漆黒の夜に君と。[BL]
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#337 [ちか]
`


第三話 嵐は突然に


 

⏰:09/02/20 21:14 📱:P906i 🆔:pX9Xxznc


#338 [ちか]
黒 羽 優 里 ‥――


俺は耳を疑った。

その瞳に黒羽なんて名字、こんな偶然あっていいのだろうか…?


が、カツカツと音をたてながら記されていく黒板の文字を見て、それが聞き間違えじゃない事を知った。

⏰:09/02/20 21:52 📱:P906i 🆔:pX9Xxznc


#339 [ちか]
よく見れば、仕草や笑顔も少し似てる気がする…

俺はそいつから目が離せなくなった。


その美形にクラス中がざわめく中、ふいに目が合った。

一瞬かなりの形相で睨まれて背筋が凍るようだった。

⏰:09/02/20 22:07 📱:P906i 🆔:pX9Xxznc


#340 [ちか]
「ちなみにー、3年の黒羽の弟だ。」


その言葉を聞いて俺はハッとした。
そうか、それなら全ての辻褄(ツジツマ)が合う。

俺はそう納得しながらも、恭弥に弟が居た事にかなりの衝撃を受けていた。


「よろしく。」

そいつはさっきの形相が嘘のような爽やかな笑顔をキメて、クラス中の女子を一瞬で虜にした。

⏰:09/02/20 22:22 📱:P906i 🆔:pX9Xxznc


#341 [ちか]
HRが終わるなり、そいつの周りには大きな人だかりが出来た。

カナダってどんな感じ?
とか、
黒羽先輩と似てないね!
とか、
まぁとりあえず周りを取り囲んでいる奴らの大半は女子だ。


俺と透はその遠くから、他愛の話をしてケラケラと笑っていた。

⏰:09/02/20 22:40 📱:P906i 🆔:pX9Xxznc


#342 [ちか]
そのいけてるルックスに
魅力的な笑顔。

おまけに黒羽恭弥の弟で帰国子女とくれば、ソイツの噂は瞬く間に広がり、休み時間には他のクラス、さらには他の学年からまでソイツを見に来る生徒でいっぱいになった。


そんな調子で昼休みを迎えて、俺と透は食堂に行こうと立ち上がり扉の方へと歩いていった。

⏰:09/02/20 22:50 📱:P906i 🆔:pX9Xxznc


#343 [ちか]
「なに食べよっかなー♪」


なんて呑気な事を呟きながら教室を出ようとした瞬間、俺はグイッ肩を掴まれた。




振り返るとそこには噂の人気者。

⏰:09/02/20 22:52 📱:P906i 🆔:pX9Xxznc


#344 [ちか]
>>343訂正
俺はグイッ肩を
└→×
俺はグイッと肩を
└→○

すいません

⏰:09/02/21 00:12 📱:P906i 🆔:6WmKMalw


#345 [我輩は匿名である]
>>1-50


>>51-100


>>101-150


>>151-200


>>201-250


>>251-300


>>301-350

⏰:09/02/21 10:06 📱:F703i 🆔:XNIzL8Pw


#346 [ちか]
>>345
└→我輩は匿名*

アンカーありがとうございます><★

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ついでに感想板貼って
おきます♪感想や意見
よろしくお願いします!

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

⏰:09/02/21 17:59 📱:P906i 🆔:6WmKMalw


#347 [ちか]
>>343

「な、なんか用…?」


肩を掴むだけで、全くものを言わないソレに俺は警戒するように言った。


暫く続く無意味な沈黙。


なんなのコイツ‥。

「あの、用ないんだったら…「飯(メシ)一緒に食っていい?」

そう言って向けられたのはとびきりのスマイル。

⏰:09/02/21 18:14 📱:P906i 🆔:6WmKMalw


#348 [ちか]
HRの時の恐ろしい形相は勘違い?と思わせるほどの眩しい笑顔に、俺は少しの間思考停止。


「だめ?」

覗きこまれ呆然としていた俺は我に返った。

「は?‥え、うん。俺はいいけど…、透は?」

「冥がいいなら俺は別に構わないよ。」


そんな俺達のやり取りを聞いて、
「やった♪」
とさらに笑顔を溢した。

⏰:09/02/21 18:23 📱:P906i 🆔:6WmKMalw


#349 [ちか]
食堂に着いた俺達は、いつにも増して人の多い食堂に空いてる席を必死に探した。


「あ、あそこ空いてる。」


透が指差す方に目をやると、ちょうど3席空いていた。

「場所とられたら困るし、俺頼んでくるからお前らそこ居て。」

「え、じゃあ俺も行く!
3人分も持てないだろ?」

「転校生1人にさせるのもアレだろ。」

「でも‥‥っ」

そんな言い合いも透に押しきられて、結局俺は転校生とお留守番になった。

⏰:09/02/21 22:10 📱:P906i 🆔:6WmKMalw


#350 [ちか]
「‥‥‥‥‥。」

「‥‥‥‥‥。」


なんだ、この気まずい雰囲気は。


よく考えれば、目の前に居るのは恋人の弟。


なんか緊張してきた…

⏰:09/02/21 22:51 📱:P906i 🆔:6WmKMalw


#351 [ちか]
時間が経つにつれて緊張は増していき、俺は俯いたままひたすら透の帰りを待っていた。


(透〜早く帰って来いよ〜…)

周りはガヤガヤしてるのに俺達2人の間には静かな沈黙。
異様な雰囲気だ。

「なぁ。」

そんな沈黙を破ったのは優里だった。

⏰:09/02/21 22:57 📱:P906i 🆔:6WmKMalw


#352 [ちか]
「今さらだけど、あんたが日下冥だよな?」


向かいで頬杖つきながら言うその顔はやっぱりHRの時のように冷たかった。


「う、うん…。」

「へえ‥」


俺は上から下へ、下から上へとジロジロ見られて変な汗をかいていた。

(なんなんだよコイツ…)

⏰:09/02/22 00:05 📱:P906i 🆔:qGF02hmg


#353 [ちか]
「……………こんな奴のどこがいいんだか。」

「え?」

今なんて…?

「お待ちどーさま。」


「あ、おかえり!」


テーブルにトレーがゴトンと言う音を鳴らして置かれ、見上げると透が居た。

「ありがと!持ってきてもらって悪いな。」

その声を辿って目線を元に戻すと、冷ややかな表情はまたもや爽やかな笑顔に変わっていた。

⏰:09/02/22 00:14 📱:P906i 🆔:qGF02hmg


#354 [ちか]
さっきのは聞き違い…?




考えれば考えるほど
分からなくなっていった


「冥?」

「ほへ?!」

「クスッ何が“ほへ”だよ、ばーか。早く食え。」

「っな、馬鹿って言った方が…「はいはい、いいから食えっつーの。」

パクっ

言葉を遮られて、唐揚げを口に放り込まれた。

⏰:09/02/22 00:21 📱:P906i 🆔:qGF02hmg


#355 [ちか]
「っ〜〜%☆※¥$ッッ!!」

「食ってから喋れ。」



むーかーつーくーっ!!!!
馬鹿にすんな馬鹿っ!!!

この透の余裕そうな顔!!
まじむかつくっ!!


俺は透の脇腹を思いっきり殴った。

⏰:09/02/22 00:29 📱:P906i 🆔:qGF02hmg


#356 [ちか]
「い゙ってーっ!!暴力反対ー。」

「ふんっ」


脇腹を擦りながら睨んでくる透に俺はプイッと顔を背けた。


「仲いいんだなー。」


ぼそりと呟いた優里の顔がやけに寂しそうだった

⏰:09/02/23 00:06 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#357 [ちか]
「俺も早くみんなと仲良くなりてーな!」

寂しい表情はまたも一瞬で爽やかな笑顔に戻る。

俺はそんな優里が解せなくて黙ってしまった。


「もうだいぶ馴染んでるじゃん。」

「や、そんな事ねーよ。
まだこっち(日本)にも馴染めてねーし(笑)」

「そう言えばカナダだっけ、前住んでたとこはどんなだった?」

⏰:09/02/23 00:18 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#358 [ちか]
「良いところだったよ。
空気も綺麗だし、いい奴ばっかだし!」

「へえ、一回行ってみてーなー!」


弾む2人の会話もあまり耳に入らず俺はぼけーっと優里を見ていた。


「な?冥!」

「‥‥え、あ、ごめん聞いてなかった!(笑)」

⏰:09/02/23 00:27 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#359 [ちか]
「だからー…、まぁいいわ。お前は飯食っとけ!」

「なんだよそれーっ!
気になんじゃん!」

「また唐揚げ食わされてーの?」

不敵笑みで唐揚げを箸でつまむ透。

「え、遠慮しときまーす…」

ちぇっ、俺だけのけもんかよー。

⏰:09/02/23 17:17 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#360 [ちか]
そんなくだらない会話と笑い声で昼休みも終わり午後の授業。




………つっても寝てたから全然記憶ないんだよな。


だって毎日毎日、恭弥に規則正しい時間に清く正しくない方法で起こされて、ゆっくり寝れる時間授業中ぐらいしかねえんだもん。

⏰:09/02/23 17:28 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#361 [ちか]
「──…い──‥おい。」

「ん‥‥、おはよ透ー‥」


そう言って俺は寝ぼけながら重たい目を擦る。




「誰が透だよ。
早く起きやがれ。」

⏰:09/02/23 17:53 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#362 [ちか]
そのドスのきいた声に、
一気に目が覚めた。


咄嗟に見上げると、そこには俺を睨み付ける優里。


「いつまでもグースカ寝てんじゃねえよ。」


眉間にシワを寄せながら言うソレには爽やかさの欠片もない。

⏰:09/02/23 18:16 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#363 [ちか]
>>359訂正
不敵笑みで
└→×
不敵な笑みで
└→○
すいません(´;ω;`)

⏰:09/02/23 20:55 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#364 [ちか]
「SHRなんかとっくに終わったつーの。」

どおりで‥‥
見渡す限り、室内には俺とこいつ2人だけだ。

「っな、なんだよ、お前!!
なんか用?!」

「おう。てめえには言いたい事が山ほどあ…、」

『山ほどある』
優里がそう言おうとした時、教室の後ろドアが音をたてて開いた。

⏰:09/02/23 21:08 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#365 [ちか]
「冥?遅いから迎えに…」


そこに立っていたのは恭弥だった。


「兄貴‥‥──っ!!!!」

「優里?なんで‥‥──」


ぎゅっ…───

⏰:09/02/23 21:17 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#366 [ちか]
「会いたかった‥‥ずっと‥‥───」



俺は目の前の光景に唖然とした。



だってそこには恭弥に抱きつく優里の姿があって。

⏰:09/02/23 21:20 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#367 [ちか]
「久しぶりだね。元気だった?」


おい、待て待て。
なに頭とか撫でちゃってんの?ねえ。





むかつく…。

⏰:09/02/23 22:11 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#368 [ちか]
胸の奥から湧いてくるそのなんとも言えない腹立たしさに、俺は暫くの間何も言えずただその光景を睨む事しか出来なかった。


「‥‥て言うか、優里いつから帰ってきてたの?」

「‥‥‥‥‥、一昨日。」

「一昨日?!お前、もしかして抜け出して来た?」

「‥‥‥‥‥。」

「お前なあ‥‥ダメだろ?」

「だって‥‥‥っ」

⏰:09/02/23 23:32 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#369 [ちか]
2人の会話の意味が全く
分からない。


抜け出すだの、なんだのって‥‥






なんか余計疎外感感じるんだけど。

⏰:09/02/23 23:35 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#370 [ちか]
「とりあえず帰ろ。話はそれから。」

「い、いやっ!!!!」


顔を大きく横に振る優里を見て、恭弥は一度ため息をついて言った。


「黙っててあげるから。」

その瞬間、優里の顔はパッと明るくなった。

⏰:09/02/24 17:42 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#371 [ちか]
「冥、行こ?」


差し伸べられた片手がやけに嬉しかった。

「うん‥」


その手を掴もうとした瞬間かなり鋭い視線を感じ、結局握る事もないまま俺達は教室を後にした。

⏰:09/02/24 17:46 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#372 [ちか]
「「おかえりなさいませ」」


やっぱりこう大人数から一度に言われると緊張するなあ…

なんて事を考えながら恭弥の斜め後ろをちまちまとついていく。


俺の部屋の前に着いたところで、

「じゃ、また夕食の時にね。」

と、それだけ言って優里とどこかへ言ってしまった。

⏰:09/02/24 18:02 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#373 [ちか]
俺はベッドに倒れるように身をなげて、枕に顔を埋めた。


「あー‥‥なんだよ、もう…っ」


独り言は虚しく室内に響くだけ。

⏰:09/02/24 18:06 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#374 [ちか]
どうしようもない苛立ちが俺を苦しめる。



なんか独り占めされてるみたいで、むかつく…


馬鹿みたいだよな。



「はぁ…」

⏰:09/02/24 18:48 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#375 [ちか]
それからどれくらい経っただろうか。


「冥様、食事の用意が出来ました。」


コンコンと言うノック音と共にドア越しでメイドにそう言われて、俺はムクリとベッドから起き上がった。


1人とぼとぼといつもの部屋へと歩いていく。


中に入ると既に恭弥と優里の姿があった。

⏰:09/02/24 20:28 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#376 [ちか]
おかしいな…


ただ2人が先に居ただけなのに、それだけで食欲が無くなる。


「…冥?どうしたの?」


心配そうに俺を見つめてくれてるのに、それさえも今は俺の胸をギュッと締め付けた。

⏰:09/02/24 20:36 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#377 [ちか]
「俺‥‥‥もういらない」

「え、冥?」

「ごちそーさま…っ」


俺はそれだけ言って、俯いたまま早足でそこから立ち去った。

「うっ‥‥──グスン‥‥」

部屋に入ると同時に俺は崩れるように座り込んだ。

⏰:09/02/24 21:39 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#378 [urahanai]
>>250-500

⏰:09/02/24 21:58 📱:SH904i 🆔:SEuN3xmc


#379 [ちか]
頬を伝う幾つもの水滴。


「なんで涙なんか…──」


拭っても拭ってもソレは止まらない。


涙の音だけが広い部屋に寂しく響いた。

⏰:09/02/24 22:00 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#380 [ちか]
>>378
└→urahanaiさま*

アンカーありがとうございます><★

⏰:09/02/24 23:12 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#381 [ちか]
コンコン..

「───‥‥‥冥?」


その声に俺の身体はビクンと跳ねた。


「なっなに‥‥?」


俺は涙が止まらない目をごしごしと擦りながら平然を装う。


「入るよ?」

!!!!!

「そ、それはだめ‥‥──っ」


そう言って鍵を閉めようとしたが遅かった。

⏰:09/02/24 23:17 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#382 [ちか]
あと一歩のところでドアは開き、目に超至近距離で恭弥の姿が飛び込んできた。


「冥、泣いてたの…?!」

恭弥は驚いたような表情(カオ)で俺の頬に触れた。

「ち、ちがっ!!アクビしてただけっ!!!」



我ながら、なんて苦しい言い訳なんだろう。

⏰:09/02/24 23:35 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#383 [ちか]
「なんで僕に嘘つくの?」


嘘をつかれたのが余程気にくわなかったのか、恭弥は眉間にシワをよせ、俺の顎をクイッと上にあげた。

その顔の距離に俺は思わず赤面する。


「僕なにかした?」


俺はその問いに何度も大きく横に顔を振った。

⏰:09/02/25 18:21 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#384 [ちか]
「じゃあなんで泣いてるの?なにかされた…?」

俺は何も言わず俯いて顔を横に振るだけ。


『じゃあなんで
   泣いてるの?』



答えられる筈なかった。

だって‥‥―――、

⏰:09/02/25 18:27 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#385 [ちか]
だって、


この涙は俺のわがままで


こんな子供みたいな事言ったら嫌われるかも知れない。‥‥―――


そう思うと口に出す事なんて出来なかった。

⏰:09/02/25 18:28 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#386 [ちか]
「なにか言ってくれないと分からないんだけど。」

「‥‥‥‥‥。」

俺は必死に涙の言い訳を考えていた。

暫く2人の間に続く沈黙が重たい。
考えても考えても良い言い訳は浮かばなかった。



「冥僕のこと嫌いなの?」

⏰:09/02/25 18:37 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#387 [ちか]
「ち、違う‥‥―っ!!!!」


俺は咄嗟に俯いていた顔をあげて叫んだ。
恭弥の服の裾は俺の手に握られてクシャクシャになっていた。


恭弥はそんな俺を見てニッと悪戯っぽく笑った。


「やっと喋った。」

⏰:09/02/25 18:41 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#388 [ちか]
「…っ!!!!ず、ずるい!!」

「何が?」

さらに恭弥の顔は悪戯な笑みを浮かべる。

「き、嫌いとか聞いてくるな…っ!!!///」

「なんで?」



『なんで』って‥‥‥

そんなの言えるワケないじゃん!!!!

⏰:09/02/25 18:45 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#389 [ちか]
見下ろされてるのがまた悔しさを倍にする。

俺は余裕の笑みを浮かべる恭弥をキッと睨んだ。


「あはは、怒らないでよ。ね?」


恭弥はそう言って俺の目線に合わせるように少し腰を低くしてにっこり笑った。

⏰:09/02/25 18:53 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#390 [ちか]
俺はこの笑顔に弱いんだ



この顔を前にすると、つい素直になってしまう。


この顔を俺だけのものにしたいとさえ思ってしまう。

「‥‥‥‥ないで‥――」

「え?」

⏰:09/02/25 18:59 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#391 [ちか]
「………しないでっ//」

「え、なにをしないの?」


きょとんとした顔の恭弥を見て俺は痺れをきらした



「だからっ‥‥‥!!!!///
抱きしめたり、頭撫でたり…そう言うの俺以外にしないでっ!!!!////」

⏰:09/02/25 20:42 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#392 [ちか]
言葉にした瞬間、顔から火が出そうだった。

勢いで言っちゃったけど、あんなガキみたいな事…


今恭弥はどんな顔をしてるんだろう…?

こんな俺のわがままに呆れちゃったかな‥‥?


俺は返ってくる恭弥の反応が怖くて俯いた。

⏰:09/02/25 20:50 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#393 [ちか]
そんな俺をふわりと包む優しい匂い。


気づけば俺は恭弥の腕の中にすっぽりとおさまっていた。


「きょ…おや…?」


その腕の力はだんだん強くなっていく。

⏰:09/02/25 21:46 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#394 [ちか]
あまりのその強さに少し苦しくなった。

「ちょっ…恭弥、苦し‥‥いッ?!!///」

突然唇を重ねられ、俺は目を見開いた。


その濃厚なキスに俺は全神経を支配されていく。

⏰:09/02/26 19:21 📱:P906i 🆔:rMREzRHg


#395 [ちか]
舌が俺を犯していく。

その甘さに俺はいつの間にか求めるように恭弥に抱きついていた。

「んっ‥‥‥ハァ…ッ///」

離された唇に熱が残る。



「こんな事するのは冥だけだよ?」

見上げれば、そう言って笑う恭弥が居た。

⏰:09/02/26 21:18 📱:P906i 🆔:rMREzRHg


#396 [ちか]
その笑顔に今にも悩殺されそうだ。
身体が一気に熱を帯びていく。


「ほんと可愛い。」


そう言ってまた俺をギュッと抱きしめる。

その暖かさに俺の言い表せない不安感は溶かされていくようだった。

⏰:09/02/26 21:28 📱:P906i 🆔:rMREzRHg


#397 [ちか]
恭弥の腕の中はなぜかすごく安心した。

今この時は恭弥が俺だけのもののように感じて。


俺はまるで子供のように恭弥に抱きついた。

「あれ、珍しいね。冥が甘えてくるなんて。」

「‥‥‥‥うるさい///」

俺は照れ隠しに減らず口をたたく。

⏰:09/02/26 21:37 📱:P906i 🆔:rMREzRHg


#398 [ちか]
そんな俺に恭弥はまるで子供をあやすように頭を撫でた。


「‥‥‥‥‥‥子供扱いするなっ///」

「クスッ嬉しいくせに?」







完全に見透かされてる…

⏰:09/02/26 22:37 📱:P906i 🆔:rMREzRHg


#399 [ちか]
「て言うか冥、優里のせいで機嫌悪かったの?」

頭上で囁かれる声に俺は間を空けてコクンと頷いた。

「クスッ、でも弟だよ?」


そんなの分かってる。
分かってるけど‥‥

「なんか嫌だったんだもん…。」

俺ってこんなに独占欲強かったっけ…。

恭弥が俺だけのものじゃないのが嫌だったんだ。
ただそれだけだった。

⏰:09/02/27 17:15 📱:P906i 🆔:MvsE.BMU


#400 [ちか]
「ねえ、そう言うのなんて言うか知ってる?」

急に声のトーンが変わって、俺は恭弥の胸に埋めていた顔をあげた。

その時‥‥―――


「“ヤキモチ”って言うんだよ…?」

「――…ひゃあっ!!///」


突然甘い声と共に耳を甘噛みされて俺は熱っぽい声をあげた。

⏰:09/02/27 17:26 📱:P906i 🆔:MvsE.BMU


#401 [ちか]
恭弥はそんな俺を見て怪しく微笑えむと、ひょいっと俺をお姫さまだっこで抱き上げベッドへと足を運んだ。


「なにすんのっ!!//降ろせってばっ///」

「クスッ何してほしい?」

その微笑と甘い声に何も言えなくなる。

ベッドに着いたところで、少し乱暴に俺をベッドに寝かせた。

⏰:09/02/27 19:43 📱:P906i 🆔:MvsE.BMU


#402 [ちか]
ドサッと言う音を立ててベッドに落ちた弾みで俺は一瞬視界を遮られた。

そして再び目を開いた時、目の前には美しく整った恭弥の真顔があった。


「今日は二度とヤキモチ妬けないくらい愛してあげる。」


耳元で囁かれる甘い声に背筋がゾクッとした。
と同時に、全身の神経を捕まえられたような、熱いものを唇に感じた。

⏰:09/02/27 19:56 📱:P906i 🆔:MvsE.BMU


#403 [ちか]
歯列をなぞられ、絡められる舌に息は浅く荒くなる。

「んン……きょ・・ハァ//…やぁ///」


途切れ途切れで名前を呼ぶ俺に答えるように、それはさらに深い口づけになる。

やがて重なった唇は首筋へと落ちていき、生暖かい感触がそこをなぞった。

⏰:09/02/27 23:36 📱:P906i 🆔:MvsE.BMU


#404 [我輩は匿名である]
>>1-100


>>101-200


>>201-300


>>301-400


>401-500

⏰:09/02/28 00:00 📱:F703i 🆔:1FXOM4gs


#405 [我輩は匿名である]
>>1-50
>>51-100
>>101-150
>>151-200
>>201-250
>>251-300
>>301-350
>>351-400
>>401-450
>>451-500

失礼しました(;_;)

⏰:09/02/28 20:37 📱:W61P 🆔:bKdRHoUI


#406 [ちか]
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
>>404
└→我輩は匿名さま*
>>405
└→我輩は匿名さま*

お二人ともアンカーありがとうございます*´ω`
おかげで見やすくなりました★
もしよければ、感想板にも遊びにきてくださいね*

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

⏰:09/02/28 21:00 📱:P906i 🆔:YNn.uqVY


#407 [ちか]
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
>>406
URLミスです><
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

⏰:09/02/28 21:06 📱:P906i 🆔:YNn.uqVY


#408 [ちか]
>>403

そのいやらしい舌遣いに息も絶え絶えになる。
いつも以上にそれは激しく、俺に快楽を与えた。

「冥、息あがりすぎじゃない?そんなに気持ちいいの…?」

「あっ…ん‥//ちが…ハァッ//」

「素直になりなよ。」

「あぁッはぁ…ン!!///」

首筋を這う舌にばかりに気をとられていた俺は、急に突起を指で掴まれ、情けない声をあげてしまった。

⏰:09/02/28 22:26 📱:P906i 🆔:YNn.uqVY


#409 [ちか]
「こんなにたたせて‥‥
クスッ‥冥、淫乱。」

その甘ったるい声が俺の神経をさらにを刺激する

「う…ハァっるさい…っ!!//」

強がってみるけど、本当は恭弥の愛撫に悔しいくらい感じてる。

⏰:09/02/28 22:37 📱:P906i 🆔:YNn.uqVY


#410 [ちか]
恭弥の美しく細長い指が俺のきわどい部分をなぞる。

その焦らすような動きに、俺はさらなる刺激求め恭弥の服を強く握った。

「言ってる事とやってる事…違うよ?クスッ」

そう言って俺の突起周辺を円を描くように指でなぞった。
それに伴って俺の喘ぎ声は増していく。

⏰:09/03/01 20:25 📱:P906i 🆔:Mt3qTZ3U


#411 [ちか]
シャツ越しから俺の突起を舌と指で弄ぶ恭弥。

「やっぱりこれ・・・邪魔だね。」

「えっ・・・あぁンっ!!!///」


いきなりシャツを剥ぎ取られ、露になった突起を甘噛みされた俺の喘ぎ声は部屋中に響いた。

そんな俺を上目遣いで見つめる恭弥の顔はなんとも妖艶だった。

⏰:09/03/01 21:03 📱:P906i 🆔:Mt3qTZ3U


#412 [ちか]
「やっんあッッ!!///はぁッ//」

吸い上げられた瞬間、俺の全身を快感が走った。

そして、下の方が一気に熱を帯びてゆくのをひしひしと感じた。


空いていた左手が徐々に下へ下へと降りていき、俺の太ももをいやらしい手つきで撫でる。

⏰:09/03/01 21:16 📱:P906i 🆔:Mt3qTZ3U


#413 [ちか]
しかしその手はきわどい部分を撫でるだけで、俺のモノにはなかなか触れようとしない。


触れてほしい・・・!
もっと…もっと…―っ!


本能が叫ぶ。
最早俺に理性はなかった

あるのは恭弥に触れてほしいと言う、『欲』だけ

⏰:09/03/01 21:29 📱:P906i 🆔:Mt3qTZ3U


#414 [ちか]
そんな俺を知って、恭弥はその手の動きをピタリと止めた。


「‥‥ハァハァ‥‥っ?///」


あがった息を整えながら、視線を恭弥へと移す

その怪しげな笑みは俺の目を離さなかった。

⏰:09/03/01 21:35 📱:P906i 🆔:Mt3qTZ3U


#415 [ちか]
「ねえ・・・冥・・・?」

「んんッ‥!!///」


囁かれるその吐息に全身がゾクリと疼く。



「次はどうしてほしい?」

核心をつく質問だった。

⏰:09/03/01 21:39 📱:P906i 🆔:Mt3qTZ3U


#416 [我輩は匿名である]
>>01-400

⏰:09/03/01 21:43 📱:F904i 🆔:MzEalmas


#417 [ちか]
>>416
└→我輩は匿名さま*

アンカーありがとうございます><!

⏰:09/03/01 21:48 📱:P906i 🆔:Mt3qTZ3U


#418 [ちか]
>>415

なんてイジワルなんだろう。


知ってるくせに‥
俺が何を求めてるか、
本当は分かってるくせに・・・――っ!!!///


俺は下唇を噛み締めて、
残っているわずかなプライドと溢れ出る欲とで闘っていた。

⏰:09/03/01 21:54 📱:P906i 🆔:Mt3qTZ3U


#419 [我輩は匿名である]
>>350-450

⏰:09/03/01 22:05 📱:F904i 🆔:MzEalmas


#420 [ちか]
言ってしまえば、求めていた快楽が手に入る。


だけど、それでは恭弥の思うツボだ。
それはそれでむかつく…




俺は頭の中で必死に欲望との格闘を繰り返していた。

⏰:09/03/01 22:11 📱:P906i 🆔:Mt3qTZ3U


#421 [ちか]
俺は口をもごつかせながら、なぞられる首筋にピクピクと反応を示す。

その指使いはまるで俺の答えを焦らすようだった


「ねえ、どうしてほしいの…?」

「んン‥やぁ‥っ///」

「冥が言わなきゃ分かんないよ‥‥?」

⏰:09/03/01 22:27 📱:P906i 🆔:Mt3qTZ3U


#422 [ちか]
そんな瞳(メ)で見ないで


触レテホシイ‥


そんな声で囁かないで


モット‥
モット触レテホシイ‥!!


 

⏰:09/03/02 16:24 📱:P906i 🆔:66XBzZAM


#423 [ちか]
「……れ……しい…ッ///」



「ん?聞こえないよ?」



「――‥‥っもっと触れてほしい…ッ////」


そう言った瞬間、俺は恥ずかしさのあまり両手で顔を隠した。

⏰:09/03/02 16:31 📱:P906i 🆔:66XBzZAM


#424 [ちか]
「よく言えたね。
良い子にはご褒美あげないと。」


そう言って恭弥は優しく微笑み、俺の瞼(マブタ)にキスを落とした。


恭弥にその一瞬触れられただけで、俺の全身は一気に熱を帯びた。

⏰:09/03/02 16:47 📱:P906i 🆔:66XBzZAM


#425 [ちか]
と、その瞬間俺は下着ごと履いていた物を剥ぎ取られた。


「こんなに我慢してたなら、たっぷりご褒美あげなきゃ…ね?」


堅く起ち上がった俺のモノは、急に空気にさらされてさらに大きさを増し、愛液を垂らしていた。

⏰:09/03/02 17:34 📱:P906i 🆔:66XBzZAM


#426 [ちか]
自分のモノがこんなになっていたなんて。
恥ずかしさは頂点に達し、俺の瞳は涙目になった


「どんどん溢れてくるよ?
クスッ…興奮してるの?」

垂れていく愛液を絡めとるように、指先で裏腹をなぞる。

「いゃあッ///ダ…ハァッ//メぇっ///」

俺はその快感に身悶えしながら、さらに服を強く握った。

⏰:09/03/02 17:41 📱:P906i 🆔:66XBzZAM


#427 [ちか]
>>425
>>426
『愛液』じゃなく
『我慢汁』です(・・`)
すいません;

⏰:09/03/02 18:22 📱:P906i 🆔:66XBzZAM


#428 [ちか]
「クスッ何がダメなの?
腰浮いてるよ・・・?」

全身がカッと熱くなる


「クス‥嘘ツキにはお仕置きもしなきゃ。」


「?!?!////ッッ!!!///」


M字にされ大きく開いた脚に、突き出されたモノ
その淫乱な体勢は恥辱的だった。

⏰:09/03/02 18:27 📱:P906i 🆔:66XBzZAM


#429 [ちか]
必死に脚を閉じようとするが、恭弥の力は思ったより強く、脚はさらに開くばかりだ。

「や…めっ…!!んんッ//」

恭弥は俺の股間に顔を埋めた。

「さっきより大きくなってない?」

かかる吐息がソレを刺激して、俺は熱っぽい声をあげた。

⏰:09/03/02 18:34 📱:P906i 🆔:66XBzZAM


#430 [ちか]
「あぁッハァ…ンッ//!!」


恭弥はわざとらしくクチュクチュと音をたてながら俺のモノに舌を這わせる。


それが激しさを増すごとに、俺は真っ赤になった顔を両手で覆いながら大きく喘いだ。

⏰:09/03/02 18:41 📱:P906i 🆔:66XBzZAM


#431 [我輩は匿名である]
>>250-400

⏰:09/03/02 19:51 📱:D705i 🆔:x3zUIMxQ


#432 [我輩は匿名である]
>>400-450

⏰:09/03/02 19:59 📱:D705i 🆔:x3zUIMxQ


#433 []
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500

⏰:09/03/02 20:29 📱:F906i 🆔:Yf9NeB8k


#434 [ちか]
>>431-432
└→我輩は匿名さま*
>>>433
└→さま*

アンカーありがとうございます
もし良ければ、これからも読んでくださいね♪

⏰:09/03/03 00:20 📱:P906i 🆔:56s/g9BM


#435 [ちか]
>>430

「あぁッ!!///だ…め//ハァッ‥イ…っイっちゃう‥―!!!///」


恭弥が先端を甘噛みした瞬間、俺はあっけなくイッた。

俺はその脈打つモノから愛液を恭弥の口内に放つ。

それをゴクリと飲み込んで、妖艶な笑みを俺に向けた。

恭弥の服には、入りきらずに口から溢れた愛液がべったりとついていた。

⏰:09/03/03 00:27 📱:P906i 🆔:56s/g9BM


#436 [ちか]
そのヤらしい光景に俺はあがる息を整えながら目をそらした。

「ご、ごめん…ハァ!!///」

「なんで謝るの?」

「だって…ハァ…服‥//」

俺が汚してしまったから
俺の愛液で。

「いいよ、こんなの。」

そう言って、恭弥は服についた愛液を指で絡めとりなめた。

⏰:09/03/03 08:32 📱:P906i 🆔:56s/g9BM


#437 [ちか]
「どうせ脱ぐしね。」

恭弥は目を細め微笑むと、着ていたシャツをスルリと脱いでベッドの外に落とした。

引き締まった上半身は、見とれてしまう程に美しく、俺の身体はそれだけでまた火照っていった。

「クスッ冥は元気だね。」

俺は言葉の意味が分からず、虚ろな瞳を恭弥の顔へ向けた。

⏰:09/03/03 16:47 📱:P906i 🆔:56s/g9BM


#438 [ちか]
しかし、恭弥の一言で俺はその意味を知り、同時に自分がどんなに淫乱なのかを思い知るハメになった。


「もしかして僕の身体に欲情してるの?」


怪しい笑みを浮かべる恭弥の視線を辿ってみると、そこにはさっき果てたばかりとは思えない程、大きく起ち上がったモノがあった。

⏰:09/03/03 17:05 📱:P906i 🆔:56s/g9BM


#439 [ちか]
俺の全身を熱が走る。


その恥ずかしさのあまりまた顔を隠そうとしたが、今度は両手の自由を奪われ、そうはいかなかった。

「顔隠したら、可愛い顔見れないでしょ?」

耳を甘噛みされまた熱っぽく喘ぐ俺。
そんな俺を愉しむように恭弥は微笑んで、自分の身体を俺の脚の間に滑り込ませた。

⏰:09/03/03 17:19 📱:P906i 🆔:56s/g9BM


#440 [ちか]
「離して‥‥っ!!///」

「そう言われると、余計離したくなくなるんだよね。」

吐息が俺のきわどい部分にかかり俺は身体を反らせる。

恭弥は俺の力が抜けるその一瞬を見計らって俺の両手首を自分の片手にまとめた。

⏰:09/03/03 17:42 📱:P906i 🆔:56s/g9BM


#441 [ちか]
そして空いた左手は俺の股間へとのびてゆく。

恭弥の息遣いを感じ俺のモノはさらに堅さを増した。
一度(ヒトタビ)恭弥が裏腹を舐めあげると、俺は大きな声を部屋中に響かせた。

袋を左手で、モノを舌で弄ばれている俺は今にも頂点を迎えそうで、自然に腰が浮いていた。

⏰:09/03/03 18:03 📱:P906i 🆔:56s/g9BM


#442 [ちか]
が、再びその舌も手も頂点を迎える直前で止まった。


「一回目はご褒美だけど、
二回目はお仕置きだからね。簡単にはイカせてあげない。」


そう言って悪戯な笑みを溢す恭弥。

俺の身体は快楽を求め、疼いていた。

⏰:09/03/03 18:37 📱:P906i 🆔:56s/g9BM


#443 [ちか]
暫く恭弥は俯いた後、何かを企んだような笑みを俺に向けた。

「ちょ、なっ…にす…ひゃあっ!!///」

急に四つん這いにされた俺はアナルを舐められ、そのなんとも言えない快感に情けない声をあげた。


「クスッ…大きな声出しちゃダメだよ?ここ、優里の部屋と結構近いし。」

⏰:09/03/03 19:49 📱:P906i 🆔:56s/g9BM


#444 [ちか]
その言葉に俺はビクリと身体を揺らす。


優里の部屋と近いって…

そんなのもっと早く言ってよ!!!///

今までのだって聞こえてるかも知れないじゃん!!


恭弥は俺が動揺を隠しきれずに戸惑っているのを愉しんでいるようだった。

⏰:09/03/04 13:41 📱:P906i 🆔:BHjJ7gQc


#445 [ちか]
“声を出すな”と言う言葉とは裏腹に、恭弥の舌は徐々に激しくなってゆく。


俺はその快感に、出そうになる声を押し殺しながらシーツを強く握った。

それでも時々こぼれてしまう吐息混じりの喘ぎ声

俺の目には我慢する辛さと羞恥の心から涙さえも滲んだ。

⏰:09/03/04 14:04 📱:P906i 🆔:BHjJ7gQc


#446 [ちか]
そんな俺を察してか、恭弥の動きは止まった。

「ごめん今のウソ。」

「え…?」

「優里の部屋は上の階。」


え、何どう言うこと…?


「冥が可愛いかったから、意地悪したくなった。ごめんね?」

恭弥はそう言って後ろから俺を抱き締めた。

⏰:09/03/04 16:40 📱:P906i 🆔:BHjJ7gQc


#447 [ちか]
俺の鼓動はどんどん早くなっていく。


急に態度変えられると
調子狂うんだよ、馬鹿‥



でもやられてばっかりは
むかつく。
‥‥仕返ししてやる。


「冥?怒って‥‥、!?//」

⏰:09/03/04 16:48 📱:P906i 🆔:BHjJ7gQc


#448 [ちか]
俺は振り返ってキスをした。


突然の事に、いつもの余裕な表情は消え、目を見開いていた。


クチュっと小さく音が鳴り、俺は唇を離した。


「仕返し‥‥!!///」

自分でやっておきながら、俺の頬は紅く染まっていた。

⏰:09/03/04 16:55 📱:P906i 🆔:BHjJ7gQc


#449 [ちか]
心なしか、恭弥の頬も紅く染まって見えた。


やってやった。
ついにコイツのポーカーフェイスを剥がせた‥!!


俺は心の中でガッツポーズした。


が、コレがまずかった。

⏰:09/03/04 17:00 📱:P906i 🆔:BHjJ7gQc


#450 [ちか]
何かがプツンと言う音を立てて切れたようだった


「‥‥冥が悪いんだからね。」

「えっ…んんッ!!///」




あぁ。そうか。
この音は、恭弥の理性が
切れた音だったんだ。

⏰:09/03/04 17:03 📱:P906i 🆔:BHjJ7gQc


#451 [アリス]
この小説好きです
書いて下さい
∪^*)

⏰:09/03/06 17:29 📱:N702iD 🆔:Su.0FkYY


#452 [ちか]
>>451
└→アリスさま*

そう言ってもらえて、
ほんまに嬉しいです
ありがとうございます!
今日からまた更新再開
するので、よかったら
読んでくださいね´ω`*

⏰:09/03/07 14:47 📱:P906i 🆔:oir91KIU


#453 [ちか]
>>450

突然の熱い口づけに全身が犯されていく。
強引なソレに、息も十分に出来ない。

やがて厭らしい音をたてながら離された唇にはにわかに熱が残っていた。

しかしそんな干渉に浸る間もなく、俺は無理矢理また四つん這いの体勢を強いられた。

⏰:09/03/07 14:58 📱:P906i 🆔:oir91KIU


#454 [ちか]
後ろでカチャリとベルトが外れる音が鳴った。

「いっ‥やぁッハァ!!//んッ//」

そのすぐ後に全身を駆け巡る痛みと快楽。

恭弥の舌によって十分に濡らされた俺は多少の痛みを伴いながらも、すんなりと恭弥の堅くなったモノを受け入れた。

⏰:09/03/07 15:09 📱:P906i 🆔:oir91KIU


#455 [ちか]
容赦なく押し寄せる快楽の波。

だんだんと早くなる恭弥の動きに合わせるように、俺は喘ぎ、恭弥を締め付ける。



時々漏れる恭弥の短い声が、その締め付けの強さを表していた。

⏰:09/03/07 15:17 📱:P906i 🆔:oir91KIU


#456 [ちか]
「あっ‥ん‥ッ!!!///もうハァッ‥ダ…メぇ!!///」

「一緒にイクよ‥‥?」


強く突き上げられた瞬間、頭の中が真っ白になって快楽の波が強く押し寄せた俺はビクリと身体を跳ねさせた。


身体中にドクドクと広がっていく、熱い液体。

一気に全身の力が抜けていく。

⏰:09/03/07 16:06 📱:P906i 🆔:oir91KIU


#457 [ちか]
乱れる呼吸の音が広い部屋に響く。


「冥‥‥。」

抱き寄せられた俺を甘い香りが包み込む。


虚ろな瞳を上に向けると、そこには優しい微笑みがある。

⏰:09/03/07 16:36 📱:P906i 🆔:oir91KIU


#458 [ちか]
「僕はお前以外愛しいと思わない。だからヤキモチなんか妬く必要ないんだよ。
冥はただ僕に愛されてればいい。」


そう言って優しく俺の髪を撫でる。


全身にその言葉が染み渡って、俺の胸は温かくなった。

と同時にその安心感からか、極度の睡魔が俺を襲った。

⏰:09/03/07 16:45 📱:P906i 🆔:oir91KIU


#459 [ちか]
「きょ…おや‥――」

「ん?」

恭弥の服を握ったまま寝息をたてる俺。

「クスッ、寝言か。」


無防備な俺の寝顔に恭弥の顔も自然とほころんだ

⏰:09/03/07 16:58 📱:P906i 🆔:oir91KIU


#460 [れい]
>>350-500

気になる・・・

⏰:09/03/07 17:28 📱:N905imyu 🆔:LhsZsC.g


#461 [ちか]
>>460
└→れいさま*

ありがとうございます♪
アンカーまで><
もしよかったら、感想板
にも来てくださいね^^♪

⏰:09/03/07 20:06 📱:P906i 🆔:oir91KIU


#462 [我輩は匿名である]
>>459

恭弥は冥の白く透き通るような肌にそっとシーツをかける。

強く握れば壊れてしまいそうに細い腕や肩。
その全てが愛しくなる。

「‥‥‥ヤキモチ妬きたいのは僕の方なんだけど。」


そう言って苦笑すると、
恭弥も深い眠りについた

⏰:09/03/07 20:17 📱:P906i 🆔:oir91KIU


#463 [ちか]
次の日、俺はいつもの甘い香りで目を醒ました。

正確には起きた時、あの後寝てしまったんだと言う事に気づいたんだけど。


寝ぼけ眼を開けると、目の前に飛び込んでくる恭弥の寝顔。

いつ見ても綺麗だと思わせるその顔に、俺は頬を染めた。

⏰:09/03/07 21:26 📱:P906i 🆔:oir91KIU


#464 [ちか]
心臓がドクンドクンと強く脈を打つ。


長いまつげ。

高くて形のいい鼻。

薄くて魅力的な唇。



やばい。
‥‥‥‥‥全部好き。

⏰:09/03/07 22:07 📱:P906i 🆔:oir91KIU


#465 [ちか]
みるみるうちに俺の顔は赤くなっていく。



だって寝顔って‥‥
反則だろ‥‥‥‥///


触れたいと言う欲が俺を支配する。

⏰:09/03/07 22:25 📱:P906i 🆔:oir91KIU


#466 [ちか]
自然と顔が恭弥に近づいていく。



紅い唇が目の前に。


目の前に‥‥‥‥。


 

⏰:09/03/07 22:29 📱:P906i 🆔:oir91KIU


#467 [ちか]
「んー‥‥、」


恭弥の声で我に返った俺は身体をビクリと跳ねさせた。


俺今何しようと‥‥っ//




うわ――――っ!!///
(↑心の叫び。)
今の無し!!無しね?!?!
わ、忘れて‥‥///

⏰:09/03/07 22:37 📱:P906i 🆔:oir91KIU


#468 [ちか]
「ひっ‥‥!!?//」

ギュウっ


久しぶりの思考停止。


「んー。スー‥スー‥」


待って待って待って!!
俺今恭弥に抱き締められてます。
たぶんこの人寝ぼけてます‥‥。

⏰:09/03/07 22:44 📱:P906i 🆔:oir91KIU


#469 [ちか]
や、心臓がもたないんですけど!!///



俺は俺の身体を包むその腕を必死にほどこうとした。

しかし強さは増すばかり


俺の鼓動も速さを増すばかり‥‥‥。

⏰:09/03/07 23:29 📱:P906i 🆔:oir91KIU


#470 [ちか]
寝息がうなじらへんに当たる。


それが余計に俺の心拍数をあげていった。



た、頼むから離して‥
俺の身体がもたない‥‥

⏰:09/03/07 23:37 📱:P906i 🆔:oir91KIU


#471 [ちか]
「きょ、恭弥っ?//」


絞り出すような声で名前を呼ぶ。
頼むから起きてくれ!!!



「…んん‥あれ、冥…?」


や、やったあ!!!!!

でも吐息が‥‥首に…//

⏰:09/03/07 23:43 📱:P906i 🆔:oir91KIU


#472 [ちか]
「も、もう朝みたい!!//
起きよ?!?!」


一刻も早くこの体勢をどうにかしなくては。


「‥‥‥まだ眠い。スー‥」


えぇ?!?!
お前朝強いんじゃないの?!ねえ?!

⏰:09/03/07 23:52 📱:P906i 🆔:oir91KIU


#473 [ちか]
「ちょ、起きてっ!!///
遅刻したら生徒会長としてカッコ悪いんだろ?!?!」


「ん〜‥‥。」


プライドの高い恭弥にこの言葉は効いたようで、やっとの事で俺は締め付けられていた腕から解放された。


はぁ‥‥。

⏰:09/03/07 23:57 📱:P906i 🆔:oir91KIU


#474 [ちか]
まだ身体が火照ってる。


チラリと恭弥に目をやると、メイドの人が用意したと思われるシャツ(やっぱり新品)に腕を通していた。


って見とれてる場合じゃないし!!
俺も‥‥‥って。
そうだった。
俺今…服着てないんだった!!!!///


瞬時に俺はシーツを握って起き上がった上半身を隠した。

⏰:09/03/08 00:17 📱:P906i 🆔:tngQJOh2


#475 [ちか]
「クスッ今さらじゃない?
はい、コレ。」


そう言って投げ渡された衣類。


「だ、だって‥‥、」


やっぱり思い出すと、全身に熱が走る。

⏰:09/03/08 00:27 📱:P906i 🆔:tngQJOh2


#476 [ちか]
ブツブツと独り言を呟きながら俺もシャツに腕を通す。


「ま、そう言うとこも可愛いけどね。」

「ん・・//」


首筋にキスを落とされた
優しいキスを。

⏰:09/03/08 00:30 📱:P906i 🆔:tngQJOh2


#477 []
>>340-500

⏰:09/03/08 09:00 📱:SO905iCS 🆔:QZm/aZMg


#478 [ちか]
>>477
└→さま*

アンカーありがとうございます♪><

⏰:09/03/08 10:54 📱:P906i 🆔:tngQJOh2


#479 [ちか]
>>476

「じゃ、僕部屋でシャワー浴びてから行くね。またあとで。」


あっさりと離された首筋にキスの余韻を感じていると、恭弥はそう言って部屋から出ていった。


やっぱり広い部屋に1人は寂しくなる。

「‥‥俺もシャワー浴びよっと。」

そう言って俺は広いベッドから降りた。
やっぱり腰は少し痛むけど。

⏰:09/03/08 11:09 📱:P906i 🆔:tngQJOh2


#480 [ちか]
シャワーを浴び終わったあと、身なりを整えて1階に降りた。

すれ違うたびにメイドの人達に挨拶される。


この家、何人雇ってるんだろ?や、何十人か。
と思わず考えてしまうほどに多い。

そんな考えに耽っていると、いつの間にか部屋の前に着いていた。

⏰:09/03/08 12:24 📱:P906i 🆔:tngQJOh2


#481 [ちか]
既に席に着いている二人

恭弥の隣にはあの豹変野郎(優里)が俺を睨みつけながら座っていた。


「遅ぇんだよ、このノロマ。」

あー朝からコイツまじむかつく。

「優里。」

「‥‥‥‥。」

んで、相変わらずコイツは恭弥に弱いわけか。

⏰:09/03/08 15:55 📱:P906i 🆔:tngQJOh2


#482 [ちか]
いつもよりやけに静かだ


時々なる食器の音がやたら大きく感じる。


うん、なんか豹変野郎に見張られてる気がして落ち着かないんだよな。


飯も不味くなる。
いや、上手いけどさ。

なんか食欲なくなるんだよ。

⏰:09/03/08 16:07 📱:P906i 🆔:tngQJOh2


#483 [ちか]
車の中でもその静かささは同じだった。



恭弥 優里 俺
の順番で俺達は位置づいている。


触れることも喋ることも
出来ない。

誰かこの番犬並みの威圧を持つコイツをどうにかしてくれ‥‥。

⏰:09/03/08 16:19 📱:P906i 🆔:tngQJOh2


#484 [ちか]
>>483訂正

静かささ→×
静けさ→○

すいません><

⏰:09/03/08 16:20 📱:P906i 🆔:tngQJOh2


#485 [ちか]
>>482訂正

上手いけど→×
美味いけど→○

すいません

⏰:09/03/08 21:20 📱:P906i 🆔:tngQJOh2


#486 [ちか]
>>483

「じゃあまた放課後にね」

「…うん。」


会話をしたのはこれだけ

いつも以上に淡白だ


恭弥と別れた俺(達)は階段を上がり教室へと足を進める。

「なぁ、そろそろその目やめてくんない?」

背中に痛いくらいの視線を感じながら俺は言った

⏰:09/03/08 21:26 📱:P906i 🆔:tngQJOh2


#487 [ちか]
「あ゙ぁ?俺に指図すんじゃねえよ、この‥‥」

その時、

「あ、黒羽くん!おはよーっ♪」

下から声をかけてきた同じクラスの女子。

「おはよ!」

‥‥うん、爽やかな笑顔でそれに応えたのは優里

コイツ、二重人格か?

「ちげえよ、馬鹿野郎。」

⏰:09/03/08 22:10 📱:P906i 🆔:tngQJOh2


#488 [ちか]
なにコイツ人の心読め…

「全部口に出てんだよ。」

「あ、まじ?」

つい本音が。



どうやら女子は爽やかな笑顔に悩殺されて教室に走っていったらしく、いつの間にか階段には俺達2人だけになっていた。

⏰:09/03/08 22:16 📱:P906i 🆔:tngQJOh2


#489 [ちか]
「お前さあ、なんで俺の前だけそう豹変すんの?」

「あ゙?んな事お前に答える…「やっぱ二重人格「ちげえよっ!!!!!」


素早い反応…
コイツ猿並みだな。

「これは‥‥‥兄貴のためだ。」

⏰:09/03/08 22:30 📱:P906i 🆔:tngQJOh2


#490 [ちか]
「へ?」

兄貴って恭弥だよな?
なんで恭弥のため?

予想外の理由に俺は思わず拍子抜けした声を漏らした。

「俺が…こんな性格だって知れたら……兄貴も立場悪くするかも知れねーだろーが。」

そう言って優里は照れ隠しするように頭をかいた

⏰:09/03/08 22:58 📱:P906i 🆔:tngQJOh2


#491 [ちか]
「‥‥‥‥‥‥ぷっ、あははは!!!」

「な、なにが可笑しいんだよ?!?!笑うなっ!!//」

「や、だって‥‥ぷっ」

「笑うなっつってんだろーが!!!!」


だって‥だってさあ、


「お、お前筋金入りのブラコンじゃん、あはは!!」

⏰:09/03/08 23:10 📱:P906i 🆔:tngQJOh2


#492 [ちか]
「はぁ?!?!」

「だって、兄貴の立場のためにわざわざ性格変えて…、しかも昨日抱きついてたし…どう考えてもブラコンじゃん!!」

「意味わかんねーし!!
俺はただ兄貴が好きなだけだ!!(誤解を招く言動)」

「それをブラコンっつーんだよ!!」

「うるせー馬鹿!!!!」


繰り広げられる大喧嘩。
この時、幸い誰もここら辺を通ってなかったからコイツのキャラは守られたものの、普通じゃこの時点でバレバレだったと思う。

⏰:09/03/08 23:31 📱:P906i 🆔:tngQJOh2


#493 [ちか]
しかし一歩教室に入ればコイツはやっぱり豹変した。


俺に向けた刺々しい表情は何処へ行ったのやら、爽やかで屈託の無い笑顔でクラスに溶けこんでいく。


いつの間にか俺は放ったらかしだ。

⏰:09/03/09 16:52 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#494 [ちか]
「おっ、転校生もう馴染んでんじゃん。」

「あ、透。」

俺の頭に手を乗せて向けられれる優しい笑顔。

「…俺はこっちの笑顔の方が好きだな。」

「は?」

「いや、こっちの話!」

何故だろう。
アイツの作る笑顔が、寂しげに見えるのは。

⏰:09/03/09 17:55 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#495 [ちか]
しかし、遺伝子と言うのは恐いものだ。

さすが恭弥の弟、とでも言おうか。


1限目から5限目の授業

優里に答えられない問題は無かった。
金髪にピアスと言う、どう見ても馬鹿そうな見た目とは裏腹にアイツはなんでも出来る、言わば天才。

⏰:09/03/09 18:04 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#496 [ちか]
6限目の体育でもその天才ぶりは発揮され、俺を筆頭にクラスの男子全員がアイツの運動神経の良さに脱帽した。


アレか?
転校生=イケメンで頭良くて運動神経抜群
って言うマンガにでも出てきそうな王子様キャラを、アイツは格率しようとしてるのか?

でも俺は知っている。
コイツが究極のブラコンだと言うことを‥‥‥

⏰:09/03/09 18:13 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#497 [ちか]
「はあぁ?!
2人で帰れ?!?!」

俺達以外誰も居ない放課後の教室に、優里の声が響き渡る。

「いちいちデカい声出すなよ、うるさいなあ。」

「なっなんで、兄貴は?!」

「委員会と資料がどうのこうのって。
遅くなりそうだから、先に2人で帰れってさ。」

⏰:09/03/09 18:19 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#498 [ちか]
「あからさまに嫌な顔すんのやめろよな。」

ブラコンにとって、兄貴も居ないのに俺と2人で帰ると言う事は相当な苦痛らしい。

「何が悲しくててめえなんかと帰らなきゃなんねーんだよ!!俺は1人で帰るからいい!!」

俺だって出来る事ならそうしたいっつーの。

ただアイツが‥‥―――

⏰:09/03/09 18:30 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#499 [ちか]
――――‥‥20分前


「え?!?!2人?!?!」

2人で帰ってくれと言われた時、案の定、俺も最強に嫌な顔を恭弥に向けた。

「ごめんね。委員会とその資料の整理で遅くなりそうなんだ。」

「えー…。」

⏰:09/03/09 18:35 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#500 [ちか]
「優里はひねくれてるけど、根はいい子なんだよ。口は悪いけど…仲良くしてやってよ。ね?」

恭弥はそう言って、眉を寄せて苦く微笑んだ。

なんでそんな顔するんだよ。
そんな顔されたら、俺…


「…………わかったよ…」

そう言うしか無いじゃんか。

⏰:09/03/09 18:43 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#501 [ちか]
そして今に至るワケだ。


さて、このブラコンをどうやって車に乗せようか

「俺は絶対てめえなんかと帰らねーからな!!!
てめえと帰るくらいなら、そこらで野宿する方がマシだ!!!!」

トランクにでもぶちこんでやろうか、この野郎。

⏰:09/03/09 18:50 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#502 [ちか]
「お前の大好きな兄貴に頼まれてんだよ。兄貴の頼みなのに聞けねーの?」


「………………………さっさと帰るぞノロマ!!!!」


ノロマノロマ言うな、このブラコン豹変野郎!!!

と、口に出してしまいそうだった言葉を飲み込んで俺も車に乗った。

⏰:09/03/09 19:29 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#503 [ちか]
張り詰めた沈黙は家までの道のりをより長く感じさせた。


やっとの事で黒羽邸に着いた俺(達)は、お互いその沈黙を保ったまま階段を上がり、部屋に向かった。


ん?

待て待て。
コイツの階はもう一つ上だろ?

⏰:09/03/09 19:56 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#504 [ちか]
「‥‥‥‥‥。」

「‥‥‥‥‥。」


おいおい。
部屋の前着いたんだけど


なんでお前はまだ俺の後ろに居るの?
なんで俺の部屋の前でお前も足止めてんだよ。

⏰:09/03/09 20:14 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#505 [ちか]
ガチャ‥

ドアノブの回る音が廊下に響いた。

「‥‥‥‥‥なんだよ。」

「別に。」

「ふーん。じゃ、俺部屋入るし、お前も‥‥」

そう言ってドアを閉めようとした時。

ガシッ

「なっなんだよ?!」

なんでドア掴むわけ?!

⏰:09/03/09 20:19 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#506 [ちか]
「べ、べつに?!?!」

「ならドア離せよっ!!!」

「無理っ!!!!」

「はぁ?!なんでだよ?!?!」

なに、なんのコイツ!!
ついに頭おかしくなった?!?!



「ひ、一人嫌なんだよ!!!」


‥‥‥‥‥‥は?

⏰:09/03/09 21:04 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#507 [ちか]
>>506訂正

なんのコイツ→○
なんなのコイツ→×

すいません><

⏰:09/03/09 21:06 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#508 [ちか]
がっちりと掴まれたドア


いつになく必死な顔



なに、お前、それ‥‥



「本気‥‥?」

⏰:09/03/09 21:15 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#509 [ちか]
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥わりぃかよ…。」


俯く優里。

唖然とした顔の俺。



「ぷっ、「笑うなっ!!!!//」

だって…
あんな偉そうな態度で
実は寂しがりとかさあ…
ギャ、ギャップが…ぷっ

⏰:09/03/09 21:27 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#510 [ちか]
「いいから入れろよノロマ!!!///」

「おわっ!!」

バタンっ!!


ブラコン寂しがり屋豹変野郎は強引なようです。
ぷっあはははは!!!!

「笑うなっつってんだろーがあ!!!!///」

⏰:09/03/09 21:38 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#511 [ちか]
俺は真っ赤な優里を見ながら必死で笑いをこらえた。

「お、お前さあ…そのギャップどうにかなんない?!」

「うるせえっ!!!///」

「いてっ!!!殴んなよ!!」

照れ隠しに暴力かよ。

⏰:09/03/09 21:52 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#512 [ちか]
頭を擦りながら言う俺をよそに、優里はドカッとソファーに腰かけた。


やっぱりその偉そうな態度とさっきの態度が一致しない。

あ、やべ笑い堪えられなくなってきたかも。

「だ、だいたい、なんでお前家に住んでんだよ!!!」


うん、それはいい質問だ。
でも簡単に言うと、お前の兄貴に半強制的に住まされてんだよ。

⏰:09/03/09 22:13 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#513 [ちか]
とは、さすがに言えない

「‥‥‥‥‥‥。」

なんて言おうか。

俺が言い訳を探していると、痺れを切らした優里は俺の言葉を聞く前に口を開いた。


「やっぱり、アレか。」


 

⏰:09/03/09 22:19 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#514 [ちか]
「お前…まさか気づいてたのか‥‥?」



恭弥と俺が“そう言う関係”だと言うことを。


「当たり前だろーが。」



ま、まじで‥‥‥?

⏰:09/03/09 22:28 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#515 [ちか]
言われて見れば、
昨日だって一つ屋根の下で“あんな事”してたワケだし…。



もしかして、恭弥の態度とか俺の態度見て気づいたのかも…。

家じゃ学校より気抜いてたし、関係がバレてもおかしくない…。

⏰:09/03/09 22:49 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#516 [ちか]
「ご、ごめん俺…っ「ウチの財産が目当てなんだろ」









はい?

⏰:09/03/09 22:51 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#517 [ちか]
「は?」

「とぼけんな。兄貴にどうやって取り入ったのかは知らねーけど、俺まで誤魔化せると思うなよ?」


いやいや。
誤魔化すもなにも…

俺は思ってもみなかった言葉にただ呆然とした顔で立ち尽くした。

「否定しねーとこを見ると図星みたいだな。」

⏰:09/03/09 22:57 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#518 [ちか]
「や、違うけど…」

「じゃあ説明してみろよ」

「‥‥‥‥‥。」


どう説明したらいい?
淡白で、それでいて複雑なこの関係を。


「言えねーじゃねえかよ」


悔しい。

⏰:09/03/09 23:14 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#519 [ちか]
「とにかく俺は兄貴を守る。お前なんかさっさとこの家から追い出してやるから覚悟しとけよ。」


ビシッと人差し指を俺に向けながら睨む瞳。


思わず怯んでしまい、何も言えなかった。

と、その時。

コンコン.

「冥?優里もそこに居るの?」

ノック音と恭弥の声。

⏰:09/03/09 23:18 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#520 [ちか]
ドアが薄く開くと、そこからひょっこりと出された恭弥の顔。

「あ、居た居た。」

優しい笑顔に、俺は表しようのない安心感を得た

「おかえり!」

後ろから放たれる明るい声色。

⏰:09/03/09 23:24 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#521 [ちか]
「ただいま。」

返される優しい笑顔。

この笑顔はみんなに平等?
分かってる。俺のモノじゃないんだよな…。

「兄貴、そっちの部屋行っていい?」

ニコニコと笑う優里。

⏰:09/03/09 23:30 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#522 [ちか]
「あ…ごめん、今から出掛けなきゃいけなくて…」

「えー…なんで?」

口を尖らす優里。

え、じゃあ俺またコイツと2人っきり?!
耐えられないって…

「ちょっとこの前の商談の続きがあってね。」


ん?商談?
て事は‥‥――!!

⏰:09/03/09 23:42 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#523 [ちか]
「お、俺も行く!!!」

「「え?」」

2人の視線が一気に集中する。

「挨拶も無いままバイト辞めちゃったし…荷物とかあるし‥‥‥だめ?」

俺は恐る恐る恭弥を見る

恭弥は暫く考えるような顔をしたあと、
「いいよ。」と、返事をくれた。

⏰:09/03/09 23:47 📱:P906i 🆔:QJ4p4rAQ


#524 [ちか]
「やったあ!!」

いい機械だ。
ちゃんと店長に挨拶して、お礼を言おう。

ついでにこのギャップの激しい奴とも離れられて好都合だ。

「俺も一緒に行く…っ!!」

喜ぶ俺とそれを見て微笑む恭弥の間を割って入るような声。

⏰:09/03/10 00:50 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#525 [ちか]
「優里、お前はダメだ。」

なんの躊躇もなく恭弥は優里を見据えてそう言った。

「なんでコイツは良くて俺はダメなんだよっ!!!!」

「それはお前が一番良く分かってるだろ?」

「でも…っ「優里。」

いつもは優しく慰めるように言う筈なのに、この時は違った。
優里の言葉を遮って、最後までOKを出さなかった

⏰:09/03/10 00:55 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#526 [ちか]
「兄貴の馬鹿…―っ!!!!」

吐き捨てるようにそう言って優里は部屋を飛び出していった。

部屋に流れ出す沈黙。

恭弥もそれをかき消すように、
「じゃあ、下で待ってるから。」
と微笑んでドアを閉めてしまった。


だけど、なんでそんな悲しそうに笑うんだろう…

⏰:09/03/10 14:45 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#527 [ちか]
下に降りていくと、黒いスーツを身に纏った恭弥が居た。


スラリとした身体つきによくに合っていて、つい見とれてしまった。



あの漆黒の夜を思い出して。

⏰:09/03/10 15:12 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#528 [ちか]
「冥?」

名前を呼ばれて、俺は我に返った。

「ほわ?!?!なに?!」

あー…また変な声出してしまった…


「クスッ、行こっか。」

笑われた事が少し恥ずかしくて、俺は小さく頷いた。

⏰:09/03/10 15:24 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#529 [ちか]
久しぶりにまたあの長いリムジンに乗った俺は、なぜか緊張して畏(カシコ)まってしまった。


「クスッ、なんで固くなってるの?」

「だって、なんか…」

いろいろ思い出すし…

恭弥は俯く俺を見て、ふふっと笑うと優しく頭を撫でた。

⏰:09/03/10 15:49 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#530 [ちか]
「子供扱い…するな…//」

「冥は素直じゃないね。」

この余裕な表情がムカつくんだよ‥っ///

俺は照れ隠しに、撫でられる手をはらいながら話題を変える事にした。

「て、て言うか、なんで優里連れて来なかったの?別にあんな厳しくする事ないのに。」

⏰:09/03/10 16:08 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#531 [ちか]
そう言って恭弥の顔にチラリと目をやると、そこには哀しげな表情(カオ)があった。

「ごめん、俺…っ、そんな顔させるつもり無かったんだけど‥‥、」

俺は慌てて言葉を付け足した。

「や、冥は何も悪くないよ。謝らないで?」

そう言ってまた作られる哀しげな笑顔。

⏰:09/03/10 16:28 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#532 [ちか]
何も言えなくなる。
そんな顔されたら‥‥

俺まで哀しくなる…


恭弥は俺の表情が曇っていくの見て、こう問いかけた。


「冥は…優里がなんでカナダに住んでたと思う?」

⏰:09/03/10 16:33 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#533 [ちか]
>>532訂正

曇っていくの見て×
曇っていくのを見て○

すいません><

⏰:09/03/10 16:34 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#534 [ちか]
突然の問いかけに俺は少し考え込んだ。

「英才教育の一貫…とか?」
暫くして、俺は浮かんできた答えの中で一番もっともらしい答えを口にする。

しかしそれはハズレだったようで、恭弥は首を横に振った。

そして言ったんだ。


「優里はね、病気なんだ」

⏰:09/03/10 17:33 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#535 [ちか]
「え…?」

“病気”と言う単語がリアルに感じるのは、きっと恭弥の表情(カオ)が暗いから。

「病気って言っても、癌みたいなものじゃないんだ。
優里には生まれつき心臓に小さな腫瘍があってね。
普段は普通の人と何も変わりないんだけど、その腫瘍のせいでいつ発作が起こるか分からないんだ。
言うならば、心臓に爆弾を抱えてるようなもので…」

恭弥の顔から作り笑いすら消えていく。

⏰:09/03/10 17:41 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#536 [ちか]
「カナダに心臓外科の名医が居るんだ。
その先生に診てもらう為に優里は五歳の時、日本の病院からカナダの病院に移されてそこに住んでる。だから、僕と優里は物心ついた頃から離ればなれだったんだ。
今はまだ手術に耐えられる歳じゃないから、進行を遅らせる事しか出来なくて…」


俺はただ黙々と恭弥の話を聞いた。
だけどどこかに『まさか』『あれで本当に病気?』って思ってしまう自分が居る。

⏰:09/03/10 18:29 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#537 [ちか]
「優里のあの口調と派手な見た目はね、優里なりの強がりなんだ。
『病気で可哀想』、『親兄弟と会えなくて可哀想』、『病院暮らしで可哀想』…。
とにかく他人に可哀想な目で見られたくないみたい。
だから派手にして、『自分は全然辛くなんかない』ってそう他人に見せつけてた。
案の定、同年代の子はみんな優里を怖がって離れていっちゃった…」

⏰:09/03/10 18:38 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#538 [ちか]
「優里は辛いとか寂しいなんて一言も言った事ないけど、小さい頃、隅っこで泣いてるのをよく見たよ。
だから、僕は決めてるんだ。滅多に会えない分、会った時はどんな優里でも、誰よりも理解して守ってあげようって。
それが兄として、優里にしてやれる精一杯の事だと思うから…」


兄として精一杯してやれる事‥‥―――
恭弥はいつからそれを決めてたんだろう。
子供の頃からそんな事を思えるのは、きっと…――

⏰:09/03/10 18:55 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#539 [ちか]
「だからこんな血の気の多い場所、いつ発作が起こるか分からないのに連れていけないよ。

大切な‥‥弟だから。」


呟く声がやけにか弱くて。

「恭弥は優しいね。」

俺はそう言って手を握った。

⏰:09/03/10 19:40 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#540 [ちか]
「ありがとう。」

あぁ。
良かった‥――
やっと笑ってくれた。


俺もその笑顔に安心して、笑顔を溢した。


やがて静かに車は停まり、俺はそこから降りた。

⏰:09/03/10 19:57 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#541 [ちか]
「じゃ、また後で迎えに来るね。」

「うん、じゃあね。」

俺は車を視界から消えるまで見送ったあと、店のドアノブに手をかけた。

しかしなかなか回す事が出来ない。
いきなりなんの挨拶もお礼も無し辞めちゃって、半ば勢いでここまで来たけど、店長達に合わせる顔が…

⏰:09/03/10 20:05 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#542 [ちか]
「あれ、日下?!」

後ろから急に名前を呼ばれ、俺の身体はビクリと跳ねた。

振り返るとそこには、

「崎田さん…」


一緒に働いていた先輩が居た。

⏰:09/03/10 20:08 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#543 [ちか]
「久しぶりだなっ!!」

崎田さんは俺より7つ年上でよく面倒みてもらっていた。
なおさら合わせる顔が無い。

「急に辞めたから驚いたわ!!!」

「すいません…」

⏰:09/03/10 20:11 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#544 [ちか]
「ま、立ち話もなんだし、入れよ!」

「あ…っ」

カランコロンと小さく鈴の音が鳴って、崎田さんに背中を押された俺は店内に入った。

「いらっしゃ…――冥!!」


入って早々、目に飛び込んだのは店長の顔だった

⏰:09/03/10 20:21 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#545 [ちか]
「お、お久しぶりです…」

目もまともに見れない‥

だけど店長の声は優しかった。

「元気だったか?」

俯いていた顔をあげると、優しい笑顔。

「はい‥、あの…急に辞めちゃって、なんのお礼も言えなくて…すいませんでした!!!」

俺は深く頭を下げた

⏰:09/03/10 20:33 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#546 [ちか]
「頭あげろよ、お前らしくない。」

頭上で、あははっと笑い声をあげる店長。

「お前が急に居なくなったのにはほんとに驚いたけど、後から黒羽さんに話聞いたから。」

恭弥?
いつの間に…

⏰:09/03/10 20:41 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#547 [ちか]
「気にしすぎだっつーの!
頭あげろって。」

崎田さんはそう言って俺の頭を軽く叩いた。


俺ってつくづく幸せだよな…
こうやって温かく迎えてくれる人が居て…

⏰:09/03/10 20:46 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#548 [ちか]
それから店長達とたくさん話をした。

最近あったくだらない話や、常連さんの面白話…

店が込みだせば、手伝ったりもして、あっと言う間に時間は過ぎていった

夜が深くなり、街はさらに活気を増していく。

柄の悪い連中も増える時間。

「なんか店の外が騒がしいな。」

店長がドアの方を見ながら呟いた。

⏰:09/03/10 21:11 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#549 [ちか]
「喧嘩は勝手にしてりゃあ良いけど、ウチの前でされちゃあ困るんだよなー。」


店長は眉間にシワを寄せながら腕を組んだ。

途切れ途切れに聞こえてくる喧嘩の声。

「…〜っ!!!はなせってば…!!!」

この声、聞いた事ある…

⏰:09/03/10 21:20 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#550 [ちか]
これは…

「〜…触んな、馬鹿野郎!!!」

この声は…

「おい、冥!!?」


気づけば俺は店の外に飛び出していた。


「優里?!?!」

⏰:09/03/10 21:28 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#551 [ちか]
目の前に飛び込んで居たのは、柄の悪そうな二人と掴み合いになっている優里の姿だった。

「どこ見て歩いてんだよ、ガキが!!!!」

「おっさんこそ目見えてないんじゃねーの?!?!
あんたが悪いんだろーが!!」

「誰がおっさんだコラァ!!」

そう言って優里に拳が振り上げられた。

バキ‥‥――ッ

⏰:09/03/10 21:40 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#552 [ちか]
鈍く生々しい音が辺りに響いた。

「い゙ってーっ!!!!!」

俺、頭がどうかしちゃったんだろうか。
優里をかばって、自分が殴られるなんて。

「お前…っ、なんで!??!」

「そりゃこっちのセリフだっつーの…」

左の頬がジンジンと痛んだ。

⏰:09/03/10 21:44 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#553 [ちか]
「なんだてめえっ!!!‥‥‥‥あ、お前この前のっ!!!」

大声を張り上げる男を見上げると、そいつは偶然にもあの夜に恭弥にやられた二人組だった。

「てめえ、あの時はよくも…っ!!!!!」

ガタイのでかい男がもう一度拳振り上げる。

「やめろ。」

「あ゙?!なんでだよ!!!」


「‥‥‥‥俺にもっといい考えがある。」

⏰:09/03/10 21:54 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#554 [ちか]
>>551訂正
目の前に飛び込んで居たのは→×
目の前に飛び込んで来たのは→○
すいません´;;`

⏰:09/03/10 21:55 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#555 [ちか]
>>553訂正
拳振り上げる→×
拳を振り上げる→○
本当にごめんなさい;

⏰:09/03/10 22:26 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#556 [ちか]
>>553
― 恭弥side.―

思ったより商談が長引いてしまった。

ふと時計に目をやると、短い針が3を指す手前まで来ていた。

早く迎えに行かなきゃ。

そんな事を考えながら車を走らせて、冥の待つ店に向かった。

⏰:09/03/10 22:34 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#557 [ちか]
ドアを開くと、店長の水嶋さんが焦った顔で僕に駆け寄ってきた。

「こんばんわ、あの…冥は…?」

見渡す限り冥の姿は無い

「それが、店の前で喧嘩してた連中に連れていかれて‥‥っ!!!冥と同い年くらい金髪の子も一緒に…!!」

⏰:09/03/10 22:44 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#558 [ちか]
同い年くらいの金髪の子って…――優里?!

「警察にも言えないし‥‥、とにかく早く助けないと‥‥っ、ってちょっと!!」

一瞬で血の気が引いた。

冥と優里が‥‥――?

水嶋さんの話も最後まで聞かないまま、僕は店を飛び出した。

⏰:09/03/10 22:51 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#559 [ちか]
しかし外に出たところで、何かが分かるワケでもない。


「恭弥様?どうなさいましたか?顔色が‥‥」

心配そうな顔で松山は僕の顔を覗き込む。


「‥‥‥松山。」

「なんでしょうか?」

⏰:09/03/10 22:56 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#560 [ちか]
「命令だ。
冥と…優里が連れ去られた。
一秒でも早く探し出せ。

手段は選ぶな。」

低い声が静かな街中に響いた。


「はい。」

⏰:09/03/10 23:00 📱:P906i 🆔:iBV6D6kI


#561 []
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600

⏰:09/03/10 23:08 📱:F906i 🆔:BRPhDdXs


#562 [ちか]
>>561
└→さま*
アンカーありがとうございます★
よかったら、感想板にも遊びに来てくださいね♪

⏰:09/03/11 00:11 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#563 [ちか]
>>560
― 冥side.―

「ん‥‥―――」

視界がぼんやりと広がっていく。

ここ‥‥どこ?

「やっと起きたのかよ。」

声のする方へ顔を向けると、優里と目が合った。

「なんでお前も居…?!!」

そう言って手を動かそうとしても、身動きが取れない。

縛られてる…?!

足の方に視線を向けると、縄は足にも絡みついていた。

⏰:09/03/11 15:20 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#564 [ちか]
「んなでかい声出すなよ、耳痛てえ…」

「ご、ごめん…て言うか、ここどこ?」

薄暗くて、広い‥‥――
何かの倉庫‥‥?

「知らね。アイツらの“お気に入りの場所”だろ」

『アイツら』の言葉の先を辿ると、薄く開いた扉の隙間からさっきの柄の悪い奴らが見えた。

⏰:09/03/11 15:42 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#565 [ちか]
どうやら俺達はコイツらに連れてこられたようだ

みぞおちがズキンと痛むのは、その証拠。

きっと俺は殴られて気を失ったんだろう。

「けど、マジでアイツ来んのかよ?」

小さいながらも確かに聞こえるアイツらの声。

⏰:09/03/11 15:58 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#566 [ちか]
「来るだろ。丁寧にあの店の店長にココの場所まで教えてやったんだぜ?ま、一人で来いって条件付きだけどなっ」

ゲラゲラと低い笑い声が耳につく。

「でも、アイツらが人質になるかどうか…」

アイツら…
俺達のことか。

⏰:09/03/11 16:30 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#567 [ちか]
「それもそれだな。
まぁ、もし来なかった時はアイツらで憂さ晴らしすりゃあいいだろ?」

「それもそうだなっ」

二人の笑い声が辺りに響き渡った。

俺達で憂さ晴らしって…

「おい、どーすんだ…よ、って優里?!」

向き直ると顔色を悪くして肩で息をする優里が目に入った。

「気やすく……名‥前呼ぶんじゃ…ねえよ…ハァ‥ハァ」

⏰:09/03/11 16:42 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#568 [ちか]
>>567訂正
それもそれだな×
それもそうだな○
ごめんなさい!

⏰:09/03/11 16:43 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#569 [ちか]
>>567

「お前顔真っ青じゃん!!」

「あ?大した…事じゃ…ねえ、う…っ!!」

「ちょ…っ!!?」

まさか‥‥‥っ

「発作?!?!」

優里の顔はさらに青くなり、息も荒れていく。

⏰:09/03/11 16:49 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#570 [ちか]
「なんで‥‥‥てめえが…ハァ、知って…………兄貴…か?」

「あ、それは‥‥っ」

やばい。
車降りる時言われてたんだった。

『優里は秘密にしたいみたいだから…内緒ね』って。

「分かりやす…ハァハァ…、どうせ…お前も思ってんだろ?」

⏰:09/03/11 16:55 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#571 [ちか]
「え?」

思ってる…?何を‥――

「こ…んな病気持って、病院暮らしで…ダチも居ない俺を『哀れだ』『惨めだ』って…思ってんだろ…?!」

苦しそうに声を絞り出す優里。

「っな、俺はそんな事「兄貴だってそうだ……っ」

⏰:09/03/11 16:59 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#572 [ちか]
「俺みたいな……弟……、『邪魔だ』って‥‥!!!
だから今日だってついてくるなって……―――」


その言葉が頭に届いた瞬間俺は俺を見失った。




「バッッカじゃねーの?!」

⏰:09/03/11 17:06 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#573 [ちか]
「恭弥は…っ、お前の兄貴はそんな事思ってない!!!
アイツは、お前を『大切な弟』だって‥‥!!!
大切だから、大事だからこんな危ないトコには連れてけないって言ってた‥‥!!
それを分かってやれないお前は大馬鹿だよ!!!!」

俺は息をするのも忘れたかのように言葉を吐き捨て、怒鳴った。

いきなりの怒声に優里は目を丸くしている。

⏰:09/03/11 17:31 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#574 [ちか]
「あ?アイツら起きたのか?」

ふと我に返った時はもう遅かった。

俺の声のせいで俺達が目を醒ました事に気づいた二人は扉を開けた。

「なぁ、あの黒髪のヤツなかなか来ねえし、俺、ウォーミングアップしてえんだけど。」

大柄なヤツがニヤリと口角を上げた。

⏰:09/03/11 17:43 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#575 [ちか]
「勝手にしろ。あ、でも1人だけにしとけよ?
2人共やっちまったら、いざって言う時役に立たねーからな。」

そう言ってもう片方の男は煙草に火をつける。

「オッケーオッケー。どっちにしよーかなあ?」


ニヤニヤしながら、大柄の男は俺と優里を交互に見る。

⏰:09/03/11 17:48 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#576 [ちか]
優里の息が不規則に荒く鳴る。

こんな状態で殴られでもしたら‥‥――――


「な、殴るなら俺にしろ…!!」


俺は大柄の男を見上げ、そう大きく言放った。

⏰:09/03/11 17:51 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#577 [ちか]
「あ゙ぁ?いい度胸じゃねーか。」

「く‥‥っ」

グイッと前髪を捕まれ、顔を上に向けられる。

「じゃ、遠慮なく…ニヤッ」

太く大きな拳が勢いよく振り上げられた。

やられる‥‥―――っ!!

⏰:09/03/11 17:57 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#578 [ちか]
そう覚悟して目を瞑り、歯を食いしばったその時‥‥―――


ギィィ‥‥―――

扉が軋みながら重たく開く音が響き渡った。


月明かりに照らされて浮かび上がるシルエット…―

⏰:09/03/11 18:09 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#579 [ちか]
「恭‥‥弥‥――?」


目を薄く開くと、そこに立っていたのは紛れもなく恭弥だった。





しかし、それは俺の見てきた優しい恭弥じゃない

⏰:09/03/11 18:21 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#580 [ちか]
前髪を掴まれ、今にも殴られそうな俺。

その隣で苦しそうに息をする優里。

それが恭弥の瞳にどう映ったのだろうか。


少なくとも俺の瞳に映った恭弥は怒りで震えていた。

「何してるの?」

それが、恭弥が口を開いて初めて発した言葉だった。

⏰:09/03/11 21:29 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#581 [ちか]
「やっと来やがったな!!」

大柄の男もまた、怒りで興奮していた。

しかし、恭弥の怒りはきっとこんなものではない
その夜のように黒い瞳の奥にその怒りようが垣間見れた。

「何してるのって聞いてるんだよ。」

恭弥は眉間にシワをギュッと寄せた。

⏰:09/03/11 21:35 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#582 [ちか]
「はっ、見りゃ分かるだろ。」

煙草の煙を辺りに吐きながらもう1人の男が言う

「へえ…随分偉そうなんだね。」


「それはてめえだろーが!!」

大柄の男が入り口に立っている恭弥の方に向き直る。

⏰:09/03/11 21:40 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#583 [ちか]
「君は何か勘違いしてるみたいだから教えてあげる。」

その低い声に背筋が凍った。



「ねえ、君は…僕のものに触っていいと思ってるの?
触って…タダで済むと思ってるの‥‥?」

⏰:09/03/11 21:46 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#584 [ちか]
怖い。
俺…こんな恭弥知らない
見たこと無い‥――

「はぁ?!意味わかんねえ!!!」

大柄の男の拳には血管が浮き上がり、それがその興奮状態を物語っていた


「ふうん。
……解らないなら教えてあげる。」

恭弥は不適な笑み浮かべそう言った。
だけど目は笑ってない…

⏰:09/03/11 21:52 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#585 [ちか]
「ふざけた事ばっか言ってんじゃねえぞ!!!!!」

ついに男の拳が恭弥をめがけ牙を向けた。

「学習能力が無いんだね。
そう言うの何て言うか知ってる?」


恭弥は勢いのある拳を簡単によけた。

そこからは言うまでもない。

一瞬だった。

「馬鹿って言うんだよ。」

恭弥のその言葉と同時に大柄の男は大きな音をたてて倒れこんだ。

⏰:09/03/11 21:59 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#586 [ちか]
「次は誰?」

恭弥は煙草をふかす男を鋭い眼孔で睨み付けた。

「やっぱ強えーな…。でもこっちはお前の為にだいぶ人を用意したんだぜ?さすがのあんたも‥‥、」


「人?ああ…、もしかしてこの人達?」

扉が完全に開いた時、俺も煙草をふかしていた男も目を疑った。

⏰:09/03/11 22:11 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#587 [ちか]
目に飛び込んできたのは、地に倒れこんでいるたくさんの人‥‥―――
数えきれないほどの数の人だった。


「なっ、嘘だろ…?!全部あんた1人で…――?!」

「邪魔してきたから…。手加減出来たか分かんない。」

恭弥のその言葉に、男の顔が青ざめていくのが分かった。

⏰:09/03/11 22:17 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#588 [ちか]
「君で最後みたいだね。」

「わ、分かった!!!コイツらはあんたに返す!!!な?!
だから見逃し‥‥――」


男が最後まで言う前に、
鈍い音が倉庫中に響き渡った。

「やだよ。」


ドサッと言う音をたてて、最後の1人がそこに倒れこんだ。

⏰:09/03/11 22:22 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#589 [ちか]
「きょ、恭弥‥‥‥?」

恐る恐る名前を呼んでみる。

すると、その瞬間さっきまでの不気味さは消え、焦ったような表情で恭弥は駆け寄ってきた。

「冥っ!!!優里…っ!!!」

俺達は恭弥の腕の中に包みこまれた。

⏰:09/03/11 22:28 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#590 [ちか]
「ごめん‥‥‥っ」

なんで恭弥が謝るの…?
なんで‥‥―――

今にも消えそうな掠れた声。

「恭弥‥‥――――、」

なんで震えてるの…?

「恭弥様っ!!!!!!」

松山さん率いる恭弥に仕える人達が一気に倉庫内に入ってきた。

⏰:09/03/11 22:35 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#591 [ちか]
「一秒でも早く探してって言ったよね?なんで僕1人の方が早いの?ねえ、」

恭弥が松山さんを睨んで言う。

「申し訳ございません!!」

深く頭を下げる松山さん

「もういいから、とにかく早く優里を…っ」

「はい…っ!!!」


そうして優里は病院に運ばれ、俺と恭弥もそれに同行した。

⏰:09/03/11 22:44 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#592 [ちか]
優里は緊急治療室に運ばれた。

俺達はその前のソファーに座り俯いていた。

沈黙が重い。

静まり返る病院。

「守りきれなかった…―」

ふいに恭弥が口を開いた

⏰:09/03/11 22:51 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#593 [ちか]
「恭弥‥‥――?」

驚いた。
恭弥の目に涙が浮かんでいたから。

「怖かったんだ‥‥――
取り返しのつかない事になったらどうしようって…。優里を失くしてしまったらどうしようって‥‥――」

恭弥の肩が震えてた。
どれだけ不安だったのか、伝わってくるほどに。

⏰:09/03/11 23:00 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#594 [ちか]
「守っていたつもりだった。だけど、それは僕の勘違いで‥‥―――
実際は何も、僕は優里に何もしてやれてなかった…」

その言葉は自ら自分を追い詰めているようだった

俺は震える恭弥の手を強く握った。

「そんな事ない…っ」

⏰:09/03/11 23:06 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#595 [ちか]
「優里は恭弥の事、好きだって言ってた。恭弥の為に学校でも明るく振る舞ってた。恭弥が、もし何もしてやれてなかったらこんな事してないよ、絶対。
恭弥は…ちゃんと、優里を守れてたよ。」

今俺の目の前に居る恭弥は余裕も無くて、すごく弱い。

だけど、それは優里がそれほど大切だったから。

大切にしてたから。

⏰:09/03/11 23:18 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#596 [ちか]
俺は恭弥を力の限り抱き締めた。

恭弥の不安を少しでも無くしてあげたかったんだ。

俺にとっては、恭弥が
それほど大切だったから



暫くして、看護婦の人が俺達に安心の言葉をくれた。

⏰:09/03/11 23:22 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#597 [ちか]
精密機械の音だけが響く部屋に連れていかれた。

ベッドに寝ているのは優里。

「今は呼吸も安定していますし、命にも別状はありません。直に目も覚めるでしょう。」

先生の話を聞いて、俺達は安堵の息をもらした。

それから俺達は優里の目が覚めるまで、一睡もする事がなかった。

⏰:09/03/11 23:31 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#598 [ちか]
気づけば夜が明けて、朝になっていた。

「兄‥‥貴‥‥?」

「優里っ…――!!」

小さい声にも過敏に反応した俺達は優里の名前を呼んだ。

「ごめん…。」

優里は呟くように言った。

⏰:09/03/11 23:39 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#599 [ちか]
「心配したよ…――」

「ごめん‥‥。」

この淡白な会話にどれほどの感情が詰まっている事だろうか。

この不器用な兄弟の間には。


暫く兄弟同士で会話を交わしたあと、優里は俺に目をやった。

⏰:09/03/11 23:43 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#600 [まな]
面白すぎますっ!!
文才ありまくりですねっ!!

もう感動です…

⏰:09/03/11 23:45 📱:PC 🆔:j6gUNdeY


#601 [ちか]
「ありがとうな…冥。」


その笑顔に寂しげな表情は欠片も無かった。

「お、おう!」

俺は笑顔で返す。


少しは俺らの距離も縮まったかな‥‥?

⏰:09/03/11 23:48 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#602 [ちか]
「驚いたよ。」

病室を後にしたあと、恭弥に言われた。

「え?何が?」

そう言って疑問の瞳を向けると、恭弥はふふっと笑った。


「優里が人の事名前で呼ぶなんて初めてだったから。」

⏰:09/03/11 23:53 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#603 [ちか]
「え‥‥」

それって‥‥――
それって‥‥‥――――

「友達って意味じゃない?」

恭弥はにっこりと笑った。

「ホントに?!」

「病院内では静かに、ね」

嬉しかった。
むかつく奴だけど、
ひねくれた奴だけど、
とにかく嬉しかった。

⏰:09/03/11 23:57 📱:P906i 🆔:KaqMZK1M


#604 [ちか]
それから2日後、優里はカナダに帰る事になった

もともとは来年行う腫瘍を取り除く手術に向けての検査中に、俺の噂を聞いて病院を抜け出してきたらしい。

やっぱブラコ…――

「誰がブラコンだコラ。」

⏰:09/03/12 00:11 📱:P906i 🆔:pF033Bmg


#605 [ちか]
「あ、また口に出てた?」

「出まくりだっつーの、馬鹿か。」

こんな生意気な口がきけるまで優里の体調も回復しましたよ、みなさん。

「誰に話してんだよ。」

「内緒。」

ちなみに今は空港まで、
優里を見送りに来てます

あ、もちろん学校は休んだ。恭弥も一緒にね。

⏰:09/03/12 00:17 📱:P906i 🆔:pF033Bmg


#606 [ちか]
「俺がカナダに居る間、特別に兄貴はお前に任せてやる。
まぁ、手術さえ終わればいつでも帰ってこれるけどな。念のためだ、念のため!」

「はいはい。」

あれから俺達の間はだいぶ近くなった。
下の名前で呼びあってるのが、その証拠。

恭弥は俺と優里の会話を聞きながら、嬉しそうに笑っていた。

⏰:09/03/12 00:24 📱:P906i 🆔:pF033Bmg


#607 [ちか]
「優里様、飛行機の準備ができました。」

「分かった。今行く。」

とうとう別れの刻らしい

ちょっとだけ名残惜しかったりする。言わないけど

「あ、そうだ。最後に一つ教えてやるよ。」

そう言って優里は俺に耳打ちした。

⏰:09/03/12 00:27 📱:P906i 🆔:pF033Bmg


#608 [ちか]
「は?お、おう…」

「じゃ、またな!兄貴も!」

笑顔でそう言うと、優里は歩いていった。


こうして長い嵐は去って行った。


え?
何て言われたかって?

『神楽(カグラ)姉には
    気をつけろよ』

だってさ。誰だよソレ。

  ― 第三話 e n d ―

⏰:09/03/12 00:34 📱:P906i 🆔:pF033Bmg


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