【SSS】超短レス短編祭り!【飛び入り参加OK!】
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#390 [[デーブ。2/3]キノコ。]
家につき郵便受けを開けると広告が入っていた。『駅前にジオ○オープン…ふ〜ん。』
部屋に入りビールを飲みながらその広告を見て考えた。
『いざベンに会った時、英語が喋れないと不便だ。共に生活をしていくうえでコミュニケーションも取れず文化の壁が乗り越えられない。』
沸々とわいたやる気と焦り。焦りはなぜもっと早く気づかなかったのかという焦り。ビールを一口飲み
『ベン・紀になるのかぁ〜。あれ、紀・ベン?○ティラー・紀?紀・○ティラー?アメリカってどっちが名字だっけ…。』
まぁ、どっちでもよかった。わからなかったらジオ○に聞こう。
ただ、《紀・ベン》だけは少し嫌だった。



翌週、私はジオ○の教室にいた。イケメン講師がいると受付の人に言われたのにまったく見当たらない。目の前にいるのはデーブ・○ペクター風な外国人講師だった。それでも私は必死に勉強した。その間に講師はデーブ・○ペクターからデーブ○久保風な日系アメリカ人に変わったが必死に勉強した。DVD鑑賞を週1に抑え、日課の妄想をお休み前の10分だけに我慢して必死に勉強した。そのかいあって半年後には結構ペラペラになっていた。
ただベン・○ティラーには会っていない。

⏰:08/05/31 02:56 📱:D905i 🆔:89QFacG2


#391 [[デーブ。3/3]キノコ。]
週末の土曜日、今日はDVD鑑賞の日。いつも通り足取り軽くお目当てのところへ行く。
『あっ。あった。』
《ブラザー・○ッド》言わずと知れた《アナタガ、スキダカラー》のチャン・ド○ゴンのものだ。
『女ってすぐ心変わりするんだよねー。』
一人で喋りながらレジへ向かった。
『それに今秋だし。』
不思議そうにみる店員。


帰り道また気づく。
『次は韓国語かぁ〜。アニュハセヨかぁ。おばちゃん多そう。チャン・紀?ド○ゴン・紀?』
まぁ、どれにせよしっくりこない名前だと思った。

⏰:08/05/31 03:01 📱:D905i 🆔:89QFacG2


#392 [キノコ。]
初投稿です
このスレ大好きですみなさんの作品とても面白く勉強になります
これからも面白い作品期待しています(>_<)


アタシの作品ゎクダグダ系なので軽く見ていただければ嬉しいデス笑。
またきまーす

⏰:08/05/31 03:04 📱:D905i 🆔:89QFacG2


#393 [◆vzApYZDoz6]
>>388
>>392
参加者キターw
乙です、またジャカスカ来てくださいw

⏰:08/05/31 03:51 📱:P903i 🆔:mlOVWIRI


#394 [[定年。1/2]キノコ。]
妻『お父さん、本当に行くんですか?』
心配そうに妻は言う。
夫『あたりまえだろう。ここまできて引き下がれないだろうが。』



秋山米作。61歳。無事定年退職を迎え妻と二人年金生活と少しの蓄えで第2の人生を迎えた。
(息子二人を立派に育て決して裕福ではなかったが絵に描いたような幸せな家族だったと誇りに思う。)と妻は定年の日に感謝の言葉として言ってくれた。
それなりに仕事も大変だったが家族との時間も大切にした。それがこの結果だ。我が人生に悔いなし。



妻と二人の時間が始まり3ヶ月。最初の内は時間に縛られず自由にのんびり行こうと思ったが、長年の生活サイクルが出来ていて朝は5時に目覚め夜は8時に就寝。サラリーマン時代と何も変わらない生活。ただ変わったのは今まで仕事をしていた時間に何もする事がないという事だ。暇だ。暇だ。
趣味を見つけようにも飽きっぽい私には無理だろう。と始める前から諦めてしまう。
この先ぽっくり逝ってしまうその日まで何をして生きよう?と模索していると妻が一つの雑誌を手渡した。
妻『お隣の山田さんがこの雑誌で趣味を見つけたらしいわよ。今はウォーキングしながら絵を描いてるそうよ。』
夫『あの山田さんが…絵をねぇ〜。せっかちなのに描けるのかね。』
妻『人の心配してる場合?』

⏰:08/05/31 04:10 📱:D905i 🆔:89QFacG2


#395 [◆vzApYZDoz6]
読んできたので、少し批評を…

>>385-387
文章は悪くないです
ただ、全体的によく分からないです…
描写が間接的すぎると言うか
最後のネコとか逃げる子を抱き上げた女の子とか、多分繋がりがあるんでしょうが、繋がりが分かるような文が無いので、なんのこっちゃ? になってしまいます
その辺を、直接的に繋がるような文章にして、読み手に伝わるようにするといいかもしれません
なんか難しいこと言ってすみませんw

>>389-391
こういう雰囲気の小説すごく好きw
自分でも書いてみたんですけど(かなり最初の方の『雪』とか『賭け』とかw)、なかなかユルい雰囲気が出せないですw
普通の小説なら人物名の○は避けるべきですが、こういう小説なら全然アリですね、雰囲気出ててw
行間をもう少し空けるのと、会話を「」←これにするように気をつければいいと思います

⏰:08/05/31 04:11 📱:P903i 🆔:mlOVWIRI


#396 [[定年。2/2]キノコ。]
妻に言われしぶしぶ雑誌を開いた。ウォーキングにサイクリングにヨガ…どれも体を動かす物ばかり。別にどれをやってみてもよかった。ただやったところで雑誌の思うつぼだと意固地になってしまった。人と同じ事をやってもつまらない。変わったことがやりたい。B型の私はすぐ道がずれてしまう。しかしやる気がだんだんと沸き上がってきたのは事実だ。そして私はその雑誌を参考に大胆な計画を立てた。計画は慎重に順調に進みとうとう決行の日がやってきた。



妻『お父さん、本当に行くんですか?』
夫『あたりまえだろう。ここまできて引き下がれないだろうが。この日の為に2ヶ月も時間を費やしたんだ。大丈夫だよ、心配するな。さぁ、幕を下ろしてくれ。』
そう言うと妻は家の中に入り二階に上りベランダに出た。そして準備しといた白い垂れ幕を下ろした。バサッーと綺麗に垂れ幕は下りた。



《秋山米作の自転車をかつぎながら日本一周の旅。in秋山家》



バサバサ〜。垂れ幕が少し風に揺れた。
夫『じゃ、行ってくるから。』
妻『…行ってらっしゃい。』
心配そうな顔のまま二階のベランダから手を振った。



『誰もやった事のない事に挑戦したかった…』と後に米作は病院で語った。



秋山米作。61歳。
ぽっくり逝ってしまうその日まで何かをやり遂げようと今も模索中。

⏰:08/05/31 04:12 📱:D905i 🆔:89QFacG2


#397 [キノコ。]
アトバイスありがとうございます
ユルい感じが伝わって嬉しいです。
人物名最後まで悩んで○にしました
使っていいんですね安心しました。
アトバイスを参考にまたきまーす

⏰:08/05/31 04:19 📱:D905i 🆔:89QFacG2


#398 [紫陽花]
ナ……ナナシさん!!
私の小説へのアドバイスは無しッスか?(つд`)

⏰:08/05/31 07:10 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#399 [林檎]
アドバイスありがとうございます
やっぱりわかりにくいですよね
読み手にわかるように書けるように頑張ります(・∀・)!

⏰:08/05/31 07:57 📱:D705i 🆔:k4UYfhuU


#400 [◆vzApYZDoz6]
>>394
>>396
なんかレスかぶってしまったorz
しかしなんというユルさ…ある意味すごいw
これぞSSSって感じw
下手にアドバイスなんてできやしねぇw

>>398
うえ?
……あっ、なんと…林檎さんの前に書いてますな
しかしボクは今からやることがいっぱいなんで家帰ってきてからで…w

⏰:08/05/31 15:02 📱:P903i 🆔:mlOVWIRI


#401 [殺し屋1/2 林檎]
俺は誰もが恐れる殺し屋だ。
今日も依頼がきて、いまから奴を殺しにいく。
今日の相手は少々手こずりそうなので数人仲間を連れてきた。

仲間に運転してもらい、現場に向かう。
ガタガタ揺れる車の中で一人考える。
さて、今日はどんな殺し方にしようか。
毒殺か…それとも窒息死させるか…

思考を巡らしていると無意識に笑みがこぼれる。
こんな事を楽しんでいる俺は狂っているのだろうか。

そして細い山道を抜け、一軒の古びた民家に到着した。
車から出た途端、仲間が大きなあくびをしたので

「馬鹿やろう。気を抜くんじゃねえ。油断してたらこっちが殺られるんだぞ…」
と注意してやった。

⏰:08/05/31 20:45 📱:D705i 🆔:k4UYfhuU


#402 [殺し屋2/2 林檎]
『すいません!』
仲間は謝り、自分で自分の頬に平手打ちしていた。

俺は横目でその行動を見て、気にせず車のトランクから奴を殺すための道具を取り出した。
ゴミ袋にノコギリ…色々取り出して、民家に向かった。
一足遅れて仲間もついてくる。

家の前にはすでに家主らしき人が立っていた。
軽く会釈して
「どうも…殺ってほしいのは家の裏にいます…」
と言って案内してくれた。

狭い隙間を通り抜けて家の裏についた。
すると奴はいた。
なかなか手ごわそうだ…
仲間は怯えていたが俺は迷わず奴にゴミ袋を被せた。
ゴミ袋の隙間からスチーム状の白い煙を注ぎ込む。
奴は驚いて仲間に襲いかかろうとしたが俺が握りつぶしてやった。
他にも奴の仲間がたくさんいて、袋から出ようとしていたが無理矢理袋に詰め込んでやった。

遂に奴らの家を切断するときがきた。
仲間に協力してもらい、ノコギリで切断することができた。

あとは家を奪っておいて申し訳ないが蜂蜜をとって、家主に渡すだけだ。
蜂蜜を無事に渡して、車に乗り込む。
そして仲間に優しく言う。

「どうだ。初めての蜂の駆除は。これからも頑張れよ。」

最近スズメバチの異常発生で殺し屋は今日も忙しい。

⏰:08/05/31 21:21 📱:D705i 🆔:k4UYfhuU


#403 [保守ネタ1/2]
…まずい。
このままでは遅刻してしまいそうだ。
私はギラギラと照り付く炎天下の路上を、全力で駆けていた。
くしゃくしゃ着崩れたスーツを直す暇も、額から流れる汗にへばり付く髪の毛を直す余裕もなく、ただただ走っていた。
「……くそっ!」
足が縺れ息が切れる。
参ったな。後5分で会議だってのに…。
私はようやく辿り着いた会社の自動ドアを滑り込むようにしてくぐり抜ける。
ひんやりとした冷気が体を包み込みとても心地が良い。
だが、歩く余裕などはない。
…急がねば。
辺りを一瞥すると受付を通過しエレベーターへ走る。
角を曲がればエレベーターが見えてくるはずだ。
私の心臓は角を曲がると同時に、ひどく跳ね上がった。
「…まずい」
エレベーターはすでに到着しており、搭乗員を待っている状態だった。
会議室は46階だ。とても階段で上れるような高さじゃない。エレベーターも一度上がったら今度はいつ下りてくるかわかったものじゃない。このエレベーターを逃せば遅刻は免れないだろう。
思わず立ち止まっていた私は、瞬時に悟ると直ぐさま走り出した。

⏰:08/05/31 23:28 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#404 [保守ネタ2/2]
ふと、目の前に同じく急ぎ足の男性がいた。
彼は私より遥かに早くエレベーターに乗り込んだ。
私は距離的に厳しいことを感じながらも諦めなかった。
彼の背中を追うように足を早める。
しかし無慈悲にもエレベーターの扉が閉まりだしてしまった。
同時に中で息を整えている彼と目が合う。
私はついに諦め速度を減速する。
閉まりゆく扉の向こうで彼が動いたのが見えた。
すると突然、完全に閉まりかけていた扉が再び開きだす。
「どうぞ」
彼の笑顔が、緩い歩調で歩く私を見据えていた。
「どうも…」
一礼すると息を乱した己の姿に気まずそうに入る。
入り口に向き直すと、また一人、こちらに走ってくる者がいた。
私はエレベーターのボタンを確認する。
私が“開”と掛かれたボタンに手を伸ばすよりも早く、彼の手がそれを押さえた。
続いて聞こえた彼の小さな声。
「…保守」
ボタンに伸びてかけいた手を下ろすこともせず、私は横目に彼を見遣る。
同時に彼と目が合った。
彼は依然としてこちらを見据えながら、口元に柔らかい笑みを浮かべた。
つられるようにして私も微笑む。
「…保守」
私は照れ臭そうに返す。
新たな搭乗者がエレベーターに入って来た。

⏰:08/05/31 23:28 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#405 [我輩は匿名である]
保守ってのは過疎ってるときにやるもんだぜ?

⏰:08/05/31 23:37 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#406 [朝海「月」(1/3)]
アタシ美花(ミカ)太陽が出てる朝が大っ嫌い
だから夜しかアタシは外に出ない―-
美花「はぁ―-今日も月…アンタはきれいでいいね」

アタシは自分の部屋から遠くでしっとりと輝いている月に喋りかけた
美花「10時か…散歩しよ」
アタシはパーカーを羽織り手ぶらで外にでた

がちゃ―

アタシは近くのベンチに座り目を閉じた

そして―-

ゆっくり目を―-

パチ

美花「わぁ(慌;ッ―-え!」
アタシは目の前にいた見知らぬ男にびっくりして立ち上がった

「一人でこんな夜にあぶねぇよ;しかも何してんの?」

美花「あ…アタナ誰?」

「―-んぁ?俺?タケルだけど何?」

美花「へッ―-!?あ…そうですか」

帰ろう;

アタナは家に引き換えした

タケル「ちょ―-ちょっとまて;」

タケルはアタシを引き止めた

美花「はい;なんでしょうか;」

⏰:08/06/01 00:00 📱:V803T 🆔:BKbjJvmQ


#407 [朝海「月」(2/3)]
タケル「いいからここ座れ」

タケルは美花の手を引っ張り再びベンチに座らせた

美花「…;あの―-」

どうしよう…

タケル「お前名前は?」

タケルは美花の隣りに座り美花をみた

美花「み―-美花;」

タケル「そっか―-つかお前肌白過ぎだろ;太陽浴びたことある?」

美花「ない…です」

タケル「なんで?しかも髪もボサボサだし前髪で顔も見えねぇし;」
タケルは美花の前髪を手で分けようとした

美花「やめ―-」

アタシは手で髪を押さえた

タケル「そうやられると益々見たくなんだけど…」

タケルは無理やり美花の髪をかき上げた

タケル「!!―-どうしたんだよ…これ」

タケルは美花の顔を見て驚いた

美花「驚いたでしょ…」

タケル「誰がやったんだよ―-そんなひでぇ事…」

⏰:08/06/01 00:12 📱:V803T 🆔:BKbjJvmQ


#408 [朝海「月」(3/3)]
美花「ヤられたんじゃない…アタシ太陽に当たれないの―-」

タケル「そっか―-悪ぃ;ムリヤリ…ってか太陽が照ってる昼間なんかより夜の方が楽しいからな―-よしこれから遊びいくぞ」

するとタケルはアタシを引っ張りどこかに連れて行った
タケルのお陰でアタシは変わる事ができたよ…
タケルのお陰でまた笑えるようになっよ…
タケルのお陰でまた生きる希望ができたよ…
ありがとうね―-タケル
アタシは月を見た

美花「タケル―-聞いてる?」
タケル「んぁ?」

美花「なんでもない―-
ずっと一緒に居ようね」

タケル「ずっとそばに居てやるよ(笑」

タケルは月のようにアタシのそばにいてくれる

⏰:08/06/01 00:24 📱:V803T 🆔:BKbjJvmQ


#409 [[嗚呼、思春期。1/3]キノコ。]
[女子のみなさん、体育館に集まって下さい。]この台詞はどうにもくすぐったい。
だってわかる男子にはわかってしまうから。

品川由美。当時小学校4年生。この時はまだ女子だけ体育館に集まる理由なんてわからなかった。
[女子は赤ちゃんを産むために月経と言って毎月…うんたらかんたら。]先生の話を聞き終わると、言葉に表せない気持ちで胸が締め付けられた。男子にはない特別なもので、でも毎月一回くるんだ〜。
どんなものなんだろう。

「ゆみんこ。嫌だねー。こんな話今更しなくてもわかるつーの。」
中野沙紀。由美とは幼なじみ。少しませた小学生。
由美「えっ…。あっ、うん。そーだね。」
先生の話を聞いて特別な感情を抱いていた由美はそれが急に恥ずかしくなりわかってもいなかった生理をわかった風に答えた。
沙紀「だいたいさぁ、生理なんかこなくていいつーの。毎月毎月あんなに血が出てさぁ、無駄じゃね?意味がわからないつーの。」
由美「そんなに血出るの?」
恐る恐る由美は聞いてみた。
沙紀「ゆみんこあんま出ない系?あたしは毎月ドバァッーだよ。ドバァッー。体の血が全部出たんじゃないかつーの。ぐらい。」
由美「…だよねー。私も同じドバァッーだよ。さきちんと一緒。まったく一緒。うん。一緒なんだよね…。」
言っちゃった。
まだ出発していない未知の世界なのに知ったかで言ってしまった。
おそらくスタートラインにも立っていないかも知れないのに。
それと同時に(さきちんは生理になってるんだ…。)
置いてかれてるような気分になった。

⏰:08/06/01 01:37 📱:D905i 🆔:UqmAtBfE


#410 [キノコ。]
すんません、今貼りした話以外に長すぎてBレスで収まりそうもなかったのでやめます…
Bでいけると思ったんですけどね笑。
中途半端ですいません

⏰:08/06/01 01:47 📱:D905i 🆔:UqmAtBfE


#411 [[マルコ。1/3]キノコ。]
月曜の午後の昼下がり。俺は会社近くの公園のベンチで昼飯をとっていた。
いつもは社員食堂で食べていたがたまに外で食べるのも気持ちがいい。
今日は雲一つない晴天だ。


妻が作った弁当を三分の1ほど食べた頃俺の隣に女性が座った。
(おいおい、ベンチたくさん空いてるのになんでここなんだよ。)
と思い、少し訴えかけるような目で女性の方を向いた。


「スーチン!!!」
目があった瞬間いきなり女性は勢いよく俺の腕をつかみ
「スーチン!!!スーチン!!!」
と唾を飛ばしながら俺に向かって叫んできた。
「何?あなた。唾が弁当に入っちゃうでしょ?止めなさい。その手を離しなさい。」
子供を叱るように冷静に言い女性の手を振り払った。
女性は俺の冷静な対応に落ち着いたのか姿勢をなおし聞いてもないのに話し始めた。

⏰:08/06/01 03:40 📱:D905i 🆔:UqmAtBfE


#412 [[マルコ。2/3]キノコ。]
「アイ、私マルコネ。働キ盛リノ41歳ネ。アナタ、スーチンデショ?白状シナタイ。」


(あっ、この人痛い人だ。)
と思い、俺は立ち上がり他のベンチに移ろうとした。
すると女性はまた俺の腕を引っ張りベンチに座らせた。
俺はバランスを崩し持っていた弁当を落としてしまった。


「アイ、ゴメンクサイ。私拾ウネ。セッセト拾ウネ。」
女性は散らばった弁当の中身を拾い始めた。
「もう、いいですよ。どうせ食べれないし。」
俺は一刻も早くこの場から立ち去りたかった。
「アイ、大丈夫ネ。3秒ルールネ。日本人頭イイネ。」
そう言うと落ちた卵焼きを拾い自分の口に入れた。
「アイ、グッジョブ。」
親指を立てて俺の顔の前に突き出した。


訳の分からない言葉を連発し、俺の弁当を落とし、おまけに落ちたおかずまで食べてしまうこのマルコという女性。


迷いはなかった。ダッシュで逃げよう。


そう思った瞬間今度は女性は泣き出し、そてまた聞いてもないのに話し始めた。

⏰:08/06/01 03:42 📱:D905i 🆔:UqmAtBfE


#413 [[マルコ。3/3]キノコ。]
「アイ、私ノ息子スーチンネ。アナタニソックリネ。スーチン韓国デ海苔作ッテル。会イタイケド会エナイ。」

女性は韓国人で女性の話からすると息子と離ればなれで暮らしており、その息子が俺に似てるらしい。


逃げる体勢にはいっていた俺はベンチに再び腰をかけた。
「そんなに俺に似てるの?」
「アイ、似テマス。スーチンニソックリネ。私サビシイネ。」


俺にも息子がいる。同じ親として少し同情もあり、俺は昼休みが終わるまで女性の話し相手になってあげた。
故郷の事や、女性が働いているスナックの事、そして息子スーチンの事。
最初は痛い人だと思っていたが話していくうちにだいぶ心も開き女性との会話を楽しんだ。


話は盛り上がっていたが昼休みが終わりに近づき「マルコさん、俺毎日このベンチで昼飯食べるから寂しくなったら話し相手ぐらいにはなるよ。」
「アイ、アリガトデス。私毎日ココニキマス。待ッテマス。」
女性は笑顔で答えた。
自宅と会社の往復だけの窮屈な生活に少しだけ楽しみができ、俺は笑顔で会社に戻った。


火曜日の午後の昼下がり。
いつものベンチで女性を待つ俺。昨日から始まった異文化コミュニケーションに胸を躍らせていた。
空を見上げると今日も雲一つない晴天だ。


ふと隣のベンチを見ると女性が60歳近くの男性の腕をつかみ
「スーチン!!!」
と叫んでいた。


俺は社員食堂で昼飯を食べた。
たぶんあそこのベンチに行く事はないだろう。


おわり。

⏰:08/06/01 03:47 📱:D905i 🆔:UqmAtBfE


#414 [◆vzApYZDoz6]
あげますぜ

⏰:08/06/07 13:27 📱:P903i 🆔:5dF7gc0M


#415 [紫陽花]
あげ〜(・∀・)

⏰:08/06/08 17:09 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#416 [GAM]
ああ、そうしてまたあなたは私を白いカルシウムで砕くんですね。
聞こえますか、この悲痛が。分裂した私を更に粉砕して、身にまとった色素は残らず剥ぎ取っられてしまう。私の後ろにいる紅色の蛇に。

形を崩して原型を留めていない体。もう二度と元には戻れない。

でもあなたは私を無にはしなのでしょう。
下で待ち構える浴室へ送還される事なく、私は生命の全てを奪われて終わるんです。

他の方はシャワーを浴びていらっしゃるのかしら、あなたが裁きをくだすうちは決して干からびる事のない浴槽、そこにつかっているのかしら。

悶える様な声が私の耳に届きます。

蛇の動きが鈍くなりました、もうすぐ別れの時間なのですね。
分かっています。

でも私は、あなたに弄ばれて幸せでした。
この裁きと共に与えられる清水が、地下から湧き出るそれに及ばなくても。

醜い姿になってもあなたに衣装を脱がされる事こそが、私の務めだと分かって下さいね。

あの銀の上絹を剥ぎ取ってくれてありがとう。

さようなら。

⏰:08/06/12 23:05 📱:D905i 🆔:PZfyFEBo


#417 [GAM]
剥ぎ取っられて→剥ぎ取られて

無にはしなので→しないで

⏰:08/06/12 23:08 📱:D905i 🆔:PZfyFEBo


#418 [[居場所(1/3)]蜜月◆oycAM.aIfI]
 
「どうしてこういうことになるの!?」

重い空気を引き裂くように、階下の部屋からヒステリックな叫び声が聞こえてきた。

「こんなことありえないでしょ! 意味がわからないわ! 一体何だっていうのよ!?」

僕は笑い声をあげそうになるのを堪えて、いつものように自室で一人押し黙っている。その間にも下からは金切り声とそれをなだめる声が響いていた。

「どうしてあの子の亡きがらが無いのよ!? なんでカナコがそこにいないのよ!」

さっきから狂ったように声を張り上げているのは俺の義理の母親。
母さんが死んですぐに家に来たそいつには連れ子がいた。
それがカナコだ。俺の妹。
血の繋がりはなくとも、俺にとってはかわいいかわいい妹だった。

そのカナコが昨日死んだ。まだ十三歳だったのに。
ドア越しに父さんからカナコの死を伝えられた時、俺は気が狂うんじゃないかと思うほどに混乱した。

だって俺はカナコが好きだったから。
妹としてか女としてかなんてことはわからない。だけど俺は世界で一番カナコが好きだった。

⏰:08/06/16 23:37 📱:SH903i 🆔:J7xrqn4I


#419 [[居場所(2/3)]蜜月◆oycAM.aIfI]
 
カナコの死因を俺は知らない。
なぜなら俺はオタクでニートで引きこもりだから。自分の部屋から一歩も出ない俺にわざわざカナコの死因を知らせにくるヤツはいなかった。

で、どうして今義理の母親がこんなにも騒いでいるのかというと、今から葬式だというのにカナコの遺体が棺桶から消えているからだ。
昨日の夜滞りなく通夜を終え、今日の朝――つまりついさっきだが――母親がカナコの亡きがらを確認したところ、棺桶の中は空っぽだったということらしい。
棺桶のある部屋にはろうそくの番にカナコの親戚らしい年配の男がいたが、なんとそいつは夜中の二時には酔っ払っていびきをかいていたんだ。
あの女はそれを知らないが俺は知っている。

なぜか。
カナコの遺体を隠したのは俺だからだ。

カナコは今俺の隣で静かに眠っている。
その眠りが覚めることは永遠に無いが、それでも俺はカナコを自分の手元に置いておきたかった。

⏰:08/06/16 23:38 📱:SH903i 🆔:J7xrqn4I


#420 [[居場所(3/3)]蜜月◆oycAM.aIfI]
 
五年前に母さんが死ぬ前から、俺と親父は顔を合わせなくなっていた。
その頃はまだ引きこもりではなかったが、しかし俺は仕事に就いていなかった。
そんな俺を見たくなかったのだろう。
いつからかお互いに避けるようになり声を聞くこともなくなった。

そして母さんが死んだ。俺と親父をつなぐ唯一の人がいなくなった。
それはつまり、俺の居場所が無くなるのと同じこと。
そしてあの女が家に来て、俺は引きこもりになった。

でも俺には新しい居場所が出来た。
まだ幼かったカナコは俺に冷たくしなかった。
あまり言葉は交わさなかったけれど、俺達は通じ合っていたはずだ。目を見ればわかる。

母さんを失って俺は学んだ。
失いたくなければ自分の手で捕まえておかなければならない。
でなければ俺はまた居場所を失ってしまう。
かわいい妹を俺から奪うことなど誰にも出来ないのだ。

そうして俺はカナコを捕まえた。

もう二度と離さない。俺のかわいい妹……カナコ……。

⏰:08/06/16 23:39 📱:SH903i 🆔:J7xrqn4I


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