【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#139 [紫陽花→渚坂 さいめ]
俺は知らず知らずのうちに身を乗り出してしまっていた。
そうして聞こえた言葉は、
「亜神の命さえあれば……この娘は生き返るかもしれない……」
“亜神の命”それはこの世界の一番の宝。
それ故にその宝には不思議な力が備わっているという。
そう、人を生き返らせるくらい造作もないことだと。
祈り [jpg/13KB]
:08/11/03 15:29 :F905i :WY17HTaw
#140 [紫陽花→渚坂 さいめ]
――――――………
―――――……
時は20XX年。
幻と言われていたドラゴンは、この世の支配者と言わんばかりに地に轟き、その生き血を啜った者は不死を得られるという不死鳥もその羽を華麗に揺らしながら空を舞う。
そんな風景が当たり前の世界で、一人の化け物が一つの禁忌を犯す。
この化け物が碧い目の少年を裏切るのはもう少し先の話。
:08/11/03 15:30 :F905i :WY17HTaw
#141 [紫陽花→渚坂 さいめ]
:08/11/03 15:33 :F905i :WY17HTaw
#142 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
タイトルは
『バーチャルワールド』
ジャンル:ファンタジー
使うイラストは以下の通りです
No.5
No.18
No.20
No.47
:08/11/03 15:56 :SH905i :☆☆☆
#143 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
システムオールグリーン。
ユーザーデータ読み込み開始。
アクセス完了。
ログイン。
俺の右手の中で活発にマウスが走る。
リズムを刻むように時折指先が沈み、クリックを促す。
ようこそバーチャルワールドへ。
薄暗い室内とは対照的に明るいパソコンのディスプレイには、壮大な草原の画像の上に歓迎の文字。
ロールプレイングゲームを思わせる音楽と一緒に、俺を迎えてくれた。
:08/11/03 15:57 :SH905i :☆☆☆
#144 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
バーチャルワールド。
今から数年前に発売された新ジャンルのゲーム機だ。
ゲーム機とは言ったものの、その形はまるでヘルメットそのもの。
用途も同じく、頭に被るというものだ。
違うのは、ヘルメットよりも多少深くなっており、実際に被ると目の下の辺りまで隠れてしまう。
この機械で精神をゲーム内に送り、リアルと同じようにゲーム内でも自由に体を動かせるというユニークなもの。
過去に類を見ない新製品に、世界は釘付けになった。
勿論、開発した会社は大儲け。
続々とパソコン用オンラインゲームソフトを作成し、日本は世界へ進出していった。
ゲーム機革命。
コントローラーを持つ時代は終わったのだ。
このゲーム機の登場は、ゲーム界の歴史を変えるには十分過ぎるものだった。
だけど、正直原価十二万円は高い。
:08/11/03 15:58 :SH905i :☆☆☆
#145 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
しかし、実際は本当に精神を送っている訳ではない。
正確には、体を動かす時に脳が出す指令、つまり電気信号というものを受信する機械なのだ。
言わば、高性能受信機。
脳から送られた電気信号は受信機となるヘルメットを通じてパソコン内に送られ、ゲームのキャラを動かす指令となる。
本来、体を動かすための電気信号は受信機に横取りされるため、本体は動かない。
世界が注目するのも無理はない。
実に大発明に相応しい代物だった。
:08/11/03 15:59 :SH905i :☆☆☆
#146 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
だが、ディスプレイを見つめる俺のテンションは素晴らしく低い。
これからゲームをするというのに、気分は滅入る一方だった。
少なくとも、俺はこのゲームをしたい訳ではない。
しなければならないのだ。
今や世界最大の人気を誇るロールプレイングゲーム。
バーチャルワールド専用オンラインゲームソフト。
『カオス・オブ・ドリームズ』
通称、COD。
俺はダウンロード済みで用無しとなったソフトを手に取り、溜め息を吐く。
世界中にいる他のユーザーと仲間になって魔物を討伐したり、時には敵としてプレイヤー同士が戦ったりなど、やりこむ要素はかなり濃い。
:08/11/03 15:59 :SH905i :☆☆☆
#147 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
だが、そんなものには少しの興奮も抱いていない。
俺は楽しむためにゲームをやっているのではない。
もう一度溜め息を落とした俺はソフトを乱暴に放り投げ、パソコンの横の写真に視線を送った。
父と姉。
写真立てに行儀良く収まっている二人の笑顔。
bbs1.ryne.jp/d.php/illust/1144/19この写真を撮るとき、俺は記念撮影でもないのにと恥ずかしがって断った。
海斗も一緒に写ればいいのにと、俺を肘で突いた姉の姿が目に浮かぶ。
「父さん…姉ちゃん…」
二人の元気な姿は五ヶ月前に失われてしまった。
:08/11/03 16:00 :SH905i :☆☆☆
#148 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
一人暮らしをしていた俺に母からの突然の電話。
意識不明の重体。
検査結果は異常無し。
外傷は無く、眠ったまま目を覚まさないのだと聞かされた。
俺は呆然として受話器を耳に押し付けていた。
血の気と共に、世界の色が失われていくのがわかった。
教えられた病院に着くと、力無く今にも倒れそうな母が待っていてくれた。
頼りなく病室に案内された俺が見たのは、あまりにも信じがたい現実だった。
:08/11/03 16:01 :SH905i :☆☆☆
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