漆黒の夜に君と。[BL]
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#151 [ちか]
「・・・・・。」
恭弥は小難しい顔をして、俯いていた。
この期に及んでまだ俺を無視すんのか!!!
俺は睨んでいた目をさらにキツくする。
しかし、あまりにも美しいソレに段々目を奪われてしまった。
:09/02/05 22:34 :P906i :3G19hwBE
#152 [ちか]
「・・・、さっき僕を狡(ズル)いって言ったよね?」
沈黙を破ったその声で、自分が恭弥に見とれていた事に気づいた。
「え、うん..」
なんだ、ちゃんと聞こえてはいたのか。
ならなんで反応してくれないんだよ。
なんで解ってくれないんだよ。――――‥‥
俺はぎこちない返答をする。
:09/02/05 22:56 :P906i :3G19hwBE
#153 [ちか]
「‥‥、そうかもしれない。」
眉間にシワを寄せ、ため息を吐いて呟いた恭弥のその言葉の意図が分からなくて、俺はただただそいつを見上げた。
少しして、また恭弥は俺を見据えて口を開く。
「さっき、お前があんまり可愛い顔をするから・・・
独り占めしたくなった。」
そう言って恭弥は視線を俺から斜め下へ落とすと、自分の前髪をクシャリと握った。
:09/02/05 23:41 :P906i :3G19hwBE
#154 [ちか]
全身が一瞬で熱くなるのがわかった。
心臓が五月蝿い位
高鳴っている事も。
そして、悔しいほどときめいてしまった事も。
:09/02/05 23:58 :P906i :3G19hwBE
#155 [ちか]
「だから早くココに着いてほしかったんだ。
あの場所じゃ、みんながお前の顔を見れただろ?
それがたまらなく嫌で‥。」
恭弥はそう続けて、また俺の方に向き直った。
顔は少し赤らんでいて、それを隠す為なのか片手は口元を隠していた。
:09/02/06 00:21 :P906i :ched2wCU
#156 [ちか]
なんで。
なんでそんな顔をするんだよ。
そんな目で見られたら、
剃らせなくなる。
そんなこと言われたら、
抑えてた気持ちも
膨らむばっかりで・・――っ
:09/02/06 00:36 :P906i :ched2wCU
#157 [ちか]
「やっぱりズルいよ‥―」
今自分がどんな表情(カオ)を痛い程分かるから、出来るだけ俯いてそう呟いた。
どう伝えたらいいんだろう。
少しのことですごく胸が苦しくなって、だけどほんの少しのことでときめいてしまうこの感情を。
:09/02/06 21:39 :P906i :ched2wCU
#158 [ちか]
>>157訂正
今自分がどんな表情を痛い程分かるから
└→×
今自分がどんな表情をしているか痛い程分かるから
└→○
すいません><
:09/02/06 22:00 :P906i :ched2wCU
#159 [ちか]
恭弥はゆっくり俺の方に歩いてくると、俺の身長に合わせるように床に膝をつけた。
「それから、さっきの‥無視が云々てやつも。
したつもりはないけど、お前がそれで傷ついたなら謝る。
だから顔あげてよ、冥。」
そう言って俺の頬に優しく触れた。
:09/02/06 22:16 :P906i :ched2wCU
#160 [ちか]
コイツの声はまるで魔法みたいだ。
甘く囁かれると、勝手に
身体が動いてしまう。
神経の全てがその声を
もっと求めてしまう。
:09/02/06 22:27 :P906i :ched2wCU
#161 [ちか]
俺はゆっくりと顔をあげた。
目の前には漆黒のきみが俺を真っ直ぐに見つめてる。
それだけで全身は更に熱くなった。
:09/02/06 22:41 :P906i :ched2wCU
#162 [ちか]
「機嫌は治ったかな?」
そう言って恭弥は悪戯に笑う。
「うるさ・・‥、んン..//」
言い返そうとしたけど遮られて唇を奪われた。
:09/02/06 22:59 :P906i :ched2wCU
#163 [ミカン]
:09/02/06 23:42 :P905i :BoKt1Qyc
#164 [ちか]
:09/02/07 00:18 :P906i :HBpMrMsU
#165 [ちか]
そのキスは俺の思考回路の全てを停止させる。
神経を完全に奪って離さないソレが、俺を狂わせていく。
なんて狡いんだろう、この人は。
:09/02/07 16:31 :P906i :HBpMrMsU
#166 [ちか]
その甘さと気持ちよさに、俺は心を奪われる。
もっと、
もっと、と求めてしまう。
恭弥はそんな俺を解っていて、わざとあっさり唇を離した。
:09/02/07 16:35 :P906i :HBpMrMsU
#167 [ちか]
クチュッと音を鳴らして唇を離すと、恭弥は自分の唇を舐めた。
その顔も仕草も色っぽくて、目を奪われてしまう。
あっさりと離された俺は物足りなくて、ほのかに残った熱と感触を確かめるように指で唇をなぞった。
:09/02/07 16:43 :P906i :HBpMrMsU
#168 [ちか]
「クスッ‥もっとしてほしかった?」
恭弥はそう言って意地悪く笑う。
その質問があまりにも確信をはっきりと突いていて、俺は顔を赤らめた。
:09/02/07 17:30 :P906i :HBpMrMsU
#169 [ちか]
「う‥るさい‥っ//」
弱々しく言い返す俺。
本当はもっとしてほしい。
もっと触れてほしい。
だけど、そんな事言えない。
それを口にしてしまったら、恥ずかしくてコイツを睨めそうにもないから。
:09/02/07 17:38 :P906i :HBpMrMsU
#170 [ちか]
「クスッ、素直じゃないんだから。」
見透かしたようにそう言うと、また唇を塞いだ。
「ッ・・ハァ‥ンッ!!・・ぅっ‥///」
さっきよりもさらに濃くて、優しいキス。
離れたくなくなるほどに。
:09/02/07 17:50 :P906i :HBpMrMsU
#171 [ちか]
その気持ちよさに、俺の目はだんだんとまどろんでいく。
「クスッ・・冥、可愛い。」
「‥―!!あ‥ッ・・ん///」
甘く囁かれて突然耳を甘噛みされた俺は熱っぽい声をあげた。
:09/02/07 18:11 :P906i :HBpMrMsU
#172 [ちか]
「耳、感じるの‥?」
恭弥は俺のツボを知っているかのように、甘く低い声で囁く。
「・・ッハァ‥からかうな‥ぁッ!!!///」
途切れ途切れに言い返しながら肩で息をする俺を見て、恭弥は満足げに微笑んだ。
:09/02/07 18:17 :P906i :HBpMrMsU
#173 [ちか]
耳から首筋へ、首筋から鎖骨へと舌を這わされて、俺はその快楽によって出そうになる声を噛み殺す。
その唇に、
その舌に、
その指に感じていることを知られたくなかった。
俺の小さなプライドがそれを許さなかった。
:09/02/07 20:17 :P906i :HBpMrMsU
#174 [ちか]
「なんで我慢するの?」
恭弥は舌を這わしながらも、その合間に俺の微妙な行動を察して、的確な問いを投げかける。
まるで、お前の頭の中なんてお見通しだ、と言うような余裕の笑みで俺を見つめる。
俺はそれが悔しくて、今にも出そうな声を必死に飲み込んだ。
:09/02/07 20:28 :P906i :HBpMrMsU
#175 [ちか]
「へえ‥―
冥は頑固だね。
でも・・いつまで我慢出来るかなあ?」
その瞬間、恭弥は今まで見せたことのないような表情(カオ)をした。
俺はそれに思わず気をとられて、
「‥―ッ!!!!?///んぁ‥ハァッ!!//」
恭弥に隙を与えてしまった。
恭弥その一瞬を逃さず、ズボン越しから俺のモノを鷲掴みにした。
:09/02/07 20:49 :P906i :HBpMrMsU
#176 [ちか]
「クスッ・・こんなに膨らんで‥―。ここ、狭そうだね?」
「ハァッ‥んン!!///やめっ・・//」
細長い指先が、円を描くように俺の堅くなったモノをなぞる。
俺は身体をよじってその手から逃れようとするが、それが余計に恭弥を本気にさせてしまった。
:09/02/07 21:06 :P906i :HBpMrMsU
#177 [ちか]
「んぁッ!!//ハァッ‥―!!//」
突然胸の突起に吸い付かれた俺はあっけなく吐息混じりの声をあげてしまった。
俺の小さなプライドはコイツにいとも簡単に崩されていく。
いつの間に剥ぎ取られたのか、俺は上半身に何も纏(マト)っていなかった。
「厭らしい格好だね。クスッ
相当我慢してたでしょ?」
耳元で囁き、
胸の突起を弄び、
左手で俺のきわどい部分をなぞっていく。
:09/02/07 21:21 :P906i :HBpMrMsU
#178 [ちか]
その気持ちよさと、恥ずかしさに俺は両手で顔を覆った。
「も‥ぅ‥ンッ//やぁ‥っ」
嫌になる。
恭弥に触れられる度に、身体がピクッと反応してしまう自分が。
腰を浮かせて、もっと強い刺激を望んでる身体が。
:09/02/07 21:37 :P906i :HBpMrMsU
#179 [ちか]
吐息混じりの卑猥な声は、広い部屋によく響いた。
自分がこんなにも厭らしい声を出しているんだと改めて実感して、余計に恥ずかしくなる。
「そろそろかな。」
その声と共に俺はズボンと下着を剥ぎ取られた。
:09/02/07 21:42 :P906i :HBpMrMsU
#180 [ちか]
照明が、そそり勃つソレを照らしてる。
「我慢汁まで垂らして‥」
「いっ‥んゃあッ!!///」
恭弥は我慢汁をすくいとるようにソレをなぞった。
今までにない快楽が俺を容赦なく襲う。
「ふ・・ぁ‥ハァッ‥―!//」
裏筋を舐めあげられ、身体がビクンと跳ねた。
:09/02/07 21:49 :P906i :HBpMrMsU
#181 [ちか]
恭弥に弄ばれることによって、ソレはさらに大きさを増した。
俺の敏感な場所を容赦なく責める。
「だっ・・め‥!!///
な‥ハァ..ッん、ぁッ//おかし・・くな・・りそ‥―!!//」
途切れ途切れだが、それでも必死に訴えた。
初めての感覚に俺は不安で仕方なくて、恭弥の服を握った。
:09/02/07 21:57 :P906i :HBpMrMsU
#182 [ちか]
「おかしくなれば?」
一番甘く低く、そして妖艶な声でそう囁かれ、尖端を強く吸い上げられた瞬間、
「ンあぁッ‥――!!!!///」
激しく脈打ちながら、
白く濁ったものを恭弥の口内に放った。
:09/02/07 22:05 :P906i :HBpMrMsU
#183 [ちか]
「ハァ‥‥ハァッ‥―//」
肩で大きく息をしながら、恭弥を見た。
ゴクン..
俺の出したモノを呑み込んで、怪しく微笑んだ。
そして口の端についた液体を指で絡めとって舐める
「いっぱい出たね..」
恥ずかしくて顔から火が出そうだ。
:09/02/07 22:11 :P906i :HBpMrMsU
#184 [ちか]
「‥でもね、これだけじゃ終わらないんだよ?」
「え・・?ハァ・・ッひゃあッ!!//」
恭弥は突然俺を四つん這いにしてアナルを舐めだした。
「なっ・・ハァッ//!!にす‥―ぁあッ、・・!!//」
「ちょっと下準備を‥ね」
ピチャッ
クチュ・・
「あんッ‥‥んンあ‥!//」
部屋には俺の喘ぎ声と
厭らしい音が響く。
:09/02/07 22:19 :P906i :HBpMrMsU
#185 [ちか]
指を入れられて、俺のその声はさらに大きくなった。
指は一本、また一本と増えていき、俺の気持ちいい処だけを責めていく。
「こんなもんかな。」
もう少しでイキそうな俺を知ってか知らずか、恭弥は指を抜いて呟いた。
:09/02/07 22:23 :P906i :HBpMrMsU
#186 [ちか]
と、すぐに別のモノが俺の穴に触れた。
その感じたことのない感覚に俺は咄嗟に振り返った
「‥‥――っ!!?//」
そこには俺のより、遥かに大きく、そして反った恭弥のモノがあった。
「最初は痛いかもしれないけど‥、優しくするから」
そう言う囁く恭弥の声は、とても優しくて暖かかった。
:09/02/07 22:29 :P906i :HBpMrMsU
#187 [ちか]
>>186訂正
そう言う囁く
└→×
そう囁く
└→○
すいません´`
:09/02/07 22:31 :P906i :HBpMrMsU
#188 [ちか]
「んっ‥ハァッ!!いた‥ぁ‥ッぃ..ッ!!」
あまりの痛さに俺の瞳(メ)からは自然に涙が零れた。
全身が燃えるように熱い。
俺は耐えるようにベッドのシーツを握りしめた。
:09/02/07 22:34 :P906i :HBpMrMsU
#189 [ちか]
「冥‥泣かないで。もう少しだから・・――」
そう言って恭弥は俺の涙を優しく拭った。
痛さのあまり声が出せない俺は小さく頷いた。
「ん・・っあッ‥!!ハァッ・・//」
痛みも徐々に和らいだ瞬間、それと入れ代わるように快楽が俺を襲った。
:09/02/07 22:39 :P906i :HBpMrMsU
#190 [ちか]
「ンんぁ‥―ッ//あ‥ッひゃあ!!///」
ある一定の部分に恭弥のモノが当たった時、俺は情けない声を部屋中に響かせた。
「ここが気持ちいいんだ?」
その瞬間、恭弥は連続的にそこを突いた。
「ひゃッあッ・・んぁ//!!!」
突かれる度にその声は大きさを増してゆく。
恭弥の気持ちのよさそうな吐息と声が俺の耳に届いた。
:09/02/07 22:45 :P906i :HBpMrMsU
#191 [我輩は匿名である]
:09/02/07 22:49 :W61P :Mw4xHTo.
#192 [ちか]
「だ・・めっ・・あぁッ―!!」
一番強く突かれた瞬間、快楽の波が俺を襲って2回目の頂点に達した。
体内にドクドクと何かが入ってきたのが分かった。
きっとこれはさっき俺が出した液体と同じ・・
息遣いの荒らさから恭弥も頂点に達したことに気づいた。
:09/02/07 22:50 :P906i :HBpMrMsU
#193 [ちか]
「ハァッ‥―ハァッ‥―」
息をするのがやっとだった。
「ごめんね、冥。」
恭弥は少し申し訳なさそうに俺の隣で呟いた。
「‥‥?」
その言葉の意味がいまいち分からなくて、どうして?と言うような顔で俺は恭弥を見つめた。
それを察したかのように、
「泣かせるつもりはなかったんだ‥。ごめん。」
と俺を抱き締めた。
:09/02/07 22:55 :P906i :HBpMrMsU
#194 [ちか]
「べ‥べつに泣い‥てないし・・//大丈夫だから//」
強がって嘘をつく俺を恭弥は優しい笑顔で、「ウソつき」と囁いた。
「嘘じゃな・・//」
抱き締められながら目を瞑ると、急に睡魔が襲ってきた。
「ス―‥ス―‥」
寝息をたてて眠る俺の髪を、クスッと笑って優しく撫でた。
:09/02/07 23:03 :P906i :HBpMrMsU
#195 [ちか]
夢におちるように、
俺はきみにおちていく。
優しくて意地悪な、
漆黒のきみに‥‥―――
― 第一話 e n d ―
:09/02/07 23:06 :P906i :HBpMrMsU
#196 [ちか]
:09/02/07 23:13 :P906i :HBpMrMsU
#197 [我輩は匿名である]
第2話楽しみにしています
:09/02/07 23:21 :F703i :akYlTQ8g
#198 [ちか]
>>191└→我輩は匿名さま*
アンカーありがとうございます∩^ω^∩★
>>197└→我輩は匿名さま*
第2話も楽しんで頂けるように頑張りますね
感想板にもぜひ遊びにきてください
:09/02/08 18:15 :P906i :qI2htTWA
#199 [ちか]
`
第二話 比例する気持ち
:09/02/08 18:27 :P906i :qI2htTWA
#200 [我輩は匿名である]
次の日、シャンプーのような、どこかで嗅いだことのあるほのかな香りで俺は目を覚ました。
「ん‥――、」
意識はまだ朦朧していて、目が完全に開くまで数分の時間がかかった。
:09/02/08 18:39 :P906i :qI2htTWA
#201 [我輩は匿名である]
ようやく意識がはっきりしてきて、射し込んでくる光から今が朝なんだと言うことを知った。
俺、いつの間に寝ちゃったんだろ‥
そうだ、あの後急に眠くなって‥―
そこまで思い出した瞬間(トキ)、俺は真っ赤にした。
昨日のアレを思い出して。
:09/02/08 19:17 :P906i :qI2htTWA
#202 [ちか]
>>200-201名前、ちかです;
思い出せば思い出すほど、顔は赤くなっていった。
恥ずかしくて思わず両手で顔を覆った。
そう、昨日俺は人生で初めて抱かれたんだ。
しかも男に。
:09/02/08 19:23 :P906i :qI2htTWA
#203 [ちか]
赤さを増す顔に、俺は思い出すのをやめた。
「そうだ、学校いかな‥――!?!?」
独り言を呟いてそこから起き上がろうとした時、突然腰に激痛がはしった。
「‥いっ‥たあ〜‥ッ!!!」
その痛さに、涙がジワリと滲んだ。
:09/02/08 19:41 :P906i :qI2htTWA
#204 [ちか]
「あ、起きたの?」
目覚めた時の香りと共に甘い声が頭上で聞こえて、俺はその声を辿った。
「おはよう。」
そこには優しく微笑む恭弥。
その綺麗な黒髪と引き締まった上半身からは水がポタポタと滴っていて、色っぽかった。
:09/02/08 22:21 :P906i :qI2htTWA
#205 [ちか]
「‥‥冥?」
名前を呼ばれて俺はハッとした。
見とれてしまってたみたいだ。
「っな、なに?!?//」
焦って返事する俺。
:09/02/08 22:37 :P906i :qI2htTWA
#206 [ちか]
「クスッ、なに見とれちゃった?」
恭弥は綺麗な瞳を細めて、意地悪く笑う。
「ち、ちがっ‥!!!///」
言葉を遮るように、
「図星かあ。クスッ可愛い。」
そう言って優しく俺の頭を撫でる。
「お前、またそうやって俺をからかって‥!!///」
見透かされてるのが悔しくて必死に否定するけど、そんな行動もコイツにとっては小動物とじゃれ合っているようなもの。
:09/02/08 22:46 :P906i :qI2htTWA
#207 [ちか]
「『お前』じゃなくて、
『恭弥』って呼んでよ。」
「‥‥っ!!///」
ふわりと漂うシャンプーの香りと、そのなんとも言えない声は俺の神経を一瞬で自分のものにする。
赤面する俺を見て、恭弥はさらににっこりと笑った。
:09/02/08 22:53 :P906i :qI2htTWA
#208 [ちか]
「だ、誰が呼ぶかっ!!///」
俺は頭を撫でるその大きな手をはらって睨みつける。
「昨日はあんなに可愛いかったのに。クスッ」
その甘い声に背筋がゾクっとした。
「う、うるさいっ!!!///
早く服着ろ変態っ!!//」
:09/02/08 23:08 :P906i :qI2htTWA
#209 [ちか]
「ひどいなあ。」
恭弥はそう言って、あははっと笑った。
しなやかな身体に、ほどよい筋肉のついた腕。
そんな体に白いシャツはよく似合った。
:09/02/08 23:11 :P906i :qI2htTWA
#210 [ちか]
「冥もシャワー浴びておいでよ。」
振り向いて言うその笑顔に今にも悩殺されそうになる。
「言われなくても‥―っ!!、うっ‥‥ッ」
忘れかけていた痛みがまた俺を襲った。
:09/02/08 23:15 :P906i :qI2htTWA
#211 [ちか]
「いてて‥‥――、なんなんだよ〜コレ‥」
俺は涙目で腰をさすった。
この痛みの理由(ワケ)を俺は知らない。
「ごめん、ちょっとやりすぎたかな‥?」
もちろん、コイツの言葉の意味も。
:09/02/09 17:45 :P906i :ssqUFrOo
#212 [ちか]
「“やりすぎた”ってなんのことだよ?」
尚も腰を擦りながら、俺は尋ねた。
「‥‥もしかしてお前解ってない?」
「“解ってない”って何がだよ!」
会話にならない会話続く
:09/02/09 17:55 :P906i :ssqUFrOo
#213 [ちか]
>>212訂正
会話にならない会話続く
└→×
会話にならない会話が続く
└→○
すいません
:09/02/09 17:56 :P906i :ssqUFrOo
#214 [ちか]
恭弥は『まさか』とでも言いたげな驚いた目をして俺を見下ろす。
「なんなんだよっ!!
馬鹿にしてんのっ?!」
なんとも言えない悔しさにでいっぱいになった俺はキッと睨んで怒鳴った。
:09/02/09 18:01 :P906i :ssqUFrOo
#215 [ちか]
>>214訂正
なんとも言えない悔しさにでいっぱいになった‥
└→×
なんとも言えない悔しさでいっぱいになった‥
└→○
誤字ばかりですいません
:09/02/09 18:03 :P906i :ssqUFrOo
#216 [ちか]
恭弥はそんな俺の声にハァとため息を吐いて、
「だーかーらー。‥アレだよ、ほら‥昨日のせい。」
と言いにくそうに呟いた
俺が顔を真っ赤にするのを見ると、発言した本人も目線を斜め下に下げて、少し顔を赤らめた。
:09/02/09 18:13 :P906i :ssqUFrOo
#217 [ちか]
「なっ//、あんたが照れてどーすんだよ!!馬鹿っ//」
「冥が言わすからだろっ!!///」
俺の怒声に思わず恭弥も声を張り上げた。
「うっせー!!!///」
押し切る形でこの喧嘩は俺の勝ちとなった。
:09/02/09 18:28 :P906i :ssqUFrOo
#218 [ちか]
喧嘩のあとの沈黙は、ソレをより静かにした。
未だに腰が痛くてベッドから出れない俺は、上半身を壁にもたれさせるような形でやっと上体を起こすことが出来た。
「‥‥‥‥‥‥‥‥。」
「‥‥‥‥‥‥‥なぁ、」
続く沈黙にしびれを切らした俺は、ずっと気になっていた事を聞こうと口を開いた。
:09/02/09 22:16 :P906i :ssqUFrOo
#219 [ちか]
「なに?」
「あの…さ、昨日からずっっっと気になってたんだけど‥‥」
「だからなに?」
「えっと‥、あの、昨日…」
「昨日?」
「その‥――、昨日なんで無視したんだよ。」
まだ気にしてんのか、そう思われそうで、呆れられてしまいそうで、言葉にするのに少し時間がかかった
:09/02/09 22:22 :P906i :ssqUFrOo
#220 [ちか]
「悪いけど、その件に関してはほんとに心当たりがないんだよ。」
恭弥はそう言ったあとに少し間をあけて「ごめんね。」と付け足した。
その面持ちからそれが嘘じゃない事が解ると、俺の頭は余計に混乱してしまった。
確かにあの時‥‥―――
「っでも‥あの時‥――、ちゃんと目合ったよ…」
:09/02/09 22:34 :P906i :ssqUFrOo
#221 [ちか]
シーツを握りしめて、まるで独り言のように呟いた。
苦しかったんだ。
俺が感じた“無視”は、
コイツにとっての“無視”じゃなくて、
俺の瞳にはコイツがうつってたのに、コイツの目には俺がうつってなかった、と言うことが。
:09/02/09 23:58 :P906i :ssqUFrOo
#222 [ちか]
また続く沈黙に俺は俯いた顔をあげる事が出来ない。
いや、今目の前のヤツがどんな顔をしてるのかと思うと、怖くてあげる事なんて出来なかった。
“うざい”って思われてるかもしれない。
“しつこい”って思われてるかもしれない。
さっきまで俺に向けられていた笑顔が、残酷な顔に変わっているかもしれない。
そう思うだけで身体が押し潰されそうで、この話題を出してしまった事を後悔した。
:09/02/10 00:11 :P906i :SdvBzJis
#223 [ちか]
「‥‥‥‥‥あ、」
そう短く声を漏らしたのはのは恭弥の方だった。
「そう言えば、それって体育と昼休みだっけ?」
「うん・・」
俺の弱々しい返事とは反対に、恭弥はそれ聞いて急に笑いだした。
:09/02/10 18:45 :P906i :SdvBzJis
#224 [ちか]
「なっ、なんで笑うんだよっ!!!//俺は真面目に…」
「いや、確かに“無視”してたのかもって思って。」
そう言ってまた恭弥はクスクスと笑う。
ワケわかんねえ‥
結局無視したのか、してないのかどっちなんだよ!
:09/02/10 18:50 :P906i :SdvBzJis
#225 [ちか]
俺は笑い続ける恭弥をキッと睨みつける。
暫くして笑いがおさまった恭弥は口を開いた。
「僕、目すっごい悪いんだよね。」
‥‥‥は?
「普段コンタクトなんだけど、昨日はちょうど体育の時間にとれちゃってね。
眼鏡も忘れちゃったから、放課後運転手に持ってきてもらったんだよ。」
‥‥‥‥‥‥はあ?!
:09/02/10 19:00 :P906i :SdvBzJis
#226 [ちか]
それじゃあ‥‥
「まぁつまり、見えてなかったってワケだ。」
俺の…
「そう言えば昼に話しかけられた気したんだよね。誰かわかんなかったから、スルーしちゃったけど。」
俺の心配って‥‥
一体なんだったんだああ!!!!
:09/02/10 19:35 :P906i :SdvBzJis
#227 [ちか]
一気に怒りが込み上げてきたけど、あまりの馬鹿らしさにソレもすぐ冷めてしまった。
「馬鹿みたい‥‥」
俺はそう言ってため息を吐いた。
「でも僕は嬉しいな。可愛い冥が見れたしね。」
そんな言葉に俺はさらにもう一つため息を吐いた。
:09/02/10 19:47 :P906i :SdvBzJis
#228 [ちか]
「冥怒ってる?」
そう言って俺の顔を覗きこんだ恭弥は満面の笑みだった。
コイツ、まじで喜んでるんだな‥
「怒ってない。」
呆れた口調で返す俺。
:09/02/10 19:58 :P906i :SdvBzJis
#229 [ちか]
「なら、良かった♪」
「‥‥‥っふえ?!?!?!」
恭弥は笑顔でそう言うと、急に俺をお姫様抱っこで持ち上げた。
「ばっ!!ちょ…っ!!なにすんだよっ!!///」
「痛くて起きれないんでしょ?」
そう言って恭弥はニヤリと笑う。
:09/02/10 20:15 :P906i :SdvBzJis
#230 [ちか]
「お、降ろせ馬鹿っ!!///」
「やだね。」
「“やだ”じゃねーっ!!
降ろせってば!!///」
なんで16にもなってお姫様抱っこなんかされなきゃいけないんだよ!!
「暴れないでくれる?
持ちにくいんだけど。」
「おーろーせーっ!!!!」
恭弥は大声を張り上げ、ジタバタ俺にため息を吐いた。
そして、‥‥―――
:09/02/10 22:06 :P906i :SdvBzJis
#231 [ちか]
チュ。
「うるさいよ。」
俺の思考は一時停止。
情報処理に少し時間がかかるようだ。
え〜‥今の状況は‥
唇が重なって、
うるさいって言われた。
ハイ、情報処理完了。
俺の今言うべき言葉は…
「こンのド変態がああ!!!」
「あー、うるさい。」
:09/02/10 22:11 :P906i :SdvBzJis
#232 [ちか]
>>230訂正
大声を張り上げ、ジタバタ俺に…
└→×
大声を張り上げ、ジタバタする俺に…
└→○
すいませんm(__)m
:09/02/10 22:13 :P906i :SdvBzJis
#233 [ちか]
そうこうしてるうちにバスルームに着いた。
俺はドアノブを回そうとする恭弥の手をがっちり掴む。
「こ、ここでいいってば!!
あとは自分でするから!!///」
「いいよ、せっかくだし洗ってあげ‥‥「洗わなくていいからっ!!!!」
言葉を遮る俺に、恭弥も渋々といった表情(カオ)で俺をゆっくり降ろした。
:09/02/10 23:28 :P906i :SdvBzJis
#234 [ちか]
俺は出来るだけ腰に負担がかからないようにそこから降りる。
「じゃ、あとは適当にやるからあっち行ってて!」
そう言って俺はドアを勢いよくバタンと閉めた。
「はぁ〜‥。」
アイツが居なくなった瞬間全身の力が抜けて、俺は崩れるように座った。
:09/02/11 09:40 :P906i :D4KC0L06
#235 [ちか]
「あつ‥‥。」
全身が熱くて、
心臓は高鳴ったまま。
全ては恭弥のせいで。
:09/02/11 16:19 :P906i :D4KC0L06
#236 [ちか]
「いきなりは反則だろ〜‥」
弱々しい声が響く。
胸の高鳴りはなかなか止まなくて、俺はグッと胸を押さえた。
唇にはまだあの感覚が残ってる。
:09/02/11 16:40 :P906i :D4KC0L06
#237 [ちか]
だめだ‥
俺、完全にアイツのペースに乗せられてる。
あのヤラシイど変態のペースに。
俺はもう一度大きくため息を吐いたあと、頭を冷やそうと浴室に入った。
:09/02/11 20:13 :P906i :D4KC0L06
#238 [ちか]
服を脱ぐ途中、また昨日の事が蘇った。
ここを触られた、とか
ここを舐められた、とか
なんかいろいろと鮮明に思い出してしまった俺はさらに顔を火照らせた。
「なに考えてんだ俺!!
忘れろ忘れろ忘れろ‥」
自分に言い聞かせるようになんどか呟いて、中に入った。
:09/02/11 20:22 :P906i :D4KC0L06
#239 [ちか]
中は結構広かった。
なんて言うか、金持ち感が漂ってた。
すっごい良いホテルにありそうな感じ。
俺はそんな事を考えながら、シャワーを浴びた。
ふいに手をシャンプーの方に伸ばした。
これまた高そうなシャンプー。
一般人の俺には見た事のないようなやつだった。
シャンプーからは恭弥の匂いがして、少し心地よかった。
:09/02/11 20:28 :P906i :D4KC0L06
#240 [ちか]
サッパリした気分でそこから出ると、綺麗折り畳まれた制服の隣にまたシワ一つない新品のシャツがあって、やっぱり少し着心地が悪かった。
ベッドの方に戻ると、ピシッと制服に身を包んだ恭弥が居た。
こう見ると、やっぱ生徒会長だなあって思う。
:09/02/11 20:38 :P906i :D4KC0L06
#241 [ちか]
ピシッと制服を纏った恭弥からは、昨日や今朝のような変態っぽさを微塵(ミジン)も感じさせなかった。
「詐欺だ…。」
「え?」
「いや、なんでもない!!」
「?」
いけない、思ったことがつい口に出てしまった。
俺はヘラヘラと笑ってごまかした。
:09/02/11 20:50 :P906i :D4KC0L06
#242 [ちか]
その後、朝食を食べに1階へと降りた。
慣れない家に、恭弥の後ろをちょこちょこと間をあけながら歩く俺。
俺達が一つの部屋の前に立つと、メイドの人2人が「おはようございます。」と頭を下げて扉を開けてくれた。
:09/02/11 21:00 :P906i :D4KC0L06
#243 [ちか]
中に入ると、たくさんのメイドさん達がズラリと並んでいて、テーブルには朝食とは思えないほど豪華な料理が所狭しと並んでいた。
「恭弥様、冥様、今日の朝食はイタリア産の‥」
と、朝食のメニューについて語り出すシェフ。
聞いた事のない料理の名前やら何やらで、俺の頭は朝から少し混乱気味だ。
:09/02/11 21:16 :P906i :D4KC0L06
#244 [ちか]
しかし味は超うまい。
俺はその美味さに一人黙々と料理にがっついた。
なにしろ一人暮らしの間、遅刻魔だった俺は久しぶりにまともな朝食だったからな。
……いや、『まともな』ってのは撤回しよう。
:09/02/11 21:21 :P906i :D4KC0L06
#245 [ちか]
「そんなに美味しい?」
両頬をリスみたいに膨らまして料理を頬張る俺に、頬杖をつきながら尋ねてきた。
「うん、最高っ!」
「じゃあ、あげるよ。」
そう言って恭弥は自分の分を俺によこした。
:09/02/11 21:40 :P906i :D4KC0L06
#246 [ちか]
「もう、僕お腹いっぱいだから。」
ニコニコしながら俺にそう言う恭弥。
「お腹いっぱいって…」
よこされた皿に目をやると、初めに運ばれてきた時と同じと言ってもいいほど残っていた。
:09/02/11 21:48 :P906i :D4KC0L06
#247 [ちか]
「それに、冥見てる方が楽しいしね。」
そう言って俺の口の端についたソースを指でとってペロッと舐めた。
「あ、また赤くなった。」
クスッと笑うコイツと
赤面する俺。
めちゃくちゃ悔しい。
またコイツのペースだ…
:09/02/11 21:54 :P906i :D4KC0L06
#248 [ちか]
「いらないっ!!///」
「クスッ、可愛い♪」
「からかうなっ!!!!!」
「だって可愛いもん。」
「・・・・。(怒)」
あ゙〜〜〜っ!!!!
もうやだ!!!!
コイツもコイツのペースに流される俺もいやだ…。
:09/02/11 22:18 :P906i :D4KC0L06
#249 [ちか]
良く考えろ俺…
一昨日から今まで何回こう言うやり取りをした?!
いい加減大人になれ俺…
流されるな、
流されるな、俺…
呪文のようにそんな事を小声で呟く俺と、それを不思議そうに見つめる恭弥。
:09/02/11 22:29 :P906i :D4KC0L06
#250 [ちか]
「恭弥様、そろそろお時間でございます。」
「あ、そう。
じゃ、冥行こっか。」
「う、うん..」
次からコイツに流されない事を心に固く決心して俺はその場をあとにした。
:09/02/11 22:34 :P906i :D4KC0L06
#251 [ちか]
車に乗り込んで数十分。
学校まであと少しのところで俺は車を停めてもらった。
「冥?どうかした?」
俺を不思議そうに見つめる恭弥。
「や、あの…歩きたいなって。あははは‥」
本当は昨日みたいな質問攻めをされたくないだけ。
:09/02/12 19:25 :P906i :XFHqvW0U
#252 [ちか]
「ふうん…、じゃあ僕も降りようかな。」
「なっ、なんで?!?!」
「なんでって言われても。
冥居なきゃつまんないしね。」
いや、あんたも降りたら結局昨日一緒なんだよ!!
「なにか問題でも?」
「い、いや…。」
言葉の中の微妙な威圧感に俺は拒否出来なかった。
:09/02/12 19:36 :P906i :XFHqvW0U
#253 [ちか]
>>252訂正
結局昨日一緒なんだよ
└→×
結局昨日と一緒なんだよ
└→○
すみません><
:09/02/12 19:39 :P906i :XFHqvW0U
#254 [ちか]
教室に入ると、昨日に巻き戻ったようだった。
恭弥が歩いて登校してきた事がかなり珍しかったらしい。
つーかそんなん本人に聞けっつーの!!!!!
なんで俺が2日連続で朝っぱらからしち面倒くさい目に遭わなきゃいけないんだよ…。
:09/02/12 19:47 :P906i :XFHqvW0U
#255 [ちか]
「おはよー透ー。」
朝からもみくちゃにされながらクタクタな声で透に話しかけた。
「おー。今日も仲良く登校ですか。」
茶化すように言う透。
「仲良くってワケでもねーよ…」
:09/02/13 18:32 :P906i :z7IuJ69c
#256 [ちか]
「どうだか。(笑)
てかお前が遅刻せずに朝礼参加とか初めてじゃん。」
「朝礼?」
「お前、木曜(今日)は朝礼の日だろーが。」
「…そーだっけ?」
朝礼なんてまともに参加した事のない俺が、そんな事覚えてるわけない。
そんな俺を透は「お前らしいわ。」と呟いて笑った。
:09/02/13 18:40 :P906i :z7IuJ69c
#257 [ちか]
暫くしてチャイムが鳴り、俺達はゾロゾロと体育館に向かった。
体育館に着くと、透と別れ自分の定位置についた。
長ったらしい朝礼が始まるのかと思うと憂鬱で仕方ない。
俺は一度大きく欠伸(アクビ)をした。
:09/02/14 18:34 :P906i :XA.ZP7xg
#258 [ちか]
が、そんな眠気も憂鬱も次の瞬間一気に吹っ飛んでしまった。
「みなさん、おはようございます。」
そんな聞き覚えのある声がマイクを通して館内に響く。
それに伴って体育館中も少しざわめき始めた。
前に立っているのは紛れもなくアイツ。
:09/02/14 18:42 :P906i :XA.ZP7xg
#259 [ちか]
そー言えば、アイツ生徒会長だっけ…。
ピシッと制服に身を包み、なんとも言えないオーラを放つ恭弥。
俺はどうもコイツの学校と普段のギャップに馴染むことが出来なくて、まじまじとソイツを見ていた。
:09/02/15 10:57 :P906i :AvBQeG76
#260 [ちか]
「黒羽先輩ほんとかっこいい///」
となりの奴らが小さな声で話しだした。
「木曜は朝から黒羽先輩見れるから幸せだよねー!」
俺は朝の朝からコイツ見てるけど、そんな幸せ感じねーぞ…
となりの奴らが大きく頷いてるのを見ながら、俺は心の中で小さく呟いた。
:09/02/15 11:01 :P906i :AvBQeG76
#261 [ちか]
「あ、でも知ってるー?」
「なにが?」
「黒羽先輩ね、佳山先輩と付き合ってるらしいよ〜」
「え?!」
そんな言葉が耳に届いた瞬間、俺は咄嗟に声を漏らした。
隣の奴らにまでその声は届いてなかったようで、そいつらは話を続けている。
:09/02/15 11:08 :P906i :AvBQeG76
#262 [ちか]
「え?!うそ、副会長じゃん!!」
「そーそー。あたしも昨日2年の先輩達から聞いてさあ…」
言葉の一つ一つが俺の胸をざわめかせ、鼓動を速めた。
「そう言えば最近よく一緒に居るような…」
「まぁ、佳山先輩超美人だし仕方ないよね〜」
「悔しいけど美男美女だしねー」
:09/02/15 11:13 :P906i :AvBQeG76
#263 [ちか]
2人は2、3度頷いて会話を終えた。
目の前には無表情で淡々と話す恭弥。
その斜め後ろに居るのがたぶん佳山って人だな…
そう言えば昨日の昼休みにアイツと話してた人もこの人だったっけ‥。
:09/02/15 18:48 :P906i :AvBQeG76
#264 [ちか]
なんなんだろう。
胸がズキズキするし、
もやもやして気持ち悪い
朝ごはんの食べ過ぎ…?
まさかな(笑)
:09/02/15 18:50 :P906i :AvBQeG76
#265 [ちか]
「――…い、冥?」
「……え?」
気がつけば朝礼は終わっていて目の前に透が居た。
「お前、ちゃんと朝礼出たと思ったら寝てたのかよ〜。」
そう言って透は俺の頭をクシャクシャと撫でた。
:09/02/15 18:56 :P906i :AvBQeG76
#266 [ちか]
「っち、ちげーよ!!
ちゃんと起きてたっつーのっ!!///」
「はいはい♪」
透は流すようにそう返事して体育館を出た。
「ま、待てよっ」
「早くしねーとHR始まんぞー。あ、お前はどのみち寝るから同じか?」
どいつもこいつも俺をガキ扱いしやがって!!
:09/02/15 19:00 :P906i :AvBQeG76
#267 [ちか]
教室に戻っても、胸のざわめきはおさまらなかった。
いや、むしろ余計に苦しくなってモヤモヤした。
なんなんだよ…――
考えれば考えるほど、すげえイライラする…
アイツが教室の前を通る時、俺とすれ違う時、さらには他の奴らがアイツの話をしているのを聞くだけでも胸がズキズキと疼(ウズ)いた。
:09/02/16 18:03 :P906i :kedn8OFA
#268 [ちか]
「冥、お前顔色悪いぞ?」
何限目の休み時間だろうか。
気がつけば目の前に俺を心配そうに見つめる透が居た。
「…え、そう?」
確かに朝礼の後から、苦しさは増すばかりだ。
「お前保健室で寝てな。先生に言っといてやるから。」
そう言って透は俺の頭をぽんぽんと撫でる。
「ん、ありがと…」
俺はそう小さく呟いて教室を出た。
:09/02/16 18:17 :P906i :kedn8OFA
#269 [ちか]
あ゙ー…
なんか頭も痛くなってきたかも。
俺は重たい扉をガラガラとゆっくり開けた。
「あら、どうしたの?」
「なんか体調悪くて…」
「じゃあ寝ていく?一応体温計ってね。」
体温計を渡された俺はフラフラとベッドの方へ歩いた。
:09/02/16 18:37 :P906i :kedn8OFA
#270 [ちか]
「あ、そうそう。」
「え…?」
先生の声に俺は足を止めて振り返った。
「片方のベッドにもう1人寝てる子が居るから、起こさないようにね。」
「あぁ、はい。」
そう返事をして、俺は掴んでいたカーテンを開いた。
:09/02/16 18:40 :P906i :kedn8OFA
#271 [ちか]
カーテンを開けた瞬間、俺は短く大きな声をあげた。
ス―‥ス―‥
ベッドに寝息をたてて眠る恭弥が居たから。
「静かに。日下君は、その隣のベッド使ってね。」
「は、はいっ!!///」
俺はピシャリとカーテンを強く閉めて、隣のベッドに入った。
:09/02/16 18:48 :P906i :kedn8OFA
#272 [ちか]
なんで?!
なんでアイツが寝てんの?!?!
俺はあまりに驚いてベッドにドサッと座り込んだ。
心臓が激しく脈を打つ。
自分にまでその音が聞こえる。
:09/02/16 20:24 :P906i :kedn8OFA
#273 [ちか]
ピピピッ‥ピピピッ‥
体温計が機械的な音を響かせた。
「熱あった?」
カーテンを開けて先生が顔を覗かせる。
体温計に目をやるとわずかながら微熱だった。
「微熱だけど上がるかも知れないしゆっくり寝てなさいね。先生、ちょっと用があって出るから。」
先生はそれだけ言って保健室を出ていってしまった。
:09/02/16 20:29 :P906i :kedn8OFA
#274 [ちか]
静まり返る保健室。
ドクドクと脈打つ音が余計に大きく聞こえてくる。
「ん‥――、」
隣から聞こえてきたのは恭弥の声。
(コイツ起きないうちにここから出よ…っ)
俺はソロリとベッドを降りてカーテンを開けた。
:09/02/16 20:34 :P906i :kedn8OFA
#275 [ちか]
が、俺はそこから立つ事も出来ずに停止した。
「ん…冥?…おはよう‥」
寝ぼけた顔で目をこすりながら呟く恭弥。
どうやらさっき起きたみたいで、カーテンを開けて起き上がろうとしていたみたいだ。
:09/02/16 20:41 :P906i :kedn8OFA
#276 [ちか]
「お、おは、おはよっ!!」
何動揺してんだ俺っ!!//
「なんで冥がここに…?
あれ、僕寝ぼけてる…?」
グイグイと俺の顔を確かめるように近づいてくる。
恭弥の手が俺の頬に触れた瞬間、俺はオーバーヒート。
:09/02/16 20:47 :P906i :kedn8OFA
#277 [ちか]
「あ、やっぱり冥だ。
こんな処で何してるの?」
優しく微笑みながら囁かれる甘い声に俺は身動きがとれない。
「…僕と遊びに来たの?」
優しい笑みは怪しい笑みへと変わり、恭弥は俺のベッドにスルリと滑り込んできた。
:09/02/16 21:46 :P906i :kedn8OFA
#278 [ちか]
「な、なにしてんだよっ!!
ひゃあっ…!!///」
首筋を這う生暖かい感触に、俺は思わず熱っぽい声をあげた。
「クスッ気持ちいいの…?」
そう囁いて耳を甘噛みされ、俺はさらに声を漏らした。
:09/02/16 21:57 :P906i :kedn8OFA
#279 [ちか]
「違っ!!!///んっ…!!//」
否定しようと口を開いた瞬間、恭弥の舌が滑り込んできた。
絡みつく舌に俺は吐息混じりの声を辺りに響かせる。
その激しさにうまく息が出来ない。
暫くして離された唇からは糸が引いていてなんとも厭らしかった。
:09/02/16 22:27 :P906i :kedn8OFA
#280 [ちか]
「ハァッハァッ…――///」
恭弥は頬を真っ赤に染める俺を見て、満足げに微笑んだ。
「次はどうしてほしい?」
コイツはいつも俺がその声に弱い事を知ってて、わざと甘く囁くんだ。
俺はそれが悔しくて下唇をギュッと噛んだ。
:09/02/16 23:00 :P906i :kedn8OFA
#281 [ちか]
「…冥が言わないなら、僕の好きなようにするよ。」
少しムッとした顔でそう呟くと、俺の両手首を押さえ込んだ。
それと同時にシャツ越しから俺の突起に吸い付いた。
「んぁっ!!///ハァッ…!!//」
喘げば喘ぐほど恭弥の愛撫は激しくなっていく。
:09/02/16 23:24 :P906i :kedn8OFA
#282 [ちか]
「やめっ…ろ!!ハァッんン//」
「やだ。」
『やだ』って……。
てめえはガキかっ!!!!
怒りとその激しさにおかしくなりそうだ。
必死に捕まれている手を動かそうとするが、恭弥はびくともしない。
:09/02/16 23:53 :P906i :kedn8OFA
#283 [ちか]
その強引さに俺は、怒りとそれ以上の苦しさを覚えた。
なんで…
なんで…――っ!!!
「こ…う言う事はっ…ハァッ、彼女としろよ…っ!!!!!」
気づけば俺は力を振り絞ってそう叫んでいた。
:09/02/17 00:06 :P906i :1RMuTNrs
#284 [ちか]
そう言い放った瞬間、恭弥はピクッと眉間にシワを寄せ、
「意味わかんない。」
そう言って俺を睨んだ
「っな…〜!!!!」
それはこっちのセリフだ!!!!!!
俺はそう言って恭弥を突き飛ばし保健室を飛び出した。
:09/02/17 18:21 :P906i :1RMuTNrs
#285 [ちか]
どれくらい走っただろうか。
校舎裏に着いた俺は壁伝いにずるずると崩れるように座った。
思い出すのは、さっきの恭弥の顔…
「なんであんな顔されなきゃいけないんだよ…っ!!!」
俺はそう言って両手で顔を覆った。
:09/02/17 19:25 :P906i :1RMuTNrs
#286 [ちか]
胸が締め付けられる。
どうしようもなく切ない
俺はアイツにとってなんなんだ…――?
彼女が居るクセになんで俺にあんな事ばっかり…
考えれば考えるほど胸の締め付けは強くなっていった。
:09/02/17 19:31 :P906i :1RMuTNrs
#287 [ちか]
その頃、恭弥は1人取り残された保健室でベッドに腰かけていた。
「『彼女』ってなんの事なんだ…。」
不機嫌そうに眉を寄せてはそう呟いて俯いていた。
:09/02/17 19:38 :P906i :1RMuTNrs
#288 [ちか]
暫くしてガラガラと扉が開く音がし、恭弥はその音の先を目で辿った。
「君は……――、」
「どーも。」
言葉を遮って軽く頭を下げたのは透だった。
その手には冥の物と思われるカバンが握られている
:09/02/17 19:45 :P906i :1RMuTNrs
#289 [ちか]
「…あの、冥は?」
どうやら部活に出る前に冥にカバンを届けに来たらしい。
「だいぶ前に出ていったよ。」
他人から聞く『冥』と言う響きに、さっきの『彼女』と言う言葉を思い出して恭弥はまた眉間にシワを寄せた。
:09/02/17 19:53 :P906i :1RMuTNrs
#290 [ちか]
その表情に透も何かを察したのか目つきを変えた
2人の間に続く淀んだ沈黙。
「―――……もしかして冥に何かしました?」
冷たい声が室内に響いた
:09/02/17 20:02 :P906i :1RMuTNrs
#291 [ちか]
「………別に。」
「なんですか、その『間』は。」
「僕はしたつもりない。」
「…じゃあ、心当たりはあるんですね。」
「‥‥‥‥‥。」
(分かりやすい奴…。)
睨みあっていた目を逸らして黙りこむ恭弥に透は呆れた顔をして心の中でそう呟いた。
:09/02/17 20:12 :P906i :1RMuTNrs
#292 [ちか]
「別に先輩にどうこう言うつもりはありませんけど、冥の事傷つけたら…」
「傷つけたら?」
「ぶっ殺しますよ。」
目だけが笑っていないその冷たい笑顔を向けて、透はまた扉に手をかけた。
:09/02/17 20:18 :P906i :1RMuTNrs
#293 [ちか]
「君、冥のなんなの?」
透の後ろ姿をキッと睨んで言った。
「……幼なじみですよ。」
そう言い残して透は保健室を去っていった。
:09/02/17 20:27 :P906i :1RMuTNrs
#294 [ちか]
張り詰めた空気の残りが保健室に漂う中、一度大きくため息を吐いて恭弥もその場を後にした。
─────────
────‥‥
─────────‥‥
気がつけばグラウンドから学生達の声が沢山聞こえてきて、今が放課後だと言う事を知った。
教室に置きっぱなしのカバンを思い出して、俺はそこから立ち上がり、教室へと重い足を運んだ。
:09/02/17 20:38 :P906i :1RMuTNrs
#295 [ちか]
今何時だろ‥‥‥。
アイツもしかしてまた校門で待ってたりして!!!
そんな事がふと頭を過り、少し足を速めた。
が、
なんであんな奴に気遣ってんだ、俺!
と1人ツッコミをしてまた速度を落とした。
:09/02/17 20:46 :P906i :1RMuTNrs
#296 [ちか]
放課後の廊下は静まりかえっていて、足音がよく響いた。
教室に入ると、ガランとした薄暗い中を夕日の光が差し込んでいてなんとも不思議な雰囲気。
カバンを取ろうと自分の席に目線をやると1人の男が窓に持たれながらこっちを見ていた。
:09/02/17 20:54 :P906i :1RMuTNrs
#297 [ちか]
逆光でその顔が良く見えず、俺は目を細目ながら近づいていく。
「遅い。」
漸く(ヨウヤク)顔がはっきりと見えたところで、昨日と同じセリフが教室に響いた。
:09/02/17 20:56 :P906i :1RMuTNrs
#298 [ちか]
「なんで…居るの…。」
目の前に立っていたのは恭弥だった。
「冥は僕の事勝手だって言うけど、冥も相当勝手だと思うよ?」
俺の質疑なんかまるっきり無視で恭弥は俺に言った。
その目があたりに真っ直ぐすぎて俺は目を逸らす事が出来なかった。
:09/02/17 21:09 :P906i :1RMuTNrs
#299 [ちか]
>>298訂正
その目があたりに真っ直ぐすぎて
└→×
その目があまりに真っ直ぐすぎて
└→○
すいません
:09/02/17 21:12 :P906i :1RMuTNrs
#300 [ちか]
「……俺のどこが勝手だって言うんだよ。」
俺はその真っ直ぐな目に負けないように強く睨んだ。
「さっきみたいに言い逃げするところとか。」
「あれは‥‥っ!!!」
あれは?と聞き返されてもその後の言葉がまとまらず、俺は口をパクパクした。
:09/02/17 21:23 :P906i :1RMuTNrs
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