【SSS】超短レス短編祭り!【飛び入り参加OK!】
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#520 [かすかな記憶微妙な関係(3/3)]
たった一言そうゆった。


その後めでたく
連絡が長続きした末.
おつきあいすることになる。



奇跡的な出会い。
それは時に幸せを意味し
稀に不幸な結果となる。

なんぶんのいちかわからないけれど.
あなたと出会えたこと.
心から誇りに思います。

ありがとうございました。

⏰:08/10/17 23:34 📱:D904i 🆔:hfZ1KwdM


#521 [安価行動の妙(1/1)◆vzApYZDoz6]
事実は小説よりも奇なり、とはよく言ったものだ。

『……ねぇ、ユウヤ君? ユウヤ君なんでしょ? 分かるよ、キミの事なら。息遣いだけでも分かる』

電話の向こうの彼女の声は少しも変わってなくて、俺は何の理由もなく泣きたくなった。

『元気にしてる? 私は…相変わらずだよ。あの頃と、何も変わってない』

俺は電話を握りしめてから、どれくらい沈黙を守り続けているだろうか。
半分以上灰になった煙草が、灰皿の上で危ういバランスを保っている。

行き場を失って虚ろう視線が、目の前にあるディスプレイの文字列を捉えた。

【先月彼女にふられた25歳無職童貞が安価でイタ電(147)】

我ながら、くだらないスレタイだ。

『ふふっ……ね、ユウヤ君。あんまり夜更かしして変な掲示板ばっかり見てたら、目、悪くなっちゃうよ。
──じゃあ、ね。体、気をつけてね』

ぶつり、という通話が切れる音が、いつもより名残惜しげに聞こえた。

惜しくなんかない。別れを惜しむいとまはない。
俺は俺で、彼女は彼女で、もう別の道を歩んでいる。
お互いに人生はまだ長いし、やることだってたくさんある。


そしてなにより、安価電話の相手は、まだ10件以上残っているのだから。

⏰:08/10/17 23:41 📱:P903i 🆔:pkfPh73.


#522 [◆vzApYZDoz6]
あげるぜ

⏰:08/11/19 22:08 📱:P903i 🆔:qQoe6RDo


#523 [プリクラさん]
       

⏰:08/11/20 01:25 📱:PC 🆔:80r74rCs


#524 [きのこ。『私の夢。1/3。』]
「私の夢。私の夢は幸せなお嫁さんになる事です。優しくて背の高い旦那様と子供は女の子二人がいいです。
お家は屋根のある大きなお家でポメラニアンを飼いたいです。
そして、いつまでも幸せに暮らしたいです。」



25年前に書いた作文が押入からぐしゃぐしゃになってでてきた。
普段手抜きな掃除をしている私がなぜか今日は無性に押入を掃除したくなり、出てきたのは私の夢。なる題名の作文だった。
妙にリアルな夢に私は申し訳ない気持ちになった。25年前にタイムスリップ出来るならあの頃の私に謝りたい。


橘美智子。35歳。主婦。
旦那は優しくもなければ背も高くない無口な人。子供は女の子の夢叶わずやんちゃな男の子二人。家は団地住まい。犬はもちろん飼えず、夜中にカラカラ回るハムスターが二匹。ごめんね、25年前の私。描いた夢にかすりもしていません。


「行ってらっしゃい。はい、お弁当と麦茶。」
「…うん。」
最近の旦那との会話はまったくキャッチボールが出来ていない。
これで学位時代野球部だったなんて聞いて呆れる。
一度冷めた夫婦関係を修復させるのはかなり難しい。
それでも、好きになって結婚した相手だから私も修復させる為の努力はした。
しかし、どれも失敗に終わりむしろますます溝を深めてしまったんじゃないかと思うくらいだった。

⏰:08/11/28 22:27 📱:D905i 🆔:yAoJO7js


#525 [きのこ。『私の夢。2/3。』]
ただ一つだけまだ続いてるものもある。近所の田中さんが教えてくれたもので、確か「ラブレター作戦」とか言っていたかな。作戦と言っても簡単なもので、毎日のお弁当にメッセージカードを添えるだけのものだ。
最初はメッセージを書いて入れとくだけだったが、旦那が見てるのか見てないのかわからなかったので最近では返事欄なるものを作り旦那からの返事を楽しみに待つという作戦に変更した。


予想通り、始めて一年が経つが届く事のないラブレターばかり増えていく。始める当初からわかりきっていたが、いつかはいつかはと期待しつつ今に至る。


「愛してる」
この言葉までは望まないが、
「ありがとう」
この一言が欲しかった。そしていつものようにお弁当にメッセージカードを添える。

⏰:08/11/28 22:28 📱:D905i 🆔:yAoJO7js


#526 [きのこ。『私の夢。3/3。』]
「おかえりなさい、今日もお仕事大変だった?」
「…うん。」
いつもと変わらない会話。
お弁当と水筒を手渡されキッチンに向かう。
「いつになったら返事くれるんだろう…。」
ため息だけが出る。
空のお弁当箱を広げ洗おうとした瞬間、一枚の紙が足下に落ちた。
「一方通行の可哀想な私のラブレター…。」
そう言い手紙を拾い上げた。


「あっ。」
そこには久しく見ていない旦那のミミズみたいな字が見えた。
(もしかして…。)
と心躍らせながら、やっと報われた私のラブレターに興奮隠せず、
「ありがとう…かな。」
「お弁当おいしかった…かな。」
もしかしたら無口な彼だからこそ手紙では大胆に
「愛してる。かも」
などとまるで恋する乙女の様に想像を膨らませながら手紙を見た。



「麦茶に砂糖を入れるな。」



25年前にタイムスリップ出来るならあの頃の私に言いたい。
「麦茶に砂糖を入れて飲むのやめよ。」
とね。



そして私は今朝も麦茶に砂糖を入れる。
手紙はもう入れていない。その代わりに離婚届でも入れようかと思う今日この頃。

⏰:08/11/28 22:30 📱:D905i 🆔:yAoJO7js


#527 [きのこ。]
久々にきました
やっぱここゎ楽しいねみなさんの作品見て勉強にしてます

⏰:08/11/28 22:32 📱:D905i 🆔:yAoJO7js


#528 [我輩は匿名である]
>>527
乙でーす

俺も久々になんか書こうかな

⏰:08/11/30 22:32 📱:P903i 🆔:2BN2KbTQ


#529 [我輩は匿名である]
僕は呼びかける

「聡子…聡子聞いてくれよ?…」

彼女は黙っている

僕のことなど完全に無視だ

当然っちゃ当然か

僕が悪いんだから

「アドレスも連絡先も…相手からの履歴も消した…もう電話もメールもしないし、外で会ったりなんか絶対にしないから」

それでも、彼女の瞳の色は少しも変わらない

許す気などない…その決意に満ちた目だ

彼女がこういう目をしている時は絶対にテコでも折れない

何日でも僕を“シカト”し続ける

「許してくれ…本当に心から反省しているんだ」

彼女の髪の毛が一房、ふわりと揺れた

あ……嗤っているのかい?


>>530(僕の彼女2/3)に続く...

⏰:08/12/02 10:07 📱:PC 🆔:☆☆☆


#530 [我輩は匿名である]
「聡子ごめんよ…許す気になったのか?」

でも彼女は何も言わず、ただ妬まし気な目で僕を睨め付けるばかり

彼女が何を考えているのか

僕にはとんと理解できない

浮気のことがばれて、今朝家を追い出されたかと思えば、急に呼び出して「話し合いたい」だなんて…

嗤っているように見えた彼女の表情は、いつもどおりのポーカーフェイスに戻っていた

ふと、僕は気付いた

目の端に映る、ひらひらと風にゆられるカーテン

12月のこの時期にカーテンを開けっ放しにするなんて、と僕は窓を閉めに窓際に歩み寄った

「…閉めるよ」

キィキィ音をたてながら、窓を閉めた

いい加減、建て付けが悪くなったな…修理屋にでも見て貰うか

ぼんやり考えながら、僕は彼女の方に向き直った

どれだけ時間がかかっても構わない

彼女を説得しなければ…


>>531(僕の彼女3/3)に続く...

⏰:08/12/02 10:18 📱:PC 🆔:☆☆☆


#531 [我輩は匿名である]
「許す気なんてないわ」

ずっと黙っていたのに、彼女が口を開いた

やはり許せないか…当然だ… 僕はすっかり彼女を説得する気が失せてしまい、その場で項垂れた…これでもう、終わりなのか、と―

「だからアナタも、もう観念して」

次の瞬間、右の前頭部に激しい衝撃 何かがあたったような…続けざまに数回の衝撃の後、僕はその場に倒れ込んだ

意識を失う直前、僕の目に飛び込んできたのは、鎌を左手に持った女の姿
それは“彼女”ではない、別の女。彼女はまだ椅子に座ったまま、変わらぬ瞳で僕を睨んでいる

「………お前……………なんで……」

僕のつぶやきをかき消すように、最期の一撃が僕の頭めがけて振り下ろされた

女はしばらくそのままボンヤリと立っていたが、ハッと気がついたようにその鎌を、座っている“彼女”に無理矢理握らせた

死後硬直が始まっている“彼女”の手は固かったが…

「…これでよかったのよね?聡子さん」

女はそれだけ言い残すと、ゆっくりと部屋を出て、それきり二度と戻らなかった。

⏰:08/12/02 10:46 📱:PC 🆔:☆☆☆


#532 [渚坂 さいめ]
あげます

⏰:09/01/03 15:06 📱:F905i 🆔:DDHmQNGU


#533 [願いを叶えるための遺言(1/2)]
「死ぬ前に一度だけ死んでみたかったわ」

そう言ってクスリと笑う彼女の唇はまるで朝露に濡れた百合の花のように艶めかしく、僕の視線を捕らえて離さなかった。


「なにを言っているのかよく分からないよ」

思ったままを口にした僕は急に自分がとても幼稚で無知な人間のように感じられた。

彼女といるとそんな風に自分を見てしまうことが度々あったのだった。

外を歩いていても、昼食をとっていても……。そして僕と一緒に深い闇のようなベッドの中でまどろんでいる時でも。

彼女は息を吐くのと同じぐらい自然にポロリと訳の分からない言の葉を零す。


「あなたにはまだ分からないわね……」

そして決まってそう言うのだった。


そしてその言の葉はコーヒーをまだ苦いと感じてしまうような、まだ大人になりきれていない自分の内側を、尖ったナイフで削り取られるような感覚を引き起こす。

僕は密かに彼女の言葉を、いや、彼女を一点の光も届かないような心の奥の方で恐れていたのかもしれない。

⏰:09/01/13 23:20 📱:F905i 🆔:cnnAJJEE


#534 [願いを叶えるための遺言(2/2)]
僕は胸に広がる恐れを押しのけるように、力任せに隣で微笑んでいる彼女を抱きしめた。

僕が恐れる言の葉を零す唇を僕の唇を使って無理矢理塞いでやると、またも自分は幼稚な人間だと虚ろな思考が僕を責める。

それは本当に惨めで、なんて滑稽な姿なんだろうか。


「死にたいなんて言うなよ……」

それが今、僕に言える最大限の彼女への抵抗だった。



そして次の日の朝、彼女は僕の前から忽然と姿を消した。

彼女は己の願いを成し遂げたのだ。

僕の目の前から消えることで、僕の中のリアルな彼女は消え去ってしまった。

もうその柔らかい胸に顔を沈めることも、優しい微笑みも、僕を突き刺す鋭い言の葉も、僕の隣にはいない。つまり死んだも同然なのだ。


けれど彼女はこの世界から消えたわけではない。

彼女はまだどこかで呼吸をしている。

シーツに染み込んだ彼女の残り香がそう言っている気がした。

---end---

作者は
元:紫陽花
現:渚坂 さいめ です^^

⏰:09/01/13 23:22 📱:F905i 🆔:cnnAJJEE


#535 [あめ(1/1)]
ざあざあざあ。
きょおわ、あめです。
ママといっしょにおでかけです。パパにカサをとどけにいくの。

ぴちぴち、じゃぶじゃぶ、らんらんらん

おうたをうたうとね、あめがおどります。
たのしいね、たのしいね
わたしも、ママもにこにこです。

ぴちぴち、じゃぶじゃぶ、らんらんらん

はやくかいしゃにつかないかな
はやく3にんでかえりたいな

ぴちぴち、じゃぶじゃぶ…

「どうしたんだ、こんな所まで!」
みあげると、パパでした。あたまにカバンを乗せたパパでした。とってもおどろいたかおをしています。

「傘…持ってきてくれたのか。」
そうだよパパ、えらいでしょ?
あなたが風邪引いたら大変だから…とママもいいました。
「こんなに濡れて…ありがとうな。早く一緒に帰ろう」
わたしとママは、えがおでうなづきました。



『ワン!』

⏰:09/02/13 17:46 📱:N904i 🆔:hcPdkTbc


#536 [[はつこい](1/3)あかり]
春が好きだ。

いや、初夏、といった方が妥当かもしれない。
桜の花が散って、若葉が出て来た頃が好きなのだ。

どういう訳か、何かが起こりそうな予感が湧いてきて、わくわくしてくる。


別の誰かはこう言った。

桜の花が散ってゆく様が好きだ、と。
散ってゆく花びらが、雪のように儚くて綺麗だから、と。

⏰:09/02/15 22:36 📱:SH904i 🆔:oDtqLGpY


#537 [[はつこい](2/3)あかり]
女だった。顔はもう思い出せない。

けれど優しい声色だったのは覚えている。

こうやって話していた様子を思い出すと、必ず胸が焦げるような感じがした。

それと同時に、酷く甘く、酷く熱く、酷く切なくと、激しく気が昂った。

⏰:09/02/15 22:38 📱:SH904i 🆔:oDtqLGpY


#538 [[はつこい](3/3)あかり]
この熱情は何だろう。

この淡い心は何だろう。

悶々と考えるが、答えは出ない。


春が好きだ。
その春がまたやって来る。

行ってみようか。

不意にそう思った。

行ってみようか、あの場所へ。あの桜並木が続く公園へ。

もしかしたら、答えが出るかもしれない。

⏰:09/02/15 22:41 📱:SH904i 🆔:oDtqLGpY


#539 [渚坂さいめ[ホワイトデー(1/3)]]
ある晴れた日、僕は突然声をかけられた。

「お、おい。お前ホワイトデーって何すればいいか分かるか?」

声をかけてきたのは宇峰央里だった。

ホワイトデー?
確かにそんな行事があった気はするけど……、そんなに目を血走らせて内容を考えるような行事だったかな?

「何って言われても……。そもそも央里は誰かからチョコ貰ったわけ……?」

「ゔ……。えーと、ハルキに貰った」


そう言えばハルキはみんなにチョコを配ってたっけ。
僕は……あれ?貰ったっけ?


「だからさ、バレンタインデーのお返しって何あげていいか分かんなくって。
傳って経験豊富そうだし、なんか知ってるだろ!?」

「いや、僕は決して経験豊富じゃない。そこは否定させてもらう。

でもまぁ、聞いた話では普通ホワイトデーにはマシュマロをあげるらしいけど……」

「ハルキ、マシュマロ嫌いって言ってた……」

「あれ?なんで嫌いって知ってんの……?」

「……っ、たまたま聞こえたんだよ!!」

⏰:09/03/27 00:27 📱:F905i 🆔:ErRKzwfM


#540 [渚坂さいめ[ホワイトデー(2/3)]]
ははーん。
リサーチ済みって事は央里も何気にハルキの事が気になってんだな。

ホワイトデーのお返しと言えばマシュマロって相場が決まってるんだけど、それが嫌いだったから焦って僕を頼ってきたわけね。

ここは僕の出番って事か。


「そーだね……。食べ物は好き嫌いが分からないからやめた方がいいかも。もっと無難に……」

「無難に?」

「無難に花束とかでいいんじゃない……?」

「花束!!それいいな!!!!早速買ってくるわ」

「あ……」

行っちゃった。
花言葉には気をつけた方がいいよー、って言いたかったのに。
僕の経験上、女の子って花言葉とか細かいところに敏感だからね。

ま、店員さんが選んでくれるから心配いらないかな。




って、もう帰ってきた。

あーあー、そんなに振り回したら花びらとれちゃうって。

バカ、ハルキはあっちだって。男子トイレに居る訳ないだろ……。

そうそうそっち。
さて、僕は隠れて様子を見守りますかね……。宇峰央里の一世一代の晴れ舞台ってやつかな。

⏰:09/03/27 00:28 📱:F905i 🆔:ErRKzwfM


#541 [渚坂さいめ[ホワイトデー(3/3)]]
「ハ、ハルキ……。これバレンタインデーのお返し……」

「……何これ?」


ぅわ……。
ハ、ハルキの目が怖い!!頑張れ央里!!もう一押しだ!!そのまま押し倒してしまえ……!!


うん。押し倒しちゃ駄目だけど、ハルキもまんざらじゃないみたいだし……。
これはひょっとしたら、ひょっとするかも。


「ゔ、ちょっと汚くなっちゃったけど花束だよ……。食べ物は何が好きか分かんなかったからモノにしてみました」

「ふーん……。この黄色いの、なんて花?」

「えっと、忘れた……」

「あっそ。……でも、ありがとう」


おっ!!
いい感じになってきた!!

じゃあ、覗き見なんて野暮なまねはこの辺にしといて、おじゃま虫な僕は退散するとしようかな。


ちなみに央里が買ってきた花の名前は「サンピタリア」で、花言葉は「愛の始まり」。


本人が花言葉を知っていたとは考えられないけど、偶然にしちゃあ今の央里にピッタリな花だと思っちゃうのは僕だけかな?

傳・央里・ハルキ [jpg/38KB]
⏰:09/03/27 00:32 📱:F905i 🆔:ErRKzwfM


#542 [渚坂さいめ]
以上、アダムの唄の番外編でした

本編→http://bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/8607/

貼っているイラストは絵師様に描いてもらったものです。今考えると、なんとなくラノベっぽいですねw

イラストの無断転載・二次発布はやめてください

⏰:09/03/27 00:34 📱:F905i 🆔:ErRKzwfM


#543 [渚坂さいめ]
貼れてなかった……orz

本編:○アダムの唄○
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/8607/

⏰:09/03/27 00:45 📱:F905i 🆔:ErRKzwfM


#544 [【いつか、また1/3】みぉり]
「さてっ……と、これで全部かな?」


最後の段ボールを玄関先に運んで、ふぅっとため息をつく

振り返った部屋はガランとしていて、何もない



二人の写真も、季節ごとに飾った花も


お揃いのコップもお箸も………



「………空っぽ…だ」



私の心に、ぽっかり空いた穴と同じ

⏰:09/03/27 04:26 📱:N905i 🆔:9cJ2rwVY


#545 [【いつか、また2/3】みぉり]
やけに声の響く部屋を見回して、ふと目についたのは柱の傷


『ー……ね?私のほうが高いでしょ?』

『んなの、俺がすぐに抜いてやらぁっ!!』


…………こんな傷つけちゃって


そこにあるのは、二人の記憶
彼と私の背比べの跡


くすっと笑って、その傷を撫でる

いくつか刻まれたその傷は、彼の背丈ばかりが伸びた証

3年前より2年前が、2年前より1年前が、ぐんと成長した証



「おいっ!!荷物まだかぁ?」


下から呼び掛ける父の声に、はっと、慌てて部屋を出る

⏰:09/03/27 04:34 📱:N905i 🆔:9cJ2rwVY


#546 [【いつか、また3/3】みぉり]
靴を履いて、もう一度くるりと部屋を見回す


私がこれから入る場所は木のぬくもりはない、鉄筋造りの建物らしい

一刻も早く、私はそこを出られるようにならなくてはいけない


彼に手を上げない、強い心を持った母親になって


胸を張って彼を迎えに行くために
彼と共に、この部屋に帰ってくるために


また、あの柱に彼の記憶を刻めるように……


深く息を吸い込み、扉を閉めながら誓う



いつかまた、必ず帰ってくるからとー………

⏰:09/03/27 04:46 📱:N905i 🆔:9cJ2rwVY


#547 [みぉり]
初めて、こちらで書かせていただきましたm(__)m

いつも皆様の作品を拝読させて頂きながら、いつかは書かせていただきたいと思っておりまして今回、書かせて頂きました。


自分の作品がかなりの亀亀更新なのに、すいません(T_T)

駄文ですが、よろしければ読んでやってくださいm(__)m

⏰:09/03/27 04:55 📱:N905i 🆔:9cJ2rwVY


#548 [我輩は匿名である]
おおw
たまたま来たらあがってるじゃないかw

>>547
乙です
またいつでもどーぞ!


俺も久々にSSS書こうかなー

⏰:09/03/27 08:21 📱:P903i 🆔:xxY6cByU


#549 [[あのとき3/1]妃羅◆x1TI9uE9ik]
「カッコいい…」

─── あたし、桃。
今あたしが恋しているのは翼って奴。

そいつは超スタイル良くて
バスケ大好き。

あたしは帰宅部だから
いつもバスケを見学して帰る。

顧問に
「やってみるか?」と聞かれるが
やる気はない。

ただ翼に恋してるだけ。

今は片思い中。
もちろん翼に…ね。

⏰:09/03/27 10:19 📱:F01A 🆔:☆☆☆


#550 [[あのとき3/1]妃羅◆x1TI9uE9ik]
翼とは運よく席はとなりどおし。
いつも笑わせてくれる。
授業中もいつも楽しい。

最近気持ちが通じ合ったのかと思うくらい
翼と仲がいい。

普段髪を結ばないあたしが
友達にいたずらで結ばれていたら
「見たい!どんなん?」って聞いてくる。

好きな人聞いたら
顔を赤らめて逃げていく。

そんなんみてあたしは
可愛いな、ってただただ思う。

カッコいい時と
可愛い時のギャップがたまんない。


そんな日が続いて
あたしは告白することにした。

⏰:09/03/27 10:36 📱:F01A 🆔:☆☆☆


#551 [きく(1/2)有]
背中が冷たかった。
何だかよく分からない、体験したことのない冷たさだ。例えるならそう、水に濡れた指が背中を這うような、そんな。
部屋も同様に寒かった。薄暗い和室の中、わたしは部屋の隅にある仏壇に目をやる。
そこには背を丸めて俯くひとりの男がいた。彼が誰であるのかなんてすぐに分かった。わたしの配偶者、つまり夫にあたる男性だ。
彼は仏壇の前で何をしているのだろうか。義父さんだって、もう何年も前に亡くなったのだ。今更そんな風に湿った空気になるのは少しだけ違和感がある。
わたしは一歩前に歩みを進めた。

⏰:09/04/19 20:17 📱:PC 🆔:aFY8ZasA


#552 [きく(2/2)有]
仏壇には菊の花が挿してあった。白い菊だ。夫は正座した膝の上に握り拳を置いて、首を項垂れて下を見ながら嗚咽を漏らしていた。
何がなんだか分からなかった。それに、背中の冷たさと眠気が消えない。わたしはそんなに寝ていなかっただろうか。あるいは――

「ねえ、何をそんなに泣いてるの?わたしで良かったら聞くよ」
わたしがそう言ってもウンともスンとも言わず、ただただ下を向いて涙をこぼすだけの彼。無視か、そうか。なんだか頼りにされていないようで心がチクリと痛んだ。
わたしは彼の隣に同じように正座し、仏壇に向けて手を合わせた。菊の匂いが鼻をかすめる。目をゆっくり開けると、隣で声がした。
「何で俺は、子供も、妻も、…亡くさなきゃならないんだよ…」

目を開けた先に見えたのは、義父さんではなく、わたしの写真。
菊の香りが舞ったとき、初めてわたしは自分が死んでいることに気づいた。

⏰:09/04/19 20:26 📱:PC 🆔:aFY8ZasA


#553 [Sense(1/2)]
レイは、勇気をふりしぼって一歩外に出てみた。

顔に、手に、身体全体にとめどなく降りかかる大きな雨粒。
レイはおもむろに手を天へと差し伸べる。
いくぶんか震えているその手は、しかし確かな強さを持って雨を感じていた。

だんだんと雨足が強まってくる。

レイの着ている赤いワンピースが水を吸って次第に重くなっていっても、レイはそこを動こうとはしなかった。

ただひたすらに、降りしきる雨の中を立っていた。

⏰:09/04/25 01:10 📱:N905i 🆔:☆☆☆


#554 [Sense(2/2)]
どれくらいの時間が経っただろうか、レイはずぶ濡れのまま家の中に入った。
玄関で、白い杖をついたびしょ濡れの娘を見たジェシカは驚いた。
「まあ、レイ…何をしていたのよ、まったく。外はまだ私と一緒じゃないと危ないって言ったじゃない。」
「庭に出ていただけよ…それよりママ、私やっと『雨』がどんなものか理解できたわ。雨ってすごいのね。ずっと糸のように水が降ってくるものだと思っていたのだけれど…違うんだわ。粒よ、粒。幾つもの水の粒が、私の手のひらではじけて溶けていくの。まるで宝石を浴びてるみたいだったわよ。私の目ではそれを見ることはできないけど、手のひらで感じるの。きらきらと天から宝石が降っているんだわ…きっと。」

見ることが叶わないのなら、感じればいいのだ。
盲目こそが世界をより正直に享受できるのだと、レイはこのあと何度も強く思うようになるのであった。

⏰:09/04/25 01:26 📱:N905i 🆔:☆☆☆


#555 [愛し(1/2)]
愛しい。

愛しい。

朝からずっと、こんなことばっかり考えてる。

愛しい。

仕事が手につかない。
早く家に帰りたい。

家には世界で一番愛しい妻と世界で一番かわいい娘が待っている。

俺、本当に結婚してよかった。

⏰:09/05/16 13:48 📱:N905i 🆔:☆☆☆


#556 [愛し(2/2)]
結婚してから2年。
ずっと幸せだったけど、最近娘が生まれてからは本当に幸せで。
家にいて娘を見ていると、嬉しいような、なんだか泣きたくなるようなそんな気持ちになる。
古文には「愛し(かなし)」という言葉がある。語源は「愛する人を思うと、幸せと同時にもの悲しくなるから」らしい。

まさにそれ。
愛しすぎて感極まってきちゃうんだよな。


俺、これからもっといい「お父さん」になるから。頑張って二人を守るから。

だから、いつまでも笑っていて。

⏰:09/05/16 13:56 📱:N905i 🆔:☆☆☆


#557 [渚坂]
定 期 あ げ !

⏰:09/05/25 19:58 📱:F905i 🆔:Kt2brzEY


#558 [1日(1/2)]
今日も彼女は、とっておきの笑顔を見せながら僕に話し掛けてくる。

「おはよう」

たったこの一言が、僕にとってどれだけ嬉しいことか。
毎朝この言葉で、僕は1日頑張ろうと心から思えるんだ。

はじめはまったく僕になついてくれなくて、本当に困った。
どんな話をしても、どんな動作をとっても反応は皆無と言っていいほど。
当時新米だった僕は、こんな仕事選ぶんじゃなかったかなって苦悩する日々が続いた。

⏰:09/05/25 20:44 📱:N905i 🆔:☆☆☆


#559 [1日(2/2)]
ある日、僕が趣味のトランペットを磨いていたときのこと。
「…それ、なに」
僕はもちろんびっくりして、「こ、これかい?これはトランペットって言うんだよ」とつぶやきながら、マウスピースを取り付けて吹いてみた。

「…!」

その日から、彼女は少しずつ心を開いてくれるようになった。

動かない手足。
細い腕に突き刺さる点滴。彼女はそれでも懸命に、僕のする話に相づちを打ち、笑い、泣き、驚いた。

やがて人工呼吸機が取り付けられるようになってからも、僕は毎日変わらず彼女に様々な話をした。


あとになって僕は彼女の余命を知らされた。

不思議と気分は穏やかだった。


余命があろうとなかろうと、僕にできることはただ一つ。
1日を無駄にしないこと。1日1回、彼女に話を聴かせてあげる、ただそれだけのことがどれほど彼女を助けているのかは分からない。

けれど、自己満足かもしれないけど…
僕は彼女の笑顔が見れることしかやりたくないんだ。逆に言えば、それしか方法がないんだ。



今日も彼女はとっておきの笑顔を見せながら、僕に話し掛けてくる。

「ありがとう」

⏰:09/05/25 21:00 📱:N905i 🆔:☆☆☆


#560 [[世界が開いた夏(1/3)]渚坂]
チリン―……

風鈴の音が耳に心地よい涼を運ぶ季節、私は一度目の前の縁側に腰掛け、ただ黙々と本を読む男に尋ねたことがあった。お前は私が不気味ではないのか、と。


「不気味?はは、まさか」


カラカラと渇いた笑い声とともに私の疑問は否定された。やつは左手にもっていた小説をパラパラとめくっていたかと思えば、何かを思い出したように頭を上げその漆黒の瞳が強く私を見つめた。
もちろん、彼の瞳に映る私の姿はない。私は鏡にも映らないし、水面にも映らない存在だから。


「いくら君が霊魂だとしても僕はちっとも怖くないよ。むしろ大歓迎だね」


それはお前が小説家だからだろう?ネタが欲しいだけなのだろう?と言い返せば、やつは私から視線を小説へと戻して小さく笑うだけだった。否定は、しない。


「現実は小説よりも奇なりと言ってね、僕は君のような存在が大好きなんだよ」

「……それは告白として受け取っていいのか?」

「それは困るね。幽霊に惚れるほど僕は愚かじゃない」


嗚呼、私がやつの家に来て一年が経つ。つまり都内の一角に隠れるようにして佇むこの家の主人と出会って一年が経つ。最初は私が他の人間に見えないことがすごく怖くて、自分は本当に死んだのだと痛感し涙を流すこともしばしばあった。

だが、それにももう慣れた。


「霊魂という存在にはたいそう興味があるけれど、君自身には全く興味ないから安心してよ」


真っ直ぐに私を見つめて話すやつの言葉は、もう動いていない私の心の臓に爪をかけ、深い傷をつける。

それにはまだ、慣れない。

……私が人間に恋して一年が経つ。

⏰:09/07/11 19:00 📱:F905i 🆔:tSzZ2Nw.


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