・・万華鏡・・
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#501 [果樹]
それもそのはず、俺はこのゲーム機に熱くなりすぎて階段から転げ落ちてしまったのだから。

「ごめんね。ありがと」

俺は苦笑いで少女からゲーム機を受け取る。

「ゲームしながら歩いていたら危ないですよ?」

受け取る瞬間にクスッと笑われて昼休みにあったことを思い出す。

⏰:08/10/05 00:19 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#502 [果樹]
「ははは・・・だね。気をつける」

乾いた笑いを浮かべる俺に、少女はなんだか面白そうに笑っている。

「昼休みのときにあった子だよね?」

俺の問いに少女は、コクリと首を縦に振る。

「小鶴めぐみ」

「え?」

⏰:08/10/05 00:20 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#503 [果樹]
「名前。小鶴めぐみ。お菓子ありがとう。美味しかったです」

にこりと笑いながらお礼を言われた俺は、心臓がドキドキした。

何だ・・・?この感覚は?

「あなたは?」

「え?あっ!俺は倉橋空。倉でいいよ」

一瞬キョトンとしたが、小鶴さんはすぐににこりと笑う。

⏰:08/10/05 00:20 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#504 [果樹]
「それじゃあ私はこれで・・・。ばいばい倉くん」

そういって小鶴さんは手を軽く振って廊下を歩いていってしまった。

俺はしばらく、小鶴さんが歩いていったほうをぼけーっと見ていた。

あ!思い出した。
小鶴さんて哲が騒いでいたあの小鶴さんだ。

哲にこのこと話したらまたうるっせーんだろうなぁ・・・。

⏰:08/10/05 00:21 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#505 [果樹]
はぁと軽いため息をついて俺は昇降口へと向かった。

――――――――――・・・・

「つーる子ー!!」

ドンッ!

「んぎゃ!」

ドサッ

私は突然背中に感じた重さに耐えられず、そのまま地面に倒れる。

⏰:08/10/05 12:27 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#506 [果樹]
「麻ぁぁーー衣ぃぃーー・・・」

「あ・・あはははははー・・・」

上体を起こし私は後ろにいる麻衣を睨みつける。
麻衣は乾いた笑いを浮かべ顔を引きつらせている。

「まったくもー」

私は立ち上がり、スカートについたほこりを手で振り払う。

⏰:08/10/05 12:28 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#507 [果樹]
そのついでに頬を少し膨らませながら麻衣を再度睨みつける。

「ごめんってばー」

麻衣は両手を顔の前に合わせ必死に謝ってくる。

「別にいいけどさー。何いきなり?」

「え?なんでもないよ?」

「は?」

⏰:08/10/05 12:28 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#508 [果樹]
麻衣の返答に思わず素っ頓狂な声を出してしまう。

「つる子の姿が見えたから飛びついただけー」

麻衣はまるで悪びれも無く笑顔で答える。

「ああ、そう・・・」

私は思わず肩の力が抜ける。

「つる子ー早く教室行こーよー」

「はいはい」

⏰:08/10/05 12:29 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#509 [果樹]
いつの間にか私の前の方に来ていた麻衣は、おいでおいでをするように私を呼ぶ。
私は仕方なく麻衣の後に続く。


「小鶴さんおはよー」

「え?あ、おはようございます」

突然呼ばれた名前に振り向けば、男の子がこちらに向かって手を振っていた。
反射的に私も挨拶をしてしまう。

⏰:08/10/05 12:29 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#510 [果樹]
「誰?あれ」

私の肩に顎を乗せながら麻衣が聞いてくる。

「知らない人」

「またぁ?つる子って本当よく知らない人に声かけられるよねー」

「ね。」

そうなのだ。
私は入学当初から知らない先輩や同級生によく声をかけられる。

⏰:08/10/10 13:51 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#511 [果樹]
最初はとても面倒くさいかったのだが次第にそれにも慣れてきた。

「倉ーはよー」

「はよー」

「おっ倉ー今日は早ぇじゃん」

「うるせー」

あ・・・。

⏰:08/10/10 13:52 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#512 [果樹]
賑やかな声が聞こえると思いそちらを向けば、昨日のオレンジ頭の倉橋空がたくさんの友達に囲まれていた。

「つる子倉橋くんと知り合いなの?」

「え?」

麻衣の言葉に驚いて私は麻衣を見る。

「倉橋くんって男子からも女子からもすんごい人気あんのよねー。まぁあの顔なら納得はいくけど」

⏰:08/10/10 13:52 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#513 [果樹]
うんうんと頷きながら言う麻衣の言葉を聞きながら私はまた倉橋くんに目を戻す。

「あ、小鶴さんおはよー」

「お・・・はよう」

突然の倉橋くんからの挨拶に私は一瞬硬直して言葉が上手く出てこなかった。

にひっと笑う倉橋くんになんだか心臓が高鳴る。

⏰:08/10/10 13:53 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#514 [果樹]
「え?え?」

麻衣は倉橋くんと私を交互に見て、戸惑いを隠せない様子だった。

そして何故か倉橋くんの周りにいる友達も口を開けて、呆然としていた。

そんな周りの状況を知らないのか倉橋くんは、笑顔で手を振っている。

人懐っこいんだなぁ。

⏰:08/10/10 13:54 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#515 [果樹]
そんな中、私は一人倉橋くんを見ながらぼんやりとそんなことを思った。

――――――――――・・・・

「くぅう〜らぁぁあ〜」

ドカッ

「でっ!」

ベシャッ

⏰:08/10/10 13:55 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#516 [果樹]
後ろからの恨めしそうな声と共に、いろんな音。
そして突然背中に感じた重さに、俺は頭から机に突っ込んだ。

「抜け駆けしやがってお前はぁ!いつのまに小鶴さんと仲良くなったんだよ!あんだけ興味なさそうにしてたくせにこのやろう!」

「ぐえっギブギブ〜・・・」

⏰:08/10/10 13:55 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#517 [果樹]
後ろから哲に首を絞められた俺は、蛙が踏み潰されたような声でうめきながら首に巻き付いている哲の腕を叩く。

「まいったか!」

そう言われてコクコクと何度も頷くと哲はやっと、首に巻き付いていた腕を解いてくれた。

俺は解放された瞬間に、足りなかった酸素をめいっぱい吸い込んだ。

「んで?実際どーなわけ?」

⏰:08/10/10 13:56 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#518 [果樹]
「何が?」

突然の哲の問掛けに俺の頭にはいくつものハテナが飛ぶ。

「だから小鶴さんとだよ!どうやって親しくなったんだ?怒らねぇから言ってみ?ん?」

そう言う哲のこめかみには青筋と怒りが浮かび上がっていた。

⏰:08/10/14 10:39 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#519 [果樹]
うそだ。

そう思いながらも話さないと更に怖いので俺はぽつりぽつりと話し始めた。

・・・・。

「・・・ってな感じで俺は全然小鶴さんだって気付かなかったの」

話し終えると哲は、はぁぁーと深い溜め息をついた。

「倉・・・お前ってやつはなんてばかなんだ」

⏰:08/10/14 10:40 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#520 [果樹]
「なっ・・・いきなりなんだよ!」

哲のばか発言はちょっと許せねぇ。

「俺がお前の立場だったら絶対小鶴さんの電話番号ゲットしてるぞ」

「はぁ?!」

なんだそんなことかよ。
あほくさ・・・。

俺はばかなことをいっている哲に軽く呆れる。

⏰:08/10/14 10:40 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#521 [果樹]
「なぁなぁ!今度小鶴さん紹介してくれよ!な?」

嬉しそうに言う哲に、俺は一言「無理!」ときっぱり言う。

「なんだよ倉のケチ〜」

哲がぶーぶーと口を尖らせて文句を言ってくる。

「俺だってそんなに親しいわけじゃねーの。だから無理」

それだけ言って俺は、机に突っ伏した。

⏰:08/10/14 10:41 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#522 [果樹]
横では哲がまだ何か言っていたが、俺はそれを遮断するように眠りについた。

――――・・

「どーゆうことなの?!隠し事はなしでしょ?!つる子ー!」

はぁうるさい・・・。

私は後ろからキャンキャン聞こえる声に心の中で深い溜め息をつく。

⏰:08/10/14 10:41 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#523 [果樹]
倉橋くんと別れてから麻衣はずっとこの調子で、
「何?どうゆうこと?!」
「教えて!」
と倉橋くんとのことを聞いてくる。

正直面倒臭いから嫌なのだ。

「つる子ってばー!」

「わかったわかった。後で話すから・・・」

嘘だけど。

⏰:08/10/16 10:24 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#524 [果樹]
「とか言ってつる子の後ではいつもないじゃない」

見抜かれてる・・・。

麻衣とは長い付き合いなので誤魔化しは通用しない。

私は観念して長い溜め息を吐く。

「倉橋くんとは・・・あのお菓子を貰った日に知り合ったの」

「えぇ?!あのお菓子くれたのって倉橋くんだったの?」

⏰:08/10/16 10:25 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#525 [果樹]
麻衣が身を乗り出すようにして聞いてくる。

私はこくりと小さく頷く。

「でもちゃんと話したのは昨日の放課後だよ」

「そうだったんだぁ・・・。なんか以外」

「何が?」

麻衣の発言に私の頭の上には無数のハテナマークが飛ぶ。

⏰:08/10/16 10:26 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#526 [果樹]
「つる子のタイプってあーゆーのなんだぁって思って。まぁ倉橋くんとつる子なら釣り合うからいーけどさぁ」

「・・・は?!」

麻衣の突拍子もない発言に私は、目玉が飛び出すくらい目を開いた。

「え?違うの?」

「違うも何もあたし倉橋くんのことよく知らないし。だいたい会った次の日に好きとかありえないでしょ」

⏰:08/10/16 10:26 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#527 [果樹]
私は呆れながらも麻衣を見ると麻衣はどこか納得していないようで
「そーかなー?」
なんて言っている。

・・・ありえないよ。

――――・・

「あーもう駄目だ。俺限界・・・」

ヘロヘロになった哲がドサッと地面に腰を下ろす。

「だらしねぇーなぁ。たかがマラソン程度で」

⏰:08/10/16 10:27 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#528 [果樹]
俺は哲の前に立ち、呆れながら哲を見下ろす。

「うるせー。サッカー馬鹿と比べんな!」

「馬鹿わ余計だ」

ドベシッと哲の頭を叩く。

今は、体育の授業中。
ちなみに学校の外周をマラソンしてきた直後だ。

サッカー部の俺と違い帰宅部の哲にはきつかったらしくとうとう哲は地面に寝転んでしまった。

⏰:08/10/16 10:28 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#529 [果樹]
「しょーがねぇーなぁ。飲み物買ってきてやるからちょっと待ってろ」

俺は自販機を探して校舎に向かった。


ピッ・・ガコン

校舎内の自販機からスポーツ飲料を取りだし、一口飲み込む。

「ぷはっ」

渇ききっていた喉が潤う。

⏰:08/10/16 10:29 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#530 [果樹]
「クスクス・・汗すごいよ?」

笑い声と共に聞こえた声を辿ると階段の方に小鶴さんが立っていた。

「マラソンしてきたから。小鶴さんこそ授業中じゃないの?」

俺は笑いながら答えて、首を傾げる。

「サボリ中」

⏰:08/10/16 10:29 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#531 [果樹]
ふふっと笑いながら俺の隣まで来た小鶴さんは、自販機のボタンを押して中から紅茶を取り出した。

「それなに?」

俺はふと小鶴さんが持っている冊子が気になった。

俺の言葉に反応した小鶴さんが「ん?」と自分の手の中のものを見る。

「ああ。これはあたしの趣味」

そういって捲ったページには沢山の写真。

⏰:08/10/16 10:29 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#532 [果樹]
「すごいね。すごく温かい感じがする」

俺はペラペラとページを一枚一枚捲りながら写真を見ていく。

「ありがとう。でもまだまだだよ。全然下手」

「そんなことないよ。俺の親が写真家やってるから少しわかるけどうまいと思う」

謙遜する小鶴さんに俺は、親の事を話す。

⏰:08/10/20 13:28 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#533 [果樹]
「倉橋くんのご両親写真家なの?」

「いや、写真撮ってるのは親父の方。倉橋すぐるって知ってるかな?」

「倉橋すぐる?!!嘘でしょ?」

「え?いや本当だけど・・・」

小鶴さんの思わぬ食い付きぶりに俺は内心ビックリする。

⏰:08/10/20 13:28 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#534 [果樹]
「あたし倉橋すぐるさんの写真すごく好きなの!!」

少し興奮気味に言う小鶴さんになんだか俺は顔の筋肉が緩むのを感じた。

「そうなんだ。でも本人は何の変哲もないただのおっさんだよ」

俺たちはそんな話題で互いに笑いあった。

別れ際に、今度父さんの撮った写真を持ってくるというと小鶴さんはありがとうと満面の笑みで笑った。

⏰:08/10/20 13:29 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#535 [果樹]
――――・・

「つる子ー!またサボったなぁ」

教室に入るなり麻衣のお説教が始まった。

「はいはい。すみませんでした」

私は軽く受け流しながら自分の席に座る。

「まったくもう!ん?なんか嬉しそうだね?良いことでもあった?」

⏰:08/10/20 13:29 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#536 [果樹]
「え?」

怒っていた麻衣が私の顔を見るなりそんなことを言うものだから内心驚いてしまった。

基本ポーカーフェイスの私は、あまり心を悟られないのだが今日はうっかり顔に出ていたらしい。

「うん。まぁちょっとね」

そういいながら私は自分のアルバムを捲る。

⏰:08/10/20 13:30 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#537 [果樹]
「写真増えたね」

「うん」

麻衣は私が写真好きなのを知っているので、一緒に覗き込んでくる。

倉橋すぐるさんがまさか倉橋くんのお父さんだったなんて・・・。

「ふふっ」

「何いきなり笑いだして。気持悪いよ」

⏰:08/10/26 08:18 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#538 [果樹]
私の突然の笑いに麻衣がツッコミをいれてくる。

「んーん。なんでもない」

私はまだにやける顔のまままたアルバムを捲った。

――――・・

「小鶴さんいるかな?」

俺は今昼休みを利用して小鶴さんのクラスまで来ている。

⏰:08/10/26 08:19 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#539 [果樹]
理由は先日約束したものを渡すため。

ドア付近にいた女の子に声をかけるとちょっと待っててと言われたので俺は廊下で待つことにした。

「倉橋くん・・・?」

ドアに寄りかかりながら待っていたら遠慮がちに名前を呼ばれたので振り向くと小鶴さんがドアからひょっこりと顔だけ覗かせていた。

⏰:08/10/26 08:19 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#540 [果樹]
「約束したやつ持ってきたよ」

そういいながら右手に持っていたアルバムを小鶴さんの目の高さらへんで揺らすと小鶴さんの顔が一気に明るくなった。

「ありがとう!ねぇ中庭に行って一緒に見ない?いろいろ話も聞きたいし」

「・・・いいよ」

⏰:08/10/26 08:20 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#541 [果樹]
まさか誘われるとは思ってなかった俺は小鶴さんの言葉に戸惑いながらも返事をする。

それから僕たちは中庭に向かった。

――――・・

「すごい・・・。すごく綺麗!」

小鶴さんは次々とページを見ながら感嘆の声を上げる。

⏰:08/10/26 08:20 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#542 [果樹]
「これなんてすごいアングル!人と風景のバランスもすごく綺麗!!」

興奮を隠すことなく話す小鶴さんは妙に可愛くみえて俺はつい笑いが溢れる。

「ハハッ」

「どうかした?」

いきなり笑った俺を不思議に思ったのか、小鶴さんが首を傾げる。

⏰:08/10/26 08:21 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#543 [果樹]
一旦キリます!!

果樹の感想板.゚
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⏰:08/10/26 08:22 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#544 [なな]
>>290-600

⏰:08/10/26 09:56 📱:SH904i 🆔:Hc2u9Hgw


#545 [果樹]
ななさん
アンカーありがとうございます☆

⏰:08/10/31 00:11 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#546 [果樹]
「ごめん。本当に写真が好きなんだなぁと思ってさ」

俺の言葉に小鶴さんは優しく笑う。


「好きだよ」


その言葉に俺の胸がドクンと大きく鳴る。

「倉橋くんは写真撮らないの?」

⏰:08/10/31 00:12 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#547 [果樹]
小鶴さんがアルバムから目を離し、俺を見る。

「俺は写真よりも今はサッカーが好きだから。昔はよく父さんに付き合って写真も撮ってたけど」

俺は空を見ながら昔のことを軽く思い出す。

「そうなんだ。もうその写真はないの?」

「ん?あー探せばあると思うけど・・・」

⏰:08/10/31 00:13 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#548 [果樹]
俺は空を見ながら考える。

「見てみたい」

小鶴さんの思わぬ言葉に俺は少し驚く。

「子供が撮ったお遊びみたいなもんだよ?」

「うん。でも倉橋くんが撮ったの見てみたい」

⏰:08/10/31 00:14 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#549 [果樹]
「わかった。探してみるよ」

なんだか楽しそうに小鶴さんがいうものだから俺は思わずそう返事をしてしまった。


「でも俺からもお願いがひとつ」

「なに?」

⏰:08/10/31 00:15 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#550 [果樹]
俺はまるで交換条件とでもいうように人指し指を小鶴さんの顔の前に向ける。


「小鶴さんの写真ももっとたくさん見たい」

「あたしの?」

小鶴さんが少し驚く。

「うん」

⏰:08/10/31 00:16 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#551 [果樹]
俺の言葉に小鶴さんは少し驚いていたが次の瞬間ふわりと羽根のようにやわらかく笑って
「わかった。もってくる」
と返事をしてくれた。

――――・・

倉橋すぐるさんの写真を倉橋くんに見せて貰ったあの日から、私たちは昼休みによく中庭で互いの写真をみせあった。

⏰:08/10/31 00:17 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#552 [果樹]
なんだか倉橋くんと一緒にいると時間がゆっくり流れているみたいでとても落ち着いた。

私はそんな温かい時間がとても好きだった。


キーンコーンカーンコーン

「また中庭いくの?」

⏰:08/10/31 00:18 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#553 [果樹]
4限の終わりを告げるチャイムが鳴った直後に席を立った私に麻衣が聞いてきた。

「うん」

コクリと首を縦に振って私は自分のアルバムを手にとる。

「あたしもいっていい?」

「え?!」

⏰:08/10/31 00:19 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#554 [果樹]
突然の麻衣の言葉に私の時間が一瞬だけ時を止めた。

「邪魔しちゃ悪いかな?」

麻衣に悪意はないのだろう。

そんな麻衣を断るのはすごく悪い気がして私は麻衣を倉橋くんといつも会う中庭に連れていくことにした。

⏰:08/10/31 00:19 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#555 [果樹]
――――・・・

「今日は友達を連れてきたの」

「はじめまして倉橋くん!つる子の友達の麻衣です」

そういって紹介されたのは可愛い感じの女の子だった。

⏰:08/10/31 00:20 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#556 [果樹]
一旦キリます!
果樹の感想板.゚
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⏰:08/10/31 00:21 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#557 [果樹]
当然今日も二人きりだと思っていた俺は小鶴さんが友達をつれてきたのに少し悲しくなった。


なぜなら・・・

なぜなら俺は
この中庭でいろいろなことを話しているうちにいつのまにか小鶴さんのことが好きになっていたから・・・。

⏰:08/11/03 22:04 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#558 [果樹]
「ごめんね倉橋くん」

申し訳なさそうに謝る小鶴さん。

そのごめんねは何に対しての“ごめんね”なのだろう。

「気にしなくていいよ。麻衣ちゃんも写真撮ったりするの?」

⏰:08/11/03 22:04 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#559 [果樹]
小鶴さんに気を遣わせてはいけないと思った俺は、友達だという麻衣ちゃんに普通に話しかけた。

――――・・・

「麻衣ちゃんも写真撮ったりするの?」

「あたしは全然!いつもつる子が撮ったのを見せてもらっているだけだよ」

⏰:08/11/03 22:05 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#560 [果樹]
楽しそうに話す麻衣と倉橋くんの会話がなんだか遠くに感じた。


“麻衣ちゃん”

そう麻衣のことを呼んだ倉橋くんの声が否に耳に残った。

あたしは今でも“小鶴さん”なのに

⏰:08/11/03 22:06 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#561 [果樹]
「ねーつる子」

「え?あっごめん・・・。聞いてなかった」

いきなり話しを振られて、私は戸惑うことしかできなかった。

「もーだからねぇ・・・」

私に話しかけてくれる麻衣がとても可愛くみえた。

⏰:08/11/03 22:07 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#562 [果樹]
いつだって明るくて私とは正反対の麻衣。


倉橋くんも麻衣と同じタイプだろう。


私には二人がずっとずっと遠くにいるように思えた。

⏰:08/11/03 22:08 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#563 [果樹]
「ずっと元気なかったけどどうしたのつる子?」

倉橋くんと別れて、教室に帰る途中の廊下で麻衣が心配そうに聞いてきた。

「なんでもないよ」

私はいつものポーカーフェイスで答える。

⏰:08/11/03 22:09 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#564 [果樹]
「そう?ならいいんだけど。それにしても倉橋くんて面白いね!話やすいし」

私は上の空で麻衣の言葉を聞いていた。


なんだろう。
胸のあたりがもやもやする。

⏰:08/11/03 22:11 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#565 [果樹]
――――・・・

「はぁぁぁー」

「なんかあったのか?」

「哲・・・」

深い溜め息をついて机に突っ伏した俺に哲が話しかけてきた。

⏰:08/11/03 22:12 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#566 [果樹]
「小鶴さんとのあまーいあまーい一時の後に溜め息ってどーなのよ」

苦笑いでいう哲に俺も苦笑いを返す。

「それがさ。今日は二人きりじゃなかったんだ」

「どういうことだ?」

哲の眉間に皺が寄る。

⏰:08/11/03 22:13 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#567 [果樹]
「小鶴さんの友達が今日はいてさ。結局小鶴さんとあんま話せなかった」

「あーそれで元気がねぇわけだ」

「まぁな」

俺はまた溜め息をつく。

⏰:08/11/03 22:14 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#568 [果樹]
「小鶴さんは誰にも落ちねぇよ?お前だってわかってんだろ?」

哲の厳しい言葉が心臓に突き刺さる。

「ん・・・」

更に沈んでしまった俺をみて哲が頭をぐしゃぐしゃかきむしり始めた。

⏰:08/11/03 22:14 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#569 [果樹]
よろしければ感想ください!!

果樹の感想板.゚
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3647/

⏰:08/11/03 22:25 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#570 [果樹]
「あ゙ーーったくしゃーねぇなぁ。明日俺も連れていけ!」

「は!?」

「いーから!明日は俺も連れていけ」

何だかわからない内に哲はついてくることになってしまった。

⏰:08/11/07 23:25 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#571 [果樹]
――――・・・

「「はじめまして!」」

麻衣と哲くんの声が被った。

私を含めて4人は中庭の芝生の上に丸くって座る。

なんだか日を増ごとに人数が増えている気がするのは私だけだろうか?

⏰:08/11/07 23:25 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#572 [果樹]
今日の昼休みも麻衣がついていくというので一緒に来た。

それまでは昨日と同じ。

でも中庭にくるとなぜか倉橋くんの隣にも知らない男の子が立っていた。

「はじめまして!倉のダチの哲です。いつも倉が世話になっちゃって」

⏰:08/11/07 23:26 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#573 [果樹]
私の顔を見るなり倉橋くんの友達だという哲くんは挨拶をしながら私の手をブンブンと握ってきた。

「ごめんね小鶴さん。哲がどーしてもいくってきかなくてさ・・・」

倉橋くんは哲くんの頭を叩いてから私に謝ってきた。

⏰:08/11/07 23:27 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#574 [果樹]
困った顔の倉橋くん
終始笑顔の哲くんと麻衣
若干呆れ気味な私

なんだかまとまりのない集団だ。

「大丈夫だよ。あたしも麻衣っていうお荷物つれてきちゃってるから」

冗談混じりに言うとすぐに麻衣がほっぺたを膨らませる。

⏰:08/11/08 22:44 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#575 [果樹]
「お荷物ってなによー!!」

麻衣に怒られる私を見ながら倉橋くんと哲くんは笑っている。

この空間は楽しいのになんでだろう・・・。

胸にぽっかり穴が開いたみたいで物足りない。

⏰:08/11/08 22:45 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#576 [果樹]
――――・・・

「あ、倉ーわりぃんだけどなんか飲み物買って来てくんねぇ?」

会話の途中哲がいきなりそんなことを口にした。

「は?!なんで俺が?」

「いーじゃーん。お願い倉くんっ」

⏰:08/11/08 22:45 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#577 [果樹]
「いーやーだ!」

甘えた声でお願いをする哲。
もちろん俺の答えはNOだ。

「うっわ冷たい!倉くんてそーゆう人だったのー?」

「うるさい」

⏰:08/11/08 22:47 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#578 [果樹]
気持悪いオカマ言葉を使う哲を一喝して俺はそっぽを向く。

「あ・・・あたし行こうか?」

そんな俺と哲の会話の間に小鶴さんの遠慮がちな声が入る。

「え?マジ?じゃあお願いしちゃおうかなー」

⏰:08/11/08 22:48 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#579 [果樹]
そう言いながらも俺の顔をちらりと見る哲。

合図を送ってるのがまるわかりだ。

「あーわかったよ!俺が行けばいーんだろ?」

「さっすが倉ーおっとこ前ー」

行かせるように仕向けておいてよく言うよ。

⏰:08/11/08 22:50 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#580 [果樹]
「ったく。何がいんだよ?」

「俺炭酸ー。あとうすしおポテチとガムとチョコもー」

「あっじゃああたしオレンジジュース」

呆れながらも注文を聞くと次々と品物の名前が飛んできた。

⏰:08/11/10 02:28 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#581 [果樹]
「はいはい。小鶴さんは?」

「え?えっとー・・・」

小鶴さんは考えていなかったのか上を見て考えている。

そんな時哲がいきなりとんでもない言葉を言う。

⏰:08/11/10 02:29 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#582 [果樹]
「悩んでるんなら小鶴さんも倉と一緒にいってきちゃえば?」

「え?」

驚く小鶴さん。

「その方が選びやすいし」

ニヒッと哲の口元が弧を描く。
あれは何か企んでる時の顔だ。

⏰:08/11/10 02:29 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#583 [果樹]
「じゃあ・・・行こうかな」

考えた末に小鶴さんと俺が買い出し班になった。

ったく哲のやつ
余計な気を回しやがって・・・。

――――・・・

学校の中にある購買で言われたものを倉橋くんが買っているので私は外で待機になった。

⏰:08/11/10 02:30 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#584 [果樹]
ピトッ

「冷たっ!」

突然頬にひやっと冷たい物が触れて思わず肩が跳ねる。

「はい。あげる」

隣にはアイスを持った倉橋くんが立っていた。

⏰:08/11/10 02:30 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#585 [果樹]
「え?」

首を傾げると倉橋くんの口元が弧を描いた。

「買い出し付き合ってくれたお礼。本当は食べたいものとかなかったんでしょ」

「バレてたんだ・・」

思わず苦笑い。

⏰:08/11/10 02:31 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#586 [果樹]
私は別に食べたいものもなかったし購買で買いたいものもなかったのだ。

「座って食べよっか?」

片手にアイスを持った倉橋くんがベンチを指して言う。

「戻らなくていいの?」

「んー大丈夫だと思う」

⏰:08/11/10 21:19 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#587 [果樹]
私の問いに少し考える素振りをした倉橋くん。

麻衣と哲くんには悪いけど結局私たちは近くのベンチに座ってアイスを食べることにした。

「なんか久しぶりな感じがするね」

「え?」

⏰:08/11/10 21:20 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#588 [果樹]
アイスを食べながらいきなりそんなことを口にした倉橋くんの言葉の意図がわからなくて私は首を傾げる。

「こうやって小鶴さんと二人だけで話すのって」

シャクッとアイスを一口噛みながら倉橋くんが言う。

⏰:08/11/10 21:20 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#589 [果樹]
「そーだね。昨日は麻衣で今日は哲くんがいたもんね」

私は笑いながら言う。

「まぁ楽しいんだけどね」

「でもちょっと寂しいかな・・・」

「え?」

⏰:08/11/10 21:21 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#590 [果樹]
・・・・・え?え!?
今言ったのあたし?!

私は無意識の内に言ってしまった言葉に戸惑う。

「ご、ごめんっ。今の忘れて!」

「あ、うん・・・」

そこからは何だかお互い気まずくてずっと無言だった。

⏰:08/11/10 21:21 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#591 [果樹]
――――・・・

「どーだった?」

教室に戻った俺に哲がにやにやと口元を緩めながらきいてきた。

「変な気遣いやがって」

俺は哲をじとって睨む。

「俺は愛のキューピッドをしてやったんだろー。それよりどうだったんだよ」

⏰:08/11/10 21:22 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#592 [果樹]
「・・・わかんねぇ」

興味津々とばかりに目を輝かせる哲に、俺は片手で頭を抱えて答える。

「は?」

「余計わかんなくなった・・・」

あの言葉にはどういう意味があったんだ・・・?

⏰:08/11/10 21:23 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#593 [果樹]
――――・・・

「つーる子!倉橋くんていーよねー。気さくだし優しいかっこいいし!言うことなしって感じ」

教室に戻るやいなや麻衣が倉橋くんを誉め始めた。

「そーだねー」

私はそれを聞き流すように適当に答えた。

⏰:08/11/11 06:10 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#594 [果樹]
「あれ?不機嫌?もしかしてヤキモチとか?!」

そんな私に麻衣がにやにやと笑って聞いてきた。
私は思わず大きな声が出る。

「ちがうよっ!」

「ふーん。まぁいいけど」

麻衣は私の言葉に適当に受け答えして前を向いてしまった。

⏰:08/11/11 06:11 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#595 [果樹]
いつもならもっと追求してくるのに。なんだろう。

麻衣の言葉が気になる。
麻衣・・・もしかして倉橋くんのことが・・・?

――――・・・

あと5分早く教室を出てれば
あの時哲たちと一緒に教室をでてれば
こんなことにはならなかったかも。

⏰:08/11/11 06:12 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#596 [果樹]
今俺は廊下のど真ん中で立ち往生している。

なぜなら

なぜなら俺の行きたい方向に小鶴さんがいるからだ。

小鶴さんだけならいい。
軽く挨拶をして通りすぎればいいのだから。

⏰:08/11/11 06:12 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#597 [果樹]
でも俺の目線の先には、小鶴さんと知らない男子生徒(ネクタイの色からして三年)がいる。

二人の様子から察するにたぶん告白の真っ最中。


俺が行きたい理科室までは小鶴さんたちがいる階段を上らなきゃいけない。

⏰:08/11/11 06:13 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#598 [果樹]
何くわぬ顔して二人の真横を通るほど神経が図太くない俺は結局廊下で立ち往生するはめになったわけだ。

どーすっかなぁ・・・。
ここにいてもしょうがねぇし。
もう授業も始まるし。

はぁ。と溜め息をつき俺は廊下に座り込む。

⏰:08/11/11 06:13 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#599 [果樹]
階段の方からは二人の会話がちょくちょく聞こえてくる。

なんか盗み聞きしてるみたいでしのびない。

しょうがねぇ。
4限はサボるか。


決心をして立ち上がった俺は本日二度目の大失態を侵す。

⏰:08/11/11 06:15 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#600 [果樹]
とりあえずキリます!

感想はこちらに
果樹の感想板.゚
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3647/

⏰:08/11/11 06:17 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#601 [urahanai]
>>297-500

⏰:08/11/11 18:35 📱:SH904i 🆔:k9PGqM1Y


#602 [果樹]
urahanaiさん
アンカーありがとうございます☆

⏰:08/11/12 00:52 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#603 [果樹]
立ち上がった瞬間、小鶴さんが階段側から現れて目があってしまった。

言い訳の言葉も出てこない俺はその場で硬直。

「く・・らはしくん・・・」

小鶴さんも驚いているのか大きな目がさらに大きくなっている。

「ご、ごめんっ」

⏰:08/11/12 00:53 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#604 [果樹]
ガバッと頭を下げて俺は小鶴さんに謝り横を通り抜けて理科室へと向かった。

――――・・・

聞かれちゃったかな・・・。

倉橋くんが行った方を見て私は少し気分が落ちる。

チクン・・・。

⏰:08/11/12 00:53 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#605 [果樹]
なんだろう。
最近胸が痛くなったりもやもやしたり忙しい。

倉橋くんに会ってから。
倉橋くんに会うたびに・・・。

これってまるで・・・――!!

――――・・・

「なんだ倉〜元気ねぇなぁ」

⏰:08/11/12 01:47 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#606 [果樹]
机の上でだれていると哲が心配をして声をかけてきた。

「そーかぁ?」

さっきの小鶴さんの表情が忘れられなくて俺は適当に返事を返す。

絶対変に思われたよなぁ。
はぁ・・・。

⏰:08/11/12 01:48 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#607 [果樹]
「倉ー廊下で女が呼んでたぞ」

「んーサンキュ」

友達に言われて俺はノロノロと立ち上がり廊下に向かう。

「あれ?麻衣ちゃん」

廊下に行くと麻衣ちゃんがいた。

「ちょっといいかな?」

「うん・・?」

⏰:08/11/12 01:48 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#608 [果樹]
呼ばれるままに俺は麻衣ちゃんと階段の方に行く。


「倉橋くんてつる子のこと好きだよね?」

階段までくると前ふりもなくいきなり麻衣ちゃんが核心をついてきた。

「え!?あっ・・あー・・・それって小鶴さんにもバレてる?」

⏰:08/11/12 01:49 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#609 [果樹]
質問の内容に焦ったがバレたものはしょうがないと俺は諦めて力なく麻衣ちゃんに質問を投げ返す。

「ううん。つる子は鈍いから」

ふふっと楽しそうに言う麻衣ちゃん。

このこはどこまで知っているんだろう・・・。

⏰:08/11/12 16:10 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#610 [果樹]
「告白しないの?」

「うーんしたいのはやまやまなんだけど・・・」

「怖い?」

「・・正直」

全てをみすかされたような麻衣ちゃんの言葉に俺はタジタジ。

「あのさぁ・・麻衣ちゃん。ものは相談なんだけど・・・」

⏰:08/11/12 16:10 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#611 [果樹]
俺は思いきって麻衣ちゃんに相談をする。

・・・・・。

「なんだそんなこと?全然いいよっ」

俺の相談を麻衣ちゃんは快く承諾してくれた。

「ありがとう!じゃあよろしく」

⏰:08/11/12 16:11 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#612 [果樹]
――――・・・

「ただいまー」

いつのまにかどこかに行っていた麻衣が帰ってきた。

「おかえり。どこ行ってたの?」

「ちょっと恋のキューピッドをしにぃー」

「???」

⏰:08/11/12 16:12 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#613 [果樹]
麻衣の答えに私の頭にはいくつものハテナが浮かぶ。

「それよりさ!もうお昼休みだけど倉橋くんとの待ち合わせはいいの?」

麻衣の言葉で時計を見るともうとっくにお昼休みに入っていた。

「え?あっ行かなきゃ!・・あれ?今日はついてこないの?」

「うん行かなーい」

⏰:08/11/12 16:13 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#614 [果樹]
行かないと言いながら笑う麻衣を不思議に思いながらも私は席を立つ。

「そう。じゃあ行ってくるね」

「はいはーい」

麻衣に見送られて私は中庭に向かった。

⏰:08/11/12 16:13 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#615 [果樹]
「遅れてごめんね」

中庭に行くと倉橋くんは既にいつもの場所で待っていた。

「大丈夫だよ。それより今日はちょっと場所変えない?」

「いいけど。どこに行くの?」

いきなり場所を変えると言う倉橋くんを不思議に思いながらも私は尋ねる。

⏰:08/11/12 16:14 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#616 [果樹]
「いいとこ見付けたんだ。こっちこっち」

そういって私の空いていた手を握ってどこかへ連れていく倉橋くん。

握られた手から倉橋くんの熱が伝わってきてすごくドキドキする。

私やっぱり―・・・

――――・・・

「ここ?」

⏰:08/11/12 16:14 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#617 [果樹]
俺が小鶴さんを連れてきたのは特別棟の3階の端っこの教室。

「うん。景色が凄く綺麗なんだ」

ガチャとドアを開けて中に入る。

ガラッと窓を開けると涼しい風が頬をかすめた。

「風がきもちいいね」

「でしょ?サボるのにもすごくいい場所なんだ」

⏰:08/11/12 16:15 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#618 [果樹]
「確かに」

そう言ってふふっと笑う小鶴さんの表情がとても可愛くて俺はみとれた。


「今日はね。小鶴さんに話があるんだ」

「何?」

きょとんと目を丸くしてきいてくる小鶴さん。

俺は小さく深呼吸をして頭の中で言葉を整理する。

⏰:08/11/12 16:16 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#619 [果樹]
「・・・小鶴さんがどうしていろんな人からの告白を断るのかはわからない。でも・・・


俺も小鶴さんが好きだよ」



⏰:08/11/12 16:18 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#620 [果樹]
俺が勇気の限りを振り絞って出した言葉だったが小鶴さんは呆気にとられたのか驚いているのか固まっている。

「あの・・・小鶴さん?」

「え?!あっハイ!!」

「聞いてた?」

俺の問いにコクコクと小鶴さんは必死に首を縦に振る。

「返事もらってもいいかな?」

⏰:08/11/12 16:18 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#621 [果樹]
――――・・・

倉橋くんからのいきなりの告白に驚いて私はすこしの間放心してしまった。

でも動悸だけは治まらなくてずっと胸が高鳴っている。

これはきっと嬉しさから・・・。

「えっと・・・あの・・・あ・・たしも・・・!」

そこまで言って麻衣の顔が私の頭をよぎった。

⏰:08/11/12 16:19 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#622 [果樹]
もし麻衣が倉橋くんを好きだったら。
あたしは麻衣の好きな人を盗ることになる・・・。

それだけは・・できない。

「・・・・ごめんなさい」

私には友達の恋よりも自分の恋を優先させることは出来ない。

「そっ・・・かぁ。やっぱり駄目か・・・」

倉橋くんの優しい苦笑い。

⏰:08/11/12 16:20 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#623 [果樹]
「ちがっ・・!でも・・・ごめんなさい」

倉橋くんの顔が見れなくて私は下を向く。
きっと今見たら泣いてしまう。

「ううん。いいんだ。いきなりごめんね。」

声は元気だけどでも空元気なのが伝わってくる。

「じゃあ俺行くね」

「あっ・・・」

⏰:08/11/12 16:20 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#624 [果樹]
私の言葉が届かないまま倉橋くんは教室から出ていってしまった。

――――・・・

「てぇーーつぅーー」

教室に戻った俺はドスッと哲の背中にのしかかった。

「うおっ!どうした倉?!」

「・・・・られた」

⏰:08/11/12 16:21 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#625 [果樹]
「あ?聞こえねぇよ」

何度も言わすな馬鹿野郎。

「振られた・・・・」

きっとこの時の俺は死顔だったんだろう。
その後は哲がなんやかんやと世話を焼いてくれた。

――――・・・

「おっかえりー!」

「ただいま・・・」

⏰:08/11/12 16:24 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#626 [果樹]
麻衣の元気よさとは対称的に私はすごく気分が落ちていた。

「何で元気ないの?倉橋くんと付き合ったんでしょ?」

「え?!」

私が反応を見せると麻衣はまずったっていう顔をした。

⏰:08/11/13 14:58 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#627 [果樹]
「どういうこと?何で麻衣が倉橋くんに告白されたこと知ってるの?」

私が問つめると麻衣は渋々と言った感じで

「実はー・・・」



「はぁっ・・はぁ」

なんでもっと早く気が付かなかったの?
全部あたしの勘違いだった。

⏰:08/11/13 14:58 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#628 [果樹]
麻衣の話を聞いた後私は教室を出てあたしは走った。
今一番気持ちを伝えたい人の元へ・・・。


回想―――・・・

「実はね。倉橋くんにつる子と二人きりになりたいから今日の昼休みは来ないでって言われてたの。告白したいからって」

⏰:08/11/13 14:59 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#629 [果樹]
麻衣が申し訳なさそうに私を見る。

「でも麻衣は倉橋くんのこと好きなんじゃ・・・」

それなのにどうして・・・?

「え?!何言ってるの?あたし倉橋くんのこと何とも思ってないよ?」

麻衣がきょとんとした顔をする。

⏰:08/11/13 14:59 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#630 [果樹]
「え?だって・・え?!」

私は頭が混乱して思考がうまく回らない。

そんな私を諭すように麻衣が口を開く。

「つる子なんか勘違いしてない?あたしは寧ろ倉橋くんとつる子のこと応援してたんだよ?」

全てはあたしの勘違い?
麻衣は倉橋くんが好きなわけじゃ・・ない?

⏰:08/11/13 15:00 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#631 [果樹]
じゃああたしは勘違いで倉橋くんを振ったの・・・?

回想終了――――


「あのっ哲くん!倉橋くんいる?」

倉橋くんの教室まで来た私は哲くんに詰め寄る。

「へ?倉なら風にあたってくるっていってどっかいったけど・・・」

⏰:08/11/13 15:01 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#632 [果樹]
「わかった。ありがとうっ」

バタバタバタ・・・

小鶴が出ていった方を見ながら

小鶴さんてあんなにハキハキしたタイプだったっけ?

とちょっと不思議に思う哲なのであった。

⏰:08/11/13 15:02 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#633 [果樹]
――――・・・

情けねぇなぁ俺。

屋上から校庭を眺めながら俺は自分に落胆する。

振られると思わなかったわけではない。
覚悟はしていた。

しかしいざ断られるとやっぱりダメージは大きかった。

⏰:08/11/13 16:29 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#634 [果樹]
「はぁ・・・男のくせにだらしねぇ」


ガチャッ

物思いに耽っていると屋上のドアが開く音がした。

「倉橋くんっ!!」

大きな声で呼ばれて肩がビクッと弾む。

「小鶴さん・・・」

⏰:08/11/13 16:30 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#635 [果樹]
振り向くとそこには小鶴さんが息を切らして立っていた。

「どうしたの?小鶴さんもサボりに来たの?」

俺は精一杯の笑顔を作る。

――――・・・

倉橋くんが無理に笑顔を作っているのがわかる。

⏰:08/11/13 16:31 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#636 [果樹]
そうさせているのはあたしだ。

「日差しは眩しいけど風は気持いいよね。昼寝に持ってこいだ。あ、そういえば小鶴さん次の授業何?俺は数学でさー教室で寝るくらいならここで寝ようと思って――・・・」

倉橋くんはあたしが喋る暇も作らせないくらい一人で喋っている。

⏰:08/11/13 16:32 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#637 [果樹]
「倉橋くんっ!」

痺を切らした私は大きな声で倉橋くんの名前を呼ぶ。

「あのねっ・・・聞いてほしい話があるの」

私がそう言うと倉橋くんはにぱっと笑って。

「大丈夫だよ。これからも友達だから」

⏰:08/11/13 16:33 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#638 [果樹]
と空元気としか受け取れない笑顔を見せる。

「父さんの写真見たいならまた昼休みに会えばいいし」

「・・・がう」

「なんにも心配いらないよ」

その最後の言葉に私の中の何かがぷちんと音を立てて切れた。

⏰:08/11/13 16:34 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#639 [果樹]
「ちがうってばーー!!」
大声を出したせいかはぁはぁと息が荒くなる。

倉橋くんは私の大声に驚いたのか目を見開いている。

「私・・・勘違いしてたの。私は・・っ私も・・・」

喋っている最中なんだか目頭が熱くなって鼻の奥がつんとした。

⏰:08/11/13 16:35 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#640 [果樹]
.
「私は倉橋くんが好きなの・・・ひっ・・・うー」


いつの間にか私は泣いていた。
堪えきれない涙が頬を伝って地面に染みをつくる。

「ご・・・ごめんっ」

「何・・で倉橋くんが謝るの?」

⏰:08/11/13 16:35 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#641 [果樹]
私は泣いているままの顔で倉橋くんを見る。

倉橋くんはどうしたらいいかわからずオロオロしている。
その姿に私は思わず笑みが溢れる。

「ふふ・・クスクスクス」

「えっ?あの・・・」

「ごめんなさい。告白の返事もらってもいいですか?」

⏰:08/11/13 16:37 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#642 [果樹]
私は涙を拭って精一杯の笑顔で笑う。

「そんなの決まってる」

そういって倉橋くんは私の手を引っ張る。

くんっと前のめりになった私はいつの間にか倉橋くんの腕の中にいて強く抱き締められていた。

⏰:08/11/13 16:38 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#643 [果樹]
耳元で囁かれた

「好きだ」

の言葉は今までのどんな告白より胸に響いた。

――――・・・

告白の成功率0パーセントの美少女

それは小鶴めぐみという一人の少女につけられた秘かなあだ名。

⏰:08/11/13 16:38 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#644 [果樹]
彼女は恋に全く興味がなかった。

しかし、その成功率0パーセントの美少女の成功率を上げた一人の男子がいた。

その男子には成功率0パーセントの美少女自ら告白したという逸話もある。

後にも先にも彼女が告白をしたのも受けたのもそれ一回きりであった。

【成功率0パーセント】

―End―

⏰:08/11/13 16:39 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#645 [果樹]
.

友達でいた時間が長すぎて、この気持ちが恋だって気付かなかったり、恋までなかなか発展しないことってあるよね。


story 6

【 友達以上恋人未定 】

⏰:08/11/13 22:48 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#646 [果樹]
「はぁ・・・」

思わず溜め息が漏れるのは私、緒方ユイカの性格が故だろう。

私は、昔から人よりちょっとタイミングが悪いらしく、今もまたそのタイミングのせいで・・・。


「ユイカー何してんの?」

⏰:08/11/13 22:49 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#647 [果樹]
ブンブン手を振りながらこっちに向かって走ってくるのは腐れ縁の湯沢京太。

「歩いてるの」

「そうじゃないデショ」

本当の事を言っただけなのに京太は頭を軽くチョップしてきた。

私は、はぁと溜め息をつき、立ち止まって、手に持っているダンボールをずいっと京太の前につき出す。

⏰:08/11/13 22:49 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#648 [果樹]
「柴くんのパシリ」と一言で告げ、また歩き出す。

「またぁ?ユイカいつもこういう役回ってくんな」

京太が隣を歩きながらからかい口調でケラケラと笑ってくる。

「好きでやってるんじゃない。先生たちが私に回してくるの」

⏰:08/11/13 22:50 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#649 [果樹]
全く人使いが荒いったらないんだあの人たちは!

すねたように頬を膨らませると京太に頭を撫でられた。

「でもそれを素直にやってあげるのはユイカのいいとこだな!」

そういって京太はにこっと笑いながら、私の手からダンボールを取り上げた。

⏰:08/11/13 22:50 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#650 [果樹]
まるで王子様やん!っていうツッコミをいれたくなるほどだ。

「・・・資料室」

「じゃあ資料室までランデブーと行きますか♪」

にひひっと笑って言う京太。
全く意味わかって言ってんのか疑ってしまう。

⏰:08/11/14 12:20 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#651 [果樹]
「ばか京太・・・」

私は顔が赤いのを気付かれないように京太の少し斜め後ろを歩いた。

――――・・・

「おっかえりー!!」

教室に入るなり、圭ちゃんが手を振りながら大声で迎えてくれた。

⏰:08/11/14 12:20 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#652 [果樹]
「ただいま」

私は席について次の授業の用意をする。

「何なに?きょんと2人でどこに行ってたのー?」

圭ちゃんはあたしの前の席に座り、なんだか嬉しそうだ。

「柴くんのパシリで資料室まで行ってただけだよ」

⏰:08/11/14 12:21 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#653 [果樹]
「ふーん」

本当の事を話したのに圭ちゃんは、ニマニマと怪しい笑顔を浮かべている。

「な・・・なに?」

「ユイカさ。告っちゃえば?」

ガタッガタンッ

盛大に椅子からずり落ちてしまった。

⏰:08/11/14 12:21 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#654 [果樹]
「圭ちゃん・・・何をいきなり」

椅子に座り直してからも、目の前で満面の笑みを浮かべる圭ちゃんに呆れてしまう。

「だってなんかじれったいんだもん!バシッと気持ち伝えて付き合えばいーのに」

真顔で言ってくる圭ちゃん。

⏰:08/11/14 23:48 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#655 [果樹]
「別にあたしはっ・・・そのー・・・ト、トイレ行ってくるっ!」

言葉がおぼつかない。
このままじゃあ墓穴を掘るのが落ちだ。
ここは・・・逃げるが勝ち!

あたしは教室を出てトイレへと向かった。

――――・・・

くくっユイカは面白いなー。

⏰:08/11/14 23:49 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#656 [果樹]
私はユイカが出ていったドアの方を見ながら笑うのを必死に堪えた。

私、柳田圭はユイカの友達で、きょん(京太)との仲を見守るキューピッド・・・なんだけど、なかなか進展しないのがあの二人。

まったくじれったいったらない!

やっぱりユイカって恋愛初心者なのかしら。

⏰:08/11/14 23:50 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#657 [果樹]
私が一人、思考を巡らせていると視界の隅に子犬が見えた。

「なぁ圭ー」

「なぁにきょん」

子犬はもちろんきょん。

私はきょんの方に視線を向けて話しを聞くことにした。

⏰:08/11/14 23:50 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#658 [果樹]
「ユイカってさー好きな奴いんのかな?」

きょんの問いに一瞬、ユイカの気持ちに気付いたかと思ったが、きょんは鈍感なのでありえないだろうと思い直した。

「なんで?」

「だってさー最近俺に対してよそよそしいんだよ。前以上にくっついてこなくなった気ぃするし」

⏰:08/11/14 23:52 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#659 [果樹]
「そりゃあアンタを意識してるからだよ!」
とつっこんでやりたいが、これはユイカが言うことだから私が言ってはいけない。

「さーねぇ?ユイカにもいろいろあるんじゃないの?あ、噂をすればユイカ発見」

「え?!どこっ?」

⏰:08/11/14 23:52 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#660 [果樹]
ユイカの事となるとすぐ食い付いてくる。
まさに犬。忠犬ハチだ。

「ほらあそこー。柴くんと話してるよ」

私が指差して教えるときょんは窓から身を乗り出してそこを見る。

きょんは楽しそうに話している柴くんとユイカを見てやきもちを妬いているのか、頬を膨らませて不機嫌を露にしている。

⏰:08/11/15 02:32 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#661 [果樹]
きょんて自分がユイカを好きな自覚ないのかな?

いつになったらこの二人は、お互いが好きあっていることに気が付くのか・・・。
と心配になってしまう圭なのであった。

――――・・・

「はー疲れた」

⏰:08/11/15 02:35 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#662 [果樹]
教室に戻った私は溜め息をついて席に座る。

「トイレにしては随分と長かったのね」

圭ちゃんは相変わらず楽しそうに聞いてくる。

「それがさー。トイレから出てきたところで柴くんに会っちゃってー・・・」

⏰:08/11/15 02:36 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#663 [果樹]
ユイカ回想―――

「はぁースッキリした!全く、圭ちゃんが変なこと言うから焦っちゃったじゃん。大体、京太が私のことどう思ってるのかもわからないし、告るにしたって心の準備つーもんが・・・云々」

と怪しくぶつぶつと呟いていたせいで目の前に迫っていたモノに私は全然気付かなかった。

⏰:08/11/15 02:37 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#664 [果樹]
「ぶふっ!」
「うおっ!」
バサーッ!!

二つの声と何かが大量に落ちる音が同時に聞こえた。


「あいたた・・・」

尻餅をついてその場に倒れてしまった私は、何が起こったのかさっぱり把握出来ない。

⏰:08/11/15 02:38 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#665 [果樹]
「悪いなー前見えなかった・・・ってなんだ緒方か」

「あ、柴くん。てか、なんだって何よー!」

目の前には同じように尻餅をついている柴くんがいた。

柴くんは私のクラスの担任で年が若くカッコイイので女子からの人気が高い。

⏰:08/11/15 02:38 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#666 [果樹]
「悪い悪い。ほら立てるか?」

笑いながら手を差しのべてくれたので、その手を借りることにした。

「ありがと」

立ってみて初めて、自分が何にぶつかったのかわかった。

足元には廊下を占領するかのように散乱した大量のノート。

⏰:08/11/15 02:39 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#667 [果樹]
これか・・・・。

「はー見事にぶちまけたな」


「よっこらせ」
と親父くさい掛け声でしゃがみ、柴くんが床に散らばったノートを拾い始めたので私も手伝う。

⏰:08/11/15 22:43 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#668 [果樹]
「はい。これで全部かな」

最後の一冊を柴くんに渡す。

「悪いねー緒方。助かったよ」

「あたしも悪かったし」
と言って、改めて柴くんを見ると柴くんの手には高く積み上げられたノート。

まるで漫画だ・・・。

⏰:08/11/15 22:44 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#669 [果樹]
「ねぇ柴くん。ノートに埋もれて顔見えてないよ・・・?」

「だなー」

だなーって・・・。
なんて脳天気な人なんだろう。

「貸して。半分持つ」

「ありがとな。でも大丈夫だぞ」

⏰:08/11/15 22:45 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#670 [果樹]
片手を差し出して、自ら手伝うと言っているのに、それを笑顔で断る柴くん。

「後は職員室まで持っていくだけだしなー」
とまたまたお気楽発言。


ここは3階で職員室は1階。

これからこのノートの山を持って階段を降りて、職員室まで誰にもぶつからずにたどり着けるなんてありえない。

⏰:08/11/15 22:45 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#671 [果樹]
しかもこの様子じゃ絶対またぶつかる!
それも2回!!


「手伝うって。いつもパシリ役やらされてるんだからこういう時こそ使ってよ」

私は柴くんの手からノートを半分奪い取る。

「パシリって・・・人聞きの悪い」

⏰:08/11/15 22:46 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#672 [果樹]
「似たようなもんでしょ」

つんとした言い方をした私に柴くんはクスッと笑った。


そのあとは無事、職員室にノートを届け教室に戻ってきた。

回想終了―――

⏰:08/11/15 22:47 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#673 [果樹]
「とゆーわけであたしは柴くんのお手伝いをしてたってわけ」

一部始終を圭ちゃんに話すと圭ちゃんはなんだか呆れていた。

「あんたって本当グッドタイミングってゆーかバッドタイミングってゆーか・・・」

全くだ。
なんで私はこうタイミングが悪いのだろうか。

⏰:08/11/16 16:47 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#674 [果樹]
ちょっと職員室に行けば先生たちに何かしら押し付けられ、廊下を歩けば荷物持ち。

運が悪いとしかいいようがない。


「緒方ー」

「あれ柴くんだ」

教室のドアのところでこっちに向かっておいでおいでをする柴くん。

⏰:08/11/16 16:47 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#675 [果樹]
「ちょっと行ってくるね」

私は小走りに柴くんの元へと行った。

――――・・・

「なんで柴っちがユイカ呼んでんだよー」

「うわっ!もーいきなり出てくるからびっくりするじゃんよきょん」

⏰:08/11/16 16:48 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#676 [果樹]
いきなり机の前にひょっこり現れたきょんに私は文字通り飛び退いた。


「なんかユイカ嬉しそう」

ユイカと柴くんが話しているのをじーっと見ながらぽつりときょんが呟く。

「きょんにはそう見える?」

「うん」

⏰:08/11/16 16:48 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#677 [果樹]
「ふーん」

「何だよ?!」

「別にー?王子様はご立腹なんだって話ー」

私から見ればきょんと話してるときのユイカは、周りに花が飛んで幸せそうだけどね。

⏰:08/11/16 16:49 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#678 [果樹]
きょんと話してる間にユイカがパタパタと笑顔で戻ってきた。

「柴くんと何話してたの?」

「なんかねー手伝ってくれたお礼だって言ってコレくれた」

「遊園地の・・チケット?」

ぴらっとユイカが見せてきた紙には『遊園地特別ご優待券』と書かれていた。

⏰:08/11/18 03:35 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#679 [果樹]
「彼女と行こうと思ったんだけど彼女にキッパリと断られちゃったんだってー」

と笑って言うユイカをよそに私ときょんが柴くんご愁傷さま・・と思ったのは言うまでもない。

――――・・・

「ちょうど2枚あるし圭ちゃん一緒に行かない?」

私は圭ちゃんの目の前に2枚のチケットを出しながら言う。

⏰:08/11/18 03:38 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#680 [果樹]
「いつ?」

「んー・・・今週の日曜!」

「あーごめんユイカ。私その日デートだわ」

圭ちゃんが申し訳なさそうに眉根を下げる。

「そっかーじゃあ仕方ないね」

デートじゃ仕方ないと思っていてもやっぱり寂しくて私はうなだれる。

⏰:08/11/18 03:38 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#681 [果樹]
「きょんと行ってくれば?」

「へ?」「は?」

圭ちゃんからの思わぬ提案に私と京太の声が重なる。

「きょん今週の日曜は部活ないんでしょ?」

「あ・・・あぁ」

「じゃあ決まりだねー。楽しんできてね!」

⏰:08/11/18 03:39 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#682 [果樹]
いつのまにかとんとん拍子に話が進んでいく中で私の頭は混乱して上手く理解できていなかった。

そんな私を横目に圭ちゃんが声を押し殺して笑っていたのを私は全く知らなかった。

――――・・・

私は急いで家に帰って圭ちゃんにメールを送った。

⏰:08/11/18 03:40 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#683 [果樹]
宛先:圭ちゃん
圭ちゃんどうしよ〜
あたし京太と二人きりで遊んだことなんて一回もないから緊張するよぉ

返信はすぐにきた。

受信先:圭ちゃん
大丈夫大丈夫♪
とりあえず明日、日曜日に着ていく洋服でも買いに行こっ!

⏰:08/11/19 03:20 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#684 [果樹]
宛先:圭ちゃん
うんありがとう!
じゃあ明日ね!

圭ちゃんにメールを送信した後、私は携帯をベッドの上に放り投げて私も寝転ぶ。


はぁー緊張するなぁ。
京太とデートかぁ・・・。

は!デデデデデート!?

⏰:08/11/19 03:21 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#685 [果樹]
うわ!そーじゃん!!
いい年頃の男女が二人きりで遊びに行くってただのお出掛けじゃないんだよね!?

あーやばい・・・。
余計緊張してきちゃったよぉ。

京太はあたしのことどう思ってんのかな?

⏰:08/11/19 03:21 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#686 [果樹]
――――・・・

「ふぁーあ」

私は大きな欠伸が出て口を押さえる。

「ユイカったらそんなおっきい欠伸して。昨日寝てないの?」

「うん・・なかなか寝つけなくて」

⏰:08/11/19 03:22 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#687 [果樹]
私は眠たい目を擦りながらまた欠伸をする。

「どうせきょんのことでも考えてたんでしょー」

そう圭ちゃんにからかわれて私は返す言葉がなくぐっと押し黙る。

「あれ?図星?きょんも罪深い男だねー」

「そんなんじゃないってば!」

「なに?俺が何だって?」

⏰:08/11/19 03:22 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#688 [果樹]
圭ちゃんとの話の最中にいきなり現れた京太に驚いて私は思わず飛び退く。

「きょんは本当に突然出てくるよねー」

「まぁな。それより俺がなに?」

呆れながら言う圭ちゃんに対し京太は何故か威張る。

そしてさっきの話をしつこく聞いてきた。

⏰:08/11/20 13:46 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#689 [果樹]
私は圭ちゃんに目だけで『言っちゃだめ!』と伝える。

「別になんでもないっ!京太は馬鹿だなって話」

私がはぐらかすと京太がそれに食い付く。

「なんだよそれー。ユイカの方が馬鹿じゃん」

「なにおー!?」

その後、教室に入るまで私たちはずっと言い合いをしていた。

⏰:08/11/20 13:47 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#690 [果樹]
後ろでその光景を見ながら圭ちゃんが
どこぞのバカップルか!
なんて思っていたのは誰も知らない。

――――・・・

「あー迷うよぉ。何着ていけばいいのー?」

放課後、圭ちゃんと一緒に街まで買い物に出た私はたくさんある服の前で頭を抱えていた。

⏰:08/11/20 13:48 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#691 [果樹]
京太と遊園地に行くのは明日なのに服が決まらないのだ。

「ユイカってばきょんの好み知らないの?」

圭ちゃんがいくつか服を見ながら聞いてくる。

「知らないよー。だって小学校から今までみてきたけど彼女がいたの見たことないんだもん」

⏰:08/11/20 13:48 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#692 [果樹]
そうなのだ。
京太は愛想はいいため男女問わず友達は多いが特定の女子とは仲良くはならない。

今までずーっと見てきたが京太が私以外の女子と二人でいるところや帰っているところを見たことはない。

そのため参考にするモデルがいないのだ。

⏰:08/11/21 04:14 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#693 [果樹]
「うーん悩むわね・・・」

「うん・・・」

私と圭ちゃんは顎に手を当てていろいろ考える。

「あ!これは?遊園地だし。走ったりするわけじゃないからワンピースでも大丈夫だと思うよ」

そういって圭ちゃんが見せてきたのは真っ白な膝上の可愛いワンピース。

⏰:08/11/21 04:15 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#694 [果樹]
胸下のリボンの切り返しが可愛くて女の子らしいデザインだ。

「あたしこういうの着たことない・・・」

少し怖じけずく私を圭ちゃんが励ます。

「大丈夫だよ!ユイカは髪も黒いし似合う!あたしが保証する」

⏰:08/11/21 04:15 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#695 [果樹]
「んー・・・じゃあそれにする」

悩んだ末、私は圭ちゃんの後押しもありワンピースを買うことにした。

――――・・・

「買った?」

店から出ると圭ちゃんが笑顔で待っていた。

「うん。つきあってくれてありがとう圭ちゃん」

⏰:08/11/21 16:29 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#696 [果樹]
私はワンピースが入った袋を胸に抱えてお礼を言う。

「いいよー。娘の成長を見守るのも母の役目ってね」

「ん?」

「いやいやこっちの話」

圭ちゃんの言っている意味が分からず首を傾げるとはぐらかされてしまった。

⏰:08/11/21 16:29 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#697 [果樹]
そのあとは喫茶店でお茶をして明日の計画を練ってから私たちはそれぞれ家に帰った。

――――・・・

「明日はこれとこれと・・・これでいっかな?」

私はベッドの上に明日来ていく服を並べる。

「はぁー緊張する」

もうすでにバクバクいっている心臓を抑えて深呼吸をする。

⏰:08/11/21 16:30 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#698 [果樹]
そんなことをしていると携帯からメール受信を告げる音が鳴りだした。

チャラチャラチャ〜♪

「はいはいっと」

私は鞄から携帯を取りだし受信フォルダを開く。

受信先:京太
明日10時にユイカん家に迎えに行くから寝坊すんなよ!

⏰:08/11/21 16:31 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#699 [果樹]
10時か・・・。
私はメールを送り返す。

宛先:京太
京太こそすっぽかしたら許さないから!
それじゃあ明日ね。
おやすみ。

送信ボタンを押して私は携帯を閉じる。

にやけそうになる顔をパンパンと叩いて私はベッドに潜り込む。

明日遅れないようにしなくっちゃ!

⏰:08/11/21 16:31 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#700 [果樹]
緊張で眠れないかもと思っていたが疲れていたせいもあってか私はいつのまにか眠っていた。

――――・・・

「寝坊したー!!!」

時刻9時48分。

昨日寝坊するなと言われていたのに私は睡魔には勝てず結局寝坊してしまった。

⏰:08/11/21 23:02 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#701 [果樹]
京太が来るまであと15分もない。

「あーもう最悪ー」

バタバタと私は部屋中を走り回り支度を始める。

そんな中、ピーンポーンという魔のチャイムが家中になり響く。

やばっ!京太来ちゃった?!

私が階段をすごい勢いで降りると玄関には楽しそうに談笑するママと京太の姿が。

⏰:08/11/21 23:03 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#702 [果樹]
「あらユイカやっと起きたの?今起こしに行こうと思っていたところなのよ」

私に気付いたママは
「全くしょうがない子ね」
と言ってリビングへと戻っていった。

「ったく。やっぱり寝坊したのかよー」

と私のパジャマ姿を見ながら呆れる京太。

「面目ない・・・」

⏰:08/11/21 23:04 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#703 [果樹]
返す言葉が無くてうつ向くことしか出来ない私。

「いいから早く支度してこいよ。俺外で待ってっから」

そう行って京太は玄関のドアを開けて外に出ていってしまった。

私は急いで二階の自分の部屋へ戻り準備を再開した。

⏰:08/11/21 23:04 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#704 [果樹]
――――・・・

「おせぇ!!」

外へ出ると開口一番にそう言われぶにっと両頬をつねられた。

「ごめんなひゃい」

「ったく。行くぞ」

そういってスタスタと前を歩いていく京太を私は追い掛けた。

⏰:08/11/21 23:05 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#705 [果樹]
「・・・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・」

「・・・」

家を出てからと言うもの何を喋ったらいいか分からずどっちも話し切り出さないため沈黙が続く。


しかも京太は私が寝坊したことにまだ腹を立てているみたいだ。

⏰:08/11/21 23:05 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#706 [果樹]
はぁー気まずいよぉ
これじゃあ遊園地どころじゃな・・・

「いたっ!」

物思いに耽っていると頭に痛みが走り、見上げると京太がむすっと怒った顔をしていた。

「なーに黙りこんでんだよ」

「べ、別に黙りこんでなんか・・」

⏰:08/11/23 00:04 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#707 [果樹]
機嫌が直ったのかと思った矢先、京太は私の両頬をつねる。

「にゃいしゅんのよー」

「ぷっ・・まぬけ面」

私の顔を見た京太はケラケラと笑いだした。

「なっ!」

「ククッ・・悪ぃ。もう怒ってないから心配すんな」

⏰:08/11/23 00:05 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#708 [.]
>>1-250
>>251-500
>>501-750

⏰:08/11/23 08:45 📱:SH903i 🆔:XbjWUa8M


#709 [果樹]
.さん
アンカーありがとうございます!

⏰:08/11/24 02:21 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#710 [果樹]
今だ笑ったままの京太は真っ赤になる私の頭をぽんぽんと叩いてまた歩き出す。

「京太・・・」

今のは京太なりの仲直りだと気付いた私は二、三歩先にいる京太の元まで走った。

――――・・・

遊園地に着いた私たちは早速入場ゲートをくぐり中に入る。

⏰:08/11/24 02:23 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#711 [果樹]
「うわぁーあ!」

中に入った私は思わず感嘆の声を上げる。

遊園地の中はジェットコースターにメリーゴーランドにお化け屋敷などこれぞ遊園地!というものが各方向にあって、もちろん色とりどりの風船をもった熊のきぐるみが、子どもたちに風船を配っている光景なんかもあるわけで、私はそんな空間にいるせいか体がうずうずしていた。

⏰:08/11/24 02:30 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#712 [果樹]
「京太!遊園地!遊園地だよっ」

私は京太の袖を早く行こうと催促するように引っ張る。

「ククッ・・ユイカは昔っから何も変わんねーなぁ」

「何が?」

そんな私を見て京太が歯を出して笑うものだから私は首を傾げる。

⏰:08/11/24 02:30 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#713 [果樹]
「小さい頃から遊園地や水族館に行くと一人ではしゃいですぐ迷子になってた」

京太が意地悪な笑みを浮かべるものだから私はムッとする。

「もうなんないよ!」

「どーだか」

「なんない!」

⏰:08/11/24 02:31 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#714 [果樹]
入場してすぐにこんな言い合いをする二人も珍しいと思うが何だか悔しかったのだ。

京太の中での私はまだ幼い頃の“ユイカ”な気がして。


「だといーなー。俺が困るし」

「迷子になんてならないから大丈夫ですー」

⏰:08/11/24 02:32 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#715 [果樹]
相変わらず意地悪な笑みを浮かべる京太にムカついてあっかんべーをする私。

そんな私に京太はククッ・・と声を押し殺したように笑って私の手を引いた。

「わかったって。ほら行くぞ」

ケンカはどこへやら笑う京太につられて私も笑ってしまい引っ張られるままついていった。

「うん!」

⏰:08/11/24 02:35 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#716 [果樹]
――――・・・

「京太ー次あれ!あれ乗ろうっ」

京太の袖を引っ張ってはしゃぐ私をよそに京太は青ざめた顔で口元を覆っていた。

「ちょっ・・ちょっとタンマ・・・」

近くにあったベンチにふらふらと頼りない足どりで向かい、座る京太の前に立って私は京太の顔を覗きこむ。

⏰:08/11/24 15:00 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#717 [果樹]
「もうダウンー?だらしないなぁ」

「あのなぁ・・・」

ジェットコースターをたて続けに5回も乗ればそりゃあグロッキーにもなるだろ・・・。

なんてことを京太が思っていたなんて知らない私はふぅと小さく溜め息をつく。

「しょうがないなぁ。あたし何か暖かいもの買ってくるよ」

⏰:08/11/24 15:17 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#718 [果樹]
私はベンチから少し離れた売店に走った。

――――・・・

売店で温かいココアを買って京太のいるベンチに戻る道すがら風が一層強く吹いた。

頬に直接触れる風がひんやりと冷たく、目の前を枯れ落ちた葉が風と一緒に踊っている。

⏰:08/11/24 15:18 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#719 [果樹]
今日も星は綺麗に見えるかな。

なんて考えながら歩いていたら声をかけられた。

「かーのじょ。一人なの?俺らと遊ばない?」

私の歩調に合わせながら二人の男は私を挟むように両隣を歩く。

「結構です」

にやにやと笑いながら話す態度が気に入らなくて私は更に歩調を速める。

⏰:08/11/24 15:42 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#720 [果樹]
「そんなこと言わないでさー。ほら」

二人の間から抜け出ようとしたところでぐっと手首を掴まれた。


その弾みでココアが手から滑り落ちてパシャッという音を立てて地面に落ちた。

「ちょっとやめてよ!」

⏰:08/11/24 15:43 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#721 [果樹]
「お前ら何してんの?」

私が必死に手を振り解こうとしていたら後ろから聞き慣れた声がする。

「京太!!」

振り向くと京太がムスッとした顔で立っていた。

「チッ・・男連れかよ」

京太を見るなり二人組の男は舌打ちをしてどこかに行ってしまった。

⏰:08/11/24 15:44 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#722 [果樹]
ようやく手を離された私は京太の側に駆け寄る。

「気分直ったの?」

「ん・・・」

私の問いかけに京太が無表情で答えるから不思議になる。

でもまだ気持ち悪いのかなと思って私はそれ以上追求はしなかった。

「じゃあ観覧車乗りに行こっか」

⏰:08/11/26 04:49 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#723 [果樹]
――――・・・

観覧車に乗り込んだ私はさっきから観覧車の窓にかじりついて見える景色に圧倒されていた。

「うわーあ見てみて!夕日がすっごいきれーい!」

頂上までいくと夕日がビルの隙間に落ちていくのが見えた。

⏰:08/11/26 04:50 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#724 [果樹]
「んー」

そんな私に京太は正面を向いたまま腕組み+足組みの格好で生返事を返す。

「人もアリんこみたい」

「んー」

また生返事・・・。

私は景色から視線を京太に移す。

⏰:08/11/26 04:51 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#725 [果樹]
「さっきから何怒ってるの?」

少し眉根を下げて言うと京太は視線を横にずらした。

「別に怒ってねぇ」

いやいやいや・・・。

「明らか怒ってるじゃん!」

強めに言う私に京太は少しイラッとした顔をした。

⏰:08/11/26 04:52 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#726 [果樹]
「うるせぇ・・」

ぼそっと言った京太の声は観覧車の中では響いて私の耳に届く。

「ムッカァー」

京太の態度も頭にはきていたが最後のぼそっと言った言葉で私の中の何かがプチンと切れた。

「わかった。もういい!」

⏰:08/11/26 04:53 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#727 [果樹]
それだけ言い残して

「お疲れ様でしたー」

といって係員がドアを開けた瞬間私は荷物を持って外に飛び出した。

「え・・ユイカ!?」

私を呼ぶ京太の声が聞こえたがそれを無視して私は遊園地の出口に走った。

⏰:08/11/26 04:53 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#728 [果樹]
――――・・・

遊園地から一人で家に帰ってきた私はただいまも言わずに階段を上がり自分の部屋に直行する。

「ムカつくー!!!」

バタンとドアを開け、勢いよくベッドにダイブして手足をジタバタと動かしながら叫ぶ。

それでも怒りが治まらない私は、むくっと起き上がり怒りにまかせて枕をベッドに叩き付ける。

⏰:08/11/26 04:54 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#729 [果樹]
「京太なんかこのっ・・このっ・・」

ボフボフと鳴る枕から綿が出そうなほど叩き付けると今度は枕を殴りにかかる。

「なんでアイツは昔っからああなのよ!こっちの気もしらないで。あたしがどんだけ考えたと思ってんのよ!こんちくしょう!」

枕を叩きに叩いた私は殴るのを止めて最後に枕に叩き付けた手を見つめる。

⏰:08/11/26 04:56 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#730 [果樹]
「・・・・遊園地デートの・・はずだったのに・・・」

気分がすっかり落ち込んでしまった私は、その夜なんだか寝つけなくて、うんうん唸っているうちにいつのまにか朝を迎えてしまった。

――――・・・

学校行きたくない・・・。

私は何度目かになる溜め息をついて重たい足を引きずるように学校へと続く道を歩く。

⏰:08/11/26 04:58 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#731 [果樹]
雀がさえずり太陽がサンサンと降り注ぐ朝に、こんな落ち込んだ気持ちで登校するのも如何なものかと思うが、昨日のことを思い出せば私の気分はより一層落ち込む。

はぁ・・とまた溜め息が漏れる


「ユーイカ!おっはよ」

「おはよー・・」

⏰:08/11/26 18:00 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#732 [果樹]
朝から元気に挨拶をしてくれる圭ちゃんに私は口元だけの弱々しい笑みを返す。

「ん?なんで元気ないの?昨日は楽しい楽しい遊園地デートだったんでしょ?」

「・・・うん。まぁね」

さも楽しかったんでしょ?という顔をする圭ちゃんに私は、苦笑いしか返すことができなかった。

⏰:08/11/26 18:01 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#733 [果樹]
教室に入りみんなに軽く挨拶を済まして私は真っ先に自分の椅子に座り机に突っ伏す。

いつ京太が入ってきても目を合わせないための防衛策だ。

そんな私の行動の裏が読めない圭ちゃんは机の側に立って不思議そうに私を見下ろす。

「あ!きょんおはよー」

圭ちゃんの言葉にドキッと心臓が跳ねる。

⏰:08/11/26 18:02 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#734 [果樹]
「はよ・・・」

京太の声も聞こえる。
どうやら京太が登校したようだ。

「あのさ、ユイカ・・・」

ドキッ・・!

「あああああたしトイレいくんだったー。じ、じゃあね圭ちゃん」

京太に名前を呼ばれた私はどうしたらいいか分からず圭ちゃんにだけバイバイを言ってとりあえずその場から逃げた。

⏰:08/11/26 18:02 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#735 [果樹]
――――・・・

朝からユイカの態度はおかしかった。

昨日楽しんだはずなのだから今日はルンルン気分で登校するのだろうと思っていたがユイカは溜め息ばかり。

挙句の果てにはきょんがユイカに話しかけるやいなやユイカは慌てた様子で教室を出ていってしまった。

⏰:08/11/26 18:03 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#736 [果樹]
ちらりときょんを見ると下唇を噛んでなんともいえない困った顔をしていた。

私の視線に気付いてすぐに席に戻っていったがなんかおかしい。

これは恋のキューピッドの出番か?
と思った私はきょんの席に行きバン!と机を叩く。

「きょん。どういうこと?」

⏰:08/11/26 18:04 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#737 [果樹]
バンッ!と机を叩くとビクッときょんの肩が弾む。

「どういうことよ?ユイカのあの動揺っぷりはただ事じゃないんでしょ?白状しなさい」

私が目に力を入れてきょんを睨むときょんは気まずそうに目をそらしてちらっと私を見る。

「実は・・・」

京太は昨日の遊園地デートから今に至るまでの経緯を話だした。

⏰:08/11/27 03:45 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#738 [果樹]
――――・・・

「はぁ・・・」

教室から逃げ出した後、私は一人屋上に来ていた。

気まずいからといって無視して逃げ出したのはいけなかったかもと今更ながら思う。

でもどうしようもないのだ。

⏰:08/11/27 03:47 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#739 [果樹]
昨日あんな喧嘩別れをしておいて今日になっていつもどうりにしろだなんて無器用な私には到底無理な話しなわけで。

そんな性格だからこそ逃げるしかなかったのだ。

「はぁー・・」

と一際長い溜め息をつき、私は屋上の柵に寄りかかる。

京太の考えがわからない・・・。

⏰:08/11/27 03:47 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#740 [果樹]
京太は何を思ってる?
あたしはどうしたらいい?

――――・・・

「なんでアンタたちは・・・」

話を聞いた私は頭を抱えてうなだれる。

「それでさっきユイカに謝ろうと思ったら逃げられて・・・」

小声で言うきょんからはユイカへの謝罪の気持ちでいっぱいなのが伺える。

⏰:08/11/27 03:48 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#741 [果樹]
全くこの子たちは・・・。

「はぁ・・・。あのさーきょん」

「ん?」

「まだわかんないの?」

「何が?」

私の問いにハテナを浮かばせるあたりまだわかっていないのだろう・・・。

「何できょんは昨日怒ったの?」

⏰:08/11/27 03:49 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#742 [果樹]
「それはユイカが絡まれてたから・・・」

「何でユイカが絡まれてたからって怒るの?」

「一応幼馴染みだし・・」

「それだけ?」

私の問掛けに素直に答えるきょんに私はさらに問つめる。

「え?」

⏰:08/11/27 03:49 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#743 [果樹]
「それだけなの?ユイカはただの幼馴染みなの?きょんは・・もう気付いてるんじゃないの?」

目で訴えかけるように私はきょんに静かに問掛ける。

「もし自分の気持ちがわからないならわからないなりにユイカに素直にきょんの気持ちを伝えたらいいのよ」

それだけ言って私は自分の席に戻った。

⏰:08/11/27 03:51 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#744 [果樹]
あとはきょんが自ら考えるべきことだから・・・。


その後きょんは教室を走って出ていった。

きっとユイカのもとへ行ったのだろう。

がんばれきょん!

私は秘かにきょんに向けてエールを送った。

⏰:08/11/27 03:52 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#745 [果樹]
――――・・・

「はぁ・・・」

私は今だ屋上にいた。

ここにいつまでも居るわけにいかないのになぁ。

でも教室に行ったら京太いるし・・・。

逃げてるわけにいかないのは、自分でもわかっているのに、体が言うことをきかない。

⏰:08/11/28 17:10 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#746 [果樹]
私は憎たらしいほどに青い空を見上げて、独り言にしては大きい声を出す。

「京太のばーか」



「誰がばかだ」


えっ?!

私の心臓がドクンと跳ねる。
私しかいない屋上で、私の独り言に返事が返ってくるわけがない。

⏰:08/11/28 17:12 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#747 [果樹]
でも・・・まさか・・・。

私はゆっくりと声の聞こえた方を向く。

「京・・・太」

見るとそこには息切れしている京太がいた。

「つかお前何で屋上なんかにいんの?すっげ探したじゃん」

「べ、別にあたしの勝手じゃんっ!」

⏰:08/11/28 17:12 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#748 [果樹]
探してくれて嬉しいくせに可愛くない言葉が口からは出る。

「可愛くなーい」

「うるさいっ!」

ぷうっと頬を膨らます京太に私はいつもの癖で言葉を返す。

・・・これじゃあいつもの口喧嘩だ。

いつも通りに話せて嬉しいけど、このままでは終わらせたくない私がいた。

⏰:08/11/28 17:13 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#749 [果樹]
そんな心の表れからか、私は京太から視線をずらす。

「何しに来たの?もう授業始まるよ?」

口からは冷たい言葉が出る。

「ユイカ・・・ごめんっ!」

いきなり大声で謝られて驚いて見れば、京太は、腰を90度近く折り曲げて頭を下げていた。

⏰:08/11/30 06:47 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#750 [果樹]
私が京太を見たまま黙っていると京太がぽつりぽつりと話し始めた。

「ユイカが変な男に絡まれてるのみて俺カーッとなっちゃって。でもそんなんで怒ってるの知られてうざいって思われるのも嫌だったんだ・・・だから・・・」

下を向きながら言う京太は落ち着かない様子で何度も髪をクシャッとかく。

⏰:08/11/30 06:47 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


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