【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#279 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 20:24 :P903i :LUmIhgZI
#280 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 20:25 :P903i :LUmIhgZI
#281 [No.027、036(1/3)◆vzApYZDoz6]
俺はここのところ毎日、放課後になると理科室に足を運ぶ。
今日も回転椅子に座って、片付け忘れられた試験管に入ったよく分からない液体を、ただただぼんやりと眺めている。
特に目的も意味もない。
人気のない旧校舎の端にある、薬品臭の漂うこの部屋が、何となく落ち着くだけ。
「まーた来てる、この子ったら。いつも私の椅子に座るんだから」
というのは建前で、本当は試験管ごしに俺を覗きこむ科学担当の美人教師に会うためだったりする。
別に好きだとかそんな訳じゃない。
学校嫌いな俺が話していて唯一落ち着くのが、この先生だからだ。
「別にいいだろ。それより何これ、ピンク色だけど」
「アンモニアとフェノールフタレインを混ぜた溶液よ。小学校でやらなかった?」
先生は答えながら近くの実験机からパイプ椅子を引っ張ってきて、俺の隣に腰掛けた。
「さぁ……どうだったかな」
「そんなことより。あなた、今日体育サボってたでしょ? ダメよ、遊んでないでちゃんと授業出なきゃ」
「んー……」
ほら、と先生が俺の手から試験管を取り上げた。
手持ちぶさたになった右手を腹の上に乗せて、今度は天井を眺めた。
先生は試験管立てに試験管を差して、奥の給湯室に向かった。
「今日はコーヒーか紅茶、どっちにする?」
「……コーヒー」
:08/11/03 20:27 :P903i :LUmIhgZI
#282 [No.027、036(1/3)◆vzApYZDoz6]
俺が答えると、返事の代わりに陶器のカップの音がカチャカチャと聞こえてきた。
やがて先生が2人分のコーヒーをお盆に乗せてやって来る。
「はい、コーヒー。確かシロップとミルクは無し、砂糖が1つだったわね」
「サンキュ」
角砂糖を1つ溶かし、カップを口へ運ぶ。
先生がいつも淹れてくれるコーヒーも、俺が理科室に足を運ぶ理由の1つかもしれない。
ちょうどいい苦味が心を落ち着かせてくれる、そんな気がした。
「あなた最近元気ないわね」
先生がコーヒーにミルクを混ぜながら聞いた。
%8
:08/11/03 20:29 :P903i :LUmIhgZI
#283 [No.027、036(2/4)◆vzApYZDoz6]
俺が答えると、返事の代わりに陶器のカップの音がカチャカチャと聞こえてきた。
やがて先生が2人分のコーヒーをお盆に乗せてやって来る。
「はい、コーヒー。確かシロップとミルクは無し、砂糖が1つだったわね」
「サンキュ」
角砂糖を1つ溶かし、カップを口へ運ぶ。
先生がいつも淹れてくれるコーヒーも、俺が理科室に足を運ぶ理由の1つかもしれない。
ちょうどいい苦味が心を落ち着かせてくれる、そんな気がした。
「あなた最近元気ないわね」
先生がコーヒーにミルクを混ぜながら聞いた。
「うーん…」
「授業もサボりがちみたいだし。学校は楽しくない?」
「……どうなんだろ」
つまらない訳じゃない。
友達もそれなりにいるし、放課後の理科室も好きだ。
けど、何か物足りないというか、満たされる事がない。
やりたいことがあるわけでもない。
何もしていないのに疲れていくような感覚がある。
心から楽しいかと言われると、たぶん楽しくない。
:08/11/03 20:30 :P903i :LUmIhgZI
#284 [No.027、036(3/4)◆vzApYZDoz6]
「やっぱりアレね、女よ女。彼女作っちゃいなさい」
「いいよ、彼女なんて。めんどくさいし」
「いい若者が何言ってるの。あなた黙ってればそれなりにカッコいいんだから、彼女ぐらいすぐできるわよ」
「どういう意味だよ…」
「そのままよ。あなたのお守りも楽じゃないんだから」
「…そういう事ね」
コーヒーを一気に飲み干し、カップを置く。
少しだけ口に苦味が残っていた。
彼女ができたところで、俺の気分は晴れないと思う。
曇りの原因は分からないけど、そんな気がする。
「ご馳走さま」
「おかわりはいい?」
「うん」
俺はまた天井を仰いで、目を閉じた。
やっぱり、ここが一番落ち着く。
いつもボーッとしてるか先生と世間話をしてるだけだけれど、それだけで気分が良くなった。
ふと目を開けると、先生がかなり間近で俺を覗きこんでいた。
:08/11/03 20:31 :P903i :LUmIhgZI
#285 [No.027、036(4/4)◆vzApYZDoz6]
「…顔が近いよ、顔が」
「寝られでもしたら困るからね。ドキドキした?」
ふふっ、と笑いながら、カップとお盆を片付けに再び給湯室に向かっていった。
それを目で追っていると壁の時計が視界に入った。
すでに午後5時半を回っている。
俺は少ない荷物を持って立ち上がる。
ちょうど給湯室から先生が出てきた。
「んじゃ、帰るわ」
「うん、おつかれさま。気をつけてね」
そのまま踵を返し、ドアに向かう。
ドアノブに手をかけたところで、また呼び止められた。
「明日の放課後もちゃんと来なさいよ」
見ると、先生がひらひらと手を振っていた。
「……気が向いたらね」
帰り道、理科室の方に目をやると、俺が座っていた回転椅子に先生が座っているのが見えた。
たぶん、明日の放課後も俺はあの椅子に座っているのだろう。
俺は少しだけ笑って、自転車を漕ぎだした。
:08/11/03 20:32 :P903i :LUmIhgZI
#286 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 20:35 :P903i :LUmIhgZI
#287 [No.028◆vzApYZDoz6]
現代とはまた異なる世界。そこには、半獣と呼ばれる人達が暮らしていました。
ライオンの半獣ライとウサギの半獣ビイは仲良しです。
「ね、ライ。肩車して」
「肩車好きだな、ビイは。ほら」
「わぁ、高い高い!」
無邪気に喜ぶビイを、ライは微笑ましく眺めています。
そこへ、どこからか小鳥がやってきました。
鳥たちは楽しげに囀り、ビイの回りを飛び回ります。
「やっぱりライに肩車してもらうと楽しいね」
「そうか。それならいつでもしてあげるよ」
「やったぁ!」
ビイは喜び、鳥たちと一緒に口ずさみました。
ライは嬉しそうにそれを眺めていました。
:08/11/03 20:37 :P903i :LUmIhgZI
#288 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 20:39 :P903i :LUmIhgZI
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