・・万華鏡・・
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#601 [urahanai]
:08/11/11 18:35
:SH904i
:k9PGqM1Y
#602 [果樹]
urahanaiさん
アンカーありがとうございます☆
:08/11/12 00:52
:P902iS
:☆☆☆
#603 [果樹]
立ち上がった瞬間、小鶴さんが階段側から現れて目があってしまった。
言い訳の言葉も出てこない俺はその場で硬直。
「く・・らはしくん・・・」
小鶴さんも驚いているのか大きな目がさらに大きくなっている。
「ご、ごめんっ」
:08/11/12 00:53
:P902iS
:☆☆☆
#604 [果樹]
ガバッと頭を下げて俺は小鶴さんに謝り横を通り抜けて理科室へと向かった。
――――・・・
聞かれちゃったかな・・・。
倉橋くんが行った方を見て私は少し気分が落ちる。
チクン・・・。
:08/11/12 00:53
:P902iS
:☆☆☆
#605 [果樹]
なんだろう。
最近胸が痛くなったりもやもやしたり忙しい。
倉橋くんに会ってから。
倉橋くんに会うたびに・・・。
これってまるで・・・――!!
――――・・・
「なんだ倉〜元気ねぇなぁ」
:08/11/12 01:47
:P902iS
:☆☆☆
#606 [果樹]
机の上でだれていると哲が心配をして声をかけてきた。
「そーかぁ?」
さっきの小鶴さんの表情が忘れられなくて俺は適当に返事を返す。
絶対変に思われたよなぁ。
はぁ・・・。
:08/11/12 01:48
:P902iS
:☆☆☆
#607 [果樹]
「倉ー廊下で女が呼んでたぞ」
「んーサンキュ」
友達に言われて俺はノロノロと立ち上がり廊下に向かう。
「あれ?麻衣ちゃん」
廊下に行くと麻衣ちゃんがいた。
「ちょっといいかな?」
「うん・・?」
:08/11/12 01:48
:P902iS
:☆☆☆
#608 [果樹]
呼ばれるままに俺は麻衣ちゃんと階段の方に行く。
「倉橋くんてつる子のこと好きだよね?」
階段までくると前ふりもなくいきなり麻衣ちゃんが核心をついてきた。
「え!?あっ・・あー・・・それって小鶴さんにもバレてる?」
:08/11/12 01:49
:P902iS
:☆☆☆
#609 [果樹]
質問の内容に焦ったがバレたものはしょうがないと俺は諦めて力なく麻衣ちゃんに質問を投げ返す。
「ううん。つる子は鈍いから」
ふふっと楽しそうに言う麻衣ちゃん。
このこはどこまで知っているんだろう・・・。
:08/11/12 16:10
:P902iS
:☆☆☆
#610 [果樹]
「告白しないの?」
「うーんしたいのはやまやまなんだけど・・・」
「怖い?」
「・・正直」
全てをみすかされたような麻衣ちゃんの言葉に俺はタジタジ。
「あのさぁ・・麻衣ちゃん。ものは相談なんだけど・・・」
:08/11/12 16:10
:P902iS
:☆☆☆
#611 [果樹]
俺は思いきって麻衣ちゃんに相談をする。
・・・・・。
「なんだそんなこと?全然いいよっ」
俺の相談を麻衣ちゃんは快く承諾してくれた。
「ありがとう!じゃあよろしく」
:08/11/12 16:11
:P902iS
:☆☆☆
#612 [果樹]
――――・・・
「ただいまー」
いつのまにかどこかに行っていた麻衣が帰ってきた。
「おかえり。どこ行ってたの?」
「ちょっと恋のキューピッドをしにぃー」
「???」
:08/11/12 16:12
:P902iS
:☆☆☆
#613 [果樹]
麻衣の答えに私の頭にはいくつものハテナが浮かぶ。
「それよりさ!もうお昼休みだけど倉橋くんとの待ち合わせはいいの?」
麻衣の言葉で時計を見るともうとっくにお昼休みに入っていた。
「え?あっ行かなきゃ!・・あれ?今日はついてこないの?」
「うん行かなーい」
:08/11/12 16:13
:P902iS
:☆☆☆
#614 [果樹]
行かないと言いながら笑う麻衣を不思議に思いながらも私は席を立つ。
「そう。じゃあ行ってくるね」
「はいはーい」
麻衣に見送られて私は中庭に向かった。
:08/11/12 16:13
:P902iS
:☆☆☆
#615 [果樹]
「遅れてごめんね」
中庭に行くと倉橋くんは既にいつもの場所で待っていた。
「大丈夫だよ。それより今日はちょっと場所変えない?」
「いいけど。どこに行くの?」
いきなり場所を変えると言う倉橋くんを不思議に思いながらも私は尋ねる。
:08/11/12 16:14
:P902iS
:☆☆☆
#616 [果樹]
「いいとこ見付けたんだ。こっちこっち」
そういって私の空いていた手を握ってどこかへ連れていく倉橋くん。
握られた手から倉橋くんの熱が伝わってきてすごくドキドキする。
私やっぱり―・・・
――――・・・
「ここ?」
:08/11/12 16:14
:P902iS
:☆☆☆
#617 [果樹]
俺が小鶴さんを連れてきたのは特別棟の3階の端っこの教室。
「うん。景色が凄く綺麗なんだ」
ガチャとドアを開けて中に入る。
ガラッと窓を開けると涼しい風が頬をかすめた。
「風がきもちいいね」
「でしょ?サボるのにもすごくいい場所なんだ」
:08/11/12 16:15
:P902iS
:☆☆☆
#618 [果樹]
「確かに」
そう言ってふふっと笑う小鶴さんの表情がとても可愛くて俺はみとれた。
「今日はね。小鶴さんに話があるんだ」
「何?」
きょとんと目を丸くしてきいてくる小鶴さん。
俺は小さく深呼吸をして頭の中で言葉を整理する。
:08/11/12 16:16
:P902iS
:☆☆☆
#619 [果樹]
「・・・小鶴さんがどうしていろんな人からの告白を断るのかはわからない。でも・・・
俺も小鶴さんが好きだよ」
.
:08/11/12 16:18
:P902iS
:☆☆☆
#620 [果樹]
俺が勇気の限りを振り絞って出した言葉だったが小鶴さんは呆気にとられたのか驚いているのか固まっている。
「あの・・・小鶴さん?」
「え?!あっハイ!!」
「聞いてた?」
俺の問いにコクコクと小鶴さんは必死に首を縦に振る。
「返事もらってもいいかな?」
:08/11/12 16:18
:P902iS
:☆☆☆
#621 [果樹]
――――・・・
倉橋くんからのいきなりの告白に驚いて私はすこしの間放心してしまった。
でも動悸だけは治まらなくてずっと胸が高鳴っている。
これはきっと嬉しさから・・・。
「えっと・・・あの・・・あ・・たしも・・・!」
そこまで言って麻衣の顔が私の頭をよぎった。
:08/11/12 16:19
:P902iS
:☆☆☆
#622 [果樹]
もし麻衣が倉橋くんを好きだったら。
あたしは麻衣の好きな人を盗ることになる・・・。
それだけは・・できない。
「・・・・ごめんなさい」
私には友達の恋よりも自分の恋を優先させることは出来ない。
「そっ・・・かぁ。やっぱり駄目か・・・」
倉橋くんの優しい苦笑い。
:08/11/12 16:20
:P902iS
:☆☆☆
#623 [果樹]
「ちがっ・・!でも・・・ごめんなさい」
倉橋くんの顔が見れなくて私は下を向く。
きっと今見たら泣いてしまう。
「ううん。いいんだ。いきなりごめんね。」
声は元気だけどでも空元気なのが伝わってくる。
「じゃあ俺行くね」
「あっ・・・」
:08/11/12 16:20
:P902iS
:☆☆☆
#624 [果樹]
私の言葉が届かないまま倉橋くんは教室から出ていってしまった。
――――・・・
「てぇーーつぅーー」
教室に戻った俺はドスッと哲の背中にのしかかった。
「うおっ!どうした倉?!」
「・・・・られた」
:08/11/12 16:21
:P902iS
:☆☆☆
#625 [果樹]
「あ?聞こえねぇよ」
何度も言わすな馬鹿野郎。
「振られた・・・・」
きっとこの時の俺は死顔だったんだろう。
その後は哲がなんやかんやと世話を焼いてくれた。
――――・・・
「おっかえりー!」
「ただいま・・・」
:08/11/12 16:24
:P902iS
:☆☆☆
#626 [果樹]
麻衣の元気よさとは対称的に私はすごく気分が落ちていた。
「何で元気ないの?倉橋くんと付き合ったんでしょ?」
「え?!」
私が反応を見せると麻衣はまずったっていう顔をした。
:08/11/13 14:58
:P902iS
:☆☆☆
#627 [果樹]
「どういうこと?何で麻衣が倉橋くんに告白されたこと知ってるの?」
私が問つめると麻衣は渋々と言った感じで
「実はー・・・」
「はぁっ・・はぁ」
なんでもっと早く気が付かなかったの?
全部あたしの勘違いだった。
:08/11/13 14:58
:P902iS
:☆☆☆
#628 [果樹]
麻衣の話を聞いた後私は教室を出てあたしは走った。
今一番気持ちを伝えたい人の元へ・・・。
回想―――・・・
「実はね。倉橋くんにつる子と二人きりになりたいから今日の昼休みは来ないでって言われてたの。告白したいからって」
:08/11/13 14:59
:P902iS
:☆☆☆
#629 [果樹]
麻衣が申し訳なさそうに私を見る。
「でも麻衣は倉橋くんのこと好きなんじゃ・・・」
それなのにどうして・・・?
「え?!何言ってるの?あたし倉橋くんのこと何とも思ってないよ?」
麻衣がきょとんとした顔をする。
:08/11/13 14:59
:P902iS
:☆☆☆
#630 [果樹]
「え?だって・・え?!」
私は頭が混乱して思考がうまく回らない。
そんな私を諭すように麻衣が口を開く。
「つる子なんか勘違いしてない?あたしは寧ろ倉橋くんとつる子のこと応援してたんだよ?」
全てはあたしの勘違い?
麻衣は倉橋くんが好きなわけじゃ・・ない?
:08/11/13 15:00
:P902iS
:☆☆☆
#631 [果樹]
じゃああたしは勘違いで倉橋くんを振ったの・・・?
回想終了――――
「あのっ哲くん!倉橋くんいる?」
倉橋くんの教室まで来た私は哲くんに詰め寄る。
「へ?倉なら風にあたってくるっていってどっかいったけど・・・」
:08/11/13 15:01
:P902iS
:☆☆☆
#632 [果樹]
「わかった。ありがとうっ」
バタバタバタ・・・
小鶴が出ていった方を見ながら
小鶴さんてあんなにハキハキしたタイプだったっけ?
とちょっと不思議に思う哲なのであった。
:08/11/13 15:02
:P902iS
:☆☆☆
#633 [果樹]
――――・・・
情けねぇなぁ俺。
屋上から校庭を眺めながら俺は自分に落胆する。
振られると思わなかったわけではない。
覚悟はしていた。
しかしいざ断られるとやっぱりダメージは大きかった。
:08/11/13 16:29
:P902iS
:☆☆☆
#634 [果樹]
「はぁ・・・男のくせにだらしねぇ」
ガチャッ
物思いに耽っていると屋上のドアが開く音がした。
「倉橋くんっ!!」
大きな声で呼ばれて肩がビクッと弾む。
「小鶴さん・・・」
:08/11/13 16:30
:P902iS
:☆☆☆
#635 [果樹]
振り向くとそこには小鶴さんが息を切らして立っていた。
「どうしたの?小鶴さんもサボりに来たの?」
俺は精一杯の笑顔を作る。
――――・・・
倉橋くんが無理に笑顔を作っているのがわかる。
:08/11/13 16:31
:P902iS
:☆☆☆
#636 [果樹]
そうさせているのはあたしだ。
「日差しは眩しいけど風は気持いいよね。昼寝に持ってこいだ。あ、そういえば小鶴さん次の授業何?俺は数学でさー教室で寝るくらいならここで寝ようと思って――・・・」
倉橋くんはあたしが喋る暇も作らせないくらい一人で喋っている。
:08/11/13 16:32
:P902iS
:☆☆☆
#637 [果樹]
「倉橋くんっ!」
痺を切らした私は大きな声で倉橋くんの名前を呼ぶ。
「あのねっ・・・聞いてほしい話があるの」
私がそう言うと倉橋くんはにぱっと笑って。
「大丈夫だよ。これからも友達だから」
:08/11/13 16:33
:P902iS
:☆☆☆
#638 [果樹]
と空元気としか受け取れない笑顔を見せる。
「父さんの写真見たいならまた昼休みに会えばいいし」
「・・・がう」
「なんにも心配いらないよ」
その最後の言葉に私の中の何かがぷちんと音を立てて切れた。
:08/11/13 16:34
:P902iS
:☆☆☆
#639 [果樹]
「ちがうってばーー!!」
大声を出したせいかはぁはぁと息が荒くなる。
倉橋くんは私の大声に驚いたのか目を見開いている。
「私・・・勘違いしてたの。私は・・っ私も・・・」
喋っている最中なんだか目頭が熱くなって鼻の奥がつんとした。
:08/11/13 16:35
:P902iS
:☆☆☆
#640 [果樹]
.
「私は倉橋くんが好きなの・・・ひっ・・・うー」
いつの間にか私は泣いていた。
堪えきれない涙が頬を伝って地面に染みをつくる。
「ご・・・ごめんっ」
「何・・で倉橋くんが謝るの?」
:08/11/13 16:35
:P902iS
:☆☆☆
#641 [果樹]
私は泣いているままの顔で倉橋くんを見る。
倉橋くんはどうしたらいいかわからずオロオロしている。
その姿に私は思わず笑みが溢れる。
「ふふ・・クスクスクス」
「えっ?あの・・・」
「ごめんなさい。告白の返事もらってもいいですか?」
:08/11/13 16:37
:P902iS
:☆☆☆
#642 [果樹]
私は涙を拭って精一杯の笑顔で笑う。
「そんなの決まってる」
そういって倉橋くんは私の手を引っ張る。
くんっと前のめりになった私はいつの間にか倉橋くんの腕の中にいて強く抱き締められていた。
:08/11/13 16:38
:P902iS
:☆☆☆
#643 [果樹]
耳元で囁かれた
「好きだ」
の言葉は今までのどんな告白より胸に響いた。
――――・・・
告白の成功率0パーセントの美少女
それは小鶴めぐみという一人の少女につけられた秘かなあだ名。
:08/11/13 16:38
:P902iS
:☆☆☆
#644 [果樹]
彼女は恋に全く興味がなかった。
しかし、その成功率0パーセントの美少女の成功率を上げた一人の男子がいた。
その男子には成功率0パーセントの美少女自ら告白したという逸話もある。
後にも先にも彼女が告白をしたのも受けたのもそれ一回きりであった。
【成功率0パーセント】
―End―
:08/11/13 16:39
:P902iS
:☆☆☆
#645 [果樹]
.
友達でいた時間が長すぎて、この気持ちが恋だって気付かなかったり、恋までなかなか発展しないことってあるよね。
story 6
【 友達以上恋人未定 】
:08/11/13 22:48
:P902iS
:☆☆☆
#646 [果樹]
「はぁ・・・」
思わず溜め息が漏れるのは私、緒方ユイカの性格が故だろう。
私は、昔から人よりちょっとタイミングが悪いらしく、今もまたそのタイミングのせいで・・・。
「ユイカー何してんの?」
:08/11/13 22:49
:P902iS
:☆☆☆
#647 [果樹]
ブンブン手を振りながらこっちに向かって走ってくるのは腐れ縁の湯沢京太。
「歩いてるの」
「そうじゃないデショ」
本当の事を言っただけなのに京太は頭を軽くチョップしてきた。
私は、はぁと溜め息をつき、立ち止まって、手に持っているダンボールをずいっと京太の前につき出す。
:08/11/13 22:49
:P902iS
:☆☆☆
#648 [果樹]
「柴くんのパシリ」と一言で告げ、また歩き出す。
「またぁ?ユイカいつもこういう役回ってくんな」
京太が隣を歩きながらからかい口調でケラケラと笑ってくる。
「好きでやってるんじゃない。先生たちが私に回してくるの」
:08/11/13 22:50
:P902iS
:☆☆☆
#649 [果樹]
全く人使いが荒いったらないんだあの人たちは!
すねたように頬を膨らませると京太に頭を撫でられた。
「でもそれを素直にやってあげるのはユイカのいいとこだな!」
そういって京太はにこっと笑いながら、私の手からダンボールを取り上げた。
:08/11/13 22:50
:P902iS
:☆☆☆
#650 [果樹]
まるで王子様やん!っていうツッコミをいれたくなるほどだ。
「・・・資料室」
「じゃあ資料室までランデブーと行きますか♪」
にひひっと笑って言う京太。
全く意味わかって言ってんのか疑ってしまう。
:08/11/14 12:20
:P902iS
:☆☆☆
#651 [果樹]
「ばか京太・・・」
私は顔が赤いのを気付かれないように京太の少し斜め後ろを歩いた。
――――・・・
「おっかえりー!!」
教室に入るなり、圭ちゃんが手を振りながら大声で迎えてくれた。
:08/11/14 12:20
:P902iS
:☆☆☆
#652 [果樹]
「ただいま」
私は席について次の授業の用意をする。
「何なに?きょんと2人でどこに行ってたのー?」
圭ちゃんはあたしの前の席に座り、なんだか嬉しそうだ。
「柴くんのパシリで資料室まで行ってただけだよ」
:08/11/14 12:21
:P902iS
:☆☆☆
#653 [果樹]
「ふーん」
本当の事を話したのに圭ちゃんは、ニマニマと怪しい笑顔を浮かべている。
「な・・・なに?」
「ユイカさ。告っちゃえば?」
ガタッガタンッ
盛大に椅子からずり落ちてしまった。
:08/11/14 12:21
:P902iS
:☆☆☆
#654 [果樹]
「圭ちゃん・・・何をいきなり」
椅子に座り直してからも、目の前で満面の笑みを浮かべる圭ちゃんに呆れてしまう。
「だってなんかじれったいんだもん!バシッと気持ち伝えて付き合えばいーのに」
真顔で言ってくる圭ちゃん。
:08/11/14 23:48
:P902iS
:☆☆☆
#655 [果樹]
「別にあたしはっ・・・そのー・・・ト、トイレ行ってくるっ!」
言葉がおぼつかない。
このままじゃあ墓穴を掘るのが落ちだ。
ここは・・・逃げるが勝ち!
あたしは教室を出てトイレへと向かった。
――――・・・
くくっユイカは面白いなー。
:08/11/14 23:49
:P902iS
:☆☆☆
#656 [果樹]
私はユイカが出ていったドアの方を見ながら笑うのを必死に堪えた。
私、柳田圭はユイカの友達で、きょん(京太)との仲を見守るキューピッド・・・なんだけど、なかなか進展しないのがあの二人。
まったくじれったいったらない!
やっぱりユイカって恋愛初心者なのかしら。
:08/11/14 23:50
:P902iS
:☆☆☆
#657 [果樹]
私が一人、思考を巡らせていると視界の隅に子犬が見えた。
「なぁ圭ー」
「なぁにきょん」
子犬はもちろんきょん。
私はきょんの方に視線を向けて話しを聞くことにした。
:08/11/14 23:50
:P902iS
:☆☆☆
#658 [果樹]
「ユイカってさー好きな奴いんのかな?」
きょんの問いに一瞬、ユイカの気持ちに気付いたかと思ったが、きょんは鈍感なのでありえないだろうと思い直した。
「なんで?」
「だってさー最近俺に対してよそよそしいんだよ。前以上にくっついてこなくなった気ぃするし」
:08/11/14 23:52
:P902iS
:☆☆☆
#659 [果樹]
「そりゃあアンタを意識してるからだよ!」
とつっこんでやりたいが、これはユイカが言うことだから私が言ってはいけない。
「さーねぇ?ユイカにもいろいろあるんじゃないの?あ、噂をすればユイカ発見」
「え?!どこっ?」
:08/11/14 23:52
:P902iS
:☆☆☆
#660 [果樹]
ユイカの事となるとすぐ食い付いてくる。
まさに犬。忠犬ハチだ。
「ほらあそこー。柴くんと話してるよ」
私が指差して教えるときょんは窓から身を乗り出してそこを見る。
きょんは楽しそうに話している柴くんとユイカを見てやきもちを妬いているのか、頬を膨らませて不機嫌を露にしている。
:08/11/15 02:32
:P902iS
:☆☆☆
#661 [果樹]
きょんて自分がユイカを好きな自覚ないのかな?
いつになったらこの二人は、お互いが好きあっていることに気が付くのか・・・。
と心配になってしまう圭なのであった。
――――・・・
「はー疲れた」
:08/11/15 02:35
:P902iS
:☆☆☆
#662 [果樹]
教室に戻った私は溜め息をついて席に座る。
「トイレにしては随分と長かったのね」
圭ちゃんは相変わらず楽しそうに聞いてくる。
「それがさー。トイレから出てきたところで柴くんに会っちゃってー・・・」
:08/11/15 02:36
:P902iS
:☆☆☆
#663 [果樹]
ユイカ回想―――
「はぁースッキリした!全く、圭ちゃんが変なこと言うから焦っちゃったじゃん。大体、京太が私のことどう思ってるのかもわからないし、告るにしたって心の準備つーもんが・・・云々」
と怪しくぶつぶつと呟いていたせいで目の前に迫っていたモノに私は全然気付かなかった。
:08/11/15 02:37
:P902iS
:☆☆☆
#664 [果樹]
「ぶふっ!」
「うおっ!」
バサーッ!!
二つの声と何かが大量に落ちる音が同時に聞こえた。
「あいたた・・・」
尻餅をついてその場に倒れてしまった私は、何が起こったのかさっぱり把握出来ない。
:08/11/15 02:38
:P902iS
:☆☆☆
#665 [果樹]
「悪いなー前見えなかった・・・ってなんだ緒方か」
「あ、柴くん。てか、なんだって何よー!」
目の前には同じように尻餅をついている柴くんがいた。
柴くんは私のクラスの担任で年が若くカッコイイので女子からの人気が高い。
:08/11/15 02:38
:P902iS
:☆☆☆
#666 [果樹]
「悪い悪い。ほら立てるか?」
笑いながら手を差しのべてくれたので、その手を借りることにした。
「ありがと」
立ってみて初めて、自分が何にぶつかったのかわかった。
足元には廊下を占領するかのように散乱した大量のノート。
:08/11/15 02:39
:P902iS
:☆☆☆
#667 [果樹]
これか・・・・。
「はー見事にぶちまけたな」
「よっこらせ」
と親父くさい掛け声でしゃがみ、柴くんが床に散らばったノートを拾い始めたので私も手伝う。
:08/11/15 22:43
:P902iS
:☆☆☆
#668 [果樹]
「はい。これで全部かな」
最後の一冊を柴くんに渡す。
「悪いねー緒方。助かったよ」
「あたしも悪かったし」
と言って、改めて柴くんを見ると柴くんの手には高く積み上げられたノート。
まるで漫画だ・・・。
:08/11/15 22:44
:P902iS
:☆☆☆
#669 [果樹]
「ねぇ柴くん。ノートに埋もれて顔見えてないよ・・・?」
「だなー」
だなーって・・・。
なんて脳天気な人なんだろう。
「貸して。半分持つ」
「ありがとな。でも大丈夫だぞ」
:08/11/15 22:45
:P902iS
:☆☆☆
#670 [果樹]
片手を差し出して、自ら手伝うと言っているのに、それを笑顔で断る柴くん。
「後は職員室まで持っていくだけだしなー」
とまたまたお気楽発言。
ここは3階で職員室は1階。
これからこのノートの山を持って階段を降りて、職員室まで誰にもぶつからずにたどり着けるなんてありえない。
:08/11/15 22:45
:P902iS
:☆☆☆
#671 [果樹]
しかもこの様子じゃ絶対またぶつかる!
それも2回!!
「手伝うって。いつもパシリ役やらされてるんだからこういう時こそ使ってよ」
私は柴くんの手からノートを半分奪い取る。
「パシリって・・・人聞きの悪い」
:08/11/15 22:46
:P902iS
:☆☆☆
#672 [果樹]
「似たようなもんでしょ」
つんとした言い方をした私に柴くんはクスッと笑った。
そのあとは無事、職員室にノートを届け教室に戻ってきた。
回想終了―――
:08/11/15 22:47
:P902iS
:☆☆☆
#673 [果樹]
「とゆーわけであたしは柴くんのお手伝いをしてたってわけ」
一部始終を圭ちゃんに話すと圭ちゃんはなんだか呆れていた。
「あんたって本当グッドタイミングってゆーかバッドタイミングってゆーか・・・」
全くだ。
なんで私はこうタイミングが悪いのだろうか。
:08/11/16 16:47
:P902iS
:☆☆☆
#674 [果樹]
ちょっと職員室に行けば先生たちに何かしら押し付けられ、廊下を歩けば荷物持ち。
運が悪いとしかいいようがない。
「緒方ー」
「あれ柴くんだ」
教室のドアのところでこっちに向かっておいでおいでをする柴くん。
:08/11/16 16:47
:P902iS
:☆☆☆
#675 [果樹]
「ちょっと行ってくるね」
私は小走りに柴くんの元へと行った。
――――・・・
「なんで柴っちがユイカ呼んでんだよー」
「うわっ!もーいきなり出てくるからびっくりするじゃんよきょん」
:08/11/16 16:48
:P902iS
:☆☆☆
#676 [果樹]
いきなり机の前にひょっこり現れたきょんに私は文字通り飛び退いた。
「なんかユイカ嬉しそう」
ユイカと柴くんが話しているのをじーっと見ながらぽつりときょんが呟く。
「きょんにはそう見える?」
「うん」
:08/11/16 16:48
:P902iS
:☆☆☆
#677 [果樹]
「ふーん」
「何だよ?!」
「別にー?王子様はご立腹なんだって話ー」
私から見ればきょんと話してるときのユイカは、周りに花が飛んで幸せそうだけどね。
:08/11/16 16:49
:P902iS
:☆☆☆
#678 [果樹]
きょんと話してる間にユイカがパタパタと笑顔で戻ってきた。
「柴くんと何話してたの?」
「なんかねー手伝ってくれたお礼だって言ってコレくれた」
「遊園地の・・チケット?」
ぴらっとユイカが見せてきた紙には『遊園地特別ご優待券』と書かれていた。
:08/11/18 03:35
:P902iS
:☆☆☆
#679 [果樹]
「彼女と行こうと思ったんだけど彼女にキッパリと断られちゃったんだってー」
と笑って言うユイカをよそに私ときょんが柴くんご愁傷さま・・と思ったのは言うまでもない。
――――・・・
「ちょうど2枚あるし圭ちゃん一緒に行かない?」
私は圭ちゃんの目の前に2枚のチケットを出しながら言う。
:08/11/18 03:38
:P902iS
:☆☆☆
#680 [果樹]
「いつ?」
「んー・・・今週の日曜!」
「あーごめんユイカ。私その日デートだわ」
圭ちゃんが申し訳なさそうに眉根を下げる。
「そっかーじゃあ仕方ないね」
デートじゃ仕方ないと思っていてもやっぱり寂しくて私はうなだれる。
:08/11/18 03:38
:P902iS
:☆☆☆
#681 [果樹]
「きょんと行ってくれば?」
「へ?」「は?」
圭ちゃんからの思わぬ提案に私と京太の声が重なる。
「きょん今週の日曜は部活ないんでしょ?」
「あ・・・あぁ」
「じゃあ決まりだねー。楽しんできてね!」
:08/11/18 03:39
:P902iS
:☆☆☆
#682 [果樹]
いつのまにかとんとん拍子に話が進んでいく中で私の頭は混乱して上手く理解できていなかった。
そんな私を横目に圭ちゃんが声を押し殺して笑っていたのを私は全く知らなかった。
――――・・・
私は急いで家に帰って圭ちゃんにメールを送った。
:08/11/18 03:40
:P902iS
:☆☆☆
#683 [果樹]
宛先:圭ちゃん
圭ちゃんどうしよ〜
あたし京太と二人きりで遊んだことなんて一回もないから緊張するよぉ
返信はすぐにきた。
受信先:圭ちゃん
大丈夫大丈夫♪
とりあえず明日、日曜日に着ていく洋服でも買いに行こっ!
:08/11/19 03:20
:P902iS
:☆☆☆
#684 [果樹]
宛先:圭ちゃん
うんありがとう!
じゃあ明日ね!
圭ちゃんにメールを送信した後、私は携帯をベッドの上に放り投げて私も寝転ぶ。
はぁー緊張するなぁ。
京太とデートかぁ・・・。
は!デデデデデート!?
:08/11/19 03:21
:P902iS
:☆☆☆
#685 [果樹]
うわ!そーじゃん!!
いい年頃の男女が二人きりで遊びに行くってただのお出掛けじゃないんだよね!?
あーやばい・・・。
余計緊張してきちゃったよぉ。
京太はあたしのことどう思ってんのかな?
:08/11/19 03:21
:P902iS
:☆☆☆
#686 [果樹]
――――・・・
「ふぁーあ」
私は大きな欠伸が出て口を押さえる。
「ユイカったらそんなおっきい欠伸して。昨日寝てないの?」
「うん・・なかなか寝つけなくて」
:08/11/19 03:22
:P902iS
:☆☆☆
#687 [果樹]
私は眠たい目を擦りながらまた欠伸をする。
「どうせきょんのことでも考えてたんでしょー」
そう圭ちゃんにからかわれて私は返す言葉がなくぐっと押し黙る。
「あれ?図星?きょんも罪深い男だねー」
「そんなんじゃないってば!」
「なに?俺が何だって?」
:08/11/19 03:22
:P902iS
:☆☆☆
#688 [果樹]
圭ちゃんとの話の最中にいきなり現れた京太に驚いて私は思わず飛び退く。
「きょんは本当に突然出てくるよねー」
「まぁな。それより俺がなに?」
呆れながら言う圭ちゃんに対し京太は何故か威張る。
そしてさっきの話をしつこく聞いてきた。
:08/11/20 13:46
:P902iS
:☆☆☆
#689 [果樹]
私は圭ちゃんに目だけで『言っちゃだめ!』と伝える。
「別になんでもないっ!京太は馬鹿だなって話」
私がはぐらかすと京太がそれに食い付く。
「なんだよそれー。ユイカの方が馬鹿じゃん」
「なにおー!?」
その後、教室に入るまで私たちはずっと言い合いをしていた。
:08/11/20 13:47
:P902iS
:☆☆☆
#690 [果樹]
後ろでその光景を見ながら圭ちゃんが
どこぞのバカップルか!
なんて思っていたのは誰も知らない。
――――・・・
「あー迷うよぉ。何着ていけばいいのー?」
放課後、圭ちゃんと一緒に街まで買い物に出た私はたくさんある服の前で頭を抱えていた。
:08/11/20 13:48
:P902iS
:☆☆☆
#691 [果樹]
京太と遊園地に行くのは明日なのに服が決まらないのだ。
「ユイカってばきょんの好み知らないの?」
圭ちゃんがいくつか服を見ながら聞いてくる。
「知らないよー。だって小学校から今までみてきたけど彼女がいたの見たことないんだもん」
:08/11/20 13:48
:P902iS
:☆☆☆
#692 [果樹]
そうなのだ。
京太は愛想はいいため男女問わず友達は多いが特定の女子とは仲良くはならない。
今までずーっと見てきたが京太が私以外の女子と二人でいるところや帰っているところを見たことはない。
そのため参考にするモデルがいないのだ。
:08/11/21 04:14
:P902iS
:☆☆☆
#693 [果樹]
「うーん悩むわね・・・」
「うん・・・」
私と圭ちゃんは顎に手を当てていろいろ考える。
「あ!これは?遊園地だし。走ったりするわけじゃないからワンピースでも大丈夫だと思うよ」
そういって圭ちゃんが見せてきたのは真っ白な膝上の可愛いワンピース。
:08/11/21 04:15
:P902iS
:☆☆☆
#694 [果樹]
胸下のリボンの切り返しが可愛くて女の子らしいデザインだ。
「あたしこういうの着たことない・・・」
少し怖じけずく私を圭ちゃんが励ます。
「大丈夫だよ!ユイカは髪も黒いし似合う!あたしが保証する」
:08/11/21 04:15
:P902iS
:☆☆☆
#695 [果樹]
「んー・・・じゃあそれにする」
悩んだ末、私は圭ちゃんの後押しもありワンピースを買うことにした。
――――・・・
「買った?」
店から出ると圭ちゃんが笑顔で待っていた。
「うん。つきあってくれてありがとう圭ちゃん」
:08/11/21 16:29
:P902iS
:☆☆☆
#696 [果樹]
私はワンピースが入った袋を胸に抱えてお礼を言う。
「いいよー。娘の成長を見守るのも母の役目ってね」
「ん?」
「いやいやこっちの話」
圭ちゃんの言っている意味が分からず首を傾げるとはぐらかされてしまった。
:08/11/21 16:29
:P902iS
:☆☆☆
#697 [果樹]
そのあとは喫茶店でお茶をして明日の計画を練ってから私たちはそれぞれ家に帰った。
――――・・・
「明日はこれとこれと・・・これでいっかな?」
私はベッドの上に明日来ていく服を並べる。
「はぁー緊張する」
もうすでにバクバクいっている心臓を抑えて深呼吸をする。
:08/11/21 16:30
:P902iS
:☆☆☆
#698 [果樹]
そんなことをしていると携帯からメール受信を告げる音が鳴りだした。
チャラチャラチャ〜♪
「はいはいっと」
私は鞄から携帯を取りだし受信フォルダを開く。
受信先:京太
明日10時にユイカん家に迎えに行くから寝坊すんなよ!
:08/11/21 16:31
:P902iS
:☆☆☆
#699 [果樹]
10時か・・・。
私はメールを送り返す。
宛先:京太
京太こそすっぽかしたら許さないから!
それじゃあ明日ね。
おやすみ。
送信ボタンを押して私は携帯を閉じる。
にやけそうになる顔をパンパンと叩いて私はベッドに潜り込む。
明日遅れないようにしなくっちゃ!
:08/11/21 16:31
:P902iS
:☆☆☆
#700 [果樹]
緊張で眠れないかもと思っていたが疲れていたせいもあってか私はいつのまにか眠っていた。
――――・・・
「寝坊したー!!!」
時刻9時48分。
昨日寝坊するなと言われていたのに私は睡魔には勝てず結局寝坊してしまった。
:08/11/21 23:02
:P902iS
:☆☆☆
#701 [果樹]
京太が来るまであと15分もない。
「あーもう最悪ー」
バタバタと私は部屋中を走り回り支度を始める。
そんな中、ピーンポーンという魔のチャイムが家中になり響く。
やばっ!京太来ちゃった?!
私が階段をすごい勢いで降りると玄関には楽しそうに談笑するママと京太の姿が。
:08/11/21 23:03
:P902iS
:☆☆☆
#702 [果樹]
「あらユイカやっと起きたの?今起こしに行こうと思っていたところなのよ」
私に気付いたママは
「全くしょうがない子ね」
と言ってリビングへと戻っていった。
「ったく。やっぱり寝坊したのかよー」
と私のパジャマ姿を見ながら呆れる京太。
「面目ない・・・」
:08/11/21 23:04
:P902iS
:☆☆☆
#703 [果樹]
返す言葉が無くてうつ向くことしか出来ない私。
「いいから早く支度してこいよ。俺外で待ってっから」
そう行って京太は玄関のドアを開けて外に出ていってしまった。
私は急いで二階の自分の部屋へ戻り準備を再開した。
:08/11/21 23:04
:P902iS
:☆☆☆
#704 [果樹]
――――・・・
「おせぇ!!」
外へ出ると開口一番にそう言われぶにっと両頬をつねられた。
「ごめんなひゃい」
「ったく。行くぞ」
そういってスタスタと前を歩いていく京太を私は追い掛けた。
:08/11/21 23:05
:P902iS
:☆☆☆
#705 [果樹]
「・・・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・」
「・・・」
家を出てからと言うもの何を喋ったらいいか分からずどっちも話し切り出さないため沈黙が続く。
しかも京太は私が寝坊したことにまだ腹を立てているみたいだ。
:08/11/21 23:05
:P902iS
:☆☆☆
#706 [果樹]
はぁー気まずいよぉ
これじゃあ遊園地どころじゃな・・・
「いたっ!」
物思いに耽っていると頭に痛みが走り、見上げると京太がむすっと怒った顔をしていた。
「なーに黙りこんでんだよ」
「べ、別に黙りこんでなんか・・」
:08/11/23 00:04
:P902iS
:☆☆☆
#707 [果樹]
機嫌が直ったのかと思った矢先、京太は私の両頬をつねる。
「にゃいしゅんのよー」
「ぷっ・・まぬけ面」
私の顔を見た京太はケラケラと笑いだした。
「なっ!」
「ククッ・・悪ぃ。もう怒ってないから心配すんな」
:08/11/23 00:05
:P902iS
:☆☆☆
#708 [.]
:08/11/23 08:45
:SH903i
:XbjWUa8M
#709 [果樹]
.さん
アンカーありがとうございます!
:08/11/24 02:21
:P902iS
:☆☆☆
#710 [果樹]
今だ笑ったままの京太は真っ赤になる私の頭をぽんぽんと叩いてまた歩き出す。
「京太・・・」
今のは京太なりの仲直りだと気付いた私は二、三歩先にいる京太の元まで走った。
――――・・・
遊園地に着いた私たちは早速入場ゲートをくぐり中に入る。
:08/11/24 02:23
:P902iS
:☆☆☆
#711 [果樹]
「うわぁーあ!」
中に入った私は思わず感嘆の声を上げる。
遊園地の中はジェットコースターにメリーゴーランドにお化け屋敷などこれぞ遊園地!というものが各方向にあって、もちろん色とりどりの風船をもった熊のきぐるみが、子どもたちに風船を配っている光景なんかもあるわけで、私はそんな空間にいるせいか体がうずうずしていた。
:08/11/24 02:30
:P902iS
:☆☆☆
#712 [果樹]
「京太!遊園地!遊園地だよっ」
私は京太の袖を早く行こうと催促するように引っ張る。
「ククッ・・ユイカは昔っから何も変わんねーなぁ」
「何が?」
そんな私を見て京太が歯を出して笑うものだから私は首を傾げる。
:08/11/24 02:30
:P902iS
:☆☆☆
#713 [果樹]
「小さい頃から遊園地や水族館に行くと一人ではしゃいですぐ迷子になってた」
京太が意地悪な笑みを浮かべるものだから私はムッとする。
「もうなんないよ!」
「どーだか」
「なんない!」
:08/11/24 02:31
:P902iS
:☆☆☆
#714 [果樹]
入場してすぐにこんな言い合いをする二人も珍しいと思うが何だか悔しかったのだ。
京太の中での私はまだ幼い頃の“ユイカ”な気がして。
「だといーなー。俺が困るし」
「迷子になんてならないから大丈夫ですー」
:08/11/24 02:32
:P902iS
:☆☆☆
#715 [果樹]
相変わらず意地悪な笑みを浮かべる京太にムカついてあっかんべーをする私。
そんな私に京太はククッ・・と声を押し殺したように笑って私の手を引いた。
「わかったって。ほら行くぞ」
ケンカはどこへやら笑う京太につられて私も笑ってしまい引っ張られるままついていった。
「うん!」
:08/11/24 02:35
:P902iS
:☆☆☆
#716 [果樹]
――――・・・
「京太ー次あれ!あれ乗ろうっ」
京太の袖を引っ張ってはしゃぐ私をよそに京太は青ざめた顔で口元を覆っていた。
「ちょっ・・ちょっとタンマ・・・」
近くにあったベンチにふらふらと頼りない足どりで向かい、座る京太の前に立って私は京太の顔を覗きこむ。
:08/11/24 15:00
:P902iS
:☆☆☆
#717 [果樹]
「もうダウンー?だらしないなぁ」
「あのなぁ・・・」
ジェットコースターをたて続けに5回も乗ればそりゃあグロッキーにもなるだろ・・・。
なんてことを京太が思っていたなんて知らない私はふぅと小さく溜め息をつく。
「しょうがないなぁ。あたし何か暖かいもの買ってくるよ」
:08/11/24 15:17
:P902iS
:☆☆☆
#718 [果樹]
私はベンチから少し離れた売店に走った。
――――・・・
売店で温かいココアを買って京太のいるベンチに戻る道すがら風が一層強く吹いた。
頬に直接触れる風がひんやりと冷たく、目の前を枯れ落ちた葉が風と一緒に踊っている。
:08/11/24 15:18
:P902iS
:☆☆☆
#719 [果樹]
今日も星は綺麗に見えるかな。
なんて考えながら歩いていたら声をかけられた。
「かーのじょ。一人なの?俺らと遊ばない?」
私の歩調に合わせながら二人の男は私を挟むように両隣を歩く。
「結構です」
にやにやと笑いながら話す態度が気に入らなくて私は更に歩調を速める。
:08/11/24 15:42
:P902iS
:☆☆☆
#720 [果樹]
「そんなこと言わないでさー。ほら」
二人の間から抜け出ようとしたところでぐっと手首を掴まれた。
その弾みでココアが手から滑り落ちてパシャッという音を立てて地面に落ちた。
「ちょっとやめてよ!」
:08/11/24 15:43
:P902iS
:☆☆☆
#721 [果樹]
「お前ら何してんの?」
私が必死に手を振り解こうとしていたら後ろから聞き慣れた声がする。
「京太!!」
振り向くと京太がムスッとした顔で立っていた。
「チッ・・男連れかよ」
京太を見るなり二人組の男は舌打ちをしてどこかに行ってしまった。
:08/11/24 15:44
:P902iS
:☆☆☆
#722 [果樹]
ようやく手を離された私は京太の側に駆け寄る。
「気分直ったの?」
「ん・・・」
私の問いかけに京太が無表情で答えるから不思議になる。
でもまだ気持ち悪いのかなと思って私はそれ以上追求はしなかった。
「じゃあ観覧車乗りに行こっか」
:08/11/26 04:49
:P902iS
:☆☆☆
#723 [果樹]
――――・・・
観覧車に乗り込んだ私はさっきから観覧車の窓にかじりついて見える景色に圧倒されていた。
「うわーあ見てみて!夕日がすっごいきれーい!」
頂上までいくと夕日がビルの隙間に落ちていくのが見えた。
:08/11/26 04:50
:P902iS
:☆☆☆
#724 [果樹]
「んー」
そんな私に京太は正面を向いたまま腕組み+足組みの格好で生返事を返す。
「人もアリんこみたい」
「んー」
また生返事・・・。
私は景色から視線を京太に移す。
:08/11/26 04:51
:P902iS
:☆☆☆
#725 [果樹]
「さっきから何怒ってるの?」
少し眉根を下げて言うと京太は視線を横にずらした。
「別に怒ってねぇ」
いやいやいや・・・。
「明らか怒ってるじゃん!」
強めに言う私に京太は少しイラッとした顔をした。
:08/11/26 04:52
:P902iS
:☆☆☆
#726 [果樹]
「うるせぇ・・」
ぼそっと言った京太の声は観覧車の中では響いて私の耳に届く。
「ムッカァー」
京太の態度も頭にはきていたが最後のぼそっと言った言葉で私の中の何かがプチンと切れた。
「わかった。もういい!」
:08/11/26 04:53
:P902iS
:☆☆☆
#727 [果樹]
それだけ言い残して
「お疲れ様でしたー」
といって係員がドアを開けた瞬間私は荷物を持って外に飛び出した。
「え・・ユイカ!?」
私を呼ぶ京太の声が聞こえたがそれを無視して私は遊園地の出口に走った。
:08/11/26 04:53
:P902iS
:☆☆☆
#728 [果樹]
――――・・・
遊園地から一人で家に帰ってきた私はただいまも言わずに階段を上がり自分の部屋に直行する。
「ムカつくー!!!」
バタンとドアを開け、勢いよくベッドにダイブして手足をジタバタと動かしながら叫ぶ。
それでも怒りが治まらない私は、むくっと起き上がり怒りにまかせて枕をベッドに叩き付ける。
:08/11/26 04:54
:P902iS
:☆☆☆
#729 [果樹]
「京太なんかこのっ・・このっ・・」
ボフボフと鳴る枕から綿が出そうなほど叩き付けると今度は枕を殴りにかかる。
「なんでアイツは昔っからああなのよ!こっちの気もしらないで。あたしがどんだけ考えたと思ってんのよ!こんちくしょう!」
枕を叩きに叩いた私は殴るのを止めて最後に枕に叩き付けた手を見つめる。
:08/11/26 04:56
:P902iS
:☆☆☆
#730 [果樹]
「・・・・遊園地デートの・・はずだったのに・・・」
気分がすっかり落ち込んでしまった私は、その夜なんだか寝つけなくて、うんうん唸っているうちにいつのまにか朝を迎えてしまった。
――――・・・
学校行きたくない・・・。
私は何度目かになる溜め息をついて重たい足を引きずるように学校へと続く道を歩く。
:08/11/26 04:58
:P902iS
:☆☆☆
#731 [果樹]
雀がさえずり太陽がサンサンと降り注ぐ朝に、こんな落ち込んだ気持ちで登校するのも如何なものかと思うが、昨日のことを思い出せば私の気分はより一層落ち込む。
はぁ・・とまた溜め息が漏れる
「ユーイカ!おっはよ」
「おはよー・・」
:08/11/26 18:00
:P902iS
:☆☆☆
#732 [果樹]
朝から元気に挨拶をしてくれる圭ちゃんに私は口元だけの弱々しい笑みを返す。
「ん?なんで元気ないの?昨日は楽しい楽しい遊園地デートだったんでしょ?」
「・・・うん。まぁね」
さも楽しかったんでしょ?という顔をする圭ちゃんに私は、苦笑いしか返すことができなかった。
:08/11/26 18:01
:P902iS
:☆☆☆
#733 [果樹]
教室に入りみんなに軽く挨拶を済まして私は真っ先に自分の椅子に座り机に突っ伏す。
いつ京太が入ってきても目を合わせないための防衛策だ。
そんな私の行動の裏が読めない圭ちゃんは机の側に立って不思議そうに私を見下ろす。
「あ!きょんおはよー」
圭ちゃんの言葉にドキッと心臓が跳ねる。
:08/11/26 18:02
:P902iS
:☆☆☆
#734 [果樹]
「はよ・・・」
京太の声も聞こえる。
どうやら京太が登校したようだ。
「あのさ、ユイカ・・・」
ドキッ・・!
「あああああたしトイレいくんだったー。じ、じゃあね圭ちゃん」
京太に名前を呼ばれた私はどうしたらいいか分からず圭ちゃんにだけバイバイを言ってとりあえずその場から逃げた。
:08/11/26 18:02
:P902iS
:☆☆☆
#735 [果樹]
――――・・・
朝からユイカの態度はおかしかった。
昨日楽しんだはずなのだから今日はルンルン気分で登校するのだろうと思っていたがユイカは溜め息ばかり。
挙句の果てにはきょんがユイカに話しかけるやいなやユイカは慌てた様子で教室を出ていってしまった。
:08/11/26 18:03
:P902iS
:☆☆☆
#736 [果樹]
ちらりときょんを見ると下唇を噛んでなんともいえない困った顔をしていた。
私の視線に気付いてすぐに席に戻っていったがなんかおかしい。
これは恋のキューピッドの出番か?
と思った私はきょんの席に行きバン!と机を叩く。
「きょん。どういうこと?」
:08/11/26 18:04
:P902iS
:☆☆☆
#737 [果樹]
バンッ!と机を叩くとビクッときょんの肩が弾む。
「どういうことよ?ユイカのあの動揺っぷりはただ事じゃないんでしょ?白状しなさい」
私が目に力を入れてきょんを睨むときょんは気まずそうに目をそらしてちらっと私を見る。
「実は・・・」
京太は昨日の遊園地デートから今に至るまでの経緯を話だした。
:08/11/27 03:45
:P902iS
:☆☆☆
#738 [果樹]
――――・・・
「はぁ・・・」
教室から逃げ出した後、私は一人屋上に来ていた。
気まずいからといって無視して逃げ出したのはいけなかったかもと今更ながら思う。
でもどうしようもないのだ。
:08/11/27 03:47
:P902iS
:☆☆☆
#739 [果樹]
昨日あんな喧嘩別れをしておいて今日になっていつもどうりにしろだなんて無器用な私には到底無理な話しなわけで。
そんな性格だからこそ逃げるしかなかったのだ。
「はぁー・・」
と一際長い溜め息をつき、私は屋上の柵に寄りかかる。
京太の考えがわからない・・・。
:08/11/27 03:47
:P902iS
:☆☆☆
#740 [果樹]
京太は何を思ってる?
あたしはどうしたらいい?
――――・・・
「なんでアンタたちは・・・」
話を聞いた私は頭を抱えてうなだれる。
「それでさっきユイカに謝ろうと思ったら逃げられて・・・」
小声で言うきょんからはユイカへの謝罪の気持ちでいっぱいなのが伺える。
:08/11/27 03:48
:P902iS
:☆☆☆
#741 [果樹]
全くこの子たちは・・・。
「はぁ・・・。あのさーきょん」
「ん?」
「まだわかんないの?」
「何が?」
私の問いにハテナを浮かばせるあたりまだわかっていないのだろう・・・。
「何できょんは昨日怒ったの?」
:08/11/27 03:49
:P902iS
:☆☆☆
#742 [果樹]
「それはユイカが絡まれてたから・・・」
「何でユイカが絡まれてたからって怒るの?」
「一応幼馴染みだし・・」
「それだけ?」
私の問掛けに素直に答えるきょんに私はさらに問つめる。
「え?」
:08/11/27 03:49
:P902iS
:☆☆☆
#743 [果樹]
「それだけなの?ユイカはただの幼馴染みなの?きょんは・・もう気付いてるんじゃないの?」
目で訴えかけるように私はきょんに静かに問掛ける。
「もし自分の気持ちがわからないならわからないなりにユイカに素直にきょんの気持ちを伝えたらいいのよ」
それだけ言って私は自分の席に戻った。
:08/11/27 03:51
:P902iS
:☆☆☆
#744 [果樹]
あとはきょんが自ら考えるべきことだから・・・。
その後きょんは教室を走って出ていった。
きっとユイカのもとへ行ったのだろう。
がんばれきょん!
私は秘かにきょんに向けてエールを送った。
:08/11/27 03:52
:P902iS
:☆☆☆
#745 [果樹]
――――・・・
「はぁ・・・」
私は今だ屋上にいた。
ここにいつまでも居るわけにいかないのになぁ。
でも教室に行ったら京太いるし・・・。
逃げてるわけにいかないのは、自分でもわかっているのに、体が言うことをきかない。
:08/11/28 17:10
:P902iS
:☆☆☆
#746 [果樹]
私は憎たらしいほどに青い空を見上げて、独り言にしては大きい声を出す。
「京太のばーか」
「誰がばかだ」
えっ?!
私の心臓がドクンと跳ねる。
私しかいない屋上で、私の独り言に返事が返ってくるわけがない。
:08/11/28 17:12
:P902iS
:☆☆☆
#747 [果樹]
でも・・・まさか・・・。
私はゆっくりと声の聞こえた方を向く。
「京・・・太」
見るとそこには息切れしている京太がいた。
「つかお前何で屋上なんかにいんの?すっげ探したじゃん」
「べ、別にあたしの勝手じゃんっ!」
:08/11/28 17:12
:P902iS
:☆☆☆
#748 [果樹]
探してくれて嬉しいくせに可愛くない言葉が口からは出る。
「可愛くなーい」
「うるさいっ!」
ぷうっと頬を膨らます京太に私はいつもの癖で言葉を返す。
・・・これじゃあいつもの口喧嘩だ。
いつも通りに話せて嬉しいけど、このままでは終わらせたくない私がいた。
:08/11/28 17:13
:P902iS
:☆☆☆
#749 [果樹]
そんな心の表れからか、私は京太から視線をずらす。
「何しに来たの?もう授業始まるよ?」
口からは冷たい言葉が出る。
「ユイカ・・・ごめんっ!」
いきなり大声で謝られて驚いて見れば、京太は、腰を90度近く折り曲げて頭を下げていた。
:08/11/30 06:47
:P902iS
:☆☆☆
#750 [果樹]
私が京太を見たまま黙っていると京太がぽつりぽつりと話し始めた。
「ユイカが変な男に絡まれてるのみて俺カーッとなっちゃって。でもそんなんで怒ってるの知られてうざいって思われるのも嫌だったんだ・・・だから・・・」
下を向きながら言う京太は落ち着かない様子で何度も髪をクシャッとかく。
:08/11/30 06:47
:P902iS
:☆☆☆
#751 [果樹]
ああ・・・。
そうだった。
京太は昔から人に嫌われるのを極端に嫌う人だった。
京太は結局私のことなんてなんとも思ってないんだ・・。
「もう・・・いいよ」
私は諦めにも似た返事をする。
:08/11/30 06:48
:P902iS
:☆☆☆
#752 [果樹]
「よくないっ!」
京太がいきなり大声を出すものだからびっくりして肩が跳ねる。
「俺・・よくわかんないんだけど、多分圭が男に絡まれててもあそこまで怒らなかったと思う。でも、ユイカが絡まれてるのみたらなんかムカついて・・・。ユイカだから・・・ユイカだったから」
言っている意味はわかるのに、京太が言おうとしていることがわからない。
:08/11/30 06:49
:P902iS
:☆☆☆
#753 [果樹]
「京太は・・・あたしをどう思っているの?」
流れる沈黙。
顔を上げない京太。
聞いた私が馬鹿だった。
今まで通りでいいんだ。
それが一番なんだ。
「ごめん。今のは忘れて」
立ち上がって、うつ向いて立っている京太の横を通りすぎる。
:08/11/30 06:49
:P902iS
:☆☆☆
#754 [果樹]
今まで通りの幼馴染み。
それがいいんだ。
私は校舎内に通じるドアを開ける。
「ユイカ!」
後ろから大声で名前を呼ばれた反動でドアノブから手を離してしまった。
ドアはそのままバタンとしまる。
:08/11/30 06:50
:P902iS
:☆☆☆
#755 [果樹]
「俺・・・まだよくわかんないんだけど、ユイカのことは手放したくない」
それは友達としてでしょ?
「友達としてじゃなく男として手放したくないんだ!」
まるで私の心の声に答えるように京太が大声で叫ぶ。
:08/11/30 06:50
:P902iS
:☆☆☆
#756 [果樹]
「この気持ちがなんなのかまだわからないんだけど・・・。でも」
「もういい」
京太が喋っている上に私は言葉を重ねる。
「もういいよ」
くるりと京太の方を向く。
「京太のばーか!」
大きな声での悪口。
:08/11/30 06:51
:P902iS
:☆☆☆
#757 [果樹]
「なっ・・・ユイカのバーカ!」
いつのまにか私は笑顔になっていた。
笑顔の私を見てほっとしたのか京太がいつものように言葉を返す。
これが私達流の仲直りの形。
「早く教室に戻ろう?」
ギッとドアを再び開けて私は京太の顔をみる。
:08/11/30 06:52
:P902iS
:☆☆☆
#758 [果樹]
「おう!」
京太もニヒッと顔をクシャクシャにして笑う。
――――・・・
トントンと二人で階段を降りていく。
京太の背中を見ながら私は笑顔が溢れる。
嬉しかった・・・。
友達としてではなく、男として手放したくないって言ってくれて嬉しかった。
:08/11/30 06:52
:P902iS
:☆☆☆
#759 [果樹]
京太が私を好きとかまだわからないけど、今はそれだけで十分だった。
今日は幼馴染みから一歩進めた、私の中での記念日。
友達以上の幼馴染み。
恋人は未定。
だけど私たち二人の時計はまだ動き始めたばかり・・・――
【 友達以上恋人未定 】
―end―
:08/11/30 06:54
:P902iS
:☆☆☆
#760 [果樹]
.
ねえ、先輩。
先輩はあたしのこと好きですか?
Story.7
【 先輩へ 】
.
:08/12/02 22:55
:P902iS
:☆☆☆
#761 [果樹]
私、柏木幸香の日課。
それは、私の彼氏である冴木滉太先輩の寝顔を毎朝拝むこと。
冴木先輩は、今では大学生だけど、半年前までは私と同じ楠行高校に通っていた。
約一年前、入学したての私は、かっこいいと噂の冴木先輩に一目惚れ。
猛アタックの末、付き合うことになったのが3ヶ月前。
:08/12/02 22:55
:P902iS
:☆☆☆
#762 [果樹]
高校生と大学生じゃ時間帯がずれてしまってなかなか会えないため、私はこうして秘かに会いに来ているのだ。
今日も先輩かっこいい〜。
っとやばい!遅刻しちゃうっ!
先輩の寝顔に見とれて時間を気にしていなかった私は、急いで鞄を持ち、先輩の部屋を静かに出ていく。
:08/12/02 22:57
:P902iS
:☆☆☆
#763 [果樹]
大学入学と同時に、一人暮らしを始めた先輩に貰った部屋の鍵を閉めてポケットにしまう。
「いよっし!」
軽い気合いを入れて、私は学校に向かった。
――――・・・
「結女おはよー」
「おはよう幸香」
:08/12/02 22:58
:P902iS
:☆☆☆
#764 [果樹]
教室に入って、私が一番に挨拶をするのは親友の結女。
一見可愛い顔立ちなのに、冷静沈着でさっぱりした性格の結女に、私はいつも助けられていて、正真正銘の親友だ。
「今日も冴木先輩のとこに行ってきたの?」
「もちろん♪」
「相変わらずだね」
:08/12/02 22:59
:P902iS
:☆☆☆
#765 [果樹]
若干飽きれ気味に言われるが、私からは幸せな笑顔しか溢れないことを結女は知っている。
しかし、次の瞬間私の気分は一気に地の底まで沈む。
「幸せなのはいいけど、一限から数学の小テストだよ」
「・・・・。忘れてたー!!!」
「だと思った」
:08/12/02 22:59
:P902iS
:☆☆☆
#766 [果樹]
はぁと溜め息をつく結女の横で、私はアワアワと一人焦る。
もちろん数学の小テストは言うまでもなく無惨な結果で終わった。
――――・・・
昼休み、結女とお弁当を食べていると制服のポケットの中で携帯が震えた。
:08/12/03 11:14
:P902iS
:☆☆☆
#767 [果樹]
携帯を開くと冴木先輩からメールが来ていた。
今日うち来て。
鍋食いたい。
メールの文章は、毎度の事ながら至ってシンプル。
それでも私の顔は緩む。
そんな私の表情を見逃さない結女。
:08/12/03 11:14
:P902iS
:☆☆☆
#768 [果樹]
「冴木先輩から?」
「うん!鍋食べたいんだって」
「鍋?この時期に?」
私の言葉に、結女が怪訝な顔をする。
確かに、と思いながら私は苦笑いを溢した。
:08/12/03 11:15
:P902iS
:☆☆☆
#769 [果樹]
――――・・・
スーパーで鍋に入れる食材を買った私は、今、先輩の家で、鍋をテーブルの真ん中に置き、向かい合って座っている。
箸で鍋の中の食材に手を伸ばす先輩は、楽しそうで可愛かったが、私は結女と話していた時から疑問に思ってた事を口にする。
:08/12/03 11:15
:P902iS
:☆☆☆
#770 [果樹]
「先輩・・鍋って普通冬にやるものですよね・・?」
「うん」
「今夏ですよね?」
「うん」
「暑くないですか?」
「夏だからね」
私の問掛けに普通に返す先輩。
:08/12/03 11:16
:P902iS
:☆☆☆
#771 [果樹]
鍋が食べたいと言うのは別にいい。
人それぞれ好きなものもあるし、それは好みだと思う。
でも夏に鍋。
しかも1ルームの小さな部屋で、二人だけで鍋。
暑いときに熱いものの組み合わせ。
普通は素麺とかサラダうどんとかが定番のはずじゃ・・。
:08/12/03 11:17
:P902iS
:☆☆☆
#772 [果樹]
いや、でも先輩くらいになるとまた違うのか・・・?
私が一人考えを巡らせていると、向かいに座っている先輩が吹き出す。
「ぷっ・・何百面相してんの」
「し、してないですよ!」
恥ずかしくなった私は、誤魔化すように鍋に手を伸ばす。
:08/12/03 11:17
:P902iS
:☆☆☆
#773 [果樹]
「そう?」
「そうです」
「ふーん」
納得したのかしてないのか、先輩はそれ以上何も聞いてこなかった。
――――・・・
時計の針が9時を回った頃、私は鞄を手に玄関へと向かう。
:08/12/04 06:28
:P902iS
:☆☆☆
#774 [果樹]
私はローファーをはいて、くるりと先輩の方を向く。
「それじゃあ帰ります」
「本当に送っていかなくていいのか?」
眉根を下げて心配そうにしている先輩。
帰る数分前、送っていくという先輩の申し出を、私は断固として断った。
:08/12/04 06:28
:P902iS
:☆☆☆
#775 [果樹]
理由は、私なりの心遣い。
先輩は大学が終わったあと、深夜遅くまでアルバイトをしている。
だからアルバイトが無い日くらい、ゆっくり休ませてあげたかったのだ。
まぁ、先輩には理由は話さずに、堅くなに拒否し続けただけだったが、その結果、結局先輩が折れたのだ。
:08/12/04 06:29
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:☆☆☆
#776 [果樹]
でも、心配されるのはやはり嬉しい。
「大丈夫ですよ!先輩明日もバイトがあるんですからゆっくり休んで下さい」
にこっと笑う私の頭を、ぽんぽんと先輩が優しく叩く。
「わかった。じゃあ家着いたらメールして」
:08/12/04 06:30
:P902iS
:☆☆☆
#777 [果樹]
そう言いながら先輩の顔が近付いてきた。
大好きな先輩の顔が近付いてくるのに、戸惑いながらも、目を閉じるとちゅっと首筋にキスをされた。
「へ・・?」
てっきり口にキスをされると思っていた私は呆気にとられる。
目を開けると目の前に先輩の顔があって、悪魔のような笑顔で笑っていた。
:08/12/04 06:30
:P902iS
:☆☆☆
#778 [果樹]
「期待した?」
心を見透かしたような先輩の言葉にカァッと顔が赤くなる。
「してませんっ」
「そう?」
恥ずかしくて強めに言うと、先輩は口に手を当ててククッと笑う。
もうっと先輩を軽く叩いくと頭をぽんぽんと軽く叩かれた。
:08/12/04 06:31
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:☆☆☆
#779 [果樹]
「家着いたらメールして」
優しい笑顔で言う先輩にはいと返事をして、私は先輩の家を後にした。
――――・・・
無事家に着いた私は、すぐに携帯を開き、メールの新規作成画面を開く。
:08/12/04 20:14
:P902iS
:☆☆☆
#780 [果樹]
家に着きました!
今日は楽しかったです☆
明日バイト頑張ってください!
じゃあおやすみなさい
メールを送った後、パチンと携帯を閉じて、服を着替える。
ふと鏡を見て、首筋にある赤い痣に目が止まる。
何これ?
:08/12/04 20:15
:P902iS
:☆☆☆
#781 [果樹]
不思議に思いながら指先で赤い痣に触れる。
ここは先輩がキスした場所・・・。
まさか・・これってキスマーク?!
赤い痣の正体がわかった途端、私の顔は、ボボッと沸騰したかのように赤くなる。
「先輩のばか・・」
:08/12/04 20:15
:P902iS
:☆☆☆
#782 [果樹]
悪態をつきながらも顔の緩みは隠せない。
恥ずかしく思いながらも、私はそんな小さなことに幸せを感じていた。
だからこそ、こんな幸せな日々に終りが来るなんて、この時の私には想像も出来なかった。
ねぇ、先輩?
先輩はこの時、私のことどう思っていたの?
:08/12/04 20:16
:P902iS
:☆☆☆
#783 [果樹]
――――・・・
「今日も先輩のところ?」
放課後、ルンルン気分で帰り支度をしていると、結女がピトッと私に寄り添うようにくっつく。
「うん!ご飯作って待ってようかと思って」
笑顔で言う私とは正反対に、結女はしゅんと悲しそうな顔をした。
:08/12/05 08:19
:P902iS
:☆☆☆
#784 [果樹]
「たまには私とも遊んでね?」
そんな可愛いことを上目使いで言う結女に、キュンと胸を射ぬかれる。
結女の頭をいいこいいこするように撫でて、「当たり前でしょ」と言うと、結女は可愛い笑顔を見せた。
先輩と仲良くね、と、手を振る結女にバイバイをして、私は教室を出る。
:08/12/05 08:20
:P902iS
:☆☆☆
#785 [果樹]
――――・・・
「牛肉、玉葱、人参、じゃが芋。ルーも入れたし生クリームもバッチリ!」
スーパーに来た私は、今日の夕食のビーフシチューに使う食材が、入ったカゴの中を確認する。
「後はー・・あ!飲み物」
足りない飲み物を買い足すために私はドリンクコーナーに足を向ける。
:08/12/05 08:20
:P902iS
:☆☆☆
#786 [果樹]
「よしっ!オッケー」
ビーフシチューを作るための食材がそろったところでレジに向かいお会計を済ませる。
――――・・・
スーパーの袋を右手にアパートの階段を上る。
鞄から鍵を出し、先輩の部屋のドアを開けると玄関には、靴が何足も並んでいた。
:08/12/05 08:21
:P902iS
:☆☆☆
#787 [果樹]
あれ?今日バイトって言ってたのに・・・。
不思議に思いながらも、家の中に入ると台所と部屋を仕切るドアの向側からたくさんの声が聞こえた。
ドアの向こうは、ガヤガヤと賑わっているようだ。
私は、何の疑いもなく、バイトを休んで友達といるのだろうと思った。
邪魔しちゃ悪いかな。
:08/12/05 08:21
:P902iS
:☆☆☆
#788 [果樹]
一先ず食材を冷蔵庫に入れるため冷蔵庫を開ける。
今日は帰った方が良さそう。
冷蔵庫に食材を入れながら、ドアの向こうの音に、聞耳をたてていると先輩の声が聞こえた。
「友美飲んでるかー?」
私以外の知らない女の名前を呼ぶ先輩。
:08/12/05 08:23
:P902iS
:☆☆☆
#789 [果樹]
続いて知らない女の声が聞こえた。
「飲んでるー。ていうか滉太って彼女いるのー?」
甘ったるい猫撫で声で喋る女に少し苛立ちを覚える。
でも次の瞬間、私は幸せな気持ちに包まれる。
「いるよー」
「どんな子ー?」
:08/12/05 08:24
:P902iS
:☆☆☆
#790 [果樹]
「どんなってー2個下の高校生」
先輩が、ちゃんと私のことを話してくれたことが、すごく嬉しかった。
先輩の彼女として、ちゃんと自分ができてるかすごく不安だったから、嬉しかった。
でもそれは、ほんの一時だけで、次の瞬間、私の気分は深い谷底へと落ちていった。
:08/12/05 08:26
:P902iS
:☆☆☆
#791 [果樹]
「えー2個下とかガキじゃん!あたしと付き合おうよぉ」
「んー・・まぁお前ならー・・」
先輩の言葉を聞いた瞬間、大きな音を立てて食材が手から落ちた。
今、何テ言ッタノ・・・?
私ハモウイラナイ?
:08/12/19 07:14
:P902iS
:☆☆☆
#792 [果樹]
必要ナクナッタ?
先輩ニトッテ私ハ、ナニ?
「幸香・・」
名前を呼ばれて、現実に戻ってきた私の目に写ったのは、先輩の姿と先輩の腕に手を絡ませている見知らぬ女。
音に驚いて、台所の様子を伺おうとドアを開けたのだろう。
:08/12/19 07:15
:P902iS
:☆☆☆
#793 [果樹]
先輩は気まずそうな目で私と見知らぬ女を交互に見る。
「ごっごめんなさい!すぐ帰ります」
そんな状況に耐えられなくなった私は、転がった食材をそのままに、鞄を持ち部屋を飛び出した。
「幸香!」
後ろからは、私を呼ぶ先輩の声が聞こえたが、私は聞こえない振りをして走った。
:08/12/19 07:16
:P902iS
:☆☆☆
#794 [果樹]
――――・・・
「幸香っ・・・待てって!」
パシッと手を掴まれて、体力の限界にきていた私の足はゆっくりと止まる。
どのくらい走ったのか、息は絶え絶えで、視界は涙で霞んでいた。
「俺の話・・聞いて?」
手を掴まれたまま、くるりと先輩の方を向かされた。
:08/12/19 07:17
:P902iS
:☆☆☆
#795 [果樹]
私は下を向いたまま、嫌々をするように横に首を振る。
そんな私に構わず、先輩は話し出す。
「あれは別に、幸香と別れたいっていってるんじゃなくて・・・」
何も聞きたくない。
先輩の声が届かない。
私は出来る限りの声を振り絞るように出す。
:08/12/19 07:18
:P902iS
:☆☆☆
#796 [果樹]
「先輩は本当に私のこと好きですか・・・?」
涙で霞んだ視界でも、先輩が一瞬戸惑った表情をしたのがわかった。
私は、視線を右手の薬指で光っているものに移す。
それは、付き合った当初、先輩に道端で買ってもらった指輪。
ダイヤが埋め込んであるわけでも、ブランド品なわけでもなかったけど、私には何より大切なものだった。
私はそれをそっと外す。
:08/12/19 07:18
:P902iS
:☆☆☆
#797 [果樹]
「これ返します・・。さようなら・・」
押し付けるように、先輩の手に指輪を握らせて私は、また背を向けて走り出した。
終わったんだ・・・。
先輩とはもう終わったんだ。
私は、溢れ出る涙をゴシゴシと手の甲で拭きながら走った。
:08/12/19 07:19
:P902iS
:☆☆☆
#798 [果樹]
――――・・・
先輩に別れを告げてから3日が経った。
私は、何もする気が起きず、朝から晩まで学校にも行かずにぼーっとしている。
携帯を開くと先輩から電話やメールが来るから電源はずっと切ってある。
先輩からのメールを見たらきっと返してしまうから。
:08/12/19 10:43
:P902iS
:☆☆☆
#799 [果樹]
白いテーブルに片腕を伸ばして、頭をその片腕に乗せて、定まらない視線を部屋の中に巡らせる。
ふと箪笥の上に飾ってある写真立てに目が行く。
それは先輩と二人で写っている写真。
付き合う前、先輩の卒業式の日に、一緒に撮ってもらったものだった。
目から溢れた暖かいものが、頬を濡らす。
:08/12/19 10:44
:P902iS
:☆☆☆
#800 [果樹]
私は声を出すわけでもなく、涙はゆっくりと頬を流れた。
コンコン
一人、部屋で思い出に浸っていると部屋のドアを叩く音が聞こえた。
私は流れた涙をゴシゴシと手の甲で拭き取る。
カチャッとドアノブが回り、ドアの隙間から結女が顔を覗かせた。
:08/12/19 10:45
:P902iS
:☆☆☆
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