クソガキジジイと少年」
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#887 [ザセツポンジュ]
<何も言わずに置いて行くなんて卑怯だ。
うそつき。
女なんてクズだ。
弱虫。
俺はへこたれない。
お前みたいに
無責任な事はしない人になる。
最低女。
どこかで
そう思って過ごしていなければ
寂しさで埋もれてしまうような
気がしてたまらなかった。
:08/07/03 15:36 :PC :l1y/MU3Q
#888 [ザセツポンジュ]
ママが急にいなくなった。
じーちゃんは変な嘘をついて
ごまかしていた。
寝て起きて、寝て起きて
待っても待っても
ママがいない。
でもね、練習したんだ。
キレイに字をかけるように
目玉焼きも焼けるように
服もキチンとたためるように、、、。
じーちゃんと一緒に
練習したんだ。
ママが、帰って来たら
いや、帰って来るから
その時、書いた字を見せるんだ。
ママに褒めてもらうんだ。
ママがおなか減ったら
俺が目玉焼きを焼いてあげる。
ママの代わりに
俺が洗濯物もやってやるから
何にも心配しなくていいよ、ママ。
いつでも帰って来て大丈夫だよ
ママ、、、。>
:08/07/03 15:37 :PC :l1y/MU3Q
#889 [ザセツポンジュ]
トミーは
頬にあてていた手で
顔を覆った。
『、、、。、、、うぅ。。。』
恨んでいた気持ちは
負けた。
14歳にもなって
涙でノックアウトだなんて
恥ずかしくてたまらない。
学校にも行けない。
誰かに見られたら困るし、、、。
それでもトミーは
ずっとためていた想いを
止める事ができなかったのだった。
:08/07/03 15:38 :PC :l1y/MU3Q
#890 [ザセツポンジュ]
そして
きーさんが今も
きっと大事に持っているであろう
よい子ちゃんシールの事を
トミーは思い出しながら
こらえてもこらえきれない
涙を流し、声を押し殺した。
ママがいなくて淋しい時の、我慢した涙の分。
冷凍食品が多くて、ママの作ったご飯が食べたいなーと、泣きたくなった時の分。
みんながママとの出来事を楽しそうに話している時の、悲しい気持ちの分。
その分をひとつずつ
シールに代えていた
小学生の頃の自分。
:08/07/03 15:38 :PC :l1y/MU3Q
#891 [ザセツポンジュ]
“男の子は泣かないのよ。”
と言っていたママの声が
頭を駆け巡った。
ママは、いい匂いのする手で
トミーの頭を撫でた。
自分の息子が
この年にして
いかに純粋かを目の当たりにし、
心を締め付けられると同時に
ホっとしていた。
トミーはいろんな想いを
外に出して、涙をふいた。
“むかつくけど、会いたかったんだ
ママに。”
『。。。ケーキ。。。食べるよ。』
『うん。。。。!』
ママはにっこり笑った。
トミーは鼻水をすすりながら、照れて
まだママの顔を見れないでいた。
:08/07/03 15:39 :PC :l1y/MU3Q
#892 [ザセツポンジュ]
大好きな人に
裏切られたんじゃないかと
疑うこと。
それを受け入れなければ
いけないのかと
疑問を持つこと。
何かを信じて
“待つ”と言うこと。
クリスマスの夜に。
:08/07/03 15:39 :PC :l1y/MU3Q
#893 [ザセツポンジュ]
:08/07/03 15:40 :PC :l1y/MU3Q
#894 [我輩は匿名である]
あげ。
:08/07/05 19:23 :F906i :r0G5r4Ls
#895 [ザセツポンジュ]
きーさんとすーさんは
鈴木家の床暖房にこたつに
日本酒くらって
いい気分。
『おい、きーさん。トミオちゃんは大丈夫かね。』
『大丈夫じゃ。ワシには分かる。シンイチロっちゃんこそ大丈夫かね。』
『ワシは関わっておらん。今日まで知らんかったんじゃ。おそらく六さんとこで飯でも食ったんじゃろ。あいつが自分で決めた事。大丈夫に決まっておる。』
:08/07/06 01:39 :PC :JyF5mtcA
#896 [ザセツポンジュ]
きーさんはついにうとうとしだして
こう言った。
『ありがとうと、、、ごめんなさい。』
すーさんはきーさんを2度見、3度見した。
『いえいえ、どういたしまして。』
目をパチっと開けた
木田家の老人。62歳。
『お前な、ありがとうと言われるような事もしてなけりゃあ、謝られるような事態にも巻き込まれてないだろ、バカか。何がいえいえどういたしましてじゃ、全く。』
:08/07/06 01:39 :PC :JyF5mtcA
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