漆黒の夜に君と。[BL]
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#250 [ちか]
「恭弥様、そろそろお時間でございます。」


「あ、そう。
じゃ、冥行こっか。」


「う、うん..」


次からコイツに流されない事を心に固く決心して俺はその場をあとにした。

⏰:09/02/11 22:34 📱:P906i 🆔:D4KC0L06


#251 [ちか]
車に乗り込んで数十分。


学校まであと少しのところで俺は車を停めてもらった。


「冥?どうかした?」

俺を不思議そうに見つめる恭弥。

「や、あの…歩きたいなって。あははは‥」


本当は昨日みたいな質問攻めをされたくないだけ。

⏰:09/02/12 19:25 📱:P906i 🆔:XFHqvW0U


#252 [ちか]
「ふうん…、じゃあ僕も降りようかな。」

「なっ、なんで?!?!」

「なんでって言われても。
冥居なきゃつまんないしね。」

いや、あんたも降りたら結局昨日一緒なんだよ!!


「なにか問題でも?」

「い、いや…。」

言葉の中の微妙な威圧感に俺は拒否出来なかった。

⏰:09/02/12 19:36 📱:P906i 🆔:XFHqvW0U


#253 [ちか]
>>252訂正
結局昨日一緒なんだよ
└→×
結局昨日と一緒なんだよ
└→○
すみません><

⏰:09/02/12 19:39 📱:P906i 🆔:XFHqvW0U


#254 [ちか]
教室に入ると、昨日に巻き戻ったようだった。


恭弥が歩いて登校してきた事がかなり珍しかったらしい。



つーかそんなん本人に聞けっつーの!!!!!
なんで俺が2日連続で朝っぱらからしち面倒くさい目に遭わなきゃいけないんだよ…。

⏰:09/02/12 19:47 📱:P906i 🆔:XFHqvW0U


#255 [ちか]
「おはよー透ー。」

朝からもみくちゃにされながらクタクタな声で透に話しかけた。

「おー。今日も仲良く登校ですか。」

茶化すように言う透。

「仲良くってワケでもねーよ…」

 

⏰:09/02/13 18:32 📱:P906i 🆔:z7IuJ69c


#256 [ちか]
「どうだか。(笑)
てかお前が遅刻せずに朝礼参加とか初めてじゃん。」

「朝礼?」

「お前、木曜(今日)は朝礼の日だろーが。」

「…そーだっけ?」


朝礼なんてまともに参加した事のない俺が、そんな事覚えてるわけない。

そんな俺を透は「お前らしいわ。」と呟いて笑った。

⏰:09/02/13 18:40 📱:P906i 🆔:z7IuJ69c


#257 [ちか]
暫くしてチャイムが鳴り、俺達はゾロゾロと体育館に向かった。



体育館に着くと、透と別れ自分の定位置についた。


長ったらしい朝礼が始まるのかと思うと憂鬱で仕方ない。

俺は一度大きく欠伸(アクビ)をした。

⏰:09/02/14 18:34 📱:P906i 🆔:XA.ZP7xg


#258 [ちか]
が、そんな眠気も憂鬱も次の瞬間一気に吹っ飛んでしまった。


「みなさん、おはようございます。」


そんな聞き覚えのある声がマイクを通して館内に響く。

それに伴って体育館中も少しざわめき始めた。

前に立っているのは紛れもなくアイツ。

⏰:09/02/14 18:42 📱:P906i 🆔:XA.ZP7xg


#259 [ちか]
そー言えば、アイツ生徒会長だっけ…。


ピシッと制服に身を包み、なんとも言えないオーラを放つ恭弥。



俺はどうもコイツの学校と普段のギャップに馴染むことが出来なくて、まじまじとソイツを見ていた。

⏰:09/02/15 10:57 📱:P906i 🆔:AvBQeG76


#260 [ちか]
「黒羽先輩ほんとかっこいい///」

となりの奴らが小さな声で話しだした。

「木曜は朝から黒羽先輩見れるから幸せだよねー!」

俺は朝の朝からコイツ見てるけど、そんな幸せ感じねーぞ…

となりの奴らが大きく頷いてるのを見ながら、俺は心の中で小さく呟いた。

⏰:09/02/15 11:01 📱:P906i 🆔:AvBQeG76


#261 [ちか]
「あ、でも知ってるー?」

「なにが?」

「黒羽先輩ね、佳山先輩と付き合ってるらしいよ〜」
「え?!」

そんな言葉が耳に届いた瞬間、俺は咄嗟に声を漏らした。


隣の奴らにまでその声は届いてなかったようで、そいつらは話を続けている。

⏰:09/02/15 11:08 📱:P906i 🆔:AvBQeG76


#262 [ちか]
「え?!うそ、副会長じゃん!!」

「そーそー。あたしも昨日2年の先輩達から聞いてさあ…」

言葉の一つ一つが俺の胸をざわめかせ、鼓動を速めた。

「そう言えば最近よく一緒に居るような…」

「まぁ、佳山先輩超美人だし仕方ないよね〜」

「悔しいけど美男美女だしねー」

⏰:09/02/15 11:13 📱:P906i 🆔:AvBQeG76


#263 [ちか]
2人は2、3度頷いて会話を終えた。



目の前には無表情で淡々と話す恭弥。


その斜め後ろに居るのがたぶん佳山って人だな…

そう言えば昨日の昼休みにアイツと話してた人もこの人だったっけ‥。

⏰:09/02/15 18:48 📱:P906i 🆔:AvBQeG76


#264 [ちか]
なんなんだろう。


胸がズキズキするし、
もやもやして気持ち悪い


朝ごはんの食べ過ぎ…?



まさかな(笑)

⏰:09/02/15 18:50 📱:P906i 🆔:AvBQeG76


#265 [ちか]
「――…い、冥?」

「……え?」

気がつけば朝礼は終わっていて目の前に透が居た。


「お前、ちゃんと朝礼出たと思ったら寝てたのかよ〜。」

そう言って透は俺の頭をクシャクシャと撫でた。

⏰:09/02/15 18:56 📱:P906i 🆔:AvBQeG76


#266 [ちか]
「っち、ちげーよ!!
ちゃんと起きてたっつーのっ!!///」

「はいはい♪」

透は流すようにそう返事して体育館を出た。

「ま、待てよっ」

「早くしねーとHR始まんぞー。あ、お前はどのみち寝るから同じか?」


どいつもこいつも俺をガキ扱いしやがって!!

⏰:09/02/15 19:00 📱:P906i 🆔:AvBQeG76


#267 [ちか]
教室に戻っても、胸のざわめきはおさまらなかった。



いや、むしろ余計に苦しくなってモヤモヤした。


なんなんだよ…――
考えれば考えるほど、すげえイライラする…

アイツが教室の前を通る時、俺とすれ違う時、さらには他の奴らがアイツの話をしているのを聞くだけでも胸がズキズキと疼(ウズ)いた。

⏰:09/02/16 18:03 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#268 [ちか]
「冥、お前顔色悪いぞ?」


何限目の休み時間だろうか。
気がつけば目の前に俺を心配そうに見つめる透が居た。

「…え、そう?」

確かに朝礼の後から、苦しさは増すばかりだ。

「お前保健室で寝てな。先生に言っといてやるから。」

そう言って透は俺の頭をぽんぽんと撫でる。

「ん、ありがと…」

俺はそう小さく呟いて教室を出た。

⏰:09/02/16 18:17 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#269 [ちか]
あ゙ー…
なんか頭も痛くなってきたかも。


俺は重たい扉をガラガラとゆっくり開けた。


「あら、どうしたの?」

「なんか体調悪くて…」

「じゃあ寝ていく?一応体温計ってね。」

体温計を渡された俺はフラフラとベッドの方へ歩いた。

⏰:09/02/16 18:37 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#270 [ちか]
「あ、そうそう。」

「え…?」

先生の声に俺は足を止めて振り返った。

「片方のベッドにもう1人寝てる子が居るから、起こさないようにね。」

「あぁ、はい。」


そう返事をして、俺は掴んでいたカーテンを開いた。

⏰:09/02/16 18:40 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#271 [ちか]
カーテンを開けた瞬間、俺は短く大きな声をあげた。


ス―‥ス―‥

ベッドに寝息をたてて眠る恭弥が居たから。


「静かに。日下君は、その隣のベッド使ってね。」

「は、はいっ!!///」


俺はピシャリとカーテンを強く閉めて、隣のベッドに入った。

⏰:09/02/16 18:48 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#272 [ちか]
なんで?!
なんでアイツが寝てんの?!?!


俺はあまりに驚いてベッドにドサッと座り込んだ。


心臓が激しく脈を打つ。
自分にまでその音が聞こえる。
 

⏰:09/02/16 20:24 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#273 [ちか]
ピピピッ‥ピピピッ‥

体温計が機械的な音を響かせた。

「熱あった?」

カーテンを開けて先生が顔を覗かせる。
体温計に目をやるとわずかながら微熱だった。

「微熱だけど上がるかも知れないしゆっくり寝てなさいね。先生、ちょっと用があって出るから。」


先生はそれだけ言って保健室を出ていってしまった。

⏰:09/02/16 20:29 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#274 [ちか]
静まり返る保健室。


ドクドクと脈打つ音が余計に大きく聞こえてくる。


「ん‥――、」


隣から聞こえてきたのは恭弥の声。

(コイツ起きないうちにここから出よ…っ)

俺はソロリとベッドを降りてカーテンを開けた。

⏰:09/02/16 20:34 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#275 [ちか]
が、俺はそこから立つ事も出来ずに停止した。

「ん…冥?…おはよう‥」


寝ぼけた顔で目をこすりながら呟く恭弥。


どうやらさっき起きたみたいで、カーテンを開けて起き上がろうとしていたみたいだ。

⏰:09/02/16 20:41 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#276 [ちか]
「お、おは、おはよっ!!」


何動揺してんだ俺っ!!//


「なんで冥がここに…?
あれ、僕寝ぼけてる…?」


グイグイと俺の顔を確かめるように近づいてくる。

恭弥の手が俺の頬に触れた瞬間、俺はオーバーヒート。

⏰:09/02/16 20:47 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#277 [ちか]
「あ、やっぱり冥だ。
こんな処で何してるの?」


優しく微笑みながら囁かれる甘い声に俺は身動きがとれない。


「…僕と遊びに来たの?」


優しい笑みは怪しい笑みへと変わり、恭弥は俺のベッドにスルリと滑り込んできた。

⏰:09/02/16 21:46 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#278 [ちか]
「な、なにしてんだよっ!!
ひゃあっ…!!///」


首筋を這う生暖かい感触に、俺は思わず熱っぽい声をあげた。


「クスッ気持ちいいの…?」


そう囁いて耳を甘噛みされ、俺はさらに声を漏らした。

⏰:09/02/16 21:57 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#279 [ちか]
「違っ!!!///んっ…!!//」


否定しようと口を開いた瞬間、恭弥の舌が滑り込んできた。


絡みつく舌に俺は吐息混じりの声を辺りに響かせる。

その激しさにうまく息が出来ない。


暫くして離された唇からは糸が引いていてなんとも厭らしかった。

⏰:09/02/16 22:27 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#280 [ちか]
「ハァッハァッ…――///」


恭弥は頬を真っ赤に染める俺を見て、満足げに微笑んだ。


「次はどうしてほしい?」


コイツはいつも俺がその声に弱い事を知ってて、わざと甘く囁くんだ。

俺はそれが悔しくて下唇をギュッと噛んだ。

⏰:09/02/16 23:00 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#281 [ちか]
「…冥が言わないなら、僕の好きなようにするよ。」


少しムッとした顔でそう呟くと、俺の両手首を押さえ込んだ。

それと同時にシャツ越しから俺の突起に吸い付いた。

「んぁっ!!///ハァッ…!!//」

喘げば喘ぐほど恭弥の愛撫は激しくなっていく。

⏰:09/02/16 23:24 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#282 [ちか]
「やめっ…ろ!!ハァッんン//」

「やだ。」

『やだ』って……。
てめえはガキかっ!!!!

怒りとその激しさにおかしくなりそうだ。


必死に捕まれている手を動かそうとするが、恭弥はびくともしない。

⏰:09/02/16 23:53 📱:P906i 🆔:kedn8OFA


#283 [ちか]
その強引さに俺は、怒りとそれ以上の苦しさを覚えた。



なんで…
  なんで…――っ!!!


「こ…う言う事はっ…ハァッ、彼女としろよ…っ!!!!!」


気づけば俺は力を振り絞ってそう叫んでいた。

⏰:09/02/17 00:06 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#284 [ちか]
そう言い放った瞬間、恭弥はピクッと眉間にシワを寄せ、

「意味わかんない。」


そう言って俺を睨んだ


「っな…〜!!!!」


それはこっちのセリフだ!!!!!!

俺はそう言って恭弥を突き飛ばし保健室を飛び出した。

⏰:09/02/17 18:21 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#285 [ちか]
どれくらい走っただろうか。


校舎裏に着いた俺は壁伝いにずるずると崩れるように座った。


思い出すのは、さっきの恭弥の顔…

「なんであんな顔されなきゃいけないんだよ…っ!!!」

俺はそう言って両手で顔を覆った。

⏰:09/02/17 19:25 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#286 [ちか]
胸が締め付けられる。



どうしようもなく切ない


俺はアイツにとってなんなんだ…――?

彼女が居るクセになんで俺にあんな事ばっかり…


考えれば考えるほど胸の締め付けは強くなっていった。

⏰:09/02/17 19:31 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#287 [ちか]
その頃、恭弥は1人取り残された保健室でベッドに腰かけていた。


「『彼女』ってなんの事なんだ…。」


不機嫌そうに眉を寄せてはそう呟いて俯いていた。

⏰:09/02/17 19:38 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#288 [ちか]
暫くしてガラガラと扉が開く音がし、恭弥はその音の先を目で辿った。


「君は……――、」

「どーも。」


言葉を遮って軽く頭を下げたのは透だった。

その手には冥の物と思われるカバンが握られている

⏰:09/02/17 19:45 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#289 [ちか]
「…あの、冥は?」

どうやら部活に出る前に冥にカバンを届けに来たらしい。

「だいぶ前に出ていったよ。」


他人から聞く『冥』と言う響きに、さっきの『彼女』と言う言葉を思い出して恭弥はまた眉間にシワを寄せた。

⏰:09/02/17 19:53 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#290 [ちか]
その表情に透も何かを察したのか目つきを変えた


2人の間に続く淀んだ沈黙。


「―――……もしかして冥に何かしました?」

冷たい声が室内に響いた

⏰:09/02/17 20:02 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#291 [ちか]
「………別に。」

「なんですか、その『間』は。」

「僕はしたつもりない。」

「…じゃあ、心当たりはあるんですね。」

「‥‥‥‥‥。」


(分かりやすい奴…。)

睨みあっていた目を逸らして黙りこむ恭弥に透は呆れた顔をして心の中でそう呟いた。

⏰:09/02/17 20:12 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#292 [ちか]
「別に先輩にどうこう言うつもりはありませんけど、冥の事傷つけたら…」

「傷つけたら?」

「ぶっ殺しますよ。」


目だけが笑っていないその冷たい笑顔を向けて、透はまた扉に手をかけた。
 

⏰:09/02/17 20:18 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#293 [ちか]
「君、冥のなんなの?」

透の後ろ姿をキッと睨んで言った。


「……幼なじみですよ。」



そう言い残して透は保健室を去っていった。

⏰:09/02/17 20:27 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#294 [ちか]
張り詰めた空気の残りが保健室に漂う中、一度大きくため息を吐いて恭弥もその場を後にした。

─────────
────‥‥
─────────‥‥

気がつけばグラウンドから学生達の声が沢山聞こえてきて、今が放課後だと言う事を知った。


教室に置きっぱなしのカバンを思い出して、俺はそこから立ち上がり、教室へと重い足を運んだ。

⏰:09/02/17 20:38 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#295 [ちか]
今何時だろ‥‥‥。


アイツもしかしてまた校門で待ってたりして!!!


そんな事がふと頭を過り、少し足を速めた。


が、
なんであんな奴に気遣ってんだ、俺!
と1人ツッコミをしてまた速度を落とした。

⏰:09/02/17 20:46 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#296 [ちか]
放課後の廊下は静まりかえっていて、足音がよく響いた。


教室に入ると、ガランとした薄暗い中を夕日の光が差し込んでいてなんとも不思議な雰囲気。


カバンを取ろうと自分の席に目線をやると1人の男が窓に持たれながらこっちを見ていた。

⏰:09/02/17 20:54 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#297 [ちか]
逆光でその顔が良く見えず、俺は目を細目ながら近づいていく。


「遅い。」


漸く(ヨウヤク)顔がはっきりと見えたところで、昨日と同じセリフが教室に響いた。

⏰:09/02/17 20:56 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#298 [ちか]
「なんで…居るの…。」


目の前に立っていたのは恭弥だった。


「冥は僕の事勝手だって言うけど、冥も相当勝手だと思うよ?」


俺の質疑なんかまるっきり無視で恭弥は俺に言った。

その目があたりに真っ直ぐすぎて俺は目を逸らす事が出来なかった。

⏰:09/02/17 21:09 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#299 [ちか]
>>298訂正
その目があたりに真っ直ぐすぎて
└→×
その目があまりに真っ直ぐすぎて
└→○
すいません

⏰:09/02/17 21:12 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#300 [ちか]
「……俺のどこが勝手だって言うんだよ。」

俺はその真っ直ぐな目に負けないように強く睨んだ。

「さっきみたいに言い逃げするところとか。」

「あれは‥‥っ!!!」


あれは?と聞き返されてもその後の言葉がまとまらず、俺は口をパクパクした。

⏰:09/02/17 21:23 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#301 [ちか]
「言っておくけど、僕に『彼女』なんか居ないから。」


教室にそんな声が響いた


「え‥‥」

思ってもみなかった恭弥の言葉に俺は短く声を漏らした。

⏰:09/02/17 21:31 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#302 [ちか]
「で、でも、副会長と付き合ってるって‥‥!!」

「副会長?僕が佳山さんと?
それ誰から聞いたの。」

「誰って言うか…噂で‥」


グイグイと近づいてくる恭弥に俺は目を逸らしながらぎこちなく答えた。

恭弥はそんな俺に大きくため息をついた。

⏰:09/02/17 21:36 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#303 [ちか]
「そう言う勝手になんでも決めつけるところも勝手だよ…。」


俺の気のせいだろうか。
一瞬恭弥がすごく悲しそうな顔をしたような気がした。

また胸がズキンと痛んだ。


ガタンッ‥‥

⏰:09/02/17 21:48 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#304 [ちか]
グイグイと迫ってくる恭弥に後退りしていると、足が机に引っ掛かってしまった。

バランスを失った俺は思わず目の前に居る恭弥の服を必死に掴んだが、そんな抵抗も虚しく、

「うわ‥‥っ!!」


と、声をあげてその場に倒れ込んだ。

⏰:09/02/17 22:09 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#305 [ちか]
「ったぁ…〜。っ!!!///」


目を開けると超至近距離に恭弥の顔があった。

俺の上に恭弥が重なって倒れこんでいたのだ。

あまりにびっくりした俺は体に力が入らず、ただ赤面するだけだった。

心臓がドキドキと脈を打つ
この距離ならその音も聞こえてしまってるかもしれない。

そう思うと余計に鼓動は速くなった。

⏰:09/02/17 23:30 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#306 [ちか]
「ど、どいてっ!!!///」

「‥‥‥‥。」


恭弥はどくばかりか、さらに顔を近づけてきた。


「僕は君が思ってるよりずっと君にハマってるんだからね。」


真っ直ぐにその声は俺の耳へ届いた。

⏰:09/02/17 23:39 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#307 [ちか]
どう言う意味…?

ハマってる…──?


言葉意味を理解しきれてない俺の顔を見て、しびれを切らした恭弥は続けた。


「…〜だからっ!!!
君が思ってるよりずっと僕は君が好きなんだよっ!!!」

静かな教室によく響いて、何度も何度も俺の頭の中でエコーした。

⏰:09/02/17 23:49 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#308 [ちか]
>>307訂正
言葉意味を
└→×
言葉の意味を
└→○
すいません

⏰:09/02/17 23:50 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#309 [ちか]
コイツが俺を好き?



本当に…──?


「だから、変な噂信じるとか、避けるとか…――。
そう言うのされるとむかつくって言うか悲しいって言うか‥‥、」


早口で独り言のようにそう呟く恭弥の顔は真っ赤だった。
きっと俺よりも。

⏰:09/02/17 23:56 📱:P906i 🆔:1RMuTNrs


#310 [姫ちゃん]
あげぇイ

⏰:09/02/18 11:39 📱:W52S 🆔:TpsnVTfA


#311 [ちか]
>>310
└→姫ちゃんさま*

あげてくれてありがとうございます★

⏰:09/02/18 18:53 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#312 [ちか]
『好き』

その言葉を聞いた瞬間、
さっきまで苦しかった胸が暖かくなった。



さっきまでの切なさも
悲しみも、
不思議なくらい
消え去っていく‥──

⏰:09/02/18 18:53 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#313 [まな]
あげですっ★

⏰:09/02/18 19:06 📱:PC 🆔:5zupChv6


#314 [ちか]
>>313
└→まなさま*

あげてくれてありがとうございます♪
今から更新しますねっ★

⏰:09/02/18 21:29 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#315 [ちか]
横目でチラリと俺を見た恭弥は急に驚いた顔をした。


「なんで泣いてんの…?!」


「え‥‥?」


気がつけば、恭弥の顔がぼんやりと滲んで見えた

⏰:09/02/18 21:31 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#316 [ちか]
なんで俺、
泣いてるんだろう‥‥?


胸が苦しいワケじゃない

悲しいワケでもない‥


恭弥は俺を起こして優しく涙を拭った。

「僕は‥‥、別に冥を泣かしたくて言ってるワケじゃないよ‥‥。」

⏰:09/02/18 21:49 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#317 [ちか]
そう言って恭弥はすごく悲しい顔をした。

違う…

俺だってそんな顔をさせたいワケじゃないよ‥‥

「そんな思いさせるくらいならさっきの忘れてくれていいから。」

そう言って作り笑顔を浮かべる恭弥がとても痛々しかった。


「違うんだ‥‥っ」

⏰:09/02/18 22:14 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#318 [ちか]
無意識に俺は恭弥の服の裾を掴みそう言っていた


「冥‥‥?」

「違うんだ…
俺、わかんないけど‥‥、悲しくて泣いてるワケじゃなくて‥‥っ、その…」


まとまらない言葉を必死で並べた。

どうしても伝えたかったんだ。
コイツにこんな顔させたくなくて。

⏰:09/02/18 22:23 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#319 [ちか]
「なんか‥‥俺、あんたが付き合ってるって噂聞いただけで苦しくなって、ずっと頭から離れなくて‥‥――
でも“好き”って言われた時、そう言うの全部無くなって‥‥、なんて言うか嬉しかった…。」


言葉に詰まりながらも、俺は必死にそう伝えた。


伝わった‥‥?
ちゃんと伝わってる‥?

なかなか返事が返って来ないのが不安で俺はさらに裾を強く握った。

⏰:09/02/18 22:49 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#320 [ちか]
「‥‥言ってる事遠回しすぎ。」

恐る恐る俯いていた顔をあげると、頭をクシャクシャと撫でられた。

「だ、だって‥‥―――」

頭を撫でる大きな手をどけようと俺はその手を掴んだ。

「僕狡いからそう言う言い方されると、良い意味でとっちゃうよ?」

掴んだ手を握りかえされて俺の体は少し熱くなった。

⏰:09/02/18 23:13 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#321 [ちか]
「良い意味って‥‥?」

そう聞き返すのとほぼ同時に唇を重ねられた。


「‥‥冥も僕の事好きって意味。」

漆黒の瞳が俺だけを映してる。

⏰:09/02/18 23:19 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#322 [ちか]
ドキドキと高鳴る胸が少し苦しい。

でも、
“もっとしてほしい”
そう思った。


コイツの全部が欲しい、と。

‥‥きっと俺も同じ気持ちだから。

⏰:09/02/18 23:26 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#323 [ちか]
「それでもいいの?」

俺を覗きこむようにしてそう言う恭弥に、俺は小さく頷いた。

「やった。」


その時、俺はコイツの屈託のない笑顔を見て思ったんだ。

あぁ、
この笑顔を俺だけのものにしたい。
この笑顔の理由になりたい、と。

そして、俺も完全にコイツにハマってると言う事を確信した。

⏰:09/02/18 23:58 📱:P906i 🆔:zV8Xvg6c


#324 [ちか]
それから俺は口づけをされた。
何度も何度も確かめるように。


優しく甘いソレで俺はまたコイツにおちていく。


「保健室の続き…する?」

怪しく微笑むソレに全身が熱くなるのを感じた。

「――‥‥っだ、だめ!!///」
──────‥‥
───‥
それから俺がここで3度頂点を向かえたのは言うまでもないだろう。

⏰:09/02/19 00:05 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#325 [ちか]
こうして俺達は晴れて
“恋人”
と言う関係になった。


そしてこの日から俺は、
コイツを“恭弥”と呼ぶようになったんだ。


しかし長い漆黒の夜には
嵐が吹き荒れる事もある

⏰:09/02/19 00:19 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#326 [ちか]
その“嵐”は、
俺達がそう言う関係になった3日後の月曜日、突然襲ってきたのだった‥──





 

⏰:09/02/19 00:22 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#327 [ちか]
月曜の朝、教室に入ると中はやけに騒がしかった。


「なに騒いでんのー?」

俺はその群れの中にひょいっと顔を覗かせて聞いた。
「おー、日下じゃん。
うちのクラスに転校生だって!!」

目を輝かせながらそう言うクラスメイトの北川。

⏰:09/02/19 00:34 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#328 [ちか]
「ふうん。男?女?」

「男だったらこんな騒がねえっつーの!
ユーリって名前なんだよな?笠原っ♪」

「噂だけどな。」

「や、俺の勘が女って言ってるから間違いない!」


北川の高いテンションに、みんな若干引き気味である。

⏰:09/02/19 00:40 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#329 [ちか]
そんなこんなでじゃれあっている間にチャイムが鳴り、担任が勢いよく教室に入ってきた。

「さっさと席着けー。」

担任のその言葉を合図に、速やかに席に着いた俺達はさっきまでガヤガヤと騒いでいたのが嘘みたいにおとなしくなり、室内は静かになった。

転校生の事が気になってたまらなくて、担任の長ったらしい話を聞きながらみんなソワソワしている。

⏰:09/02/19 18:57 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#330 [ちか]
「まぁもう知ってると思うけど、ウチのクラスに転校生が来てる。
おい、入っていいぞー。」


担任が廊下の方に向かってそう言うと、扉が静かに開いた。


その瞬間室内はさっきの騒がしさを取り戻した。


…しかし、俺はあまりの驚きに声すら出なかった。

⏰:09/02/19 19:05 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#331 [ちか]
「こっちに来るまでカナダに住んでたそうだ。
英語ペラペラだぞー。
お前ら習っとけよ(笑)」

担任はそう言ってヘラヘラと笑う。


入ってきたのは男だった

艶やかな金髪に、
穴の開いた耳。

見る限り俺変わりなそうな身長。

⏰:09/02/19 19:13 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#332 [ちか]
だけど俺にはそんな事どうでも良かった。
それより、


その容姿には似合わないほどの黒い瞳が、恭弥あまりにそっくりで声が出なかったんだ。






「はじめまして、黒羽優里です。」

  ― 第二話 e n d ―

⏰:09/02/19 19:18 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#333 [ちか]
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

第二話 比例する気持ち
>>199-332

第二話完結しました
誤字・脱字だらけですが
読んでくれたら嬉しいです★><

感想・ご意見などよろしくお願いします*∩^ω^∩

感想板↓
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

⏰:09/02/19 19:23 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#334 [ちか]
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

★まとめ

第一話 漆黒のきみ
>>3-195

第二話 比例する気持ち
>>199-332

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

⏰:09/02/19 19:24 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#335 [ちか]
>>331訂正

見る限り俺変わりなそうな身長
└→×
見る限り俺と変わりなそうな身長
└→○

すいません><

⏰:09/02/19 19:26 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#336 [ちか]
>>332訂正

恭弥あまりにそっくりで
└→×
恭弥とあまりにそっくりで
└→○

誤字・脱字だらけで
ほんとすいません;;

⏰:09/02/19 19:30 📱:P906i 🆔:NQ.nzypk


#337 [ちか]
`


第三話 嵐は突然に


 

⏰:09/02/20 21:14 📱:P906i 🆔:pX9Xxznc


#338 [ちか]
黒 羽 優 里 ‥――


俺は耳を疑った。

その瞳に黒羽なんて名字、こんな偶然あっていいのだろうか…?


が、カツカツと音をたてながら記されていく黒板の文字を見て、それが聞き間違えじゃない事を知った。

⏰:09/02/20 21:52 📱:P906i 🆔:pX9Xxznc


#339 [ちか]
よく見れば、仕草や笑顔も少し似てる気がする…

俺はそいつから目が離せなくなった。


その美形にクラス中がざわめく中、ふいに目が合った。

一瞬かなりの形相で睨まれて背筋が凍るようだった。

⏰:09/02/20 22:07 📱:P906i 🆔:pX9Xxznc


#340 [ちか]
「ちなみにー、3年の黒羽の弟だ。」


その言葉を聞いて俺はハッとした。
そうか、それなら全ての辻褄(ツジツマ)が合う。

俺はそう納得しながらも、恭弥に弟が居た事にかなりの衝撃を受けていた。


「よろしく。」

そいつはさっきの形相が嘘のような爽やかな笑顔をキメて、クラス中の女子を一瞬で虜にした。

⏰:09/02/20 22:22 📱:P906i 🆔:pX9Xxznc


#341 [ちか]
HRが終わるなり、そいつの周りには大きな人だかりが出来た。

カナダってどんな感じ?
とか、
黒羽先輩と似てないね!
とか、
まぁとりあえず周りを取り囲んでいる奴らの大半は女子だ。


俺と透はその遠くから、他愛の話をしてケラケラと笑っていた。

⏰:09/02/20 22:40 📱:P906i 🆔:pX9Xxznc


#342 [ちか]
そのいけてるルックスに
魅力的な笑顔。

おまけに黒羽恭弥の弟で帰国子女とくれば、ソイツの噂は瞬く間に広がり、休み時間には他のクラス、さらには他の学年からまでソイツを見に来る生徒でいっぱいになった。


そんな調子で昼休みを迎えて、俺と透は食堂に行こうと立ち上がり扉の方へと歩いていった。

⏰:09/02/20 22:50 📱:P906i 🆔:pX9Xxznc


#343 [ちか]
「なに食べよっかなー♪」


なんて呑気な事を呟きながら教室を出ようとした瞬間、俺はグイッ肩を掴まれた。




振り返るとそこには噂の人気者。

⏰:09/02/20 22:52 📱:P906i 🆔:pX9Xxznc


#344 [ちか]
>>343訂正
俺はグイッ肩を
└→×
俺はグイッと肩を
└→○

すいません

⏰:09/02/21 00:12 📱:P906i 🆔:6WmKMalw


#345 [我輩は匿名である]
>>1-50


>>51-100


>>101-150


>>151-200


>>201-250


>>251-300


>>301-350

⏰:09/02/21 10:06 📱:F703i 🆔:XNIzL8Pw


#346 [ちか]
>>345
└→我輩は匿名*

アンカーありがとうございます><★

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ついでに感想板貼って
おきます♪感想や意見
よろしくお願いします!

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

⏰:09/02/21 17:59 📱:P906i 🆔:6WmKMalw


#347 [ちか]
>>343

「な、なんか用…?」


肩を掴むだけで、全くものを言わないソレに俺は警戒するように言った。


暫く続く無意味な沈黙。


なんなのコイツ‥。

「あの、用ないんだったら…「飯(メシ)一緒に食っていい?」

そう言って向けられたのはとびきりのスマイル。

⏰:09/02/21 18:14 📱:P906i 🆔:6WmKMalw


#348 [ちか]
HRの時の恐ろしい形相は勘違い?と思わせるほどの眩しい笑顔に、俺は少しの間思考停止。


「だめ?」

覗きこまれ呆然としていた俺は我に返った。

「は?‥え、うん。俺はいいけど…、透は?」

「冥がいいなら俺は別に構わないよ。」


そんな俺達のやり取りを聞いて、
「やった♪」
とさらに笑顔を溢した。

⏰:09/02/21 18:23 📱:P906i 🆔:6WmKMalw


#349 [ちか]
食堂に着いた俺達は、いつにも増して人の多い食堂に空いてる席を必死に探した。


「あ、あそこ空いてる。」


透が指差す方に目をやると、ちょうど3席空いていた。

「場所とられたら困るし、俺頼んでくるからお前らそこ居て。」

「え、じゃあ俺も行く!
3人分も持てないだろ?」

「転校生1人にさせるのもアレだろ。」

「でも‥‥っ」

そんな言い合いも透に押しきられて、結局俺は転校生とお留守番になった。

⏰:09/02/21 22:10 📱:P906i 🆔:6WmKMalw


#350 [ちか]
「‥‥‥‥‥。」

「‥‥‥‥‥。」


なんだ、この気まずい雰囲気は。


よく考えれば、目の前に居るのは恋人の弟。


なんか緊張してきた…

⏰:09/02/21 22:51 📱:P906i 🆔:6WmKMalw


#351 [ちか]
時間が経つにつれて緊張は増していき、俺は俯いたままひたすら透の帰りを待っていた。


(透〜早く帰って来いよ〜…)

周りはガヤガヤしてるのに俺達2人の間には静かな沈黙。
異様な雰囲気だ。

「なぁ。」

そんな沈黙を破ったのは優里だった。

⏰:09/02/21 22:57 📱:P906i 🆔:6WmKMalw


#352 [ちか]
「今さらだけど、あんたが日下冥だよな?」


向かいで頬杖つきながら言うその顔はやっぱりHRの時のように冷たかった。


「う、うん…。」

「へえ‥」


俺は上から下へ、下から上へとジロジロ見られて変な汗をかいていた。

(なんなんだよコイツ…)

⏰:09/02/22 00:05 📱:P906i 🆔:qGF02hmg


#353 [ちか]
「……………こんな奴のどこがいいんだか。」

「え?」

今なんて…?

「お待ちどーさま。」


「あ、おかえり!」


テーブルにトレーがゴトンと言う音を鳴らして置かれ、見上げると透が居た。

「ありがと!持ってきてもらって悪いな。」

その声を辿って目線を元に戻すと、冷ややかな表情はまたもや爽やかな笑顔に変わっていた。

⏰:09/02/22 00:14 📱:P906i 🆔:qGF02hmg


#354 [ちか]
さっきのは聞き違い…?




考えれば考えるほど
分からなくなっていった


「冥?」

「ほへ?!」

「クスッ何が“ほへ”だよ、ばーか。早く食え。」

「っな、馬鹿って言った方が…「はいはい、いいから食えっつーの。」

パクっ

言葉を遮られて、唐揚げを口に放り込まれた。

⏰:09/02/22 00:21 📱:P906i 🆔:qGF02hmg


#355 [ちか]
「っ〜〜%☆※¥$ッッ!!」

「食ってから喋れ。」



むーかーつーくーっ!!!!
馬鹿にすんな馬鹿っ!!!

この透の余裕そうな顔!!
まじむかつくっ!!


俺は透の脇腹を思いっきり殴った。

⏰:09/02/22 00:29 📱:P906i 🆔:qGF02hmg


#356 [ちか]
「い゙ってーっ!!暴力反対ー。」

「ふんっ」


脇腹を擦りながら睨んでくる透に俺はプイッと顔を背けた。


「仲いいんだなー。」


ぼそりと呟いた優里の顔がやけに寂しそうだった

⏰:09/02/23 00:06 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#357 [ちか]
「俺も早くみんなと仲良くなりてーな!」

寂しい表情はまたも一瞬で爽やかな笑顔に戻る。

俺はそんな優里が解せなくて黙ってしまった。


「もうだいぶ馴染んでるじゃん。」

「や、そんな事ねーよ。
まだこっち(日本)にも馴染めてねーし(笑)」

「そう言えばカナダだっけ、前住んでたとこはどんなだった?」

⏰:09/02/23 00:18 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#358 [ちか]
「良いところだったよ。
空気も綺麗だし、いい奴ばっかだし!」

「へえ、一回行ってみてーなー!」


弾む2人の会話もあまり耳に入らず俺はぼけーっと優里を見ていた。


「な?冥!」

「‥‥え、あ、ごめん聞いてなかった!(笑)」

⏰:09/02/23 00:27 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#359 [ちか]
「だからー…、まぁいいわ。お前は飯食っとけ!」

「なんだよそれーっ!
気になんじゃん!」

「また唐揚げ食わされてーの?」

不敵笑みで唐揚げを箸でつまむ透。

「え、遠慮しときまーす…」

ちぇっ、俺だけのけもんかよー。

⏰:09/02/23 17:17 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#360 [ちか]
そんなくだらない会話と笑い声で昼休みも終わり午後の授業。




………つっても寝てたから全然記憶ないんだよな。


だって毎日毎日、恭弥に規則正しい時間に清く正しくない方法で起こされて、ゆっくり寝れる時間授業中ぐらいしかねえんだもん。

⏰:09/02/23 17:28 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#361 [ちか]
「──…い──‥おい。」

「ん‥‥、おはよ透ー‥」


そう言って俺は寝ぼけながら重たい目を擦る。




「誰が透だよ。
早く起きやがれ。」

⏰:09/02/23 17:53 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#362 [ちか]
そのドスのきいた声に、
一気に目が覚めた。


咄嗟に見上げると、そこには俺を睨み付ける優里。


「いつまでもグースカ寝てんじゃねえよ。」


眉間にシワを寄せながら言うソレには爽やかさの欠片もない。

⏰:09/02/23 18:16 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#363 [ちか]
>>359訂正
不敵笑みで
└→×
不敵な笑みで
└→○
すいません(´;ω;`)

⏰:09/02/23 20:55 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#364 [ちか]
「SHRなんかとっくに終わったつーの。」

どおりで‥‥
見渡す限り、室内には俺とこいつ2人だけだ。

「っな、なんだよ、お前!!
なんか用?!」

「おう。てめえには言いたい事が山ほどあ…、」

『山ほどある』
優里がそう言おうとした時、教室の後ろドアが音をたてて開いた。

⏰:09/02/23 21:08 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#365 [ちか]
「冥?遅いから迎えに…」


そこに立っていたのは恭弥だった。


「兄貴‥‥──っ!!!!」

「優里?なんで‥‥──」


ぎゅっ…───

⏰:09/02/23 21:17 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#366 [ちか]
「会いたかった‥‥ずっと‥‥───」



俺は目の前の光景に唖然とした。



だってそこには恭弥に抱きつく優里の姿があって。

⏰:09/02/23 21:20 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#367 [ちか]
「久しぶりだね。元気だった?」


おい、待て待て。
なに頭とか撫でちゃってんの?ねえ。





むかつく…。

⏰:09/02/23 22:11 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#368 [ちか]
胸の奥から湧いてくるそのなんとも言えない腹立たしさに、俺は暫くの間何も言えずただその光景を睨む事しか出来なかった。


「‥‥て言うか、優里いつから帰ってきてたの?」

「‥‥‥‥‥、一昨日。」

「一昨日?!お前、もしかして抜け出して来た?」

「‥‥‥‥‥。」

「お前なあ‥‥ダメだろ?」

「だって‥‥‥っ」

⏰:09/02/23 23:32 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#369 [ちか]
2人の会話の意味が全く
分からない。


抜け出すだの、なんだのって‥‥






なんか余計疎外感感じるんだけど。

⏰:09/02/23 23:35 📱:P906i 🆔:P7nfAI8c


#370 [ちか]
「とりあえず帰ろ。話はそれから。」

「い、いやっ!!!!」


顔を大きく横に振る優里を見て、恭弥は一度ため息をついて言った。


「黙っててあげるから。」

その瞬間、優里の顔はパッと明るくなった。

⏰:09/02/24 17:42 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#371 [ちか]
「冥、行こ?」


差し伸べられた片手がやけに嬉しかった。

「うん‥」


その手を掴もうとした瞬間かなり鋭い視線を感じ、結局握る事もないまま俺達は教室を後にした。

⏰:09/02/24 17:46 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#372 [ちか]
「「おかえりなさいませ」」


やっぱりこう大人数から一度に言われると緊張するなあ…

なんて事を考えながら恭弥の斜め後ろをちまちまとついていく。


俺の部屋の前に着いたところで、

「じゃ、また夕食の時にね。」

と、それだけ言って優里とどこかへ言ってしまった。

⏰:09/02/24 18:02 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#373 [ちか]
俺はベッドに倒れるように身をなげて、枕に顔を埋めた。


「あー‥‥なんだよ、もう…っ」


独り言は虚しく室内に響くだけ。

⏰:09/02/24 18:06 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#374 [ちか]
どうしようもない苛立ちが俺を苦しめる。



なんか独り占めされてるみたいで、むかつく…


馬鹿みたいだよな。



「はぁ…」

⏰:09/02/24 18:48 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#375 [ちか]
それからどれくらい経っただろうか。


「冥様、食事の用意が出来ました。」


コンコンと言うノック音と共にドア越しでメイドにそう言われて、俺はムクリとベッドから起き上がった。


1人とぼとぼといつもの部屋へと歩いていく。


中に入ると既に恭弥と優里の姿があった。

⏰:09/02/24 20:28 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#376 [ちか]
おかしいな…


ただ2人が先に居ただけなのに、それだけで食欲が無くなる。


「…冥?どうしたの?」


心配そうに俺を見つめてくれてるのに、それさえも今は俺の胸をギュッと締め付けた。

⏰:09/02/24 20:36 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#377 [ちか]
「俺‥‥‥もういらない」

「え、冥?」

「ごちそーさま…っ」


俺はそれだけ言って、俯いたまま早足でそこから立ち去った。

「うっ‥‥──グスン‥‥」

部屋に入ると同時に俺は崩れるように座り込んだ。

⏰:09/02/24 21:39 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#378 [urahanai]
>>250-500

⏰:09/02/24 21:58 📱:SH904i 🆔:SEuN3xmc


#379 [ちか]
頬を伝う幾つもの水滴。


「なんで涙なんか…──」


拭っても拭ってもソレは止まらない。


涙の音だけが広い部屋に寂しく響いた。

⏰:09/02/24 22:00 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#380 [ちか]
>>378
└→urahanaiさま*

アンカーありがとうございます><★

⏰:09/02/24 23:12 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#381 [ちか]
コンコン..

「───‥‥‥冥?」


その声に俺の身体はビクンと跳ねた。


「なっなに‥‥?」


俺は涙が止まらない目をごしごしと擦りながら平然を装う。


「入るよ?」

!!!!!

「そ、それはだめ‥‥──っ」


そう言って鍵を閉めようとしたが遅かった。

⏰:09/02/24 23:17 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#382 [ちか]
あと一歩のところでドアは開き、目に超至近距離で恭弥の姿が飛び込んできた。


「冥、泣いてたの…?!」

恭弥は驚いたような表情(カオ)で俺の頬に触れた。

「ち、ちがっ!!アクビしてただけっ!!!」



我ながら、なんて苦しい言い訳なんだろう。

⏰:09/02/24 23:35 📱:P906i 🆔:/lrPTybQ


#383 [ちか]
「なんで僕に嘘つくの?」


嘘をつかれたのが余程気にくわなかったのか、恭弥は眉間にシワをよせ、俺の顎をクイッと上にあげた。

その顔の距離に俺は思わず赤面する。


「僕なにかした?」


俺はその問いに何度も大きく横に顔を振った。

⏰:09/02/25 18:21 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#384 [ちか]
「じゃあなんで泣いてるの?なにかされた…?」

俺は何も言わず俯いて顔を横に振るだけ。


『じゃあなんで
   泣いてるの?』



答えられる筈なかった。

だって‥‥―――、

⏰:09/02/25 18:27 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#385 [ちか]
だって、


この涙は俺のわがままで


こんな子供みたいな事言ったら嫌われるかも知れない。‥‥―――


そう思うと口に出す事なんて出来なかった。

⏰:09/02/25 18:28 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#386 [ちか]
「なにか言ってくれないと分からないんだけど。」

「‥‥‥‥‥。」

俺は必死に涙の言い訳を考えていた。

暫く2人の間に続く沈黙が重たい。
考えても考えても良い言い訳は浮かばなかった。



「冥僕のこと嫌いなの?」

⏰:09/02/25 18:37 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#387 [ちか]
「ち、違う‥‥―っ!!!!」


俺は咄嗟に俯いていた顔をあげて叫んだ。
恭弥の服の裾は俺の手に握られてクシャクシャになっていた。


恭弥はそんな俺を見てニッと悪戯っぽく笑った。


「やっと喋った。」

⏰:09/02/25 18:41 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#388 [ちか]
「…っ!!!!ず、ずるい!!」

「何が?」

さらに恭弥の顔は悪戯な笑みを浮かべる。

「き、嫌いとか聞いてくるな…っ!!!///」

「なんで?」



『なんで』って‥‥‥

そんなの言えるワケないじゃん!!!!

⏰:09/02/25 18:45 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#389 [ちか]
見下ろされてるのがまた悔しさを倍にする。

俺は余裕の笑みを浮かべる恭弥をキッと睨んだ。


「あはは、怒らないでよ。ね?」


恭弥はそう言って俺の目線に合わせるように少し腰を低くしてにっこり笑った。

⏰:09/02/25 18:53 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#390 [ちか]
俺はこの笑顔に弱いんだ



この顔を前にすると、つい素直になってしまう。


この顔を俺だけのものにしたいとさえ思ってしまう。

「‥‥‥‥ないで‥――」

「え?」

⏰:09/02/25 18:59 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#391 [ちか]
「………しないでっ//」

「え、なにをしないの?」


きょとんとした顔の恭弥を見て俺は痺れをきらした



「だからっ‥‥‥!!!!///
抱きしめたり、頭撫でたり…そう言うの俺以外にしないでっ!!!!////」

⏰:09/02/25 20:42 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#392 [ちか]
言葉にした瞬間、顔から火が出そうだった。

勢いで言っちゃったけど、あんなガキみたいな事…


今恭弥はどんな顔をしてるんだろう…?

こんな俺のわがままに呆れちゃったかな‥‥?


俺は返ってくる恭弥の反応が怖くて俯いた。

⏰:09/02/25 20:50 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#393 [ちか]
そんな俺をふわりと包む優しい匂い。


気づけば俺は恭弥の腕の中にすっぽりとおさまっていた。


「きょ…おや…?」


その腕の力はだんだん強くなっていく。

⏰:09/02/25 21:46 📱:P906i 🆔:4QKnMiuk


#394 [ちか]
あまりのその強さに少し苦しくなった。

「ちょっ…恭弥、苦し‥‥いッ?!!///」

突然唇を重ねられ、俺は目を見開いた。


その濃厚なキスに俺は全神経を支配されていく。

⏰:09/02/26 19:21 📱:P906i 🆔:rMREzRHg


#395 [ちか]
舌が俺を犯していく。

その甘さに俺はいつの間にか求めるように恭弥に抱きついていた。

「んっ‥‥‥ハァ…ッ///」

離された唇に熱が残る。



「こんな事するのは冥だけだよ?」

見上げれば、そう言って笑う恭弥が居た。

⏰:09/02/26 21:18 📱:P906i 🆔:rMREzRHg


#396 [ちか]
その笑顔に今にも悩殺されそうだ。
身体が一気に熱を帯びていく。


「ほんと可愛い。」


そう言ってまた俺をギュッと抱きしめる。

その暖かさに俺の言い表せない不安感は溶かされていくようだった。

⏰:09/02/26 21:28 📱:P906i 🆔:rMREzRHg


#397 [ちか]
恭弥の腕の中はなぜかすごく安心した。

今この時は恭弥が俺だけのもののように感じて。


俺はまるで子供のように恭弥に抱きついた。

「あれ、珍しいね。冥が甘えてくるなんて。」

「‥‥‥‥うるさい///」

俺は照れ隠しに減らず口をたたく。

⏰:09/02/26 21:37 📱:P906i 🆔:rMREzRHg


#398 [ちか]
そんな俺に恭弥はまるで子供をあやすように頭を撫でた。


「‥‥‥‥‥‥子供扱いするなっ///」

「クスッ嬉しいくせに?」







完全に見透かされてる…

⏰:09/02/26 22:37 📱:P906i 🆔:rMREzRHg


#399 [ちか]
「て言うか冥、優里のせいで機嫌悪かったの?」

頭上で囁かれる声に俺は間を空けてコクンと頷いた。

「クスッ、でも弟だよ?」


そんなの分かってる。
分かってるけど‥‥

「なんか嫌だったんだもん…。」

俺ってこんなに独占欲強かったっけ…。

恭弥が俺だけのものじゃないのが嫌だったんだ。
ただそれだけだった。

⏰:09/02/27 17:15 📱:P906i 🆔:MvsE.BMU


#400 [ちか]
「ねえ、そう言うのなんて言うか知ってる?」

急に声のトーンが変わって、俺は恭弥の胸に埋めていた顔をあげた。

その時‥‥―――


「“ヤキモチ”って言うんだよ…?」

「――…ひゃあっ!!///」


突然甘い声と共に耳を甘噛みされて俺は熱っぽい声をあげた。

⏰:09/02/27 17:26 📱:P906i 🆔:MvsE.BMU


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