先輩と旅立ちの唄
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#401 [あかり]
何か話さなければ、と焦る。
でも、全く違う内容に持っていくのも、むしろもっと気まずくさせると思った。

私は、いつもうじうじして、自分からぶつかっていくのを、いつも避けて過ごしてきた。

こんな自分を、本当はずっと変えたいと思っていた。
きっかけを待っていた、どんな小さなことでもいいから―

⏰:08/11/10 01:07 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#402 [あかり]
自分の本当の気持ち―

日に日に、竜樹くんの存在が、大きくなっていってるような気がした。

それは、決して先輩への思いが、報われないからという理由ではないことを、願いたい―

フッと、今度は藍美の顔が浮かんだ。
藍美、私、新しい自分に出会いたい―

⏰:08/11/10 01:13 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#403 [あかり]
「私ね…。」
シーンとした空気の中、口を開いたのは、私からだった。

「私、竜樹くんと、もっと話したり、一緒にいたいなって思って…るんだ…。」

あっ!と思った時には、既に遅かった。
自分でも何故こんなことを口走ったのか、分からなかった。

⏰:08/11/10 01:20 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#404 [あかり]
「えっ!?」
彼が驚く。
唐突なことを言ってしまったので、引かれただろうか。

でも、後悔はしていない。
むしろ、すっきりしている。
はっきりしない自分とは、もう決別したかった。

どうにでもなっちゃえ―
半分投げやりな思いで、目をつむった。

⏰:08/11/10 01:24 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#405 [あかり]
「俺、めっちゃ嬉しいっす!
木村先輩が、俺のことそんな風に思っててくれてたなんて。」

「えっ?」
予想外の彼の言葉と嬉しそうな表情に、私はふいをつかれた。

「俺、こう見えても、女の人とはどう接していいかわかんないんすよ?

でも、そんなこと言ってたら、いつまでも木村先輩と距離縮まんないじゃんって。
最近はホント頑張ってましたよ(笑)」

⏰:08/11/10 01:31 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#406 [あかり]
竜樹くんが話すことを、隣で心臓をバクバクにしながら聞いていた。

相変わらず彼は、私をドキドキさせるのが上手い―

「俺、本当はもっと時間が経ってから言おうと思ってたんですけど…

先輩のこと、ずっといいなと思ってて…

よかったら、俺と付き合ってくれませんか?」

⏰:08/11/10 01:44 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#407 [あかり]
「あかり、さっきから顔が赤いわよ。
熱でもあるんじゃない?」
晩御飯を食べながら、私の額に、母が手を当ててきた。

「熱はないみたいね。」

家に帰ってからも、ずっと竜樹くんから言われた告白の言葉が、頭の中で反復していた。

⏰:08/11/10 01:54 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#408 [あかり]
帰りの船の中で、翔馬と怜香には、今日の出来事を話さなかった。

付き合ってください―

彼のその気持ちに、まだ返事は出していない。
どちらに転ぶにしても、中途半端な思いが、一番傷つけると思ったからだ。

したがって、翔馬たちにも、まだ報告するべきではないと考えた。

自慢めいたものにしたくないし、竜樹くんのことは大切にしたいからこそ、より。

⏰:08/11/10 02:02 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#409 [あかり]
お風呂に入っている時も、部屋にいる時も、布団の中で眠りに就こうとした時も、竜樹くんのことばかり考えていた。

私にとって、彼の存在とは…?
ただのよく話す、後輩の一人…?

ちょっと前までは、そうであったかも知れない。

でも、この頃は…
一人の、男性…―

⏰:08/11/10 02:12 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#410 [あかり]
次の日―
休み時間のことだった。

「ンフフ。
私、克次先輩と付き合うことになったから〜!」
藍美からの、突然の発表。

「えぇぇ〜!!
それははおめでとう!よかったね、藍美!」
私は感極まった声で、彼女を祝福した。

⏰:08/11/10 06:50 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#411 [あかり]
「告白したのは、克次先輩からだよ。」
そう言って、藍美は口を開けたお菓子の袋を、私に差し出した。

「本当に!?藍美は、すごいね。好きな人を振り向かせるなんて。」
お菓子をつまみながら、私は彼女に感心した。

もしも私が、藍美だったら、タクロウ先輩ともっと仲良くなれたのだろうか―?

⏰:08/11/10 07:00 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#412 [あかり]
「メールの内容は大事だね〜。顔文字とか、めっちゃかわいいの使いまくるの。」

「アハハ。」

「あかりはどう、最近?
例の一年の男子とは。」

「えっ!」

⏰:08/11/10 07:05 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#413 [あかり]
「昨日、告白…されたよ…。」
藍美にだけは、今後のことを相談してみようと思った。

「あれま!それは急展開!
返事したの?」
藍美がふいに、お菓子の袋を床に落とす。
ゆっくりとした体勢で、それを拾い上げる。

「あ、まだ…。
どうしたらいいんだろって。」
ふと、翔馬がクラスの男子と輪になっているのに視線をやった。
彼は笑っていた。

⏰:08/11/10 07:17 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#414 [あかり]
「彼のことはどう思ってるの?好きなの?」

「…気になってる存在ではあるよ。」

「じゃあ問題ないじゃんっ!」

「えっ!藍美ったら!」
あっけらかんと即答した彼女に、私は笑った。
彼女のこんなところに、魅力を感じるというのはある。

⏰:08/11/10 07:24 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#415 [あかり]
「ん?何?おかしい?」

「私、つい最近までタクロウ先輩のことが好きだったんだよ。一年以上も…。

それなのに、すぐに他の人好きになるなんて、
先輩への思いなんて、その程度だったのかって…。」
改まったような面持ちで、私は言った。

それは、私が一番気にかけている部分であったかも知れない。

⏰:08/11/10 07:33 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#416 [あかり]
「んー…」
目を閉じて、藍美が腕を組み出した。

「あのさぁ!」
そして、自分の意見なりのを言う。

「例えばさ、付き合ってる人がいて…んで、別れたとするでしょー?

極論だけど、私は他に好きな人が5日後に出来ようが、5年後に出来ようが、変わらないと思うの。

ただ出会った日が遅かったか早かったかの違いだけで。

でも、すぐに付き合ったりすると、すぐに終わるパターンが多いのは確かだね。」

⏰:08/11/10 07:52 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#417 [あかり]
「うん、うん。」
私は藍美の話を、傍らで拍子をとりながら聞いていた。

「自分のこと、真剣に見てくれる人を大事にする人生にしたいね。」
私は窓の景色を見ながら、独り言のように彼女に言った。

昨日、竜樹くんと見た空と、同じ青さだった。

⏰:08/11/10 16:54 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#418 [あかり]
「あかりちゃん、今日中学校に遊びに行ってみない?」
帰りの船の中―
怜香からの提案だった。

「うんっ、いいかもねー。
久しぶりに日下部先生にも会いたいし。」

船が着いた後、私と怜香は歩いて母校を訪ねた。

⏰:08/11/10 20:04 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#419 [あかり]
「大原せんせーっ!」
職員室に入った途端、怜香が顔なじみの先生の所に、駆け寄る。

「おぉー!怜香、あかり!
元気しとったかぁ?」

「うん!元気ー!
先生、怜香がいなくて寂しいんじゃない?」
怜香が先生に抱き着く。

「おうおう。お前らが卒業してから、少しは静かになったかのう。」

⏰:08/11/10 20:16 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#420 [あかり]
「おー!何か懐かしいのがおるなぁー!」

「日下部先生!」
今、職員室に入って来たばかりの、元担任の先生に気づく。

「あかり!久しいのぉ。
ん?少し大人っぽくなったんじゃないかあ?」

⏰:08/11/10 20:29 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#421 [あかり]
しばらく私と怜香は職員室でたむろしていた。

中学の時は、昼休みになるとしょっちゅう遊びに来ていたものだ。

私と怜香は、高校の時の様子を話したり、中学の時の思い出話を、
室内にいる先生たちに話し出したりしていた。

「怜香お腹空いちゃったかも。そろそろご飯食べに帰ろうかな。」
気がつけば、外の景色はすっかり暗くなっていた。

⏰:08/11/10 20:42 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#422 [あかり]
「私も。今日の夕飯何だろー?」
ディスク用のイスから立ち上がり、怜香と帰る準備をしようとしていた。

その時、
「おー、そうそう!こないだタクロウとばったり会ったぞ!」
日下部先生が、思い出したかのように言い出した。

「…えっ?」
胸の奥で、懐かしい感覚が疼いた。

⏰:08/11/10 20:51 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#423 [あかり]
「あいつ学校帰りだったみたいでさ。
声かけたら、そそくさと立ち去るようにしてさあ。」
「ふーん…。」

「あ、女ん子が一緒にいたなあ。背の小さい子。」

「あ…。」

きっと小春先輩だ―

ズキン―
忘れようと励んでるつもりなのに、まだ痛む心がある―

⏰:08/11/10 20:56 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#424 [あかり]
怜香と中学校から帰る。
秋の夜風は、少し冷たかった。

空を見上げて、一番星を探そうとした。
田舎の星空は綺麗だ。すぐに見つかった。
一番星どころか、たくさんの星が、もうぽつぽつと広がっていた。

怜香が隣で、あー寒い、とぼやいていた。

⏰:08/11/10 21:01 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#425 [あかり]
カップルで下校―
普通、真っすぐ別れないで、どちらかの家に行くよね―

「ねぇ、怜香。
タクロウ先輩と小春先輩、どこまでいったと思う…?」
彼女に聞いてもどうしようもないことを、私は分かっていながら質問した。

⏰:08/11/10 21:04 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#426 [あかり]
「んー。最後までいってんじゃなーい?わかんないけど。
タクロウ先輩も18だし、経験があってもおかしくないっしょー、てか自然。

あんな可愛い人と二人きりになって、襲わない方がありえんっ。」

「アハハ…。」
少し前までは、三日くらいは沈み続けるほど、落ち込んだかも知れない。

でも今は、だいぶ心に余裕が出来ている。

竜樹くん―
私、前に進みたい。

⏰:08/11/10 21:10 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#427 [あかり]
「怜香。」

「うん?」

「私もいつまでも、後ろめいてちゃダメだよね。」

「?」

「私ね、昨日竜樹くんに告白されたんだ。
まだ答え出してないんだけど、明日、OKの返事、出すことにする。」

⏰:08/11/10 21:13 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#428 [あかり]
次の日の放課後―
私は竜樹くんとこないだ一緒にいた、体育館の玄関の所にいた。

昨日の夜、メールで、彼とまたここで会うよう約束を交わしていた。

今日は私の方が、先に来ていた。
私は彼に言う言葉を、頭の中で覚えるように何度も繰り返していた。

既に心臓の脈は、早く打っていた。

⏰:08/11/10 21:24 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#429 [あかり]
「先輩っ。」
しばらくして、竜樹くんがやって来た。

彼は私の隣に座った。
いつもより、静かな感じがした。

当たり前か。
今日は大事な話をするために誘ったんだから―

⏰:08/11/10 21:38 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#430 [あかり]
「…。」
「…。」

お互い最初の言葉が出ない。
嫌、私は思ってることを言いたいのだが、恥ずかしさからと緊張からか、
喉につっかえてしまい、そのままでいた。

もっとしっかりしなきゃ―
決めたんだ、一歩前に踏み出すって―

⏰:08/11/10 22:24 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#431 [あかり]
「…あのねっ!

えっと、こないだは告白してくれてありがとう。

私もね、この頃、日に日に竜樹くんの存在が大きくなってきてたんだ。

だから、気持ちを言ってくれたの、すごく嬉しかった。

私、全然可愛くないし、性格も…だけど
これからもっと竜樹くんと一緒に過ごしたいな!

んーと、んと…
だから、…よろしくお願い…します。」

⏰:08/11/10 22:32 📱:SH705i 🆔:Fbl.ErEw


#432 [あかり]
体は竜樹くんの方に向けていたが、下向き加減で思いのままを伝えた。

生まれて初めて、ここまで正直な気持ちを誰かに言えたのかも知れない。
まじまじと言うのは照れ臭いけど、心境は何だか悪くない。

むしろ、いい感じ。

⏰:08/11/11 02:06 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#433 [あかり]
「ははっ…まじ…すか…。」
竜樹くんは、胸を撫で下ろしながら、感嘆した様子でいた。
だんだん顔の表情が明るくなっていくのが分かった。

「あー俺、今日フラれるんじゃないかって思ってて…。

まじ…嬉し…。

歳は俺の方が一つ下だけど、大切にしますんで。」

「う、うん…。」
真面目な顔をして言う彼に、顔の体温が、だんだん熱くなっていった。

⏰:08/11/11 02:15 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#434 [あかり]
そして、私と竜樹くんの交際が始まった―

竜樹くんは、ほぼ毎日部活に明け暮れていたから、
家に帰ってからの、メールや電話のやり取りを毎日したり、
休日、一緒に図書館で勉強したりと、楽しい時間は流れていった。

やっと、私にも幸せが訪れたんだ―
心からそう思った。

⏰:08/11/11 02:22 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#435 [あかり]
「いよいよ後少しで修学旅行だねーっ!
克っちゃんへのお土産何にしよう!?

あかりは阿倍野くんに何あげたいー?」
藍美がお土産パンフレットみたいなものを眺めながら、そう言ってきた。

藍美は克次先輩と付き合うようになってから、
彼のことを"克っちゃん"という愛称で呼ぶことにしたみたいだ。

⏰:08/11/11 02:27 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#436 [あかり]
「あーん!
旅行中は克っちゃんと会えないし、連絡取れないや。」

「あはは。その分日本では出来ない体験を、存分にしてこようよ。」

「あ!修学旅行終わったらさ、Wデートしようよ!」

「うんっ、いいねー!楽しみなことがいっぱいだぁー!」

⏰:08/11/11 02:30 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#437 [あかり]
「ねぇねぇ!
もう竜樹くんとはチューしたの?」

「ななな何言ってんの藍美っ!?
まだ付き合ったばっかだよ!?」

「ありゃりゃー。まだかぁ〜。
そりゃ旅行前に是非とも拝んとかないとー。寂しいよー。」

「そんなっ…永遠の別れじゃないんだから(笑)。」

⏰:08/11/11 02:35 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#438 [あかり]
「私も後一週、間克っちゃんにチューせがみまくろーっと。」

「何も私の前で宣言しなくても(笑)」

「でも実際さ、そばにいれるだけで幸せっていうか…
キャハッ、城山さん清純派〜!(笑)」

「もー、言ってることの意味わかんないよ(笑)
一年の時は、藍美がこんな壊れた奴とは思いもしなかったよ!(笑)」

⏰:08/11/11 02:41 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#439 [あかり]
「…ありがとね。」

「え!?」

「私さぁ、一年の時、欠席や早退が多かったっていってたじゃん?
二年の最初の頃も、それは少し続いてたのね?

今まで話さなかったけど、精神的なことが影響してた…のよ。

でも、あかりと仲良くなってから、学校のこと楽しくなかった訳じゃないけど、休むのもったいなーって思うようになって!

出席率も多くなったのです〜めでたしめでたし!」

⏰:08/11/11 02:49 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#440 [あかり]
藍美は笑いながら言っていたが、目が涙で少し滲んでるのが分かった。

「そんな、こちらこそ。
私も二年になって、藍美やいのちゃんと友達になって、すっごく楽しいよ!」

藍美の休みが多いのは、体調不良だけかと思っていたが、明るい彼女も彼女なりに、色々とあるんだと思った。

今年は、悪いことを探す方が難しいくらい、良い一年になっている。

⏰:08/11/11 02:56 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#441 [あかり]
その日の帰りの船の中―
怜香の恋の相談を聞いていた。
同じクラスに、気になる人が出来たらしい。

「希緒ちゃん、阿倍野くんに教科書借りたりとかしてるよー。
まあでも、今はどちらかというと、四組の石上くんの方がお気に入りみたい。

あかりちゃん、付き合ってること隠してないで、周りに公表したらー?」
途中で怜香が、私にこんなアドバイスをしてきた。

⏰:08/11/11 03:04 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#442 [あかり]
「うーんでも、私自信ないし…。
『何であの人なん?』って中傷に耐えられる精神は持ってないよ…(笑)。」

私と竜樹くんは、一部を除いて、周りに秘密にしながら付き合うことにした。
私がそうしたいと彼に望んだ。

「ま、あかりちゃんがそれでいいなら、ね。

それに、事実を知らないで阿倍野くんに近寄ろうとしてる、希緒ちゃん見てるの楽しい(笑)」

「れ、怜香…。アハハ…。」
希緒ちゃん、ごめんなさい。

⏰:08/11/11 03:11 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#443 [あかり]
その時、私の携帯が鳴る。

「お、彼氏からかー?
いいなぁーラブラブで。」冷やかす怜香。

「今週末、良かったら俺の家で遊びませんか?(ノ゚O゚)ノ
ちょうど親いないんすよ!
修学旅行始まったらしばらく会えなくなるので(>_<) ―竜樹―」

ドキドキドキ…。
初めての竜樹くんの家…。

⏰:08/11/11 03:20 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#444 [あかり]
私はその誘いをOKすることにした。

竜樹くんと付き合うようになって、一緒にいる時間が増えてから、
それでも足りず、もっともっと近づきたいと思うようになってきた。

彼氏の家に行くということは、今までにないくらい気が動転するが、
当日は、私のこの思いを、伝えようと決めた。

溢れんばかりの好きという気持ちが、あるということ。

⏰:08/11/11 03:29 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#445 [あかり]
土曜日―
電車が彼の住んでる街に到着すると、竜樹くんが既に駅で待っていた。

竜樹くんは中距離で学校に通っていた。

竜樹くんの地元は、私のいる島とは違って、色んなお店があるのでワクワクした。

「行きましょうか。」
そう言うと、竜樹くんは私の手を取って歩き出した。

⏰:08/11/11 03:37 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#446 [あかり]
私服の竜樹くん―
何回か見たけど、彼のセンスは好きだなぁ…―

少し、香水をつけてるみたいだ―
鼻がツンとせず、程よく漂ってる―

今日の私の服、これで良かったかな―

色んなことを考えてしまう。

⏰:08/11/11 03:41 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#447 [あかり]
「家行く前、DVDでも借りて行きましょうか。」

私たちは、レンタルショップへと向かった。

「何か観たいのありますー?」
竜樹くんが、店内にを物色しながら、私に聞いてくる。

「うーん、『名探偵ドイル』とか、『ドラ太郎』が観たいなあ。
あ、後ね『リュックモンスター』。
チューピカ大好きなんだっ。」
私は自分の好みのアニメを色々言った。

⏰:08/11/11 03:56 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#448 [あかり]
「ぶはっ!
付き合ってるもん同士が観るのって言えば、普通恋愛もんとかじゃないんですか?
何ですかそのムードなしのセレクションは(笑)」
竜樹くんは、腹を抱えて笑い出した。

「ご、ごめんー!
私、恋愛ドラマや映画にはめっきり疎くて…。

えっと、今流行ってるのは『タクシー男』だっけ?
それ観よっか〜!」

「『バス男』ですよ!(笑)
もういいっす、リュクモンゲットだぜーでも観ましょか(笑)」

⏰:08/11/11 04:04 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#449 [あかり]
「う…(笑)。ごめんね…。
でも、嬉しい。アニメの方が好きだから…(笑)。」

「いえいえ(笑)。
まあ、こういう所がまた好き、なんですよねっ!

年上なのに、変に子供っぽいというか…幼稚園児?」
「その言い方はひどいよー!

ふーんだ。じゃあ、ついでに『カスタードパンマン』もよろしく。」

⏰:08/11/11 04:10 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#450 [あかり]
会計を済ませ、それからまた歩き出し、彼の家の近くまで来ると、
最寄りのコンビニでお菓子やジュースを買って、店を後にした。

そして、数分後―
阿倍野宅に到着。

「うわぁっ。綺麗なお家だね。」

「昨日から両親旅行行っててさ。俺、一人っ子だし、今誰もいないよ。」
ポケットから鍵を取り出し、竜樹くんがドアを開ける。

⏰:08/11/11 04:20 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#451 [あかり]
「どうぞ。何もないとこですけど。」

「おじゃましまーす。」

二人で玄関にあったスリッパに履き変える。

「リビング行きましょ。テレビも大きいし。」
竜樹くんの誘導のまま歩く。

⏰:08/11/11 04:24 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#452 [あかり]
「わぁ…居間広いねー!」
「まあ、そこのソファーにでも座っといてください。
俺、ジュースをコップに汲みますんで。」

「あ!私も手伝うよー!」

「いえいえ、わざわざ起こしいただいた身分なんで、まあ、ゆっくりしていってください。」
ダイニングキッチンの方へと移動した竜樹くん。

⏰:08/11/11 04:32 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#453 [あかり]
「本当?何か悪いねー。
じゃあ私は、観たいDVDの順番を決めようっと。」

「俺、最初はドイルがいいなー(笑)。」
キッチンの方から話かける彼。
2リットルペットボトルの、蓋を開けている。

「あっ、竜樹くんも一応こういうのに興味があるんだねっ。」

「いや、その中じゃそれが一番まだマシかなって…(笑)。」

「…。
『カスタードパンマン』にしよーっと。」

「わぁー!ごめんなさい!失礼なこと言いました!」

⏰:08/11/11 04:42 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#454 [あかり]
「嘘々。私も最初はドイルが観たいと思ってた。」

「やったぁ。」
オレンジジュースをついだコップを二人分持って、竜樹くんがこっちに来た。

「どうぞ。」
一つを私の目の前の位置に、テーブルに置いた。

それと同時に、彼もソファーに座った。

⏰:08/11/11 04:52 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#455 [あかり]
「犯人あの人っぽくない!?」

「俺も思った!」

DVDを観ながら、それにツッコミを加える二人。

「なんちゅう殺害動機やっ(笑)」

「現実ではありえないよねー(笑)」

⏰:08/11/11 05:37 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#456 [あかり]
「ギター弾いていいっすか?」

「あ、うん!」

何巻分か見終わって、彼はそろそろ痺れを切らしたのか、DVD鑑賞はそこで中断した。

二階の部屋から、ギターを持って来た。
こないだ見たのと、同じだった。

⏰:08/11/11 05:50 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#457 [あかり]
「ねぇねぇ、『カルガモ』弾いてっ。」

「赤アフロのですか?
えーっと、…」

思い出すような感じで、彼が伴奏の部分を弾く。

うんうん、そんな感じ、と隣で私が言う。

一曲歌い終わると、私がじゃああれはー?といった風にどんどんリクエストしていった。

⏰:08/11/11 06:05 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#458 [あかり]
「…先輩。」

「うん?何?」

「今日、良かったら泊まっていきませんか…?
あ、着替えとかは貸すんで。」

「えっ?えと…。」

「突然すいません。
でも俺、今日先輩をこのまま帰すのは惜しいです。

もっと先輩と一緒にいたいです。」

「う、うん…。」

⏰:08/11/11 06:13 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#459 [あかり]
嬉しい、ただそれだけだった

「じゃあ、お言葉に甘えてそうしちゃおうかな…。

私、お母さんに連絡するね。」

「やった…!ありがとうっす!」

「ううん、こちらこそ。迷惑かけちゃうけど。」

私は今日一晩、竜樹くんの家にいることになった。

⏰:08/11/11 14:43 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#460 [あかり]
私はお母さんに電話で用件を伝えた。
私の家は比較的緩い。
あっさり了承をもらえた。

「うん、分かった、だってー。」

「お礼に、今日借りたDVD、好きなだけ観ていいっすから(笑)。」

「はーい(笑)。」

楽しい一日になりそうだ。

⏰:08/11/11 14:51 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#461 [あかり]
「今日、夜何食べます?
出前頼みますか?それとも、どっか食べに行きますか?」

「うーん、そうだなぁ…。
私、今日はずっとここにいたいな。

あ!竜樹くんが何か作った奴が食べたい。」

「俺は主夫っすか(笑)。

いいですよ、チャーハンとかでいいなら。」

「わーい!」

⏰:08/11/11 14:59 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#462 [あかり]
だんだんと私たちは、お菓子をつまみながら、話をするようになった。

最初はお互いのクラスであった面白いこと、竜樹くんの部活での出来事、翔馬のこと、ずっと二人で笑い合っていた。

私は夏休み、未央姉の所に遊びに行ってたことも話した。
クリスマスはあそこみたいなお洒落な街でデートしたいな、と言った。

そうしましょ、と彼も約束してくれた。

⏰:08/11/11 15:08 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#463 [あかり]
「あのね…、一つ聞いていい?」

「ん?一つと言わず何でも。」

「すっごく今更なんだけど、何で私なのかな、っていつも思ってて。
一年生にも、可愛い子たくさんいるしさ。

体育委員の集まりの時にも、希緒ちゃんや江戸川小春先輩みたいな、他にもっといい子いたのに。」

私は前から疑問に思ってたことを、この際と思い尋ねてみた。

⏰:08/11/11 15:14 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#464 [あかり]
「俺、体育委員の時の前から、先輩のこと知ってたんすよ。」

「え!どうして?」

「ん?学校で時々見かける程度でしたけど。

その時から、いつもニコニコして可愛いなあーって。
そんで、あの集まりがあって、『あ!あの人もいるじゃん!』って思って。
何とか近づこうと必死でしたよ(笑)。」

「そ…そなんだ…。嬉しいな…。」
ありのままを話す彼に、照れる私。

⏰:08/11/11 15:24 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#465 [あかり]
「同級の女子とか、賑やかなんばっかなんで、ちょいきついっすね。
原さんも、なかなか騒がしい人なんで、ぶっちゃけ苦手っす。

えーと、江戸川さん?陸部のマネージャーしてましたよね。
あの人はー…ちょっとわかんないっす、すいません(笑)。

俺、先輩みたいに落ち着いてる人がいいっす。
だったら誰でもいいって訳じゃないけど。」

⏰:08/11/11 15:30 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#466 [あかり]
「先輩も、俺みたいなガキでいいんですか?」

「そんなことないよ!どちらかと言うと私の方が子供だし!」
私は今日借りたDVDの方を見た。

そうみたいですね、彼は笑いながら言った。

「竜樹くんは、私からしてみたら、文句なしの最高の恋人だよ。」
今日くらいは恥ずかしいくらいの台詞を言おうと思った。

⏰:08/11/11 15:42 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#467 [あかり]
時間はあっという間に過ぎていった。
楽しい時は決まってこうだ。いくらあっても足りないと思うほどである。

晩ご飯は、竜樹くん特製かに玉チャーハンなるものだった。

美味しくて、私はスプーンでパクパク食べた。
その光景を、彼は笑いながら見ていた。

⏰:08/11/11 16:01 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#468 [あかり]
「風呂どうしますー?
着替えとか、持ってないですよねー?」

「うーん、そうなんだよね。
明日、家に帰ってから入ろうかな。」

「じゃあ、寝る時はスエット貸します。
服は、洗濯しときますね。
明日には乾くやろ。」

「ありがとう。」

「じゃあ俺、風呂入って来ます。
まあ、ゆっくりしてってください。」

⏰:08/11/11 16:11 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#469 [あかり]
彼が入浴している間、私は居間に置いてあったカタログを見たり、テレビドラマを観てたりしてた。

「お待たせー。」
30分くらいして、彼がお風呂から出てきた。


タオルで髪を拭きながら、上はTシャツ、下は短パンジャージといった格好をしていた。

⏰:08/11/11 21:15 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#470 [あかり]
「はい、これ。寝巻き代わりに。」
そう言う彼から、上下灰色のスエットを渡された。

「脱衣所で着替えていいっすよ。」
その場所まで案内される。

「脱いだ奴は、洗濯機の中に放り込んどいてください。洗濯するんで。」
彼はそう説明すると、私一人にしてドアを閉めた。

⏰:08/11/11 21:27 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#471 [優]
あかりさん

コメントありがとう
ございます

⏰:08/11/11 21:33 📱:D902iS 🆔:Eo33jFa2


#472 [あかり]
優さん

こちらこそ
優さんのような方がいてくれて、本当嬉しいです。
今度は感想板を利用させていただきますね<(__)>

⏰:08/11/11 22:28 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#473 [あかり]
せっせと着替える私。
少しぶかぶかだった。

スエットから彼の匂いが少しした。
私の好きな匂い。

「着替えたよー。」
5分してから、再び居間に行く。

「歯磨きますか?歯ブラシ出します。洗顔も使ってください。」
座ってた彼が立ち上がって、また洗面台のある脱衣所へと二人で移動した。

⏰:08/11/11 22:36 📱:SH705i 🆔:tkcuL6d2


#474 [あかり]
シャコシャコシャコシャコ…

二人分の歯を小刻みに磨く音が、脱衣所内に響き渡る。

私は洗面台の棚に置かれている、あらゆるものを見ていた。

コップの中に入っている数人分の歯ブラシ、
男物の洗顔、T字型剃刀、ワックス、ハンドソープなどなど…。

洗顔はこれ使って、と彼に言われたものは、おそらく彼の母が使っているだろう。

今日初めてこの家に来たが、もう何年も暮らしているような気分に浸った。

⏰:08/11/12 04:21 📱:SH705i 🆔:FpZ7JzEk


#475 [あかり]
ガコンガコン…


洗濯機の動く音が、居間にも聞こえてくる。
さっき竜樹くんが、私の服を洗うために起動させた。

「俺の部屋行く?」

「うん。」

広くて立派な家を、二人で持て余していた。

⏰:08/11/12 08:03 📱:SH705i 🆔:FpZ7JzEk


#476 [あかり]
「どうぞ。汚い部屋ですけど。」

「おじゃましまーす。」

12畳くらいの広さで、床はフローリングだった。
中央に灰色のカーペットが敷いてあり、その上に白いテーブルがある。

部屋の左奥に、アルミ性のシングルベッドがあった。
布団カバーなどは、全て青で統一されている。

「寝る時一緒でいいですか?ちょいと狭いかも知れないですけど。」
彼がベッドを見ながら言った。

⏰:08/11/12 08:38 📱:SH705i 🆔:FpZ7JzEk


#477 [あかり]
「あ、うん。」
少し声が裏返った返事をしたかも知れない。

当たり前か―
私たちは付き合ってるんだから―

私はベッドの奥の方へと行って、体を横にした。
続いて、彼がベッドに入る。
私たちは顔を向き合っているような体勢になっていた。

これまで以上の至近距離だった。

⏰:08/11/12 09:01 📱:SH705i 🆔:FpZ7JzEk


#478 [あかり]
「今日一日、どうでしたか?
退屈しなかったですか?」

「ううん、めっちゃ楽しかった!また来たいなー。」

「是非。親、仕事上あんまりいないこと多いし。」

「寂しくないの?」

「小さい頃はそうでしたけど、今はもう慣れました。
それに、これからは先輩を思う存分詰め込められるしね(笑)。」

⏰:08/11/12 15:27 📱:SH705i 🆔:FpZ7JzEk


#479 [あかり]
「フフフ。それを言うなら連れ込めるでしょ(笑)。
私をどこの箱に収納しようとするのよ(笑)。」

「あ、ヤベ…日本語間違えちった…。」

「フフフ、フフフ。
しっかりしてるけど、時々抜けてるよね。」

「うるせー(笑)。」

⏰:08/11/12 15:39 📱:SH705i 🆔:FpZ7JzEk


#480 [あかり]
私はいつまでも笑っていた。

その時―
彼が真顔になる

私も次第に、表情が固まってくる。

「キス…してもいい?」

⏰:08/11/12 18:11 📱:SH705i 🆔:FpZ7JzEk


#481 [あかり]
旅行前にチューくらいしときなよ〜―
藍美が冗談めいて言ってたのを思い出す。

いざ、そういう雰囲気になると、全く笑える状態ではない。

「うっ、うん…。」
しどろもどろになりながら、彼の要求を飲み込む。

⏰:08/11/12 18:19 📱:SH705i 🆔:FpZ7JzEk


#482 [あかり]
彼は上半身を起こし、私の方に前のめりになって来る。

自分の右手を、私の左頬に添えた。

顔の顔がぐんぐん近づくてくる。

私は瞼を心持ち強く閉じた―

その瞬間―
彼の唇と、私の唇が合わさった。

私たちは、初めてキスをした。

⏰:08/11/12 18:30 📱:SH705i 🆔:FpZ7JzEk


#483 [あかり]
彼がその唇を離しては、私の唇に優しく押し当てる。

その繰り返しの何度目かで、私は目を開けてみた。

彼と視線が重なる―
今更ながらこの状況に緊張してしまい、体が硬直していく。

キスが終わっかと思ったその後、彼は私の体に架けてあった布団をめくった。

⏰:08/11/12 19:18 📱:SH705i 🆔:FpZ7JzEk


#484 [あかり]
「あかり…っ。」
年下の彼が、初めて私を呼び捨てで呼ぶ。

彼が、私の左の首筋を這う。
少しくすぐったくて、小さく、ひゃっ、という声を出してしまった。

そして、さっき私の頬に触れていた右手を、私が着ているスエットの中に入れてきた。

⏰:08/11/12 19:29 📱:SH705i 🆔:FpZ7JzEk


#485 [あかり]
その腕は、ぐんと私の背中の方にまで回った。

ブラジャーのホックを、片手でパチンと外す。

それから、彼の右手は、私の左胸に触れる。

彼が手を動かす度に、私の口から、あっ、という声が、何度も漏れる。

今まさに、未知の世界に飛び込もうとしている、そんなエクスタシーを感じていた。

⏰:08/11/12 19:37 📱:SH705i 🆔:FpZ7JzEk


#486 [あかり]
嫌ではなかった―
ただ、普段優しい彼の、こんな一面にいざ出くわすと、何かは分からない恐怖があった―

このまま抵抗しないとどうなるのか―
なろうとする結果を、今の私は望んでいるのだろうか―

涙が少しばかり出そうになった。
「いやっ。」と一言、ふいに漏らしてしまった。

それと同時に、体も僅かほど左に傾けた。

⏰:08/11/12 19:47 📱:SH705i 🆔:FpZ7JzEk


#487 [あかり]
彼の動きが止まった―

「あ…ごめ…。」
そのまま体を起こし、ベッドの上に座る体勢になった。

「洗濯、もう終わったよな。
干してくる。」
そう言い残して、部屋を後にした。

私は布団をまた被り、その中で体を丸めた。
心臓の音が、嫌になるほど騒がしかった。

⏰:08/11/12 20:15 📱:SH705i 🆔:FpZ7JzEk


#488 [あかり]
ギィーッ―
ドアを開ける音で、彼が戻ってきたのが分かった。

私は布団の中に潜ったままだった。

ギシッ。
彼はベッドに座ったみたいであった。
その重みが私の方にも伝わった。

「さっきはすいませんでした…。」

⏰:08/11/12 20:28 📱:SH705i 🆔:FpZ7JzEk


#489 [あかり]
「…。」
私は言葉が出なかった。

「俺、こんなんじゃダメっすよね。」

違う、そうじゃないの。
ただ、まだ心の準備が―

「続きはつか、ね…。」
体を起こして、彼の隣に座った。
彼の顔の表情が、明るくなった気がした。

⏰:08/11/12 21:49 📱:SH705i 🆔:FpZ7JzEk


#490 [あかり]
初めてのお泊りの夜は、彼に包まれながら眠りに就いた。

彼の中は、布団もいらないんじゃないかというくらい、暖かかった。

これでいい―
これがいいんだ―

夢の中でも、私は噛み締め続けていた。

⏰:08/11/12 23:25 📱:SH705i 🆔:FpZ7JzEk


#491 [我輩は匿名である]
>>100-200
>>200-300
>>300-500

⏰:08/11/15 14:20 📱:F706i 🆔:☆☆☆


#492 [あかり]
>我輩は匿名であるさん

アンカーありがとうございますm(__)m

また更新したいと思います。

誤字脱字が多くてごめんなさい(>_<)

⏰:08/11/15 17:25 📱:SH705i 🆔:2pDbajnE


#493 [優]
誤字脱字なんて
あたしの方が
しょっちゅうですよ
あかりさん
更新待ってます

⏰:08/11/15 21:23 📱:D902iS 🆔:APiCvIn6


#494 [あかり]
優さん

コメント有難うございます!!(*^O)ノ

今から更新したいと思いますp(^^)q

タロージローにウケました(笑)

⏰:08/11/16 01:43 📱:SH705i 🆔:qd3N09Qw


#495 [あかり]
次の日―
彼の中で、パッと目が覚めた。
彼はまだ寝ているようだった。

その寝顔をジーッと見つめていた。

神様…
私の運命の人は、この人なんですか…?―

⏰:08/11/16 01:48 📱:SH705i 🆔:qd3N09Qw


#496 [あかり]
私ももう一度、眠ることにした。
安らかなこの一時を、もう少しだけ味わっておきたい。

再び目を覚ました時―
彼は隣にいなかった。

部屋にもいなくて、私はとりあえず一階の居間へと下がった。

⏰:08/11/16 01:51 📱:SH705i 🆔:qd3N09Qw


#497 [あかり]
「あ、起きました?
洗濯物、夜干しで乾いてましたよ。」
キッチンで何やら作業をしながら、話す彼。

見ると私の服が、ソファーの上に置かれていた。

「ありがとう。洗顔と歯磨きしてくるね。」
私は洗面台へと向かった。

⏰:08/11/16 01:59 📱:SH705i 🆔:qd3N09Qw


#498 [あかり]
「それにしても先輩、結構寝てましたねー。
ほっぺつんつんしても、反応なかったから、起こさんどこーって思いましたよ(笑)」

時刻は朝の10時過ぎ―
私たちは、居間で少し遅めの朝食を取った。

竜樹くんが、トーストとハムエッグを作ってくれていた。

「う…。本当は早くに起きたけど、竜樹くん起こしたくなかったから、二度寝したんだよ!」

⏰:08/11/16 02:10 📱:SH705i 🆔:qd3N09Qw


#499 [あかり]
「先輩。」

「ん?」

「また来てくださいね。」

「ん?うん、もちろん!」

「修学旅行、気をつけて行ってくださいね。
俺にとっての一番の土産は、笑顔で帰ってきた先輩ですから。」

「う、うん!
何だか照れるね…ありがと。」

⏰:08/11/16 02:20 📱:SH705i 🆔:qd3N09Qw


#500 [あかり]
穏やかな時間は、瞬く間に過ぎていった。

昼過ぎに支度をして、二人で手をつないで駅まで歩いた。

改札口を通り抜けた後も、竜樹くんにずっと手を振り続けていた。

電車の中でも―
ずっとメールのやり取りをしていた。

⏰:08/11/16 02:25 📱:SH705i 🆔:qd3N09Qw


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