その日が来る前に、2
最新 最初 🆕
#101 [愛華]
重なってしまいました
すいません

⏰:10/10/13 21:38 📱:840SH 🆔:RgtP/6kU


#102 [愛華]
どのくらい時間が過ぎたか

あたりが暗くなりはじめた頃




「………全部、話すよ」

「…………え?」

「直純とのこと全部、話す。
俺もわかんないことあるけど…
那佑には、話しておくな」

それは隆則と直純くんの物語。

隆則の、暗い暗い闇の一部だった

⏰:10/10/13 21:42 📱:840SH 🆔:RgtP/6kU


#103 [愛華]
今さらですがすみません


>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600

⏰:10/10/13 22:57 📱:840SH 🆔:RgtP/6kU


#104 [愛華]





隆則の家。

なんとなく二人とも黙って……

それからゆっくり話しはじめた

二人の過去。

あたしの知らない隆則の一部

⏰:10/10/15 20:56 📱:840SH 🆔:SNq82mXg


#105 [愛華]
隆則の両親の死

直純くんとの別れ

きっと苦しかったよね。

あたしがもしそこにいたのなら

なんて言えるほど

あたしは強くないけれど。



隆則、きっと辛かったよね。

⏰:10/10/15 23:06 📱:840SH 🆔:SNq82mXg


#106 [愛華]




「……それから直純くんとは?」

「会ってないんだ。その時が
最後だった。電話して話したり手紙出したりはしたけど、会おうとすると必ずといっていいほど弘樹じいさんに止められて。
そのうち会えるか、と思ってたらいつのまにか音信不通。
家に行っても誰もいない。
電話も通じない。……離れてから一ヶ月くらいだったかな…」

⏰:10/10/15 23:10 📱:840SH 🆔:SNq82mXg


#107 [愛華]
そんなに早く………?

隆則は遠いところを見つめていた。 どこを見つめてるの?

……きっと、過去の自分の姿。


「……そのうち手紙が届いた。
直純からだったんだけど……
住所書いてなくってさ。」

「それはいつ頃?」

「音信不通になってから2年くらい経ってたと思うけど……」

⏰:10/10/15 23:22 📱:840SH 🆔:SNq82mXg


#108 [愛華]
「『俺は幸せです。なので心配しないでください。住所は事情により教えられないから手紙はいらないです』みたいな手紙」

なに…………それ。


「……意味わかんなくてさぁ。
色々探したけど結局会えなくて。

……そのまんま時間たっちゃって昨日6年ぶりに会ったんだけど……」

⏰:10/10/17 15:32 📱:840SH 🆔:B1fA5OV.


#109 [愛華]
間違えました

×昨日
○今日

⏰:10/10/17 15:33 📱:840SH 🆔:B1fA5OV.


#110 [愛華]
「俺はその6年間、罪悪感で
いっぱいだった。会いに行くって言ったのに………って」

隆則は震えていた。
小さな子供みたいに………

「あの6年間は俺の『罪』なんだ約束を破った俺の……」

「……隆則は悪くないよ。
どうしようもないことだって
いっぱいいっぱいあるんだよ」

なんて言えばいいのかわからない
それが罪だというのなら
私はきっと、私のお父さんとお母さんを許してなんかいないよ

⏰:10/10/17 15:40 📱:840SH 🆔:B1fA5OV.


#111 [愛華]
直純くんは言っていた。

罪を償わせる。

それは6年間放っておかれた

その復讐だっていうの??

隆則はなんにも悪くないのに。


わからないことがありすぎて
頭がついていかないよ。

隆則。隆則………

なんにもいえなくてごめんね。

⏰:10/10/17 15:44 📱:840SH 🆔:B1fA5OV.


#112 [愛華]
「……明日、直純くんに会う。」

「………え?あ、……そうだな」

「会って聞く。6年間の間に
何があったのか。
隆則の………罪ってなんなのか」


私がするべきことじゃない。

でも見て見ぬふりなんて無理。

だから真実が知りたいんだ。

⏰:10/10/17 15:47 📱:840SH 🆔:B1fA5OV.


#113 [愛華]
「………でも……」

「直純くんは…あたしの友達。
最初は嫌いだったんだけどね、
今は同じ傷を持った友達なの。

同情なんかじゃなくって。

わかりあえる友達でもあるの」

だから聞かなくちゃ。
直純くん。あなたの傷の原因。
隆則も直純くんも………
両方が傷つかなくちゃいけないなんて間違ってるよ。

⏰:10/10/17 15:51 📱:840SH 🆔:B1fA5OV.


#114 [愛華]
「………わかっ………た」

隆則は俯いた。

あたしは隆則をぎゅうっと
抱きしめた。

大丈夫なんだよ。
あなたは間違ってなんかないよ

そう伝えたくって

ただ、ぎゅうっと抱きしめた。

⏰:10/10/17 15:53 📱:840SH 🆔:B1fA5OV.


#115 [愛華]
隆則。どうしてこの手を

離さなくちゃならなかったのか

わからなかったよ。あの時は。

ただ好きで

でも、それだけじゃだめだった。


もう一つの別れは

すぐそこに迫っていたんだ。

⏰:10/10/17 15:58 📱:840SH 🆔:B1fA5OV.


#116 [愛華]





次の日。送別祭二日目。


あたしはいつもより早く学校へ行った。じっとしてられなかった。


「あれ、那佑はやくない?
もう着替えてるしー」

急に話し掛けられたので
びっくりして振り向くと、
そこには梓がいた。

⏰:10/10/17 23:29 📱:840SH 🆔:B1fA5OV.


#117 [愛華]
「あ、おはよう梓。昨日は
ちょっとね……」

「てゆーか!!昨日勝手に帰っちゃったでしょ??大変だったんだよー。休憩から帰ってきた直純くんもなんか様子変だし…」


ドキッとした。


「………梓」

「ん?なに?」

⏰:10/10/18 10:08 📱:840SH 🆔:psFE4SWM


#118 [愛華]
「……直純くんってさ……
隆則の弟だって……知ってた?」

「………え?」

梓はありえない、という顔をした
どうやら梓と直純くんは、小さい頃面識があるらしい。

当たり前といえば当たり前か…


「だって……直純は今………
ずっと会えなくて………」

「………梓。話、きいて」

⏰:10/10/18 11:01 📱:840SH 🆔:psFE4SWM


#119 [愛華]
あたしは梓に全て話した。

昨日、隆則から聞いたこと全部。


梓は泣きそうになりながら聞いていてくれた。



「…………そっか。やっぱり
直純だったんだ…。6年間って
長い時間なんだなぁ………
あたし、全然気づけなかったよ」

⏰:10/10/18 11:04 📱:840SH 🆔:psFE4SWM


#120 [愛華]
周りはガヤガヤと準備を始めている。あたしと梓は教室の隅で邪魔にならないよう話していた。


「……直純がいなくなってから
隆則は本当に落ち込んでた。
音信不通になってからケンカをするようになったんだよね」

「え…っ隆則がケンカするようになったのって…直純くんが原因だったの?」

「本当の原因はね。表向きは隆則のお父さんお母さんの死が原因ってことになってるけど」

⏰:10/10/18 20:45 📱:840SH 🆔:psFE4SWM


#121 [愛華]
「え?表向き?意味わかんない」

「つまり、そういうこと」

あたしはさっぱりわからなかった

「…タカはなかったことにしたの
直純への罪悪感にずーっと苦しんだ末、直純を探すことを諦めて罪悪感から逃れた。
………タカが罪悪感感じることなんて……なんにもないのにね」

⏰:10/10/18 20:52 📱:840SH 🆔:psFE4SWM


#122 [愛華]
梓は話し続けた。

「タカは……直純のことを次第に忘れようとしていった。
無意識のうちにね。疲れちゃったんだと思う。
だから、あたしもそうした。
直純のことは口に出さないで、
タカのケンカを止めることに全力をつくして…アメリカへ発った」

梓はふぅとため息をつくと
ゆっくりと立ち上がった。

「……あの6年間の間に直純に何があったのか、どうして自分のことを直純が隠したのか、
あたしは何ひとつわからない。」

⏰:10/10/18 20:58 📱:840SH 🆔:psFE4SWM


#123 [愛華]
「……でも、聞かなくちゃいけないね。


あたし、このまま終わるなんてどうしても思えないんだよね」

梓。あたしもそう思うの。



津波がやってくるような。

嵐の前の 静けさのような。

そんな気がするんだ。

⏰:10/10/18 21:06 📱:840SH 🆔:psFE4SWM


#124 [愛華]
誰か読んでくれてますかね??

⏰:10/10/18 21:07 📱:840SH 🆔:psFE4SWM


#125 [姫◆Hime.pJbJ.]
読んでますよヾ(^▽^)ノ
頑張って下さい!!

⏰:10/10/18 22:31 📱:SH004 🆔:wqxNu81M


#126 [理沙]
結末が気になりながら、ずっと読んでます
これからも楽しみにしてますので頑張って下さい

⏰:10/10/19 19:52 📱:N01B 🆔:VXFuq90E


#127 [愛華]
>>125

ありがとうございます
頑張って更新しますので
応援よろしくお願いします

>>126 理沙様
ありがとうございます!
頑張って書き上げますので
よろしくお願いします


少し更新します!

⏰:10/10/19 22:05 📱:840SH 🆔:5VCYhr0Q


#128 [我輩は匿名である]
間にコメント入って、読みづらいです。
コメントは感想板に書いてください。
主さんもコメントは感想板に書くように誘導してください。

⏰:10/10/19 22:08 📱:T001 🆔:2B532/bM


#129 [愛華]
あたしと梓は、隣の空き教室で
ケーキやお茶の準備をした。

昨日はかなりの客が来たので
今日は少しは落ち着くと予想し
量は少ない。

ケーキを切っている時も
コーヒーを入れている時も

頭の中は直純くんと隆則で
いっぱいだった。


隆則………今、なにしてるかな

⏰:10/10/19 22:12 📱:840SH 🆔:5VCYhr0Q


#130 [愛華]
>>128


すいませんでした
私のミスですA
これから気をつけますね


感想は感想板にもらえると
嬉しいです

⏰:10/10/19 22:17 📱:840SH 🆔:5VCYhr0Q


#131 [愛華]
ガラガラッ


「…………っ」

「な、直純くん……!!」

一瞬だった。
隆則のことを考えている時に
直純くんが入ってきたから……

心臓が……止まりそうになった。


「……あ、おはよ白石。
……あれ?あ、教室間違えたね。
わりぃ。着替えてくるな」

⏰:10/10/19 22:20 📱:840SH 🆔:5VCYhr0Q


#132 [愛華]
「え、あ………」

声が出ない。
どうしてそんなに普通通りなの?

「…おはよ。し、な、の、くん」

何も言えないでいると、梓が冷たい声でいった。
あたしはびっくりして思わず振り向いてしまった。


「………久しぶり、だね。梓」

⏰:10/10/19 22:24 📱:840SH 🆔:5VCYhr0Q


#133 [愛華]
「…うん。最初は気づかなかった
あんた、男前になったねぇ。
タカにそっくりになってきた」

「そりゃどーも。褒め言葉としては受け取れないけどな」

二人の間に緊迫した空気が流れる
ピリピリする。息苦しい。


「…この6年、あんた何してた?どこにいた?」

「おーいきなり来るねぇ」

⏰:10/10/19 22:28 📱:840SH 🆔:5VCYhr0Q


#134 [愛華]
直純くんが苦笑いながら、
その場にあった椅子に座った。

「……ジジイんとこにいたよ。
別に何をしてたわけじゃない。
俺の6年間はあのジジイのもんだったからな。自由なんかなかったし…あんま覚えてないし」

直純くんは何でもないことのように言った。

「……意味わかんないんだけど。
あたしとタカは散々あんたを探したよ。タカはあんたのせいでケンカに狂っていったよ!」

⏰:10/10/19 22:33 📱:840SH 🆔:5VCYhr0Q


#135 [愛華]
ビリビリと空気が震えた。
梓……今何を考えてる?
わからない……怖い。


「……隆兄がどうなったかなんて知ったことじゃない。
でも、梓。そんな隆兄に対して…


お前はなんかできたのかよ?」

「………………!!」

⏰:10/10/19 22:37 📱:840SH 🆔:5VCYhr0Q


#136 [愛華]
「俺はよくわかんないけど。

……何もできなかっただろ?

隆兄を変えたのは隣にいるその女
お前じゃねぇ」

直純くんの目は恐ろしいほどに
冷たくて………
血が通っていないみたいだった

「……タカに復讐?何が目的?」

「しゃべりすぎたなぁ。続きは
放課後でもいっすかね??
俺、着替えてこなくちゃさ」

⏰:10/10/19 22:42 📱:840SH 🆔:5VCYhr0Q


#137 [愛華]
直純くんはのびーっと欠伸をして、教室から出ていった。

梓はぐっと何かをこらえているように唇を噛んだ。


………わからない。
自分の周りで色々なことが起こりすぎて、何がどうなっているのか全くわからない。


でも…………
隆則も、直純くんも、梓も。

この6年の間に傷を負っていた

あたしは…知らなくちゃいけない

⏰:10/10/19 22:49 📱:840SH 🆔:5VCYhr0Q


#138 [愛華]
「…………あ、やばっ!!
ほら、はやく行かなきゃ!」

梓は思い出したように言い、
コーヒーやらケーキやらがのったお盆を自分の手に持った。

「…………梓、あの…」

「だーいじょうぶ。平気だよ。
放課後に話そう。全部さ。


………一気に色々ありすぎて、
今、ちょいビビってる…ごめん」

⏰:10/10/21 20:36 📱:840SH 🆔:GoKWztnc


#139 [愛華]
…………梓。
梓の中の直純くんは
6年前で止まっていたんだね。
きっと自慢の幼なじみだったはず
優しくて、ちょっと生意気で…
目に見えてくるみたいだよ。


今の直純くんは
6年という時を経て変わった。


冷たくて氷のような目で

とても悲しそうに笑う。

⏰:10/10/21 20:42 📱:840SH 🆔:GoKWztnc


#140 [愛華]
さっき梓は6年ぶりに『直純』くんに会った。

何を思ったんだろうか。

どうして変わってしまったんだ
こんなやつもう知らない
あんなに仲がよかったのに
一体なにがそうさせたんだ


昔の直純くんを知らないあたしには何も言えないけれど

でもね、梓。

あたし、直純くんを悪くは思えないんだ。絶対に。

⏰:10/10/21 20:49 📱:840SH 🆔:GoKWztnc


#141 [愛華]
直純くんのせいで隆則がケンカに狂ってしまった
隆則は苦しみ続けた


それでも、あたしは直純くんを
悪くなんて思えない。

同じ傷を持っていることに
気づいてしまったから


直純くんは愛を忘れてしまった
6年もの時の間に


真実を知らなければ
事実としては語れない。

⏰:10/10/21 20:53 📱:840SH 🆔:GoKWztnc


#142 [愛華]
直純くんは変わってしまった
その事実の向こうの真実

それを知らなければ


責めることも罵ることも
あたしにはできないんだ。



あたしは名前のわからない感情が溢れてくるのを感じた。

………大丈夫。あたしは、大丈夫

⏰:10/10/21 20:58 📱:840SH 🆔:GoKWztnc


#143 [愛華]




教室ではガヤガヤと準備が進み
いつのまにか3年生が来ていた。
知らないうちに祭二日目、開始。

こんなテキトーでいいのか…

なんていうのは生徒も先生も
突っ込まない。

⏰:10/10/23 20:07 📱:840SH 🆔:5AJhK.Ao


#144 [愛華]
あたしもすぐにメイド服に
着替え、接客に向かった。

「いらっしゃいませ〜」

「おー君かわいいねー名前は?」

「なゆりんです♪」

「なゆりんよろしくね!」

今はこんなことやってる場合じゃないのになぁ……

なんて思いながら必死に作り笑いを浮かべる。

⏰:10/10/23 20:14 📱:840SH 🆔:5AJhK.Ao


#145 [愛華]




ドクンッ





「…………!?」

あたしは胸をおさえた。



なに、いまの…………

⏰:10/10/23 20:16 📱:840SH 🆔:5AJhK.Ao


#146 [愛華]
あまりにも突然すぎて
忘れていたあの痛み。



薬は飲んだのに……

最近は忘れられていたのに…


深呼吸すると大分落ち着いた。

…………大丈夫。
頑張りすぎちゃっただけ。
少し休めば大丈夫だよ、こんなの

⏰:10/10/23 20:20 📱:840SH 🆔:5AJhK.Ao


#147 [愛華]
「………なゆりん大丈夫?」

「あ、大丈夫ですよー!!
コーヒーゼリーでしたね!
待っててくださぁい」

あたしはパタパタと隣の教室に
ゼリーを取りにいった。



ズルズルと座りこむ。


………カウントダウンは、近づいているんだ。
まだ7年ある?
あと7年しかないんだよ。

⏰:10/10/23 20:26 📱:840SH 🆔:5AJhK.Ao


#148 [愛華]
考えることはいっぱいある。

あたしのことなんか後でいい

なんていい子ぶった事言えないよ


直純くん

隆則


あたしだっていっぱいいっぱい。

自分を守るのに必死なんだよ。

⏰:10/10/23 20:31 📱:840SH 🆔:5AJhK.Ao


#149 [愛華]





ガラッ


「………なにやってんの?」

「な…お……ずみくん?」


二回目だ。
苦しくなった時に
直純くんが来てくれる。

そしてあの時みたいに

優しい目で笑うんだね。

⏰:10/10/23 20:57 📱:840SH 🆔:5AJhK.Ao


#150 [愛華]
あの時も直純くんは
あたしの背中をさすって

大丈夫だよ、って言ってくれた

あぁ………隆則に似てる。

そう思ったんだ。あの日に。



それは直純くんにとって
嫌なことでしかないのかな。


消したいものでしかないのかな

⏰:10/10/23 21:15 📱:840SH 🆔:5AJhK.Ao


#151 [愛華]
「……具合わるいの?」

直純くんは扉を静かに閉めて
小さい声で聞いた。

「平気。大丈夫だよもう。
…………どうしたの?」

「あ、なんかコーヒーゼリー足りないらしくて。俺と白石で買いに行ってきてって言われた」

「ん。いいよ、いこう」

あたしは隆則の件については
触れなかった。
今はいつも通りがいい。
そんな気がした。

⏰:10/10/24 01:05 📱:840SH 🆔:bSBAkyn2


#152 [愛華]
外は少し肌寒かった。

街は卒業シーズン真っ只中。
桜の木はまだハゲのまま。

今年はいつ頃咲くだろうか。

雪が溶けたことでゴミがあっちこっちに出てきている。
大方、冬の間に子供たちが
雪にゴミを埋めたんだろう。

そんな道を直純くんと歩く。

男の人と二人で街を歩くのは……
直純くんが二人目だ。

⏰:10/10/24 01:13 📱:840SH 🆔:bSBAkyn2


#153 [愛華]
「………まだちょい寒いね」

「そうか?教室が暑かったから
俺は涼しいくらいだけど」

「直純くん大人気だもんね」

直純くんのホストは、クラスでダントツ一位の人気だった。

「それ言ったら白石じゃん。
なゆりん………だっけ?」

「やーめーてー!!」

「あははは!!」

普通に笑いあって……
でも瞳は冷たい色のままで。

⏰:10/10/24 11:12 📱:840SH 🆔:bSBAkyn2


#154 [愛華]
スーパーに着いて、あたしは
デザートコーナーに向かう。
直純くんは他のお菓子に夢中で鼻歌なんかを歌っている。

ほんとにいつもどおりだなぁ…

あたしはコーヒーゼリーを
あるだけポイポイとかごに放り込んでいく。

しかし、3個で100円のコーヒーゼリーを1個200円で売るって………ぼったくりすぎじゃないか…?

なんていうのも見ないフリ。

⏰:10/10/24 19:29 📱:840SH 🆔:bSBAkyn2


#155 [愛華]
「しーらーいし!!」

「あ、なに?」

「これ買って♪」

直純くんの手にはチョコやらジュースやら……
まぁ、少しならいいかな。
ぼったくってるし。

「うん。お金払ってくるね」

あたしはレジに向かった。

⏰:10/10/24 19:34 📱:840SH 🆔:bSBAkyn2


#156 [愛華]
外に出ると、さっきより少し天気が悪くなっていた。

……気分が優れないな……


「白石、歩くの遅くね?」

「……ごめん……」

「や、別にいんだけど……」

……まずいな。
ついさっきまで平気だったのに。
休んで治ったのに………

⏰:10/10/24 19:39 📱:840SH 🆔:bSBAkyn2


#157 [愛華]
歩くにつれ気分が更に悪くなる。

「………ん……」

「白石?顔色……」



ドクンッ


「………あっ……」

力が入らなくなり、
あたしはガクンと膝をついた。

⏰:10/10/24 19:42 📱:840SH 🆔:bSBAkyn2


#158 [愛華]
「………白石!?」


直純君が、駆け寄ってきた。
あたしをゆっくりと立たせると
ヒョイッとおぶった。

……こんな急にくるなんて……
昨日から色々あったからなぁ…
ってゆーか……

「……おんぶ……恥ずかしい」

「うるせ。すぐそこに公園あるからそこで休もう。
っつーか軽すぎ。ちゃんと食べてんのかよ?」

⏰:10/10/24 19:46 📱:840SH 🆔:bSBAkyn2


#159 [愛華]
「……うん」


なんで優しいの。
あなたも傷ついてるんでしょう
あなたの優しさは
隆則にそっくりなんだよ。

そう言ったら、

あなたは怒るでしょう。


「………白石……泣いてんの?」

「………泣いっっ……でない」

⏰:10/10/24 19:50 📱:840SH 🆔:bSBAkyn2


#160 [愛華]
知らないうちに涙が流れた。


………いつもどおりなんて…
やっぱりあたしには無理だ。
直純くんは……隆則の弟。
直純くんは……隆則を恨んでいる
どうやっていつもどおりに
接すれるというの?



直純くんはあたしをベンチに寝かせてひざ枕してくれた。

⏰:10/10/24 19:55 📱:840SH 🆔:bSBAkyn2


#161 [愛華]
「……大丈夫?ジュースのむ?」

「ありがとう……大丈夫」

横になると落ち着いてきた。
この二日で頑張りすぎたのかな?


「……さっき何で泣いたの?」

直純くんは心配そうに聞いてきた

「………わかんないよ」

⏰:10/10/24 19:58 📱:840SH 🆔:bSBAkyn2


#162 [愛華]
それが正直な気持ちだった。
自分でも知らないうちに泣いてたんだから……わかんない。


「………そっか」


それっきり直純くんは黙った。


すぐ近くに直純くんの顔がある。
なんか不思議な気持ちだ。

風は冷たいのに……あたたかい

⏰:10/10/24 20:00 📱:840SH 🆔:bSBAkyn2


#163 [愛華]
「……あのさ、聞いていい?」

直純くんが消えるような声で
言った。小さな小さな声。


「……なんで白石は……
隆兄のことなんにも聞かないの?
梓は問い詰めたのに…なんで?」

「……わかんない。
いつもどおりにしたかったけど無理だよね、そんなの……」

⏰:10/10/24 20:09 📱:840SH 🆔:bSBAkyn2


#164 [愛華]
「………白石」

「あたし、隆則が大事だよ。
1番すきで、1番大切。

でも直純くんもほっとけない。
直純くんは…あたしと同じだから
直純くんも気づいてるでしょ?」

「……うん」

「でも同情じゃないよ。
あたしは……今のままじゃ
直純くんを責めることも助けることもできないよ。
傷ついてるのわかってるのに」

⏰:10/10/24 23:06 📱:840SH 🆔:bSBAkyn2


#165 [愛華]
「………」

直純くんは黙ったまま
あたしの目を見つめる。

あたしは起き上がって続けた。

「……だから、教えてほしい」

6年間の間に何があったのか。
その、真実を。


直純くんはゆっくりと
ふーっと息をはいた。

⏰:10/10/24 23:12 📱:840SH 🆔:bSBAkyn2


#166 [愛華]
直純くんは遠くを見つめた。
隆則のあの時の目。
……過去の自分を見つめる目。






「……俺、虐待されてたんだ」



「…………え?」

そこに隠された真実に
つながれていく未来。
誰が予想できただろうか。

⏰:10/10/24 23:21 📱:840SH 🆔:bSBAkyn2


#167 [愛華]










………声が聞こえる。

いつもと同じ怒鳴り声。

外から閉ざされたこの世界で

俺は………光を失った。

⏰:10/10/25 18:22 📱:840SH 🆔:4aP1MYX6


#168 [愛華]
「直純!!勉強しろ!!」

経営学を徹底的に学ばされる。
意味もわからないもの。

じいさんにとって俺は……
跡取りのための道具。ここへ来て二ヶ月でそれがわかった。


隆兄とも会わせてもらえず
学校も行けなくなり

地名も知らない場所へ引っ越した

⏰:10/10/25 18:26 📱:840SH 🆔:4aP1MYX6


#169 [愛華]
やがて手紙も出せなくなり
電話番号も変えられて……

今に至る。


「……じいちゃん。外に出たい」

「口答えすんな、クソガキ。
これ終わってからにしろ」


外には高い塀。
越えられそうもない……

⏰:10/10/25 18:28 📱:840SH 🆔:4aP1MYX6


#170 [愛華]
やっと今わかったよ。
じいちゃんが隆兄を引き取りたくなかったわけ。


俺を扱うのに……隆兄は邪魔だったんだね。
俺はいままで隆兄に頼ってばかりで………
隆兄がいないと反抗もできない。

そういう俺のほうがじいちゃんは扱いやすかったんだ。

⏰:10/10/25 18:32 📱:840SH 🆔:4aP1MYX6


#171 [愛華]
手にはアザがいっぱい。

痛いという感覚も忘れた。
毎日のようにふるわれる暴力。

今では体じゅうにできた。



空気の味もわからない。

逃げたい。
逃げられない。


地獄のような……現実。

⏰:10/10/25 18:35 📱:840SH 🆔:4aP1MYX6


#172 [愛華]
隆兄は今なにしてるかな

梓は今どうしているのかな

ばあちゃんは元気かな

じいちゃんご飯食べてるかな




………俺のこと、覚えてるかな



何度涙を流しただろうか。
きっと、明日も流すだろう

⏰:10/10/25 18:39 📱:840SH 🆔:4aP1MYX6


#173 [愛華]
時間の感覚が失くなっていった。

やがて何にも考えられなくなった



心の病だった。



医者にストレスをためないように


そう言われたじいちゃんは
鼻で笑ってこう言った。

⏰:10/10/25 18:44 📱:840SH 🆔:4aP1MYX6


#174 [愛華]
「……家では普通ですよ。
学校で嫌なことでもあるのか?」

後ろで背中をつねられていた。

"お前は黙っていろ"

そう言っているようだった。

涙もでなかったよ。

学校で嫌なこと?
その学校に行ってねんだから
なんも言えるわけねぇよ。

⏰:10/10/25 18:49 📱:840SH 🆔:4aP1MYX6


#175 [愛華]
抵抗する気力も失せた。


………俺、なんでここにいんの

隆兄に会いたいよ。

帰りたいよ。

あの場所に………帰りたいよ。

でも体は疲れ果てていて

行動を起こすことを拒否する。

動きたいのに……動けない。

⏰:10/10/26 00:27 📱:840SH 🆔:86MAIarE


#176 [愛華]
そんな俺にも容赦ないじいちゃん

いつからか俺は

じいちゃんの『ストレス発散のための道具』にもなっていた。

人として……見られていなかった

頬を打たれ、足を蹴られ……

水をかぶせられたこともあった。

⏰:10/10/26 00:31 📱:840SH 🆔:86MAIarE


#177 [愛華]
何度も泣いた。
逃げ出そうと思う度に
体の傷が痛んで動けない。

失敗した時のことを考えると…
怖くて眠れなかった。

助けて………

助けて…………


隆兄………助けてよ………


心の中で何度も叫んだ。

⏰:10/10/26 00:34 📱:840SH 🆔:86MAIarE


#178 [愛華]
きっと隆兄は見つけてくれる。

助けにきてくれる。

今ごろ……隆兄も俺と同じように苦しんでるだろう。

死に物狂いで俺を探してくれてる


だから隆兄。


はやく、助けにきて………。

俺が俺でなくなってしまう前に。

⏰:10/10/26 00:36 📱:840SH 🆔:86MAIarE


#179 [ゆず]
凄く読みやすくて
感動して泣きそうです
楽しみにしてます

⏰:10/10/26 17:36 📱:P03A 🆔:o.7odbl2


#180 [愛華]
>>179 ゆず様

ありがとうございます!
めちゃ嬉しいです〜(泣)

感想板のほうにもぜひ来てみてくださいね!!

⏰:10/10/26 18:16 📱:840SH 🆔:86MAIarE


#181 [愛華]
自分の存在意味がわからない。

隆兄。今なにしていますか。

俺のことを想ってくれてますか


俺は苦しいです。つらいです。

泣くことにも疲れてしまい

笑うことを忘れてしまった。



隆兄。


今なにしていますか。

⏰:10/10/26 21:41 📱:840SH 🆔:86MAIarE


#182 [愛華]
やがて時はすぎ
俺は学校に行かせてもらえることになった。今さらだからべつにどうでもよかったけど。

逃げようとか
助けを求めようとか

そんなことは最初のうちは
毎日のように考えてたけど

今は違った。

期待を裏切られることに疲れた。

⏰:10/10/27 23:41 📱:840SH 🆔:fuxM5Z9w


#183 [愛華]
どうせ逃げたって連れ戻されて
またいつもの毎日に逆戻り。
むしろ、それよりひどくなるかもしれない。

現状を打破するなんて無理だ。

昔テレビで虐待のドラマを見て
「どうしてこいつらは助けを求めないんだろう」
とか思ってたけど
その時になってやっとわかった。

⏰:10/10/27 23:44 📱:840SH 🆔:fuxM5Z9w


#184 [愛華]
何度も何度も自分を傷つけた。

手首には傷が刻まれていった。

その傷がじいさんに見つかると
「死にたきゃ勝手に死ね」って
言われた。死にたくて傷つけてるわけじゃなかったけど。

なんとなく生きてる証が欲しくて


ただ、それだけで。

⏰:10/10/27 23:47 📱:840SH 🆔:fuxM5Z9w


#185 [愛華]
学校のやつらにも必要以上に絡まなかった。制服の学ランは
傷が隠れて丁度よかった。
体育はどんなに暑くても脱がなかった。


クラスのやつらは俺を不気味がり離れていった。
イジメも多少あったけど
手応えがないとわかったら
みんな諦めていく。

それでいい。


俺に触らないでくれ。

⏰:10/10/27 23:51 📱:840SH 🆔:fuxM5Z9w


#186 [愛華]
学校から帰ると夜中まで勉強。

思い通りにいかないとじいさんの暴力。それが俺の毎日。



俺の心のよりどころは
『隆兄がいつか助けに来る』
その思いのみ。


いつかきっと来てくれる。
隆兄なら迎えにきてくれる。

俺はそれだけを生きる理由に
その願いに依存していった。

⏰:10/10/27 23:55 📱:840SH 🆔:fuxM5Z9w


#187 [愛華]
願うことで正常が保てる。
願わなければ生きていけない。

毎日がギリギリで
その思いが俺を支え続けた。


いつのまにか

きっと隆兄も今ごろ苦しんでる

そんな根拠のない思いもでてきた


俺もこんなに苦しんでるんだから
きっと隆兄も苦しんでるだろう

⏰:10/10/27 23:58 📱:840SH 🆔:fuxM5Z9w


#188 [愛華]
俺のいない毎日で
隆兄が笑っている姿はどうしても想像できなかったから。

だからそうなんだと信じた。
隆兄も俺と同じなんだって。


隆兄はきっと来てくれる。


俺は助けを誰にも求めることのないまま、隆兄への思いだけを支えに生き続けて……



やがて15歳になった。

⏰:10/10/28 00:02 📱:840SH 🆔:vHAzzD1g


#189 [愛華]
15歳になった春。
灰色の毎日を過ごしていた俺。


じいさんとも少しずつ距離ができていた。中三になった俺にはもう力では敵わないと知ったのか、暴力は減っていった。

でも俺は勉強をやめようとは決して思わなかった。
いつかじいさんの跡をつぐ。
そのために俺はここに来た。
今までそのために苦しんだ。

⏰:10/10/28 16:06 📱:840SH 🆔:vHAzzD1g


#190 [愛華]
跡をつぐこと自体にはさして興味はなかったけれども。

ただ、今まで苦しんだ日々の意味が欲しかった。

じいさんの跡をついで
今の日々から抜け出す。


そして………隆兄に会いたい。

俺は強くなったんだよって
隆兄がいなくても頑張れたよって

隆兄を助けに行きたい。
隆兄も……苦しんでるだろう?

⏰:10/10/28 16:17 📱:840SH 🆔:vHAzzD1g


#191 [愛華]
隆兄………梓………会いたいよ…





「……お前に跡は継がせない。
さっさとでていけよ」


「………………え?」


桜が舞う日の夜。
じいさんに言われた。

⏰:10/10/28 17:21 📱:840SH 🆔:vHAzzD1g


#192 [愛華]
なに?
なに言ってんだ?



「うちの会社に有望なやつは
山ほどいる。血縁のあるやつに継がせるつもりだったが……
後継ぎが見つかった今、お前は
もう必要ない」


必要………ない?

じゃあ……今まで苦しんだのは?

⏰:10/10/30 23:47 📱:840SH 🆔:3w71hiWg


#193 [愛華]
あんなに泣き叫んだ日々は?
体に痣をつけられ続けた日々は?
自分で自分を傷つけた日々は?



全部……………意味ないじゃんか



「…………ざけんなよ」

⏰:10/10/30 23:52 📱:840SH 🆔:3w71hiWg


#194 [愛華]
「あ?なんか言ったか……」

「ふざけんなっつったんだよ!」

初めてじいさんに怒鳴った。
じいさんは面くらった顔だ。
反抗されるとは思ってなかったらしい。いつまでも従ったままだとか思ってんじゃねぇよ。


「今さらなんだよ?あ?
じゃなんのために今まであんな
クソみてぇな勉強ばっかしなきゃなんなかったんだよ?」

⏰:10/10/30 23:57 📱:840SH 🆔:3w71hiWg


#195 [愛華]
「な、直……」

「後継ぎがいるんなら最初から連れてこいってんだよ………

なめてんじゃねぇ!!!
クソじじいが!!」

ガッッ!!

俺は机を思い切りけりあげた。
じいさんは心底驚いた……
そして、怯えた顔をしていた。


俺は………なんのために
今まで生きてきたんだっけ…

⏰:10/10/31 00:11 📱:840SH 🆔:ExUEa6QM


#196 [愛華]
これで何にも縛られない。
やっと隆兄のもとへ帰れる。

なのにひとつもすっきりしない。


俺が今まで苦しんだ意味は?

隆兄のもとへ帰りたかった。
ずっとずっと帰りたかった。


そして一人で頑張り続けた自分を
見て、褒めてほしかった。

⏰:10/10/31 00:21 📱:840SH 🆔:ExUEa6QM


#197 [愛華]
そんな頑張った日々は全部……




無意味。





苦しんだ日々の意味を無くした。

それが一番苦しかった。

殴られることよりも…何よりも。

⏰:10/10/31 00:24 📱:840SH 🆔:ExUEa6QM


#198 [愛華]
隆兄。

今も俺のことを探してますか

今も苦しんでいますか

きっと優しい隆兄のことだから

自分を責め続けてるでしょう

俺も今苦しいです。


あれから6年たちました。


6年間無意味に苦しみ続けました


隆兄も………そうですか?

⏰:10/10/31 00:29 📱:840SH 🆔:ExUEa6QM


#199 [愛華]
会いたい。

隆兄に会いに行きたい。

「俺はもう大丈夫だよ。

心配しなくっていいんだよ」

そう言いたい。

そして隆兄が

「心配したんだぞ。

長い間、探していたんだよ」

そう言ってくれたらうれしい。

⏰:10/10/31 15:49 📱:840SH 🆔:ExUEa6QM


#200 [愛華]
その日は………

すぐにやってきた。





冬の寒い日。


俺はなんとなく街を歩いていた。

⏰:10/10/31 15:51 📱:840SH 🆔:ExUEa6QM


#201 [愛華]
隆兄に会いに行く。

そう決めても、決心がつかない。
6年ぶりだ。

なにから話せばいい?

まずは心配かけたことを謝らなくちゃいけない。


そして全て話さなきゃいけない


隆兄は……今までどんな気持ちで6年過ごしてきたのか。

それを知るのが怖かった。

⏰:10/10/31 15:54 📱:840SH 🆔:ExUEa6QM


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