漆黒の夜に君と。[BL]
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#301 [ちか]
「言っておくけど、僕に『彼女』なんか居ないから。」


教室にそんな声が響いた


「え‥‥」

思ってもみなかった恭弥の言葉に俺は短く声を漏らした。

⏰:09/02/17 21:31 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#302 [ちか]
「で、でも、副会長と付き合ってるって‥‥!!」

「副会長?僕が佳山さんと?
それ誰から聞いたの。」

「誰って言うか…噂で‥」


グイグイと近づいてくる恭弥に俺は目を逸らしながらぎこちなく答えた。

恭弥はそんな俺に大きくため息をついた。

⏰:09/02/17 21:36 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#303 [ちか]
「そう言う勝手になんでも決めつけるところも勝手だよ…。」


俺の気のせいだろうか。
一瞬恭弥がすごく悲しそうな顔をしたような気がした。

また胸がズキンと痛んだ。


ガタンッ‥‥

⏰:09/02/17 21:48 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#304 [ちか]
グイグイと迫ってくる恭弥に後退りしていると、足が机に引っ掛かってしまった。

バランスを失った俺は思わず目の前に居る恭弥の服を必死に掴んだが、そんな抵抗も虚しく、

「うわ‥‥っ!!」


と、声をあげてその場に倒れ込んだ。

⏰:09/02/17 22:09 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#305 [ちか]
「ったぁ…〜。っ!!!///」


目を開けると超至近距離に恭弥の顔があった。

俺の上に恭弥が重なって倒れこんでいたのだ。

あまりにびっくりした俺は体に力が入らず、ただ赤面するだけだった。

心臓がドキドキと脈を打つ
この距離ならその音も聞こえてしまってるかもしれない。

そう思うと余計に鼓動は速くなった。

⏰:09/02/17 23:30 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#306 [ちか]
「ど、どいてっ!!!///」

「‥‥‥‥。」


恭弥はどくばかりか、さらに顔を近づけてきた。


「僕は君が思ってるよりずっと君にハマってるんだからね。」


真っ直ぐにその声は俺の耳へ届いた。

⏰:09/02/17 23:39 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#307 [ちか]
どう言う意味…?

ハマってる…──?


言葉意味を理解しきれてない俺の顔を見て、しびれを切らした恭弥は続けた。


「…〜だからっ!!!
君が思ってるよりずっと僕は君が好きなんだよっ!!!」

静かな教室によく響いて、何度も何度も俺の頭の中でエコーした。

⏰:09/02/17 23:49 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#308 [ちか]
>>307訂正
言葉意味を
└→×
言葉の意味を
└→○
すいません

⏰:09/02/17 23:50 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#309 [ちか]
コイツが俺を好き?



本当に…──?


「だから、変な噂信じるとか、避けるとか…――。
そう言うのされるとむかつくって言うか悲しいって言うか‥‥、」


早口で独り言のようにそう呟く恭弥の顔は真っ赤だった。
きっと俺よりも。

⏰:09/02/17 23:56 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#310 [姫ちゃん]
あげぇイ

⏰:09/02/18 11:39 📱:W52S 🆔:TpsnVTfA


#311 [ちか]
>>310
└→姫ちゃんさま*

あげてくれてありがとうございます★

⏰:09/02/18 18:53 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#312 [ちか]
『好き』

その言葉を聞いた瞬間、
さっきまで苦しかった胸が暖かくなった。



さっきまでの切なさも
悲しみも、
不思議なくらい
消え去っていく‥──

⏰:09/02/18 18:53 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#313 [まな]
あげですっ★

⏰:09/02/18 19:06 📱:PC 🆔:5zupChv6


#314 [ちか]
>>313
└→まなさま*

あげてくれてありがとうございます♪
今から更新しますねっ★

⏰:09/02/18 21:29 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#315 [ちか]
横目でチラリと俺を見た恭弥は急に驚いた顔をした。


「なんで泣いてんの…?!」


「え‥‥?」


気がつけば、恭弥の顔がぼんやりと滲んで見えた

⏰:09/02/18 21:31 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#316 [ちか]
なんで俺、
泣いてるんだろう‥‥?


胸が苦しいワケじゃない

悲しいワケでもない‥


恭弥は俺を起こして優しく涙を拭った。

「僕は‥‥、別に冥を泣かしたくて言ってるワケじゃないよ‥‥。」

⏰:09/02/18 21:49 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#317 [ちか]
そう言って恭弥はすごく悲しい顔をした。

違う…

俺だってそんな顔をさせたいワケじゃないよ‥‥

「そんな思いさせるくらいならさっきの忘れてくれていいから。」

そう言って作り笑顔を浮かべる恭弥がとても痛々しかった。


「違うんだ‥‥っ」

⏰:09/02/18 22:14 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#318 [ちか]
無意識に俺は恭弥の服の裾を掴みそう言っていた


「冥‥‥?」

「違うんだ…
俺、わかんないけど‥‥、悲しくて泣いてるワケじゃなくて‥‥っ、その…」


まとまらない言葉を必死で並べた。

どうしても伝えたかったんだ。
コイツにこんな顔させたくなくて。

⏰:09/02/18 22:23 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#319 [ちか]
「なんか‥‥俺、あんたが付き合ってるって噂聞いただけで苦しくなって、ずっと頭から離れなくて‥‥――
でも“好き”って言われた時、そう言うの全部無くなって‥‥、なんて言うか嬉しかった…。」


言葉に詰まりながらも、俺は必死にそう伝えた。


伝わった‥‥?
ちゃんと伝わってる‥?

なかなか返事が返って来ないのが不安で俺はさらに裾を強く握った。

⏰:09/02/18 22:49 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#320 [ちか]
「‥‥言ってる事遠回しすぎ。」

恐る恐る俯いていた顔をあげると、頭をクシャクシャと撫でられた。

「だ、だって‥‥―――」

頭を撫でる大きな手をどけようと俺はその手を掴んだ。

「僕狡いからそう言う言い方されると、良い意味でとっちゃうよ?」

掴んだ手を握りかえされて俺の体は少し熱くなった。

⏰:09/02/18 23:13 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#321 [ちか]
「良い意味って‥‥?」

そう聞き返すのとほぼ同時に唇を重ねられた。


「‥‥冥も僕の事好きって意味。」

漆黒の瞳が俺だけを映してる。

⏰:09/02/18 23:19 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#322 [ちか]
ドキドキと高鳴る胸が少し苦しい。

でも、
“もっとしてほしい”
そう思った。


コイツの全部が欲しい、と。

‥‥きっと俺も同じ気持ちだから。

⏰:09/02/18 23:26 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#323 [ちか]
「それでもいいの?」

俺を覗きこむようにしてそう言う恭弥に、俺は小さく頷いた。

「やった。」


その時、俺はコイツの屈託のない笑顔を見て思ったんだ。

あぁ、
この笑顔を俺だけのものにしたい。
この笑顔の理由になりたい、と。

そして、俺も完全にコイツにハマってると言う事を確信した。

⏰:09/02/18 23:58 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#324 [ちか]
それから俺は口づけをされた。
何度も何度も確かめるように。


優しく甘いソレで俺はまたコイツにおちていく。


「保健室の続き…する?」

怪しく微笑むソレに全身が熱くなるのを感じた。

「――‥‥っだ、だめ!!///」
──────‥‥
───‥
それから俺がここで3度頂点を向かえたのは言うまでもないだろう。

⏰:09/02/19 00:05 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#325 [ちか]
こうして俺達は晴れて
“恋人”
と言う関係になった。


そしてこの日から俺は、
コイツを“恭弥”と呼ぶようになったんだ。


しかし長い漆黒の夜には
嵐が吹き荒れる事もある

⏰:09/02/19 00:19 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#326 [ちか]
その“嵐”は、
俺達がそう言う関係になった3日後の月曜日、突然襲ってきたのだった‥──





 

⏰:09/02/19 00:22 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#327 [ちか]
月曜の朝、教室に入ると中はやけに騒がしかった。


「なに騒いでんのー?」

俺はその群れの中にひょいっと顔を覗かせて聞いた。
「おー、日下じゃん。
うちのクラスに転校生だって!!」

目を輝かせながらそう言うクラスメイトの北川。

⏰:09/02/19 00:34 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#328 [ちか]
「ふうん。男?女?」

「男だったらこんな騒がねえっつーの!
ユーリって名前なんだよな?笠原っ♪」

「噂だけどな。」

「や、俺の勘が女って言ってるから間違いない!」


北川の高いテンションに、みんな若干引き気味である。

⏰:09/02/19 00:40 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#329 [ちか]
そんなこんなでじゃれあっている間にチャイムが鳴り、担任が勢いよく教室に入ってきた。

「さっさと席着けー。」

担任のその言葉を合図に、速やかに席に着いた俺達はさっきまでガヤガヤと騒いでいたのが嘘みたいにおとなしくなり、室内は静かになった。

転校生の事が気になってたまらなくて、担任の長ったらしい話を聞きながらみんなソワソワしている。

⏰:09/02/19 18:57 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#330 [ちか]
「まぁもう知ってると思うけど、ウチのクラスに転校生が来てる。
おい、入っていいぞー。」


担任が廊下の方に向かってそう言うと、扉が静かに開いた。


その瞬間室内はさっきの騒がしさを取り戻した。


…しかし、俺はあまりの驚きに声すら出なかった。

⏰:09/02/19 19:05 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#331 [ちか]
「こっちに来るまでカナダに住んでたそうだ。
英語ペラペラだぞー。
お前ら習っとけよ(笑)」

担任はそう言ってヘラヘラと笑う。


入ってきたのは男だった

艶やかな金髪に、
穴の開いた耳。

見る限り俺変わりなそうな身長。

⏰:09/02/19 19:13 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#332 [ちか]
だけど俺にはそんな事どうでも良かった。
それより、


その容姿には似合わないほどの黒い瞳が、恭弥あまりにそっくりで声が出なかったんだ。






「はじめまして、黒羽優里です。」

  ― 第二話 e n d ―

⏰:09/02/19 19:18 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#333 [ちか]
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

第二話 比例する気持ち
>>199-332

第二話完結しました
誤字・脱字だらけですが
読んでくれたら嬉しいです★><

感想・ご意見などよろしくお願いします*∩^ω^∩

感想板↓
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

⏰:09/02/19 19:23 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#334 [ちか]
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

★まとめ

第一話 漆黒のきみ
>>3-195

第二話 比例する気持ち
>>199-332

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

⏰:09/02/19 19:24 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#335 [ちか]
>>331訂正

見る限り俺変わりなそうな身長
└→×
見る限り俺と変わりなそうな身長
└→○

すいません><

⏰:09/02/19 19:26 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#336 [ちか]
>>332訂正

恭弥あまりにそっくりで
└→×
恭弥とあまりにそっくりで
└→○

誤字・脱字だらけで
ほんとすいません;;

⏰:09/02/19 19:30 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#337 [ちか]
`


第三話 嵐は突然に


 

⏰:09/02/20 21:14 📱:P906i 🆔:pX9Xxznc


#338 [ちか]
黒 羽 優 里 ‥――


俺は耳を疑った。

その瞳に黒羽なんて名字、こんな偶然あっていいのだろうか…?


が、カツカツと音をたてながら記されていく黒板の文字を見て、それが聞き間違えじゃない事を知った。

⏰:09/02/20 21:52 📱:P906i 🆔:pX9Xxznc


#339 [ちか]
よく見れば、仕草や笑顔も少し似てる気がする…

俺はそいつから目が離せなくなった。


その美形にクラス中がざわめく中、ふいに目が合った。

一瞬かなりの形相で睨まれて背筋が凍るようだった。

⏰:09/02/20 22:07 📱:P906i 🆔:pX9Xxznc


#340 [ちか]
「ちなみにー、3年の黒羽の弟だ。」


その言葉を聞いて俺はハッとした。
そうか、それなら全ての辻褄(ツジツマ)が合う。

俺はそう納得しながらも、恭弥に弟が居た事にかなりの衝撃を受けていた。


「よろしく。」

そいつはさっきの形相が嘘のような爽やかな笑顔をキメて、クラス中の女子を一瞬で虜にした。

⏰:09/02/20 22:22 📱:P906i 🆔:pX9Xxznc


#341 [ちか]
HRが終わるなり、そいつの周りには大きな人だかりが出来た。

カナダってどんな感じ?
とか、
黒羽先輩と似てないね!
とか、
まぁとりあえず周りを取り囲んでいる奴らの大半は女子だ。


俺と透はその遠くから、他愛の話をしてケラケラと笑っていた。

⏰:09/02/20 22:40 📱:P906i 🆔:pX9Xxznc


#342 [ちか]
そのいけてるルックスに
魅力的な笑顔。

おまけに黒羽恭弥の弟で帰国子女とくれば、ソイツの噂は瞬く間に広がり、休み時間には他のクラス、さらには他の学年からまでソイツを見に来る生徒でいっぱいになった。


そんな調子で昼休みを迎えて、俺と透は食堂に行こうと立ち上がり扉の方へと歩いていった。

⏰:09/02/20 22:50 📱:P906i 🆔:pX9Xxznc


#343 [ちか]
「なに食べよっかなー♪」


なんて呑気な事を呟きながら教室を出ようとした瞬間、俺はグイッ肩を掴まれた。




振り返るとそこには噂の人気者。

⏰:09/02/20 22:52 📱:P906i 🆔:pX9Xxznc


#344 [ちか]
>>343訂正
俺はグイッ肩を
└→×
俺はグイッと肩を
└→○

すいません

⏰:09/02/21 00:12 📱:P906i 🆔:6WmKMalw


#345 [我輩は匿名である]
>>1-50


>>51-100


>>101-150


>>151-200


>>201-250


>>251-300


>>301-350

⏰:09/02/21 10:06 📱:F703i 🆔:XNIzL8Pw


#346 [ちか]
>>345
└→我輩は匿名*

アンカーありがとうございます><★

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ついでに感想板貼って
おきます♪感想や意見
よろしくお願いします!

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

⏰:09/02/21 17:59 📱:P906i 🆔:6WmKMalw


#347 [ちか]
>>343

「な、なんか用…?」


肩を掴むだけで、全くものを言わないソレに俺は警戒するように言った。


暫く続く無意味な沈黙。


なんなのコイツ‥。

「あの、用ないんだったら…「飯(メシ)一緒に食っていい?」

そう言って向けられたのはとびきりのスマイル。

⏰:09/02/21 18:14 📱:P906i 🆔:6WmKMalw


#348 [ちか]
HRの時の恐ろしい形相は勘違い?と思わせるほどの眩しい笑顔に、俺は少しの間思考停止。


「だめ?」

覗きこまれ呆然としていた俺は我に返った。

「は?‥え、うん。俺はいいけど…、透は?」

「冥がいいなら俺は別に構わないよ。」


そんな俺達のやり取りを聞いて、
「やった♪」
とさらに笑顔を溢した。

⏰:09/02/21 18:23 📱:P906i 🆔:6WmKMalw


#349 [ちか]
食堂に着いた俺達は、いつにも増して人の多い食堂に空いてる席を必死に探した。


「あ、あそこ空いてる。」


透が指差す方に目をやると、ちょうど3席空いていた。

「場所とられたら困るし、俺頼んでくるからお前らそこ居て。」

「え、じゃあ俺も行く!
3人分も持てないだろ?」

「転校生1人にさせるのもアレだろ。」

「でも‥‥っ」

そんな言い合いも透に押しきられて、結局俺は転校生とお留守番になった。

⏰:09/02/21 22:10 📱:P906i 🆔:6WmKMalw


#350 [ちか]
「‥‥‥‥‥。」

「‥‥‥‥‥。」


なんだ、この気まずい雰囲気は。


よく考えれば、目の前に居るのは恋人の弟。


なんか緊張してきた…

⏰:09/02/21 22:51 📱:P906i 🆔:6WmKMalw


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