漆黒の夜に君と。[BL]
最新 最初 全
#601 [ちか]
「ありがとうな…冥。」
その笑顔に寂しげな表情は欠片も無かった。
「お、おう!」
俺は笑顔で返す。
少しは俺らの距離も縮まったかな‥‥?
:09/03/11 23:48 :P906i :KaqMZK1M
#602 [ちか]
「驚いたよ。」
病室を後にしたあと、恭弥に言われた。
「え?何が?」
そう言って疑問の瞳を向けると、恭弥はふふっと笑った。
「優里が人の事名前で呼ぶなんて初めてだったから。」
:09/03/11 23:53 :P906i :KaqMZK1M
#603 [ちか]
「え‥‥」
それって‥‥――
それって‥‥‥――――
「友達って意味じゃない?」
恭弥はにっこりと笑った。
「ホントに?!」
「病院内では静かに、ね」
嬉しかった。
むかつく奴だけど、
ひねくれた奴だけど、
とにかく嬉しかった。
:09/03/11 23:57 :P906i :KaqMZK1M
#604 [ちか]
それから2日後、優里はカナダに帰る事になった
もともとは来年行う腫瘍を取り除く手術に向けての検査中に、俺の噂を聞いて病院を抜け出してきたらしい。
やっぱブラコ…――
「誰がブラコンだコラ。」
:09/03/12 00:11 :P906i :pF033Bmg
#605 [ちか]
「あ、また口に出てた?」
「出まくりだっつーの、馬鹿か。」
こんな生意気な口がきけるまで優里の体調も回復しましたよ、みなさん。
「誰に話してんだよ。」
「内緒。」
ちなみに今は空港まで、
優里を見送りに来てます
あ、もちろん学校は休んだ。恭弥も一緒にね。
:09/03/12 00:17 :P906i :pF033Bmg
#606 [ちか]
「俺がカナダに居る間、特別に兄貴はお前に任せてやる。
まぁ、手術さえ終わればいつでも帰ってこれるけどな。念のためだ、念のため!」
「はいはい。」
あれから俺達の間はだいぶ近くなった。
下の名前で呼びあってるのが、その証拠。
恭弥は俺と優里の会話を聞きながら、嬉しそうに笑っていた。
:09/03/12 00:24 :P906i :pF033Bmg
#607 [ちか]
「優里様、飛行機の準備ができました。」
「分かった。今行く。」
とうとう別れの刻らしい
ちょっとだけ名残惜しかったりする。言わないけど
「あ、そうだ。最後に一つ教えてやるよ。」
そう言って優里は俺に耳打ちした。
:09/03/12 00:27 :P906i :pF033Bmg
#608 [ちか]
「は?お、おう…」
「じゃ、またな!兄貴も!」
笑顔でそう言うと、優里は歩いていった。
こうして長い嵐は去って行った。
え?
何て言われたかって?
『神楽(カグラ)姉には
気をつけろよ』
だってさ。誰だよソレ。
― 第三話 e n d ―
:09/03/12 00:34 :P906i :pF033Bmg
#609 [ちか]
:09/03/12 00:43 :P906i :pF033Bmg
#610 [ちか]
:09/03/12 00:44 :P906i :pF033Bmg
#611 [ちか]
>>600└→まなさま*
まなさま、この前も感想くれましたよね?
★
いつも読んでくれてありがとうございます♪
文才あるだなんて、私にはもったいない言葉、本当に嬉しいです!
何より、感動して頂けて、良かったです
第三話は感動的なシーンに気合いを入れていたので♪
よければ、ぜひ感想板にもお越しください★
:09/03/12 00:49 :P906i :pF033Bmg
#612 [ちか]
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
第三話に説明不足な点が
あったので、補足と言う
形で書かせて頂きます*
優里が冥のお店の前に
居たのは、こっそり
別の車でついてきていた
からです><
しかも現地に着いたあと
ボディーガードの人とも
はぐれたと言う…(・ω・`)
私がぬけているばっかりに重要な部分をちゃんと説明出来ずすいませんでした
第四話も楽しんで貰える
よう、頑張ります!
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
:09/03/12 08:30 :P906i :pF033Bmg
#613 [ちか]
`
第四話 噂の女
:09/03/12 17:52 :P906i :pF033Bmg
#614 [ちか]
あれから俺達はあの嵐のような2日間が嘘のように、平和な毎日を送っていた。
好きな人と共に過ごしていく平和な毎日。
しかし、それも長くは続かないことを俺は心の何処かで気づいていた。
それはじんわりと湿気のただよう6月のこと‥――
:09/03/12 18:02 :P906i :pF033Bmg
#615 [ちか]
「日下‥‥‥―――」
「先生‥‥――」
見つめあう俺と英語の高橋先生。
雨の音が響く教室には俺達しか居ない。
:09/03/12 18:08 :P906i :pF033Bmg
#616 [ちか]
「日下‥‥――頼む‥」
先生の潤んだ目と掠れた声がが俺に罪悪感をもたらす
でも‥――
「先生‥‥俺‥‥―――出来ません‥」
小さく呟く。
辛くて先生の顔が見れない。
:09/03/12 20:09 :P906i :pF033Bmg
#617 [ちか]
「なんでた…っ?!
俺はずっとお前に…っ」
「わかってます!!……それは分かってます‥‥―――でも俺には‥‥。」
先生、俺、先生の気持ちはすっごく嬉しいよ。
でもこればっかりは‥―
「だったらなんで‥―っ」
:09/03/12 20:18 :P906i :pF033Bmg
#618 [ちか]
:09/03/12 22:05 :P906i :pF033Bmg
#619 [ちか]
「それはやっぱり、俺の頭が悪いからじゃないですかねえ…。」
シャーペンをくるくると回しながら俺は真剣に答えた。
「自分で言うなよ…。」
「いてっ!!」
高橋先生は呆れた顔でそう言うと、俺にデコピンを喰らわせた。
:09/03/12 22:11 :P906i :pF033Bmg
#620 [ちか]
みなさん。
紛らわしい光景を見せしてしまい、ごめんなさい
今の状況を簡単に説明すると、俺は今マンツーマンで高橋先生の居残り補習を受けてます。
高橋先生はお疲れ気味です。
:09/03/12 22:15 :P906i :pF033Bmg
#621 [ちか]
「ここまで俺の丁寧な説明を理解出来なかったヤツはお前が初めてだ。」
「おっ!それってすごくない?」
「ある意味な。」
センセー、
ソレッテドーユーイミ?
:09/03/12 22:25 :P906i :pF033Bmg
#622 [ちか]
「お前このまんまだと、追試と補習で夏休み潰れるぞ?」
「えぇえぇッ?!?!」
先生のその言葉は、俺の眠りかけていた頭を一気に覚ました。
「嫌ならもっと真面目にやれ。」
「やってますよー。でも雨の日ってやる気なくなりません?」
え?俺だけだって?
:09/03/12 22:33 :P906i :pF033Bmg
#623 [ちか]
「そう言う事言える期間はとっくに過ぎてんだよ…。」
苦笑いを浮かべる先生。
「あはは!てか先生って、何せんちー?」
「ん、確か…183だったかな。」
「でかっ!!」
羨ましいそうな眼差しを先生に向けると、先生は
「お前は小っこいもんな」
と悪戯な笑みを浮かべた
:09/03/12 22:41 :P906i :pF033Bmg
#624 [ちか]
「って、そんな事考えてる暇あったら単語でも覚えろ。」
「えー。」
「"えー"じゃない。
雨だいぶ強くなってきたな…続き明日にするか。」
窓の外に目をやると、濃いグレーの雲から大粒の雨が降りしきっていた。
梅雨ってこれだから嫌なんだよな。
「明日もあるんだ…。」
「当たり前だ。
じゃ、これ明日までに解いてこい。以上。」
:09/03/12 23:27 :P906i :pF033Bmg
#625 [ちか]
目の前に置かれた紙の束
「これ全部?先生、鬼?」
「先生は人だ。」
爽やかな笑顔で返すのやめてくれ。
俺はその紙の束をカバンに詰め込んで椅子から腰をあげた。
「じゃ、先生ばいばい!」
「おー。気ィつけて帰れよ」
:09/03/12 23:31 :P906i :pF033Bmg
#626 [ちか]
そんな会話を交わして、俺は玄関へと降りていった。
「すっごい雨…。」
目の前に広がる真っ白な景色がその水滴の大量さを物語っている。
あ、今日は恭弥が先に帰ってて、俺には別の車を用意されてるんだ。
:09/03/12 23:35 :P906i :pF033Bmg
#627 [ちか]
傘をさして校門まで歩いていく。
「あれ?」
校門に近づくにつれて、ぼんやりと浮かびあがってくる人影。
女の人‥‥―――?
:09/03/12 23:43 :P906i :pF033Bmg
#628 [ちか]
くっきりとその姿が見える距離まで来た時、その人と目が合った。
腰まで伸びた栗色の髪
真っ白の肌に綺麗な柄の
着物を纏ったその人は、
とても
「きれー‥」
だった。
思わず口にしてしまうほどに。
:09/03/12 23:48 :P906i :pF033Bmg
#629 [ちか]
って!!!
この人、傘さしてない?!
水も滴るいい女
と言う言葉があるが、
その人は長い間雨にうたれていたのか全身ずぶ濡れでそんな言葉を通り越していた。
「だ、大丈夫ですか?!」
俺は走ってその人に傘をかけた。
:09/03/12 23:52 :P906i :pF033Bmg
#630 [ちか]
「あ…すいません‥私‥」
近づくとさらに綺麗だと言う事に気づいた。
「どうかしたんですか?!」
女の人の瞳は少し赤くなっていた。
泣いてたのか…?
「私‥‥人を探してて‥―――」
「人?って、ちょっと、え?!?!」
何かを言いかけて、その人は俺の胸に倒れこんだ
:09/03/12 23:57 :P906i :pF033Bmg
#631 [ちか]
「ちょ、あのっ?!?!」
いきなりの事でパニックになる俺。
応答の無い冷たい身体。
その異様な冷たさに危機感を感じた俺は、とりあえず車に運ぼうと女の人を背中におぶって車へと足を早めた。
校門から少し離れた場所に停められた長い車。
そのすぐ傍には恭弥がよこした執事の人が傘をさして立っていた。
:09/03/13 14:24 :P906i :wTLUQSGQ
#632 [ちか]
「冥様っ、傘はどうなされたんですか?!」
女の人をおぶるので精一杯だった俺は、傘もささないまま歩いてきたせいで全身びっしょりと濡れていたもんだから、執事の人が驚くのも無理はない。
俺は女の人が見えるように体を斜めに向けた。
「校門で倒れて‥‥」
状況を説明しようと口を開い時、女の人の顔を見え、執事の人の顔色が変わった。
:09/03/13 14:37 :P906i :wTLUQSGQ
#633 [ちか]
「九谷様……!!?」
「え?」
この人の事知ってるの?
そう聞こうとした時、
「と、とにかく家へ急ぎましょう!!」
と執事の人は慌てたように言って、俺達を車に乗るよう促した。
:09/03/13 14:41 :P906i :wTLUQSGQ
#634 [ちか]
家に着くと、既に大量の執事とメイドが玄関の前で立っていた。
「早く処置を…!!」
メイドの人達は女の人を抱き抱え、屋敷内へと入っていく。
「冥様もそのままでは風邪をひかれます!!」
そう言って危うく俺も抱き抱えられそうになったが、執事さんの手を振り払い走って自分の部屋に戻った。
:09/03/13 14:47 :P906i :wTLUQSGQ
#635 [ちか]
「あっぶねえ…」
もうちょっとで恭弥だけじゃなく、執事さんにまでお姫様抱っこされるとこだった…。
この家の人はお姫様抱っこ以外の抱え方を知らないのか?
「っくしゅん!!」
雨に濡れたせいかくしゃみが。
このままじゃほんとに風邪引きかねないと思った俺は風呂に入って服を着替えた。
:09/03/13 15:14 :P906i :wTLUQSGQ
#636 [ちか]
廊下からバタバタと人が慌ただしく走る音がする
そう言えばあの女の人、
大丈夫だったかな?
気になった俺はドアを開け廊下に出た。
「あの‥さっきの女の人どこに居ますか?」
通りかかったメイドさんに尋ねてみる。
:09/03/13 15:20 :P906i :wTLUQSGQ
#637 [ちか]
「女の人?あぁ、九谷様の事ですね!お隣の部屋にいらっしゃいますよ。」
あの人、九谷って言うのかな‥?
て言うか案外近くに居たんだな。
そりゃ廊下が騒がしい訳だ。
「入ってもいいですか?」
「どうぞ。あ、でも静かにお願いしますね。」
メイドさんはにっこりとそう言って、廊下を歩いていった。
:09/03/13 15:48 :P906i :wTLUQSGQ
#638 [ちか]
ドアノブをゆっくり回すと小さく音をたててドアが開いた。
目に入ってきたのはベッドに眠る色白の女の人。
改めて見ると、ほんとに綺麗な顔立ちをしているな。
そんな事を思いながら、
眠る彼女の脇で俺はちんまりと座りこんだ。
:09/03/13 16:21 :P906i :wTLUQSGQ
#639 [ちか]
「…きょー‥くん…―」
ふいに女の人がぽつりと呟いた。
「きょーくん?‥教訓?」
寝言だろうか?
なんの夢を見てるんだろう?
俺は首を傾げたあと、彼女の顔を覗き込もうとした。
その時。
:09/03/13 16:25 :P906i :wTLUQSGQ
#640 [ちか]
ぱっちりと大きな瞳が開いた。
「おわっ?!?!」
俺は突然の事に思わず変な声をあげ、退けそった。
上体を起こし、キョロキョロと部屋を見渡す女の人。
「あの〜…」
暫くそんな彼女を眺めたあと、恐る恐る声をかけてみた。
彼女の小さな顔がこちらへと向く。
:09/03/13 16:30 :P906i :wTLUQSGQ
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194