〇ニ番目の四季〇
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#501 [ゆり]
あたしも毎日
馬鹿みたいに
隼人隼人って
言ってた。
気まぐれで
好きだったネイルチップ作りもすぐに飽きて
ダイエットも速攻終わっちゃって
そんな自分が
毎日求めたのは
隼人だけだった。
:06/06/14 18:14 :V703SH :uwhDiWoo
#502 [ゆり]
やっぱり気持ちは変えられない。
苦しくて
どうしようもないけど
好きでいたい。
「隼人…」
俯いて
また溢れそうな涙を堪えながら
携帯を握っていた。
「ゆり!!」
恥ずかしいくらい
大きい隼人の声。
やっぱり泣いてしまった。
:06/06/14 18:18 :V703SH :uwhDiWoo
#503 [ゆり]
隼人が息を上げながら
あたしの隣に座った。
「ゆり!どーした!?」
「みんなにあたしがゆりってバレるじゃん〜」
あたしは意味不明な事を言いながら泣いてた。
「あ、声でかかった?ごめんごめん(笑」
隼人が笑って
手を握ってくれた。
気持ちが落ち着いてきたのが自分で分かった。
:06/06/14 18:22 :V703SH :uwhDiWoo
#504 [ゆり]
落ち着くと同時に
頭に浮かんだ。
慶太のコトと
あの子のコト。
何から話したらいいのか
わかんなかった。
「ゆり…ごめんな」
「え?」
隼人の方を見ると
俯いてた。
手を握る力が強くなった。
:06/06/14 18:26 :V703SH :uwhDiWoo
#505 [ゆり]
「…浮気…?」
あたしはボーッとした声で聞いた。
「浮気はしてねーけど…
俺学校行かんかったから心配しただろ?」
またあの光景が蘇る。
頭痛い。
:06/06/14 18:30 :V703SH :uwhDiWoo
#506 [ゆり]
「浮気したんでしょ?…」
下を向いたまま聞く。
「なんもしてないよ?
あいつ妊娠したらしんだけど
男に逃げられたって泣き出して…」
「…いい、聞きたくない」
「…ごめん」
あたしは握られてる手を離して
歩き出した。
:06/06/14 18:34 :V703SH :uwhDiWoo
#507 [ゆり]
「ゆり!どこ行くんだよ」
「わからんけど…もういいや」
「何が?なんもしてないって言ってんじゃん」
「もーいいって…」
子供だなあたし。
意地っ張りで素直じゃないし
もっと広い心で受け止めれたらいいのに。
:06/06/14 18:37 :V703SH :uwhDiWoo
#508 [ゆり]
「ごめん、あたしも浮気した」
「え?」
「だからもういい…」
意味わかんないまま
突っ走るのも
あたしの悪い所だ。
派手な二人が言い合ってるからか
周りの人の視線が痛い。
「ちょっと…こっち来い…」
手を引かれ
人がいないベンチまで連れていかれた。
:06/06/14 19:59 :V703SH :uwhDiWoo
#509 [ゆり]
先に隼人が座って
手を下に引かれた。
「座って…」
傷付いてる
弱々しい声。
あたしは隣に座った。
「もうダメだねあたし達…」
先に別れを言われるのが恐かった。
:06/06/14 20:02 :V703SH :uwhDiWoo
#510 [ゆり]
「…誰と?この辺住んでる奴?元カレ?」
「…慶太くんと」
「は?誰だよ」
隼人は
怒ってるような
悲しいような
複雑な横顔で言った。
「1年の爽やか君だよ」
「…」
隼人は溜め息をついた。
:06/06/14 20:06 :V703SH :uwhDiWoo
#511 [ゆり]
「そいつん家どこ?」
「わかんない」
「……お前方向音痴だもんな」
「まぁね」
「…最後までしたの?…あーやっぱ聞きたくない」
「してないよ」
「…キスは?」
「してない」
:06/06/14 20:09 :V703SH :uwhDiWoo
#512 [ゆり]
「…でも浮気したんだろ?」
「うん、おっぱい触られたもん」
淡々と答える自分。
こういう時に何故かあたしは強い。
自分は悪くないって
正当化ばっかりしてるから。
最悪な女だ。
「お前まじかよ…」
隼人が泣きそうになった。
:06/06/14 20:13 :V703SH :uwhDiWoo
#513 [ゆり]
「ちょっと泣かないでよ〜」
隼人の肩に手を回す。
「うっせーよ…」
隼人が鼻水をすすり始めた。
「あ〜ごめんねッ殴っていいよ!」
「んな事出来る訳ねーだろ…」
本当
彼氏泣かせたりして
なんつー女だろう。
って思った。
:06/06/14 20:18 :V703SH :uwhDiWoo
#514 [ゆり]
あたしは焦りながら
隼人の顔を覗き込んでた。
あたしが傷付いて
それだけで良かったのに
隼人まで傷付けて
なにしてんだろう。
「俺ずっとお前の事探してたんだよ…?」
「…うん」
「ずっと俺だけだって…お前言ったじゃん…」
:06/06/14 20:22 :V703SH :uwhDiWoo
#515 [ゆり]
何も言えなかった。
謝罪の気持ちはあったけど
隼人を責める気持ちもあったから。
だけど
責任転嫁したって
また言い合って
傷付け合うだけ。
だから何も言えない。
いつの間にか
空は暗くなっていた。
:06/06/14 20:27 :V703SH :uwhDiWoo
#516 [我輩は匿名である]
:06/06/15 16:19 :P902i :NH7/nXyQ
#517 [y]
早く見たぁぁい
:06/06/15 16:45 :W41CA :Ud7JMFVc
#518 [我輩は匿名である]
:06/06/15 17:24 :N900i :☆☆☆
#519 [ゆり]
皆様ありがとうございますo(^-^)o☆
少し書きます☆
:06/06/15 20:31 :V703SH :qO6SEqHA
#520 [ゆり]
「隼人…帰ろ」
あたしは隼人の袖を少し引っ張って
立ち上がった。
隼人は何も言わないまま
立ち上がって歩き出した。
少し距離を空けて
ついていった。
電車に乗り込んで
学校のある駅で降りた。
二人なにもしゃべらないまま。
:06/06/15 20:36 :V703SH :qO6SEqHA
#521 [ゆり]
「もうこっから一人で帰れる…ありがとう」
隼人の背中に声をかけた。
「…うん」
そう言って
歩いて行った。
初めて突き放された感じがした。
だっていつもの隼人なら
ありえないくらい心配してくれるのに。
:06/06/15 20:42 :V703SH :qO6SEqHA
#522 [ゆり]
そういえば
いつも隼人があたしを見送ってくれて
隼人の歩いてく後ろ姿って
見た事なかった。
優しさに甘え過ぎてた。
分かってたけど
優しく出来なくて
本当にごめんね。
:06/06/15 20:44 :V703SH :qO6SEqHA
#523 [ゆり]
ボーッとしたまま
ホームまでの階段を下りる。
隼人
ごめん。
ごめんね。
立ったまま
何本か地下鉄を見送った。
「えッまじ!?」
声がした。
少し左に視線をズラすと
あたしの顔を覗き込む
慶太がいた。
:06/06/15 20:49 :V703SH :qO6SEqHA
#524 [ゆり]
「…」
あたしはまた真っ直ぐに視線を移動した。
「無視?!笑」
「…話し掛けないで…」
泣きそうで
それしか言えなかった。
慶太は何も言わずに
手を引っ張って歩き出した。
「ちょ…やだってばぁ」
結局また泣いてしまった。
最近情緒不安定。
なんで?
どうして隼人が来ないの?
:06/06/15 20:56 :V703SH :qO6SEqHA
#525 [ゆり]
振り払おうとしても
慶太は何も言わなくて
だけど後ろ姿が
少し怒ってる様に感じた。
「もーやだぁ…」
歩くスピードは上がって
よくわからないまま
違う乗り場に行って
電車に乗った。
:06/06/15 21:00 :V703SH :qO6SEqHA
#526 [ゆり]
人がいっぱい乗ってたのに
あたしは下を向いて泣いてた。
慶太は手を離さなかった。
着いたらしく
また手を引かれ電車を降りた。
慶太があたしの定期を出して乗り越し精算をして
切符を渡してきた。
:06/06/15 21:03 :V703SH :qO6SEqHA
#527 [ゆり]
受け取って
改札を抜けた。
外は真っ暗だった。
早足で着いた先は
慶太のアパートだった。
あたしはまだ泣いていた。
涙はいつまで出てくるんだろう。
:06/06/15 21:09 :V703SH :qO6SEqHA
#528 [ゆり]
慶太は無言で鍵を開けて
手を引いて部屋に入った。
しまってないカーテンから
月明かりだけが部屋を照らしていた。
電気も付けずに
あたしをベットに押し倒した。
:06/06/15 21:12 :V703SH :qO6SEqHA
#529 [ゆり]
涙は出たまま
頭もボーっとしてる。
少し息の上がったあたしの唇に
慶太の唇が触れた。
ふわふわの布団と
優しい月明かりと
慶太の熱いくらいの体温が
冷え切ったあたしに染み渡った。
:06/06/15 21:17 :V703SH :qO6SEqHA
#530 [ゆり]
慶太は身体には触れずに
指を絡ませて
唇だけを重ね続けた。
涙は止まらなかった。
こんな
あたしの弱さで
慶太も
隼人も
傷付けてるんだ。
:06/06/15 21:22 :V703SH :qO6SEqHA
#531 [我輩は匿名である]
:06/06/17 00:58 :P902i :fkzr0o1I
#532 [ひLI]
忙しLIンカナ??
自分のぺースで
無理せず_
゙してね
:06/06/17 20:34 :N901iC :dZ5O/n/E
#533 [ゆり]
ありがとうデスッ☆
遅くなってほんとごめんなさいッ(>_<)
書き上げるのでよかったら読んで下さいね☆
:06/06/17 23:54 :V703SH :34icdEBA
#534 [ゆり]
慶太は突然体を離して
ベットに座った。
「ごめん…」
「…」
あたしは天井を見たまま
ボーッとしていた。
「無理矢理奪っても…
先輩苦しむだけだよね…」
「…」
自分の指先で唇に触れてみた。
隼人の温もりが
また遠くなった
そんな気がした。
:06/06/17 23:55 :V703SH :34icdEBA
#535 [ゆり]
「先輩」
慶太はあたしを起こして
抱きしめた。
「や…」
あたしは拒んだ。
だって
慶田の肩幅とか
腕の強さとか
香りとか
全部に隼人が映るんだよ。
これ以上
隼人の温もり消さないで。
お願い。
:06/06/17 23:56 :V703SH :34icdEBA
#536 [ゆり]
「痛…やだぁ…」
「最後だから!」
「…」
「これでちゃんと…諦めるから…」
…嘘
慶太泣いてる。
切ない気持ちで
いっぱいになった。
「なんだよこれ…
自分が自分じゃないみたいだし…
超かっこわりぃじゃん」
:06/06/17 23:58 :V703SH :34icdEBA
#537 [ゆり]
わかるよ
その気持ち
痛いくらいわかる。
慶太はあたしを強く抱きしめた後
腕の力を緩めた。
「家まで…送ります」
二人で家を出て
車に乗り込んだ。
「車もボロくてごめんね(笑」
「ううん、全然」
それから家までの40分
慶太は笑顔でたくさん話してくれた。
:06/06/18 00:00 :V703SH :ThLyQD2Q
#538 [ゆり]
「俺ね〜先輩に一目ぼれして
まぁ彼氏いたし軽い気持ちだったんです(笑」
「うん…」
「でも話したり
中身知る度にまじで好きになっちゃってて(笑」
「うん…」
「今日先輩駅まで送った後も
気になって
学校の方行って彼氏探してて(笑」
「うん…」
:06/06/18 00:02 :V703SH :ThLyQD2Q
#539 [ゆり]
「当然見つかる訳もなく
帰ろうとしたらホームに先輩がいたんですよ(笑」
「うん…」
「めっちゃ傷付いてる顔してたから…
暴走してしまいました…笑」
「…うん」
無理に笑顔を作る
あたしに似た
慶太の不器用な優しさが
苦しかった。
:06/06/18 00:03 :V703SH :ThLyQD2Q
#540 [ゆり]
「あ、そこのコンビニでいいよ
ほんとありがとう」
車が止まり
ドアを開けたら慶太が言った。
「先輩、大丈夫だよ」
「…なにが?」
「俺がイイ女だと思うんだから
大丈夫!」
「なにそれ(笑」
励ましてくれてる。
あたし傷付けたのに。
「…ありがと。」
:06/06/18 00:05 :V703SH :ThLyQD2Q
#541 [ゆり]
慶太は笑って手を振って
帰っていった。
ボロい車が
やけにかっこよく見えた。
あたしだけ
進めないままだ。
部屋に入って携帯を開く。
隼人からは
着信も
メールもなかった。
「当たり前か…」
その日は瞼を冷やして眠った。
:06/06/18 00:07 :V703SH :ThLyQD2Q
#542 [ゆり]
次の日
相変わらずアラームより早く目が覚めた。
外は今にも雨が降りそうな
どんよりした曇り空。
溜め息を吐いて
学校に向かった。
「先輩!おはよ〜!」
振り返ると慶太がいた。
一瞬戸惑った。
「あ、おはよ」
「あはは超キョドッてるし(笑」
:06/06/18 00:09 :V703SH :ThLyQD2Q
#543 [ゆり]
次に後ろからカン高い叫び声が聞こえた。
「けーたくーんッ♪おはァ♪♪」
慶太の腕を掴んだのはギャル子ちゃんだった。
「あっゆりチャン先パイだッ♪
おはよーございまァす♪」
「おはよ(笑」
迫力負け。
:06/06/18 00:11 :V703SH :ThLyQD2Q
#544 [ゆり]
「先輩♪俺モテるんで心配しなくていーですよ(笑」
「そのようだね(笑」
「まぁ先輩よりかなりレベルは下がるけど…(笑」
どーゆー意味ー??と上目使いのギャル子ちゃんと
慶太は笑いながら校舎に入っていった。
:06/06/18 00:12 :V703SH :ThLyQD2Q
#545 [ゆり]
自信過剰にあんな事言うのも
優しさだって
分かってるよ。
あんたあたしに似て
不器用だもんね。
背中押してくれて
ありがとう。
ちゃんと隼人に
好きだって伝えよう。
格好悪い結末でもいい。
やっと泣いてすがれるくらい
愛せる人に出会えたんだから。
:06/06/18 00:14 :V703SH :ThLyQD2Q
#546 [ゆり]
チャイムと同時に教室に入る。
隼人がいない。
なんで休みなの?って友達に聞かれるたびに
わかんないって言うのがすごく
辛かった。
机の下で携帯を開き
隼人にメールを送る。
「今日学校来ないの??」
送信。
返事はすぐに来た。
「行かない…」
:06/06/18 00:17 :V703SH :ThLyQD2Q
#547 [ゆり]
「どうして?」
「別に…でも大丈夫だから」
「今家にいるの?」
「うん家だよ」
あたしは教科書とバックを持って
席を立った。
「ゆりちゃんどーしたん?!」
「帰らなきゃ」
よく覚えてないけど
そんな事を言って教室を出た気がする。
:06/06/18 00:18 :V703SH :ThLyQD2Q
#548 [ゆり]
外は雨が振り出していた。
あたしは家を出る時に
雨が降ってなかったら
傘を持っていかない。
いつも隼人が入れてくれるから。
もう
ちゃんと天気予報チェックして
ちゃんと傘持って
家出なきゃダメ?
やだよ
めんどくさいじゃんか。
:06/06/18 00:23 :V703SH :ThLyQD2Q
#549 [ゆり]
あたしは走って駅まで向かった。
ヒールが入りそうな場所に来ると
隼人が「ハマるなよ」って言ってくれる声が
蘇った。
:06/06/18 00:26 :V703SH :ThLyQD2Q
#550 [ゆり]
ねぇ隼人
あたしは今まで生きてきて
それなりに本気の恋もしたんだけど
こんなに誰かを
必要とした事はなかった。
こんなに誰かを
失いたくないと思ったのも初めてだよ。
この気持ちに嘘はないって
きっと今なら誓える。
照れ隠しに抱きしめて
「俺も」って
もう笑ってくれないの?
:06/06/18 00:27 :V703SH :ThLyQD2Q
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