漆黒の夜に君と。[BL]
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#1 [ちか]
本当のお前と、
俺が出逢ったのは





そう、
あの漆黒の夜。


―‥漆黒の夜に君と。

⏰:09/02/01 15:55 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#2 [ちか]
_


こんにちわ!
ちかって言います*
BL書きます(・∀・)
駄文ですが、読んでくれると嬉しいです∩^ω^∩
更新はスローペースですが頑張ります><*
中傷、荒らしお断り!
アドバイスはお願いします♪


⏰:09/02/01 15:59 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#3 [ちか]
`


 第一話 漆黒のきみ


_

⏰:09/02/01 16:44 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#4 [ちか]
朝日が俺を照らす。

深い眠りにおちている俺を


コンコン..
「冥(メイ)様、
  起きてください」



誰かが俺の名前を呼ぶ。




ん?
冥・・さま?‥――

⏰:09/02/01 16:52 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#5 [ちか]
誰だ?
これは夢・・?







意識はまた夢の中へと
おちていく。

⏰:09/02/01 16:57 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#6 [ちか]
「どうしたの?」

「あ、恭弥様・・」


扉の向こうではさっきの人ともう1人の声がする。




「冥様を起こしに来たんですが、なかなかお目覚めにならなくて..」


「‥仕方ないなあ。」

⏰:09/02/01 17:04 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#7 [ちか]
ガチャ


ドアノブをひねる音と共に、1人の男が俺に近づいてくる。




しかし、すっかり夢の中におちてしまった俺は全く気づかない。

⏰:09/02/01 17:07 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#8 [ちか]
「冥。」


男の手が俺の頬に触れた。



スー‥ スー‥
なお寝息をたて眠る俺。




「可愛い‥」


クチュ..

男は俺に深いキスをする。

⏰:09/02/01 17:15 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#9 [ちか]
「ん‥‥―、」


少し苦しくなった俺は、
ようやく目を覚ました。





「!!!!?//」



目の前には美しく整った、
漆黒のキミ。

⏰:09/02/01 17:18 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#10 [ちか]
「あ、やっと起きたね。
おはよう、冥。」


男はそう言ってにっこり微笑んだ。


俺は夢の中から一気に現実に引き戻される。


黒羽恭弥の口づけで。

⏰:09/02/01 17:39 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#11 [匿名]
おもしろそうイ

頑張ってト

⏰:09/02/01 18:26 📱:W52S 🆔:oM4ZpERE


#12 [ちか]
>>11
└→匿名さま*
ありがとうございます><
今から更新しますね∩ω`*

⏰:09/02/01 18:34 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#13 [我輩は匿名である]
面白いです

⏰:09/02/01 18:41 📱:F703i 🆔:wE4PYdes


#14 [ちか]
>>13
└→匿名さま*

ありがとうございます!
そう言ってもらえると、
やる気が出ます♪∩^ω^∩

⏰:09/02/01 18:48 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#15 [ちか]
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

ちなみに、
黒羽恭弥(クロハ キョウヤ)
と読みます*´ω`

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

⏰:09/02/01 18:50 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#16 [ちか]
>>10の続き


「なにが『おはよう、冥』だ!!あんたはまともに人を起こせないのかよ!?」


俺は唇をこれでもかと言うほど擦りながら叫んだ。



「朝から何をそんなに起こってるの?
嫌な夢でも見た?」


黒羽恭弥はきょとんとした顔で俺に言った。


「てめえ・・(怒)」

⏰:09/02/01 18:50 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#17 [ちか]
「『アンタ』だの『てめえ』だの冥は僕をいろんな風に呼ぶね。面白い。」


そう言って微笑んだ恭弥はまた俺の頬に触れた。


触れられた俺の顔はみるみるうちに熱を帯びていく。


「真っ赤になって。
ほんと冥は可愛いね」


そしてまた俺はキスを迫られた。

⏰:09/02/01 19:00 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#18 [ちか]
俺は恭弥の唇を両手で拒否して、


「出てけっ!!!」

と力の限りに叫んだ。


「はいはい。じゃあ、着替えたら降りておいでね。
朝食の準備は出来てるから。
なんならメイドに着替え手伝わせようか?」


「いいから出てけ!!(怒)」


恭弥はクスクスと笑いながら俺の部屋から出ていった

⏰:09/02/01 19:08 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#19 [ちか]
「あ゙ーっ!!!
なんでこうなっちゃったんだよ!!!昨日あんな事さえなければ・・・・」








そう昨日あんな事さえ
なければ。

⏰:09/02/01 19:18 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#20 [ちか]
――‥‥時は昨日に遡る。


「じゃ、ホームルーム終わり。」


担任の言葉と共に生徒達は一気に帰る支度をする。


「日下(クサカ)ー!お前今日ひまー?遊ぼーぜー♪」


「わりぃ、今日は無理だわ!また今度誘って♪」



そう言って俺は急いで教室を出た。

⏰:09/02/01 20:02 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#21 [ちか]
学校をあとにして、俺は電車に駆け込んだ。



いくつかの駅を通りすぎ、降りたのはここらで一番治安が悪く、しかし大金持ちが毎日大量に集まる歓楽街の近く。



俺はそそくさと一つのバーに入った。

⏰:09/02/01 22:35 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#22 [ちか]
「おー、冥。そろそろ開店だ。早く着替えてきな。」


「ういっす」


店長に促されて俺は二階に上がった。

⏰:09/02/01 22:45 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#23 [ちか]
俺はここにバイトとして雇ってもらってる。

もちろん俺みたいな未成年が働いていい処(トコロ)じゃない。



だけど2年前両親を事故で亡くした俺は他に身寄りもなく、1人で生活していくにはどうしても稼がなきゃいけなかった。



ここの店長さんはそんな俺の身の上を知って、快く雇ってくれた恩人ってとこ。

⏰:09/02/01 22:50 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#24 [ちか]
白いシャツに腕を通し、
黒のパンツにエプロンを締めて制服の出来上がり。



バーだけに制服も結構かっこよくて気に入ってる。





さ、仕事、仕事。

⏰:09/02/01 23:04 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#25 [ちか]
開店しても忙しくなるのはもっと遅くになってから。




それまでは店長達と話したり、下準備をしたり。



_

⏰:09/02/01 23:11 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#26 [ちか]
時間は午前0時を越えたところ。


店も混みだしてきて、閉店なんてまだまだだけどあと一時間で俺の仕事は終わり



「店長ー、空き瓶裏に出してきますね。」

「おー。」


俺は「よいしょっ」と空き瓶の詰まったケース3つを持ち上げて裏口に出た。

⏰:09/02/01 23:28 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#27 [ちか]
ガチャ..


今日はえらく静まりかえっている。
路地裏とは言え、いつもはもっと・・



とは、思いつつも深くは考えずケースを積みあげた。



「兄ちゃん何してんのー?」

⏰:09/02/01 23:31 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#28 [ちか]
「はい?」


振り返るとそこには強面のいかついお二人さん。


(やっべー・・)


「あんた可愛い顔してんなー。俺らの相手しろよ。」



や、無理無理無理無理!!

⏰:09/02/01 23:35 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#29 [ちか]
「・・勤務中なんで。」


「あ?なに断る気?
この腕折れてもいーの?」

グイッ


1人の男が俺の腕を強く掴んだ。



(こわっ;;)

「は、離してくださ・・


_

⏰:09/02/01 23:41 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#30 [ちか]
「何してるの?」








漆黒の天(ソラ)に散りばめられた星の下、現れたのは
1人の男。



_

⏰:09/02/01 23:44 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#31 [ちか]
「あ゙?!なんだテメエ!!」


「怖い人達だね。
僕はこう言う処はやっぱり慣れないなあ。」



漆黒の髪を靡(ナビ)かせて
男は言う。

⏰:09/02/01 23:48 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#32 [ひば]
頑張って〜(´∀`

おもしろいです・ω・

⏰:09/02/01 23:48 📱:SH905i 🆔:209X9Hfk


#33 [ちか]
「なにブツブツ言ってんだよ!!!
テメエも殴られてえか?!」


「物騒なこと言うね。
・・・けど、下手に僕に触れると、骨・・折れるよ?」





怪しく笑うそれは言う。

⏰:09/02/01 23:53 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#34 [ちか]
>>32
└→ひばさま*

ありがとうございます!!
そう言ってもらえて嬉しいです><

⏰:09/02/01 23:55 📱:P906i 🆔:4lMj49Xc


#35 [ちか]
「はぁ?!テメエなめてんじゃねーぞコラァ!!!」


そう言って俺の腕を掴んでいた男は黒髪の男に殴りかかった。




バキッ..

「ゔああぁぁぁぁ゙!!!」


なんとも言えない鈍く痛々しい音と共に、強面の男が叫んだ。

⏰:09/02/02 00:29 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#36 [ちか]
「だから言ったでしょ・・?折れるって。」


もう1人は青ざめて走り去っていった。



(コイツ、何者・・・?)



俺は目の前で起こった事が上手く理解出来なくて、ただ立ち尽くした。

⏰:09/02/02 00:33 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#37 [ちか]
「君、大丈夫?」


方針状態の俺に問いかける



「・・・え、あ、はい!」


「そう。良かった。」


真っ暗の路地裏を月光が照らし、そいつをうつした。

⏰:09/02/02 00:38 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#38 [ちか]
あれ・・?
この人の顔どっかで・・――



「・・君、確か日下冥君だよね?」


「え、なんで俺のこと・・?」


「そりゃ生徒会長は全校生徒の顔と名前くらい覚えなきゃ務まらないでしょ?」


生徒・・会長・・?

⏰:09/02/02 00:45 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#39 [ちか]
「恭弥様!!こちらにいらしたんですか!!
急に居なくなられては困ります!!」


恭弥さま?

恭・・――


「あぁ、ごめんね。
で、商談の方はどうなったの?」


「向こう側が5億で成立させてくれと・・」

「駄目だよ。
10出せないなら、この話は無かった事にしてと伝えて。」

「はい。」


5億?!
10?!

⏰:09/02/02 00:56 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#40 [ちか]
なんなんだ、コイツら!!
金のケタが・・



「ところで君、」

「..あ、はい」

「こんな処でこんな時間に何してるの?」

「あ、えっと..その..」

「冥ー!
早く戻ってこーい」


言葉に詰まっていると、
店の中から店長の声がした

⏰:09/02/02 08:34 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#41 [ちか]
「はーい!今戻りまーす!」

いけね、店忘れてた!!(汗)
早く戻らねーと・・、


「ふーん。君、ここで働いてるんだ?」

男はまた俺に問いかけた

「は、はい..」

⏰:09/02/02 16:00 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#42 [ちか]
「困るなあ。
うちの高校は学校の許可なしのバイトは禁止だし、ましてやこんな時間にこんな場所で。
ここら辺って事は、歳もごまかしてるよね?
そうなると、最悪の場合退学って可能性も・・・」


た、た、退学?!?!


淡々と語るそいつの目はやけに冷ややかだった。


「見逃してあげたいところだけど、一応僕生徒会長だしねえ・・」

「恭弥様、そろそろ時間が・・」

_

⏰:09/02/02 16:26 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#43 [ちか]
生徒会長・・
恭弥様・・――?

...!!!

「黒羽恭弥?!」


俺の声が静まりかえった路地裏に響き渡った。


「あ、僕の事知ってるんだ」

そう言って奴はにっこりと笑った。

⏰:09/02/02 16:30 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#44 [ちか]
スーツを纏(マト)っていた為か、学校でしか見た事のなかった俺は学年もクラスも違う恭弥を思い出すのに少し時間がかかった。



けど黒羽恭弥っつったら、かなりの有名人..

頭もよくてなんでも出来ちゃうスーパーエリート。

⏰:09/02/02 16:39 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#45 [ちか]
「悪いけど、君・・退学かもね。」


冷たく笑う恭弥に背筋が凍った。


「お、お願いします・・!!
俺、なんでもしますから!!退学だけは・・」


「んー、まあ理由によっては見逃してあげる。」

「本当に?!」

「うん。理由によっては、だけどね。」

そう言ってまたにっこりと笑った。

⏰:09/02/02 16:47 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#46 [ちか]
俺は自分のおける状況を全て話した。


「‥‥ふーん。それで?」

「え・・だから俺、働かないと生活していけなくて・・、普通のバイトじゃ経済的にやってけなくて・・」


「んー。それだけじゃあ、・・ねえ..」

「そんな・・」


予想外の反応に俺は肩を落とした。

_

⏰:09/02/02 17:02 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#47 [ちか]
「さっき..なんでもするって言ったよね・・?」


恭弥はそう言って怪しく微笑んだ。

「え、あ、はい・・」


「じゃあ交換条件で見逃してあげるよ。」

「交換・・条件・・?」

「恭弥様、本当に時間が・・」

「あ、そうだった。
日下君、続きは中で。」

「なか??」


意味が分からなくて聞き返した瞬間、車のライトが路地裏を照らした。

⏰:09/02/02 17:46 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#48 [ちか]
「こっち。」

「へ?!ちょっと・・―!!」


恭弥は俺の手首を掴んで路地裏を出た。


「うわ・・――!」


目の前に伸びる長い車。

「恭弥様、お急ぎください。」

そう言って、黒いスーツの人が車のドアを開けた。

⏰:09/02/02 17:50 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#49 [ちか]
「うん。ごめんね。」

そう言って恭弥は俺の手首を掴んだまま車に乗り込もうとする。

「ちょっ、俺まだ店が・・――」


そんな俺の声を無視しているのか、聞いてないのか、そのまま俺は無理矢理車に乗せられた。



車は静かに走り出した。

⏰:09/02/02 17:53 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#50 [ちか]
「お、俺、まだ勤務中なんですけど・・!!」


「あ、そう言えばそうだったね。」



そうだったね、って・・―
こいつ、なんなんだよ!!

⏰:09/02/02 17:59 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#51 [ちか]
感覚がおかしいって言うか、なんて言うか。


俺は車内を見渡してみた。


車とは思えない内装。
まるで一つの部屋みたいだ。
装飾品はシンプルだけど、高級感が漂ってる。

さっきも億が云々とか言ってたし・・


金持ちとは聞いてたけど、ここまですごいとは・・。

⏰:09/02/02 18:04 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#52 [ちか]
「で、さっきの続きだけど。」


「ふえ!!?あ、はい!」

内装に見とれていた俺は、慌ただしく返事をした。


「あはは。君面白いね。」

「ど、どーも・・」


_

⏰:09/02/02 18:08 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#53 [ちか]
「で、交換条件の件なんだけど、学校には言わないあげる。」


「本当ですか?!
ありがとうござ・・「その代わり、」


俺の言葉を遮って、恭弥は話を続けた。

⏰:09/02/02 18:10 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#54 [ちか]
「その代わり・・??」

「君にはあの店を辞めてもらうよ。」

「え、それだけじゃ生活出来な・・「それは大丈夫。」

や、大丈夫じゃないんだよっ!!





「君には今日から家に住んでもらうから。」

⏰:09/02/02 18:17 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#55 [ちか]
「家(ウチ)って、どこの・・」


「僕の家に決まってるじゃない。」

そう言って余裕の笑みを浮かべる恭弥。




「えぇえぇ?!?!?!」


俺の思考は停止。
だって意味分かんないし!!

⏰:09/02/02 18:21 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#56 [ちか]
「もちろん生活面も全てこっちがみるよ。
それなら問題ないでしょ?」


問題ないって・・
あんたの考え方に問題あるだろっ!!!


「そんな急に・・―」

「じゃあ、退学でもいいの?」

⏰:09/02/02 18:25 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#57 [ちか]
「それは無理っっ!!!」


俺は慌てて応えた。


恭弥はそんな俺を見てにっこり微笑むと、
「じゃあ、決まりだね。」
と半強制的に交換条件を成立させた。

⏰:09/02/02 18:29 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#58 [ちか]
(まじで俺、これからこの人の家に住むのか?!)


全く予想もしてなかった展開に、頭が上手くついていかない。



考えれば考える程、混乱する。

⏰:09/02/02 18:36 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#59 [ちか]
「じゃ、これからよろしくね。..チュ。」



思考は完全に停止。

分かるのは俺の唇とコイツの唇が重なっていると言うこと。



そう、重なって・・、

⏰:09/02/02 18:39 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#60 [ちか]
「℃☆¥$※%#!!‥―」


「あれ?」


俺はそのまま気絶した。



「・・可愛い。」


囁くように言う恭弥。

⏰:09/02/02 18:41 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#61 [ちか]
「しかし、恭弥様もどうして小芝居など・・」

黒いスーツの・・、いや恭弥の執事の松山が言った。

「え?」

「恭弥様が有名とは言え、日下様は気づいてらっしゃいませんでした。
どうしてわざわざ生徒会長の身を明かし、交換条件など・・・――」


松山は疑問の表情で恭弥を見た。

⏰:09/02/02 18:49 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#62 [ちか]
「やっぱり松山にはバレてたかあ。」

そう言って笑う恭弥。


「何年恭弥様の執事をやってると御思いですか?」

松山は自慢げな表情で言った。


「・・そうだね。
だって欲しかったんだもの。」

恭弥屈託のない笑顔で言った。

⏰:09/02/02 18:53 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#63 [ちか]
「全く、恭弥様は・・」

少し呆れたような笑顔で松山は言って、

「それでは私は席をはずしますね。」

と気をきかせ、車内の奥を歩いていった。


_

⏰:09/02/02 19:03 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#64 [ちか]
静かな空間には怪しげな笑みを浮かべる恭弥と、無防備に眠る冥だけ。




「僕を楽しませてね。冥」


そう言って恭弥は冥の首筋にキスを落とした。



これが、長い漆黒の夜の始まり。‥‥―――

⏰:09/02/02 19:13 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#65 [。゚+ゆきな+゚。]
ヤバィ
続きが気になるくらぃ、好きかも
これから頑張ってくださぃ(*/ω\*)

⏰:09/02/02 19:49 📱:SH904i 🆔:IfCKKYMo


#66 [ちか]
>>65
└→。゚+ゆきな+゚。さま*

ほんとですか!!><
そんな風に言ってもらえて本当に光栄です
頑張って書くので、応援よろしくお願いします

⏰:09/02/02 20:32 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#67 [ちか]
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
図々しいですが、感想板
作ってみました><
良ければ、感想、アドバイスなど、書き込みお願いします!

bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/9870/
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

⏰:09/02/02 20:38 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#68 [ちか]
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
>>67
すいません、URL間違えました(´;ω;`)
本当はこっちです
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

⏰:09/02/02 20:40 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#69 [ちか]
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
>>54訂正
それだけじゃ生活出来な・・→×
それじゃ生活出来な・・
→○

>>63訂正
車内の奥を歩いていった
→×
車内の奥へと歩いていった
→○

すいません(´;ω;`)
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

⏰:09/02/02 21:01 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#70 [ちか]
>>64続き
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
―――――‥‥
―――

時は戻って次の日の朝。


もちろん冥には気絶後の記憶なんてない。



目覚ましの代わりに
ディープキス。

起きれば目の前には
昨晩のキス魔。

⏰:09/02/02 21:29 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#71 [ちか]
「悪夢だ・・・」


出来る事ならこれが夢であってほしい。

夢の中の方がよっぽど現実らしい。


1人には広すぎる部屋に、やたらと大きなベッド。

おしゃれで高そうな家具類。


俺には似合わなすぎる。

⏰:09/02/02 21:36 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#72 [ちか]
「そうだ、着替え・・」


って!!!
制服、店に置きっぱなし!



「どーすんだよ、もう・・っ」


俺はイライラしてクシャクシャと自分の頭をかいた。

⏰:09/02/02 21:52 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#73 [ちか]
ガチャッ

「言い忘れてたけど、」


背後から急に声がして、
俺の体はびくついた。

「ノ、ノックぐらいしろっ!!!!!」


「固い事言うなよ。
男同士だろ?
それとも・・僕の事意識してる?」


怪しい笑顔で俺の肩を軽く持つと、俺を自分の方に向けた。

⏰:09/02/02 22:03 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#74 [ちか]
身長差は10cmとちょっと、と言うところだろうか。


見下ろされてるのが、
むかつく・・。


それに対して、俺とコイツの身体(カラダ)の距離は、
5cm程度。


こんな至近距離に、こんな美形が居て、昨日あんな事されりゃあ意識するだろーがっ!!///

⏰:09/02/02 22:12 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#75 [ちか]
「い、意識なんかしてない・・!!//」

「へえ・・。
こんなに顔赤くして?」


恭弥はわざわざ腰を少し下ろして、俺と目線を合わせた。


コイツ、俺の反応を見て遊んでやがる・・。
むかつくっ!!

⏰:09/02/02 22:20 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#76 [ちか]
「・・手どけろよっ!!」

俺は自分の肩に置かれた、奴の手をはらった。


「昨日とは違って言葉が乱暴だね。」


まるで子供を扱うように俺に接してくる恭弥が、本当に本当ーにむかつくっ!!!!

「ま、そんなとこも可愛いけどね。」


・・・・。
もう腹がたちすぎて言葉にならない。

⏰:09/02/02 22:31 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#77 [ちか]
「本当に冥、顔赤いよ?
熱でもあるんじゃない?」


ちげーよっ!!
むかつきすぎて頭に血が昇ってんだっつーのっ!!


と、言おうとした瞬間・・―


ぺたっ。


_

⏰:09/02/02 22:35 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#78 [ちか]
「☆¥※%$!!!!!///」


「ん・・、熱は無いみたいだね。」



お、おでこがピタッて・・!!

顔、ち、近すぎだしっ!!!


びっくりした俺は力が抜けて真後ろにあるベッドに倒れ込んだ。

⏰:09/02/02 22:38 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#79 [ちか]
「※%$☆¥ッ〜‥!!//」

言葉にならなくて、俺は
口をパクパクさせた。



「なに、誘ってるの?」


怪しげな笑みを浮かべる
恭弥。


「ちがっ・・!!////んン・・ッ」

⏰:09/02/02 22:44 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#80 [ちか]
両手首を掴まれ、
突然唇を塞がれた。


「ん・・・ッ!・・・ハァッ・・・んんッ!!///」

恭弥の舌が俺を犯していく

(何やってんだこの人!!)

クチュッ..

「ん・・・あッ・・んッ!!!」

濃厚で甘くて、
頭がおかしくなりそうだ。


俺は力いっぱい抵抗したが、恭弥はびくともしない。

⏰:09/02/02 23:42 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#81 [ちか]
やっとの事で恭弥は俺の唇から離れた。


苦しくて、熱くほてった体。
肩で息をする俺を見て、

「もっと冥の声、聞きたいな。」

恭弥はそう言って、おもむろに俺の服の中に手をすべらせる。

「なっ・・・!!ちょっ・・ふざけんな・・・あッ!///」

⏰:09/02/02 23:49 📱:P906i 🆔:XnrBx5q.


#82 [ちか]
乳首に爪をたてられて、
自然と声が出てしまった。

「や・・め・・・っ//」

「やめてほしいの?
ココはこんなに感じてるのに?」

恭弥はそう言って、俺の
突起を指先で弾(ハジ)いた。

「やぁッ・・ハァ・・んっ//」

出したくもない声が
溢れてくる。

⏰:09/02/03 00:04 📱:P906i 🆔:Z2RBanbU


#83 [ちか]
心とは裏腹に身体はやけに正直で。

まともだった昨日までの俺はどこに行ったんだ。



今じゃ、
男の愛撫に恥ずかしいほど感じてる。


情けない・・――

⏰:09/02/03 00:05 📱:P906i 🆔:Z2RBanbU


#84 [ちか]
「冥は淫乱だね。
ちょっと触っただけで、こんなになって・・」

恭弥はそんな事を甘く低い声で耳元で囁きながら、
首筋を舌でいやらしく這っていく。


「ぃッ・・んン、あ..!!ハァ・・ッ」


そんな近くで囁かないで。
そんな風に這わないで・・っ


感じたくないのに..
敏感な自分が嫌で、
目が潤んでくる。

⏰:09/02/03 18:27 📱:P906i 🆔:Z2RBanbU


#85 [ちか]
「離・・せ・・ッ・・―嫌ぁッ..」


そんな俺の必死の訴えにも恭弥は、
「そう言う目が僕をそそるんだよ?」

と言いながら容赦なく俺を責め続ける。


首から胸へ。
胸からみぞおちへ。

舌はどんどん下へと降りていく。

⏰:09/02/03 18:33 📱:P906i 🆔:Z2RBanbU


#86 [ちか]
「こんなに腫らして・・」


恭弥はズボン越しから、
俺のモノをなぞった。

そしてそのままベルトへと手をかける。


「や・・っめろ・・―ッ」






コンコン.
「恭弥様、冥様、そろそろ学校のお時間が・・、」

⏰:09/02/03 18:39 📱:P906i 🆔:Z2RBanbU


#87 [ちか]
「‥‥今、行くよ。」

そう言って、恭弥は俺から離れた。


「あ、そうそう。
言い忘れてた事ってのは、制服の事でね。
新しいのがクローゼットに入ってるから着るといいよ。じゃ、下で待ってるね。」


バタン..




「た、助かったあ〜・・。」

⏰:09/02/03 21:24 📱:P906i 🆔:Z2RBanbU


#88 [ちか]
安堵の息が零れた。



「危なかったあ..。
ほんとアイツなに考えてんの・・」


俺ははだけた服を整えて、クローゼットから制服を取り出した。

新品の匂いが鼻を通る。
まさかあんな時間から、新品を取り寄せたのか?

「金持ちの考えは解んねえ・・」

そんな独り言を呟きながら、制服に腕を通した。

⏰:09/02/03 21:33 📱:P906i 🆔:Z2RBanbU


#89 [ちか]
シワ一つないパリパリの制服は着心地が悪くて、ちょっと違和感がある。


着替え終わり、鏡の前で乱れた髪をなおした。


「あれ?」


首筋に赤い斑点が一つ。
これは・・・―、キスマーク。

⏰:09/02/03 21:59 📱:P906i 🆔:Z2RBanbU


#90 [ちか]
「あんの野郎っっ!!!!」


怒りがピークに達した俺は勢いよく部屋を飛び出した。


いつの間につけたんだ?!


ドタドタと乱暴に階段を降りて、真っ先に恭弥のもとへ向かった。

⏰:09/02/03 22:03 📱:P906i 🆔:Z2RBanbU


#91 [ちか]
「はぁッ・・はぁッ・・はぁ!!」

「そんなに急がなくてもいいのに。」

恭弥の呑気な口調が余計に俺を苛立たせる。

「これっ!!!!なんだよ!!」


俺はシャツの襟を少し引っ張って、キスマークを指指した。

⏰:09/02/03 22:06 📱:P906i 🆔:Z2RBanbU


#92 [ちか]
「なにって・・キスマークがどうかした?」

「はぁぁ?!?!」


どうかした?!?!
普通どうかするだろーが!!

コイツ絶ッッ対おかしい!!


「怒るなって。知ってる?
すぐ怒るのってカルシウムが足りな・・「うるさいっ!!!!!!」

カルシウムじゃなくて、
お前のせいだ!!
オ・マ・エ・のっ!!!

⏰:09/02/03 22:12 📱:P906i 🆔:Z2RBanbU


#93 [ちか]
「落ち着きけよ。
時間がないから君の分の朝食は車の方で食べるようにしてもらったよ。」

「そんなのどーでもいいんだよっ!!」

「良くない。
生徒会長が遅刻なんてカッコ悪いでしょ?
早く行くよ。」


そう言って恭弥は俺を引っ張って玄関に向かった。

⏰:09/02/03 22:17 📱:P906i 🆔:Z2RBanbU


#94 [ちか]
「冥様、お鞄を。」

「ど、どーも..」

メイドに手渡された鞄も新品。中身も全部。ついでに靴まで。


「「行ってらっしゃいませ」」


両サイドにびっしりと並ぶ執事とメイドが声を揃えてそう言うと、さすがに迫力があった。

⏰:09/02/03 22:20 📱:P906i 🆔:Z2RBanbU


#95 [ちか]
執事の人が玄関の扉を開けると、昨日よりはだいぶ短いリムジン。


「どうぞ、お乗りください。」

そう言って執事がドアを開けてくれた。


金持ちはこれが普通なんだよなぁ..。

⏰:09/02/03 22:25 📱:P906i 🆔:Z2RBanbU


#96 [ちか]
車にエンジンがかかると、この糞広い庭を走り出した。



車内は無言。





そして中途半端な距離感。

⏰:09/02/03 22:29 📱:P906i 🆔:Z2RBanbU


#97 [ちか]
「警戒してるの?」

ビクッッ!!!


沈黙の中での突然の問いかけに過剰反応してしまった。


「あ、当たり前だろっ!!」

目を合わせずにそう言うと、目の前にあったパンをおもむろに口へと運んだ。

⏰:09/02/03 22:36 📱:P906i 🆔:Z2RBanbU


#98 [ちか]
また続く沈黙。


張り詰める空気。



なぜか焦ってパンを頬張り続ける俺。


「んっ!!・・・ゴホッ、ゲホッ!!」

の、喉につまった!!(汗)

⏰:09/02/03 22:40 📱:P906i 🆔:Z2RBanbU


#99 [ちか]
なんか飲みもん!!!!


「ゲホッゴホッ!!!///」

なにしてんだ俺!//
恥ずかし..


「なにしてんの・・はい、水。」


少し呆れたような笑みを浮かべて水を差し出す恭弥。

⏰:09/02/03 22:45 📱:P906i 🆔:Z2RBanbU


#100 [ちか]
俺はそれを奪い取るようにして受け取ると、一気に飲み干した。

「あー、苦しかった・・・」


やっと落ち着いた俺はため息をこぼした。


「冥見てると飽きないな。」

笑いながらそう言われた。

「・・・嬉しくないっ」

俺はすねた口調で返した。

⏰:09/02/03 22:50 📱:P906i 🆔:Z2RBanbU


#101 [ちか]
「あはは、やっぱり可愛い。」

「それも嬉しくないっ!!!」

「あはは」

「笑うなっ!!」

そんな言い合いを続けていると、

「恭弥様、もう少しで到着でございます。」

と運転手の人が言った。

⏰:09/02/03 22:55 📱:P906i 🆔:Z2RBanbU


#102 [ちか]
そして数分後。


静かに車が停まった。

ガチャ

「行ってらっしゃいませ。」

「ありがとう。」

「それではまた帰りにお迎えにあがります。」


そう言って車は再び走っていった。

⏰:09/02/03 22:58 📱:P906i 🆔:Z2RBanbU


#103 [ちか]
毎日こんな事してもらってたのかあ。



そりゃ、遅刻常習犯の俺が恭弥と会わないわけだ。


そんな事をぼんやり考えていると、

「じゃ、また帰りにね。」


と言って恭弥はスタスタと先に歩いていった。

⏰:09/02/03 23:02 📱:P906i 🆔:Z2RBanbU


#104 [ちか]
ガラガラッ


教室を開けた途端、クラスメイトが俺に群がってきた。

(なになになに?!?!)


あっという間に囲まれてしまった。

⏰:09/02/03 23:25 📱:P906i 🆔:Z2RBanbU


#105 [ちか]
「今、黒羽先輩の車から降りてきたよね?!」

「え、う、うん・・」

「やっぱり一緒に降りてきたのって日下君だったんだあ!!」

「まぁ・・」

「なんで一緒だったの?!」

「えっと・・、」

「「「なんで?!?!」」」


そんな一辺に答えれるかあああ!!!!

⏰:09/02/03 23:33 📱:P906i 🆔:Z2RBanbU


#106 [ちか]
やっとの事で質問攻めから脱出し、自分の席に着く事が出来た。


「お疲れさーん」

「・・あぁ透か。ありがと。」

話かけてきたのは親友の蓮見透(ハスミトオル)。

「お前生徒会長と絡みあったっけ?」

「・・んー、まぁ..な。」

⏰:09/02/03 23:37 📱:P906i 🆔:Z2RBanbU


#107 [ちか]
「へえー。人気者に関わると大変だねえ。」

「お前他人事(ヒトゴト)だと思って・・」

「だって他人事だし(笑)」

そう言って透は笑った。


「てかさあ、アイツってそんな人気者なの?」

⏰:09/02/03 23:50 📱:P906i 🆔:Z2RBanbU


#108 [ちか]
「そりゃ、黒羽恭弥つったら人気人気。
あの頭脳(アタマ)にあの運動神経、しかも美形。
それで大金持ちのボンボンとくりゃあ、人気にならねーワケねえだろ(笑)」


「そーなんだ・・」



あんなド変態野郎のどこがいいんだか。

⏰:09/02/03 23:55 📱:P906i 🆔:Z2RBanbU


#109 [ちか]
「HR始めんぞー。席つけー。」

そう言って担任が入ってきた。


いつにも増して長ったらしい担任の話。


(だりぃなあ。)

⏰:09/02/04 00:00 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#110 [ちか]
朝からいろいろあったせいか、疲れ果てた俺を睡魔が襲った。


授業なんて全く耳に入らない。


だいたい窓側の席で寝るなってのが無理な話だよ。

⏰:09/02/04 00:02 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#111 [ちか]
ふとグラウンドの方に目をやると、どっかのクラスが体育の授業中。



あの黒髪の長身野郎は・・


まさしくアイツ。

⏰:09/02/04 00:07 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#112 [ちか]
やっぱり一際目立っている。
そりゃあのルックスだもんな〜。


なんて思いながら見てると

(・・げっ、目合った!!)


向こうも俺に気づいたようだ。

⏰:09/02/04 00:11 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#113 [ちか]
(あっかんべー。)


なんて子供じみた事をしてみた。
すました顔のアイツがやけに気にくわなかったから。


・・が、アイツは特に表情を変える事もなく目をそらしてしまった。


無視か?!
いや、やっぱり俺に気づいてなかったのか・・?
相手にされなかったせいか急に恥ずかしくなった。

⏰:09/02/04 00:16 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#114 [ちか]
しかしそれは気のせいじゃなかった。


昼休み、5限目の教室移動の為廊下を歩いてると、向かい側から歩いてきたのはまたしてもアイツ。



今度は完全に目があった。
この距離ならそれくらい分かる。


・・なのにまたそらされた。

⏰:09/02/04 00:22 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#115 [ちか]
少し苛立った俺は、すれ違い際に
「なんでさっき無視したんだよ。」
と話しかけた。



しかしそれも無視。
これは明らかに無視だ。
聞こえてないはずがない。

なんらかの反応を期待してた俺は、驚いて振り返った。

⏰:09/02/04 00:27 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#116 [ちか]
アイツが通る度にみんな振り返る。


教師だって生徒だって、
みんなアイツをチヤホヤする。



そうだ。
俺の知ってるアイツは、
そう言う奴だった。


今朝まであんなに近かったはずの存在が、急に遠くに感じた。

⏰:09/02/04 00:34 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#117 [ちか]
よく考えてみれば、

俺とアイツが出会ったのは今年の春で、ちゃんとした言葉を交わしたのは昨日の夜が初めてで。


そんな俺がアイツの眼中にあるわけないよな。

振り返った先に居るアイツは誰かと優しい笑顔で話してる。

⏰:09/02/04 17:17 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#118 [ちか]
そんな光景を見た瞬間、
なぜか胸が軋んだ。



なんなんだろう、これは。



昨日知り合ったばかりの奴になんの感情を抱いているんだろう・・―

⏰:09/02/04 17:20 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#119 [ちか]
全身が熱くなった。



見たくないのに目はアイツを追ってしまう。



これじゃ、まるで・・――

⏰:09/02/04 17:22 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#120 [ちか]
キーンコーン
  カーンコーン..


予鈴が鳴ってふと我に返った。



「あれ、冥?」


声の主は透。

⏰:09/02/04 17:25 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#121 [ちか]
「お前一人?」

「あ、うん。ちょっと担任に呼び出されてたから。」

「そっか。俺もちょっと部長と話しててさあ。
次移動だよな?一緒に行こーぜ。」

「うん..」


そう頷いてもう一度振り返る。


アイツはもう居なくなっていた。

⏰:09/02/04 17:30 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#122 [ちか]
「冥?どうかした?」

「・・いや、なんでもない。行こっ」



俺は何を気にしてるだ。
馬鹿みたいに。―――‥


_

⏰:09/02/04 17:32 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#123 [ちか]
俺は少し先にいる透にかけよって、早足でそこを去った。


早くこの場所から離れたくて。


この気持ちを忘れたくて。

―――――‥‥‥
―――――――――――

⏰:09/02/04 17:36 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#124 [ちか]
SHRが終わって帰る支度をする。


いつもなら水曜日は慌ただしく教室を出る筈なのに、店を辞めさせられた俺にはもうその必要はない。


『じゃ、また帰りにね。』


朝のアイツの言葉が蘇った。

⏰:09/02/04 17:43 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#125 [ちか]
今は会いたくない。




そう思いながら俺は机に顔を伏せた。

「はぁ・・」

口からは自然にため息が
零れる。

⏰:09/02/04 17:50 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#126 [ちか]
「帰んねーの?」

透が俺の顔を覗きこむようにして聞いた。

「ん、あ..いや帰るけど。」



帰るけど・・――、
どっちに帰ろうか。

⏰:09/02/04 17:56 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#127 [ちか]
「んじゃ、行くぞ。」

透はそう言って優しく笑うと、俺の頭をポンポンと叩いた。




きっと心配してるんだろう。
コイツ、昔っから俺が落ち込んでる時そうするから。

⏰:09/02/04 18:01 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#128 [ちか]
俺は思い腰を上げ、透と教室を出た。


「なあ、透ー。」

「なんだよ?」

「今日さ、お前ん家に泊めてくれない?」

「別にいいけど・・、なんで急に?」

「んー、今日は帰りたくないって言うか・・」

「ふーん。」

⏰:09/02/04 18:26 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#129 [ちか]
靴を履き替えて校門に向かった。


アイツの家に帰らなくて済む。
アイツに会わなくて済む。

そう思うと、少し気持ちが軽くなった。





しかしそんな時も束の間、俺の足は校門の前で止まった。

⏰:09/02/04 18:36 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#130 [ちか]
`

「遅い。」


ジャリ..と砂を鳴らして、
不機嫌そうに俺を見つめそう言うのは





俺が今一番会いたくない人。

⏰:09/02/04 18:46 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#131 [ちか]
なんでアイツが?!
もしかして待ってた?!


いきなりの出来事に俺は動揺を隠しきれず、言葉に詰まった。


「何分待ったと思ってるの?」


いつからかけていたのか、眼鏡をかけた顔がやけに色っぽい。

⏰:09/02/04 21:42 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#132 [ちか]
>>128訂正
思い腰
└→×
重い腰
└→○
すいません><

⏰:09/02/04 21:44 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#133 [ちか]
なんで怒ってんの?!
て言うか、待ってくれなんて頼んだ覚えはない!!
だいたいさっきまで無視だったくせに!!


言いたい事がありすぎて、余計に俺は言葉を詰まらせた。


「・・・君は?」

恭弥の視線が俺から隣へと移った。

⏰:09/02/04 21:53 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#134 [ちか]
「蓮見・・透って言います。」

透の声がやけに低くて、俺はチラリと横目で透を見た。


「ふうん・・。」


そう言って恭弥は上から下、下からまた上へと透を舐めるように見た。

2人の間に淀んだ空気が流れているような気がするのは、俺の勘違いだろうか・・

⏰:09/02/04 21:59 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#135 [ちか]
「コイツに用があるんですよね?俺帰るんで、遠慮せずにどうぞ。じゃあな、冥。」

「え、ちょっ・・透っ!!!?」


透は刺々(トゲトゲ)しく言い放つと、一度恭弥を睨んでスタスタと帰っていってしまった。


_

⏰:09/02/04 22:04 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#136 [ちか]
今の状況で俺を一人にしないでくれ!!(泣)


と言いたいけど、さっきよりもさらにすごい剣幕で怒っているコイツを目の前にしてそんな事言えるはずがない。


「・・・帰るよ。」

そう言って恭弥は俺の腕を掴んだ。

⏰:09/02/04 22:23 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#137 [ちか]
その力はすごく強くて、俺は咄嗟に恭弥の手をどけた。



なんなんだよ・・。
無視したり、
いきなり怒ったり..

勝手すぎるんだよ・・―っ


なぜかまた胸が軋んだ。

⏰:09/02/04 22:29 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#138 [ちか]
また身体が熱くなる。
さっきより胸が苦しくなる。


「―――・・・んで、」

「え?」

「なんでアンタはそう勝手なんだよっ!!!!」


俺は恭弥を睨みつけて言った。
突然の反論に驚いているのか恭弥は目を丸くしていた。

⏰:09/02/04 22:40 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#139 [ちか]
「無視したり、急に怒ったり・・・勝手すぎるんだよっ!!!」

一度込み上げて来た感情は止まる事をしらない。

「無視?なんの事?」

「とぼけんなよ!!
体育の時も廊下の時もっ・・――!!」

今さらとぼけるなんて酷いじゃん・・
そうやって俺をいい様に利用して・・・――っ

⏰:09/02/04 23:02 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#140 [ちか]
「ズルいんだよっ・・――!!」

そう言って俺は恭弥の胸を強く叩いた。

視界がぼんやりと滲んだ。


無視されてから一日中頭はコイツの事でいっぱいで。
苦しくて、辛くて。


これじゃまるで、
“片思い”でもしてるみたいだ‥‥――

⏰:09/02/04 23:12 📱:P906i 🆔:2CiSMaGI


#141 [ちか]
言いたい事を吐き捨てるように言い終わると、俺は恭弥の顔を恐る恐る見た。



恭弥はまだ驚いた顔している。
が、すぐにその表情は笑顔へと変わった。
そして、



ひょいっ

⏰:09/02/05 00:09 📱:P906i 🆔:3G19hwBE


#142 [ちか]
「わっ!?!?」


突然冥をお姫様抱っこのような形で抱き抱えた。


「思ったより軽いんだね。」


そう言って車に乗せると、「いつもより出来るだけ早く着くようにして。」と言い、車を出させた。

⏰:09/02/05 00:13 📱:P906i 🆔:3G19hwBE


#143 [ちか]
っな・・・、
コイツまた強引にっ・・―


しかもお姫様抱っこって!!

俺がなんで怒ってるのか、まるで伝わってない!!




・・て言うか、絶対さっきより機嫌よくなってる!!!!

⏰:09/02/05 00:30 📱:P906i 🆔:3G19hwBE


#144 [ちか]
(もう知らねーっ!!)


俺は心の中でそう叫んで、プイっと顔を窓の方に向けた。




沈黙の中、車は行きしなより3倍も4倍も早く黒羽家に着いた。

⏰:09/02/05 00:38 📱:P906i 🆔:3G19hwBE


#145 [ちか]
家の前に着くと、恭弥は俺を引っ張り車から降りた。

「離せっ!!離せってば!!!!」

「・・・・・・。」


なんの応答もないまま、恭弥はただ俺を引っ張って歩いていく。


強く握られた手首が少し痛い。

⏰:09/02/05 01:00 📱:P906i 🆔:3G19hwBE


#146 [ちか]
玄関でのメイドと執事の出迎えに見向きもせず、だだっ広い廊下を早歩きで通りすぎ、階段を上がって。



ガチャッ





着いたのには俺の部屋・・?

⏰:09/02/05 01:00 📱:P906i 🆔:3G19hwBE


#147 [ちか]
>>146訂正
着いたのには
└→×
着いたのは
└→○
すいません

⏰:09/02/05 01:12 📱:P906i 🆔:3G19hwBE


#148 [我輩は匿名である]
面白い

⏰:09/02/05 08:02 📱:F703i 🆔:h2jki5C.


#149 [ちか]
>>148
└→匿名さま*
ありがとうございます
良かったら感想板にも遊びにきてくださいね★
感想板↓
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/

⏰:09/02/05 16:44 📱:P906i 🆔:3G19hwBE


#150 [ちか]
>>146

恭弥は静かにドアを閉めると、掴んでいた手を強く引いて俺をベッドに座らせた。


「なんなんだよっ!!」


ドアの前に突っ立っている恭弥を睨みつけて言った。

⏰:09/02/05 17:05 📱:P906i 🆔:3G19hwBE


#151 [ちか]
「・・・・・。」

恭弥は小難しい顔をして、俯いていた。


この期に及んでまだ俺を無視すんのか!!!


俺は睨んでいた目をさらにキツくする。


しかし、あまりにも美しいソレに段々目を奪われてしまった。

⏰:09/02/05 22:34 📱:P906i 🆔:3G19hwBE


#152 [ちか]
「・・・、さっき僕を狡(ズル)いって言ったよね?」


沈黙を破ったその声で、自分が恭弥に見とれていた事に気づいた。


「え、うん..」

なんだ、ちゃんと聞こえてはいたのか。
ならなんで反応してくれないんだよ。
なんで解ってくれないんだよ。――――‥‥

俺はぎこちない返答をする。

⏰:09/02/05 22:56 📱:P906i 🆔:3G19hwBE


#153 [ちか]
「‥‥、そうかもしれない。」


眉間にシワを寄せ、ため息を吐いて呟いた恭弥のその言葉の意図が分からなくて、俺はただただそいつを見上げた。


少しして、また恭弥は俺を見据えて口を開く。


「さっき、お前があんまり可愛い顔をするから・・・
独り占めしたくなった。」


そう言って恭弥は視線を俺から斜め下へ落とすと、自分の前髪をクシャリと握った。

⏰:09/02/05 23:41 📱:P906i 🆔:3G19hwBE


#154 [ちか]
全身が一瞬で熱くなるのがわかった。



心臓が五月蝿い位
高鳴っている事も。






そして、悔しいほどときめいてしまった事も。

⏰:09/02/05 23:58 📱:P906i 🆔:3G19hwBE


#155 [ちか]
「だから早くココに着いてほしかったんだ。
あの場所じゃ、みんながお前の顔を見れただろ?
それがたまらなく嫌で‥。」


恭弥はそう続けて、また俺の方に向き直った。


顔は少し赤らんでいて、それを隠す為なのか片手は口元を隠していた。

⏰:09/02/06 00:21 📱:P906i 🆔:ched2wCU


#156 [ちか]
なんで。
なんでそんな顔をするんだよ。




そんな目で見られたら、
剃らせなくなる。



そんなこと言われたら、
抑えてた気持ちも
膨らむばっかりで・・――っ

⏰:09/02/06 00:36 📱:P906i 🆔:ched2wCU


#157 [ちか]
「やっぱりズルいよ‥―」



今自分がどんな表情(カオ)を痛い程分かるから、出来るだけ俯いてそう呟いた。


どう伝えたらいいんだろう。

少しのことですごく胸が苦しくなって、だけどほんの少しのことでときめいてしまうこの感情を。

⏰:09/02/06 21:39 📱:P906i 🆔:ched2wCU


#158 [ちか]
>>157訂正
今自分がどんな表情を痛い程分かるから
└→×
今自分がどんな表情をしているか痛い程分かるから
└→○

すいません><

⏰:09/02/06 22:00 📱:P906i 🆔:ched2wCU


#159 [ちか]
恭弥はゆっくり俺の方に歩いてくると、俺の身長に合わせるように床に膝をつけた。


「それから、さっきの‥無視が云々てやつも。
したつもりはないけど、お前がそれで傷ついたなら謝る。
だから顔あげてよ、冥。」



そう言って俺の頬に優しく触れた。

⏰:09/02/06 22:16 📱:P906i 🆔:ched2wCU


#160 [ちか]
コイツの声はまるで魔法みたいだ。



甘く囁かれると、勝手に
身体が動いてしまう。


神経の全てがその声を
もっと求めてしまう。


  

⏰:09/02/06 22:27 📱:P906i 🆔:ched2wCU


#161 [ちか]
俺はゆっくりと顔をあげた。



目の前には漆黒のきみが俺を真っ直ぐに見つめてる。




それだけで全身は更に熱くなった。

⏰:09/02/06 22:41 📱:P906i 🆔:ched2wCU


#162 [ちか]
「機嫌は治ったかな?」



そう言って恭弥は悪戯に笑う。


「うるさ・・‥、んン..//」



言い返そうとしたけど遮られて唇を奪われた。

⏰:09/02/06 22:59 📱:P906i 🆔:ched2wCU


#163 [ミカン]
ハマりました
頑張って下さいッ

⏰:09/02/06 23:42 📱:P905i 🆔:BoKt1Qyc


#164 [ちか]
>>163
└→ミカンさま*

ハマってもらえたとか嬉しすぎです´∀`
良ければ感想板にも来てくださいね
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/

⏰:09/02/07 00:18 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#165 [ちか]
そのキスは俺の思考回路の全てを停止させる。




神経を完全に奪って離さないソレが、俺を狂わせていく。



なんて狡いんだろう、この人は。

⏰:09/02/07 16:31 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#166 [ちか]
その甘さと気持ちよさに、俺は心を奪われる。



もっと、
もっと、と求めてしまう。




恭弥はそんな俺を解っていて、わざとあっさり唇を離した。

⏰:09/02/07 16:35 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#167 [ちか]
クチュッと音を鳴らして唇を離すと、恭弥は自分の唇を舐めた。


その顔も仕草も色っぽくて、目を奪われてしまう。


あっさりと離された俺は物足りなくて、ほのかに残った熱と感触を確かめるように指で唇をなぞった。

⏰:09/02/07 16:43 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#168 [ちか]
「クスッ‥もっとしてほしかった?」


恭弥はそう言って意地悪く笑う。


その質問があまりにも確信をはっきりと突いていて、俺は顔を赤らめた。

⏰:09/02/07 17:30 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#169 [ちか]
「う‥るさい‥っ//」


弱々しく言い返す俺。

本当はもっとしてほしい。
もっと触れてほしい。



だけど、そんな事言えない。
それを口にしてしまったら、恥ずかしくてコイツを睨めそうにもないから。

⏰:09/02/07 17:38 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#170 [ちか]
「クスッ、素直じゃないんだから。」


見透かしたようにそう言うと、また唇を塞いだ。

「ッ・・ハァ‥ンッ!!・・ぅっ‥///」

さっきよりもさらに濃くて、優しいキス。

離れたくなくなるほどに。

⏰:09/02/07 17:50 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#171 [ちか]
その気持ちよさに、俺の目はだんだんとまどろんでいく。


「クスッ・・冥、可愛い。」

「‥―!!あ‥ッ・・ん///」


甘く囁かれて突然耳を甘噛みされた俺は熱っぽい声をあげた。

 

⏰:09/02/07 18:11 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#172 [ちか]
「耳、感じるの‥?」

恭弥は俺のツボを知っているかのように、甘く低い声で囁く。

「・・ッハァ‥からかうな‥ぁッ!!!///」


途切れ途切れに言い返しながら肩で息をする俺を見て、恭弥は満足げに微笑んだ。

⏰:09/02/07 18:17 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#173 [ちか]
耳から首筋へ、首筋から鎖骨へと舌を這わされて、俺はその快楽によって出そうになる声を噛み殺す。



その唇に、
その舌に、
その指に感じていることを知られたくなかった。



俺の小さなプライドがそれを許さなかった。

⏰:09/02/07 20:17 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#174 [ちか]
「なんで我慢するの?」


恭弥は舌を這わしながらも、その合間に俺の微妙な行動を察して、的確な問いを投げかける。


まるで、お前の頭の中なんてお見通しだ、と言うような余裕の笑みで俺を見つめる。


俺はそれが悔しくて、今にも出そうな声を必死に飲み込んだ。

⏰:09/02/07 20:28 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#175 [ちか]
「へえ‥―
冥は頑固だね。
でも・・いつまで我慢出来るかなあ?」


その瞬間、恭弥は今まで見せたことのないような表情(カオ)をした。

俺はそれに思わず気をとられて、

「‥―ッ!!!!?///んぁ‥ハァッ!!//」


恭弥に隙を与えてしまった。

恭弥その一瞬を逃さず、ズボン越しから俺のモノを鷲掴みにした。

⏰:09/02/07 20:49 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#176 [ちか]
「クスッ・・こんなに膨らんで‥―。ここ、狭そうだね?」

「ハァッ‥んン!!///やめっ・・//」


細長い指先が、円を描くように俺の堅くなったモノをなぞる。


俺は身体をよじってその手から逃れようとするが、それが余計に恭弥を本気にさせてしまった。

⏰:09/02/07 21:06 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#177 [ちか]
「んぁッ!!//ハァッ‥―!!//」


突然胸の突起に吸い付かれた俺はあっけなく吐息混じりの声をあげてしまった。


俺の小さなプライドはコイツにいとも簡単に崩されていく。


いつの間に剥ぎ取られたのか、俺は上半身に何も纏(マト)っていなかった。

「厭らしい格好だね。クスッ
相当我慢してたでしょ?」

耳元で囁き、
胸の突起を弄び、
左手で俺のきわどい部分をなぞっていく。

⏰:09/02/07 21:21 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#178 [ちか]
その気持ちよさと、恥ずかしさに俺は両手で顔を覆った。


「も‥ぅ‥ンッ//やぁ‥っ」


嫌になる。
恭弥に触れられる度に、身体がピクッと反応してしまう自分が。


腰を浮かせて、もっと強い刺激を望んでる身体が。

⏰:09/02/07 21:37 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#179 [ちか]
吐息混じりの卑猥な声は、広い部屋によく響いた。



自分がこんなにも厭らしい声を出しているんだと改めて実感して、余計に恥ずかしくなる。


「そろそろかな。」

その声と共に俺はズボンと下着を剥ぎ取られた。

⏰:09/02/07 21:42 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#180 [ちか]
照明が、そそり勃つソレを照らしてる。


「我慢汁まで垂らして‥」

「いっ‥んゃあッ!!///」


恭弥は我慢汁をすくいとるようにソレをなぞった。


今までにない快楽が俺を容赦なく襲う。


「ふ・・ぁ‥ハァッ‥―!//」

裏筋を舐めあげられ、身体がビクンと跳ねた。

⏰:09/02/07 21:49 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#181 [ちか]
恭弥に弄ばれることによって、ソレはさらに大きさを増した。



俺の敏感な場所を容赦なく責める。


「だっ・・め‥!!///
な‥ハァ..ッん、ぁッ//おかし・・くな・・りそ‥―!!//」


途切れ途切れだが、それでも必死に訴えた。
初めての感覚に俺は不安で仕方なくて、恭弥の服を握った。

⏰:09/02/07 21:57 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#182 [ちか]
「おかしくなれば?」


一番甘く低く、そして妖艶な声でそう囁かれ、尖端を強く吸い上げられた瞬間、


「ンあぁッ‥――!!!!///」



激しく脈打ちながら、
白く濁ったものを恭弥の口内に放った。

⏰:09/02/07 22:05 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#183 [ちか]
「ハァ‥‥ハァッ‥―//」


肩で大きく息をしながら、恭弥を見た。


ゴクン..

俺の出したモノを呑み込んで、怪しく微笑んだ。

そして口の端についた液体を指で絡めとって舐める


「いっぱい出たね..」

恥ずかしくて顔から火が出そうだ。

⏰:09/02/07 22:11 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#184 [ちか]
「‥でもね、これだけじゃ終わらないんだよ?」


「え・・?ハァ・・ッひゃあッ!!//」


恭弥は突然俺を四つん這いにしてアナルを舐めだした。


「なっ・・ハァッ//!!にす‥―ぁあッ、・・!!//」

「ちょっと下準備を‥ね」


ピチャッ
クチュ・・

「あんッ‥‥んンあ‥!//」


部屋には俺の喘ぎ声と
厭らしい音が響く。

⏰:09/02/07 22:19 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#185 [ちか]
指を入れられて、俺のその声はさらに大きくなった。



指は一本、また一本と増えていき、俺の気持ちいい処だけを責めていく。


「こんなもんかな。」


もう少しでイキそうな俺を知ってか知らずか、恭弥は指を抜いて呟いた。

⏰:09/02/07 22:23 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#186 [ちか]
と、すぐに別のモノが俺の穴に触れた。


その感じたことのない感覚に俺は咄嗟に振り返った


「‥‥――っ!!?//」


そこには俺のより、遥かに大きく、そして反った恭弥のモノがあった。


「最初は痛いかもしれないけど‥、優しくするから」

そう言う囁く恭弥の声は、とても優しくて暖かかった。

⏰:09/02/07 22:29 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#187 [ちか]
>>186訂正
そう言う囁く
└→×
そう囁く
└→○
すいません´`

⏰:09/02/07 22:31 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#188 [ちか]
「んっ‥ハァッ!!いた‥ぁ‥ッぃ..ッ!!」


あまりの痛さに俺の瞳(メ)からは自然に涙が零れた。

全身が燃えるように熱い。


俺は耐えるようにベッドのシーツを握りしめた。

⏰:09/02/07 22:34 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#189 [ちか]
「冥‥泣かないで。もう少しだから・・――」

そう言って恭弥は俺の涙を優しく拭った。

痛さのあまり声が出せない俺は小さく頷いた。


「ん・・っあッ‥!!ハァッ・・//」


痛みも徐々に和らいだ瞬間、それと入れ代わるように快楽が俺を襲った。

⏰:09/02/07 22:39 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#190 [ちか]
「ンんぁ‥―ッ//あ‥ッひゃあ!!///」

ある一定の部分に恭弥のモノが当たった時、俺は情けない声を部屋中に響かせた。


「ここが気持ちいいんだ?」

その瞬間、恭弥は連続的にそこを突いた。

「ひゃッあッ・・んぁ//!!!」

突かれる度にその声は大きさを増してゆく。

恭弥の気持ちのよさそうな吐息と声が俺の耳に届いた。

⏰:09/02/07 22:45 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#191 [我輩は匿名である]
>>1-50
>>51-100
>>101-150
>>151-200

失礼しました(・ω・`)

⏰:09/02/07 22:49 📱:W61P 🆔:Mw4xHTo.


#192 [ちか]
「だ・・めっ・・あぁッ―!!」

一番強く突かれた瞬間、快楽の波が俺を襲って2回目の頂点に達した。


体内にドクドクと何かが入ってきたのが分かった。


きっとこれはさっき俺が出した液体と同じ・・


息遣いの荒らさから恭弥も頂点に達したことに気づいた。

⏰:09/02/07 22:50 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#193 [ちか]
「ハァッ‥―ハァッ‥―」

息をするのがやっとだった。


「ごめんね、冥。」

恭弥は少し申し訳なさそうに俺の隣で呟いた。

「‥‥?」

その言葉の意味がいまいち分からなくて、どうして?と言うような顔で俺は恭弥を見つめた。

それを察したかのように、

「泣かせるつもりはなかったんだ‥。ごめん。」

と俺を抱き締めた。

⏰:09/02/07 22:55 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#194 [ちか]
「べ‥べつに泣い‥てないし・・//大丈夫だから//」


強がって嘘をつく俺を恭弥は優しい笑顔で、「ウソつき」と囁いた。

「嘘じゃな・・//」

抱き締められながら目を瞑ると、急に睡魔が襲ってきた。


「ス―‥ス―‥」

寝息をたてて眠る俺の髪を、クスッと笑って優しく撫でた。

⏰:09/02/07 23:03 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#195 [ちか]
夢におちるように、




俺はきみにおちていく。



優しくて意地悪な、
漆黒のきみに‥‥―――


  ― 第一話 e n d ―
 

⏰:09/02/07 23:06 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#196 [ちか]
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

第一話 漆黒のきみ
>>3-195

やっと第一話完結しました><★
読み直すと、誤字・脱字だらけで恥ずかしい(;ω;`)

感想・ご意見など頂けると嬉しいです*∩^ω^∩
感想板↓
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

⏰:09/02/07 23:13 📱:P906i 🆔:HBpMrMsU


#197 [我輩は匿名である]
第2話楽しみにしています

⏰:09/02/07 23:21 📱:F703i 🆔:akYlTQ8g


#198 [ちか]
>>191
└→我輩は匿名さま*

アンカーありがとうございます∩^ω^∩★

>>197
└→我輩は匿名さま*

第2話も楽しんで頂けるように頑張りますね
感想板にもぜひ遊びにきてください

⏰:09/02/08 18:15 📱:P906i 🆔:qI2htTWA


#199 [ちか]
`


第二話 比例する気持ち


 

⏰:09/02/08 18:27 📱:P906i 🆔:qI2htTWA


#200 [我輩は匿名である]
次の日、シャンプーのような、どこかで嗅いだことのあるほのかな香りで俺は目を覚ました。



「ん‥――、」



意識はまだ朦朧していて、目が完全に開くまで数分の時間がかかった。

⏰:09/02/08 18:39 📱:P906i 🆔:qI2htTWA


#201 [我輩は匿名である]
ようやく意識がはっきりしてきて、射し込んでくる光から今が朝なんだと言うことを知った。



俺、いつの間に寝ちゃったんだろ‥

そうだ、あの後急に眠くなって‥―


そこまで思い出した瞬間(トキ)、俺は真っ赤にした。

昨日のアレを思い出して。

⏰:09/02/08 19:17 📱:P906i 🆔:qI2htTWA


#202 [ちか]
>>200-201名前、ちかです;


思い出せば思い出すほど、顔は赤くなっていった。



恥ずかしくて思わず両手で顔を覆った。




そう、昨日俺は人生で初めて抱かれたんだ。
しかも男に。

⏰:09/02/08 19:23 📱:P906i 🆔:qI2htTWA


#203 [ちか]
赤さを増す顔に、俺は思い出すのをやめた。



「そうだ、学校いかな‥――!?!?」


独り言を呟いてそこから起き上がろうとした時、突然腰に激痛がはしった。


「‥いっ‥たあ〜‥ッ!!!」


その痛さに、涙がジワリと滲んだ。

⏰:09/02/08 19:41 📱:P906i 🆔:qI2htTWA


#204 [ちか]
「あ、起きたの?」



目覚めた時の香りと共に甘い声が頭上で聞こえて、俺はその声を辿った。



「おはよう。」



そこには優しく微笑む恭弥。

その綺麗な黒髪と引き締まった上半身からは水がポタポタと滴っていて、色っぽかった。

⏰:09/02/08 22:21 📱:P906i 🆔:qI2htTWA


#205 [ちか]
「‥‥冥?」


名前を呼ばれて俺はハッとした。
見とれてしまってたみたいだ。




「っな、なに?!?//」



焦って返事する俺。

⏰:09/02/08 22:37 📱:P906i 🆔:qI2htTWA


#206 [ちか]
「クスッ、なに見とれちゃった?」

恭弥は綺麗な瞳を細めて、意地悪く笑う。

「ち、ちがっ‥!!!///」

言葉を遮るように、

「図星かあ。クスッ可愛い。」

そう言って優しく俺の頭を撫でる。

「お前、またそうやって俺をからかって‥!!///」


見透かされてるのが悔しくて必死に否定するけど、そんな行動もコイツにとっては小動物とじゃれ合っているようなもの。

⏰:09/02/08 22:46 📱:P906i 🆔:qI2htTWA


#207 [ちか]
「『お前』じゃなくて、
『恭弥』って呼んでよ。」

「‥‥っ!!///」


ふわりと漂うシャンプーの香りと、そのなんとも言えない声は俺の神経を一瞬で自分のものにする。



赤面する俺を見て、恭弥はさらににっこりと笑った。

⏰:09/02/08 22:53 📱:P906i 🆔:qI2htTWA


#208 [ちか]
「だ、誰が呼ぶかっ!!///」


俺は頭を撫でるその大きな手をはらって睨みつける。


「昨日はあんなに可愛いかったのに。クスッ」


その甘い声に背筋がゾクっとした。


「う、うるさいっ!!!///
早く服着ろ変態っ!!//」

⏰:09/02/08 23:08 📱:P906i 🆔:qI2htTWA


#209 [ちか]
「ひどいなあ。」


恭弥はそう言って、あははっと笑った。


しなやかな身体に、ほどよい筋肉のついた腕。



そんな体に白いシャツはよく似合った。

⏰:09/02/08 23:11 📱:P906i 🆔:qI2htTWA


#210 [ちか]
「冥もシャワー浴びておいでよ。」


振り向いて言うその笑顔に今にも悩殺されそうになる。


「言われなくても‥―っ!!、うっ‥‥ッ」



忘れかけていた痛みがまた俺を襲った。

⏰:09/02/08 23:15 📱:P906i 🆔:qI2htTWA


#211 [ちか]
「いてて‥‥――、なんなんだよ〜コレ‥」


俺は涙目で腰をさすった。
この痛みの理由(ワケ)を俺は知らない。


「ごめん、ちょっとやりすぎたかな‥?」


もちろん、コイツの言葉の意味も。

⏰:09/02/09 17:45 📱:P906i 🆔:ssqUFrOo


#212 [ちか]
「“やりすぎた”ってなんのことだよ?」


尚も腰を擦りながら、俺は尋ねた。


「‥‥もしかしてお前解ってない?」


「“解ってない”って何がだよ!」


会話にならない会話続く

⏰:09/02/09 17:55 📱:P906i 🆔:ssqUFrOo


#213 [ちか]
>>212訂正
会話にならない会話続く
└→×
会話にならない会話が続く
└→○
すいません

⏰:09/02/09 17:56 📱:P906i 🆔:ssqUFrOo


#214 [ちか]
恭弥は『まさか』とでも言いたげな驚いた目をして俺を見下ろす。


「なんなんだよっ!!
馬鹿にしてんのっ?!」


なんとも言えない悔しさにでいっぱいになった俺はキッと睨んで怒鳴った。

⏰:09/02/09 18:01 📱:P906i 🆔:ssqUFrOo


#215 [ちか]
>>214訂正
なんとも言えない悔しさにでいっぱいになった‥
└→×
なんとも言えない悔しさでいっぱいになった‥
└→○
誤字ばかりですいません

⏰:09/02/09 18:03 📱:P906i 🆔:ssqUFrOo


#216 [ちか]
恭弥はそんな俺の声にハァとため息を吐いて、

「だーかーらー。‥アレだよ、ほら‥昨日のせい。」

と言いにくそうに呟いた



俺が顔を真っ赤にするのを見ると、発言した本人も目線を斜め下に下げて、少し顔を赤らめた。

⏰:09/02/09 18:13 📱:P906i 🆔:ssqUFrOo


#217 [ちか]
「なっ//、あんたが照れてどーすんだよ!!馬鹿っ//」


「冥が言わすからだろっ!!///」


俺の怒声に思わず恭弥も声を張り上げた。


「うっせー!!!///」



押し切る形でこの喧嘩は俺の勝ちとなった。

⏰:09/02/09 18:28 📱:P906i 🆔:ssqUFrOo


#218 [ちか]
喧嘩のあとの沈黙は、ソレをより静かにした。



未だに腰が痛くてベッドから出れない俺は、上半身を壁にもたれさせるような形でやっと上体を起こすことが出来た。


「‥‥‥‥‥‥‥‥。」

「‥‥‥‥‥‥‥なぁ、」



続く沈黙にしびれを切らした俺は、ずっと気になっていた事を聞こうと口を開いた。

⏰:09/02/09 22:16 📱:P906i 🆔:ssqUFrOo


#219 [ちか]
「なに?」

「あの…さ、昨日からずっっっと気になってたんだけど‥‥」

「だからなに?」

「えっと‥、あの、昨日…」

「昨日?」

「その‥――、昨日なんで無視したんだよ。」


まだ気にしてんのか、そう思われそうで、呆れられてしまいそうで、言葉にするのに少し時間がかかった

⏰:09/02/09 22:22 📱:P906i 🆔:ssqUFrOo


#220 [ちか]
「悪いけど、その件に関してはほんとに心当たりがないんだよ。」


恭弥はそう言ったあとに少し間をあけて「ごめんね。」と付け足した。


その面持ちからそれが嘘じゃない事が解ると、俺の頭は余計に混乱してしまった。

確かにあの時‥‥―――

「っでも‥あの時‥――、ちゃんと目合ったよ…」

⏰:09/02/09 22:34 📱:P906i 🆔:ssqUFrOo


#221 [ちか]
シーツを握りしめて、まるで独り言のように呟いた。


苦しかったんだ。


俺が感じた“無視”は、
コイツにとっての“無視”じゃなくて、


俺の瞳にはコイツがうつってたのに、コイツの目には俺がうつってなかった、と言うことが。

⏰:09/02/09 23:58 📱:P906i 🆔:ssqUFrOo


#222 [ちか]
また続く沈黙に俺は俯いた顔をあげる事が出来ない。

いや、今目の前のヤツがどんな顔をしてるのかと思うと、怖くてあげる事なんて出来なかった。


“うざい”って思われてるかもしれない。

“しつこい”って思われてるかもしれない。


さっきまで俺に向けられていた笑顔が、残酷な顔に変わっているかもしれない。


そう思うだけで身体が押し潰されそうで、この話題を出してしまった事を後悔した。

⏰:09/02/10 00:11 📱:P906i 🆔:SdvBzJis


#223 [ちか]
「‥‥‥‥‥あ、」


そう短く声を漏らしたのはのは恭弥の方だった。


「そう言えば、それって体育と昼休みだっけ?」

「うん・・」


俺の弱々しい返事とは反対に、恭弥はそれ聞いて急に笑いだした。

⏰:09/02/10 18:45 📱:P906i 🆔:SdvBzJis


#224 [ちか]
「なっ、なんで笑うんだよっ!!!//俺は真面目に…」


「いや、確かに“無視”してたのかもって思って。」


そう言ってまた恭弥はクスクスと笑う。


ワケわかんねえ‥

結局無視したのか、してないのかどっちなんだよ!

⏰:09/02/10 18:50 📱:P906i 🆔:SdvBzJis


#225 [ちか]
俺は笑い続ける恭弥をキッと睨みつける。

暫くして笑いがおさまった恭弥は口を開いた。

「僕、目すっごい悪いんだよね。」


‥‥‥は?


「普段コンタクトなんだけど、昨日はちょうど体育の時間にとれちゃってね。
眼鏡も忘れちゃったから、放課後運転手に持ってきてもらったんだよ。」


‥‥‥‥‥‥はあ?!

⏰:09/02/10 19:00 📱:P906i 🆔:SdvBzJis


#226 [ちか]
それじゃあ‥‥


「まぁつまり、見えてなかったってワケだ。」


俺の…


「そう言えば昼に話しかけられた気したんだよね。誰かわかんなかったから、スルーしちゃったけど。」


俺の心配って‥‥


一体なんだったんだああ!!!!

⏰:09/02/10 19:35 📱:P906i 🆔:SdvBzJis


#227 [ちか]
一気に怒りが込み上げてきたけど、あまりの馬鹿らしさにソレもすぐ冷めてしまった。


「馬鹿みたい‥‥」

俺はそう言ってため息を吐いた。


「でも僕は嬉しいな。可愛い冥が見れたしね。」


そんな言葉に俺はさらにもう一つため息を吐いた。

⏰:09/02/10 19:47 📱:P906i 🆔:SdvBzJis


#228 [ちか]
「冥怒ってる?」

そう言って俺の顔を覗きこんだ恭弥は満面の笑みだった。


コイツ、まじで喜んでるんだな‥


「怒ってない。」


呆れた口調で返す俺。

⏰:09/02/10 19:58 📱:P906i 🆔:SdvBzJis


#229 [ちか]
「なら、良かった♪」

「‥‥‥っふえ?!?!?!」

恭弥は笑顔でそう言うと、急に俺をお姫様抱っこで持ち上げた。



「ばっ!!ちょ…っ!!なにすんだよっ!!///」


「痛くて起きれないんでしょ?」


そう言って恭弥はニヤリと笑う。

⏰:09/02/10 20:15 📱:P906i 🆔:SdvBzJis


#230 [ちか]
「お、降ろせ馬鹿っ!!///」

「やだね。」

「“やだ”じゃねーっ!!
降ろせってば!!///」


なんで16にもなってお姫様抱っこなんかされなきゃいけないんだよ!!


「暴れないでくれる?
持ちにくいんだけど。」

「おーろーせーっ!!!!」


恭弥は大声を張り上げ、ジタバタ俺にため息を吐いた。
そして、‥‥―――

⏰:09/02/10 22:06 📱:P906i 🆔:SdvBzJis


#231 [ちか]
チュ。

「うるさいよ。」


俺の思考は一時停止。
情報処理に少し時間がかかるようだ。


え〜‥今の状況は‥
唇が重なって、
うるさいって言われた。

ハイ、情報処理完了。

俺の今言うべき言葉は…



「こンのド変態がああ!!!」

「あー、うるさい。」

⏰:09/02/10 22:11 📱:P906i 🆔:SdvBzJis


#232 [ちか]
>>230訂正
大声を張り上げ、ジタバタ俺に…
└→×
大声を張り上げ、ジタバタする俺に…
└→○
すいませんm(__)m

⏰:09/02/10 22:13 📱:P906i 🆔:SdvBzJis


#233 [ちか]
そうこうしてるうちにバスルームに着いた。


俺はドアノブを回そうとする恭弥の手をがっちり掴む。

「こ、ここでいいってば!!
あとは自分でするから!!///」

「いいよ、せっかくだし洗ってあげ‥‥「洗わなくていいからっ!!!!」


言葉を遮る俺に、恭弥も渋々といった表情(カオ)で俺をゆっくり降ろした。

⏰:09/02/10 23:28 📱:P906i 🆔:SdvBzJis


#234 [ちか]
俺は出来るだけ腰に負担がかからないようにそこから降りる。


「じゃ、あとは適当にやるからあっち行ってて!」

そう言って俺はドアを勢いよくバタンと閉めた。



「はぁ〜‥。」

アイツが居なくなった瞬間全身の力が抜けて、俺は崩れるように座った。

⏰:09/02/11 09:40 📱:P906i 🆔:D4KC0L06


#235 [ちか]
「あつ‥‥。」


全身が熱くて、
心臓は高鳴ったまま。






全ては恭弥のせいで。

⏰:09/02/11 16:19 📱:P906i 🆔:D4KC0L06


#236 [ちか]
「いきなりは反則だろ〜‥」

弱々しい声が響く。



胸の高鳴りはなかなか止まなくて、俺はグッと胸を押さえた。


唇にはまだあの感覚が残ってる。

⏰:09/02/11 16:40 📱:P906i 🆔:D4KC0L06


#237 [ちか]
だめだ‥



俺、完全にアイツのペースに乗せられてる。


あのヤラシイど変態のペースに。



俺はもう一度大きくため息を吐いたあと、頭を冷やそうと浴室に入った。

⏰:09/02/11 20:13 📱:P906i 🆔:D4KC0L06


#238 [ちか]
服を脱ぐ途中、また昨日の事が蘇った。


ここを触られた、とか
ここを舐められた、とか
なんかいろいろと鮮明に思い出してしまった俺はさらに顔を火照らせた。

「なに考えてんだ俺!!
忘れろ忘れろ忘れろ‥」

自分に言い聞かせるようになんどか呟いて、中に入った。

⏰:09/02/11 20:22 📱:P906i 🆔:D4KC0L06


#239 [ちか]
中は結構広かった。


なんて言うか、金持ち感が漂ってた。
すっごい良いホテルにありそうな感じ。


俺はそんな事を考えながら、シャワーを浴びた。


ふいに手をシャンプーの方に伸ばした。
これまた高そうなシャンプー。
一般人の俺には見た事のないようなやつだった。


シャンプーからは恭弥の匂いがして、少し心地よかった。

⏰:09/02/11 20:28 📱:P906i 🆔:D4KC0L06


#240 [ちか]
サッパリした気分でそこから出ると、綺麗折り畳まれた制服の隣にまたシワ一つない新品のシャツがあって、やっぱり少し着心地が悪かった。


ベッドの方に戻ると、ピシッと制服に身を包んだ恭弥が居た。


こう見ると、やっぱ生徒会長だなあって思う。

⏰:09/02/11 20:38 📱:P906i 🆔:D4KC0L06


#241 [ちか]
ピシッと制服を纏った恭弥からは、昨日や今朝のような変態っぽさを微塵(ミジン)も感じさせなかった。


「詐欺だ…。」

「え?」

「いや、なんでもない!!」

「?」

いけない、思ったことがつい口に出てしまった。
俺はヘラヘラと笑ってごまかした。

⏰:09/02/11 20:50 📱:P906i 🆔:D4KC0L06


#242 [ちか]
その後、朝食を食べに1階へと降りた。


慣れない家に、恭弥の後ろをちょこちょこと間をあけながら歩く俺。


俺達が一つの部屋の前に立つと、メイドの人2人が「おはようございます。」と頭を下げて扉を開けてくれた。

⏰:09/02/11 21:00 📱:P906i 🆔:D4KC0L06


#243 [ちか]
中に入ると、たくさんのメイドさん達がズラリと並んでいて、テーブルには朝食とは思えないほど豪華な料理が所狭しと並んでいた。


「恭弥様、冥様、今日の朝食はイタリア産の‥」

と、朝食のメニューについて語り出すシェフ。

聞いた事のない料理の名前やら何やらで、俺の頭は朝から少し混乱気味だ。

 

⏰:09/02/11 21:16 📱:P906i 🆔:D4KC0L06


#244 [ちか]
しかし味は超うまい。


俺はその美味さに一人黙々と料理にがっついた。


なにしろ一人暮らしの間、遅刻魔だった俺は久しぶりにまともな朝食だったからな。

……いや、『まともな』ってのは撤回しよう。

⏰:09/02/11 21:21 📱:P906i 🆔:D4KC0L06


#245 [ちか]
「そんなに美味しい?」

両頬をリスみたいに膨らまして料理を頬張る俺に、頬杖をつきながら尋ねてきた。

「うん、最高っ!」

「じゃあ、あげるよ。」


そう言って恭弥は自分の分を俺によこした。

⏰:09/02/11 21:40 📱:P906i 🆔:D4KC0L06


#246 [ちか]
「もう、僕お腹いっぱいだから。」

ニコニコしながら俺にそう言う恭弥。

「お腹いっぱいって…」

よこされた皿に目をやると、初めに運ばれてきた時と同じと言ってもいいほど残っていた。

⏰:09/02/11 21:48 📱:P906i 🆔:D4KC0L06


#247 [ちか]
「それに、冥見てる方が楽しいしね。」


そう言って俺の口の端についたソースを指でとってペロッと舐めた。


「あ、また赤くなった。」


クスッと笑うコイツと
赤面する俺。


めちゃくちゃ悔しい。
またコイツのペースだ…

⏰:09/02/11 21:54 📱:P906i 🆔:D4KC0L06


#248 [ちか]
「いらないっ!!///」

「クスッ、可愛い♪」

「からかうなっ!!!!!」

「だって可愛いもん。」

「・・・・。(怒)」


あ゙〜〜〜っ!!!!
もうやだ!!!!


コイツもコイツのペースに流される俺もいやだ…。

⏰:09/02/11 22:18 📱:P906i 🆔:D4KC0L06


#249 [ちか]
良く考えろ俺…

一昨日から今まで何回こう言うやり取りをした?!


いい加減大人になれ俺…

流されるな、
流されるな、俺…


呪文のようにそんな事を小声で呟く俺と、それを不思議そうに見つめる恭弥。

⏰:09/02/11 22:29 📱:P906i 🆔:D4KC0L06


#250 [ちか]
「恭弥様、そろそろお時間でございます。」


「あ、そう。
じゃ、冥行こっか。」


「う、うん..」


次からコイツに流されない事を心に固く決心して俺はその場をあとにした。

⏰:09/02/11 22:34 📱:P906i 🆔:D4KC0L06


#251 [ちか]
車に乗り込んで数十分。


学校まであと少しのところで俺は車を停めてもらった。


「冥?どうかした?」

俺を不思議そうに見つめる恭弥。

「や、あの…歩きたいなって。あははは‥」


本当は昨日みたいな質問攻めをされたくないだけ。

⏰:09/02/12 19:25 📱:P906i 🆔:XFHqvW0U


#252 [ちか]
「ふうん…、じゃあ僕も降りようかな。」

「なっ、なんで?!?!」

「なんでって言われても。
冥居なきゃつまんないしね。」

いや、あんたも降りたら結局昨日一緒なんだよ!!


「なにか問題でも?」

「い、いや…。」

言葉の中の微妙な威圧感に俺は拒否出来なかった。

⏰:09/02/12 19:36 📱:P906i 🆔:XFHqvW0U


#253 [ちか]
>>252訂正
結局昨日一緒なんだよ
└→×
結局昨日と一緒なんだよ
└→○
すみません><

⏰:09/02/12 19:39 📱:P906i 🆔:XFHqvW0U


#254 [ちか]
教室に入ると、昨日に巻き戻ったようだった。


恭弥が歩いて登校してきた事がかなり珍しかったらしい。



つーかそんなん本人に聞けっつーの!!!!!
なんで俺が2日連続で朝っぱらからしち面倒くさい目に遭わなきゃいけないんだよ…。

⏰:09/02/12 19:47 📱:P906i 🆔:XFHqvW0U


#255 [ちか]
「おはよー透ー。」

朝からもみくちゃにされながらクタクタな声で透に話しかけた。

「おー。今日も仲良く登校ですか。」

茶化すように言う透。

「仲良くってワケでもねーよ…」

 

⏰:09/02/13 18:32 📱:P906i 🆔:z7IuJ69c


#256 [ちか]
「どうだか。(笑)
てかお前が遅刻せずに朝礼参加とか初めてじゃん。」

「朝礼?」

「お前、木曜(今日)は朝礼の日だろーが。」

「…そーだっけ?」


朝礼なんてまともに参加した事のない俺が、そんな事覚えてるわけない。

そんな俺を透は「お前らしいわ。」と呟いて笑った。

⏰:09/02/13 18:40 📱:P906i 🆔:z7IuJ69c


#257 [ちか]
暫くしてチャイムが鳴り、俺達はゾロゾロと体育館に向かった。



体育館に着くと、透と別れ自分の定位置についた。


長ったらしい朝礼が始まるのかと思うと憂鬱で仕方ない。

俺は一度大きく欠伸(アクビ)をした。

⏰:09/02/14 18:34 📱:P906i 🆔:XA.ZP7xg


#258 [ちか]
が、そんな眠気も憂鬱も次の瞬間一気に吹っ飛んでしまった。


「みなさん、おはようございます。」


そんな聞き覚えのある声がマイクを通して館内に響く。

それに伴って体育館中も少しざわめき始めた。

前に立っているのは紛れもなくアイツ。

⏰:09/02/14 18:42 📱:P906i 🆔:XA.ZP7xg


#259 [ちか]
そー言えば、アイツ生徒会長だっけ…。


ピシッと制服に身を包み、なんとも言えないオーラを放つ恭弥。



俺はどうもコイツの学校と普段のギャップに馴染むことが出来なくて、まじまじとソイツを見ていた。

⏰:09/02/15 10:57 📱:P906i 🆔:AvBQeG76


#260 [ちか]
「黒羽先輩ほんとかっこいい///」

となりの奴らが小さな声で話しだした。

「木曜は朝から黒羽先輩見れるから幸せだよねー!」

俺は朝の朝からコイツ見てるけど、そんな幸せ感じねーぞ…

となりの奴らが大きく頷いてるのを見ながら、俺は心の中で小さく呟いた。

⏰:09/02/15 11:01 📱:P906i 🆔:AvBQeG76


#261 [ちか]
「あ、でも知ってるー?」

「なにが?」

「黒羽先輩ね、佳山先輩と付き合ってるらしいよ〜」
「え?!」

そんな言葉が耳に届いた瞬間、俺は咄嗟に声を漏らした。


隣の奴らにまでその声は届いてなかったようで、そいつらは話を続けている。

⏰:09/02/15 11:08 📱:P906i 🆔:AvBQeG76


#262 [ちか]
「え?!うそ、副会長じゃん!!」

「そーそー。あたしも昨日2年の先輩達から聞いてさあ…」

言葉の一つ一つが俺の胸をざわめかせ、鼓動を速めた。

「そう言えば最近よく一緒に居るような…」

「まぁ、佳山先輩超美人だし仕方ないよね〜」

「悔しいけど美男美女だしねー」

⏰:09/02/15 11:13 📱:P906i 🆔:AvBQeG76


#263 [ちか]
2人は2、3度頷いて会話を終えた。



目の前には無表情で淡々と話す恭弥。


その斜め後ろに居るのがたぶん佳山って人だな…

そう言えば昨日の昼休みにアイツと話してた人もこの人だったっけ‥。

⏰:09/02/15 18:48 📱:P906i 🆔:AvBQeG76


#264 [ちか]
なんなんだろう。


胸がズキズキするし、
もやもやして気持ち悪い


朝ごはんの食べ過ぎ…?



まさかな(笑)

⏰:09/02/15 18:50 📱:P906i 🆔:AvBQeG76


#265 [ちか]
「――…い、冥?」

「……え?」

気がつけば朝礼は終わっていて目の前に透が居た。


「お前、ちゃんと朝礼出たと思ったら寝てたのかよ〜。」

そう言って透は俺の頭をクシャクシャと撫でた。

⏰:09/02/15 18:56 📱:P906i 🆔:AvBQeG76


#266 [ちか]
「っち、ちげーよ!!
ちゃんと起きてたっつーのっ!!///」

「はいはい♪」

透は流すようにそう返事して体育館を出た。

「ま、待てよっ」

「早くしねーとHR始まんぞー。あ、お前はどのみち寝るから同じか?」


どいつもこいつも俺をガキ扱いしやがって!!

⏰:09/02/15 19:00 📱:P906i 🆔:AvBQeG76


#267 [ちか]
教室に戻っても、胸のざわめきはおさまらなかった。



いや、むしろ余計に苦しくなってモヤモヤした。


なんなんだよ…――
考えれば考えるほど、すげえイライラする…

アイツが教室の前を通る時、俺とすれ違う時、さらには他の奴らがアイツの話をしているのを聞くだけでも胸がズキズキと疼(ウズ)いた。

⏰:09/02/16 18:03 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#268 [ちか]
「冥、お前顔色悪いぞ?」


何限目の休み時間だろうか。
気がつけば目の前に俺を心配そうに見つめる透が居た。

「…え、そう?」

確かに朝礼の後から、苦しさは増すばかりだ。

「お前保健室で寝てな。先生に言っといてやるから。」

そう言って透は俺の頭をぽんぽんと撫でる。

「ん、ありがと…」

俺はそう小さく呟いて教室を出た。

⏰:09/02/16 18:17 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#269 [ちか]
あ゙ー…
なんか頭も痛くなってきたかも。


俺は重たい扉をガラガラとゆっくり開けた。


「あら、どうしたの?」

「なんか体調悪くて…」

「じゃあ寝ていく?一応体温計ってね。」

体温計を渡された俺はフラフラとベッドの方へ歩いた。

⏰:09/02/16 18:37 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#270 [ちか]
「あ、そうそう。」

「え…?」

先生の声に俺は足を止めて振り返った。

「片方のベッドにもう1人寝てる子が居るから、起こさないようにね。」

「あぁ、はい。」


そう返事をして、俺は掴んでいたカーテンを開いた。

⏰:09/02/16 18:40 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#271 [ちか]
カーテンを開けた瞬間、俺は短く大きな声をあげた。


ス―‥ス―‥

ベッドに寝息をたてて眠る恭弥が居たから。


「静かに。日下君は、その隣のベッド使ってね。」

「は、はいっ!!///」


俺はピシャリとカーテンを強く閉めて、隣のベッドに入った。

⏰:09/02/16 18:48 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#272 [ちか]
なんで?!
なんでアイツが寝てんの?!?!


俺はあまりに驚いてベッドにドサッと座り込んだ。


心臓が激しく脈を打つ。
自分にまでその音が聞こえる。
 

⏰:09/02/16 20:24 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#273 [ちか]
ピピピッ‥ピピピッ‥

体温計が機械的な音を響かせた。

「熱あった?」

カーテンを開けて先生が顔を覗かせる。
体温計に目をやるとわずかながら微熱だった。

「微熱だけど上がるかも知れないしゆっくり寝てなさいね。先生、ちょっと用があって出るから。」


先生はそれだけ言って保健室を出ていってしまった。

⏰:09/02/16 20:29 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#274 [ちか]
静まり返る保健室。


ドクドクと脈打つ音が余計に大きく聞こえてくる。


「ん‥――、」


隣から聞こえてきたのは恭弥の声。

(コイツ起きないうちにここから出よ…っ)

俺はソロリとベッドを降りてカーテンを開けた。

⏰:09/02/16 20:34 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#275 [ちか]
が、俺はそこから立つ事も出来ずに停止した。

「ん…冥?…おはよう‥」


寝ぼけた顔で目をこすりながら呟く恭弥。


どうやらさっき起きたみたいで、カーテンを開けて起き上がろうとしていたみたいだ。

⏰:09/02/16 20:41 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#276 [ちか]
「お、おは、おはよっ!!」


何動揺してんだ俺っ!!//


「なんで冥がここに…?
あれ、僕寝ぼけてる…?」


グイグイと俺の顔を確かめるように近づいてくる。

恭弥の手が俺の頬に触れた瞬間、俺はオーバーヒート。

⏰:09/02/16 20:47 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#277 [ちか]
「あ、やっぱり冥だ。
こんな処で何してるの?」


優しく微笑みながら囁かれる甘い声に俺は身動きがとれない。


「…僕と遊びに来たの?」


優しい笑みは怪しい笑みへと変わり、恭弥は俺のベッドにスルリと滑り込んできた。

⏰:09/02/16 21:46 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#278 [ちか]
「な、なにしてんだよっ!!
ひゃあっ…!!///」


首筋を這う生暖かい感触に、俺は思わず熱っぽい声をあげた。


「クスッ気持ちいいの…?」


そう囁いて耳を甘噛みされ、俺はさらに声を漏らした。

⏰:09/02/16 21:57 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#279 [ちか]
「違っ!!!///んっ…!!//」


否定しようと口を開いた瞬間、恭弥の舌が滑り込んできた。


絡みつく舌に俺は吐息混じりの声を辺りに響かせる。

その激しさにうまく息が出来ない。


暫くして離された唇からは糸が引いていてなんとも厭らしかった。

⏰:09/02/16 22:27 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#280 [ちか]
「ハァッハァッ…――///」


恭弥は頬を真っ赤に染める俺を見て、満足げに微笑んだ。


「次はどうしてほしい?」


コイツはいつも俺がその声に弱い事を知ってて、わざと甘く囁くんだ。

俺はそれが悔しくて下唇をギュッと噛んだ。

⏰:09/02/16 23:00 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#281 [ちか]
「…冥が言わないなら、僕の好きなようにするよ。」


少しムッとした顔でそう呟くと、俺の両手首を押さえ込んだ。

それと同時にシャツ越しから俺の突起に吸い付いた。

「んぁっ!!///ハァッ…!!//」

喘げば喘ぐほど恭弥の愛撫は激しくなっていく。

⏰:09/02/16 23:24 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#282 [ちか]
「やめっ…ろ!!ハァッんン//」

「やだ。」

『やだ』って……。
てめえはガキかっ!!!!

怒りとその激しさにおかしくなりそうだ。


必死に捕まれている手を動かそうとするが、恭弥はびくともしない。

⏰:09/02/16 23:53 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#283 [ちか]
その強引さに俺は、怒りとそれ以上の苦しさを覚えた。



なんで…
  なんで…――っ!!!


「こ…う言う事はっ…ハァッ、彼女としろよ…っ!!!!!」


気づけば俺は力を振り絞ってそう叫んでいた。

⏰:09/02/17 00:06 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#284 [ちか]
そう言い放った瞬間、恭弥はピクッと眉間にシワを寄せ、

「意味わかんない。」


そう言って俺を睨んだ


「っな…〜!!!!」


それはこっちのセリフだ!!!!!!

俺はそう言って恭弥を突き飛ばし保健室を飛び出した。

⏰:09/02/17 18:21 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#285 [ちか]
どれくらい走っただろうか。


校舎裏に着いた俺は壁伝いにずるずると崩れるように座った。


思い出すのは、さっきの恭弥の顔…

「なんであんな顔されなきゃいけないんだよ…っ!!!」

俺はそう言って両手で顔を覆った。

⏰:09/02/17 19:25 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#286 [ちか]
胸が締め付けられる。



どうしようもなく切ない


俺はアイツにとってなんなんだ…――?

彼女が居るクセになんで俺にあんな事ばっかり…


考えれば考えるほど胸の締め付けは強くなっていった。

⏰:09/02/17 19:31 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#287 [ちか]
その頃、恭弥は1人取り残された保健室でベッドに腰かけていた。


「『彼女』ってなんの事なんだ…。」


不機嫌そうに眉を寄せてはそう呟いて俯いていた。

⏰:09/02/17 19:38 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#288 [ちか]
暫くしてガラガラと扉が開く音がし、恭弥はその音の先を目で辿った。


「君は……――、」

「どーも。」


言葉を遮って軽く頭を下げたのは透だった。

その手には冥の物と思われるカバンが握られている

⏰:09/02/17 19:45 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#289 [ちか]
「…あの、冥は?」

どうやら部活に出る前に冥にカバンを届けに来たらしい。

「だいぶ前に出ていったよ。」


他人から聞く『冥』と言う響きに、さっきの『彼女』と言う言葉を思い出して恭弥はまた眉間にシワを寄せた。

⏰:09/02/17 19:53 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#290 [ちか]
その表情に透も何かを察したのか目つきを変えた


2人の間に続く淀んだ沈黙。


「―――……もしかして冥に何かしました?」

冷たい声が室内に響いた

⏰:09/02/17 20:02 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#291 [ちか]
「………別に。」

「なんですか、その『間』は。」

「僕はしたつもりない。」

「…じゃあ、心当たりはあるんですね。」

「‥‥‥‥‥。」


(分かりやすい奴…。)

睨みあっていた目を逸らして黙りこむ恭弥に透は呆れた顔をして心の中でそう呟いた。

⏰:09/02/17 20:12 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#292 [ちか]
「別に先輩にどうこう言うつもりはありませんけど、冥の事傷つけたら…」

「傷つけたら?」

「ぶっ殺しますよ。」


目だけが笑っていないその冷たい笑顔を向けて、透はまた扉に手をかけた。
 

⏰:09/02/17 20:18 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#293 [ちか]
「君、冥のなんなの?」

透の後ろ姿をキッと睨んで言った。


「……幼なじみですよ。」



そう言い残して透は保健室を去っていった。

⏰:09/02/17 20:27 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#294 [ちか]
張り詰めた空気の残りが保健室に漂う中、一度大きくため息を吐いて恭弥もその場を後にした。

─────────
────‥‥
─────────‥‥

気がつけばグラウンドから学生達の声が沢山聞こえてきて、今が放課後だと言う事を知った。


教室に置きっぱなしのカバンを思い出して、俺はそこから立ち上がり、教室へと重い足を運んだ。

⏰:09/02/17 20:38 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#295 [ちか]
今何時だろ‥‥‥。


アイツもしかしてまた校門で待ってたりして!!!


そんな事がふと頭を過り、少し足を速めた。


が、
なんであんな奴に気遣ってんだ、俺!
と1人ツッコミをしてまた速度を落とした。

⏰:09/02/17 20:46 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#296 [ちか]
放課後の廊下は静まりかえっていて、足音がよく響いた。


教室に入ると、ガランとした薄暗い中を夕日の光が差し込んでいてなんとも不思議な雰囲気。


カバンを取ろうと自分の席に目線をやると1人の男が窓に持たれながらこっちを見ていた。

⏰:09/02/17 20:54 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#297 [ちか]
逆光でその顔が良く見えず、俺は目を細目ながら近づいていく。


「遅い。」


漸く(ヨウヤク)顔がはっきりと見えたところで、昨日と同じセリフが教室に響いた。

⏰:09/02/17 20:56 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#298 [ちか]
「なんで…居るの…。」


目の前に立っていたのは恭弥だった。


「冥は僕の事勝手だって言うけど、冥も相当勝手だと思うよ?」


俺の質疑なんかまるっきり無視で恭弥は俺に言った。

その目があたりに真っ直ぐすぎて俺は目を逸らす事が出来なかった。

⏰:09/02/17 21:09 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#299 [ちか]
>>298訂正
その目があたりに真っ直ぐすぎて
└→×
その目があまりに真っ直ぐすぎて
└→○
すいません

⏰:09/02/17 21:12 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#300 [ちか]
「……俺のどこが勝手だって言うんだよ。」

俺はその真っ直ぐな目に負けないように強く睨んだ。

「さっきみたいに言い逃げするところとか。」

「あれは‥‥っ!!!」


あれは?と聞き返されてもその後の言葉がまとまらず、俺は口をパクパクした。

⏰:09/02/17 21:23 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#301 [ちか]
「言っておくけど、僕に『彼女』なんか居ないから。」


教室にそんな声が響いた


「え‥‥」

思ってもみなかった恭弥の言葉に俺は短く声を漏らした。

⏰:09/02/17 21:31 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#302 [ちか]
「で、でも、副会長と付き合ってるって‥‥!!」

「副会長?僕が佳山さんと?
それ誰から聞いたの。」

「誰って言うか…噂で‥」


グイグイと近づいてくる恭弥に俺は目を逸らしながらぎこちなく答えた。

恭弥はそんな俺に大きくため息をついた。

⏰:09/02/17 21:36 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#303 [ちか]
「そう言う勝手になんでも決めつけるところも勝手だよ…。」


俺の気のせいだろうか。
一瞬恭弥がすごく悲しそうな顔をしたような気がした。

また胸がズキンと痛んだ。


ガタンッ‥‥

⏰:09/02/17 21:48 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#304 [ちか]
グイグイと迫ってくる恭弥に後退りしていると、足が机に引っ掛かってしまった。

バランスを失った俺は思わず目の前に居る恭弥の服を必死に掴んだが、そんな抵抗も虚しく、

「うわ‥‥っ!!」


と、声をあげてその場に倒れ込んだ。

⏰:09/02/17 22:09 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#305 [ちか]
「ったぁ…〜。っ!!!///」


目を開けると超至近距離に恭弥の顔があった。

俺の上に恭弥が重なって倒れこんでいたのだ。

あまりにびっくりした俺は体に力が入らず、ただ赤面するだけだった。

心臓がドキドキと脈を打つ
この距離ならその音も聞こえてしまってるかもしれない。

そう思うと余計に鼓動は速くなった。

⏰:09/02/17 23:30 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#306 [ちか]
「ど、どいてっ!!!///」

「‥‥‥‥。」


恭弥はどくばかりか、さらに顔を近づけてきた。


「僕は君が思ってるよりずっと君にハマってるんだからね。」


真っ直ぐにその声は俺の耳へ届いた。

⏰:09/02/17 23:39 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#307 [ちか]
どう言う意味…?

ハマってる…──?


言葉意味を理解しきれてない俺の顔を見て、しびれを切らした恭弥は続けた。


「…〜だからっ!!!
君が思ってるよりずっと僕は君が好きなんだよっ!!!」

静かな教室によく響いて、何度も何度も俺の頭の中でエコーした。

⏰:09/02/17 23:49 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#308 [ちか]
>>307訂正
言葉意味を
└→×
言葉の意味を
└→○
すいません

⏰:09/02/17 23:50 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#309 [ちか]
コイツが俺を好き?



本当に…──?


「だから、変な噂信じるとか、避けるとか…――。
そう言うのされるとむかつくって言うか悲しいって言うか‥‥、」


早口で独り言のようにそう呟く恭弥の顔は真っ赤だった。
きっと俺よりも。

⏰:09/02/17 23:56 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#310 [姫ちゃん]
あげぇイ

⏰:09/02/18 11:39 📱:W52S 🆔:TpsnVTfA


#311 [ちか]
>>310
└→姫ちゃんさま*

あげてくれてありがとうございます★

⏰:09/02/18 18:53 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#312 [ちか]
『好き』

その言葉を聞いた瞬間、
さっきまで苦しかった胸が暖かくなった。



さっきまでの切なさも
悲しみも、
不思議なくらい
消え去っていく‥──

⏰:09/02/18 18:53 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#313 [まな]
あげですっ★

⏰:09/02/18 19:06 📱:PC 🆔:5zupChv6


#314 [ちか]
>>313
└→まなさま*

あげてくれてありがとうございます♪
今から更新しますねっ★

⏰:09/02/18 21:29 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#315 [ちか]
横目でチラリと俺を見た恭弥は急に驚いた顔をした。


「なんで泣いてんの…?!」


「え‥‥?」


気がつけば、恭弥の顔がぼんやりと滲んで見えた

⏰:09/02/18 21:31 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#316 [ちか]
なんで俺、
泣いてるんだろう‥‥?


胸が苦しいワケじゃない

悲しいワケでもない‥


恭弥は俺を起こして優しく涙を拭った。

「僕は‥‥、別に冥を泣かしたくて言ってるワケじゃないよ‥‥。」

⏰:09/02/18 21:49 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#317 [ちか]
そう言って恭弥はすごく悲しい顔をした。

違う…

俺だってそんな顔をさせたいワケじゃないよ‥‥

「そんな思いさせるくらいならさっきの忘れてくれていいから。」

そう言って作り笑顔を浮かべる恭弥がとても痛々しかった。


「違うんだ‥‥っ」

⏰:09/02/18 22:14 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#318 [ちか]
無意識に俺は恭弥の服の裾を掴みそう言っていた


「冥‥‥?」

「違うんだ…
俺、わかんないけど‥‥、悲しくて泣いてるワケじゃなくて‥‥っ、その…」


まとまらない言葉を必死で並べた。

どうしても伝えたかったんだ。
コイツにこんな顔させたくなくて。

⏰:09/02/18 22:23 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#319 [ちか]
「なんか‥‥俺、あんたが付き合ってるって噂聞いただけで苦しくなって、ずっと頭から離れなくて‥‥――
でも“好き”って言われた時、そう言うの全部無くなって‥‥、なんて言うか嬉しかった…。」


言葉に詰まりながらも、俺は必死にそう伝えた。


伝わった‥‥?
ちゃんと伝わってる‥?

なかなか返事が返って来ないのが不安で俺はさらに裾を強く握った。

⏰:09/02/18 22:49 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#320 [ちか]
「‥‥言ってる事遠回しすぎ。」

恐る恐る俯いていた顔をあげると、頭をクシャクシャと撫でられた。

「だ、だって‥‥―――」

頭を撫でる大きな手をどけようと俺はその手を掴んだ。

「僕狡いからそう言う言い方されると、良い意味でとっちゃうよ?」

掴んだ手を握りかえされて俺の体は少し熱くなった。

⏰:09/02/18 23:13 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#321 [ちか]
「良い意味って‥‥?」

そう聞き返すのとほぼ同時に唇を重ねられた。


「‥‥冥も僕の事好きって意味。」

漆黒の瞳が俺だけを映してる。

⏰:09/02/18 23:19 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#322 [ちか]
ドキドキと高鳴る胸が少し苦しい。

でも、
“もっとしてほしい”
そう思った。


コイツの全部が欲しい、と。

‥‥きっと俺も同じ気持ちだから。

⏰:09/02/18 23:26 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#323 [ちか]
「それでもいいの?」

俺を覗きこむようにしてそう言う恭弥に、俺は小さく頷いた。

「やった。」


その時、俺はコイツの屈託のない笑顔を見て思ったんだ。

あぁ、
この笑顔を俺だけのものにしたい。
この笑顔の理由になりたい、と。

そして、俺も完全にコイツにハマってると言う事を確信した。

⏰:09/02/18 23:58 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#324 [ちか]
それから俺は口づけをされた。
何度も何度も確かめるように。


優しく甘いソレで俺はまたコイツにおちていく。


「保健室の続き…する?」

怪しく微笑むソレに全身が熱くなるのを感じた。

「――‥‥っだ、だめ!!///」
──────‥‥
───‥
それから俺がここで3度頂点を向かえたのは言うまでもないだろう。

⏰:09/02/19 00:05 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#325 [ちか]
こうして俺達は晴れて
“恋人”
と言う関係になった。


そしてこの日から俺は、
コイツを“恭弥”と呼ぶようになったんだ。


しかし長い漆黒の夜には
嵐が吹き荒れる事もある

⏰:09/02/19 00:19 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#326 [ちか]
その“嵐”は、
俺達がそう言う関係になった3日後の月曜日、突然襲ってきたのだった‥──





 

⏰:09/02/19 00:22 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#327 [ちか]
月曜の朝、教室に入ると中はやけに騒がしかった。


「なに騒いでんのー?」

俺はその群れの中にひょいっと顔を覗かせて聞いた。
「おー、日下じゃん。
うちのクラスに転校生だって!!」

目を輝かせながらそう言うクラスメイトの北川。

⏰:09/02/19 00:34 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#328 [ちか]
「ふうん。男?女?」

「男だったらこんな騒がねえっつーの!
ユーリって名前なんだよな?笠原っ♪」

「噂だけどな。」

「や、俺の勘が女って言ってるから間違いない!」


北川の高いテンションに、みんな若干引き気味である。

⏰:09/02/19 00:40 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#329 [ちか]
そんなこんなでじゃれあっている間にチャイムが鳴り、担任が勢いよく教室に入ってきた。

「さっさと席着けー。」

担任のその言葉を合図に、速やかに席に着いた俺達はさっきまでガヤガヤと騒いでいたのが嘘みたいにおとなしくなり、室内は静かになった。

転校生の事が気になってたまらなくて、担任の長ったらしい話を聞きながらみんなソワソワしている。

⏰:09/02/19 18:57 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#330 [ちか]
「まぁもう知ってると思うけど、ウチのクラスに転校生が来てる。
おい、入っていいぞー。」


担任が廊下の方に向かってそう言うと、扉が静かに開いた。


その瞬間室内はさっきの騒がしさを取り戻した。


…しかし、俺はあまりの驚きに声すら出なかった。

⏰:09/02/19 19:05 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#331 [ちか]
「こっちに来るまでカナダに住んでたそうだ。
英語ペラペラだぞー。
お前ら習っとけよ(笑)」

担任はそう言ってヘラヘラと笑う。


入ってきたのは男だった

艶やかな金髪に、
穴の開いた耳。

見る限り俺変わりなそうな身長。

⏰:09/02/19 19:13 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#332 [ちか]
だけど俺にはそんな事どうでも良かった。
それより、


その容姿には似合わないほどの黒い瞳が、恭弥あまりにそっくりで声が出なかったんだ。






「はじめまして、黒羽優里です。」

  ― 第二話 e n d ―

⏰:09/02/19 19:18 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#333 [ちか]
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

第二話 比例する気持ち
>>199-332

第二話完結しました
誤字・脱字だらけですが
読んでくれたら嬉しいです★><

感想・ご意見などよろしくお願いします*∩^ω^∩

感想板↓
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

⏰:09/02/19 19:23 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#334 [ちか]
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

★まとめ

第一話 漆黒のきみ
>>3-195

第二話 比例する気持ち
>>199-332

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

⏰:09/02/19 19:24 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#335 [ちか]
>>331訂正

見る限り俺変わりなそうな身長
└→×
見る限り俺と変わりなそうな身長
└→○

すいません><

⏰:09/02/19 19:26 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#336 [ちか]
>>332訂正

恭弥あまりにそっくりで
└→×
恭弥とあまりにそっくりで
└→○

誤字・脱字だらけで
ほんとすいません;;

⏰:09/02/19 19:30 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#337 [ちか]
`


第三話 嵐は突然に


 

⏰:09/02/20 21:14 📱:P906i 🆔:pX9Xxznc


#338 [ちか]
黒 羽 優 里 ‥――


俺は耳を疑った。

その瞳に黒羽なんて名字、こんな偶然あっていいのだろうか…?


が、カツカツと音をたてながら記されていく黒板の文字を見て、それが聞き間違えじゃない事を知った。

⏰:09/02/20 21:52 📱:P906i 🆔:pX9Xxznc


#339 [ちか]
よく見れば、仕草や笑顔も少し似てる気がする…

俺はそいつから目が離せなくなった。


その美形にクラス中がざわめく中、ふいに目が合った。

一瞬かなりの形相で睨まれて背筋が凍るようだった。

⏰:09/02/20 22:07 📱:P906i 🆔:pX9Xxznc


#340 [ちか]
「ちなみにー、3年の黒羽の弟だ。」


その言葉を聞いて俺はハッとした。
そうか、それなら全ての辻褄(ツジツマ)が合う。

俺はそう納得しながらも、恭弥に弟が居た事にかなりの衝撃を受けていた。


「よろしく。」

そいつはさっきの形相が嘘のような爽やかな笑顔をキメて、クラス中の女子を一瞬で虜にした。

⏰:09/02/20 22:22 📱:P906i 🆔:pX9Xxznc


#341 [ちか]
HRが終わるなり、そいつの周りには大きな人だかりが出来た。

カナダってどんな感じ?
とか、
黒羽先輩と似てないね!
とか、
まぁとりあえず周りを取り囲んでいる奴らの大半は女子だ。


俺と透はその遠くから、他愛の話をしてケラケラと笑っていた。

⏰:09/02/20 22:40 📱:P906i 🆔:pX9Xxznc


#342 [ちか]
そのいけてるルックスに
魅力的な笑顔。

おまけに黒羽恭弥の弟で帰国子女とくれば、ソイツの噂は瞬く間に広がり、休み時間には他のクラス、さらには他の学年からまでソイツを見に来る生徒でいっぱいになった。


そんな調子で昼休みを迎えて、俺と透は食堂に行こうと立ち上がり扉の方へと歩いていった。

⏰:09/02/20 22:50 📱:P906i 🆔:pX9Xxznc


#343 [ちか]
「なに食べよっかなー♪」


なんて呑気な事を呟きながら教室を出ようとした瞬間、俺はグイッ肩を掴まれた。




振り返るとそこには噂の人気者。

⏰:09/02/20 22:52 📱:P906i 🆔:pX9Xxznc


#344 [ちか]
>>343訂正
俺はグイッ肩を
└→×
俺はグイッと肩を
└→○

すいません

⏰:09/02/21 00:12 📱:P906i 🆔:6WmKMalw


#345 [我輩は匿名である]
>>1-50


>>51-100


>>101-150


>>151-200


>>201-250


>>251-300


>>301-350

⏰:09/02/21 10:06 📱:F703i 🆔:XNIzL8Pw


#346 [ちか]
>>345
└→我輩は匿名*

アンカーありがとうございます><★

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ついでに感想板貼って
おきます♪感想や意見
よろしくお願いします!

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

⏰:09/02/21 17:59 📱:P906i 🆔:6WmKMalw


#347 [ちか]
>>343

「な、なんか用…?」


肩を掴むだけで、全くものを言わないソレに俺は警戒するように言った。


暫く続く無意味な沈黙。


なんなのコイツ‥。

「あの、用ないんだったら…「飯(メシ)一緒に食っていい?」

そう言って向けられたのはとびきりのスマイル。

⏰:09/02/21 18:14 📱:P906i 🆔:6WmKMalw


#348 [ちか]
HRの時の恐ろしい形相は勘違い?と思わせるほどの眩しい笑顔に、俺は少しの間思考停止。


「だめ?」

覗きこまれ呆然としていた俺は我に返った。

「は?‥え、うん。俺はいいけど…、透は?」

「冥がいいなら俺は別に構わないよ。」


そんな俺達のやり取りを聞いて、
「やった♪」
とさらに笑顔を溢した。

⏰:09/02/21 18:23 📱:P906i 🆔:6WmKMalw


#349 [ちか]
食堂に着いた俺達は、いつにも増して人の多い食堂に空いてる席を必死に探した。


「あ、あそこ空いてる。」


透が指差す方に目をやると、ちょうど3席空いていた。

「場所とられたら困るし、俺頼んでくるからお前らそこ居て。」

「え、じゃあ俺も行く!
3人分も持てないだろ?」

「転校生1人にさせるのもアレだろ。」

「でも‥‥っ」

そんな言い合いも透に押しきられて、結局俺は転校生とお留守番になった。

⏰:09/02/21 22:10 📱:P906i 🆔:6WmKMalw


#350 [ちか]
「‥‥‥‥‥。」

「‥‥‥‥‥。」


なんだ、この気まずい雰囲気は。


よく考えれば、目の前に居るのは恋人の弟。


なんか緊張してきた…

⏰:09/02/21 22:51 📱:P906i 🆔:6WmKMalw


#351 [ちか]
時間が経つにつれて緊張は増していき、俺は俯いたままひたすら透の帰りを待っていた。


(透〜早く帰って来いよ〜…)

周りはガヤガヤしてるのに俺達2人の間には静かな沈黙。
異様な雰囲気だ。

「なぁ。」

そんな沈黙を破ったのは優里だった。

⏰:09/02/21 22:57 📱:P906i 🆔:6WmKMalw


#352 [ちか]
「今さらだけど、あんたが日下冥だよな?」


向かいで頬杖つきながら言うその顔はやっぱりHRの時のように冷たかった。


「う、うん…。」

「へえ‥」


俺は上から下へ、下から上へとジロジロ見られて変な汗をかいていた。

(なんなんだよコイツ…)

⏰:09/02/22 00:05 📱:P906i 🆔:qGF02hmg


#353 [ちか]
「……………こんな奴のどこがいいんだか。」

「え?」

今なんて…?

「お待ちどーさま。」


「あ、おかえり!」


テーブルにトレーがゴトンと言う音を鳴らして置かれ、見上げると透が居た。

「ありがと!持ってきてもらって悪いな。」

その声を辿って目線を元に戻すと、冷ややかな表情はまたもや爽やかな笑顔に変わっていた。

⏰:09/02/22 00:14 📱:P906i 🆔:qGF02hmg


#354 [ちか]
さっきのは聞き違い…?




考えれば考えるほど
分からなくなっていった


「冥?」

「ほへ?!」

「クスッ何が“ほへ”だよ、ばーか。早く食え。」

「っな、馬鹿って言った方が…「はいはい、いいから食えっつーの。」

パクっ

言葉を遮られて、唐揚げを口に放り込まれた。

⏰:09/02/22 00:21 📱:P906i 🆔:qGF02hmg


#355 [ちか]
「っ〜〜%☆※¥$ッッ!!」

「食ってから喋れ。」



むーかーつーくーっ!!!!
馬鹿にすんな馬鹿っ!!!

この透の余裕そうな顔!!
まじむかつくっ!!


俺は透の脇腹を思いっきり殴った。

⏰:09/02/22 00:29 📱:P906i 🆔:qGF02hmg


#356 [ちか]
「い゙ってーっ!!暴力反対ー。」

「ふんっ」


脇腹を擦りながら睨んでくる透に俺はプイッと顔を背けた。


「仲いいんだなー。」


ぼそりと呟いた優里の顔がやけに寂しそうだった

⏰:09/02/23 00:06 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#357 [ちか]
「俺も早くみんなと仲良くなりてーな!」

寂しい表情はまたも一瞬で爽やかな笑顔に戻る。

俺はそんな優里が解せなくて黙ってしまった。


「もうだいぶ馴染んでるじゃん。」

「や、そんな事ねーよ。
まだこっち(日本)にも馴染めてねーし(笑)」

「そう言えばカナダだっけ、前住んでたとこはどんなだった?」

⏰:09/02/23 00:18 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#358 [ちか]
「良いところだったよ。
空気も綺麗だし、いい奴ばっかだし!」

「へえ、一回行ってみてーなー!」


弾む2人の会話もあまり耳に入らず俺はぼけーっと優里を見ていた。


「な?冥!」

「‥‥え、あ、ごめん聞いてなかった!(笑)」

⏰:09/02/23 00:27 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#359 [ちか]
「だからー…、まぁいいわ。お前は飯食っとけ!」

「なんだよそれーっ!
気になんじゃん!」

「また唐揚げ食わされてーの?」

不敵笑みで唐揚げを箸でつまむ透。

「え、遠慮しときまーす…」

ちぇっ、俺だけのけもんかよー。

⏰:09/02/23 17:17 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#360 [ちか]
そんなくだらない会話と笑い声で昼休みも終わり午後の授業。




………つっても寝てたから全然記憶ないんだよな。


だって毎日毎日、恭弥に規則正しい時間に清く正しくない方法で起こされて、ゆっくり寝れる時間授業中ぐらいしかねえんだもん。

⏰:09/02/23 17:28 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#361 [ちか]
「──…い──‥おい。」

「ん‥‥、おはよ透ー‥」


そう言って俺は寝ぼけながら重たい目を擦る。




「誰が透だよ。
早く起きやがれ。」

⏰:09/02/23 17:53 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#362 [ちか]
そのドスのきいた声に、
一気に目が覚めた。


咄嗟に見上げると、そこには俺を睨み付ける優里。


「いつまでもグースカ寝てんじゃねえよ。」


眉間にシワを寄せながら言うソレには爽やかさの欠片もない。

⏰:09/02/23 18:16 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#363 [ちか]
>>359訂正
不敵笑みで
└→×
不敵な笑みで
└→○
すいません(´;ω;`)

⏰:09/02/23 20:55 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#364 [ちか]
「SHRなんかとっくに終わったつーの。」

どおりで‥‥
見渡す限り、室内には俺とこいつ2人だけだ。

「っな、なんだよ、お前!!
なんか用?!」

「おう。てめえには言いたい事が山ほどあ…、」

『山ほどある』
優里がそう言おうとした時、教室の後ろドアが音をたてて開いた。

⏰:09/02/23 21:08 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#365 [ちか]
「冥?遅いから迎えに…」


そこに立っていたのは恭弥だった。


「兄貴‥‥──っ!!!!」

「優里?なんで‥‥──」


ぎゅっ…───

⏰:09/02/23 21:17 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#366 [ちか]
「会いたかった‥‥ずっと‥‥───」



俺は目の前の光景に唖然とした。



だってそこには恭弥に抱きつく優里の姿があって。

⏰:09/02/23 21:20 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#367 [ちか]
「久しぶりだね。元気だった?」


おい、待て待て。
なに頭とか撫でちゃってんの?ねえ。





むかつく…。

⏰:09/02/23 22:11 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#368 [ちか]
胸の奥から湧いてくるそのなんとも言えない腹立たしさに、俺は暫くの間何も言えずただその光景を睨む事しか出来なかった。


「‥‥て言うか、優里いつから帰ってきてたの?」

「‥‥‥‥‥、一昨日。」

「一昨日?!お前、もしかして抜け出して来た?」

「‥‥‥‥‥。」

「お前なあ‥‥ダメだろ?」

「だって‥‥‥っ」

⏰:09/02/23 23:32 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#369 [ちか]
2人の会話の意味が全く
分からない。


抜け出すだの、なんだのって‥‥






なんか余計疎外感感じるんだけど。

⏰:09/02/23 23:35 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#370 [ちか]
「とりあえず帰ろ。話はそれから。」

「い、いやっ!!!!」


顔を大きく横に振る優里を見て、恭弥は一度ため息をついて言った。


「黙っててあげるから。」

その瞬間、優里の顔はパッと明るくなった。

⏰:09/02/24 17:42 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#371 [ちか]
「冥、行こ?」


差し伸べられた片手がやけに嬉しかった。

「うん‥」


その手を掴もうとした瞬間かなり鋭い視線を感じ、結局握る事もないまま俺達は教室を後にした。

⏰:09/02/24 17:46 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#372 [ちか]
「「おかえりなさいませ」」


やっぱりこう大人数から一度に言われると緊張するなあ…

なんて事を考えながら恭弥の斜め後ろをちまちまとついていく。


俺の部屋の前に着いたところで、

「じゃ、また夕食の時にね。」

と、それだけ言って優里とどこかへ言ってしまった。

⏰:09/02/24 18:02 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#373 [ちか]
俺はベッドに倒れるように身をなげて、枕に顔を埋めた。


「あー‥‥なんだよ、もう…っ」


独り言は虚しく室内に響くだけ。

⏰:09/02/24 18:06 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#374 [ちか]
どうしようもない苛立ちが俺を苦しめる。



なんか独り占めされてるみたいで、むかつく…


馬鹿みたいだよな。



「はぁ…」

⏰:09/02/24 18:48 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#375 [ちか]
それからどれくらい経っただろうか。


「冥様、食事の用意が出来ました。」


コンコンと言うノック音と共にドア越しでメイドにそう言われて、俺はムクリとベッドから起き上がった。


1人とぼとぼといつもの部屋へと歩いていく。


中に入ると既に恭弥と優里の姿があった。

⏰:09/02/24 20:28 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#376 [ちか]
おかしいな…


ただ2人が先に居ただけなのに、それだけで食欲が無くなる。


「…冥?どうしたの?」


心配そうに俺を見つめてくれてるのに、それさえも今は俺の胸をギュッと締め付けた。

⏰:09/02/24 20:36 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#377 [ちか]
「俺‥‥‥もういらない」

「え、冥?」

「ごちそーさま…っ」


俺はそれだけ言って、俯いたまま早足でそこから立ち去った。

「うっ‥‥──グスン‥‥」

部屋に入ると同時に俺は崩れるように座り込んだ。

⏰:09/02/24 21:39 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#378 [urahanai]
>>250-500

⏰:09/02/24 21:58 📱:SH904i 🆔:SEuN3xmc


#379 [ちか]
頬を伝う幾つもの水滴。


「なんで涙なんか…──」


拭っても拭ってもソレは止まらない。


涙の音だけが広い部屋に寂しく響いた。

⏰:09/02/24 22:00 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#380 [ちか]
>>378
└→urahanaiさま*

アンカーありがとうございます><★

⏰:09/02/24 23:12 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#381 [ちか]
コンコン..

「───‥‥‥冥?」


その声に俺の身体はビクンと跳ねた。


「なっなに‥‥?」


俺は涙が止まらない目をごしごしと擦りながら平然を装う。


「入るよ?」

!!!!!

「そ、それはだめ‥‥──っ」


そう言って鍵を閉めようとしたが遅かった。

⏰:09/02/24 23:17 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#382 [ちか]
あと一歩のところでドアは開き、目に超至近距離で恭弥の姿が飛び込んできた。


「冥、泣いてたの…?!」

恭弥は驚いたような表情(カオ)で俺の頬に触れた。

「ち、ちがっ!!アクビしてただけっ!!!」



我ながら、なんて苦しい言い訳なんだろう。

⏰:09/02/24 23:35 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#383 [ちか]
「なんで僕に嘘つくの?」


嘘をつかれたのが余程気にくわなかったのか、恭弥は眉間にシワをよせ、俺の顎をクイッと上にあげた。

その顔の距離に俺は思わず赤面する。


「僕なにかした?」


俺はその問いに何度も大きく横に顔を振った。

⏰:09/02/25 18:21 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#384 [ちか]
「じゃあなんで泣いてるの?なにかされた…?」

俺は何も言わず俯いて顔を横に振るだけ。


『じゃあなんで
   泣いてるの?』



答えられる筈なかった。

だって‥‥―――、

⏰:09/02/25 18:27 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#385 [ちか]
だって、


この涙は俺のわがままで


こんな子供みたいな事言ったら嫌われるかも知れない。‥‥―――


そう思うと口に出す事なんて出来なかった。

⏰:09/02/25 18:28 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#386 [ちか]
「なにか言ってくれないと分からないんだけど。」

「‥‥‥‥‥。」

俺は必死に涙の言い訳を考えていた。

暫く2人の間に続く沈黙が重たい。
考えても考えても良い言い訳は浮かばなかった。



「冥僕のこと嫌いなの?」

⏰:09/02/25 18:37 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#387 [ちか]
「ち、違う‥‥―っ!!!!」


俺は咄嗟に俯いていた顔をあげて叫んだ。
恭弥の服の裾は俺の手に握られてクシャクシャになっていた。


恭弥はそんな俺を見てニッと悪戯っぽく笑った。


「やっと喋った。」

⏰:09/02/25 18:41 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#388 [ちか]
「…っ!!!!ず、ずるい!!」

「何が?」

さらに恭弥の顔は悪戯な笑みを浮かべる。

「き、嫌いとか聞いてくるな…っ!!!///」

「なんで?」



『なんで』って‥‥‥

そんなの言えるワケないじゃん!!!!

⏰:09/02/25 18:45 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#389 [ちか]
見下ろされてるのがまた悔しさを倍にする。

俺は余裕の笑みを浮かべる恭弥をキッと睨んだ。


「あはは、怒らないでよ。ね?」


恭弥はそう言って俺の目線に合わせるように少し腰を低くしてにっこり笑った。

⏰:09/02/25 18:53 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#390 [ちか]
俺はこの笑顔に弱いんだ



この顔を前にすると、つい素直になってしまう。


この顔を俺だけのものにしたいとさえ思ってしまう。

「‥‥‥‥ないで‥――」

「え?」

⏰:09/02/25 18:59 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#391 [ちか]
「………しないでっ//」

「え、なにをしないの?」


きょとんとした顔の恭弥を見て俺は痺れをきらした



「だからっ‥‥‥!!!!///
抱きしめたり、頭撫でたり…そう言うの俺以外にしないでっ!!!!////」

⏰:09/02/25 20:42 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#392 [ちか]
言葉にした瞬間、顔から火が出そうだった。

勢いで言っちゃったけど、あんなガキみたいな事…


今恭弥はどんな顔をしてるんだろう…?

こんな俺のわがままに呆れちゃったかな‥‥?


俺は返ってくる恭弥の反応が怖くて俯いた。

⏰:09/02/25 20:50 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#393 [ちか]
そんな俺をふわりと包む優しい匂い。


気づけば俺は恭弥の腕の中にすっぽりとおさまっていた。


「きょ…おや…?」


その腕の力はだんだん強くなっていく。

⏰:09/02/25 21:46 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#394 [ちか]
あまりのその強さに少し苦しくなった。

「ちょっ…恭弥、苦し‥‥いッ?!!///」

突然唇を重ねられ、俺は目を見開いた。


その濃厚なキスに俺は全神経を支配されていく。

⏰:09/02/26 19:21 📱:P906i 🆔:rMREzRHg


#395 [ちか]
舌が俺を犯していく。

その甘さに俺はいつの間にか求めるように恭弥に抱きついていた。

「んっ‥‥‥ハァ…ッ///」

離された唇に熱が残る。



「こんな事するのは冥だけだよ?」

見上げれば、そう言って笑う恭弥が居た。

⏰:09/02/26 21:18 📱:P906i 🆔:rMREzRHg


#396 [ちか]
その笑顔に今にも悩殺されそうだ。
身体が一気に熱を帯びていく。


「ほんと可愛い。」


そう言ってまた俺をギュッと抱きしめる。

その暖かさに俺の言い表せない不安感は溶かされていくようだった。

⏰:09/02/26 21:28 📱:P906i 🆔:rMREzRHg


#397 [ちか]
恭弥の腕の中はなぜかすごく安心した。

今この時は恭弥が俺だけのもののように感じて。


俺はまるで子供のように恭弥に抱きついた。

「あれ、珍しいね。冥が甘えてくるなんて。」

「‥‥‥‥うるさい///」

俺は照れ隠しに減らず口をたたく。

⏰:09/02/26 21:37 📱:P906i 🆔:rMREzRHg


#398 [ちか]
そんな俺に恭弥はまるで子供をあやすように頭を撫でた。


「‥‥‥‥‥‥子供扱いするなっ///」

「クスッ嬉しいくせに?」







完全に見透かされてる…

⏰:09/02/26 22:37 📱:P906i 🆔:rMREzRHg


#399 [ちか]
「て言うか冥、優里のせいで機嫌悪かったの?」

頭上で囁かれる声に俺は間を空けてコクンと頷いた。

「クスッ、でも弟だよ?」


そんなの分かってる。
分かってるけど‥‥

「なんか嫌だったんだもん…。」

俺ってこんなに独占欲強かったっけ…。

恭弥が俺だけのものじゃないのが嫌だったんだ。
ただそれだけだった。

⏰:09/02/27 17:15 📱:P906i 🆔:MvsE.BMU


#400 [ちか]
「ねえ、そう言うのなんて言うか知ってる?」

急に声のトーンが変わって、俺は恭弥の胸に埋めていた顔をあげた。

その時‥‥―――


「“ヤキモチ”って言うんだよ…?」

「――…ひゃあっ!!///」


突然甘い声と共に耳を甘噛みされて俺は熱っぽい声をあげた。

⏰:09/02/27 17:26 📱:P906i 🆔:MvsE.BMU


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