【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#254 [◆vzApYZDoz6]
>>253『中の人と対話、その4』
なんかもう何言っても言い訳にしかならないので何も言いません。ごめんなさい。
:08/11/03 19:44 :P903i :LUmIhgZI
#255 [No.017(1/2)◆vzApYZDoz6]
これは、とある女の人のお話。
美しい緑野の丘。
暖かい陽気をもたらす太陽の下では、たくさんの色鮮やかな花が咲き誇り、甘い香りに誘われた蝶々がひらひらと舞い遊んでいます。
そんな緑野の片隅で、彼女は1人で住んでいました。
彼女は花を摘んだり蝶々と戯れながら、たった1人で住んでいました。
彼女が1人、周囲の人間から離れるには、理由がありました。
美しく平和な世において、彼女は調和を乱してしまうからです。
彼女の手にかかると、すべては正常に動きませんでした。
水を汲もうと井戸車を回転させれば、それは土を掘りました。
辺りを照らそうと松明を握れば、たちまち火が燻りました。
会話に混ざろうと隣人たちの中に入れば、いつも隣人たちを困惑させました。
だから、彼女は1人でいなければなりませんでした。
それでも丘の住人たちは孤立した彼女を憐れみ、手を引いて調和の中に引き戻そうとします。
でも、それに従った結果はいつも同じでした。
いつしか彼女は、手を引かれる事を拒むようになりました。
そうしても『孤立した存在がある』という事実が丘の住人たちを苛み、調和を乱してしまいました。
彼女と世界の間には、越えがたい隔絶が横たわっていました。
そんな彼女には、双子の妹がいました。
:08/11/03 19:46 :P903i :LUmIhgZI
#256 [No.017(2/2)◆vzApYZDoz6]
世界に受容されない彼女に対し、妹は世界に寵愛されていました。
彼女は妹を介してでしか調和を手にすることができません。
土を掘った桶に妹が触れれば、土はたちまち水へと変わりました。
燻り煙が立つ松明を妹が握れば、みるみるうちに立派な火が灯りました。
妹が彼女の手を引いて隣人たちの中に入れば、そこには笑顔が溢れました。
情深く慈愛に満ちた人格の妹は、関わる全ての人々に幸福をもたらしました。
彼女も妹が側にいるとき、あるいは妹の呼び掛けに手を振るときなどは、気持ちが多く満たされていました。
いつしか彼女は、妹を欲し妹と共にありたいと強く望むようになりました。
それに連なり、彼女が妹の側にいる時間は長くなっていきました。
しかし、美しく平和な世において、彼女が正常者になることを、世界は拒みました。
世界が拒んだその瞬間、天に雷雲が立ち込めます。
雷鳴が轟き、彼女の側にいた妹は稲妻と共に雷に打たれました。
物言わぬ姿となった妹を見た他の住人たちは、とうとう耐えきれず、調和を乱す彼女を罵ります。
彼女は住人たちを拒みました。
住人たちの罵詈雑言に、耳を抑えて悲鳴を上げました。
その瞬間、再び雷鳴が轟き、雷が次々と住人たちを打ち付けていきました。
彼女は妹の亡骸を抱え、一晩中悲哀に暮れました。
いつの間にか眠ってしまった彼女が目を覚ますと、妹はおらず、さらには物言えず耳も聞こえなくなっていました。
代わりに調和を手に入れた事に彼女が気付くのは、彼女が永遠の孤独を認識する直後の事でした。
:08/11/03 19:47 :P903i :LUmIhgZI
#257 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 19:48 :P903i :LUmIhgZI
#258 [No.018◆vzApYZDoz6]
荒れ果てた大地で、男は限界に刻一刻と近づいていた。
敵は予想外に多い。だが、彼はそれでいいと思っていた。
でなければ自分がここにいる意味がない。
「でも…倒れる訳にはいかない…!」
殿軍とは厳しいものだ。
多勢を相手にしなければならず、決して帰還は許されない。
褒め称えるものがいたとしても、それを見るのは叶わない。
だが、それでもいいと思っていた。
少なくとも仲間を守るための覚悟は背負ってきた。
そしてそれは、彼だけではなかった。
「よう、ボロボロじゃねーか兄さん」
「!?」
:08/11/03 19:50 :P903i :LUmIhgZI
#259 [No.018◆vzApYZDoz6]
目の前に現れたのは、同じ覚悟を背負った者。
己の命と等しく大切な戦友だった。
「お前ら……何しに?」
「何しにってそりゃー、てめーを助けに来たに決まってんだろ」
「さてと。後は私たちがやるけど…どうする?」
「ま、無理はしねー方がいいんじゃねーの?」
「……ふん。これぐらい…どうってことないさ!」
体に力が湧いてくる。
背負ったものが、少しだけ軽くなった気がした。
「そんじゃー、いっちょ暴れてやりますか!」
「2人とも気をつけてね」
「ああ。…生きて帰って、酒でも飲もうぜ!」
頷きあい、3方に別れて敵の元へ駆け出す。
勝ちは見えない殿戦闘。それでも3人は戦った。
例え彼らの望みが叶わなくとも、同じ覚悟を背負っている仲間がいるから。
:08/11/03 19:50 :P903i :LUmIhgZI
#260 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 19:55 :P903i :LUmIhgZI
#261 [No.019◆vzApYZDoz6]
「うーん……」
「どうしたの女将?」
「僕はなんで女将をやってるんだろう、って思って」
「そりゃあ女顔だからでしょ?」
「いや僕男だよ?女将って女性がやるものじゃないのかなぁ…」
「まぁ先代の女将が病気で引退したはいいけど、代わりがいなかったもんねぇ。あなた次男だしいいんじゃない?」
「いや次男だからといって女将になる必要はない気がするんだけど…」
「気にしないの。さ、お仕事、お仕事っと」
「はぁ…もしかしてずっと女将続けなくちゃいけないのかなぁ…せめて声がもっと低ければ断る理由も──」
「すみません、予約してた鈴木です」
「──はいはい、ありがとうございます。鈴木様ですね、あちらのお部屋ですよ!ご案内致しますね〜」
「……何だかんだでやっぱりサマになってるじゃない。さ、お仕事、お仕事っと」
「……はぁ…僕、本当にこれでいいのかなぁ…」
:08/11/03 19:56 :P903i :LUmIhgZI
#262 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 19:59 :P903i :LUmIhgZI
#263 [No.020(1/2)◆vzApYZDoz6]
「125、126、127・8・9…130!」
先程から数えているのは、倒した敵の数だった。
倒しても倒しても湧いてくる敵を前に、途中から数を数えて今のでちょうど130人目。
実際はもっと倒しているはずだ。
近くの敵を粗方倒したところで、仲間と背中合わせになった。
「オメー何人やった?」
「さぁ…いちいち数えていない」
「なんだ、つまんねーの」
言いながら、向かってくる敵に銃口を向ける。131人目。
それにしても数が多い。2人合わせて300人以上は倒してる筈だが、一向に減る気配がない。
敵の銃弾はほとんど当たらないが、さすがに集中力は続かない。
こちらの銃は弾装無限のコスモガンだから、弾切れはありえない。
しかし敵は一個大隊なので、向こうのネタ切れもありえない。
敵が弾を撃ち尽くすまでに、こちらの集中力が切れて撃ち殺されることも否めない。
なんとかする必要がある。
:08/11/03 20:01 :P903i :LUmIhgZI
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