クソガキジジイと少年」
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#860 [ザセツポンジュ]
きーさんは、すーさんをリビングに放り投げ、
玄関の電話の前に立った。

きーさん。携帯電話を購入したのにも
関わらず、家に置き忘れ、人んちの家の電話を使用する。
老人とはそんなものだ。

『090の、、、え〜と、、、』

リビングからホフク前進でしかえしを試みているすーさん。

『おい、木田シゲル。モンブランモンブランって、糖尿病になって死んでしまえ。。。おや?どこに電話しとるんじゃ?』

『トミオの本命の彼女。』

『あぁそう。』

すーさんはそう言って素直に退散し、コタツに戻った。

『、、、もしもし?ワシじゃ。今すーさんちからかけておる。今どこにおるんじゃ?』

⏰:08/06/18 14:26 📱:PC 🆔:Qvr/oogU


#861 [ザセツポンジュ]
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エノモトさんちは少し遠かった。
二人はたわいもない話をしながら
ゆっくり歩いた。

『トミーはいつも音楽何聴いてるの?』
『え〜っとね〜、怪獣のバラード。』
『、、、。それって合唱曲でしょ。CD出てるの?』
『うん、出てる出てる。エノモトさんは?』
『あたし、ジュディマリ。』
『俺もジュディマリ好き〜。ジョウの兄ちゃんにCD借りた事あるんだ。小さな頃からとかね、KISSの温度とかいいよね。』
『ホント!?あたしは、おねーちゃんから教えてもらったの。あ、怪獣のバラードあたしも好きだよ。』

⏰:08/06/18 14:39 📱:PC 🆔:Qvr/oogU


#862 [ザセツポンジュ]
CDはおそらく持っていないだろうが、
木田トミオと言う生意気な少年。
怪獣のバラードと言う歌を
こよなく愛していた。

『でもさ〜怪獣のバラードを歌ったクラスが絶対優勝するじゃん。あれどうにかして欲しいよね〜、、、。あ、自販機。エノモトさん、おいで。』

あったかいカフェオレを飲みながら二人は進んで行った。
吐く息はとても白かった。

『もうすぐウチなの。あの、そこの犬がいるオウチの、、、。隣、、、、。』

エノモトさんの足が止まった。
トミーはエノモトさんの顔を覗き込んで
視線を辿った先、街灯の下に女の人が立っているのが見える。

『おねーちゃん!』

そう叫んでエノモトさんは、走って行く。
振り返ったエノモトさんに、トミーは笑って手を振った。

(会いたい人に会えてよかったね、エノモトさん。)

⏰:08/06/18 14:40 📱:PC 🆔:Qvr/oogU


#863 [ザセツポンジュ]
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ジョウは時計を見てハっとした。
ジジイ二人のドンチャン騒ぎに
付き合っている場合ではないのだ。

こともあろうかエノシタさんは
楽しそうにケタケタ笑っていた。

ジョウはこのままでは
エノシタさんが危ないと思い、
肩を叩いて現実世界へ引き戻した。

『エノシタさん!もう8時が来るよ!』

エノシタさんはやっとこさ
我に返り、帰り支度をした。

『エノシタさん、また目玉焼き選手権しようね〜』

酔っ払ったすーさんはとてもご機嫌。

『また遊びにおいで、エノシタさん。』

きーさんは、ここを自分ちだとでも思っているのだろうか。

ジョウとエノシタさんは、クリスマスと言う冬の道を歩き出した。

⏰:08/06/18 16:48 📱:PC 🆔:1u1mw9wo


#864 [ザセツポンジュ]
>>836-840
>>841
>>843-846
>>848-863
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/357/

⏰:08/06/18 18:21 📱:PC 🆔:1u1mw9wo


#865 [ザセツポンジュ]
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街灯の下で手を振る女の子。
街灯まで走る女の子。
二人は姉妹。

『おねーちゃん。。。』
『お誕生日おめでとう。はい、これプレゼント。私からがこっちで、この料理はバイト先の人から。』

二つのプレゼントを
妹に渡した姉は、
時計を見た。

『ありがとう。。。おねーちゃん。どこでバイトしてるの?』

『ん?料理のおいしいところでバイトしてるのよ。』

姉は、再び時計を見た。
予定は何もないのに。

⏰:08/06/30 01:11 📱:PC 🆔:3PmgDCPQ


#866 [ザセツポンジュ]
『おねーちゃん、おうち入らないの?』

すぐさま帰ろうとしている姉の様子に気付き、
なんとか引きとめようとしている妹。

『今日はもう帰るよ。おめでとうって、言いに来ただけだったから。』

『一緒にケーキ食べようよ。。。帰って来てよおねーちゃん。』

姉は、困ったように笑い、首を横に振る。

ガチャ。

『遅いわねぇあの子。誕生日だって言うのに。』

エプロン姿のまんま、薄着で外に出て来た母親。
隣の家の犬が吠え出した。

『お母さん!おねーちゃん、おねーちゃんとケーキ食べたいんだけど!』

⏰:08/06/30 01:11 📱:PC 🆔:3PmgDCPQ


#867 [ザセツポンジュ]
姉は、母親の姿を見た途端、
背を向けて口を閉ざした。

『あれ?お前いたのか。』

続いて玄関先まで出て来た父親は、
様子に気づき、妻の方へ近づいて行った。

そうして、もう一人の我が娘が
自分達に背を向けている事が分かったのだった。

家族は4人。
食卓を4人で囲むのが当たり前で、
普通の家庭だと、誰もが思っていた。

両親は、7つ、年の離れた妹を
とても可愛がっていた。
天真爛漫で、容姿も端麗だった妹を。

⏰:08/06/30 01:12 📱:PC 🆔:3PmgDCPQ


#868 [ザセツポンジュ]
姉は次第に嫉妬して行った。
クリスマスに生まれた妹を
妬んでもいた。

置いてきぼをくらっているような生活が
何年も続いたが、
姉は、疑問をどこに、誰に、
ぶつけたらいいのかさえも分からなかった。

普通の家庭だと誰もが思っていた家庭に
口を閉ざした姉だけが、ポツリと食卓を囲む。

物静かな性格だったためか、
ちょっとした姉の変化に気づく者は、
いなかった。

⏰:08/06/30 01:12 📱:PC 🆔:3PmgDCPQ


#869 [ザセツポンジュ]
お姉ちゃんはしっかりしてるから。
お姉ちゃんは心配いらないから。

妹は甘えん坊で可愛いから。
妹は手のかかる子だから。

(私はおねえちゃんだから。私はおねえちゃんだけど。だから何だって言うのよ。。。)


『お姉ちゃん。お母さんね、みんなの好きなケーキ買ってきてるの。』

『おねーちゃん。おうち、入ろうよ。。。』

母の言葉も、妹の言葉も
背中では受け止めているが、
まだ振り返る気には、なれないでいる姉。

何も語らないでいる姿を見かねて、
父親は、ゆっくり姉に近づいて行った。

そして、姉の肩に、手を
置いた。

⏰:08/06/30 01:12 📱:PC 🆔:3PmgDCPQ


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