないけれど…
涙がこぼれて止めることができなかった。
華さんは病室で若い頃の龍紀や親友で亡くなったマナブさんのはなしをして大笑いしてた。
楽しい思い出ってずっと昔なんだね…て切なく遠い目をした華さんが気になったけれど、あたしは何も言えなかった。
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:10/06/08 04:53
:F02B
:1VXwHH.6
#211 [亜夢]
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あたしと龍紀が安心して病院を出てタクシーを拾おうとしたときだった。
「龍紀―っ」
「百合恵………」
少しきりっとした目つきと目尻にたまった涙。
「龍紀ばっかりなんで幸せになるのよっ!!!! マナブから華を奪って…つぎは華を捨てるの? どうかしてるわよっ!!!!」
「…俺は思ったように生きてけないやつだよ。 それに華は俺が責任感じて彼女と別れて華と一緒にいることは望んでないよ。」
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:10/06/08 04:56
:F02B
:1VXwHH.6
#212 [亜夢]
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「だって…華はあんたたちが病室出たあと泣きじゃくって…」
「俺は華のために医療費を出して、華のことをおもってきたよ。 金の話をしていやらしいけど…あいつのために一生懸命寝る間をおしんで仕事した。 これが俺の愛情だよ…」
華さんに嫉妬しそう―…
「でも華はっ―…」
「そんなに心配なら今泣いてる華のそばにいてやれよ…」
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:10/06/08 05:00
:F02B
:1VXwHH.6
#213 [亜夢]
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タクシーに乗った瞬間、龍紀はすこし困った顔をしてあたしに笑った。
「…ごめんな…」
仕事終わってすぐ連絡に気づいて病院にむかうと目を覚ました華さんがいたらしい。
もちろん戸惑う龍紀をみて華さんはすぐに気づいたみたい。 なにを察知してか、あたしをつれてくるように彼女からお願いしてきたんだとか。
なにかの踏ん切りだったのかな…
あたしって幸せになってもいいのかな?
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:10/06/08 05:02
:F02B
:1VXwHH.6
#214 [亜夢]
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数週間後―…
「なあ、亜夢…」
講義中に裕也があたしをつついてくる。
「どしたの?」
これ、と言って指を指した先は女の子が下着でエロいポーズをしてる…
「なっなにみせるのっ…」///
違うくて、と苦笑いする裕也。
「これ…桜ちゃんじゃない?」
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:10/06/08 05:05
:F02B
:1VXwHH.6
#215 [亜夢]
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あれから…華さんは栄養をつけてもうすぐ退院というところまできた。 龍紀には相変わらずちょくちょく連絡をしているみたい。
あたしはそれに対して嫌な気持ちはなかった。
それから…
裕也が見せてきた、雑誌の桜…
どうみても風俗誌だった。 下着姿で胸をつきだして可愛い笑顔の桜―…
あの日以来連絡も不通のままだった。
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:10/06/11 17:51
:F02B
:d95nv8bA
#216 [亜夢]
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受講がおわってすぐに席をたつとあたしは外にでて携帯から桜の名前を見つける。
かなり親しいわけではないけど―…けど、桜のことはもちろん心配だ。
RRRR
「―…」
受話器があがった。
「もしもしっ?」
「…亜夢…?」
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:10/06/11 17:53
:F02B
:d95nv8bA
#217 [亜夢]
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活気もない声。
「…桜?だいじょうぶ?」
「大丈夫じゃない…助けて…あたしだまされたの…」
あのキラキラ輝いてる桜の明るく通る声なんてなかった。 いつか潰れて消えてしまいそうな声…
「あれからね、響皐月にね…あやまりにいったの。 そしたら金のない女には興味ないって…」
え?龍紀が?
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:10/06/11 17:56
:F02B
:d95nv8bA
#218 [亜夢]
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「響さんってそんなひとだっけ…」
「亜夢はなにもわかってないよ。 彼の頭にあるのなんて金だよ? 家だって数件もってて、お客さんと寝て…利用してるんだよ…?」
そんなわけ…
「あたしなんて抱かれた途端、【応援してくれるよな?】て半ば強制で…いま体売ってる……」
龍紀が桜を抱いた?
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:10/06/11 17:59
:F02B
:d95nv8bA
#219 [亜夢]
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「亜夢は何もされてない?…あたし、言おうとおもいつつ、仕事でバタバタしてたから言えなくて……」
嘘にきまってる…
「響皐月に会ってもこのこと言わないでほしいの!!!! あたし殴られたり…蹴られるのは…もう、嫌だから………」
龍紀が暴力?
「皐月は…最初優しくてお前だけだよって言ってくれてたから、信じてたんだけど…こないだ店の廊下でみたの………ほかの女とキスしてるの……」
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:10/06/11 18:02
:F02B
:d95nv8bA
#220 [亜夢]
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「うそっ……」
「なんで嘘つかなきゃいけないの……あたし、後でそれを言ったの。 他にも女いるんでしょって…そしたら、喧嘩になって……」
あたし以外にも?
「殴られて……」
電話先でううっ、と桜が泣き出しそうになる。
「桜……」
「亜夢もお願いだから気をつけて?」
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:10/06/11 18:05
:F02B
:d95nv8bA
#221 [亜夢]
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弱々しい声…
「桜ごめん……気づいてあげられなくって……」
「大丈夫!!! 話聞いてもらったら少しすっきりした…またゆっくりお喋りしよ?」
「うん…」
そういって電話を切った。
嘘…
でも桜はうちらが付き合ってることを知らないはずだから、本気で心配しているはず。
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:10/06/11 18:07
:F02B
:d95nv8bA
#222 [亜夢]
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「……」
龍紀の甘い声や笑顔を思い浮かべる。 …あたし、響皐月がどんな人間かは知らないけれど…龍紀のいいとこいっぱい知ってる。
でも…
悪いところ、ひとつも知らない…
「もしもし?」
思わず龍紀に電話をするあたし。
「うん?…おはよ。 どしたの?」
龍紀が寝てる時間に電話することは滅多にないあたし…
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:10/06/11 18:09
:F02B
:d95nv8bA
#223 [亜夢]
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「…今なにしてる?」
「ん〜?今亜夢と電話してるよ〜…」
小さく笑う寝ぼけ声の龍紀。
「どこにいるの?」
「…お布団のなか♪」
ふかふかあ〜と言ってガサガサと音が聞こえる。
「ふうん〜…」
「なに?亜夢が心配してくるの初めてだねえ〜」
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:10/06/11 18:12
:F02B
:d95nv8bA
#224 [亜夢]
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「そう?」
「俺はうれしいけどね♪」
ん〜と背伸びしてる声。
「なんか悪い噂でも耳にしたの?なんでも言ってよ。 ちゃんとはなすからさ。」
「……」
桜には言わないでといわれた。
もしあたしがそれを言ったとしても、絶対龍紀はそれは違うよ、という。
それは嘘でもホントでも。
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:10/06/11 18:18
:F02B
:d95nv8bA
#225 [亜夢]
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「ん…なんでもない…」
あたし達は他愛もない話をして会話は終わった。
なんだか胸がむかむかする…あたしの心が何か気になっている証拠だ。
龍紀の悪いとこって…なんだろう?
「亜夢…?」
裕也が後ろから声をかけてきた。
「あっ…裕也…」
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:10/06/11 19:32
:F02B
:d95nv8bA
#226 [亜夢]
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「大丈夫か?…」
幼なじみの裕也には表情ひとつであたしの感情を読まれてる気になる…
「あは、なんか…わかんない…」
優しい柔らかい声に安心したのかあたしは涙が目からこぼれた。
「…も…わかんない…」
泣きたくないのに。
龍紀の仕事を理解してたはずなのに…あたし、怖い―…
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:10/06/11 19:36
:F02B
:d95nv8bA
#227 [亜夢]
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「やめろよ―…」
え―…
いつも明るい笑顔ばっかりの裕也が眉間にしわを寄せて、あたしをみた。
腕をきゅっと掴んで…
「裕也……」
「やめろよ、もう―…」
少し悲しそうな顔をする裕也にあたしの胸が痛む。
-
:10/06/11 19:39
:F02B
:d95nv8bA
#228 [亜夢]
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「お前を泣かす男なんか、認めない。」
あたしの腕を掴む、裕也の手が…強くなった。
「―不安とか心配しか残らない恋愛なんて…幸せになれるはずがないじゃないか!!!」
裕也の真剣なまなざしに、あたしは何も言えなかった。
「…俺なら…」
裕也なら…
「あっ!!! いたいたあ〜」
-
:10/06/11 19:42
:F02B
:d95nv8bA
#229 [亜夢]
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「…何処いるかとおもった!!!」
アリサが間にはいる。
ぱっと素早く裕也は腕を離すといつもの顔でにこっとほほえんだ。
「てか!!! 腹減ったあ…飯くいにカフェテリア行こうぜっ!!!」
裕也はおなかをぽんぽんたたきながら言った。
「―…うん。」
あたしも普通に笑った。
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:10/06/11 19:44
:F02B
:d95nv8bA
#230 [亜夢]
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3人でご飯をたべて、それからカラオケに行った。
このときだけ忘れよう…
あたしはアリサや裕也の笑い話を聞いて腹を抱えて笑った。
楽だ…
楽しいほうがいい…
でも、いまの時間、龍紀はなにをしてるんだろう?
「あ…ちょっとごめん…」
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:10/06/11 19:46
:F02B
:d95nv8bA
#231 [亜夢]
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カラオケの個室から出て携帯を開く。 センター問い合わせしても何も変化はない。 メールボックスは空のまんまだ。
あたしと龍紀はそんなに連絡をとらない。 出勤してから龍紀は「いまから仕事がんばるよ〜」と電話かメールをしてくる。
あたしから、そんなに連絡をすることがなかったから…
だいたいCIELに来るか、家にかえってからお喋りしたり、休みは一緒にいたり…そんなかんじ。
今日は月曜。
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:10/06/11 19:49
:F02B
:d95nv8bA
#232 [亜夢]
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RRRR
何十秒鳴らしたんだろう。
電話にでる様子がない。
あたしは留守電になる前に電話をきると個室に戻った。
「おかえり〜☆」
アリサは上機嫌にあたしに声をかける。
うん、と返事はしたものの…
考えているのは
『龍紀は今何してるの?』
-
:10/06/11 19:51
:F02B
:d95nv8bA
#233 [亜夢]
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折り返しの電話は数分経ってもこなかった。
お風呂にはいってるの?
まだ寝てるの?
家にいるの?
セットしてるの?
…誰かと一緒にいるの?
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:10/06/11 19:53
:F02B
:d95nv8bA
#234 [亜夢]
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アリサがトイレに立ったときに隣の裕也が言った。
「…携帯ばっかみて、そんな心配?」
「……」
やっぱり裕也には隠せない。
「馬鹿じゃないの?お前…」
ため息をつくと背をばんっと椅子につける裕也。
「馬鹿だよ…なんでそんな男が好きなんだよっ…」
-
:10/06/11 19:56
:F02B
:d95nv8bA
#235 [亜夢]
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「俺…」
なんか、だめだ…飲まれそう。
「…裕也、大丈夫だからっ…」
あたしはそれ以上裕也に言わせることを拒否した。
確かにあたしは馬鹿だし、信用できない…難しい職業を龍紀がしていることを、最初からわかってたはずなのに…
なのに…
「無理だったのかな…」
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:10/06/11 19:59
:F02B
:d95nv8bA
#236 [亜夢]
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最初からこんな恋愛無理だったのかもしれない…
あたしみたいな恋愛未経験ができるはずなかったんだ。
「恋愛ってつらいものなの?」
「楽しいのは最初だけだよ…合うか合わないかだよ、あとは。 安心できる相手なら心配なんかしない…」
たとえば、と裕也が続けた。
「俺がいまの彼氏の状況ならどうだ?」
裕也が龍紀だったら…
-
:10/06/11 20:02
:F02B
:d95nv8bA
#237 [亜夢]
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裕也が響皐月になってホストをしはじめて…てなったら、あたしは…
「なにも心配しないよ?」
「だろ? それはお前が長年俺のことを知ってるから安心できるわけじゃん?」
確かに。
「でもお前の彼氏はホストで出会って今素でいるわけだけど…大事な女がいるならやめるんじゃないの?」
でもそれは…
「元カノの入院費だったんなら、元カノが退院する今…なんで働いてるんだろ?」
-
:10/06/12 06:50
:F02B
:lAMYoGcg
#238 [亜夢]
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確かに…
【響皐月】の収入は月にしてウン百万とからしい。 そのすべてが華さんの入院費につかわれるわけではない…
「疑問におもったことないのか?」
あたしは首を横に振る。
「別に高い買い物をしてるわけでもない…車も家もある…なのに残りのお金は、ただの貯金?」
そんなはずないだろう。
-
:10/06/12 06:53
:F02B
:lAMYoGcg
#239 [亜夢]
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「お前は奴の悪いとこをみないようにしてる。 ある意味いいとこなのかもしれないけどそれで幸せなら、目につくぐらい嫌になったときどうする?」
別れちゃう…のかな。
「別れたら時間や思い出って無駄な気がしないか?こういう恋愛もあるって、お前のためになるけど…険悪な感じで別れたら傷つくのはおまえじゃん。」
裕也は言い切った。
「俺…あいつの店で働く!!!!」
-
:10/06/14 06:52
:F02B
:ha1IKwQo
#240 [亜夢]
-
***
俺の考えはこれだった。
【響皐月】の本質を探るために奴の職場に忍び込む。
俺は奴に2回ほど会っているが気づかれない自信があった。
V系の化粧をすれば男だって多少は変わる。
面接にいって雇ってもらうことになった。
俺は【桜木暁】―…
-
:10/06/14 06:55
:F02B
:ha1IKwQo
#241 [亜夢]
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何度も亜夢はバレたらどうするの?とか心配してたけど、もう働いて一週間だ。 奴とも何度も接触があるが、気づかれてない。
「なんかみたことあるようなあ〜…」
が、龍紀こと【響皐月】の俺と会ってすぐの一言だった。
「俺のチームの子だもんな!!! あかつき…あっき〜でいい?」
よくしゃべる男前。
奴は一言で表すとそれだった。
-
:10/06/14 06:58
:F02B
:ha1IKwQo
#242 [亜夢]
-
売れるホストになるためには…
周りをよくみれる。
誰とでもどんな年齢でも気軽に喋られやすいタイプでいること。
清潔感をちゃんと保つこと。
名前やお客さんの特徴をちゃんと覚えておくこと。
しゃべりがうまければ顔は関係ない。
キスは拒まない。
-
:10/06/14 07:00
:F02B
:ha1IKwQo
#243 [亜夢]
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ホストクラブでは『男メニュー』というものがある。
彼らの源氏名や年齢、パネル写真…それからキャラのタイプまでのってある。
それをお客さんがみてどのひとがいいか決めるのだ。
俺は入ったその日からポンポン新規のお客さんが指名してくれた。
でもこの店ではパネルで選べる男の子が3人で、その中からしか選べない。
3人のバトルになるわけだ。
-
:10/06/14 07:03
:F02B
:ha1IKwQo
#244 [亜夢]
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「いらっしゃいませ〜」
今日も新規のお客さんから声がかかった。
2人組だ。
俺はほんわりした感じの女の子で、その相方は少しツンとした感じのお姉さん系。
俺が名刺をふたりに渡してるちょうどのそのときに【響皐月】が席につこうとする。
「お待たせしました…あれ、姫…俺が遅れたから怒ってるの?ごめんね…」
【響皐月】の法則。
お客さんが怒ったりすねてたら自分のせいにしてすぐ謝る。
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:10/06/14 07:07
:F02B
:ha1IKwQo
#245 [亜夢]
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さっきまでツンとしてたお姉さん系がはっとする。
「えっ…違いますよっ…考え事してて…」
失礼といって目の前の席からお客さんの隣に自然に座るナンバー1。
「俺…ちゃらけてるっぽいとかよく言われるけど意外と真剣に相談受けたりするから、いつでも言ってね?」
【響皐月】の法則。
時間は明確にはいわない。 すぐ、いつでも、いつも、ずっとが女は好き。
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:10/06/14 07:10
:F02B
:ha1IKwQo
#246 [亜夢]
-
「いつでもって言いましたね。 じゃあ迷惑な時間に電話しちゃう!!!」
くすくす笑いながら女の子は言う。
「いいよ。 じゃあ番号頂戴☆ 着信音いちばん起きやすいやつにしとくから♪」
爆音でね、といって携帯を出す奴。
ためらいもなく携帯をだしたあの女の子はもう落ちた。
いま何の職業をしてるかわからないけど、必死で【響皐月】に会いに来るようになる。
「もう指名していい?」
-
:10/06/14 07:13
:F02B
:ha1IKwQo
#247 [亜夢]
-
うんとかいいえを言う前に奴は大声でご指名いただきました〜と、言った。
その瞬間ほかの2人の敗北が決まる。
俺もその日はなんとか送り指名をもらえたので番号を交換したり、残りの初回の時間をお喋りに費やした。
「シャンパンのもーっ!!!!」
「いいよ初回で…卸すなよ。」
肩に腕をまわしてる【響皐月】に甘えているツン女。
-
:10/06/14 07:16
:F02B
:ha1IKwQo
#248 [亜夢]
-
「今馬鹿みたいな金卸すんなら、焼酎のボトルとかにして。 あんま値段しないし、俺好きだし…それに…」
え?て顔をする女の子。
「シャンパンてその日になくなるけど、ボトルなら残るじゃん? 俺…シャンパン卸された日には、もう戻ってこないかもな…て思ってしまう。」
シャンパンのレベルは2万・6万・10万等と上がっていく。
焼酎のボトルは単価が低い…
けどキープボトルだからこそ、女の子なまた会えると思うのだ。
-
:10/06/14 07:21
:F02B
:ha1IKwQo
#249 [亜夢]
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まるで女の子が得した気分になるような言いぐさ。
どのみち次来るときは、ほかのお客さんにシャンパン開けさせて、ツン女の席につけない。
だからツン女も対抗してあける。
ボトルがヘルプのお酒に消えてまた新しいボトルをあける。
それの繰り返し。
それからもっと好きなり連絡がないと不安心配…会いたくなる…そのためにお金をためる、使う。 酔っぱらって忘れる。
悪循環の連鎖だ。
-
:10/06/14 07:24
:F02B
:ha1IKwQo
#250 [亜夢]
:10/06/14 07:30
:F02B
:ha1IKwQo
#251 [亜夢]
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ツン女の連れで俺に送り指名をくれた子も俺にうまくはまってくれた。
2コ1で週何度もきてくれるいいお客さんになった。
【響皐月】からすれば、そんなお客さんは、悪い言い方をすれば腐るほどいる。
けど育てるの大事だ。
どれだけ短期間にハマらせるか、どれだけ自分の良さに気づいてもらうか、…勝負がつく。
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:10/06/18 17:39
:F02B
:feUpZZhU
#252 [亜夢]
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「おはよ☆」
少しほろ酔いの【響皐月】がツン女事《渚》の隣に座ってヘルプに水を頼む。
「よかったあ〜…渚いてくれて……」
自分の頭を彼女の肩にのせる。 ふうと言いながら目をこすって彼女を見上げる。
ここで女はドキッとする―…
「ね、俺ら会ってどれくらいだっけ?」
「今日で1か月〜☆」
そっかあ…と言って天井を見上げる。
-
:10/06/18 17:43
:F02B
:feUpZZhU
#253 [亜夢]
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「え―…覚えてないの? やっぱりお客さん多いもんね〜」
嫌みと嫉妬ででる言葉。
「忘れてるとおもった?」
ポケットに手を突っ込んでごそごそし始める。
「ほら…」
小さい箱に可愛いリボン。
ラッキーなことに俺のお客さんはトイレに席をたっていたから、俺はその状況を回避できた。
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:10/06/18 17:46
:F02B
:feUpZZhU
#254 [亜夢]
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「これからも仲良くしようなってことで。」
ネックレスにTとNが入ったペンダントがついてる。
「え…Sじゃないの?」
「でかい声で言うなよっ…俺の本名龍紀だからさ…」
こそこそっと言う。
「うれしい…」///
その何分後かには彼女は数え切れないくらいシャンパンを《お祝い》という名目でおろした。
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:10/06/18 17:49
:F02B
:feUpZZhU
#255 [亜夢]
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馬鹿なのかアホなのか…
純愛なのか恋愛なのか…
よくわからない。
けれど、確かにここで渚は【響皐月】にはまった。
―裏方―
「あ〜疲れたあ〜」
お客さんをボックスに何組か置いた状態で彼は少しの間、裏方で休憩する。
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:10/06/18 17:51
:F02B
:feUpZZhU
#256 [亜夢]
-
この店では裕也ではなく【桜木暁】な俺。
「あっき〜?」
突然奴に呼ばれる俺。
開店して直ぐからシャンパンの嵐だった土曜日に、さすがの【響皐月】もばてばてだったみたいだ。
「俺の客は当分大丈夫そうだし、2コ1やからがんばって売り上げあげろよ〜」
はい、とにっこり微笑む。
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:10/06/18 17:58
:F02B
:feUpZZhU
#257 [亜夢]
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「今日飯いこっか!!!」
携帯をかちかち打ちながら【響皐月】は俺に声をかけてきた。
「あ…いいんですか?彼女さんとかいませんでしたっけ?」
「後輩とご飯行くくらい大丈夫だって。 そんな心狭い女じゃないし。」
にこにこしながら奴は言う。
確かに亜夢は心広いよな。
「時雨とタツトもいくぞっ!!!」
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:10/06/18 20:38
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#258 [亜夢]
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一番下の俺達を誘って近くにある食堂にきた。
他のふたりは、完全に【響皐月】教徒だ。
「まぢ皐月さんかっこいいすわ〜」
「やばいっすよ、まじで。」
皐月さん、は確かに仕事面ですごいけど…俺の目的はそうじゃない。
皐月さん、の裏をとるために…亜夢のためにここで働いて、近づこうとしてるんだ。
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:10/06/18 20:41
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#259 [亜夢]
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「皐月さんの彼女とか可愛いんだろうなあ…」
時雨がふとそんなことを言う。 ナイスだ。
「あ〜あのひとでしょ?店によく来てる…《彩羽》さん?」
え…
違うよコイツの彼女は亜夢だよ?
「あはは…」
否定しない―…
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:10/06/18 20:44
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#260 [亜夢]
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「彼女ね…」
かちかち携帯を打ちながら奴は少し遠い目をした。
このひと…
従業員までも嘘で突き通してるのか?
それともほんとに…
食事が終わり頭をさげてタツトと時雨は先に寮にむかって歩き出した。
「皐月さん……」
「ん?」
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:10/06/18 20:46
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#261 [亜夢]
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「たぶん新人で下っ端の俺に…言うのはあれだと思うんですが知りたいんです。 彼女を店に呼ぶんですか?」
「…あっき〜は…なんだか、信用あるんだよなあ。」
あはは、と笑って言った。
「俺は彼女を一度も店に呼んだことないよ。 働いてるところみせて不安にしたくない……」
少し切ない顔をする。
「…でも、店にくる女を《彼女》て言わないとだめなんだ。 じゃないとつぶしがかかる。」
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:10/06/18 20:49
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#262 [亜夢]
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「俺のことをよく思わない人間なんて腐るほどいる。 はいってすぐにナンバー1になって…それから、幹部になって…長年やってる上の人間からしたら、腹立つわけだよ。」
と苦笑い。
「こんなこと新人に言う俺って情けないよなあ―…」
はあ、とため息を吐く。
「ま、俺にはちゃんと大事にしたいとおもってる奴がいて…だから貯金して、やめたときには何でもしてやりたいんだ。」
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:10/06/18 20:54
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#263 [亜夢]
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俺は何も言えずに、ただただ彼の言葉をかみしめるように聞いた。
大事にされてるじゃん…
俺…
あいつらの間に入り込む隙なんてなかったってことだな。
―――
裕也は辞めた。
あっさりきっぱりと。
新たなる思いを秘めて…
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:10/06/18 20:56
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