クソガキジジイと少年」
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#757 [ザセツポンジュ]
『大人の意見も突撃で聞いてみましょう。鈴木くん適当に2階にいるお父様お母様を選んでください。』
ジョウは、まず適当に少し小太りなお母様を選んだ。
『お名前をお願いします。』
マイクを向けられた小太りのお母様は
戸惑ってマイクに口を近づけた。
『小橋です。』
2年3組の方でのザワつきが目立つ。
そしてその中の少し小太りな女子生徒を見て
完全なる親子だなと言う事を、みな把握した。
:08/05/28 13:22 :PC :R.qPL9/.
#758 [ザセツポンジュ]
『それでは質問します。小橋さんが学生の頃に、いじめはあったのでしょうか?』
小太り小橋さんは、
右上を眺め学生時代を思い出していた。
学生時代はもう少しスマートだったのだろうか。
、、、娘を見れば分かることだが。
『はい、私自身フフフこの通り見事な体型は昔から変っていませんので、からかわれたりは、まあ、ありましたね。でもみんな意気揚々としたクラスメイトだったので、陰湿ないじめと言った点での経験はありません。』
2年3組の小橋さんは下を向いてしまった。
:08/05/28 13:40 :PC :R.qPL9/.
#759 [ザセツポンジュ]
トミーは質問を続ける。
『陰湿ないじめが同じクラス内で起こっていたら、小橋さんが今、学生だと想定して、どういう対応をされると思いますか?』
『、、、私事態もう大人ですので、無責任なことはできないと言う意識が当然ながらあります。なので、いじめがあったら全力で止めたいと思うのですが、キレイ事に聞こえるのかもしれませんね。だけど、今日のこの集会で、改めてそうしなければいけないと子供にも教えないと、と考えさせられました。』
小太り小橋さんの発言に2階からステージに向けて拍手が送られた。
2年3組の小橋さんも顔を上げてくれた。
:08/05/28 13:42 :PC :R.qPL9/.
#760 [ザセツポンジュ]
『ありがとうございました。座ってください。ラテンダンスのDVDでもプレゼントしようかと思いましたが、その必要は無いようですね。』
トミーが冗談を言う間、ジョウはキョロキョロと次の相手を探していた。適当が一番困る。
『ジョウジロウ、ワシのところへはくるなよ!行くならきーさんとこにな!』
すーさんは照れたような気持ち悪い顔でジョウをうながした。
『、、、、。』
言われなくともそうするよ。と言う冷めた目つきで
我が祖父を睨んだあと、ターゲットを決めた。
『木田くん、次の質問いいですか?こちらのお父様です。お名前をどうぞ。』
人前では自分の主張を控えてきたと思われる
気の弱そうな風貌のお父様。
:08/05/28 14:16 :PC :R.qPL9/.
#761 [ザセツポンジュ]
『田中です。よろしくお願いします。』
案の定、声の小さい男だった。
田中と言う名字はどの学年、どのクラスにも
だいたい存在するためか、ざわつきは見られない。
それよりも、必死に声を聞き取ろうと
体育館中のみんなが口を閉じ、耳を済ませた。
『田中さんに質問です。もしも自分のお子さんが、いじめられる立場にいて、相談を受けたとします。どんな事を言ってあげますか?』
体育館はシンとして空気の音が聞こえるほどだ。
:08/05/28 14:23 :PC :R.qPL9/.
#762 [さちこ]
:08/05/28 14:23 :D705i :UtbZ04VI
#763 [ザセツポンジュ]
『、、、。内容によりけりえすけど、、、。理不尽な理由でいじめられているんだったら学校に行かなくてもいいと提案してしまうかもしれません。父親が、こんだけ気弱ですから、打ち明けて来た時は精一杯我慢した後のことだと思うんです。ウチの子の場合は。やめてともやめようよとも言えない人間もいると思います。それじゃあダメなんですけどね、、、。そりゃ、、、。活発で、意見もハキハキ言える子に育てたいですけどね。』
内気な生徒達はツバを飲み込んだだろう。
それくらい正直な意見を田中さんは述べた。
:08/05/28 14:29 :PC :R.qPL9/.
#764 [ザセツポンジュ]
ステージにいる
トミーは少し間を置いてから
話始めた。
『俺は、自分でも、内気でも気弱でもないタイプの人間だと思っています。なので、俺みたいな性格側が、気弱な人の気持ちまで察せれるようになれば、いい方向に持っていけるのかなと。田中さん貴重なご意見ありがとうございました。今後考えたいと思います。座ってください。』
:08/05/28 14:33 :PC :R.qPL9/.
#765 [ザセツポンジュ]
トミーはいろんな事を考えながら
大人たちに次々と質問をぶつけていった。
そしてトミーはジョウに事前に決めていた手のサインで合図を送った。
ジョウはまず
顔は美人だけど、
とても悲しそうな顔をしているお母様の元へ向かった。
『よろしくお願いします。お名前をどうぞ。』
ついに来たかと言う
ため息まじりの笑みで席を立った。
『どうも、恐縮です、石崎と申します。』
トミーは石崎さんの母を
ステージからしっかりと見つめていた。
:08/05/28 14:42 :PC :R.qPL9/.
#766 [ザセツポンジュ]
『はい、質問します。石崎さんはいじめを受けている生徒の事をどう思われますか?』
石崎さんは顔を下に向けて息を吸った。
『いじめられる側にも問題があるという意見もあると思いますが、そのいじめられる理由がくだらないことであれば、いじめられる子達って言うのは悪くないんだと思います。ただ運が悪かったんだと。』
『では、いじめをしている側についてはどうお考えですか?』
石崎さんは、前を向いた。
『最低ですね。、、、。人をいじめてまでも優位に立ちたいというまでの気持ちを止められなくした親の教育にも問題があります。、、、。子育ては難しいものです。私にも原因があり、そうすることによって、外で誰かが傷ついているんだと思うととても責任を感じます。』
自分の娘の変化、親なら気づく事だろう。
石崎さんは娘を思い、自分を責めた。
そしてとても悲しい表情で立っていた。
:08/05/28 14:54 :PC :R.qPL9/.
#767 [ザセツポンジュ]
トミーは
何も、あなたの娘さんが
人をいじめているんですよ、とは
言っていないのに、
苦しそうに意見を述べる石崎さんの悲しい顔を見て
心が痛んだ。
そして、かける言葉がなかった。
『、、、ありがとうございました。』
『はい、どうもありがとうございました。』
石崎さんからのありがとうと言う言葉が
なぜかトミーの頭の中をぐるぐると回る。
一方ジョウも
自分の好きな子をいじめている
リーダー格の母親の
困り果てて弱り果てている姿を隣で見て
胸が締め付けられるのだった。
3年3組の石崎さんはこみ上げる涙をぬぐうこともなく
自分の母親を直視することもなく
表情変えず、ただただ、どこかを見つめていた。
:08/05/28 15:05 :PC :R.qPL9/.
#768 [ザセツポンジュ]
トミーは気を取り直し、
ジョウのいる場所を目で追った。
『では最後の質問です。鈴木くん、いいですか?』
『はい、最後はご夫婦二人共の意見を伺いたいと思います。お名前よろしいですか?』
先ほど目をつけておいた夫婦のそばへ行き
お母様のほうにマイクをかたむけた。
夫婦は二人でゆっくり席を立ち
生徒会役員のマイク係が
気をきかせて飛んで来た。
そして夫婦のお父様側に立ってマイクを近づけた。
『あ、山、、、』
「山田で、、」
『山田です。』
「す、、、。」
両側からマイクを向けたのも悪いが
この夫婦、確実に緊張していて、息も合っていない。
お見合いだったのだろうか。
:08/05/28 15:17 :PC :R.qPL9/.
#769 [ザセツポンジュ]
『とても仲良し夫婦のようですね。声もそろって素敵です。それでは最後の質問をします。』
さっきの重い空気を振り払うかのように
生徒達は無理に小さく笑った。
『家で、いじめをテーマにしたような話を子供達とされていますか?』
ジョウはお母様にマイクを。
『そうですね、どことなくはしていますね、フフフ。』
お父様はマイクを向けられるも
苦笑いの奥様が心配の様子。
「いや、普段、勉強の事ばかりを言いすぎていたかと、、、。」
お母様はジョウからマイクを奪い取った。
『いいえ、勉強もそこそこに家族の団欒も欠かしてはおりません。』
「でも塾に通っていて、夜が結構遅いし、、」
『朝ご飯も一緒に食べて話したりしています。』
「朝は僕の方が早く家を出てるから、、、」
『わ、わたくしは。学校の事など、いつも話していますよ、お勉強のことももちろん言いますけどね。』
ありきたりだが、奥様は隣のご主人のおしりをつねって
余計な事言わなくていいから!と小さい声で忠告している。
夫婦での会話が始まり
ご主人のほうにも直接マイクを渡した。
:08/05/28 15:29 :PC :R.qPL9/.
#770 [ザセツポンジュ]
『ちょっと、ちょっといいですか〜。質問します。それではお父様の方に質問します。』
トミーは奥様にさまたげられてしまうお父様の意見に重点を置いた。
『家族のだんらんは、やはり夕ご飯の時間なんですか?』
「いや、それが塾でいないんですよね。勉強ばっかりしていて最近は正直話してませんね、イテテ。」
またおしりをつねられた様子。
『お父様は本当はどうすれば一番いいとお考えですか?』
「時期も時期ですし、年頃なので、あんまり僕の方が近づくと嫌がっちゃって、、、。でも時期を越えれば、また仲良く食卓を囲みたいです。」
お母様は、つねろうとした手をゆっくりおろした。
「いろんな話もしたいけど、時間が合わない日が続くと、話しかけるタイミングまで分からなくなる。同じ家なのに、遠い島で離れて暮らしているみたいな。落ち着けば、また話したりできればなと。黙っていた僕も悪いですね、今回のことは。」
お父様はお母様の顔を見て
申し訳なさそうに笑った。
:08/05/28 15:40 :PC :R.qPL9/.
#771 [ザセツポンジュ]
トミーはステージから拍手を送った。
トミーにつれて今度は1階の生徒達が
2階に向けて拍手を送った。
その時校長はおもしろくない表情で
手をたたいていた。
『次は、ハゲ散らかしたお前の番だ。』
トミーはマイクを一瞬オフにして
拍手の音の中
校長にメッセージを送った。
そしてスイッチをオンにする。
『素敵な家族。みんなの前でこれだけ言えるなら安心できますね、多分。多分ですけど。はい、それではこのコーナーは終わりです。今一度拍手を。』
嫌味を言いつつも
フィナーレの準備を始めた。
ジョウはステージに戻り
トミーに近寄った。
:08/05/28 15:47 :PC :R.qPL9/.
#772 [ザセツポンジュ]
『ジョウジロウちゃん、俺オシッコ行きたいんだけど。』
『行ってきなよ。・・・まさか緊張してるのトミー。』
『バカかお前。お前んちのじーさんから梅昆布茶を2リットルもらったんだよ。昨日な。』
『全部飲んだの?』
『バカか、お前。朝一で全部飲んだよ。』
『飲んだんだ。。。軽蔑するよ。』
『名誉なことだな。頼んだよ。』
トミーはジョウと交代した。
そして、堂々と真ん中を歩き
人々の期待を裏切り
トイレに入り用を足した。
そして何食わぬ顔で同じルートを歩き
ステージのすぐしたで待機した。
フィナーレはラスボスの出番だ。
気合を入れろよ、木田、鈴木。
:08/05/28 15:56 :PC :R.qPL9/.
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