俺がホストじゃなかったら
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#321 [ゆう]
「じゃあ、そういうことだから。ここはちゃんと近いうち出てくから」
レナは淡々と言うとそのまま家を出て行った
取り残された俺はソファに深く座ってただ呆然としていた
携帯を取り出して見ると、客から何件か着信やメールが入っていた
俺はその中から適当に客を選んで電話をかけた
:07/08/22 23:37 :D902iS :☆☆☆
#322 [ゆう]
「あ、もしもし?今どこ?あのさ、今から同伴してくれない?いつものお礼で、今日は俺のおごり」
その客はすんなりオッケーしてくれた
どんな状況でも仕事は行かなきゃいけない
どんな状況でも仕事中は笑ってなきゃいけない
何で俺っていつでもこんなに仕事優先なんだろう
:07/08/22 23:42 :D902iS :☆☆☆
#323 [ゆう]
店が終わった後また俺はタツミさんの家に帰った
心配してくれてたタツミさんに、レナとの会話を話すと
「ナオキ、お前とんでもない女に引っかかったなぁ」
と笑ってくれた
悲しい反面、ずっと騙され続けたのかと思うと情けなくて、俺まで笑えてきた
:07/08/23 12:55 :D902iS :☆☆☆
#324 [ゆう]
一週間くらい経ったある日
夕方に目を覚まして携帯を見ると、客の他に『レナ』の文字が受信ボックスにあった
俺は急いでメールを開いた
『部屋でてったから』
内容はそれだけだった
受信時間はとっくの前なのに、俺はタツミさんの家を寝起きのまま飛び出した
:07/08/23 18:09 :D902iS :☆☆☆
#325 [ゆう]
俺はスウェットのまま地下鉄に乗った
タツミさんのアパートから俺のマンションは一駅だった
何でこんなに急いでるんだろう
会えるわけないのに
そんなことを考えているうちに俺のマンションについた
:07/08/23 18:15 :D902iS :☆☆☆
#326 [ゆう]
鍵でドアを開けた
その拍子に、ドアについてる郵便受けから金属が擦れる音がした
郵便受けを開けると、レナが持っていた合い鍵が入っていた
ポストの中の鍵が、二人の関係の『終わり』を俺に教えてくれた
部屋にはまだ微かに、レナの残り香があった
:07/08/23 18:21 :D902iS :☆☆☆
#327 [ゆう]
:07/08/23 18:22 :D902iS :☆☆☆
#328 [ゆう]
:07/08/23 21:19 :D902iS :☆☆☆
#329 [ゆう]
部屋に入ると、レナのものは全てなくなっていた
レナの化粧品、レナの服やバッグや靴、レナの歯ブラシ、コップ、雑誌
もとから荷物が少なかったから、ここで俺とレナが暮らしていたことを証明するものは、もう何ひとつ残っていなかった
:07/08/24 01:36 :D902iS :☆☆☆
#330 [ゆう]
レナに『今までありがとう』ってありきたりなメールを送ろうと思ったけど、もうアドレスは変えられていた
完全に終わった
俺の長かった恋
俺の初めての恋
俺を変えてくれた恋
たくさん裏切られたけど、それでも大好きだった
ほんと、バカだよね
:07/08/24 01:50 :D902iS :☆☆☆
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