言葉
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#1 [あい]
「しゅう」
この名前があたしが初めて声に出した言葉
今日も「ありがとう」「ごめんね」
いろいろな言葉の練習を始める…
しゅうありがとう
:09/02/07 13:03 :F706i :☆☆☆
#2 [あい]
小学1年生の時、あたしは病気によって耳が聞こえなくなった。
家族と話すのは紙に書く。
あたしが書いたら家族も書き返す。そんな会話。
中学生になった時手話を覚えた。毎日練習した。
:09/02/07 13:11 :F706i :☆☆☆
#3 [あい]
でも耳の聞こえない人達が通う学校。
友達はみんな耳が聞こえない人ばかり。
「あいおはよう。」
手話の会話で毎日が始まる。
高校受験の時、家族と話し合いあたしは高校を行かない事にした。
ボランティア。
耳が聞こえない人達と話にいく。
あたしは毎日そこに通う事にした。
紙芝居を作り手話でそれを伝える。
手話で手が疲れるくらいまで話をした。
:09/02/07 13:16 :F706i :☆☆☆
#4 [あい]
ある日夕方に家に帰ってる時だった。
歩いていたら1人の男の人がぶつかってきた。
あたしの顔を見ながら何かを言っている。
ちょっと怒ったような顔をしている。
短髪で髪をワックスで整え、制服を着ている。
ちょっと綺麗な顔をしているその人。
高校生?
タメぐらいかな?あたしはそう思いながら彼を見た。
:09/02/07 13:21 :F706i :☆☆☆
#5 [あい]
この人は何を言ってるんだろう…
あたしはノートを取り出しペンで書いた。
「ごめんなさい。」
ノートを渡した時、彼は不思議そうな顔をしていた。
「お前喋れねぇの?」
ゆっくり喋ってきた彼。
口の動きで何となくわかった。
あたしは頷いた。
:09/02/07 13:25 :F706i :☆☆☆
#6 [あい]
「耳が聞こえない。」
あたしはまたノートに書き彼に見せた。
驚いた感じの表情。
彼があたしからノートとペンを取って、何か書き始めた。
「俺、耳聞こえないやつ初めてなんだけど!」
その人の字はものすごくでかかった。
下に
「ぶつかってわりぃな。気をつけろよ。」
と書いてあった。
彼の顔を見たら
「じゃあな。」って手をあげて走って行ってしまった。
急いでるんだろうな…
これがあたしとしゅうの出会い
:09/02/07 13:30 :F706i :☆☆☆
#7 [あい]
あたしはその日の夜ノートを見ていた。
「道聞いてもいいですか?」
この文字を見せても
いつもあたしは素通りされる。
「ごめんなさい。」
あの人は素通りしなかった。
もっと嬉しかったのは
その人もノートに書いて答えてくれた。
初めての事だったから
すごい嬉しかった。
:09/02/07 13:37 :F706i :☆☆☆
#8 [あい]
それから数日過ぎた。
あたしはいつものようにボランティアが終わり
家に向かってる時だった。
肩を叩かれたから振り向いたら
あの時の人だった。
今日も制服を着ていた。
後ろには友達もいて、
学校帰りなのだろう。
手を上げて
「よぉ。また会ったな。」
って言っていた。
あたしは頷いた。
:09/02/07 13:49 :F706i :☆☆☆
#9 [あい]
「言ってる事わかんの?」
彼はそう言った。
あたしは笑いながらノートに書いた。
「口見れば何となくわかるよ。だからゆっくり喋って?」
そしたら…
「わかった。俺の名前はしゅう。お前は?」
「あたしはあい。」
ノートを見ながらしゅうは手でOKとやっていた。
友達の名前はこうすけ。
こうすけも不思議そうにあたしのノートを見ていた。
:09/02/07 14:27 :F706i :☆☆☆
#10 [あい]
しゅうとこうすけは
あたしの家から近い高校に通う1年生。
あたしとタメだった。
こうすけは彼女と待ち合わせをしてると言い
あたし達と別れた。
「帰らないの?」
ノートに書きあたしはしゅうに見せた。
するとしゅうは頷いた。
「ちょっと話そうぜ。」
あたし達は駅前のマックに移動した。
:09/02/07 22:59 :F706i :☆☆☆
#11 [あい]
しゅうは本当に綺麗な顔をした人だった。
あたしがわかるように
ゆっくりゆっくり話してくれた。
口は悪いけど、悪い人ではないってわかったよ。
「彼女いないの?」
あたしは聞いた。
「いるわけねぇだろ。いたらあいと今話してねぇよ。」
笑ってしゅうは言ってたけど…
それが嘘って事はすぐ知っちゃったんだよね。
:09/02/07 23:05 :F706i :☆☆☆
#12 [あい]
「アド交換しない?」
しゅうが言ってきてあたし達はお互いのアドを教えた。
耳が聞こえる友達。
小さい時にしかいた事がないから
あたしはすごく嬉しかったんだよ。
耳が聞こえなくなった時から出来たのはみんな耳が聞こえない人。
それが嫌な訳じゃないけど
あたしはいつの日か
耳が聞こえる人は遠い人って感じてたから…
しゅう…本当に嬉しかったんだよ。
:09/02/08 00:58 :F706i :☆☆☆
#13 [あい]
しゅうは毎日メールをくれた。
学校であった事、バイトの事、しゅうの趣味、嫌いな食べ物。
いろいろしゅうは教えてくれた。
その日あたしは休みだった。
日曜だったため、学生は休み。
町には私服でいる学生っぽい人達がいっぱい。
:09/02/08 01:06 :F706i :☆☆☆
#14 [あい]
あたしは本屋にいた。
雑誌を見ながらふっと窓を見るとしゅうがいた。
女の子と手を繋ながら。
あれ?彼女いないって言ってなかったっけ?
最近できたのかな?
あたしはそう思ってた。
でも何だか切なかった。
:09/02/08 01:16 :F706i :☆☆☆
#15 [あい]
しゅうはノートに書いてでしか、手話でしか話せないあたしを避けないでくれた人。
仲良くなった人。
何でだろう〜…
わかんないけど何か悲しい。
その日しゅうから
いつものようにメールがきた。
:09/02/08 01:19 :F706i :☆☆☆
#16 [あい]
【今日マジで暇だった。ずっと家にいたし。】
嘘つき…
あたしは返さなかった。
【シカトか?てか俺、手話練習する事にしたから。】
またきたしゅうからのメール。びっくりした。
【どうして急に?】
【お前ともっともっと話したいから。】
こんな事言うの…ずるいよね。
:09/02/08 01:27 :F706i :☆☆☆
#17 [あい]
しゅう、あたし知ってるんだからね。
彼女がいる事…
手繋いで歩いてるの見たんだからね…
胸が締め付けられるような痛み。
何故かわからないけど
痛かった…
これが恋って気づくのに
そんな時間かからなかった。
:09/02/08 01:34 :F706i :☆☆☆
#18 [あい]
もうすぐで夏。
【今から会おうぜ?】
しゅうからのメールであたし達は会う事に。
場所は駅近くの公園。
あたしが着いた時にはもうしゅうがいた。
「こんばんわ。」
手話であたしにそう言ってきたしゅう。
「こんばんわ。待った?」
あたしも手話で返す。
しゅうは横に首を振った。
:09/02/08 01:37 :F706i :☆☆☆
#19 [あい]
「ごめん。まだそんな覚えてねぇから、わかんない時は口見て?」
あたしは頷いた。
「ねぇ、しゅう彼女いるんでしょ?」
あたしは聞いた。
「えっ?ごめん、わかんねぇ。」
あたしはノートに書いた。
それを見たしゅうは
「何で?」
って手話で聞いてきた。
:09/02/08 01:41 :F706i :☆☆☆
#20 [あい]
「「…」」←手話
「…」←手話なし
【…】←メール
カッコこれにします
:09/02/08 01:42 :F706i :☆☆☆
#21 [あい]
【…】ノートもこれで。
:09/02/08 01:44 :F706i :☆☆☆
#22 [あい]
【あたしこの前見た。しゅうが女の人と手繋いで歩いてるの。】
「「そっか。」」
【最近できたの?】
しゅうは下を向く。
あたしは肩を叩き、しゅうはあたしを見る。
「「前からなの?」」
あたしが聞くとしゅうは頷いた。
:09/02/08 01:47 :F706i :☆☆☆
#23 [あい]
「「何で嘘付くの?」」
「「何でかな…。何となくだよ。」」
手慣れてないからかな。しゅうは間違えながら手話であたしに言った。
「「意味わかんないよ」」
「〜…………」
しゅうは何か言っている。
手話無しで、しかも口の動きが早くてわからなかった。
:09/02/08 02:00 :F706i :☆☆☆
#24 [あい]
「「何?ゆっくり喋って。わかんない。」」
そしたらしゅうは言ってきた。
「彼女いるって言ったらお前アド交換してくれなかっただろ?」
しゅうはあたしの目をじっと見ている。
:09/02/08 10:29 :F706i :☆☆☆
#25 [あい]
「お前と仲良くなりたかったんだよ。耳が聞こえない奴、手話練習する。全部初めてで…」
しゅうは言うのやめた。
「「何?」」
でもしゅうは何も言わない。
「「何?」」
あたしはまた聞いた。
そしたらしゅうは…
「「俺何かドキドキしてんだよ。」」
:09/02/08 10:40 :F706i :☆☆☆
#26 [あい]
胸が痛い…
ドキドキしてるのはあたしの方だよ。
「「俺、もっとあいの事知りたい。」」
何て言っていいのかわからない。
「「俺、彼女と別れるよ。」」
「「待って!!それはあたしの事好きって事?」」
あたしは何を言ってるんだろう。
すごく恥ずかしかった。
:09/02/08 15:38 :F706i :☆☆☆
#27 [うた]
頑張ってください。
:09/02/08 23:21 :SH905i :o8HLUpm.
#28 [あい]
うたさん
ありがとうございます
:09/02/09 00:12 :F706i :☆☆☆
#29 [あい]
「「何言ってんだよ!」」
焦った感じのしゅう。
そりゃあいきなりこんな事聞かれたら焦るし、困るよね。
「「ごめん」」
あたしは謝った。
そしたらしゅうは困ったような顔で髪をくしゃくしゃにかき、あたしを見た。
「好きと言うか、今は気になる存在。」
:09/02/09 00:15 :F706i :☆☆☆
#30 [あい]
しゅうの口はハッキリそう言っていた。
"気になる存在"
初めて男の人にそう思ってもらえた。
あたしはしゅうに聞いた。
「「彼女とどれぐらい付き合ってるの?」」
しゅうはノートを取り書き始めた。
【1年半】
:09/02/09 00:19 :F706i :☆☆☆
#31 [あい]
あたしは少しショックだった。
1年半…
あたしは彼氏ができた事がないから、その長さにもびっくりした。
「「やっぱ嘘でしょ?」」
「「何が?」」
「「あたしの事気になるって事。」」
しゅうは返事を返してこない。
ちょっとして、しゅうが手を動かした。
:09/02/09 00:26 :F706i :☆☆☆
#32 [あい]
「「何でお前そんな事言うの?」」
しゅうは怒ってた。
どうしよう〜…何て言えばいいんだろう。
わかんないのか、しゅうは手話を止めてゆっくり話し出した。
「どんな想いで俺がお前に気になるって言ったと思ってんだよ。嘘?ふざけんな。」
そのまましゅうは鞄を持って店を出て行った。
:09/02/09 00:33 :F706i :☆☆☆
#33 [あい]
間違えました。
鞄を持って公園を出て行った。
:09/02/09 00:35 :F706i :☆☆☆
#34 [あい]
謝らなきゃ。
でもあたしはその場から動けなかった。
しゅうが行っちゃってから1時間ぐらいは公園にいたと思う。
帰ろう。帰ったらメールを送って謝ろう。
そう考えてた時…
:09/02/09 22:30 :F706i :☆☆☆
#35 [あい]
前から走って来る人。
しゅうだった…
息をきらしている様子。
「「ごめん。」」
しゅうは手話で謝ってきた。
「「何でしゅうが謝るの?」」
「女1人残して俺だけ行っちゃって。」
あたしは首をふった。
:09/02/10 07:53 :F706i :☆☆☆
#36 [あい]
「「ごめんね。あたしひどい事言った。」」
あたしは手話を続けた。
「「でも思うの。そんな長く付き合ってる人がいるのに、あたしを気になるって…」」
「「早くない?って聞きたいんだろ。」」
あたしの話がまだ終わってないのに
しゅうが手話で言ってきた。
:09/02/11 09:19 :F706i :☆☆☆
#37 [あい]
「「確かにお前と俺、知り合って全然時間たってねぇ。彼女の事本気だったよ。」」
慣れない手話。
間違えながらもしゅうはあたしに伝える。
「「でも、お前と会ってからずっとお前の事ばっか考えてる。気になってるって気づいた。」」
あたしはしゅうを見た。
:09/02/11 09:24 :F706i :☆☆☆
#38 [あい]
恥ずかしそう…
またあたしは胸が痛くなってきた。
ドキドキしてる。
「「好きとか、気になるとかに早い、遅いとか関係ないと思う。」」
どうしよう…
「「だから、あいの事いっぱい知りたい。仲良くなりたい。」」
そんな嬉しい事言わないで…
「「俺は彼女と別れる。」」
:09/02/11 09:28 :F706i :☆☆☆
#39 [あい]
泣きそう。
あたしは泣かないよう我慢した。
「「だから、お前にメールしていいよな?遊び誘ってもいいよな?」」
あたし…
「「今言った事嘘じゃねぇから。」」
しゅうが好き。
:09/02/11 09:33 :F706i :☆☆☆
#40 [あい]
しゅうは本当に彼女と別れた。
しゅうとはいっぱい会うようになった。
「「お前バカかっ。」」
しゅうの口癖。
「「恥ずかしいから。」」
照れたり、恥ずかしい時には頭をかく。
「「もうちょっといよう。」」
:09/02/11 10:25 :F706i :☆☆☆
#41 [あい]
ちょっと甘えん坊のしゅう。
あたしはどんどんしゅうの事を知っていった。
それに、どんどんしゅうの事を好きになっていった。
しゅうと出会って、季節はもう冬。
もうすぐでクリスマス。
町はイルミネーションで綺麗だった。
:09/02/11 10:28 :F706i :☆☆☆
#42 [あい]
12月25日、クリスマスはしゅうと過ごす事になった。
24日はあたしはボランティアでクリスマス会をやる。
サンタの格好をして、ケーキを食べたり、あたしが作った紙芝居などを見せる。
しゅうはバイト。
ピザ屋でやっていて、配達が大変になるかもって言ってた。
しゅうはどんどん手話を覚えていって、もうほとんどの会話は手話でできるようになった。
:09/02/11 19:23 :F706i :☆☆☆
#43 [あい]
あたしはこの日クリスマスにあげるプレゼントを買いに来ていた。
あたしはもう決まっていた。
ピアス…
しゅうはピアス集めが趣味だったから、あたしはピアス売り場に来ていた。
どれにしよう…
悩んでる時、1人の人が見ているピアスに目がいった。
:09/02/11 19:26 :F706i :☆☆☆
#44 [あい]
見ている人と目が合った。
「ごめんなさい。見てどーぞ。」
口の動きでわかった。
あたしはノートに
【ありがとうございます。そのピアスいいですね。】
その人はノート見て手話で言ってきた。
「「耳聞こえないの?」」
:09/02/11 19:29 :F706i :☆☆☆
#45 [あい]
「「手話できるんですか?」」
あたしも手話で返す。
「「うん。お母さんが耳聞こえないから。プレゼント探し?」」
あたしは頷いた。
「「じゃあ一緒に見ない?」」
:09/02/11 19:32 :F706i :☆☆☆
#46 [あい]
彼女が見ていたピアス。
見た瞬間にこれにしようと思った。
しゅうは左に2個付けてるからそのピアスともう1つ別のを買った。
プレゼント用に箱に入れてもらい可愛いラッピング。
店に出て、彼女にお礼を言って帰ろうと思った。
「「よかったら話さない?」」
:09/02/11 19:39 :F706i :☆☆☆
#47 [あい]
あたし達は喫茶店に入った。
彼女の名前は千尋。
1つ上の高校2年生。
「「彼氏にプレゼント?」」
袋に指差し、聞いてきた。
「「違うよ。彼氏じゃないけど、男の人。」」
「「そっか。何かいいね。その人の事好きなの?」」
あたしは頷いた。
:09/02/11 21:33 :F706i :☆☆☆
#48 [あい]
「「明日過ごすの?」」
「「はい。」」
千尋はケーキを食べながら、いいね、いいねって。
「「千尋ちゃんは彼氏いないの?」」
「「いないよ。でも、好きな人はいるんだ。その人にあげようと思って。」」
千尋もピアスを買っていて、それを見ながら嬉しそうに言ってた。
:09/02/11 21:43 :F706i :☆☆☆
#49 [あい]
「「絶対喜ぶよ。頑張って!」」
ちょっと悲しそうな顔をする千尋。
「「どうしたの?」」
「「好きな人と話した事ないの。」」
千尋の話はこうだった。
その人は違うクラスの人で、サッカー部のエース。
そりゃあモテる人で、高校入学してすぐ一目惚れしてずっと好きなんだって。
:09/02/11 22:19 :F706i :☆☆☆
#50 [あい]
「「いつも休み時間にはその人の周り女の子ばっかでね。話かけらんない。」」
「「でもプレゼント買ったんだし、渡さなきゃ。」」
「「あたし頑張る!!あいちゃん、ありがとう。」」
それからもいろいろ話してアドレスを交換して、あたし達は別れた。
:09/02/11 22:38 :F706i :☆☆☆
#51 [あい]
25日。
待ち合わせ場所に着いた時、しゅうはバイクに乗って待っていた。
「「ごめん。待った?」」
「「超待った〜。」」
「「本当?」」
「「嘘だよ。バーカ。」」
ニコッとしゅうは笑い、あたしの髪をくしゃくしゃにしてきた。
:09/02/12 21:32 :F706i :☆☆☆
#52 [あい]
スポッとしゅうは、あたしにヘルメットを被せてきた。
あたしは嬉しくて、下を向いた瞬間ヘルメットが下に落ちてしまった。
「「わりぃ。いつも男ばっか乗せてるからデカいな。」」
そう言うと、しゅうが顔を近づけてきて、ヘルメットの調節をしてきた。
「「待って!!ヘルメット取るよ。」」
:09/02/12 21:38 :F706i :☆☆☆
#53 [あい]
「「お前バカかっ。ヘルメット被りながら調節した方がいいに決まってんだろ。取って調節して、次キツかったらどうすんだよ。」
「「そっか。」」
しゅうの顔が近い。
恥ずかしかった。
調節が終わり、次は頭を振っても落ちない。ピッタリ!!
「「ありがとう。」」
「「いいよ。てか、恥ずかしかったの?」」
:09/02/12 21:46 :F706i :☆☆☆
#54 [あい]
何でそうゆう事聞くかな…。
「「なわけないでしょ。」」
「「本当かよ〜」」
ニヤニヤしながらしゅうは言ってた。
「「とりあえず行くぞ。」」
そう言ってしゅうはバイクにまたがった。
あたしは正直バイクに乗りたくなかった。
乗りたくないというか、乗るのが怖かった。
:09/02/12 22:47 :F706i :☆☆☆
#55 [あい]
バイクに乗った事がないし、耳が聞こえないから不安だった。
道路には沢山の車やバイク。
「「どうした?」」
でもバイクでしゅう来ちゃったし。勇気出してみよう。
「「バイク怖い?考えてみれば、あいは怖いに決まってるよな。しかも寒いし。ごめん、俺バカだわ。」」
:09/02/12 22:55 :F706i :☆☆☆
#56 [あい]
「「大丈夫。あたし乗るよ。」」
「「でも…」」
あたしはバイクの後ろに乗った。
「「怖いし、初めてだから、安全運転ね。」」
あたしがそう言ったら、バイクに捕まってたあたしの手を取り、しゅうのお腹らへんに持ってった。
「俺に掴まっとけ。」
口の動きでわかったよ。
そうしゅうは言っていた。
:09/02/13 18:34 :F706i :☆☆☆
#57 [あい]
寒い、怖い!!!!!
本当に安全運転!?
あたしはしゅうに言いたかった。でも言えない。
だからあたしは、文句の代わりに叩いた。
しゅうに掴まってる時、バイクが怖かったけど、ドキドキもしてたんだよ。
着いたのは、街灯がまったくない所。
:09/02/13 18:39 :F706i :☆☆☆
#58 [あい]
「「ここ何?何にもないじゃん。」」
「「いいから。ここからはちょっと歩くぞ。暗くなってきたから気をつけろ。」」
ちょっと歩いた先はさっきの場所よりは街灯があった。
あたしはある事に気付き走った。
止まり、辺りを見ると街の灯りで輝く光景。
「「すごい。綺麗だね。」」
:09/02/13 19:05 :F706i :☆☆☆
#59 [あい]
「「ここ、最近見つけてさ。あいに絶対見せたくて。俺の秘密の場所。」」
暗くなっていく度に、さっきよりも、さっきよりも、どんどん綺麗さが。
あたしはずっと見ていた。
すると後ろからしゅうが、自分がさっきまで巻いていたマフラーをあたしの首に巻いてきてくれた。
「「寒いだろ。巻いてろ。」」
「「ありがとう。」」
:09/02/14 13:35 :F706i :☆☆☆
#60 [あい]
するとしゅうはあたしを抱きしめてきた。
ちょっとの間そのまま。
冷えた体が温まる。
しゅうは離れ、手話を始めた。
「「ごめん。こんな事して。」」
あたしは首を振った。
それから気まずい間。
あたしは思い出し、鞄からプレゼントを出した。
:09/02/14 13:41 :F706i :☆☆☆
#61 [あい]
しゅうに差し出すと、
「「もしかしてクリスマスプレゼント?」」
袋から箱を出し、リボンを取り、箱を開けたしゅう。
「「ピアスだ!!まじ嬉しい。ありがとう。」」
しゅうは付いてるピアスを取り、あたしがあげたピアスを付けた。
「「大事にするな。毎日これ付ける。」」
「「喜んでもらえてよかった。」」
:09/02/14 13:45 :F706i :☆☆☆
#62 [あい]
「「でも、俺何も用意してねぇ。そうゆうの苦手で。何か欲しいものあるか?」」
「「いいよ別に。今日しゅうと過ごせるだけで、嬉しいもん。」」
あたしがそう言うと、頭をかくしゅう。
「「お前バカかっ。」」
しゅうが恥ずかしい時や照れる時にやる癖。
恥ずかしいのかな?
言ったあたしも少し恥ずかしくなった。
:09/02/14 16:43 :F706i :☆☆☆
#63 [我輩は匿名である]
頑張って下さい(´ω`)
更新楽しみにしてます。
:09/02/14 22:14 :SH903i :dG16cu1s
#64 [あい]
<<63 我輩は匿名である
ありがとうございます
あとでまた更新します。
:09/02/15 00:21 :F706i :☆☆☆
#65 [あい]
あたし達はそれから、ご飯を食べに行った。
それからゲームセンターに行き、UFOキャッチャーをやったり、コインゲームをやったり。
こんな楽しいクリスマス初めてだから。
初めて男の人とこうゆう風に遊ぶのも初めてだから。
しゅうでよかった…。
:09/02/15 01:19 :F706i :☆☆☆
#66 [あい]
「「そろそろ帰るか。送ってくから。」」
そうしゅうが言い、あたし達はバイクがある所に向かっていた。
「「ねぇ、勝負しよ。バイクがある所まで競走すんの。」」
「「上等じゃねぇか。」」
しゅうは上着を捲り、気合い十分。
「「よーい。どん!!」」
しゅうが走り出した。
あたしはある人に気付き、足を止めた。
:09/02/15 01:23 :F706i :☆☆☆
#67 [あい]
あたしが気付いたのは、千尋だった。
男の人と一緒にいる。
クリスマス…男の人…
もしかして千尋が好きな人じゃないかな。
誘ったんだ。
あたしが見ていると、頭をポンとされ、振り向いたらしゅうがいた。
「「お前、何が勝負だよ。俺だけ走ってバカみたいじゃん。」」
:09/02/15 11:38 :F706i :☆☆☆
#68 [あい]
しゅうも千尋の方を見た。
「「何?知り合い?」」
「「うん。男の人、たぶんあの子が好きな人だと思う。プレゼント買ってたから、渡すんだよ。話かけられないって言ってたけど、勇気出したんだね。」」
あたしがまた千尋の方を見た時、千尋はその人にプレゼントを差し出していた。
でも…
その人は受け取ったと思ったら、地面にプレゼントを落とし、千尋に何か言っている。
:09/02/15 11:45 :F706i :☆☆☆
#69 [あい]
千尋は泣いていた。
するとしゅうが2人の所に行き、地面にあるプレゼントを取り、男に渡して何か言っている。
あたしも2人の所に行ったら、千尋があたしの方を見た。
しゅうとその人は何か言い合っている様子。
あたしがしゅうの裾を掴もうとした時だった。
しゅうがその人の胸ぐらを掴んで殴ろうとした。
:09/02/15 19:50 :F706i :☆☆☆
#70 [あい]
しゅうがあたしを見て、手を止めた。
「「わかんないけど、暴力はダメだよ。」」
「「でもこいつ、その人のなんかいらねぇ。汚いとか言ってんだぞ。」」
あたしは男を見た。
「キモいんだよ。そいつ。」
口の動きでわかった。
:09/02/15 19:54 :F706i :☆☆☆
#71 [あい]
あたしは千尋の手を取り、歩いた。
千尋が止まり、あたしとしゅうに言った。
「「2人ともごめんね。変なとこ見られちゃった。」」
千尋は泣く。
あたしはタオルを渡した。
そこで千尋は泣き崩れていた。
あたしとしゅうはただ…
千尋が泣き止むのを見ているだけだった。
:09/02/15 19:57 :F706i :☆☆☆
#72 [あい]
千尋は泣き止み、あたし達に何回も謝ってた。
謝る事ないのに…
今にもまた泣き出してしまいそうな千尋を見て、あたしは悲しかった。
あたし達はお店に入り、千尋の話を聞く事に。
「「あいもしゅう君も本当ごめんなさい。せっかくのクリスマスなのに。」」
「「いや。てか、千尋さん平気なんすか?」」
千尋は頷き、高校の話をし始めた。
:09/02/15 21:30 :F706i :☆☆☆
#73 [あい]
「「あいには言ったけど、あたしのお母さんが耳聞こえなくて、その事でイジメにあってるの。」」
あたし達は千尋の手の動きをちゃんと見た。
「「授業参観に来たら、もちろん手話で会話。みんなそれを変な目で見てね。あたしの性格、暗い方だから、それでもイジメられてて。だから好きな人にも話かけられなかった。でも、今日部活だったみたいだから学校行って話かけたの。プレゼント渡したくて…思い伝えたくて。」」
また千尋は泣き出してしまった。
:09/02/15 21:36 :F706i :☆☆☆
#74 [あい]
「「…ずっと好きだった人だから。頑張って誘ったけど、お前に呼ばれるとかついてない、まじキモい。って言われちゃって。プレゼントも落とされちゃったし。話かけない方がよかったね。」」
「「そんな事ないよ。」」
手を動かしたのはしゅうだった。
千尋はあたしが渡したタオルを口に当て、しゅうを見る。
:09/02/15 21:39 :F706i :☆☆☆
#75 [あい]
「「好きな人誘う、思い伝えたい。そうゆう想いって、いい事じゃん。話かけない方がよかったとか言うなよ。」」
千尋は泣きながらしゅうを見る。
「「キモいって言ってたけどさ〜来る男も男だろ。余計傷つけて最低だよ。」」
しゅうって本当優しいんだな〜。
あたしも千尋に何か言ってあげなきゃ。
:09/02/17 20:11 :F706i :☆☆☆
#76 [あい]
「「あの人最低だよ。千尋ちゃんの事傷つけて。」」
「「しょうがないよ。あたしイジメられてる奴だし。そんなあたしを嫌うのは当たり前だよ。」」
千尋はまた泣きそうになっていた。
「「みんながイジメてるから、周りも合わす、嫌う。絶対よくないと思う。千尋ちゃん、わかったでしょ?あの人はそうゆう人なんだよ?それでもまだ好き?」」
千尋は首を振った。
:09/02/19 20:28 :F706i :☆☆☆
#77 [あい]
「「嫌だ。あたしバカだった。顔で騙されてたよ。」」
「「あんな男忘れて、次の恋だよ。絶対そっちの方がいいよ。」」
しゅうが千尋にそう言った。
しゅうがトイレに行ってる時だった。
「「しゅう君いい人だね。」」
って千尋が言ってきた。
あたしはまだ気づいてなかった。
千尋の次の恋の相手がしゅうって事に。
:09/02/19 20:37 :F706i :☆☆☆
#78 [あい]
1月1日。
あたしとしゅうは初日の出を見に来ていた。
千尋も一緒に。
あの日から、クリスマスの日からしゅうと千尋は、仲良くなった。
3人でいる事が多くなり、しゅうと千尋はメールも始めたみたい。
あたしはそれに対して特にヤキモチなど妬いてなかった。
:09/02/20 07:53 :F706i :☆☆☆
#79 [あい]
しゅうとは付き合ってる訳じゃないし、千尋はとても大事な友達。
3人でいるの楽しいし全然よかった。
「「夕方も集まらない?」」
初日の出を見終わった後千尋が言い出した。
「「いいね。それまでみんな家で1回寝よ。綺麗だったけど、あたし眠い。」」
寒いし眠いし
あたしは限界だった。
:09/02/20 07:56 :F706i :☆☆☆
#80 [あい]
「「ごめん。今日はあいと2人で会わせてくれない?」」
隣で言ってきたのはしゅう。
千尋はちょっと寂しそうな顔をして、ごめん、いいよって。
………
千尋と別れ、家の前までしゅうに送ってもらった。
「「起きたらメールして。準備したら迎え行くから。」」
:09/02/21 22:24 :F706i :☆☆☆
#81 [あい]
あたしはしゅうを見た。
「「ごめん。今日無理?しんどいよな?」」
あたしは首を横に振った。
「「そうじゃないけど、千尋ちゃんいたら嫌なの?」」
「「嫌じゃねぇよ。ただ最近3人ばっかじゃん。たまには、あいと2人で会いたい。」」
そうだ…。
全然2人でいなかったね。
:09/02/21 22:27 :F706i :☆☆☆
#82 [あい]
「「ごめん。今日は2人で遊ぼ。起きたらメールするね。」」
あたしがそう言ったらしゅうが抱きしめてきた。
クリスマス。
あの日も抱きしめてきたよね。
ちょっとしてしゅうは離れ、手話を始めた。
「「俺、あいが好き。」」
:09/02/21 22:30 :F706i :☆☆☆
#83 [あい]
しゅうからの告白。
初めての告白。
何て言っていいのかわからなかった。
…嬉しかった。本当に。
「「付き合って?」」
でもあたしには1つだけ不安があった。
あたしの耳の事だった。
「「あたし耳聞こえないよ?いっぱい苦労するよ?」」
:09/02/21 22:37 :F706i :☆☆☆
#84 [あい]
「「大丈夫なんだけど。」」
少しの見つめ合い。
「「耳が聞こえない奴が珍しくて好きになったわけじゃねぇし、俺マジなんだ。」」
泣きそうになった。
あたしは頷いた。
「「お願いします。」」
あたしがそう言うと、しゅうはニコッと笑って
「「上目使いやめろよ。」」
あたしが好きな笑顔に言ってた。
:09/02/21 22:42 :F706i :☆☆☆
#85 [あい]
あたしが好きな笑顔で言ってた。
の間違いです
:09/02/21 22:48 :F706i :☆☆☆
#86 [あい]
親を朝早く起こて頼んで、しゅうを家にあがらせた。
両親は2人とも以外と簡単に許してくれた。
あたしの部屋に入り、ベッドに入った。
入った瞬間眠さがMAXまできてしまい、あたしはすぐ寝れるとこだった。
でも…しゅうがなかなか寝かせてくれない。
目をつぶると頭をポンと叩いてきたり、くすぐってきたり。
:09/02/21 22:52 :F706i :☆☆☆
#87 [あい]
「「ちょっと!寝かせてよ。寝てないから眠いの!普通なら今、起きる時間なんだからね。」
「「ごめん。あいと付き合えて嬉しすぎて寝れないんだもん。」」
……。
可愛い事言ってる。
「「あたしも嬉しいよ。」」
あたしがそう言うと、しゅうはキスをしてきた。
初めてのキス。
:09/02/22 00:33 :F706i :☆☆☆
#88 [あい]
あたしは恥ずかしくて、しゅうに背を向けて頭まで布団をかけた。
するとしゅうは後ろから抱きしめてきて、あたしは恥ずかしさが増して何の反応もできない状態だった。
どうしよう…
このままの体制で寝る?
寝れないよ!
とりあえずしゅうの方向こうかな?
あたしはゆっくりとしゅうの方に体を向けた。
:09/02/22 00:37 :F706i :☆☆☆
#89 [あい]
しゅうの顔を見たら、しゅうは寝ていた。
寝れないんじゃないの?
まっ!いっか!
しゅうが彼氏。初めての彼氏。
それがしゅう。
あたしは嬉しくてにやけてた。
「好き」
言われるとこんなに嬉しいんだな〜
そんな事を考えながら眠りについた。
:09/02/22 00:56 :F706i :☆☆☆
#90 [あい]
目が覚めたらもう夕方だった。
お正月だから、おせち料理がたくさん。
あたしがリビングに行った時には、しゅうはすでにおせち料理を食べていた。
「「いつ起きたの?」」
口をもぐもぐさせながらしゅうは手話をやった。
「「30分前ぐらい。本当さっきだよ。」」
「「起こしてくれればよかったのに。」」
:09/02/22 12:34 :F706i :☆☆☆
#91 [あい]
「「寝たの朝だから無理矢理起こすのは悪いって、しゅう君起こさなかったのよ。」」
ママが言ってきた。
よく見れば、しゅうはママとパパと仲良さそうに話している。
何を話してるのかな?
……しゅう笑ってる。
後ろから思いっきり頭を叩かれた。
振り返ると、あたしの弟が立っていた。
:09/02/22 12:39 :F706i :☆☆☆
#92 [あい]
弟は1つ下の中学3年生。
名前はたくみ。
「「痛いな!!」」
「「邪魔なんだよ。」」
口悪いし、生意気だし、でも憎めない可愛い弟。
「「お前の彼氏?」」
たくみがしゅうを見て聞いてきた。
「「どうも。たくみ君でしょ?あいから話聞いた事ある。」」
:09/02/22 12:45 :F706i :☆☆☆
#93 [あい]
「「はじめまして。」」
これがしゅうとたくみの初対面。
あたし達も席につき、5人でおせち料理を食べた。
しゅうとたくみが仲良くなるまでは、全然時間がかからなかった。
しゅうはすぐに、あたしの家族と仲良くなれたんだ。
「「しゅう君は何人家族なの?」」
ママがしゅうに聞いた。
:09/02/22 12:49 :F706i :☆☆☆
#94 [我輩は匿名である]
読んでます。
がんばってください!
:09/02/22 13:15 :P903iX :32RncKiY
#95 [あい]
>>94 我輩は匿名である
ありがとうございます
また夜更新します。
:09/02/22 15:22 :F706i :☆☆☆
#96 [あい]
「「俺んちは母親と俺2人家族です。」」
あたしは箸を止めた。
…2人家族?
「「俺が小さい時に離婚して。最近母親に新しい男が出来て、全然家帰ってきてないから、基本1人だけど。」」
笑いながらしゅうは言ってたけど、何か寂しそうだった。
「「まだ一緒にいない?」」
しゅうはよく遊んでた時言ってた。
家に帰るのが嫌だったんだろうな。
1人で寂しかったんだろうな。
:09/02/22 20:38 :F706i :☆☆☆
#97 [あい]
「「それは寂しいでしょ。いつでも家に遊び来ていいわよ。」」
そう言ったのはママだった。
パパも隣で頷いていた。
「「いいんですか?」」
「「いいよ。あたしもきてほしい。」」
そう言うと、しゅうは嬉しそうにありがとう、ありがとうって。
その日、しゅうは家に泊まってった。
:09/02/22 20:55 :F706i :☆☆☆
#98 [あい]
部屋でのんびりしてる時だった。
「「いいな。お前の家族。母ちゃん父ちゃん優しいし、たくみ君面白いし、気合うし。……てか仲いいよな。」」
また寂しそうな顔をするしゅう。
「「しゅう…寂しかったよね。お母さんが帰ってこなくて…1人で。」」
あたしを見るしゅう。
今まで見た事がないような目だった。
:09/02/22 21:48 :F706i :☆☆☆
#99 [あい]
いつも見ていたしゅうじゃない。
今にも泣き出しそうなしゅう。
「「別に寂しくねぇよ。俺今高1だぞ?1人暮らしみたいで楽しいし、自由だしよ。あっちは新しい男に夢中だから、俺なんかどうでもいいだろうし、学費払ってるし、生活費もちゃんと渡しにくるから、それでいいんだよ。」」
よくないよ…
学費払ってるからいい?
生活費渡しにくるからいい
わからない…
:09/02/22 21:55 :F706i :☆☆☆
#100 [あい]
高1って言っても、全部が全部1人で出来るわけじゃない。
絶対に寂しいに決まってる。
何で強がるの…?
「「生活費渡しにくる時は、ちょっと話してるし、全然大丈夫だぜ。」」
「「いつでもあたしの家、来ていいんだらかね。」」
「「ありがとう。」」
:09/02/22 22:02 :F706i :☆☆☆
#101 [花]
続きが気になる!!
頑張って!!
:09/02/22 22:23 :SH904i :4IaOL396
#102 [あい]
>>101 花さん
ありがとうございます
頑張ります。
:09/02/22 22:37 :F706i :☆☆☆
#103 [あい]
それからしゅうは、週に3回くらい家に遊びに来るようになった。
しゅう専用のお皿、コップ。
泊まり来た時に使う歯ブラシや、しゅうが着るスウェットやパンツ。
何もかもが初めての事で、全部があたしの幸せを表していた。
春になり、しゅうは高校2年生になった。
あたしも1つ変わった事が。
:09/02/22 22:44 :F706i :☆☆☆
#104 [あい]
それは就職。
ボランティアとして通っていた施設から、本格的に働かないかと声がかかり、働く事にした。
朝の9時から夕方の5時まで。
休みは土日。
職場のみんないい人だし、しゅうと会う時間は前と変わらないし、何の問題もなかった。
「「お前の施設ってどんな所なの?」」
ある日しゅうが聞いてきた。
:09/02/22 22:53 :F706i :☆☆☆
#105 [あい]
あたしがいる階は、ほとんど耳が聞こえない人がいる。
職員で耳が聞こえないのはあたしだけ。
他の階には老人や、体が不自由な人が集まっている。
あたしは耳が聞こえない人達と話をしたり、紙芝居を読んだり、時々ゲームをやったり過ごしている事をしゅうに教えた。
「「すごいんだな。」」
しゅうが言った。
:09/02/22 22:57 :F706i :☆☆☆
#106 [あい]
「「みんなといろんな話できるし、いい仕事だと思ってるよ。」」
「「いいな。」」
「「しゅうはやりたい仕事とかないの?」」
するとしゅうは、自分の頭に指さした。
あたしは首を傾げた。
頭?髪?…髪?
「「美容師!?」」
「「正解!」
しゅうはニコッと笑った。
:09/02/22 23:06 :F706i :☆☆☆
#107 [あい]
「「俺、髪いじんの好きでさ。友達のとかも時々切ってあげてんだぜ。」」
こうやって、あたしはまたしゅうの事を知っている。
あたしとしゅうの付き合いは順調だった。
順調だった……。
ある日の事だった。
千尋から連絡がきた。
:09/02/22 23:24 :F706i :☆☆☆
#108 [あい]
【しゅう君とはラブラブ?】
ごく普通のメールだった。
【仲良くやってるよ。また3人で遊ぼうね】
千尋から会って話したいと言われ、あたしは千尋と会う事に。
千尋は3年生になり、学校もちゃんと行ってるみたい。
「「あたし、前より学校楽しくなったの」」
嬉しそうに言う千尋。
:09/02/23 00:23 :F706i :☆☆☆
#109 [あい]
「「イジメね、前よりは全然ヒドくなくて。あたしが何か言われてる時、かばってくれる友達もできたんだ。」」
その話を聞いて、あたしも嬉しくなった。
「「もう全部しゅう君のおかげ。」」
よかったと思ってる。
でも今、しゅうのおかげって言ったよね。
…どうゆう事?
:09/02/23 00:26 :F706i :☆☆☆
#110 [あい]
「「結構しゅう君にメールで相談とかのってもらってるんだ。」」
あぁ。そうなんだ。
全然知らなかった。
あたしはちょっとショックだったな。
しゅう、何も教えてくれなかった。
あたしに千尋は何も相談してくれなかった。
「「本当しゅう君っていい人だよね。」」
なんだろう…
この先を聞くのが嫌だった。
:09/02/23 00:30 :F706i :☆☆☆
#111 [あい]
「「また3人で遊ぼうね。」」
…あたしは少しホッとした。
「「しゅう君の事が好き」」って言うのかと思ってたから。
「「早くしろよー。」」
この日はしゅうと出かける日。
:09/02/23 10:59 :F706i :☆☆☆
#112 [あい]
場所は動物園。
しゅうが行った事ないって言うから行く事に。
休みの日だから
親子、カップルなど多かった。
あたし達は手を繋いで歩いた。
何か話す時は手話をするため、繋いだ手を離す。
「「ライオンでかくね?」」
「「しゅう、はしゃぎすぎ。」」
しゅうは子供みたいにはしゃいでいた。
:09/02/23 11:03 :F706i :☆☆☆
#113 [あい]
あたしは気づいた。
手話で話すあたし達をみんなが見ている。
何?動物見なよ…
そんなに手話おかしい?
みんながジロジロ見ている事にしゅうは気づいてない。
「「あのサル、お前みたいだな。」」
しゅう…みんなが見てる。
見ながら何か言ってるよ。
何を言ってるのかわかんない。
:09/02/23 11:07 :F706i :☆☆☆
#114 [あい]
「「どうした?具合でも…」」
あたしはしゅうの手を止めた。
あたしはノートを取り出し、【みんな見てる。】って書いた。
「「だからなんだよ。」」
【みんなにジロジロ見られるの嫌だよ。】
だって嫌じゃん。
変な感じだよ…。
:09/02/23 11:12 :F706i :☆☆☆
#115 [あい]
「「あのな、気にする事ねぇんだよ。お前バカか?」」
頭をくしゃくしゃにしてきたしゅう。
「「手話でしか話せないんだからしょうがないじゃん。周り気になるなら、一言も話さないで今日過ごすか?」」
「「それは嫌だ。」」
しゅうは笑って手を握ってきた。
それから周りの事なんか気にしないで手話で話した。
しゅう…ありがとう。
:09/02/23 11:18 :F706i :☆☆☆
#116 [あい]
夜ご飯は家で食べる事になり、家に向かってる時だった。
しゅうが携帯を見て、
「「ごめん。電話。」」
しゅうは誰かと話している。
「「千尋からだった。」」
千尋……
いつの間にか呼び捨てになってた。
いつから呼び捨てで呼ぶようになったんだろ。
「「何だって?」」
:09/02/24 00:50 :F706i :☆☆☆
#117 [あい]
「「学校の事で相談したい事があるって。でも今はあいと一緒だから、またメールするって言っといた。」」
「「千尋ちゃん、最近友達出来たって言ってたよ。何を相談するの?」」
「「いろいろあるんじゃない?」」
何でしゅうなの?
あたしはこの時、ヤキモチを妬いた。
それと、あたしには相談してくれないんだと、少しだけ寂しく思った。
:09/02/24 00:55 :F706i :☆☆☆
#118 [あい]
「「ちょっと今から千尋と話してくる。」」
そうしゅうが言ったのは、ご飯を食べ終わり、のんびりしてる時だった。
「「何で今から?」」
「「今学校の事で話したい事があるらしいんだ。」」
何であたしといる時に、しゅうは行こうとするの?
「「…わかった。」」
あたしが言うと、頭をポンとやって、「「お前も行くか?」」って…。
:09/02/24 08:37 :F706i :☆☆☆
#119 [あい]
あたしは首を振った。
「「あいも千尋の事知ってるんだし、来ても問題ないだろ。てか、あいも話聞いてやれよ。」」
いいのかなと思いながら、あたしはしゅうに付いて行った。
駅前のマック。
千尋は1人で座っている。
あたしがいるのを見て、一瞬顔が引きつった感じがしたが、すぐにいつもの笑顔に戻った千尋。
「「あいちゃんも来てくれたんだ。」」
:09/02/24 08:51 :F706i :☆☆☆
#120 [ゆきな]
前匿名だったもの
です(´・ω・`)
続き気になります♪
がんばってください
:09/02/24 11:10 :P903iX :J92CECtc
#121 [あい]
>>120 ゆきなさん
また夜更新します
読んでくれててありがとうございます
:09/02/24 15:11 :F706i :☆☆☆
#122 [あい]
「「あのさ〜あいと2人でいる時はなるべく呼ばないでくれない?」」
しゅうが千尋に言うと、千尋は謝っていた。
「「あのね、友達出来たけど、またイジメがひどくなってきたの。」」
千尋からの言葉。
またイジメ…
千尋の何が気にくわないの?
どうしていじめるの?
お母さんが耳聞こえないのがおかしいの?
千尋の暗い性格が原因?
:09/02/24 21:53 :F706i :☆☆☆
#123 [あい]
でも千尋と最初会った時と比べれば、千尋はだいぶ変わったと思う。
自分から話をしたり、遊びに誘ってくれたり、すごい明るくなったと、あたしは思う。
「「どうしようかな…」」
悩む千尋。
「「そんなくだらない事してる人達の事なんかほっといた方がいいよ。友達が出来たなら、その人達とずっといて、無視してるのが1番いいと思う。」」
あたしは千尋に言った。
:09/02/24 21:56 :F706i :☆☆☆
#124 [あい]
「「そうだよね…。でも無視したら、またどんどん悪くなっていく気がするの。」」
あたしは何て言ってあげればいいんだろう。
そう思ってる時だった。
「「あいの言うとおりだよ。ほっとけよ。そんな奴ら。悪くなっても、また悪くなっても、無視してけばいいんだよ。」」
手話を始めたのはしゅうだった。
「「その前に、俺達じゃなくて、その友達に相談しなよ。」」
「「何で?」」
千尋がしゅうに聞く。
:09/02/24 22:00 :F706i :☆☆☆
#125 [みさ]
読んでます頑張って〜
:09/02/24 22:05 :N905i :.B361Vec
#126 [あい]
>>125 みささん
ありがとうございます
頑張ります
:09/02/24 22:11 :F706i :☆☆☆
#127 [あい]
「「だって、せっかく出来た友達だろ?しかも同じ学校なんだし、そっちに相談した方がいいだろ。」」
「「相談して、迷惑だったかな?」」
ちょっと悲しそうな顔をする千尋。
「「そんな事言ってねぇだろ。別に俺らに相談してもいいけどさ〜俺とあいは同じ学校にいる訳じゃないし、何かあった時、助けに行ける訳じゃねぇだろ。だったら、近くにいる友達に相談した方がもっていいんじゃないかっていう意味。」」
返事を返さない千尋。
:09/02/24 22:15 :F706i :☆☆☆
#128 [あい]
「「千尋ちゃん、あたし達は迷惑とか思ってないよ。いつでも相談して。でも、学校の友達に相談するのも、ありだと思うよ。」」
「「そうする。ごめん。」」
ジュースを飲み、千尋はあたしを見た。
でもすぐにしゅうの方を向く。
「「あたし、しゅう君が好きだよ。」」
突然の千尋の手話にあたしはびっくりした。
えっ?何を言ってんの?
しゅうが好き…?
:09/02/24 22:19 :F706i :☆☆☆
#129 []し―汰[]
、
あいさん
はじめまして(´・ω・`)
小説読ませて貰ってマス
こんなに読みやすい小説
c-boxでは珍しいです
゚
久々にハラハラしました
続きめちゃくちゃ気にな
りますッ
つか千尋が
怖い((゚Д゚ll))
お身体に障らないように
あいさんのペースで更新
お願いします
いきな
りレス失礼しました
!
、
:09/02/24 23:56 :SH706i :QMbsdjKM
#130 [あい]
「「何言ってんの?」」
しゅうが千尋に言った。
「「あたし、しゅう君が好きだよ。だからしゅう君に相談してるの。会うために…」」
しゅうはかなり焦った様子。
それはそうだろう。
いきなりそんな事言われるんだもん。
しかも彼女である、あたしがいるのに。
何かの冗談?
あたしはそう思ったけど、そんな訳ないよね。
だって、千尋顔赤いもん。
:09/02/24 23:58 :F706i :☆☆☆
#131 [あい]
>>129 しー汰さん
読みやすいですか?
ありがとうございます
更新遅くなる時もあるかもですが、今後も読んでくれたら嬉しいです
:09/02/25 00:02 :F706i :☆☆☆
#132 [あい]
「「こんな時に言うなよ。別の時に言われても困るけど。あいいるんだぜ?」」
千尋はあたしわ見た。
「「あいちゃん、ごめんね。あたし、しゅう君に話聞いてもらいたくて、いっぱいメールもしたし、話すために誘ったりもした。しゅう君に会いたい気持ちもあったんだ。」」
あたしは何も言えなかった。
あたしは1人で店を出た。
ただ歩いてた。
:09/02/25 00:12 :F706i :☆☆☆
#133 [あい]
腕を掴まれて、振り向くとしゅうがいた。
何か、泣きそうになった。
「「しゅう君っていい人だよね。」」
千尋が言ってた事。
あの時、何か嫌な予感はしてたんだ。
でも、あたしの前で好きって言うなんて。
あんな形で千尋の気持ちを知るなんて。
あたしは泣いてしまい、下を向く。
しゅうは頭を撫でてきた。
:09/02/25 00:20 :F706i :☆☆☆
#134 [あい]
しゅうは今、何か言ってるかな?
手見なきゃ。しゅうの口を見なきゃ。
でも、今見たらもっと泣いちゃいそうな感じがする。
しゅうはあたしを抱きしめてくれた。
抱きしめて、泣き止むまでずっとずっと、頭を撫でてくれてた。
「「落ち着いた?」」
泣き止み、あたしはしゅうの手を見た。
「「ごめんね。」」
あたしは謝った。
:09/02/25 00:23 :F706i :☆☆☆
#135 [あい]
「「何でお前が謝んの?」」
あたしはしゅうを見た。
「「俺、千尋と会ってたの、あいに言ってなかったし。しかも、何か好きとか言われたし。」」
「「千尋ちゃんと会ってる時、しゅうの事好きになっちゃう様な事とか言ってたんじゃないの?」」
何言ってんの…あたし…
「「そんな事言ってねぇよ。」」
「「じゃあ何で千尋ちゃん、しゅうの事好きになるの?」」
言っちゃダメ…
:09/02/25 00:34 :F706i :☆☆☆
#136 [あい]
「「しゅうは優しいから。相談のってほしいなんて言われたら、断れないよね。だから毎回誘われたら会っちゃうんだ。あたしといる時にでも、行こうとしちゃうんだよね。」」
言いたい事はこんな事じゃないのに…
「「だから、会ってた事は謝るよ。本当に俺、相談のってただけだよ?好かれるような事は何もしてない。」」
「「相談にのってる時点でもう、好かれるような事だよ!!」」
余計な事を言ってしまう…
:09/02/25 00:39 :F706i :☆☆☆
#137 [あい]
「「お前、俺の事信じてないんだ。」」
そんなんじゃない…
そうじゃないよ…しゅう。
目の前で千尋がしゅうに告白をしてて、あたしは頭が混乱してた。
こんな風になるとは思ってなかった。
しゅうの事を信じてない訳じゃない。
あたし、八つ当たりしてる。
「「ごめん。あたしただ…」」
不安なんだよ…
そう言おうと思った時、しゅうがキスしてきた。
:09/02/25 00:45 :F706i :☆☆☆
#138 [あい]
「「ごめんな、あい。お前にそこまで言われるとは思ってなかった。不安に思わせてたら、もっとごめん。」」
あたしは首を振る。
「「あたしこそごめん。何か八つ当たりしてた。」」
「「千尋の事は本当悪いと思ってる。でも信じて?俺は、お前だけだよ。」」
千尋はそれから、しゅうに相談をする事はなかった。
しゅうが千尋に何を言ったのかはわからない。
:09/02/25 00:49 :F706i :☆☆☆
#139 [あい]
あたしの前で千尋がしゅうに好きと言った事、しゅうにだけ相談してた事、千尋はあたしに謝ってきた。
それから千尋は、学校に彼氏が出来た。
イジメもなくなった。
あたしとしゅうとも、仲のいい友達をやっている。
あたしとしゅうも上手くいっていた。
季節は秋。
しゅうの高校はもうすぐで文化祭。
:09/02/25 00:54 :F706i :☆☆☆
#140 [あい]
しゅうは毎日文化祭の準備で大忙し。
クラスの代表者になり、仕事がいっぱいらしい。
「「俺らのクラス、焼きそばなんだぜ。格好かっこいいから、絶対来いよな。あいには特別うまいもん食わしてやるから。」」
すごく嬉しそうに言うしゅう。
文化祭だもんね。
気合いも入るよね。
「「あとダンスもやるからよ。13時から。それも絶対見に来い。」」
しゅうはHIPHOPをやっていて、学校で組んでるグループで披露するらしい。
あたしもすごく楽しみだった。
:09/02/25 07:51 :F706i :☆☆☆
#141 [あい]
「「あいちゃん、久しぶり。」」
文化祭で会ったのは、しゅうの友達こうすけだった。
「「何で手話?」」
あたしがこうすけに聞いたら、笑いながらこうすけはしゅうの方を見た。
「「あいと話すために、こいつにも手話ちょっと教えてたんだ。」」
そっか。しゅう、そんな事もしてくれてたんだ。
:09/02/25 07:58 :F706i :☆☆☆
#142 [あい]
「「その子彼女?」」
こうすけの隣にいる女の子。
こうすけは頷いた。
「初めまして。かなです。」
これがあたしとかなの出会い。
あたしはかなと、文化祭を回る事に。
かなは手話が出来ないから、あたしはノートに。
かなは携帯のメール作成で返事を返す。
【こうすけのクラス、もう行ってみようよ。】
あたしとかなは、しゅうとこうすけのクラスに行った。
:09/02/25 09:46 :F706i :☆☆☆
#143 [あい]
しゅうのクラスの焼きそばは、すごく行列ができていた。
かなと並び、やっとあたし達。
しゅうがあたしに気付いた。
「「テントの中入れよ。」」
あたしとかなはテントの中に入った。
しゅうがあたしの所に来て、焼きそばをくれた。
「「これ俺が作ったやつ。うまいぞ。」」
「「おいしい!」」
「「本当?よかったー」」
:09/02/25 21:15 :F706i :☆☆☆
#144 [あい]
「「こいつ、あいちゃんに褒めてもらうために、超練習してんの。」」
こうすけが言う。
頭をかきながら、
「てめぇ、言うなよ。」
ってしゅうはこうすけに言ってた。
料理全然できないって言ってたもんね。
あたしには特別おいしい物食べさせてくれるって、言ってたもんね。
だから練習してくれてたんだ。
しゅうのそうゆう所大好きだよ。
あたしのために、すごい努力してくれるとこ。
本当嬉しいんだから。
:09/02/25 21:21 :F706i :☆☆☆
#145 [あい]
もうすぐで13時。
しゅうのダンスの時間が迫る。
しゅうは仕事を止め、あたしを引っ張って走り出した。
着いたのは、舞台裏。
衣装に着替えると、しゅうは仲間と行ってしまい、あたしは1人で待つ。
着替えが終わったしゅう。
「「まじ緊張してる。」」
そう言って、あたしの手を握ってきた。
あたしは口パクで、「頑張って」と言った。
そしたらしゅうは、顔を近づけてきて、キスしようとしてきた。
:09/02/25 23:56 :F706i :☆☆☆
#146 [あい]
あたしは軽くしゅうのほっぺを叩いた。
あたしが後ろに指を指し、しゅうも後ろを向く。
メンバーのみんなが見ていた。
笑いながら、
「「ごめんな。」」
そろそろスタンバイする頃だろう。
あたしも舞台裏から、見える所に移動しようと思っていた時だった。
「「お願いがあるんだけど…。」」
しゅうが言ってきた。
:09/02/26 00:00 :F706i :☆☆☆
#147 [あい]
「「途中で俺のソロがあるんだけど、失敗しなかったら、何かご褒美ちょうだい。」」
「「何?」」
「「ちゅ〜。しかもあいから。」」
大好きな笑顔で言うしゅう。
普段は口悪いし、態度でかいけど、たま〜に可愛い事言ったりしてくるんだよね。
「「失敗しなかったらね。」」
あたしがそう言うと、しゅう達の番がきたのか、しゅうは舞台の方に走って行った。
あたしも急いで舞台裏から移動した。
:09/02/26 21:42 :F706i :☆☆☆
#148 [あい]
1番前にこうすけとかながいて、あたしは2人の所に行き、しゅう達のダンスを見た。
練習は見に来るなって言うから、この時初めてだった。しゅうのダンスを見るのは。
他のメンバーも踊ってたけど、あたしはしゅうにばっか目がいってた。
しゅうが頭に付けてたバンダナを取り、あたしに投げてきた。
それから、しゅうが言ってたソロが始まった。
最初は順調だった。
でも動きがどんどん早くなってきた時、しゅうが転倒した。
:09/02/26 21:58 :F706i :☆☆☆
#149 [あい]
しゅうは悔しそうな顔をし、すぐに立って続きを踊った。
ダンスが終わり、あたしはしゅうの所に行った。
するとしゅうとグループの人達は、いろんな人達と写真を撮っていた。
あたしは少し待ち、しゅうがあたしの所に来た。
「「お疲れさま。」」
あたしが言うと、しゅうはあたしの手を握り、歩き出した。
歩き、着いたのは3年教室。
「「いいの?入って。」」
「「3年は全クラス外で店出してるから平気。」」
:09/02/26 22:32 :F706i :☆☆☆
#150 [あい]
あたしは席に座った。
「「焼きそばうまかった?」」
「「すごいおいしかった。」」
しゅうは頭を撫でてくれた。
「「ソロ失敗しちゃった。あそこ、いつも失敗してたとこなんだ。」」
あれ?もしかして、しゅう落ちてる?
それはそうだよね…。
会う時間削ってまで練習したのにね。
「「でも、すごかったよダンス。かっこよかった。」」
:09/02/27 00:01 :F706i :☆☆☆
#151 [あい]
下を向いてたしゅうが上目使いであたしを見る。
……可愛い〜!!!笑
「「でもさ、ご褒美ないな。」」
さっき言ってたやつか。
しゅうの携帯がなったのかな?
しゅうは携帯を取り、誰かと話してる。
「「こうすけだ。店手伝えって。かなもいるから、行くか。」」
今しかないよね。
:09/02/27 00:04 :F706i :☆☆☆
#152 [あい]
しゅうが立とうとした時、あたしはしゅうにキスをした。
しゅうはかなり驚いた表情。
「「ご褒美。」」
あたしはしゅうに言った。
あたしからキスをするのは初めての事。
すごい恥ずかしかった。
「「何のご褒美?俺、ソロ間違えたけど。」」
「「頑張ったご褒美。失敗しちゃったけど、ダンスしてるしゅう、本当かっこよかった。」」
しゅうは嬉しそうに笑ってた。
「バカか。」って言いながら。
:09/02/27 00:19 :F706i :☆☆☆
#153 [あい]
文化祭は無事終わり、後夜祭は出ないで、しゅうとこうすけとかなでご飯を食べに行った。
かなとは文化祭の1日ですごく仲良くなって、遊ぶ約束なんかもした。
2人と別れ、あたしはしゅうの家に行った。
その日はしゅうの家に初お泊まり。
何回か遊びに行った事があったけど、その時しゅうのお母さんに会った事はなかった。
でもその日は、しゅうの家、電気付いてた。
「「親いるかも。」」
ちょっと恐い顔をしたしゅう。
あたし達は家の中に入った。
:09/02/27 00:27 :F706i :☆☆☆
#154 [あい]
リビングに入ると、煙草を吸う女の人。
しゅうのお母さんだろう。
机には封筒が。
中はお金だろう。
遊びに来た時も同じような封筒が置いてあり、中はお金だった。
「誰その子。」
しゅうのお母さんがあたしを見て言う。
しゅうは話し返す。
でも何を言ってるかはわからない。
しゅうが口を動かせば、あたしはしゅうを見る。
しゅうのお母さんが口を動かせば、あたしはお母さんを見る。
:09/02/27 00:40 :F706i :☆☆☆
#155 [あい]
しゅうのお母さんと目が合い、あたしは頭を下げた。
「耳聞こえないの?」
あたしは頷いた。
またしゅうと話し出すお母さん。
そして、封筒をしゅうに渡し、家を出ていった。
「「ごめん。何か変な雰囲気にしちまったな。」」
あたしは首を振る。
「「お母さん、何て?」」
あたしはしゅうに聞いた。
「「適当にやりなさいだってよ。」」
:09/02/27 16:06 :F706i :☆☆☆
#156 [あい]
「「お母さんは男の人の所に行ったの?」」
しゅうはあたしと目を合わせないで頷いた。
「「また金渡しにくるから大丈夫。自分の事は自分でできるし。」」
しゅうは笑って言ってたけど、作り笑いってわかった。
わかりすぎて、胸が痛いよ。
あたし達はしゅうの部屋に移動した。
一緒に撮った写真が壁に貼ってあり、あたしはそれを見てた。
:09/02/27 16:12 :F706i :☆☆☆
#157 [あい]
「「この変顔やばいよな。」」
しゅうも一緒に見て、言ってきた。
「「これからもいっぱい写真撮ろうね。しゅうともっと、もっと思い出いっぱい作りたい。」」
あたしがそう言うと、しゅうはキスしてきた。
ベッドに倒され、続くキス。
しゅうは
「怖い?」って聞いてきた。
正直怖かった。
初めてだし。
:09/02/27 21:12 :F706i :☆☆☆
#158 [あい]
でもしゅうだから大丈夫。
あたしは首を振った。
「「優しくするから。」」
しゅうはあたしを優しく抱きしめてくれた。
痛い。でも幸せだった。
あたしは自然と涙も出た。
この時初めてしゅうと一つになった。
「「あたし変な声出してなかった?」」
隣にいるしゅうに聞く。
「「出してないよ。」」
:09/02/27 21:18 :F706i :☆☆☆
#159 [あい]
頭を撫でるしゅう。
あたしはいつの間にか眠っていた。
目が覚めた時、部屋は真っ暗だった。
しゅうが消したのか。
あれ?隣にいたしゅうがいない。
あたしは起き上がり、部屋の電気を付けた。
やっぱりいない。
夜中だった。
ちょっとした時だった。
部屋に入ってきたしゅう。
頭にはタオル。お風呂入ってたのか〜。
:09/02/27 22:49 :F706i :☆☆☆
#160 [あい]
あたしもお風呂に入り、また部屋に戻った。
「「髪乾かしてやるよ。」」
しゅうがあたしの髪を乾かしてる間、あたしはずっとしゅうの事を見てた。
あたししゅうと付き合ってるんだな〜
たまたま道でぶつかって、たまたま再会して
仲良くなって、嘘もつかれた。
言い合いもしたし、笑いあったりもした。
しゅうからの告白で付き合い、それからもいろいろあった。
:09/02/28 01:13 :F706i :☆☆☆
#161 [あい]
しゅうは沢山苦労してると思う。
あたしは耳が聞こえないから、こんな付き合い初めてだろうし。
手話での会話。
周りが気になった時もあった。
でも気にしないで堂々といれるのも、しゅうのおかげ。
あたしはいろんなしゅうを見るたびに、どんどん惹かれていった。
この幸せずっとって思ってた。
あたしは全然思っていなかった。
しゅうが離れるという事。
:09/02/28 01:23 :F706i :☆☆☆
#162 [あい]
しゅうが離れるという事…
いや、しゅうを離してしまう事を…。
全然思ってなかった。
:09/02/28 01:47 :F706i :☆☆☆
#163 [あい]
季節はあっという間に冬。
その日はたくみとしゅうの家に行く日だった。
たくみは1人でも、遊びに行く事がある。
そして2人でゲームしたり、買い物なんかも一緒に行くぐらい仲よくなって。
お兄ちゃんと弟って感じだったな。
合い鍵を渡されてたから、あたしは鍵を開け中に入った。
玄関には、ブーツと大きな靴。
:09/02/28 01:58 :F706i :☆☆☆
#164 [あい]
リビングにいたのは、しゅうとしゅうのお母さん。
と、知らない男の人。
あたしとたくみに気付き、しゅうがあたしの所に来た。
「「ごめん。いきなり母さん来てさ。連絡すればよかったな。」」
「「帰るよ。」」
あたしがそう言うと、しゅうがお母さんの方を向く。
何かしゅうに言ったんだろう。
あたしはたくみを見る。
「「待ってだってよ。」」
:09/02/28 20:40 :F706i :☆☆☆
#165 [あい]
お母さんがあたしの所に来た。
紙を渡してきた。
そこには【しゅうと別れて】と書いてあった。
しゅうがその紙をあたしから奪い、見る。
お母さんに何か言ってる。
怒鳴ってる感じだった。
あたしは話がよく掴めなくて、ただ立ったままだった。
たくみに腕を掴まれ
「今日は帰ろう。」
そう言われ、そのまま玄関に引っ張られた。
:09/02/28 20:44 :F706i :☆☆☆
#166 [あい]
【しゅうと別れて】
しゅうのお母さんから言われた事。
あたしはたくみの後ろを、ゆっくり歩いていた。
すると手を掴まれ、振り向いたらしゅうがいた。
それを見たたくみは1人で帰っていった。
「「母さんと男の人帰ったから、来いよ。」」
あたしはしゅうの手を握り、家に向かった。
:09/03/01 02:00 :F706i :☆☆☆
#167 [あい]
テーブルの上には、あの紙が。
それを見たしゅうはぐしゃぐしゃにして、ゴミ箱に捨てた。
「「気にすんなよ。母さんが言った事なんて。」」
「「気にしちゃうに決まってんじゃん。」」
しゅうは困ったような顔をする。
テーブルには封筒。
またお金置いていったんだ。
「「あの2人、結婚すんだと。」」
しゅうからの言葉は、とても悲しい事だった。
:09/03/01 02:06 :F706i :☆☆☆
#168 [あい]
しゅうのお父さんと離婚した後、新しい男ができ、家にずっと帰ってなかった。
しゅうは渡されるお金だけでずっと1人だった。
結婚したら2人はこの家に戻ってくるらしい。
2人で住むには丁度いい広さだから。
そのかわり、しゅうは別のアパートを借り、1人暮らしをしろと言われたらしい。
家賃も生活費も払うからと。
そんな……。
何か勝手すぎるよ。
しゅうは家から追い出される。
:09/03/01 02:13 :F706i :☆☆☆
#169 [あい]
「「参ったよな。てか追い出すなら、家賃とか生活費とかいいし。離すなら、親やんないでほしい…。生活費俺じゃまだ稼げねぇし、ないと困るけどさ。でも離すならって…感じ。」」
しゅうを抱きしめたかった。
「「俺、この家しかなかったのに。ずっと母さんの事待ってたのに。いつ帰ってきてもいいように、待ってたのに…。」」
そう言ってしゅうは涙を流した。
しゅうが泣くとこなんて、初めてだ。
あたしはしゅうを抱きしめた。
:09/03/01 12:57 :F706i :☆☆☆
#170 [あい]
あたしはしゅうが泣き止むまで、ずっと抱きしめた。
しゅうは長い間泣いていた。
泣き止んだ時、しゅうの目は真っ赤だった。
1人で泣いてた事もあったのかな?
「「大丈夫?」」
しゅうは微笑んで頷いた。
「「もうこうなったら、仕方ねぇよ。俺、新しいアパートで暮らすよ。」」
そう…しゅうは言った。
:09/03/01 13:02 :F706i :☆☆☆
#171 [あい]
「「3人で暮らす事はできないの?」」
あたしはしゅうに聞いた。
「「できねぇよ。加藤さんは、俺の事嫌ってるしよ。俺も嫌だし。」」
でも…1人は寂しいよ。
「「それに俺もう高2だし、1人慣れてるし。」」
1人は寂しいよ…
しゅう、無理に笑わないでよ。
:09/03/02 00:50 :F706i :☆☆☆
#172 [あい]
「「もう高2って…。まだ高2だよ!!慣れてるって、嘘つかないでよ。」」
「「嘘なんかついてねぇよ。」」
「「じゃあ何で悲しい顔するの?無理して笑うの?1人は寂しいに決まってるよ。」」
するとしゅうは、あたしをその場で倒してきた。
手を動かさないよう、力強く抑えるしゅう。
「何も言うな。」
しゅうがそう言った。
わかるよう、ゆっくり喋るしゅう。
:09/03/02 00:55 :F706i :☆☆☆
#173 [あい]
「どうしようもない事だってあんだよ。お前に何がわかんだよ。」
手が痛い。
初めてかもしれない。
こんなしゅうを見たのは。
口は悪いけど、優しいしゅう。
今のしゅうは…恐いよ。
「お前んちと俺んちは違うんだよ。無理して笑ってなきゃなんねぇんだよ。」
そう言うと、突然キスしてきたしゅう。
いつもとは違う。
苦しいよ…。
:09/03/02 01:05 :F706i :☆☆☆
#174 [あい]
服に手が入り、あたしは抵抗した。
嫌だっ。
いつものしゅうじゃない。
あたしは泣き出してしまった。
しゅうは手を止め、あたしを起こした。
優しく抱きしめてきた。
涙が止まらず、泣き続けた。
手話をしていない。
聞こえない。
でも、ごめんってしゅうが言ってる気がした。
:09/03/02 01:11 :F706i :☆☆☆
#175 [あい]
しゅうが泣いたり、あたしが泣いたり、忙しい2人だよね。
あたしが泣き止み、しゅうが手話を始めた。
「「嫌だったよな?」」
あたしは下を向いた。
「「ちょっと恐かったよ。」」
しゅうはごめんって…。
「「俺、最低だな。あいが嫌がる事して。しかも恐がるような事。家族の事でムシャクシャしてるからって…本当ごめん。」」
あたしは首を振る。
:09/03/02 01:20 :F706i :☆☆☆
#176 [あい]
「「こうなったからには、本当もう仕方ないんだ。正直、やっぱ1人はきついし寂しいよ。でも、仕方ないんだって。だから、わかって?」」
しゅうはそう言った。
お母さんに自分の気持ち言わないで、暮らすって覚悟してるんだ。
あたしは、わからなかった。
離婚…再婚…
そんな事家にはなかったから。
しゅうがお母さんに気持ち言えば、一緒に暮らせるんじゃないか。
そう思ってた。
でも違うんだね。
:09/03/02 01:35 :F706i :☆☆☆
#177 [あい]
しゅうのお母さんは、一緒に暮らす事を望んでない。
一緒に暮らしたいと望んでるのは、再婚相手。
しゅうがいくら言っても、わかってくれないかもしれない。
そうしゅうは、思ってたんだよね。
だから、苦しい想いして悩んで悩んで出した結果なんだよね。
離れて暮らすって。
:09/03/02 01:39 :F706i :☆☆☆
#178 [あい]
またクリスマスが近づいてきた。
その日、仕事が終わり、しゅうと会う約束をしていたから、急いで待ち合わせ場所に向かおうとしていた。
施設を出て、歩いている時だった。
あたしは足を止めた。
前にいたのは、しゅうのお母さんだった。
「どうも。しゅうから、あなたの事いろいろ聞いて、会いに来ました。言ってる事わかる?」
あたしは頷いた。
なんだろう…
まさか会いにくるなんて。
思ってもなかった。
:09/03/02 01:50 :F706i :☆☆☆
#179 [あい]
ポケットに入ってる携帯がブーッブーッと鳴っている。
あたしは携帯を見た。
【仕事終わった?】
しゅうからのメールだった。
あたしはお母さんを見る。
すると「しゅう?」って聞いてきた。
あたしから携帯を取り、電源を切る。
「しゅうが来たら、うるさいから。」
そう言い、あたしに携帯を返してきた。
:09/03/02 01:54 :F706i :☆☆☆
#180 [あい]
「話したいの。」
しゅうのとこ行かなきゃ。
でも話って…何?
ベンチに座り、煙草に火を付けるしゅうのお母さん。
【あの、しゅうにメールしていいですか?一緒にいる事は言わないんで。今日会う約束してるんです。】
あたしはノートを見せる。
「どうぞ。」
あたしは携帯を開いた。
:09/03/02 11:50 :F706i :☆☆☆
#181 [あい]
電源を付け、しゅうにメールを打つ。
【ごめん。仕事長引きそうだから、家で待ってて。】
何?
あたし何でこんな手震えてんの?
しゅうにメールを送り、お母さんの方を向く。
「あなた凄いわね。耳聞こえないのに仕事して。しゅうと同い年でしょ?若いのに、あたしより偉いわ。」
あたしはじっと口の動きを見る。
:09/03/02 12:20 :F706i :☆☆☆
#182 [!]
続けて
:09/03/02 18:16 :F902iS :☆☆☆
#183 [あい]
:09/03/02 19:59 :F706i :☆☆☆
#184 [あい]
「しゅうは何で、あなたの事好きになったんだろうね?」
ちょっと笑った表情。
【何でそんな事思うんですか?】
あたしはノートに書いた。
吸ってた煙草を地面に捨て、ブーツで消すしゅうのお母さん。
「だって、しゅうが前付き合ってた子は耳聞こえたから。」
しゅうの元カノ。
1年半付き合ってた子だ。
:09/03/02 20:04 :F706i :☆☆☆
#185 [あい]
「あたしが家行くと、その子絶対いてね。住みついてるの?って思った。」
…………。
「あたしんちなのに。勝手な事してくれるわ。」
あたしは、えっ?って思った。
何でそう思うかな。
「「全然帰ってないのに、あたしんち?」」
あたしは手話で言ってしまった。
戸惑った顔をするから、間違えた事に気づき、ノートに書いた。
【全然帰ってないのに、あたしんちですか?】って。
:09/03/02 20:32 :F706i :☆☆☆
#186 [あい]
「はい?」
そう言われ、あたしはまたノートに書いた。
【お金渡す時しか帰ってきてないのに、あたしんちって。しゅうはずっと1人だったんですよ?】
あたしは顔を見た。
ノートを見て笑うお母さん。
「1人じゃないよ。彼女がいたもん。」
【彼女は家族じゃないです。しゅうはお母さんがいなくて、寂しかったはずです。】
しゅうは泣いてたから。
あたしはわかる。
:09/03/02 20:43 :F706i :☆☆☆
#187 [あい]
「ずっと1人だったから、慣れてるから平気だよ。これからも。」
本当にそんな事思ってんの?
ノートに書くのも嫌だ。
話せたら…耳が聞こえれば…
あたしはそう思った。
【慣れるわけないですよ。しゅうは、お母さんの子なんですよ?男だからって、高校生だからって、家族が離れ離れは辛すぎますよ。これ以上、しゅうに辛い想いさせないで下さい。】
早く書いたから、字ぐちゃぐちゃだった。
:09/03/02 20:52 :F706i :☆☆☆
#188 [あい]
ノートを見て笑うお母さん。
あたしの前に立ち、顔を近づけてきた。
「結構言う子だね。」
ブーッ…
鳴っている携帯が気になる。
「あたしはね、新しい生活のためにしゅうを手放すの。子には変わりない。でも一緒には住まない。」
そう言い、帰ってしまった。
あたしはちょっとの間その場にいて、しゅうの家に向かった。
:09/03/02 22:37 :F706i :☆☆☆
#189 [あい]
新しい生活のために、しゅうを手放す。
あたしは泣きそうになりながら、しゅうの家まで歩いた。
家の前には、しゅうが座っていた。
あたしに気付き、歩いてくるしゅう。
「「何やってんの?」」
「「遅いからさ。待ってた。」」
手を握ると、すごく冷たい。
:09/03/02 22:40 :F706i :☆☆☆
#190 [あい]
家で待っててって言ったのに。
もしかして、ずっと外にいたの?
あたしは耐えきれず、泣いてしまった。
何も知らないしゅうは、驚くはず。
何をどうしたらいいのか、わかんなかっただろうな。
「「ごめんね。本当ごめん。」」
「「どうしたんだよ?」」
家に入り、しゅうはココアを出してくれた。
:09/03/02 22:44 :F706i :☆☆☆
#191 [あい]
「「母さん来たの?」」
あたしは頷いた。
「「前の彼女は耳が聞こえた。何でしゅうは、あたしを好きになったんだろうって。」」
しゅうはあたしの頭を撫でた。
あの事は言えなかった。
生活のために、しゅうを手放す事。
それは絶対言わない…
「「母さんが言ってた事は気にすんなよ。言ったろ?俺は、耳が聞こえないお前を珍しいと思って好きになったんじゃないって。」」
:09/03/02 22:51 :F706i :☆☆☆
#192 [かおたん]
:09/03/02 23:39 :SH903i :SP5e9SLE
#193 [あい]
>>192 かおたんさん
ありがとうございます
またあとで更新します☆
:09/03/03 00:30 :F706i :☆☆☆
#194 [あい]
帰る時、あたしは段ボールに気付いた。
「「引っ越しの?」」
「「うん。明後日には引っ越すんだ。」」
明後日か。
明後日からお母さんと再婚相手が、ここに住む。
「「しゅう、何か困った事とかあったら言ってね?」」
「「別に大丈夫だよ。料理結構得意だし、洗濯物とか1人分だし楽だよ。」」
ニコッと笑うしゅう。
「「1人でいたくない時とか…呼んでいいんだからね?あたし、行くからね?」」
:09/03/03 07:50 :F706i :☆☆☆
#195 [あい]
「「ありがとう。」」
クリスマス。
夜、しゅうの家に行った。
しゅうと過ごす2回目のクリスマス。
もうすぐ付き合って1年にもなる。
慣れない料理。
あたしは料理がちょっと苦手。
でもしゅうにどうしても作りたくて…。
パンっとしゅうに頭を叩かれた。
「「バカっ!!それはこうだよ。」」
:09/03/03 11:38 :F706i :☆☆☆
#196 [あい]
しゅうに怒られ、怒られ料理をした。
「「あとは俺がやるよ。」」
「「でも…」」
えぇー!?あたしが作ろうと思ったのにー!!
「「料理作ってる俺の姿、やべーよ。惚れ直すなよ。」」
バカみたいな事を言うしゅう。
冗談だよって、後から言ったけど、あたしはもうガン見だった。
あたしとは全然違う。
手際よく、ちゃくちゃくと料理をするしゅう。
……かっこいい。
:09/03/03 11:43 :F706i :☆☆☆
#197 [あい]
食べてみたら、めちゃくちゃおいしいし。
「「あたしも料理うまくなりたいよ〜。」」
「「そんなんだったら、俺が教えてやるよ。」」
そんな話をしながら、あたし達は完食。
次はお楽しみのケーキだ。
しゅうと一緒に買ってきた、イチゴいっぱいのったケーキ。
切ろうとするしゅうの手を止めた。
「「このチョコ、食べたいから切んないで。」」
Merry Christmasと書いてあるチョコ。
それを、あたしはどうしても食べたかった。
:09/03/03 22:17 :F706i :☆☆☆
#198 [!]
読んでるからねぃ
:09/03/04 08:42 :F902iS :☆☆☆
#199 [ぐみ]
続き気になる
:09/03/04 08:44 :F904i :3AiVl0H2
#200 [あい]
>>198 !さん
また書き込みくれた
ありがとうございます
:09/03/04 11:18 :F706i :☆☆☆
#201 [あい]
:09/03/04 11:19 :F706i :☆☆☆
#202 [あい]
チョコをあたしにくれて、しゅうはケーキを切った。
あたしは物凄くワクワクしていて、ケーキをずっと見ていた。
「「いただきます。」」
さっき料理をあんなに食べたのに、まだ入る。
さすが別腹。
チョコも1人で食べてしまった。
「「俺にも少し残しとけよ。」」
しゅうに怒られ、…ちょっと失敗したな〜。笑
しゅうがいきなり顔を近づけてきた。
えっ…?何?
:09/03/04 11:23 :F706i :☆☆☆
#203 [あい]
口に生クリームが付いてたみたいで、指で取ってくれたしゅう。
そのままペロンと舐めるしゅう。
「「お前、興奮しすぎ。ケーキぐらいでバカかっ。」」
「「だって、クリスマス大好きだもん。ケーキおいしいし。」」
微笑むしゅう。
「お前、そうゆう餓鬼っぽいとこかわいいよな。」
そう言ったしゅう。
あたしは恥ずかしくなって、下を向く。
頭を撫でてきて、あたしはしゅうに抱きついた。
:09/03/04 11:29 :F706i :☆☆☆
#204 [あい]
最高のクリスマスだった。
元旦、1年記念日。
しゅうは家に泊まって、あたしと、あたしの家族みんなと過ごした。
しゅうは冬休み。
冬休みはほとんど家に泊まっていた。
本当毎日が幸せだった。
本当にうまくいってたんだよ?
あたしは仕事。しゅうは学校始まり、あたしのいつもの生活が始まった。
その日はしゅうと会う約束もしてなくて、仕事が終わったらまっすぐ家に帰った。
:09/03/04 22:44 :F706i :☆☆☆
#205 [あい]
「「あい、話があるの。」」
家に着いて、そう言ってきたのはママだった。
あたしは部屋に行き、着替えてリビングに行く。
たくみもいて、椅子に座っている。
何か変な雰囲気。
そんな事を思いながら、あたしも椅子に座る。
「「パパが帰ってきたらにしようと思ったけど、早い方がいいから。」」
ママが手話を始める。
机には、何かの資料みたいな物が置いてある。
「「あい、耳の手術しない?」」
手術…?
:09/03/04 22:50 :F706i :☆☆☆
#206 [あい]
突然の話。
「「何で急に?」」
あたしはママに聞く。
するとママは資料を開いて、あたしの前に差し出してきた。
「「ここの先生といろいろ話してね。あいの耳はね、手術すれば聞こえるようになるみたい。」」
ちょっと待って…。
「「ハッキリではないけど、聞こえないよりはいいでしょ。もう17歳だし、手術受けても平気だって。小さい時は無理だったけど。」」
そんな急に言われても。
手術って…。
:09/03/05 01:44 :F706i :☆☆☆
#207 [あい]
「「聞こえるようになるのは絶対なの?」」
横のたくみがママに聞く。
「「あたし達みたいにハッキリではないよ。でも聞こえるようになるのは確かだって。今よりも全然生活しやすいと思うをだけど…。」」
ママがあたしを見る。
そりゃあ、聞こえないよりは聞こえる方がいい。
でもあたしは、ちょっと恐かった。
手術だもん。
不安は持つ。
「「お前迷ってんの?」」
たくみがあたしに聞く。
:09/03/05 01:50 :F706i :☆☆☆
#208 [あい]
「「聞こえないままの可能性もあるって言うならわかるけど、聞こえるようになるのは確かなんだよ?悩む必要なくね?」」
たくみはあたしに言う。
しゅうもそう言うんだろうな。
しゅうとたくみは、口悪い所が似てる。
何か、しゅうに言われてるみたいだった。
「「あたしも、聞こえるようになりたいよ。でもちょっと恐いよ。」」
「バカじゃねぇの。そんな事言ってたら、何も出来ねぇじゃねぇかよ。」
手話をしないで言ってくるたくみ。
:09/03/05 02:11 :F706i :☆☆☆
#209 [あい]
あたしはたくみを睨む。
「「手術するのは、あんたじゃない。あたしなの。恐いに決まってんでしょ!!」」
あたしはそのまま、部屋に行った。
恐がって…まるで子供だ。
夜、しゅうが家に来た。
パパも帰ってきて、5人で話す事に。
たくみはイライラした様子で座っていた。
「「手術の事、お母さんに聞いたよ。どうすんの?」」
しゅうが言う。
「「ビビってんだよ、こいつ。餓鬼かよ。」」
たくみも手話をする。
:09/03/05 02:17 :F706i :☆☆☆
#210 [あい]
「「そんな事言うなよ。普通ビビるって。」」
しゅうがたくみに言う。
あたしは何も言えず、しゅうとたくみの手話を見ていた。
「「だって聞こえるようになるんだよ?何をビビるの?」」
「「聞こえるようになる事はわかってるよ。あいはちゃんと。でも手術って言葉だけでも、不安は持つって。お前にはわかんねぇ事だけどさ。」」
「「じゃあ、しゅう君にはわかんのかよ。」」
:09/03/06 13:27 :F706i :☆☆☆
#211 [あい]
そうたくみが言うと、しゅうはあたしを見る。
「「わかんないけどさ、あいの顔見たら、不安なのかな?って思うよ。」」
しゅう…。
あたしは決めた。
「「手術する。」」
聞こえるようになるならやる。
「「そう。大丈夫。みんな付いてるから。」」
ママがそう言ったあと、たくみの背中を叩いた。
「「仲直りしなさい。」」
:09/03/06 20:28 :F706i :☆☆☆
#212 [あい]
「「ごめんな。言い過ぎた。」」
目はあたしに向いてなかったけど、たくみは謝ってきてくれた。
「「手術の日は、俺も病院行くからな。」」
大好きな笑顔で言うしゅう。
家族がいるのにも関わらず、あたしはしゅうに抱きついた。
手術は6月。
すぐではなかった。
4月。
しゅうは3年生になった。
:09/03/06 20:34 :F706i :☆☆☆
#213 [ゆきな]
待ってました
!
いい家族ですね
更新がんばって(^-^)v
:09/03/06 21:33 :P903iX :☆☆☆
#214 [あい]
>>213 ゆきなさん
待ってたとか嬉しい
ありがとうございます
今からまた更新します
:09/03/07 01:52 :F706i :☆☆☆
#215 [あい]
しゅうの夢は美容師。
3年生になると進路の事でいっぱい。
しゅうは、専門学校に行く予定だった。
あたしは変わらず施設で仕事をしていた。
5月になり、手術1ヶ月前。
この5月だった。
あたしがしゅうから離れていったのは。
休みの事だった。
あたしはしゅうの家に遊びに行った。
もうすぐで着くって時に、しゅうからメールがきた。
【母さん来たんだけど、もう着いちゃう?】
:09/03/07 01:59 :F706i :☆☆☆
#216 [あい]
どうしよう。
もう目の前だよ…。
【まだ着かないよ。】
あたしは嘘をついた。
何か話でもあんのかな?
あたしは、どこかで時間を潰そうと思ってた時、しゅうが家から出てきた。
あたしの所に来た。
「「いるじゃん。嘘付かなくていいのに。入れよ。」」
「「お母さんと話してるんじゃないの?」」
しゅうは微笑んで言った。
「いい話。」
あたし達は家に入った。
:09/03/07 02:04 :F706i :☆☆☆
#217 [あい]
しゅうのお母さんが座っている。
「「いい話って何?」」
「「母さんが、一緒に暮らさないかって。」」
何で突然そう言ってきたのかはわからない。
でも再婚相手の人もそう言ってるみたいで、それを伝えに来たらしい。
新しい生活のために手放す。
そうしゅうのお母さんは言ってたのに、やっぱ一緒に暮らしたいんだね。
あたしはそう思っていた。
嬉しそうに説明をしてるしゅう。
:09/03/07 02:22 :F706i :☆☆☆
#218 [あい]
何かしゅう、可愛いな。
あんなに1人で大丈夫とか、強がってた事言ってたのに。
嬉しいに決まってるよ。
お母さんを見た時、紙に何か書いている。
その時、あたしの中で嫌な事を思い出していた。
【しゅうと別れて】
前に書かれた事がある。
そして渡された。
嫌な予感がした。
紙を渡された時、あたしはショックだった。
:09/03/07 02:34 :F706i :☆☆☆
#219 [あい]
【しゅうと別れてください。】
またこの言葉だった。
あたしは紙を見たあと、しゅうのお母さんを見た。
「いい?」
しゅうのお母さんが聞いてきた。
「「おい、何だよそれ!」」
しゅうが言う。
「しゅうは、受験生になったの。負担になりたくないでしょ?」
「「別にあいは負担になんかなってねぇよ。」」
あたしは泣きそうになった。
:09/03/08 12:36 :F706i :☆☆☆
#220 [あい]
「あんた、耳が聞こえない子とずっと付き合う気?大変よ。あたしだって、耳聞こえない子と接するのは難しいし、上手くもやっていけない。」
お母さんの口の動きを見るのが辛かった。
「別れないなら、一緒に住むのも無しね。」
「「何だよそれ。じゃあ住む話は無しでいいよ。あいと別れるのはやだ。」」
あたしはしゅうを見た。
「「何言ってんの。それはダメだよ。」」
あたしはしゅうに言う。
:09/03/08 12:41 :F706i :☆☆☆
#221 [あい]
「「しゅうはずっと1人で辛い想いいっぱいしたじゃん。お母さんから住もうって言われたんでしょ?ずっと望んでた事じゃないの?」」
「「でもそれでお前と別れろなんて、おかしいだろ。」」
でも、しゅうは嬉しそうにしてた。
お母さん勝手だなって思ったけど、やっぱ自分の子だもん。
しゅう…嬉しそうにしてたじゃん。
「「いいよ。母さん。」」
ダメだよ……。
:09/03/08 12:46 :F706i :☆☆☆
#222 [あい]
「「てか、勝手すぎるよ。ずっと俺の事なんかほったらかしにしてたくせに、1人で住めって離したくせに。急になんなんだよ。」」
「今までの事は謝るよ。しゅうには本当に悪い事した。これから、一緒に居なかった分、一緒に暮らして家族に戻ろうよ。」
あたしは家に帰り、ずっと考え事をしてた。
しゅうは負担にならないって言ってたけど、これかもずっとあたしといるのは、ダメなんじゃないか。
別れるのは嫌だよ。
でもしゅうとは、お母さんと暮らしてほしい。
:09/03/08 12:52 :F706i :☆☆☆
#223 [あい]
【俺、あいとは別れないから。母さんが何を言っても。全然住まなくてもいいしさ。今悩んでるんだったら、変な事考えるのやめろよ。】
しゅうから届いたメール。
【それと、ずっと俺の事気にしててくれてありがとう。話された時は本当に嬉しかったよ。一緒に住もう。あの言葉だけで、俺はもう充分だったからさ。】
あたしは決めた。
辛いけど、いいんだ。
数日後仕事が終わり、あたしはしゅうと会う事にした。
手を振るしゅうがいる。
:09/03/08 13:01 :F706i :☆☆☆
#224 [あい]
ダメだ…
泣きそうになっちゃう。
「「どっかご飯食べ行くか?」」
いつものしゅう。
あたしは裾を掴み、首を振る。
何かを感じとったのか、しゅうは掴むあたしの手を離し、歩き始めた。
あたしは手を掴み、しゅうは振り向く。
「「話ある。」」
「やだ。」
でも話さなきゃ。
あたしはしゅうの言葉を無視して、手話を始める。
:09/03/08 21:03 :F706i :☆☆☆
#225 [あい]
「「あたし、考えたの。」」
これでいいんだよね。
「「しゅうは、お母さんと暮らして。あたしとは別れよ。」」
しゅうは、悲しそうな顔をした。
あたしは手話を続ける。
「「しゅうのお母さんが一緒に住もうって言ったの、あたしもすごい嬉しい。すごいしゅうが辛かったの知ってるから。」」
泣いちゃダメだ。
あたしが泣いたら、しゅうが困っちゃうから。
:09/03/08 21:14 :F706i :☆☆☆
#226 [あい]
お母さんに離された時、しゅうは泣いてたから。
あたしが初めて見たしゅう。
辛かったの知ってるから。
寂しかったのも、ずっと溜めてきて出てきた涙だから。
あの時、しゅうを見るのが辛かった。
そして、一緒に住もう。
しゅうのお母さんが言いに来た時のしゅう。
すごい喜んでた。
あたしはあの時、嬉しそうなしゅうを見るのが…嬉しかったよ。
:09/03/09 01:09 :F706i :☆☆☆
#227 [あい]
「「これから専門行って、美容師になって、あたしなんかより全然いい人見つかるよ。」」
「「ちょっと待てよ…」」
「「あたしの事で一緒に住む事無しにしちゃダメ。お母さんが別れる事を望んでるなら、あたしはそうする。」」
しゅうの手話を無視し、あたしは一方的に話を進めた。
「「一緒に暮らして?」」
しゅうは下を向く。
これ以上の手話を見たくなかったのかな。
:09/03/09 01:33 :F706i :☆☆☆
#228 [あい]
「「お前、泣かないんだな。」」
しゅうが言ってきた。
「「悲しくないの?」」
悲しいよ。
だって嫌いになったわけじゃないのに。
でも……
「「悲しくない。」」
あたしはそう言った。
「「そっか。じゃあいいよ。お前と別れたくないのも、母さんと暮らしたいのも、どっちも望んでる。でもお前がそう言うなら別れる。」」
:09/03/09 19:34 :F706i :☆☆☆
#229 [あい]
しゅうは笑ってた。
悲しそうな感じで。
「「お前なら、こんな事になっても離れないって思ってたのに…。もういい…。」」
何かが刺さるような
そんな感じで胸が痛くなった。
あたしの言葉で…
しゅうの言葉で…
あたし達は終わった。
:09/03/09 19:40 :F706i :☆☆☆
#230 [あい]
その後何も話さず、しゅうは行ってしまった。
あたしは、歩いていくしゅうの背中を見えなくなるまで見ていた。
しゅうは1度も振り向かなかった。
終わった…。
あたしは家に帰り泣いた。
さっきまで我慢してた涙が一気に溢れ出してきて、ずっと泣いてた。
するとしゅうからメールがきた。
【お前の家にある俺の物全部捨てていいから。】
しゅうの物を全部集めた時、あたしは思った。
:09/03/09 19:47 :F706i :☆☆☆
#231 [あい]
あれ?
しゅうの荷物こんなに多かったっけ?
しゅうはそのまま置いてく事が多かったから、いつの間にかこんなに増えてたんだね。
家にあるもの。
あたしの幸せを表してた。
また涙が出てきた。
しゅう…本当にごめんね。
許してなんて言えないけど、本当に本当にごめんね…
:09/03/09 21:02 :F706i :☆☆☆
#232 [あい]
これでよかったんだよね?
しゅうはお母さんとまた暮らせる。
ずっと願って事じゃん。
これでよかったんだよね。
あたしはそう自分に言い聞かせながら、しゅうの荷物を片付けた。
:09/03/09 21:03 :F706i :☆☆☆
#233 [我輩は匿名である]
:09/03/10 00:32 :N703iD :ht..WoaI
#234 [ゆきな]
大丈夫ですかー?
更新楽しみに
待ってます(^-^)v
:09/03/12 16:37 :P903iX :☆☆☆
#235 [あい]
:09/03/12 19:29 :F706i :☆☆☆
#236 [あい]
手術が近づいてきた。
病院で手術の説明や、聞こえるようになってからの話。
「「聞こえるようになったら、話す練習もしなきゃね。」」
そうママが言った。
話す…。
小さい時に聞こえなくなり、それまであたしは普通に話せてた。
でも、聞こえるようになって上手く話せるだろうか。
変な感じじゃないか。
不安はあった。
そして、手術当日。
:09/03/12 19:36 :F706i :☆☆☆
#237 [あい]
その日は運悪く雨だった。
パパ、ママ、たくみ。
そしてこうすけとかなも来てくれた。
この2人が来てくれたって事は、もしかしたら…なんて。
しゅう…
来るわけないっか。
あたしになんか会いたくないよね。
「「頑張ってね。」」
みんなに言われ、かなからお守りも貰った。
:09/03/12 21:50 :F706i :☆☆☆
#238 [らぃあ]
主サンの小説すごく感動します
ゆっくりでもイィので最後まで書いてくださぃね
:09/03/13 00:30 :N701i :lexcE7k.
#239 [あい]
>>238 らぃあさん
そんな事言ってもらえて嬉しいです
今は無理なんでまた夜に更新します
:09/03/13 08:49 :F706i :☆☆☆
#240 [あい]
手術室に入る時、あたしは目を閉じた。
耳が聞こえるようになる。
みんなの声が聞きたいよ。
【何か聞こえたらボタンを押してください。】
この日は確認の日。
手術は無事に成功した。
目を覚ました時、みんなが声をかけていたが、そんなすぐに聞こえるようになるわけがない。
:09/03/13 21:20 :F706i :☆☆☆
#241 [あい]
あたしの耳にはイヤホン?何て言えばいいんだろう。
まぁ、耳に何かをはめた。
先生の手元には、いくつかのスイッチ。
あたしの手にはボタン。
先生がスイッチを押し、音が聞こえたらボタンを押す。
簡単な事だった。
先生がいろんなボタンを押す。
………聞こえない。
………聞こえない。
:09/03/13 21:24 :F706i :☆☆☆
#242 [あい]
聞こえないよ。
先生の手は確かに動いてる。
スイッチ押してるはずなのに…
聞こえない………
聞こえない……
えっ?今何か聞こえた。
かすかにだけど、ピーピーって聞こえた。
あたしはボタンを押す。
あっ!また聞こえた。
ボタンを押す。
:09/03/13 21:26 :F706i :☆☆☆
#243 [☆匿名☆]
あいさんの小説すごく読みやすいです!
それにあいさんの心が綺麗で感動しました(;_;)
応援してますヾ(≧▽≦)ノ♪♪
:09/03/14 01:41 :W52SH :9vaq2utc
#244 [あい]
>>243 匿名さん
嬉しいです
ありがとうございます
:09/03/14 02:45 :F706i :☆☆☆
#245 [あい]
「「本当に小さい音は聞こえないし、聞きづらいですね。でも普通の話声や、車の音、音楽、いろんな音が聞こえるようになる。」」
先生が話す事をママが通訳する。
それからあたしの生活は変わった。
前から怖くて乗れなかった自転車。
自転車に乗って、施設に行くようになった。
車が横を通る音。
クラクションの音。
小さい子達のじゃれあいの声。
かすかだったけど、聞こえる。
聞こえるんだ。
:09/03/14 02:55 :F706i :☆☆☆
#246 [あい]
「おはようございます。」
手話を使わないで、仕事場の人があいさつしてくる。
本当に聞こえるようになって、あたしの生活は変わった。
変わってない事は…
「「おはようございます。」」
あたしはまだ手話をやっていた。
最初の方は仕方ないと、ママ達も言っていた。
でも、月日がたっても、あたしは手話をやってた。
:09/03/14 03:02 :F706i :☆☆☆
#247 [我輩は匿名である]
やっぱこの小説好きです!楽しみにしてます(´∀`)
:09/03/14 11:31 :SH903i :KF/Qr/Zw
#248 [あい]
>>247 我輩は匿名であるさん
すごい嬉しいです
ありがとうございます
:09/03/14 17:41 :F706i :☆☆☆
#249 [あい]
「お前何で手話なの?」
家にいた時、たくみが聞いてきた。
家族もみんな手話無しで話をかけるようになった。
手話をしているのは、あたしだけ。
「小さい時喋れたんだから、喋れんだろ。」
たくみが言葉使い悪いのは、聞こえない時から知ってた。
聞こえるようになってから、本当に悪いんだなっていうの、知ったよ。
:09/03/14 17:52 :F706i :☆☆☆
#250 [あい]
「やめなさい。たくみ。」
ママは少し高くて、優しい声。
パパはママとは違って低い声。
みんなの声を知っていったよ。
「そんなすぐに喋れるわけないでしょ。」
ママがたくみに言う。
「でもこいつ、練習もしようとしないじゃん。何で?」
たくみがあたしを見る。
確かに、あたしは喋る練習をしていない。
:09/03/14 17:56 :F706i :☆☆☆
#251 [あい]
あたしは答えられなかった。
たくみから目をそらした。
「おい、こっち向けよ。早く答えろ。」
「「小さい時、確かにあたしは喋ってた。でもそれから全然話してないから…変な声が出ちゃうんじゃないかって…。」」
不安だった…。
たくみは笑った。
「バーカ。」
そう言ってデコピンをしてきた。
:09/03/14 21:45 :F706i :☆☆☆
#252 [あい]
「普段バカな事やってる奴が、何そんな事気にしてんだよ。バカにして笑うわけねぇじゃん。」
たくみの言葉で、元気が出た。
でも、あたしは声を出すという事をしていなかった。
家族みんな、気にしていたと思う。
手術からかなりたち、また冬がやってきた。
2回しゅうと過ごしたクリスマスが、またやってくる。
:09/03/15 01:04 :F706i :☆☆☆
#253 [あい]
あたしは、しゅうを忘れる事ができていなかった。
初めての彼氏だったし、すごく好きだった。
すごく幸せだったから、本当に好きになりすぎていたから、忘れられなかった。
しゅうは元気なの?
お母さんと仲良く暮らしてるかな?
受験は?
新しく彼女はできた?
あたしが耳聞こえるようになった事知ってる?
しゅうの事ばっかりだった。
:09/03/15 01:12 :F706i :☆☆☆
#254 [あい]
時々泣いちゃう時もあるんだよ。
勝手だよね…
あたしがしゅうを振ったのに。
あたしが離したのに。
あんなに大好きだった人を。
あんな大事にしてくれた人を。
しゅう…
:09/03/15 20:17 :F706i :☆☆☆
#255 [あい]
クリスマス。
あたしはあの場所に行った。
しゅうがクリスマスに連れてきてくれた場所。
1人で来るのは、大変だった。
途中までバイクだったから。
そこから見る景色は、あの頃と変わらず綺麗だった。
寒い中、あたしは1人で眺めていた。
:09/03/15 20:20 :F706i :☆☆☆
#256 [あい]
帰ろう。寒いな。
そう思ってた時だった。
ジャリジャリ…
誰かが後ろから来る。
1人じゃない…2人?
振り向いたら、そこにいたのはしゅうだった。
隣には、知らない女の子。
しゅうはすごく驚いた感じの表情だった。
……隣の人誰?
:09/03/15 20:22 :F706i :☆☆☆
#257 [あい]
「「何でここにいんの?」」
あっ…手話してる。
しゅうの声だっ…
初めて聞いた。
こうすけ、あたしが耳聞こえるようになった事言ってないのかな。
「「手話しなくていいよ。聞こえるから。」」
「えっ?まじ?」
あたしは頷いた。
「手術成功したんだ。おめでとう。」
………泣きそう。
:09/03/15 20:27 :F706i :☆☆☆
#258 [あい]
「「その人、彼女?」」
しゅうはその子を見て言った。
「うん。てか元カノ。」
あ…より戻したんだ。
「「そうなんだ。おめでとう。」」
あたしはそう言って、2人から離れていった。
「あい!!」
しゅうがあたしを呼んだ。でも、振り向かずあたしは歩いた。
:09/03/15 21:00 :F706i :☆☆☆
#259 [あい]
だって…涙が出てきたから。
しゅうの秘密の場所。
あたしだけに教えてくれた場所。
それはただの思い込みだね。
しゅうは…元カノにも教えたんだ。
涙が止まらなかった。
耳が聞こえてなかったら、足音にも気づかなかった。
足音が聞こえてなかったら、振り向かなくて、しゅうにも気づかなかった。
よりを戻した事も、知らずにすんだんだ。
:09/03/15 21:08 :F706i :☆☆☆
#260 [ゆきな]
やばいです
泣きそう(T_T)
:09/03/15 22:30 :P903iX :☆☆☆
#261 [あい]
>>260 ゆきなさん
毎回コメントありがとうございます
:09/03/16 00:33 :F706i :☆☆☆
#262 [あい]
耳が聞こえてなかったら…
そんな事思っちゃダメ。
しゅうの事は吹っ切んなきゃ。
彼女がいる事知って、いいじゃん。
これで吹っ切れるよ。
…これでいいじゃん。
:09/03/16 00:39 :F706i :☆☆☆
#263 [あい]
しゅうの事は考えないようにした。
考えないで仕事をして、普通に家に帰って、家で寝る。
次の恋をしよう。
焦らず、ゆっくりと。
あたしは普通の生活を送っていた。
ある日の仕事帰り。
あたしは、いつものように自転車で家に向かっていた。
雨上がりだったため、道は濡れていた。
マンホールのとこど滑ってしまい、あたしは転倒した。
:09/03/16 00:57 :F706i :☆☆☆
#264 [あい]
痛い…。
「大丈夫ですか?」
声をかけてきたのは、しゅうだった。
何で?何でこんなとこで会っちゃうのかな。
よく考えてみればここ、しゅうと出会った場所だ。
しゅうにぶつかって。
「お前喋れねぇの?」って…
あたし、こんな事まで覚えてる。
「立てるか?」
しゅうが手を差し出してきた。
:09/03/16 09:33 :F706i :☆☆☆
#265 [あい]
しゅうの顔を見て、あたしは泣いてしまった。
全然考えてなかったのに。
あたし…全然しゅうの事忘れる事できてないじゃん。
「何泣いてんだよ!!そんな痛いのか?」
涙止まんないよー!!!
:09/03/16 09:37 :F706i :☆☆☆
#266 [ゆか]
いっきに読みました
続き待ってます。
頑張って下さい
:09/03/16 12:47 :SH903i :☆☆☆
#267 [あい]
>>266 ゆかさん
ありがとうございます
あとで更新します
:09/03/16 19:04 :F706i :☆☆☆
#268 [あい]
あたしは下を向いてた。
覗き込むように、しゅうが見てきて「大丈夫か?」って。
ドキッとした…
あたしは立ち上がり、お礼を言う。
「自転車乗って施設行ってんの?」
しゅうが聞いてきて、あたしは頷く。
「ちょっと話そ?」
あたしは横に首を振った。
:09/03/16 21:34 :F706i :☆☆☆
#269 [あい]
「いいから話すぞ。」
しゅうはあたしの自転車を押して、歩き始めた。
あたしはその後ろを、付いていった。
公園に着き、しゅうはブランコに乗る。
あたしもブランコに座る。
「元気だった?」
先に話をしてきたのは、しゅうだった。
あたしはしゅうの方を向く。
微笑むしゅう。
:09/03/16 21:44 :F706i :☆☆☆
#270 [あい]
しゅうの笑顔だ。
あたし、ニコッと笑うしゅうの笑顔大好きだった。
小さい子みたいに可愛くて。
微笑む顔も好きだった。
久しぶりだな。
「「元気だよ。しゅうは?」
「まぁまぁ。」
キーッキーッて動くブランコ。
無言が続いた…。
:09/03/17 00:18 :F706i :☆☆☆
#271 [あい]
「「もう少しで卒業だね。」」
何か言わなきゃと思い、あたしは手話を始めた。
「おう。俺、専門学校行くんだ。」
しゅうは美容師になりたいんだよね。
この事もあたし覚えてるや。
「「お母さんは?」」
「一緒に暮らしてるよ。加藤さんとも、うまくやってる。」
そっか。よかったね…しゅう…
:09/03/17 00:22 :F706i :☆☆☆
#272 [あい]
「俺、母さんと一緒に暮らせてよかったと思ってる。お前と別れたの平気って訳じゃなかったけど。本当に別れたくなかったし。でも、別れてなかったら、俺はまだ1人で暮らしてたと思う。」
あたしは、しゅうの話をちゃんと聞いた。
「元カノとより戻したのは、お前と別れてちょっとしてから。いきなり連絡きて、やり直したいって。」
この話はあんま聞きたくないな。
:09/03/17 00:29 :F706i :☆☆☆
#273 [ゆか]
頑張って(T0T)
:09/03/17 00:31 :SH903i :☆☆☆
#274 [あい]
「お前と別れてムシャクシャしてて、軽い気持ちでより戻したんだ。今想うとバカだよな。」
…………。
「でも、やり直してからまたちゃんと好きになった。お前の事も考えないようになってた。」
しゅうは、拾い持ってた枝を折った。
「何でクリスマスの日、あそこにいたの?」
ずっと下を向いて話してたしゅうが、またあたしを見る。
「何でいたの?」
:09/03/17 00:35 :F706i :☆☆☆
#275 [あい]
:09/03/17 00:36 :F706i :☆☆☆
#276 [あい]
あたしは、何て言えばいいんだろう。
しゅうの事ずっと引きずってたなんて言えない。
今しゅうには彼女がいる。
困らせたらダメだ…
2人の仲を邪魔しちゃダメだ。
「ビックリしたよ。」
しゅうが言う。
「彼女に見せてやろうと思って連れて行ったら、お前がいんだもん。」
やっぱ…あたしだけにっていう場所じゃないんだ。
本当あたしバカだ…
:09/03/17 00:43 :F706i :☆☆☆
#277 [あい]
「来んなよな。まだあいは好きなのかなって、変な期待しちまったじゃん。」
頭をかくしゅう。
恥ずかしいんだ…
「お前が俺の事振ったんだよ?嫌いになったわけじゃないのはわかってる。あいは、俺のために別れたんだよな。何で、あそこにいたの?」
真剣な顔をしてるしゅう。
黙ってたらダメだ。
あたし、言わなきゃ。
:09/03/17 13:32 :F706i :☆☆☆
#278 [あい]
「「あたしは、しゅうを振った。でもずっと引きずってた。いつもいつも、しゅうの事を考えてた。クリスマスの日、もしかしたらしゅうに会えるんじゃないかと思って…だからあたしは、あの場所に行った。会えたけど…しゅうの隣には違う子がいた。だから、あたしは考えてないようにって…忘れようって…」」
あたしは手を止めた。
ダメだ…また泣きそう。
「「何で…何で今日会っちゃうかな。」」
:09/03/17 13:37 :F706i :☆☆☆
#279 [、]
:09/03/17 14:05 :SH905i :a06byC9A
#280 [あい]
>>279 、さん
ありがとうございます
頑張ります
夜また更新します
:09/03/17 16:57 :F706i :☆☆☆
#281 [彩]
メチャぃぃ話ッ!!
応援してます(o>ω<o)
頑張って下さいね
:09/03/17 19:10 :N04A :Lon6PJc2
#282 [あい]
:09/03/17 21:44 :F706i :☆☆☆
#283 [あい]
考えてなかった分の気持ちが溢れ出てきた。
やっぱりしゅうが好き。
「「話かけないでよ。しゅうの事やっと考えないようになってたのに…。」」
嘘…
本当は、話かけてきたのがしゅうで嬉しかった。
しゅうがいきなり抱きしめてきた。
あたしは離れようとしたが、しゅうは離そうとしない。
「ちょっとだけ。」
:09/03/17 21:52 :F706i :☆☆☆
#284 [あい]
抱きしめたまま、しゅうは話始めた。
「あい…お前が言いたい事はわかってる。彼女がいるのに、こんな事するなだろ?」
そうだよ…
しゅうには彼女いるじゃん。
「でも無理。やっぱお前の事好き。」
好き…。
しゅうからまたこの言葉が聞けるなんて。
「クリスマスの日から、あいの事ばっか。彼女と前みたいに戻ってきたと思ってたのに…。」
:09/03/17 22:03 :F706i :☆☆☆
#285 [あい]
「あい…好きだよ。」
そう言い、しゅうはあたしから離れて、じっとあたしを見る。
「彼女と別れる。」
「「でも、彼女の事好きなんじゃないの?」」
さっきそう言ってたじゃん。
彼女もいきなり、納得しないと思うよ。
「好き。ちゃんとまた好きになったよ。でも仕方ねぇじゃん。俺にとってお前は存在でけぇって、わかっちまったんだから。」
:09/03/18 00:39 :F706i :☆☆☆
#286 [あい]
「連絡するな。」
そう言い、あたし達はバイバイした。
連絡する…
そう言ったけど、しゅうからの連絡はなかった。
1週間…1ヶ月…
気づけば、4月になっていた。
しゅうは高校を卒業したな。
あたしから連絡した事もあった。
でも返事はこない、電話にも出ない。
どうして?
:09/03/18 13:39 :F706i :☆☆☆
#287 [ゆか]
気になる(→o←)
:09/03/18 19:41 :SH903i :☆☆☆
#288 [彩]
:09/03/18 22:34 :N04A :djgXPQj6
#289 [ゆきな]
がんばって
ヾ(^∇^)ノ
:09/03/20 08:24 :P903iX :☆☆☆
#290 [あい]
>>287 ゆかさん
遅れてすいません
今から更新します
:09/03/20 10:55 :F706i :☆☆☆
#291 [あい]
:09/03/20 10:55 :F706i :☆☆☆
#292 [あい]
>>289 ゆきなさん
遅れてすいません
頑張りますよー
:09/03/20 10:56 :F706i :☆☆☆
#293 [あい]
どうして連絡くれないの?
好きって言ったじゃん。
彼女とは別れるって。
まだ別れてないの?
あたしはずっと待っていた。
連絡きたら、やり直せたら今度こそ離さないって決めてたんだ。
でも、現実はそう甘くなかった。
しゅうを見たのは、休みの日だった。
:09/03/20 11:02 :F706i :☆☆☆
#294 [あい]
あたしは、しゅうの家に行こうとしていた。
何でもっと早く行かなかったんだろう。
そう思うけど、あの時は行くのが何故か恐くて、なかなかその行動ができなかった。
久しぶりに、この道を歩くな。
付き合っていた時は、何回も歩いてたな。
そう思っていた。
横を見た時、向かい側の歩道に見た事があるような、女の人が歩いていた。
:09/03/20 11:10 :F706i :☆☆☆
#295 [葵]
:09/03/21 04:37 :SH906i :NJcnj.j.
#296 [あい]
あれ…?
あの子クリスマスに見た子だ。
しゅうの彼女だ。
もう別れたのかな?
何かクリスマスに見た時より痩せた感じがした。
よく見てみれば、様子がおかしかった。
ボーっとしているのか、力が抜けた感じで歩いている。
今にも倒れちゃいそうな…
その時だった。
「さやか!!」
:09/03/22 01:15 :F706i :☆☆☆
#297 [あい]
声のする方を見ると、走ってくるしゅう。
彼女は振り向き、しゅうが手を引っ張っている。
嫌がって動かない彼女。
あたしは…それを見ていた。
2人は、あたしに気づいていない。
2人の会話は聞こえない。
でも言い合ったような感じ。
彼女は…泣いていた。
しゅう…あたしここにいるんだけど。
気づいてよ。
:09/03/22 01:17 :F706i :☆☆☆
#298 [ゆか]
頑張って(ToT)
:09/03/22 01:19 :SH903i :☆☆☆
#299 [あい]
別れてないの?
どうして一緒にいるの?
あたしに連絡くれなかった理由は、これ?
またあたしは1人で期待してたのかな…。
しゅう…あたしに気づいてよ。
「しゅ…う。しゅう!!」
あたしはしゅうを呼んだ。
そう、耳が聞こえるようになり、初めてあたしは声を出した。
しゅうって…
:09/03/22 01:22 :F706i :☆☆☆
#300 [あい]
:09/03/22 01:23 :F706i :☆☆☆
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