*- エロチュウ -*
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#151 [亜夢]
:10/05/25 05:04
:F02B
:/lfQaG8k
#152 [亜夢]
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彼女と【響皐月】が店から出た後、アタシの胸に針金が刺さったような気分になった。
―…嫉妬してるわけじゃない。
ただ、あの子が龍紀にむけた目が、表情が…かわいすぎて純粋すぎて、アタシは決していい気分にはなれなかった。
やっぱり龍紀のお客さんだったとして幸せになってもらいたい。
でも…
そういう考えなら龍紀と別れる…ことになるよね。 みんなの【響皐月】なのだからアタシだけで独占しないもの。
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:10/05/26 06:55
:F02B
:fatKJEd6
#153 [亜夢]
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無意識のうちに気づいたら家の布団に寝転がってた。
考え事をすると、すごく眠くなるのはなんでだろう。
アタシは目をゆっくり閉じるとすぐに眠りの森の中に住みました。
BBBB…
バイブが耳元で鳴ってるけどアタシは無視した。
-
:10/05/26 07:00
:F02B
:fatKJEd6
#154 [亜夢]
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偽善者なのかな―…
あれからなぜかアタシは龍紀の家に足も踏み入れなくなった。
会う場所は此処だけ。
「いらっしゃいませ―…」
「亜夢、なんでメールも電話もとってくれないの?」
泣きそうになりながら龍紀は言う。
答えは、【わからない】んだ。
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:10/05/31 03:47
:F02B
:RUsf33YU
#155 [亜夢]
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アタシは、龍紀を知ってしまったから、いまでは【響皐月】は嫌い。
彼のお客さんを見るのは抵抗はない。 【響皐月】は女を見下してる。 相手にしようとしない。 ―…興味がない。
龍紀は、甘えたなのに独占欲が強くて、常に連絡をとりあいたい。
それがたまに混合してわからなくなる。
「…なんで龍紀は、ホストをはじめたの?」
あたしは率直に聞いた。
-
:10/05/31 04:01
:F02B
:RUsf33YU
#156 [亜夢]
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「…」
いつものスコッチをじいっと見ながら眉毛を下げる。
「そうだな…俺、言ってないもんな…」
ため息をはあ、と吐いた。
「まず簡潔に言うと俺にはかなりの額の金がいる。」
理由は…?
「17のときの彼女が、植物状態なんだ―…」
-
:10/05/31 04:04
:F02B
:RUsf33YU
#157 [亜夢]
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カシャン!!!!―…
マスターがいる奥からグラスが落ちる音がした。
「店長?…」
「ん…何もないよ。 ぼおっとしてただけさ。」
にっこり微笑むマスター…また話は龍紀に戻る。
17歳の彼女だったひとが
植物状態であること。
-
:10/05/31 04:07
:F02B
:RUsf33YU
#158 [亜夢]
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「その日…
俺の親友の命日だった。
15のときに1トントラックの下敷きになった親友は、顔をみても確認できないほどだったよ。
いまだに思い返してしまう…
そんな彼が亡くなった場所へバイク2台走らせて行ったんだ。
花を添えて…
でも俺は知ってた。
俺の親友が華のことを好きだったことを…ずっと前から。
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:10/05/31 04:10
:F02B
:RUsf33YU
#159 [亜夢]
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「華はそのときの俺の彼女だった。
だいたいつきあって2年くらいだったかな。 親友が亡くなってからずっとそばにいた。
親友の想い人をつれてきたのが間違えだったのかは、わからない…
俺と華は一緒に並んで帰ってたんだ。
交差点で別れるときに華が俺は浮気者だとか何度も言ってきて…なぜか喧嘩になったんだ。
俺はカッとなって、『おまえなんか消えてなくなれっ』て笑いながら言うとその場を去った―…」
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:10/05/31 04:13
:F02B
:RUsf33YU
#160 [亜夢]
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「その次の日―…突然の全校集会だった。 なぜか悪い予感がした。 全身虫唾が走った…
『2年B組の笠屋華さんが○×交差点付近で酒酔い運転した男にはねられました…今は重体で病院で検査をしているところです。 お見舞いなどはできる状態じゃないから担任に確認してからいくように。』
―…
絶句だったよ。
自分が言った消えてなくなれて言葉が怖くなった。
俺はすぐに体育館を飛び出した。
-
:10/05/31 04:18
:F02B
:RUsf33YU
#161 [亜夢]
-
「華の家族には会ったことがなかったから、病院で初めて両親にあった。
『はじめまして…おつきあいさせてもらっている龍紀と言います…』
俺は真っ赤に腫れた目をこすりながら頭をさげたよ。
そしたら華のお母さんにこう言われたんだ。
『なんでなの?なんで家まで送らないのよっ…彼氏だったんでしょ?ねえ!!!!!』
涙があふれてる彼女の目をまともにみることができなかった…」
-
:10/05/31 04:21
:F02B
:RUsf33YU
#162 [亜夢]
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ふうとため息をついてスコッチをのどに通すと龍紀はまた話し出す。
「―…全部俺のせいにされたよ。
そうなのかもしれないけど、17の俺にはつらかった。
高校にいっても悪い噂は広がり、
華と付き合ってる間にも女が他にいるだとか…実は少年院にはいってたとか…
わけのわからない噂で埋め尽くされた。
白い目で見られ続けたよ。」
-
:10/05/31 04:24
:F02B
:RUsf33YU
#163 [亜夢]
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「だから俺は逃げてきた。
そんな地元で暮らす自信がなかったんだ。
でも重みを感じた俺は華の両親にいったんだ。
『目が覚めるまで、治療費は僕が全部しますから…!!!!』
それは両親も喜んでくれた。
でも俺が莫大な医療費を払えることに驚いた華の両親だが、俺が気にしてることを知って、お金をゆするようになった…」
-
:10/05/31 04:28
:F02B
:RUsf33YU
#164 [亜夢]
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―…
15歳で味わった親友の惨い死に方。
17歳まで2年も付き合った彼女の交通事故。
白い目でみられ世間から逃げなくては耐えきれなかった龍紀の心。
そして彼女の両親からの龍紀に対するお金の要求…
「だから金は死ぬほど欲しい…」
龍紀は前にいってた。
人をだましてるわけじゃない、彼女たちがお金で俺達を買いにくるだって…
-
:10/05/31 04:31
:F02B
:RUsf33YU
#165 [亜夢]
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「すぐにこの位置にまでのぼりつめた。 それからまだ上がる時なんだよ。」
ここは、ただの俺の意地だけどね、と口元をゆるませる龍紀。
「でもつくづく嫌になるときもあるよ…俺嘘なんてつきたくないもん、ほんとは。」
煙草に火をつける。
「金をもらってるから優しくするわけでもない。 ホストなんか擬似恋愛の世界に、ただ女の子が一線を飛び越えてしまっただけなんだよ。」
頭をかかえる龍紀にアタシはなにもいえなかった。
-
:10/05/31 04:35
:F02B
:RUsf33YU
#166 [亜夢]
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なんで龍紀は全部背負い込もうとしてるんだろう。
「だから彼女は作れなかった…」
彼女が起きないままだからかな。
「でもお前に落ちてしまった。」
ホストが言う臭い台詞なんていらない。
ただその胸に頭をうずめて、大きな腕で包みこんでほしい…
「過去のこと話すのつらかった…?」
まあね、と苦笑いする龍紀。
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:10/05/31 04:38
:F02B
:RUsf33YU
#167 [亜夢]
:10/05/31 04:40
:F02B
:RUsf33YU
#168 [亜夢]
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あたしって…そう考えるとあまりにも平凡で、あっけない人生なのかもしれない。
龍紀はいろんな悲しいこと、苦なことを経験してるからこそ、いまの龍紀があって【響皐月】がある。
「俺…何度も恨んだよ。 俺の親友を殺したドライバーや華をこんな状態にした飲酒運転した奴―…それから、華の両親を狂わした金…」
全部嫌いだよ、と言った。
そのときから、4年が経っての今…
龍紀はこれからをどうするんだろう?
-
:10/05/31 10:06
:F02B
:RUsf33YU
#169 [亜夢]
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「―…」
そのとき、誰かの心の中の火が消えてしまったことを私たちは気づく余地もなかったんです。
龍紀が過去を話してくれた日は、あたしは龍紀の家にいた。
別にそれ以上を聞くわけじゃない。
ただ、抱きしめてあげたら楽になるんじゃないかと想った。
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:10/05/31 10:09
:F02B
:RUsf33YU
#170 [亜夢]
-
***
今日も仕事がおわったのは朝方。 俺は後輩たち何人かをつれて、よく行ってる定食屋にいった。
夫婦で切り盛りしてる小さな軒だ。
「はいっ…スタミナ焼き一丁ね〜」
「おばちゃん俺頼んでないよ?」
するとふんわり微笑むおばちゃんが鼻をこすった。
「あんた今日元気ないからね!!!! 美味しいご飯食べて元気になってもらわないと、あんたらしくないでしょっ!!!!」
-
:10/05/31 10:14
:F02B
:RUsf33YU
#171 [亜夢]
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―…涙が出るかとおもった。
ここ数年、ずっとこの話は誰にも言わずに隠していた。
なぜか亜夢にはいえる、受け止めてくれる気がした。
なんの予想かもわかんないけど。
「おばちゃん…サンキュ…」
たぶん俺は目が潤んでたのかもしれない。 子供みたいだったのかもしれない。
でも今日ぐらいイイ気がした。
今日は我慢しなくていい…
-
:10/05/31 10:16
:F02B
:RUsf33YU
#172 [亜夢]
-
おなかいっぱいで家に帰るとまだ、見慣れない女性物の靴に…美味しそうなにおい。
まさか…
「亜夢―…」
そこには毛布にくるまってソファで寝ている亜夢がいた。
テーブルには朝ご飯みたい。
ラップを小皿全部にかけて手紙もかいてある。
『今日はつらかったよね…ごめんね。 でも亜夢がそれを溶かしてあげるからね。』
-
:10/05/31 10:20
:F02B
:RUsf33YU
#173 [亜夢]
-
俺たちの初夜みたいに、亜夢を抱き上げてベッドルームにつれていき、布団をかける。
普段あまり食べない俺だけど…
おばちゃんの愛情と同時に、亜夢の愛情までたくさんはいってきて、俺は小皿を全部きれいに食した。
おなかは膨れて動きにくいけど、心は満たされた気がした。
-
:10/05/31 10:22
:F02B
:RUsf33YU
#174 [亜夢]
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それからふたりは亜夢の両親にちゃんと挨拶をして、同棲することがきまった。
先月末で全部の荷物が運びこまれた。
あたしは毎日、龍紀の嫁みたいなことをしている。
洗濯に料理でしょ、それから掃除に買い物しにいったり…すごく充実してる。
「もう子供欲しいもん、俺。」
あたしを後ろからしっかり抱きしめながらそう言う龍紀。
あたし達は幸せの絶頂期だった。
-
:10/05/31 10:28
:F02B
:RUsf33YU
#175 [亜夢]
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でもある日のことだった。
たまたま月曜に忘れ物に気づいて出勤ではないけれど、CIELに行ったときだった。
こそおりとドアを開ける。
これが唯一のドアの鐘をならさない方法だった。
「―…なんだ…」
なんと龍紀の声がした。
またマスターとお話してるんだろう、アタシは勢いよくドアを開けようとしたときだった…
-
:10/06/01 04:05
:F02B
:69y7jz22
#176 [亜夢]
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「週に1回でもいいんだ…」
マスターから聞いたことない必死なお願い。 それが龍紀に対してだった。
「もしかしたら…目をさますかもしれない…」
この展開って―…
「華はずっと君を待ってるのかもしれない…」
マスターって実は―…
「育てた親はああかもしれんが、華を誰よりも愛してるのは僕だよ。」
-
:10/06/01 04:07
:F02B
:69y7jz22
#177 [亜夢]
-
***
俺は華の両親を知ってる。
でも母親と離婚した昔の旦那の子供だとはしらなかったし、
…ましてやマスターが華の父親だったなんて想いもしなかった。
たしかに、
俺は目を覚ました華をどうするんだろう。 そして、今愛する亜夢をどうしたらいいんだろう。
わからない。
-
:10/06/01 04:10
:F02B
:69y7jz22
#178 [亜夢]
-
でも華に話しかけて起きるなら、キスして起きるならひとときの王子様になればいい。
でも彼女の記憶は17の俺に恋してる女の子のままなんだ。
「会わないほうが…いいに決まってますよ。」
4年も経って汚くなった俺を受け止めるのも、現在の彼女を愛してるのも、大きすぎて知らないほうがいい気がする―…
「そうなのかもしれない…けど…」
涙を流しながら、もう一度あの子の笑顔がみたいんだ…と言葉をこぼした。
-
:10/06/01 04:13
:F02B
:69y7jz22
#179 [亜夢]
-
俺と親友のマナブは最強だった。
学校で目立ってたし喧嘩は強いし、大変女にもモテた。
「C組のちかちゃん頂きっ☆」
「いいよ〜俺味見しといてあげたし…上手だったよ?」
いつもライバル視してるのはお互いだった。
それが普通で楽しかった。
華はそれを遠くから見て微笑んでるような柔らかい女の子だった。
-
:10/06/01 04:16
:F02B
:69y7jz22
#180 [亜夢]
-
「A組の坂本華ね〜…」
じいっと見つめながらいつもマナブはそう言った。
いつもなら【食われる前に食べておかなきゃ】とか面白いこと言って調子狂わすのに、出来てなかった。
もちろん俺はすぐわかる。
「〜…お前ああゆうのがタイプか?」
えっと驚いた顔する少年マナブ。 顔真っ赤にして大丈夫か?(笑)
-
:10/06/01 04:19
:F02B
:69y7jz22
#181 [亜夢]
-
俺は知ってた。
意外と照れ屋で見栄っ張りで…女の子の前ではかなり強いのをアピールしたりする。 ただの自慢だが。
「俺が声かけてあげる☆」
ノリノリの俺は向こう側の廊下にいる華に手をぶんぶん振った。
「ねえ〜君が華ちゃん?」
「はい〜☆」
ドキンと胸がはじまる…
…
:10/06/01 04:31
:F02B
:69y7jz22
#182 [亜夢]
-
ほんわりした笑顔。
色素の薄いさらさらの髪の毛。
華奢なからだ。
すらっとのびる足。
俺までその返事だけで坂本華にドキンとしてしまった。
「お…俺らと仲良くしてよ」
「え〜…ふたりともチャラくて有名だから嫌だよっ!!!!」
華はくすくす笑いながらいった。
-
:10/06/07 05:12
:F02B
:kZ685P4M
#183 [亜夢]
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それから俺、マナブ、華と華の親友:百合恵とよく遊ぶようになった。
廊下ではなしたり放課後遊びにでかけたり。
「ねえ、華て好きな人いる?」
百合恵が聞いてるところをたまたま階段で耳にする俺とマナブ。
このときはお互いわかってた…
お互いが華を好きなことくらい。
「…まあ、ね?」
-
:10/06/07 05:15
:F02B
:kZ685P4M
#184 [亜夢]
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「あのふたりのどっちかでしょ?」
「さあ〜…」
百合恵と華はきゃっきゃ言いながら教室にはいっていった。
俺たちはいつもどおり学校の屋上にむかってねころがった。
気持ちいい風―…
「恨みっこなしだもんな…」
「ああ。 マナブ告白しね〜の?」
首を横に振るアイツ。
-
:10/06/07 05:17
:F02B
:kZ685P4M
#185 [亜夢]
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「…絶対無理だ。」
自信がないと顔を伏せた。
「俺…華の好きなやつはお前なんだよ。 凄い好きだからわかる。 見てると実感する…」
俺はなにもいえなかった―…
翌日に電話が鳴った。
「今から華の家行って告白してくる!!!」
決心がついたのかマナブはそう言った。
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:10/06/07 05:20
:F02B
:kZ685P4M
#186 [亜夢]
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「駄目で元々だろっ…」
たぶんいつもみたいにニカッと笑ったんだろう。
また後で報告の連絡をいれるから、と言ってマナブは電話を切った。
数時間経っても電話は鳴らない。
ああ、もしかしたら付き合って何かしてるのかもしれない―…
どうせ明日会うし、
聞けばいいんだよな。
聞けば。
-
:10/06/07 05:22
:F02B
:kZ685P4M
#187 [亜夢]
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…夜中に電話が鳴ってる。
俺は目を擦りながらドアをあけるとパジャマを着たお母さんが顔を真っ青にして飛んできた。
「龍紀っ…―」
お母さんはそのまま何もいわずに車を出すとなぜか病院に向かった。
いやな予感がする―…
「先にいって…」
俺は母さんに言った。
「亡くなったの…」
-
:10/06/07 06:06
:F02B
:kZ685P4M
#188 [亜夢]
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「マナブ君が亡くなったのよ、龍紀…」
嘘だ。
俺さっき電話したし。
「悪い冗談だな…夜中に。 あの横田おじさん?体調ずっと悪かったもんな?」
マナブのお母さんとお父さんが目に入る。
なんで泣いてるの?
マナブのお母さんは電話してる。
「忍…はやくかえってきなさいっ…」
-
:10/06/07 06:09
:F02B
:kZ685P4M
#189 [亜夢]
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俺は会ったことないがマナブには双子の弟がいる。
すぐに家をでて年上の女と住んでるとか変なことは聞いた。
「…おばちゃん、マナブは?」
「たっちゃん…」
仲良しだったからマナブのお母さんとは色々話したり、ご飯をごちそうになったりした。
笑顔のおばちゃんが
俺にみせたくしゃくしゃな顔。
-
:10/06/07 06:11
:F02B
:kZ685P4M
#190 [亜夢]
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「あの子…いってきます!!! て笑顔で出かけたの。 夜にでるなんかいつもだし、なにも心配してなかったわ… 無免許を止めなかったあたしが悪いんだけど…
トラックの運転手が居眠り運転で反対車線にでたらしいのよ… 運悪くマナブはタイアの下敷き…」
俺は首を横に振った。
「…顔はみないほうがいいわ…」
俺は激しく首を横に振る。
ここからでも見える。
白い布をかぶった誰かが寝てるくらいわかってる。
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:10/06/07 06:14
:F02B
:kZ685P4M
#191 [亜夢]
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「…マナブ?…」
告白できなかったのか?
俺はそっと白い布をとる。
「―――!!!!!」
思わず絶句してしまった。
顔が確認できる状態ではなかった。
「おばさん、マナブじゃないよ…うん、やっぱ違うんだよ…」
「たっちゃん…」
おばさんの赤くなった目をみればみるほど俺はその場から逃げたかった。
-
:10/06/07 06:16
:F02B
:kZ685P4M
#192 [亜夢]
-
まさか。
そんなはずはない。
日があけて…学校にいかなくてはならない時間になった。
「まさかな…?」
俺は普通に登校して席についた。
バタバタと華と百合恵が俺の元にやってくる。
「嘘でしょ?…」
「ねえ、龍紀…マナブが死んだなんて嘘だよね!!!!」
-
:10/06/07 06:18
:F02B
:kZ685P4M
#193 [亜夢]
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「き…昨日会った…」
病院で、白い布をかぶってた、息をしてない…あれがマナブ?
「わかんないよ…俺マナブがいなくなった実感なんてこれっぽちもないんだよ!!!」
なんであいつの席が空っぽなんだ?
なんで朝会であいつの名前が何度もでてくるんだ?
なんであいつが俺の隣にいないんだ?
なんで?
「お〜いマナブ…」
-
:10/06/07 06:21
:F02B
:kZ685P4M
#194 [亜夢]
-
もう返事がかえってこなくなって1か月が過ぎた。
学校に行く意味もなくなった。
百合恵は酷く精神的に落ち込んでしまった。
華は俺と百合恵を交互に心配しては連絡をくれたり家まできたこともあった。
まさかいえない―…
あの日マナブは華に告白しに行こうとしてたってことは、とてもじゃないけど口に出せなかった。
-
:10/06/07 06:23
:F02B
:kZ685P4M
#195 [亜夢]
-
華が俺の家にほぼ毎日来るようになった。
俺たたは言葉を交わすこともない結ばれた。 マナブの命日もふたりで手をあわせにいった。
あとから知ったことは…
百合恵がひどくマナブのことを好きだったということ。
それから華はずっと俺のことを好きだったということ。
秘密は
マナブの最後の想い…
-
:10/06/07 06:26
:F02B
:kZ685P4M
#196 [亜夢]
-
***
華は好きだ。
俺らにとってあの時間は大事だった。
いまだに覚えてる。
あの日の笑顔や俺に絡みつく愛しい体。
忘れられない場所や言葉。
忘れてしまいたい痛い過去。
華は好きだったんだ。
でも華はまだ俺の夢をずうっとみているんだ。
-
:10/06/07 06:28
:F02B
:kZ685P4M
#197 [亜夢]
-
気づいたら2031号室の前にいた。
坂本華―…
あのときはそうだったのに17のときに笠屋になったんだな。
マスターの名字が坂本だ、それですべてのつじつまがあう。
「―…」
コンコン。
もちろん誰も返事をしない。
「華―…」
真っ白い病室にはちょこんと痩せた華がいた。
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:10/06/07 06:31
:F02B
:kZ685P4M
#198 [亜夢]
-
起きたら、奇跡がおきたら俺はどうしたらいいんだろう―…
じっと見つめる華の寝顔。
看護婦のお姉さんがはいって俺に挨拶をした。
「あら…お見かけしたことがないですが…」
俺は軽く会釈をする。
「事故当時に付き合ってた本庄です…華がお世話になってます…」
まあ、と看護婦さん。 過去形にしたほうがいいのか現在進行形がいいのかなんてわからなかった。
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:10/06/07 06:35
:F02B
:kZ685P4M
#199 [亜夢]
-
もう数時間経っただろう。
動かない華のまつげをじいっとみてた。
俺は時計をみて席をたつ。
(もう行かないと遅刻するよな―…)
俺は荷物をもって去ろうとした。
いや、もしかしたら…
俺は華の唇のちかくに可愛いキスを残した。
華は俺の初恋の相手。
もしかしたらおとぎ話みたいなことがおきるんじゃって少し期待はしてた。
-
:10/06/07 06:38
:F02B
:kZ685P4M
#200 [亜夢]
:10/06/07 06:40
:F02B
:kZ685P4M
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