よすが
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#870 [○&◆oe/DCsIuaw]
間違い電話?いや…間違いだったらあんなに長くコールしていないだろうし、さすがに間違いに気付くだろう。では何故?何の目的で?
「.......駄目だ」
いくら考えても答えは出て来なかった。久しぶりの孝の家に緊張しているのだろうか。
:22/10/25 21:31
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#871 [○&◆oe/DCsIuaw]
割と近所にあるため、家の位置は忘れていない。不思議な感覚だ。九年ぶりの孝の家。あの頃はよく遊びに行ったものだ。今では曖昧な古い記憶でしかない。
「わ、懐かしい」
私は思わず立ち止まってしまう。白い壁に茶色の屋根。二階建ての西山家は孝と弟、そして両親の四人家族だ。緊張感が沸いて来るのがわかる。玄関をくぐれば記憶にある廊下や家具が迎えていた。
:22/10/25 21:32
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#872 [○&◆oe/DCsIuaw]
お邪魔します、と土足のまま室内へ上がる。全然変わっていない。九年ぶりの孝の家はあまり覚えておらず、玄関から二階の孝の部屋までだけが特に鮮明だった。二階に上がって見覚えのある部屋の前に立つ。懐かしさからか、家にお邪魔してから終始私の頬は緩んでいた。ノックも出来ない私は、するりと部屋に入った。
:22/10/25 21:32
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#873 [○&◆oe/DCsIuaw]
「いないじゃん」
誰もいない小綺麗な部屋を見渡して溜め息を吐いた。テレビが置かれたせいか、記憶にある部屋より狭く見える。
「暇だし、捜そうかな」
背伸びをしながら呟くと、私は部屋を後にした。.......とは言ったものの、手掛かり無しでこの広い街から孝を見付けるのは至難の技だ。携帯電話も使えなければ、人に尋ねることも出来ない。
:22/10/25 21:32
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#874 [○&◆oe/DCsIuaw]
孝を避けて九年間も過ごしていたため、習慣も知らないし、居そうな場所など見当も付かない。更に今日は日曜日だから学校は休み。さながら探偵気分の私は現状を悟れば悟るほど、気分は落ち込んでいく。まさに手掛かりゼロだ。とりあえず当てもなく路上を歩きながら、しらみ潰しに捜すことにした。そして、日が暮れたら孝の家で待ち伏せという作戦だ。
:22/10/25 21:32
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#875 [○&◆oe/DCsIuaw]
こんな真面目に策を練ってまで孝を捜してる自分の姿に自嘲気味に笑う。しかし、この探偵ごっこは早くも終わってしまった。孝を捜し始めて十五分。孝の家の近くの公園で目標を発見。私はすたすたと孝に近付いた。
「やっと見付けた」
無反応の孝は悩ましげな固い表情でベンチに座っている。とりあえず私も隣に腰を降ろした。しばしの沈黙。
:22/10/25 21:33
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#876 [○&◆oe/DCsIuaw]
「暇だなぁ。何か喋ってよ」
もう五分はこの調子だ。
会話すら出来ないんだから、せめて何か行動してくれないと来た意味がない。
「.......はぁ」
「どうしたの?溜め息なんか付いちゃって」
「.......」
「ま〜た、だんまり?」
:22/10/25 21:33
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#877 [○&◆oe/DCsIuaw]
:22/10/25 21:33
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#878 [○&◆oe/DCsIuaw]
:22/10/25 21:33
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#879 [○&◆oe/DCsIuaw]
:22/10/25 21:34
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#880 [○&◆oe/DCsIuaw]
:22/10/25 21:34
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#881 [○&◆oe/DCsIuaw]
:22/10/25 21:34
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#882 [○&◆oe/DCsIuaw]
:22/10/25 21:34
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#883 [○&◆oe/DCsIuaw]
:22/10/25 21:35
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#884 [○&◆oe/DCsIuaw]
:22/10/25 21:35
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#885 [○&◆t4uM8upmGg]
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:22/10/25 21:36
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#886 [ん◇]
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#887 [ん◇◇]
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:22/10/25 21:38
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#888 [ん◇◇]
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#889 [ん◇◇]
:22/10/25 21:38
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#890 [ん◇◇]
Bluebird
わたしは。なぜ本を買いに行ったのか?
わたしの通う樫ノ宮(かしのみや)中学校では毎朝、読書時間というものが十五分間設けられている。その時に読む本を買いに行ったのだ。なぜ、この本を選んだのか?
:22/10/25 21:43
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#891 [ん◇◇]
これといって欲しい本があったわけではない。わたしは漫画は読んでも、小説のように文字だけで紡がれた物語を読むのは苦手だった。文字の列だけが数百頁にもわたり延々と続いてるだけだなんて考えただけでも瞼が重くなってくる。.......正直、本ならなんでも良かった。そしてこの本に出会ったのは単なる偶然である。
:22/10/25 21:43
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#892 [ん◇◇]
店に入るとすぐ、レジの横に新作の本が何種類か並べられていて、なかでも、一際目を引く一冊があった。綺麗なコバルトブルーのカバーには金色の文字で【bluebird】と書かれており、真ん中には翼を広げて今にも飛び立ちそうな鳥の絵が描かれていた。いわば、一目惚れだった。
:22/10/25 21:43
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#893 [ん◇◇]
本当は適当に安い文庫本なんかを買って、お釣りで漫画本を買おうなどと考えていたのだがそんなことはもう頭になかった。母は小学校の教師をしている。わたしが買ってきた本をみせると「梨菜が漫画以外の本を買うなんて!」と、びっくりしていた。
「に、さん、ページよんで飽きたなんてことにならないといいけどね」と、母は笑ったけれど、そんなことにはならなかった。
:22/10/25 21:44
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#894 [ん◇◇]
読みはじめると、止まらなかった。続きが気になって仕方がなかったのだ。朝の読書時間だけにとどまらず、休み時間にも読み、授業中にも読み、放課後も残って読んだ。わたしはどの部活動にも属しておらず、いつもなら真っ直ぐ家に帰っている時間だったが、その日は誰もいない教室で一人静かに読書に耽(ふけ)った。
:22/10/25 21:44
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#895 [ん◇◇]
グラウンドで活動するサッカー部と野球部、陸上部の声が教室にまで届いている。同じ階にある音楽室からは吹奏楽部による演奏がきこえてきた。しかしひとたび本に集中すると、まわりの雑音は全て消えさり、無音の空間になるだ。そのせいだろう。話し掛けられていることに全く気付かなかった。
:22/10/25 21:44
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#896 [ん◇◇]
「.......大高!」
ハッとして顔をあげると目の前に同じクラスの奥村くんが立っていた。奥村くんはクラスでもかなり目立つほうで、明るく茶目っ気があり、みんなに好かれていた。当然友人も多く、誰とでもすぐにうちとける。わたしみたいに異性と話すときに緊張して口ごもってしまうということがない。
:22/10/25 21:44
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#897 [ん◇◇]
彼みたいな人を世渡り上手、というのだろうなと思った。
「あ、やっと気付いた。さっきから何回も呼んでたんだけどさ、シカトされてるのかと思ったよ」
突然話し掛けられ口ごもっているわたしを無視して、奥村くんは近くにあった椅子に腰掛けた。
「その本、今日ずっと読んでるね」
「あ、これ、面白いんです」
「だよね、俺も読んだことあるんだ」
:22/10/25 21:45
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#898 [ん◇◇]
「え?」
意外だ、と思った。
「俺、その著者好きなんだよね。知ってる?その人、この樫ノ宮町出身なんだぜ」
読み途中のページに指をはさみ、本を閉じて表紙をみた。金色の文字で【永原 愛(ながはらあい)】と印刷されている。奥村くんは【永原愛】について色々な話を聞かせてくれた。
:22/10/25 21:45
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#899 [ん◇◇]
「すごく詳しいんだね。ストーカーみたい」
決してほめたわけではないのだけれど、奥村くんは得意げにふふん、と鼻を鳴らした。家に帰ると、母が調度夕飯の支度を終えたところだった。テーブルの上には父と母とわたしの三人分のサバの味噌煮が並べられていた。サバの味噌煮は父の大好物である。
:22/10/25 21:45
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#900 [ん◇◇]
「あ、梨菜お帰り。ご飯できたからお父さん呼んできて」
「.......わたし、あんまりサバってすきじゃないんだよね」
「いいから早く呼んできなさい!」
渋々階段を上がり、父の部屋のドアをドンドン、と叩いた。
「お父さん、ご飯だよ!」
:22/10/25 21:45
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