ダイスキ。
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#701 [乱]
高梨さんと一緒の当番の日は数少ないのに

結局..この一年間も、一度も喋ることはなかった。


―‥別に付き合いたいだなんて思わない

‥一途な君が好きだから。

でも..俺の存在に気付いて..友達でも、何でも。―‥

⏰:08/02/13 17:44 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#702 [乱]
訂正です
×この一年間も
〇この一年間

本当間違い多くて申し訳ないです

⏰:08/02/13 17:46 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#703 [乱]
-高二の初め-

俺は“一之瀬和紀”に出会った。

それはの二組と三組が合同で体育をしたときの事。

種目は、サッカー。


「...はいじゃあ今言った通り別れろ〜」

(めんどくせー...二組対三組で良いじゃん..)

俺らは三組の奴らとチームを組まされた。

⏰:08/02/13 17:57 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#704 [乱]
「拓海〜よろしくな♪」


「トシ一緒!?うわめっちゃ良いチームじゃん!!」

同じチームになるらしい三組の奴らの中には、ダチのトシがいた。

トシはサッカー部に入ってるからかなり上手い。

(しかも俺もサッカー得意だし!!‥これ、全勝出来るんじゃね??)

⏰:08/02/13 18:39 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#705 [乱]
―‥俺はこの後

俺がいかに“井の中の蛙”状態だったか

知ることになった―‥


「誰がキーパーやる??」

「体育だし誰でもいいべ!!」

「じゃ中島な!!」

⏰:08/02/13 18:43 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#706 [我輩は匿名である]
>>1-200
>>200-400
>>400-600
>>600-800
>>800-1000

⏰:08/02/13 20:06 📱:SH902iS 🆔:☆☆☆


#707 [乱]
我輩は匿名であるさん
アンカー有難うございます

⏰:08/02/14 05:51 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#708 [乱]
「はぁーっ!?何でだし!!



‥っつか試合目和紀のとことかよ‥‥」

中島はピッチに入ってくる対戦チームを見て、がっかりしたように言った。

俺は中島の視線を追ったが、誰が“カズキ”か分からない。

⏰:08/02/15 20:32 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#709 [乱]
中島にどいつが“カズキ”か聞こうと思って近付いたのに‥ 、、

中島は意気揚々と
「‥俺キーパーでいいから、とりあえず試合始めるベ!!」

と言って先にピッチに入ってしまった。

(‥‥ま、良いか。)

俺は特に何も思わずに中島の後に続いた。

⏰:08/02/15 20:42 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#710 [乱]
全員揃うと軽く作戦会議をした。

「とにかく和紀マークな!!」

トシがこそっと俺に言う。
「あのさ‥カズキってだ」

俺が今度こそ聞こうと思い言いかけた瞬間..

―ピィー‥!!―

試合開始の笛が鳴ってしまった。

(誰だよ本当に;)

⏰:08/02/16 19:39 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#711 [乱]
俺はとりあえずカズキとやらが分からなくて、ちょろっと走りながら様子を見る。


トシが今ドリブルをしながら敵チームの二人を抜かし‥ノールックパスを鮮やかにする。


(トシ‥やっぱうま!!)

さすが経験者といわんばかりのプレーに、体育レベルで大人げないと思いつつも感動してしまった。

⏰:08/02/16 19:45 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#712 [乱]
負けじと俺も走り出す。

トシがパスをして味方がトシにまた集める。


あっという間に敵ゴール前まで攻め切るたのもしい味方。

次々と切り抜け‥
そしてとうとうトシが弾丸のようなシュートを放った。

⏰:08/02/16 19:49 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#713 [乱]
「おー!!入っ‥‥




え!!??」

ゴール右下に突き刺さるように見えたボールが何かによって阻まれた。

味方も敵もびっくりとして口を開ける。

‥ポールじゃなくて‥足!?

⏰:08/02/16 19:52 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#714 [乱]
あまりにその飛び出した足が唐突過ぎて、何が何だか分からなかった。

(あそこ誰もいなかったのに‥!!)

驚きながら飛び出した足の持ち主を見る。

そいつはついさっき飛び込んだはずなのに、平気でひょこっと立ち上がり‥

零れてころころと転がるボールへ駆け出した。

味方も慌てて駆け出す。

⏰:08/02/16 19:58 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#715 [乱]
そいつが先にボールへたどり着き―‥


まずスライディングしようとする俺のチームの奴らをひょいっとジャンプでかわす。


そして着地した瞬間、そいつは‥風のように駆け出した。


“こいつがカズキか”
一瞬でわかった。

あまりにも速く、上手く、強くドリブルを始めたから。

⏰:08/02/16 20:03 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#716 [乱]
そいつは次々と猛スピードで走り寄ってくる。

上がっていた奴らは皆、トシも含めて抜かされ、残る砦は‥自陣にいた俺とキーパーの前島のみ。

(うわっきたっー!!)

焦る俺。

―‥しかし、信じられないほどに速くて、上手いドリブルをするそいつに

気付いたらあっさりと抜かれていた―‥

⏰:08/02/16 20:09 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#717 [乱]
‥そして前島も。


抜かれた後慌てて振り向くと
回転がかったボールがシューシューと音をたて、ゴールネットに突き刺さっていた。


立ち尽くす前島と俺。


サッカーが上手いなんてもんじゃない‥天才だよ‥


ゴールを決め、早くもガッツポーズをするそいつを見て震えずにはいられなかった。

⏰:08/02/16 20:14 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#718 [乱]
皆同じ事を思っていたに違いない。


呆然としていたから。


(プロ並みじゃん‥)

素人目に見ても明らかに違うオーラがそいつには漂っている。

敵チームは歓声をあげながらそいつの元へかけよった。

⏰:08/02/16 20:18 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#719 [乱]
トシまでも。

トシはそいつの元に駆け寄ると笑いながら何かを言った。


味方チームの皆もその塊へじりじりと近づく。


俺らは華麗過ぎるプレーに魅せられたファンのように‥顔を綻ばせながらそいつを囲んだ。

⏰:08/02/16 20:22 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#720 [乱]
「カズッこれ体育なのに本気出し過ぎ〜!!」

「トシが先に本気だしたからだろ!!それにッいくら体育でも‥サッカーなら全力出す!!」

“カズキ”は笑いながら言った。

体育なのに‥ってさっきまでは思ってたけど、、

この発言が凄く格好良く聞こえた。

⏰:08/02/16 20:28 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#721 [乱]
「‥うますぎ‥」

つい声に出てしまう。

「あぁやべーね」

この時は―‥味方も敵も関係無く‥ただ皆“凄い”を連発した。


「そーでもないけど‥笑てかもっとやんね??」

大絶賛の嵐の中カズキは照れた笑顔で言った。

⏰:08/02/16 20:34 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#722 [乱]
(こいつ‥本当にサッカー好きなんだなぁ―‥)

その後また試合を再開して

何度も思った。

楽しそうにパスを出し、笑い、走り‥‥。

一種の“憧れ”のような感情を始めて同学年に感じた気がした。

⏰:08/02/16 20:39 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#723 [乱]
でも

下校放送中‥高梨さんがいつも見つめていた男子は

“カズキ”だった

と、しばらくしてから‥ふと気付いた。



放送室から見えた背中は今日嫌と言うほど見た背中だったから―‥

⏰:08/02/16 20:51 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#724 [乱]
それはまだ確信ではなかったけれど‥


朝会などで高梨さんの方を見ていたら
完璧な確信へと変わっていった。

何で今まで気付かなかったんだろうか‥

自分の鈍感さに呆れるほど彼女は‥‥彼女は‥‥

⏰:08/02/16 21:00 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#725 [乱]
和紀を見付けては嬉しそうに頬を赤らめ

和紀が女に囲まれると悲しそうに俯き




どこまでも一途に、純粋に和紀を見つめていた。

そんな彼女を見る度に身体のどこかがちくりと傷んだ。

⏰:08/02/16 21:03 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#726 [乱]
‥この瞳が少しでも俺を見てくれたら―‥



************
和紀とまぁまぁ喋るようになった俺は

ある日、覚悟を決めて‥質問をぶつけた。

それは夏の暑い日。

廊下にいる俺達には蝉の鳴く音が聞こえていた。

⏰:08/02/16 21:08 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#727 [乱]
「何??どーしたん??」

和紀は廊下の窓を開けながら言った。

「んー‥あっ!!!何話すか忘れた‥笑」

見え透いた嘘かもしれないと少し後悔した。

それでも和紀は
「は??桐生頭は良いのに変なとこばかだなー笑」

と笑った。

⏰:08/02/16 21:15 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#728 [乱]
「てかさッ高梨さんと和紀って仲良いよね〜」

ちょっと強引すぎたかもしれない。

「何!?そこで茜!?」

「やっ和紀が仲良い女子って珍しいなーって笑」

俺ごまかしながらも

(茜って呼んでんだ...)

なんてちょっとしたことに傷付いている自分がいた。

⏰:08/02/16 21:21 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#729 [乱]
「‥‥あいつとは幼なじみなだけ‥」

少し黙った後和紀は寂しそうに言った。

顔は少し赤くなりながら。
ジー‥ジー‥

蝉の声が、聞こえる

意味不明な冷や汗を流して俺はわざと明るく振る舞って言った。
「幼なじみとかいーなー♪」

⏰:08/02/16 21:25 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#730 [乱]
すると和紀は

「‥そうでもないよ」

って苦笑いをして

「あー‥てかもう部活だわ!!!ごめん、桐生;話したい事思い出したら言えよ!!」

いきなりそう言うと、廊下を走っていってしまった。

一人廊下に残った俺は夏の空を見ていた。

⏰:08/02/16 21:30 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#731 [乱]
幼なじみ‥‥か。


幼なじみって本当にくっつく運命にあるんだなー





俺は自分でも驚くほど客観的に、なんとなく、思った。

暑いはずなのに何故かさっきかいた冷や汗で身体が冷えている気がした―‥。

⏰:08/02/16 21:35 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#732 [乱]
************
高二・冬


文化祭で高梨さんと合同クラスになれた。


しかもまた同じ委員で。



嬉しくて‥嬉しくて‥

今度は話しかけようって決心してた。

⏰:08/02/16 21:41 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#733 [乱]
和紀とはまだ付き合っていないみたいだし‥まだチャンスはあるかも

そんな風に思える程
この時の俺はただ浮かれててた。


そして和紀に負けたくなくて‥“茜”って呼ぶようにした。

でも茜って言う度に、どうしようもなくドキドキして‥なかなか慣れなかった;

⏰:08/02/16 21:46 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#734 [乱]
茜が俺の近くにいて

俺の名前を呼び

笑いかけてくれる


―‥好きで好きで‥頭が壊れそうなんだ


茜の事抱きしめたいんだ―‥

言う事のできない欲求は高まり‥

ある日爆発してしまう。

―俺は茜を傷付けた―

⏰:08/02/16 21:50 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#735 [乱]
その日茜が倒れたので保健室へ連れていった。

茜が腕の中でぐったりと目をつむり

さらさらの髪が腕にかかる。

俺は茜を寝かしてさっさと戻ろうとした‥つもりだった。

⏰:08/02/16 21:55 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#736 [乱]
―俺は今何している??



何も‥分からない―


「んっ‥!!」
そんな茜の声も聞こえない。



俺はその日寝ていた茜にキスをしてしまい

大好きな茜を傷付けた。

⏰:08/02/16 21:59 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#737 [乱]
ごめん‥本当にごめん



拭う事のできない後悔ばかりその日は襲った。




でも‥それがきっかけで次の日

俺は茜にやっと気持ちを伝えることが出来たんだ。

⏰:08/02/16 22:02 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#738 [乱]
前にいる茜を見るだけで


好きの気持ちが溢れ出す。



付き合わなくても良いから‥お願いだから俺も見て。

精一杯の告白だった。

そして何日も絶たないうちに
和紀と茜が付き合い出した。

⏰:08/02/16 22:06 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#739 [乱]
茜も和紀もとても幸せそうだった。



‥良かった‥

心の底からは祝えないけれど‥一種の嬉しさは‥込み上げた。

⏰:08/02/16 22:08 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#740 [乱]
―‥だって俺は

一途に和紀の背中を見る君に惚れたから。


少しも振り向いてはくれない君も好きだったから―‥

文化祭が終わって次の日、勝手に入った放送室で俺は泣いた。

⏰:08/02/16 22:12 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#741 [乱]
茜の好きな和紀は

俺にとっても尊敬できるやつで


悔しいけれど‥‥唯一、こいつにならっ‥‥て思えたんだ。


なのに‥なのに‥。

⏰:08/02/16 22:15 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#742 [乱]
和紀は






茜を置いて‥逝ってしまった。

⏰:08/02/16 22:16 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#743 [乱]
その報せを聞いて


とてつもない絶望と、悲しみと、、そして怒りが込み上げた。

⏰:08/02/16 22:18 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#744 [乱]
「カズキッ‥!!

なにっ‥‥なに死んでんだよッ‥!!

茜‥茜はどーすんだよ‥

茜守るんじゃなかったのかよ!!!!!!

っざけんなよ‥‥

カズキぃ‥‥!!」


俺は‥くやしくて‥泣き叫んだ。

⏰:08/02/16 22:23 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#745 [乱]
和紀‥


茜を笑わすのも


茜を元気付けるのも


茜を生きさせるのも


全てお前しかいないんだ。

‥‥

⏰:08/02/16 22:26 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#746 [乱]
‥そして




茜は‥


学校にもこずに、


見ているのも辛い程に弱っていった。

⏰:08/02/16 22:27 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#747 [乱]
‥えと‥どなたか読んでくださってますか

⏰:08/02/16 22:30 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#748 [みらい]
読んでます〜


いつも読ませてもらってます
頑張って下さい(∀`)))+゜

⏰:08/02/16 22:31 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#749 [乱]
みらいさん
わわ!ありがとうございますいつもだなんてめちゃくちゃ嬉しいですっ

⏰:08/02/16 22:50 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#750 [乱]
返信のこないを毎日茜に送る。



茜‥今どんな様子??



心配で心配で苦しい日々。
でも茜は、俺とは比べものにならないくらい辛いんだね‥。

⏰:08/02/16 22:53 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#751 [乱]
今日も来ないのか‥



もう学校止めちゃうんじゃないかって思った。




でも二週間後―‥

泣き腫らした顔で痩せた茜は必死な様子で登校した。

⏰:08/02/16 22:55 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#752 [乱]
―茜


―茜


―茜‥。


いつも―‥どんな時も君は和紀の背中を見て歩いている

⏰:08/02/16 22:57 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#753 [乱]
こんな俺じゃ支えにならないかもしれないけれど


必死に支えになろう



そして―‥好きの気持ちを封印することにした。

この気持ちは茜を傷つけるものでしかないのだから。

⏰:08/02/16 22:59 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#754 [乱]
‥茜‥必死で笑おうとしてる


俺にははっきりと見て取れた。

なのに‥どうして、なんでこいつらは茜を傷つけようとしかしないんだろう‥

茜は今日も告白で呼び出されていた。

⏰:08/02/16 23:02 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#755 [乱]
必死に立ち上が‥り告白されに、傷つけられに屋上へ行く茜をみて

苦しくて‥ただ苦しくて。


「あかね‥だいじょぶか」
「うん‥」

茜は悲しそうに微笑んだ。

茜を屋上へ送り出し、椅子に座ってぼーっとしていた。

⏰:08/02/16 23:06 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#756 [乱]
「桐生君‥ちょっときて。」


「‥えーと??」

「美佳。いいからきて。」

いつも茜と一緒にいる子が横に立っていた。

しかも怒ってる様子で。

⏰:08/02/16 23:09 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#757 [ちぃ]
>>0-200
>>201-400
>>401-600
>>601-800

⏰:08/02/17 00:11 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#758 [乱]
ちぃさんアンカーありがとです

⏰:08/02/17 09:43 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#759 [乱]
??

不思議に思いつつ前を歩く美佳、という子についていった。


着いたのは階段の踊り場で、そこには仲倉と前田もいた。


「‥‥何??」
三人に向かって恐る恐る尋ねる。

⏰:08/02/17 09:47 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#760 [乱]
「‥‥」

三人は揃って不機嫌な顔をして押し黙った。

この三人が俺に話があるということは
(茜のことか...??)

悩んでいると仲倉が重い口を開く。

「‥ぁのさぁ‥

半端な気持ちで茜に近付いてるなら...ゆるさねぇから。」

⏰:08/02/17 09:52 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#761 [乱]
「‥は??」


「‥桐生は他の奴らとは違うのはわかってる。

お前‥本気の目してるし」
仲倉の隣にいる前田も続けて言った。

「‥桐生クンは茜に告ったりしてないんだよね??

桐生クンが辛いのもわかるけど...茜を友達として支えてあげて??」

美佳が泣きそうな声で言った。

⏰:08/02/17 09:59 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#762 [さ−]

>>367-800

⏰:08/02/17 10:00 📱:F703i 🆔:☆☆☆


#763 [乱]
さーさん
アンカーありがとうございます

⏰:08/02/17 19:32 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#764 [乱]
「友達として‥??」


「‥うん。

茜には和紀だけなの‥

桐生クンが想いを伝えたら茜はまた悩んだりしちゃうと思うから‥」

「‥‥」

―そんな事分かってる‥

俺の想いは茜にとって悩みの種にしかならない。

でも人に改めて言われるとまた、苦しくなった。

⏰:08/02/17 19:36 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#765 [乱]
「‥ああ‥友達として支えるつもりだよ」

息をごくんと飲み込んで呟いた。


「‥俺らも茜支えていくつもりだから」

そういった仲倉の瞳は、どことなく悲しみに満ち溢れている。

本当はお前らも辛くてしかたないんだな‥

⏰:08/02/17 19:40 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#766 [乱]
「あぁ。」

俺はぽつりと言うと歩き出した。

その肩に手を置いた仲倉は頷いていて..

和紀という男がどれだけ周りに想われていたか‥


‥そんな高すぎる壁を越える日なんて来るのか、、


この時は前が見えない日々がしきりに続いた。

⏰:08/02/18 18:49 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#767 [乱]
「茜っ昨日のテレビ見た??」

『‥ううん、見てない』


「あーかーねっ今ぼーっとしてたでしょ笑」


『そぉ‥??‥そんなぼーっとしてたんだ‥あたし』


―‥毎日くだらないことばかり話しかけることしか出来ないなんて。

茜‥本当の笑顔で笑って??そんな..作り笑顔みせんなよ

⏰:08/02/18 18:57 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#768 [乱]
心ではそう思っているのに何も言えない。


そして茜は‥毎日、誰もいないサッカーグランドを見続ける


「あかねっ」

「拓海何ー??」

・・
今日もその笑顔..か。

⏰:08/02/18 19:03 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#769 [乱]
―‥茜気付いてる??


茜は笑ってるつもりかもしんないけど


全然笑えてないって事。


俺の後ろにいる“ダレカ”を見て‥俺の事を少しも見てないって事。

「ねぇどしたのーたーくみっ!!」

そんな目で..もう..見ないで。

⏰:08/02/18 19:07 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#770 [乱]
「‥‥。」

「‥たくみ‥??」

―駄目だ、苦しい―

ガラッ
「あかねー!!桐生ー!!」

俺が茜の机の隣で黙り込んでいると、教室のドアが開き、仲倉が入って来た。

「あっ刹!!なにー??」

茜が尋ねると仲倉が
「これ、お土産」

といって嬉しそうに手を出した。

⏰:08/02/18 19:13 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#771 [乱]
手の中では赤と青のひよこのストラップがキラキラと光っていた。

「‥わぁ‥かわいい‥」

茜は嬉しそうにストラップを受け取る。

仲倉はそんな茜を優しい目で見守っていた。

「‥はいっ桐生も」
そう言ってもう一つのストラップを差し出す。

「‥え??‥俺にも??」

「もち♪」

⏰:08/02/18 19:19 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#772 [乱]
「‥さ、さんきゅ。」

戸惑いながらも俺は受け取った。

まさか仲倉が俺にまでお土産をくれるとは思ってなかったから、正直驚いた。

そんな俺達を眺めていた茜は仲倉の腕を引っ張って

「‥ねね、お昼拓海も一緒に食べても良い??」

と言った。

⏰:08/02/18 19:22 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#773 [乱]
俺の意見も聞いて良くない??

そうつっこみたかったけど、最近一人で食べてたし..
ま、どっちでもいーや

と思いつつ仲倉を見た。

「いーね♪拓海‥昼は寒いけど屋上こいよー」

仲倉は笑って手を振りながら教室を出ていった。

⏰:08/02/18 19:27 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#774 [乱]
教室にいた女子達がぽーっと仲倉を見つめていた。

「‥ねぇ。勝手に「ッやだった??‥ごめん」

茜は申し訳なさそうに俺を見る。

「いや、やじゃない‥

つか仲倉良いやつだな♪」
「でしょ??刹お兄ちゃんみたいなの!!前ちゃんも美佳も超いい人だから♪」

茜は自慢げにいった。

⏰:08/02/18 19:33 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#775 [乱]
「知ってる♪」

「‥‥え??何か言った??」
茜は聞こえていない様子だった。

仲倉も前田も美佳って子も良い奴だなんてもちろん知ってる。

だってあいつら茜の事本気で大事にしてたから...。

そしてその日から俺は仲倉達と仲良くなった。

⏰:08/02/18 19:37 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#776 [乱]

こいつはとにかく男前で
クール‥なふりして本当にダチ思い。茜を陰でいつも守ってる。

前田
裏表がなくいつも空気を明るくしてくれる。
誰に対しても優しいムードメーカー。

美佳
茜の無類の親友で、茜の一番の支え。刹の事好きなのかなってよく思う。

⏰:08/02/18 19:42 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#777 [乱]
皆本当に良い奴ばっかで‥
ダチになれた事を誇りに思う。


一緒に飯を食い、遊びに行き、勉強し

あいつらと、茜を支える日々が続いた。


でも、カズキという名前は一切出てこなくて

―‥傷の深さを思い知る。
************

⏰:08/02/18 19:46 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#778 [乱]
-数ヶ月後-

「たーくみーっ合格おめでとぉ」

「おー茜ー久しぶり♪」

俺は受験に合格したので久しぶりに学校に行った。

茜は

何日も‥何日もたって

やっと普通の感情を取り戻してきた所で、笑って祝ってくれた。

‥まだ本当の笑顔ではないけれど。

⏰:08/02/18 20:37 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#779 [乱]
この日も刹達と一緒に飯を食った。

馬鹿みたいに笑って、祝ってくれて、からかい合って‥


「拓海本当おめでとなー」
そういって前田が俺の頭をくしゃっとし

「今日遊びに行くかッ」

笑いながら刹が言う。

⏰:08/02/18 20:43 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#780 [乱]
俺は微笑みながらちらっと茜をみた。



そしたら



茜と‥目が合った。

―ドクン‥ドクン‥―

⏰:08/02/18 20:46 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#781 [乱]
「どした??」

ドキドキしながら尋ねると
予想意外な事に


茜は真っ赤になって俯いた。


―‥あか‥ね??‥―

俺はわけがわからずにしばらくポカンと口を開けていた。

‥でもこんな可愛い茜を見てしまったら‥封印仕切れない程の気持ちが溢れ出してしまうんだ‥

⏰:08/02/18 20:50 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#782 [乱]
好きだ、なんて―‥言えない

そんなやり場のない気持ち。


いつか俺自身を見てくれたら伝えられるだろうか‥

また
胸が締め付けられる思いがした。

俺は、茜のトモダチ。

言い聞かせるように頭の中で繰り返した。

⏰:08/02/18 20:55 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#783 [乱]
茜はきっとまだあいつの事が好きで。



もし俺が今好きだなんていったら

―‥俺を嫌う??拒絶する??

なぁ茜


俺はどうすれば良いの??

出口のない迷宮の中で、ひたすら悩んでいた。

⏰:08/02/18 20:59 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#784 [乱]
************-数日後-
家で、刹と電話をしていた。


「茜‥最近笑うようになったなー」

「なー‥

ってか拓海、お前なんでコクんねぇの??」

「‥は!!??ってか刹最初に俺になんて言ったか覚えてる??」

「全然♪」

⏰:08/02/18 21:05 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#785 [乱]
「‥あのねぇ;

っつか茜俺の事別に好きでもなんでもねーし‥

困らせるだけだろ‥」


「‥お前さぁ‥本気でいってんの??

茜は和紀の事しか本当に見えてなかったんだ。

それを変えたのは、、お前。

好きなら‥茜を動き出させろよ‥」

最後は涙声だった。

⏰:08/02/18 21:10 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#786 [乱]
刹がそんな風に言ってくれて正直嬉しかった。


―‥こんな俺でも好きでいて良いのかな
って思えたから。

留まることの知らないこの気持ちは、日ごと大きくなり‥

もう抑えられる自信もねぇよ‥

⏰:08/02/18 21:14 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#787 [乱]
茜は俺を必要としてくれてる

それだけが確かで


それだけで涙が出るほど嬉しいんだ。


「‥俺告っても良いのかな‥」

「‥‥当たり前だろ」
電話口から優しい声が聞こえた。

⏰:08/02/18 21:17 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#788 [乱]
―その時

一本のキャッチが入った―

「あっ刹‥キャッチ入ったからかけなおすわ」

「‥了解っ‥とにかく‥頑張れよ

ガチャッ ツーツー」
刹は電話をきった。
(刹ありがとな‥)

俺はそう思いつつキャッチに出る。
ピッ
「もしもし??」

⏰:08/02/18 21:22 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#789 [乱]
「もしもし‥ズキ??」

最後の方は聞き取れなかったけど‥

電話口からは予想もしない
君の声。

「‥あっ茜!?」

慌てていうと

君は泣きながら助けを求めた。

⏰:08/02/18 21:25 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#790 [乱]
何があったのかも分からなかったし‥何も考えられなかなった。

‥ガチャッ


茜、茜、


不安に押し潰されそうになりながら

電話をきってすぐに学校へと向かう。

嫌な予感がして

怖くて

走りながら不安で吐きそうだった。

何があったの‥??

⏰:08/02/18 21:29 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#791 [乱]
学校に着いた頃には酸素不足で

「ハァ‥ハア‥」

息を切らして体育館倉庫に向かう。

走って走って‥


すると
鍵の閉まった体育館倉庫が見えた。

⏰:08/02/18 21:31 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#792 [乱]
ドンドンッ


「茜‥??」

扉を叩きながら尋ねると、茜が泣きながら何かを言う声が聞こえる。


茜は相当怯えた様子で‥

俺はすぐに聞こえた単語を頼りに

俺のクラスにむかった。

⏰:08/02/18 21:34 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#793 [乱]
教室に行き、

見たのは


茜の下着姿の写真と男達。


‥意味がわかんねえよ‥

血管がブチ切れそうなほど怒りが沸々と込み上げる。
そして
―考えるより先に

腕が動いていた。―

「」

⏰:08/02/18 21:37 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#794 [乱]
「は!!??桐生「うっせーよ」

俺に気付いて近づいた奴の顔面を思いきり殴る。

周りの連中はぽかんとしていた。

そしで俺は茜の写真を引きはがし、ずたずたに切り裂く。

「何お前ふざ「こっちの台詞だよ‥つかネガだせや」
写真をちぎる俺にくってかかって来た奴の顎を持ち、黒板にたたき付けながら俺は言った。

⏰:08/02/18 21:43 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#795 [乱]
ポカンとしていた奴らもやっと状況をのみこめたようで

俺に殴り掛かって来た。


俺はネガを取り返すことに必死で


一人殴り返す。

⏰:08/02/18 21:45 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#796 [乱]
ムカつきすぎて我を忘れた俺は、ただ殴ることに必死で

気付いた時には

左手はネガをにぎりしめ

右手は血だらけだった。

そして皆逃げてしまった教室には一人もいなかった。

とりあえずネガを切りながらまだ有り余る怒りに震える。

⏰:08/02/18 21:50 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#797 [乱]
そしてよろよろと倒れそうになりながら茜の待つ体育館倉庫に向かった。



ダンッ

扉によりかかって茜に話し掛ける。

―‥この扉の向こうに茜はいるのか。

⏰:08/02/18 21:53 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#798 [乱]
俺が好きっていったら茜はどうする??



好きなんだって


好きでしかたないんだって

伝えるのはわがままな事??

俺もう我慢すんの無理みたい‥
―‥

⏰:08/02/18 21:55 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#799 [乱]
「‥茜??」



「‥か、和紀っ‥??」

泣きながら壁の向こうの君は信じられない言葉を口に出した。


“カズキ”

⏰:08/02/18 21:59 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#800 [乱]
―‥カズキ‥??

カズキって何だよ‥!!!


カズキはもう‥いないんだ‥
いい加減‥見てくれよ‥!!

俺を見て‥俺を見て‥俺を見て‥―

泣きながらドアを思いきり叩く事しか出来なかった。
我慢の限界はとうに越えていたんだ。

⏰:08/02/18 22:05 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


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