夢の中の私の影
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#1 [紫陽花]
初めまして紫陽花と言います。

小説を書くのは初挑戦なので誤字脱字などあると思いますが、読んでいただき感想をもらえると嬉しいです!!(∀・。)

⏰:08/04/08 22:15 📱:F905i 🆔:akYivROE


#2 [紫陽花]
アンカー
>>1ー200
>>201ー400
>>401ー600
>>601ー800
>>801ー1000


感想版です
bbs1.ryne.jp/t.php?b=novel

⏰:08/04/08 22:16 📱:F905i 🆔:akYivROE


#3 [紫陽花]
早速ミス……

>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-1000

⏰:08/04/08 22:20 📱:F905i 🆔:akYivROE


#4 [紫陽花]
プロローグ


そのとき私は
暗い暗い闇の中にいた。

目は何も見えない、
肌には暖かさも、
寒ささえも感じない。

ただ、ただ
目の前に闇が広がる。

⏰:08/04/08 22:21 📱:F905i 🆔:akYivROE


#5 [紫陽花]
でも頭の芯だけはハッキリしていて、これは夢だとなんとなく考えた。



そんな中、不意に
音が聞こえた……。
いや、聞こえたと言う表現は不適切だろう。

⏰:08/04/08 22:22 📱:F905i 🆔:akYivROE


#6 [紫陽花]
耳からではなく直接脳に音を送られているような妙な感覚だが確かに音がする……。

これは……声?


音を聞き取ろうと
しばらくの間
闇の世界から
瞳の奥の闇へと
目を閉じてみる。

⏰:08/04/08 22:23 📱:F905i 🆔:akYivROE


#7 [紫陽花]
「………たすケ…てッ………
マだ………死……ャだッッッ!!」





これは………なに?
微かだが人の声のような音が脳に送り込まれてくる。

⏰:08/04/08 22:24 📱:F905i 🆔:akYivROE


#8 [紫陽花]
これは本当に夢なのか?





あれ………。
そういえば
私はいつから夢を見てるの?

⏰:08/04/08 22:25 📱:F905i 🆔:akYivROE


#9 [紫陽花]
…………これは現実?



それとも………夢の中?







〜夢の中の私の影〜

⏰:08/04/08 22:26 📱:F905i 🆔:akYivROE


#10 [紫陽花]
.




「またあの夢……」


ここ2〜3日続けて同じ夢を見たな……。何かの予兆だろうか?

⏰:08/04/08 22:41 📱:F905i 🆔:akYivROE


#11 [紫陽花]
しかし夢といっても自分が、ただ暗闇の中に立っていて時折、声らしきものが聞こえるだけのとても奇妙な夢。

そして決まって夢から覚めた私は寝汗と言うにはふさわしくないほどの汗をかいているのだ。

⏰:08/04/08 22:41 📱:F905i 🆔:akYivROE


#12 [紫陽花]
今はまだ太陽も昇っていないし季節的にも夏を待っているくらいなのに、パジャマ代わりの長袖のシャツがほんのり湿っている。



着替えようとタンスに手を伸ばすが、どうしても夢の事が頭から離れない。

⏰:08/04/08 22:42 📱:F905i 🆔:akYivROE


#13 [紫陽花]
ただの夢にしては妙に頭に引っかかる。


誰かに相談などしようにも、私の親は私が小さい時に事故で他界している。
その後面倒を見てくれていたおばあちゃんも私が15の時に亡くなった。



それから約2年間、私はずっと一人暮。

⏰:08/04/08 22:43 📱:F905i 🆔:akYivROE


#14 [紫陽花]
感想版
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⏰:08/04/08 22:49 📱:F905i 🆔:akYivROE


#15 [紫陽花]
血縁者としては警察官として多忙な毎日を送っている叔父がいるが、忙しすぎてこんな戯れ言のような話など聞いてくれないだろう。



そんなことを考えている内にもう日が昇り始めた。
日が昇り始めると言うことは
今の季節では家を出る時間を示す。

「やばっ!!!!」
私の脳裏に『遅刻』の二文字が並ぶ。

⏰:08/04/08 23:55 📱:F905i 🆔:akYivROE


#16 [紫陽花]
電車通学の私には1分の遅れも許されない。電車は待ってくれないのだから。


慌ててシャツを着替え学校指定の服を着る。朝ご飯はコンビニでパンでも買うとしよう。

「いってきます!!」

返事をしてくれる人などもちろんいない。だけど毎朝「いってきます」だけは必ず言うようにしている。

⏰:08/04/08 23:56 📱:F905i 🆔:akYivROE


#17 [紫陽花]




そうでもしないと
独りぼっちの寂しさに
押しつぶされそうだから。



_

⏰:08/04/08 23:58 📱:F905i 🆔:akYivROE


#18 [紫陽花]
――――――……

――――……





「柚紀ちゃ〜ん早く!!電車でちゃう!!」

あぁ……分かってるから、ちょっと待って。車掌さんあと10秒でいいから待って!!!

⏰:08/04/09 22:06 📱:F905i 🆔:y9zhZnzw


#19 [紫陽花]
改札まであと10メートル。

走りつつも制服の胸ポケットから定期を取り出す。走っているからか焦っているからなのか思うように定期が出てこず焦りは不安へと変わる。

⏰:08/04/09 22:07 📱:F905i 🆔:y9zhZnzw


#20 [紫陽花]
改札まで5メートル。




しかし、なんとか定期を取り出し馴れた手つきで滑るように定期を改札へ。


カシャン カシャンと軽快な音が響き定期は改札から出てくる。

⏰:08/04/09 22:08 📱:F905i 🆔:y9zhZnzw


#21 [紫陽花]
そしてそのままのスピードで、すぐさま電車へと飛び乗る。



私が電車に乗ったと同時に
プシューと空気音を鳴らして鉄の扉は閉まった。





ギリギリセーフ……。

⏰:08/04/09 22:09 📱:F905i 🆔:y9zhZnzw


#22 [紫陽花]
「ごめん陽乃…。考え事してたら時間過ぎちゃって……」

一息着いたところで陽乃に待たせたことを謝る。


「いいよ、いいよ。私もよく遅刻しちゃうし。それにあのぐらいの遅刻で怒っちゃうほど私短気じゃないから!!」

陽乃は八重歯を少しだけ見せて笑う特有の笑顔で私を許してくれた。

⏰:08/04/09 22:10 📱:F905i 🆔:y9zhZnzw


#23 [紫陽花]




……なんていい子なんだろう。




しみじみと陽乃という友達をもてて私は幸せ者だと感じる。

⏰:08/04/09 22:12 📱:F905i 🆔:y9zhZnzw


#24 [紫陽花]
感想版、全部ミスでした…

感想版
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3531/

⏰:08/04/10 06:41 📱:F905i 🆔:Vqy2kcZ2


#25 [紫陽花]
陽乃は学校でもみんなから好かれていつもクラスの柱のような存在。
所属している吹奏楽部も次期部長とうたわれるぐらい人望は厚い。クラスの中で陽乃を嫌っている人物などいないし、学年の中でも嫌っている人物はいないだろう。

⏰:08/04/10 20:01 📱:F905i 🆔:Vqy2kcZ2


#26 [紫陽花]
それに比べて……

私はクラスではそんなに目立つ方じゃないし、きっと陽乃と友達だからクラスに馴染めているだけ。もし陽乃と友達でなかったら確実に独りぼっちだろう。もちろん部活には入っていない。そんな私の本当の友達と言えるのは陽乃だけ。

⏰:08/04/10 20:03 📱:F905i 🆔:Vqy2kcZ2


#27 [紫陽花]
でもそんな陽乃なら今朝の夢を笑わずに聞いてくれるかもしれない。

そんな神の存在を願うかのような、ささやかで、か細い祈りのような願いが私の中に起こり意を決してゆっくり口を開く。

「ねえ…陽……「あっ!!柚紀ちゃん大丈夫?」

⏰:08/04/10 23:12 📱:F905i 🆔:Vqy2kcZ2


#28 [紫陽花]
何というタイミングの悪さ。
私は仕方なく、名前を呼ぼうとした口を変換させ

「なにが?」

と、だけ短く返事する。

⏰:08/04/10 23:13 📱:F905i 🆔:Vqy2kcZ2


#29 [紫陽花]
「今日から体育は水泳だよ。柚紀ちゃんプール苦手だったよね……。去年は溺れそうになったり貧血起こしたりしたでしょ?今年はプール大丈夫?」

陽乃はおずおずと心配そうに私の顔をのぞき込んできた。

「ん〜なんとかなるんじゃない?いざとなれば保健室に逃げ込むよ」

私はわざとふざけたように返事をした。どうしてか分からないが今、陽乃に余計な心配をさせてはいけない、そんな気がしたから。

⏰:08/04/10 23:14 📱:F905i 🆔:Vqy2kcZ2


#30 [紫陽花]
陽乃は何か言いたそうに見つめてくるが、私は鞄から単語帳を取り出し視線を陽乃から外した。

確かにプールは苦手。でもそれは今に始まった事じゃない。
陽乃は知らないが、私はプールに入ると気分が悪くなると言う症状を小学校の時から抱えている。

⏰:08/04/11 21:36 📱:F905i 🆔:ylE0ZPrI


#31 [紫陽花]
体の硬直・貧血
目眩・息切れ・過呼吸……

プールで気を失い水死しそうになったことだってある。けれど水泳の授業に出席しなければ体育の単位は取れない。
だから陽乃には悪いが私は無理してまで授業に出席しなければいけないのだ。

水泳の授業なんて無ければいいのに。それに何で私はプールが苦手なのだろう……

⏰:08/04/11 21:38 📱:F905i 🆔:ylE0ZPrI


#32 [紫陽花]
――――――――………

―――――………



目を開けるとそこには真っ白な天井と清潔感を漂わせる純白のカーテンがひらりひらりと風に揺れていた。

⏰:08/04/11 21:39 📱:F905i 🆔:ylE0ZPrI


#33 [紫陽花]
「また、やっちゃった…」

体育の授業で陽乃と一緒にプールへ入り、とりあえず体を水に慣らしたところまでは鮮明に記憶があり思い出すことができる。

けれど10分ほどたった頃からだろうか急に体が鉛のように重くなり瞼さえも開けておくのが億劫に感じ、最後に見えたのは陽乃の青ざめた顔。

⏰:08/04/11 21:40 📱:F905i 🆔:ylE0ZPrI


#34 [紫陽花]
また心配かけてしまった……。
保健室のベッドの上で小さく寝返りをうち、自己嫌悪に入る。白く清潔なシーツたちとは裏腹に私の心は暗く自分の不甲斐なさにため息がでる。

なんでこんなにプールが苦手なのだろう。

⏰:08/04/11 21:43 📱:F905i 🆔:ylE0ZPrI


#35 [紫陽花]
それに、私の悩みはプールだけではない。あの奇妙な夢のこともある。
「さっさと陽乃に相談していればよかったなぁ…」


そう思いながらも清潔感漂うこの部屋の静寂が私の瞼を落とさせるのには、そう時間はかからなかった。

⏰:08/04/11 21:43 📱:F905i 🆔:ylE0ZPrI


#36 [紫陽花]
感想版
読んでる方がもしいたら
ぜひ感想ください!!(゚∀゚)

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3531/

⏰:08/04/11 21:48 📱:F905i 🆔:ylE0ZPrI


#37 [紫陽花]
――――――――………

―――――………


「陽乃!!おはよう」
「おはよう柚紀ちゃん。あのね聞いてよ〜」

季節は夏を早々と迎えもう、少し哀愁を帯びた風の吹く秋へと変化していた。

⏰:08/04/13 09:11 📱:F905i 🆔:SVHYHgLM


#38 [紫陽花]
陽乃とは毎朝一緒に学校へ行っているし今までと変わらず、いたって普通の生活を送っていた。

ある一点をのぞいては。

あの奇妙な夢のことだ。
最近、前以上に夢見が悪く寝汗も秋だと言うのに尋常じゃないほどかいている。

⏰:08/04/13 10:30 📱:F905i 🆔:SVHYHgLM


#39 [紫陽花]
そんな憂鬱な秋の日、事件は起こった。いや、螺旋階段のような終わりの見えない事件は始まったのだ…。



_

⏰:08/04/14 21:14 📱:F905i 🆔:ygl5UK7Q


#40 [紫陽花]
「おはよ〜みんな!!」
陽乃は朝から元気で、みんなに声をかける。

「おはよ陽乃、柚紀。ねえ、ちょっとこれ見て…」

クラスの友人である香奈は私たちを見るなり声のトーンを一つ落として、ある一点に視線を当てた。
私と陽乃も視線をおって教室を見回してみる。


「……花瓶?」

⏰:08/04/14 21:15 📱:F905i 🆔:ygl5UK7Q


#41 [紫陽花]
クラスの窓側の席に白く質素な百合の花が飾ってあった。


確かあの席に座っていたのは美化委員の里山君のはず。
里山君は私と幼稚園からの腐れ縁で、幼稚園から高校までずっと同じ学校だった。

⏰:08/04/14 21:16 📱:F905i 🆔:ygl5UK7Q


#42 [紫陽花]
里山君はクラスの中で私以上におとなしい人。
いや、目立たないと言った方が正しいのかもしれない。

彼の風貌からは髪が短くすっきりとしていて制服はきちんと着こし、もとからであろう小麦色の肌がいかにもスポーツマンのようなイメージを連想させる。

⏰:08/04/15 21:18 📱:F905i 🆔:ZHIiLkac


#43 [紫陽花]
ただ、そんな彼はイメージとは似つかわしくなく、いつも隅っこで他人の目を気にするようにおどおどと本を読んでいた。

⏰:08/04/15 21:18 📱:F905i 🆔:ZHIiLkac


#44 [紫陽花]
「里山君がどうかしたの?」

机に花瓶。誰が考えたって理由は一つしかない。けれどその悪い予感を振り払うように祈る気持ちで私は香奈に問う。



だがその祈りは空の向こうにいるであろう神様には届かなかった。

⏰:08/04/15 21:19 📱:F905i 🆔:ZHIiLkac


#45 [紫陽花]
「里山君が…亡くなっ……たんだって………」

言葉をなくした。

いや、頭の中に言葉が渦巻いて私の国語能力では言葉にできなかった。

⏰:08/04/15 21:20 📱:F905i 🆔:ZHIiLkac


#46 [紫陽花]
里山君ガ死ンダ?
幼稚園カラ友達ダッタンダヨ?

ヤッパリ、ソンナ気ガシテタ

デモ、ナンデ?
ナンデ?

ナンデ?

ナンデ?

⏰:08/04/15 21:21 📱:F905i 🆔:ZHIiLkac


#47 [紫陽花]
「なんで里山君亡くなったの?病気?事故?それとも…」

私の疑問を口に出すより早く陽乃が口を開いた。陽乃の冷静さに少し驚いたが私も香奈の答えを待つ。

だが香奈は下を向いたまま首を振るだけ。

「まさか…」

⏰:08/04/15 21:21 📱:F905i 🆔:ZHIiLkac


#48 [紫陽花]
香奈は顔を上げた。
目には涙を浮かべ、


「里山君殺されたの…」


今にも消え入りそうな声で呟いた。香奈の目には大粒の涙。けれど彼女は自分が担任から聞いた里山君の最後の姿を話していく。

⏰:08/04/16 22:55 📱:F905i 🆔:7Jb0hacc


#49 [紫陽花]
香奈の話はこうだった。

その日里山君は塾に行っていたのだが、あまりにも帰りが遅いので彼の母が心配し警察に捜索願を出したということ。

無事里山君は見つかったが、その時点で彼はもう死んでいたらしい。

里山君の殺され方は首を強く絞められたための窒息死。人とは思えないほどの握力で彼の息をするための細い管は締め付けられ頭を支える首の骨も折られていたらしいのだ。

⏰:08/04/16 22:55 📱:F905i 🆔:7Jb0hacc


#50 [紫陽花]
「ひどい…。いったい誰が…」

「今警察が通り魔の犯行ってことで調査してるらしいの。でも…早く犯人捕まえないと里山君成仏できないよ!!!」


香奈は半ば叫ぶように声を荒げた。そう、香奈は里山君のことだ好きだったから。

⏰:08/04/18 00:24 📱:F905i 🆔:WisuNr4Q


#51 [紫陽花]
「香奈……」

私だって大切な人を亡くす悲しみと辛さはよくわかる。

涙は枯れると言うことを知らないかのように制御不能で零れ落ち、体は重力に逆らうことを止め崩れ落ちる。

声をかけてほしい。
ほっといてほしい。

慰めてほしい。
同情しないで。

心の中ではそう叫ぶが、喉のあたりまで来て嗚咽へと変わる。

⏰:08/04/18 00:25 📱:F905i 🆔:WisuNr4Q


#52 [紫陽花]
その日先生がお焼香やお葬式について説明していたが、私は泣きじゃくっていた香奈と殺された里山君の事をぼんやりと考えていた。

⏰:08/04/18 00:26 📱:F905i 🆔:WisuNr4Q


#53 [紫陽花]
感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3531/

⏰:08/04/18 00:29 📱:F905i 🆔:WisuNr4Q


#54 [紫陽花]
――――――………

―――――……



ここはやっぱりいつもの夢の中だろうか?辺りを見回しても闇ばかり。むしろ自分が今、目を開けていて物を見ようとしているのかを疑いたくなるような闇。自分の目が何を映しているのか分からない。

⏰:08/04/19 20:31 📱:F905i 🆔:a5Sf4KpM


#55 [紫陽花]
だが頭は冴えており、やっぱりこれは夢だろうと確信している自分がいる。

とは言え、光という目に見える確かなものが無いせいか、これは夢なのだと分かっていても鳥肌が立つ。





「タスけッ………てッ…!!マ……て……くれッ!!!」

⏰:08/04/20 16:27 📱:F905i 🆔:2A42QSR2


#56 [紫陽花]
そして、またいつもの声がする。否、音という情報だ。

どうせこの後、じめじめするような気持ちの悪い寝汗とともに目が覚めるのだろう。そう思い、自分が夢から覚めるのをしばらく待ってみる。

けれど一向に暗闇は続き音も送られ続ける。ふとあることに気付いた。


『あれ……?この声どっかで聞いたことがあるような……』

⏰:08/04/20 16:28 📱:F905i 🆔:2A42QSR2


#57 [紫陽花]
――――――――………

――――――………

目を開けると朝の白く透き通るような光りが窓から差し込んでいた。


私はベッドから上半身だけを起こし右手を額に当てる。
寝汗もさることながら、今日は頭痛も私の体をベッドから出させるのを億劫にさせていた。

⏰:08/04/20 16:29 📱:F905i 🆔:2A42QSR2


#58 [紫陽花]
歯痒い。


だが、いつまでもこうやって気を沈ませているわけにはいかない。

体を起こし私は学校へ行く準備を始めた。

⏰:08/04/20 16:29 📱:F905i 🆔:2A42QSR2


#59 [紫陽花]
――――――………

―――――……

里山君が死んでから一週間。

最初はみんな里山君の死を悔やみ、うつむいた日々を送っていたが最近では以前と同じように、たわいのない会話で笑顔をこぼせるようになっていた。

それは私も同じ。

⏰:08/04/22 22:01 📱:F905i 🆔:U1RFsk56


#60 [紫陽花]
幼稚園からの中である里山君を忘れたわけではないが、私の住むこの町、いや私の世界は何ら変わらず回っていた。


だが、まだ里山君を殺した犯人は見つかっておらず香奈だけは落胆した日々を送っているようだった。

⏰:08/04/22 22:02 📱:F905i 🆔:U1RFsk56


#61 [紫陽花]
「おはよう柚紀ちゃん」

今日も陽乃と一緒に登校。

最近ぐっと冷え込んだ夜が続き朝の太陽が昇るこの時間でさえ冬の冷たさを思わせるような木枯らしが吹いていた。

⏰:08/04/26 22:37 📱:F905i 🆔:IhfNIffw


#62 [紫陽花]
しかし、そんな冷たい灰色のような木枯らしも陽乃の前では春風のような桃色へと形を変えるようだ。なぜなら陽乃と一緒に歩きともに時間を過ごすだけで心は穏やかになる自分がいるのだから。



けれど、そんな私の穏やかな時間は長くは続かなかった…。

⏰:08/04/26 22:37 📱:F905i 🆔:IhfNIffw


#63 [紫陽花]
また殺人が起きたのだ。



被害者は隣のクラスの赤崎さん。彼女は文芸部に入っていて少し長い髪を三つ編みにし、黒縁めがねをかけた、いかにも文学少女と言った人。

彼女の死因も窒息死でありと里山君同様、首の骨を折られていた。さらに今回の殺人は里山君との共通点がある。

それは……

⏰:08/04/26 22:38 📱:F905i 🆔:IhfNIffw


#64 [紫陽花]
「2人とも柚紀ちゃんと幼稚園から今まで一緒の人だよね…?」

陽乃私に声をかける。


そう。二人とも私と幼稚園から同じ時間を過ごしてきた旧友なのだ。

⏰:08/04/26 22:39 📱:F905i 🆔:IhfNIffw


#65 [紫陽花]
だから

「赤崎が殺された」

その言葉を担任から聞いたときは本当に自分の耳を疑った。

この人は何を言っているの?
先週里山君が殺されたばっかりじゃない。里山君も赤崎さんも幼稚園からの知り合いなのよ!

⏰:08/04/26 22:39 📱:F905i 🆔:IhfNIffw


#66 [紫陽花]
けれど私の叫びは喉のところまできて外の世界に放たれなかった。いや、叫んだところで現実は変わらない。私同様みんなもわかっているのかただ下を向くだけ。


ふと、窓の外を見ると今年初めての雪が舞い降りていた。まるで里山君と赤崎さんの冥福を祈るかのように。

⏰:08/04/26 22:40 📱:F905i 🆔:IhfNIffw


#67 [紫陽花]
感想版
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3531/

誰か読んでくれてる人いますか?
(´;ω;`)

⏰:08/04/26 23:19 📱:F905i 🆔:IhfNIffw


#68 [紫陽花]







赤崎さんが殺された次の日
私は警察に呼ばれた。

⏰:08/04/27 19:39 📱:F905i 🆔:wFdsYbZI


#69 [紫陽花]
やっぱりというか殺された二人が私の旧友であることは捜査が進めば分かること。私の通う高校で彼らと幼稚園から一緒なのは私だけ。

ならばいくら私が未成年でも事件の鍵を握っているかもしれない重要参考人として…いや、もしかしたら容疑者かもしれないと疑われるのは自然なことだろう。

⏰:08/04/27 19:40 📱:F905i 🆔:wFdsYbZI


#70 [紫陽花]
時計としての機能もある携帯のデジタルな数字が示す時刻は
午後1時20分。

何時頃に帰れるのだろう。今日は高校生らしく宿題でもしようと計画していたのに。

⏰:08/04/27 19:41 📱:F905i 🆔:wFdsYbZI


#71 [紫陽花]
「本当に私何も知らないのになぁ…」

しゃべり声や電車の走る機械的な音がする車内の中で私の主張は誰の耳にはいることもなくかき消された。

⏰:08/04/27 19:41 📱:F905i 🆔:wFdsYbZI


#72 [紫陽花]
午後1時32分
――警察署――

この建物はこんなに威圧感のあるものだったのだろうか?いつもならこの建物の前を笑って歩けるし、気にもとめないのだが何故か今日は私の中の恐怖心を逆なでしている。

⏰:08/04/27 19:42 📱:F905i 🆔:wFdsYbZI


#73 [紫陽花]
そう思い苦笑いをする。

正直、この建物に入るのが怖い。
しかし刑事さんと待ち合わせている時間は1時30分。昨夜あった電話で

「中に入って待っていてくれ。迎えに行くから。」

と、言われていた。

息を大きく吸い込み仕方なく建物へと足を動かす。

⏰:08/04/27 19:43 📱:F905i 🆔:wFdsYbZI


#74 [紫陽花]
「君、柚紀ちゃ……ん?」

建物の中に入り5分ぐらいした頃だろうか、いきなり後ろから名前を呼ばれた。

⏰:08/04/27 19:44 📱:F905i 🆔:wFdsYbZI


#75 [紫陽花]
突然名前を呼ばれ多少驚いたが、私を呼んだ声はどこかで聞いたものだった。



「……優人おじさん!!」

私を迎えに来てくれたのは優人おじさんだった。

⏰:08/04/27 19:44 📱:F905i 🆔:wFdsYbZI


#76 [紫陽花]
優人おじさんは私の唯一の家族とも呼べる人。母の弟に当たる人だ。だが弟と言っても母とはまったく血がつながっていない。要するに養子の子だったらしい。


そんなおじさんは男の人とは思えないほどの直毛でいつもサラサラの前髪を風になびかせている。

⏰:08/04/27 19:45 📱:F905i 🆔:wFdsYbZI


#77 [紫陽花]
仕事が忙しいらしく、もう二度と会えないと思っていた。それに私のことなんて記憶に残ってないと思っていた。

だから私は独りぼっちなんだ……そう思っていたのに。


最後にあったのは祖母のお葬式のとき。刑事になった、とはそのとき聞いていたがまさかここで勤務していたなんて…。

⏰:08/04/27 19:46 📱:F905i 🆔:wFdsYbZI


#78 [紫陽花]
「びっくりした―!!先輩に女の子を迎えに行けって言われてたけど、まさか柚紀ちゃんだなんて……って大丈夫!?」

私は知らず知らずのうちになかり緊張していたみたいだった。この威圧感の中で知っている人を見つけた安心からか思わず涙ぐんでいた。

⏰:08/04/27 19:46 📱:F905i 🆔:wFdsYbZI


#79 [紫陽花]
「なんでもない…あくびだから……」

強がってみたけどおじさんには分かっていたみたいだ。

そっと私の頭に手を乗せ

「大丈夫だから。怖くないよ」

まるで泣きじゃくる子をあやすように優しく包み込むように声をかけてくれた。

⏰:08/04/27 19:47 📱:F905i 🆔:wFdsYbZI


#80 [紫陽花]
おじさんには超能力でもあるのか、頭を撫でられただけで心の中のもやもやはなくなり欠伸だと言い張った涙もなくなり落ち着きを取り戻せた。

「私もう子供じゃないんだからね」

⏰:08/04/27 19:48 📱:F905i 🆔:wFdsYbZI


#81 [紫陽花]
おじさんは少しキョトンとしたがすぐに笑顔になり私に言葉をかけた。

「そんな強がりが言えるならもう平気だね。じゃあ付いてきて」

⏰:08/04/27 19:48 📱:F905i 🆔:wFdsYbZI


#82 [紫陽花]
私はハッとした。
一瞬忘れていたが私はこれからいろいろと質問されるのだ。そのことを考えると体が少しこわばるのが分かった。


話をするところは4階にあるらしくエレベーターへと二人で乗り込む。その間優人おじさんは自分の話をしてくれた。

⏰:08/04/27 19:49 📱:F905i 🆔:wFdsYbZI


#83 [紫陽花]
無事警官になったこと。
その後、殺人事件を主に取り扱う部署に入ったということ。

そして今、担当している事件は里山君と赤崎さんの殺人事件ということ。

⏰:08/04/27 19:50 📱:F905i 🆔:wFdsYbZI


#84 [紫陽花]
そんな話をしていると部屋に着いたらしく私もおじさんの隣に慌てて立ち止まった。

ここがその部屋?

そう尋ねたくて右にいた優人おじさんに目を向ける。

⏰:08/04/27 19:51 📱:F905i 🆔:wFdsYbZI


#85 [紫陽花]
けれど、おじさんの顔はさっきまでとは違った神妙な面もちへと変わっていて、そして悲しそうな目で私を見つめていた。


「詳しい話はまた後で先輩が話すから。今日の僕の仕事はここまで……。」

優人おじさんは呟くように言った。

⏰:08/04/27 19:52 📱:F905i 🆔:wFdsYbZI


#86 [紫陽花]
「そっか……」

ここで我が儘を言っておじさんを困らせてはいけないと思い、聞き分けのよい子を演じる。
本当はまだ心の中に不安という闇が渦巻いているが仕方ない。

⏰:08/04/27 19:52 📱:F905i 🆔:wFdsYbZI


#87 [紫陽花]
ならばと思い扉の向こうで私を待っている人のためにドアノブへと手を伸ばす。

「柚紀ちゃん!!」

また優人おじさんに大きい声で名前を呼ばれた。近くにいるんだから、そんなに大声出さなくたって聞こえてるのに。

⏰:08/04/27 19:53 📱:F905i 🆔:wFdsYbZI


#88 [紫陽花]
「柚紀ちゃん…これ……」


そう言うとおじさんは同時に胸ポケットから手帳を取り出しビリビリと後ろの方を破りだした。そしてなにやら書き込んでいるようだ。

⏰:08/04/27 19:54 📱:F905i 🆔:wFdsYbZI


#89 [紫陽花]
感想板

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3531/

⏰:08/04/27 19:58 📱:F905i 🆔:wFdsYbZI


#90 [紫陽花]
「これ俺の電話番号と携帯のアドレス。寂しくなったら電話でもメールでもしてきてよ!!僕は血のつながりが無くても柚紀ちゃんのおじさんなんだから!!」

そうやって一枚のギザギザに破られた紙を渡してきた。

⏰:08/04/28 22:31 📱:F905i 🆔:fbLOZbSQ


#91 [紫陽花]
本当におじさんにはかなわないな。
さりげない行動が今まで孤独だと思って、暗く闇の奥のほうに沈んでいた心を温めてくれる。心に渦巻く不安を取り去ってくれる。

⏰:08/04/28 22:32 📱:F905i 🆔:fbLOZbSQ


#92 [紫陽花]
「ありがとう…」

紙を受け取るときの私の手は震えていたのかもしれない。

祖母を亡くしてから初めて家族と言ってもいいような温もりにふれたのだ。



ただ、ただ嬉しかった。

⏰:08/04/28 22:33 📱:F905i 🆔:fbLOZbSQ


#93 [紫陽花]
「じゃあ僕は行くから……先輩は怖い人じゃないから安心していいよ」

「分かった。じゃあ、せっかくアドレス教えてもらったから連絡する…と……思う」


それを聞くとおじさんは優しく微笑み私に背を向けて歩き出した。

⏰:08/04/29 15:30 📱:F905i 🆔:beHrmtzs


#94 [紫陽花]
私も前に進まなきゃ―――

そしてドアノブに手をかけゆっくりと扉を開けた。

⏰:08/04/29 15:31 📱:F905i 🆔:beHrmtzs


#95 [紫陽花]
――――――――………

―――――――……

「秋野 柚紀さんだね?」

扉の向こうにはYシャツを肘まで捲り上げ黒のネクタイを締めた一人の男性が椅子に座っていた。

⏰:08/04/29 15:32 📱:F905i 🆔:beHrmtzs


#96 [紫陽花]
部屋の中には椅子、机、時計など必要なものだけが置いてあり壁は白く、いたって簡素な造りだ。
だが、窓がない……。
それを除けば普通の部屋なのだが窓という光を取り込むものがなければ、ここはとても重い空間となっている。

⏰:08/04/29 15:32 📱:F905i 🆔:beHrmtzs


#97 [紫陽花]
私が挙動不審とも見られるように部屋を見回していたからか男性は苦笑し、口を開いた。

「どうぞ、座ってください」

そう言って椅子を示され私は言われるまま無言で椅子へと腰掛ける。ちょうど机を挟んで向かい合うような形だ。

⏰:08/04/29 15:33 📱:F905i 🆔:beHrmtzs


#98 [紫陽花]
「私が堂本優人の同僚である浅田賢です。今日はあなたに大切な話があるのでわざわざ来ていただきました」


おじさんの先輩は浅田と言うらしい。髪型は坊主に近い短髪で優人おじさんに比べれば体格はがっちりとしている。捲り上げたYシャツから体育の先生のようなイメージを連想させた。

そして左手にはキラリと光る指輪が。

⏰:08/04/29 15:34 📱:F905i 🆔:beHrmtzs


#99 [紫陽花]
「私に何かついてますかね?」
あまりにも観察しすぎたのか浅田さんは不思議そうな顔で尋ねてきた。

「い…いえ。何でもないです。それより大切な話とは何ですか?」

⏰:08/04/29 15:34 📱:F905i 🆔:beHrmtzs


#100 [紫陽花]
私はいきなり核心を突いた質問を投げかける。回りくどいのは嫌い。それに疑っているのならハッキリと言ってもらった方が反論しやすいから。

浅田さんは机の上に両手をのせ指をくんだ。先ほどまでとは違った雰囲気が小さなこの部屋に立ち込める。

⏰:08/04/29 15:35 📱:F905i 🆔:beHrmtzs


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