言葉
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#140 [あい]
しゅうは毎日文化祭の準備で大忙し。
クラスの代表者になり、仕事がいっぱいらしい。
「「俺らのクラス、焼きそばなんだぜ。格好かっこいいから、絶対来いよな。あいには特別うまいもん食わしてやるから。」」
すごく嬉しそうに言うしゅう。
文化祭だもんね。
気合いも入るよね。
「「あとダンスもやるからよ。13時から。それも絶対見に来い。」」
しゅうはHIPHOPをやっていて、学校で組んでるグループで披露するらしい。
あたしもすごく楽しみだった。
:09/02/25 07:51 :F706i :☆☆☆
#141 [あい]
「「あいちゃん、久しぶり。」」
文化祭で会ったのは、しゅうの友達こうすけだった。
「「何で手話?」」
あたしがこうすけに聞いたら、笑いながらこうすけはしゅうの方を見た。
「「あいと話すために、こいつにも手話ちょっと教えてたんだ。」」
そっか。しゅう、そんな事もしてくれてたんだ。
:09/02/25 07:58 :F706i :☆☆☆
#142 [あい]
「「その子彼女?」」
こうすけの隣にいる女の子。
こうすけは頷いた。
「初めまして。かなです。」
これがあたしとかなの出会い。
あたしはかなと、文化祭を回る事に。
かなは手話が出来ないから、あたしはノートに。
かなは携帯のメール作成で返事を返す。
【こうすけのクラス、もう行ってみようよ。】
あたしとかなは、しゅうとこうすけのクラスに行った。
:09/02/25 09:46 :F706i :☆☆☆
#143 [あい]
しゅうのクラスの焼きそばは、すごく行列ができていた。
かなと並び、やっとあたし達。
しゅうがあたしに気付いた。
「「テントの中入れよ。」」
あたしとかなはテントの中に入った。
しゅうがあたしの所に来て、焼きそばをくれた。
「「これ俺が作ったやつ。うまいぞ。」」
「「おいしい!」」
「「本当?よかったー」」
:09/02/25 21:15 :F706i :☆☆☆
#144 [あい]
「「こいつ、あいちゃんに褒めてもらうために、超練習してんの。」」
こうすけが言う。
頭をかきながら、
「てめぇ、言うなよ。」
ってしゅうはこうすけに言ってた。
料理全然できないって言ってたもんね。
あたしには特別おいしい物食べさせてくれるって、言ってたもんね。
だから練習してくれてたんだ。
しゅうのそうゆう所大好きだよ。
あたしのために、すごい努力してくれるとこ。
本当嬉しいんだから。
:09/02/25 21:21 :F706i :☆☆☆
#145 [あい]
もうすぐで13時。
しゅうのダンスの時間が迫る。
しゅうは仕事を止め、あたしを引っ張って走り出した。
着いたのは、舞台裏。
衣装に着替えると、しゅうは仲間と行ってしまい、あたしは1人で待つ。
着替えが終わったしゅう。
「「まじ緊張してる。」」
そう言って、あたしの手を握ってきた。
あたしは口パクで、「頑張って」と言った。
そしたらしゅうは、顔を近づけてきて、キスしようとしてきた。
:09/02/25 23:56 :F706i :☆☆☆
#146 [あい]
あたしは軽くしゅうのほっぺを叩いた。
あたしが後ろに指を指し、しゅうも後ろを向く。
メンバーのみんなが見ていた。
笑いながら、
「「ごめんな。」」
そろそろスタンバイする頃だろう。
あたしも舞台裏から、見える所に移動しようと思っていた時だった。
「「お願いがあるんだけど…。」」
しゅうが言ってきた。
:09/02/26 00:00 :F706i :☆☆☆
#147 [あい]
「「途中で俺のソロがあるんだけど、失敗しなかったら、何かご褒美ちょうだい。」」
「「何?」」
「「ちゅ〜。しかもあいから。」」
大好きな笑顔で言うしゅう。
普段は口悪いし、態度でかいけど、たま〜に可愛い事言ったりしてくるんだよね。
「「失敗しなかったらね。」」
あたしがそう言うと、しゅう達の番がきたのか、しゅうは舞台の方に走って行った。
あたしも急いで舞台裏から移動した。
:09/02/26 21:42 :F706i :☆☆☆
#148 [あい]
1番前にこうすけとかながいて、あたしは2人の所に行き、しゅう達のダンスを見た。
練習は見に来るなって言うから、この時初めてだった。しゅうのダンスを見るのは。
他のメンバーも踊ってたけど、あたしはしゅうにばっか目がいってた。
しゅうが頭に付けてたバンダナを取り、あたしに投げてきた。
それから、しゅうが言ってたソロが始まった。
最初は順調だった。
でも動きがどんどん早くなってきた時、しゅうが転倒した。
:09/02/26 21:58 :F706i :☆☆☆
#149 [あい]
しゅうは悔しそうな顔をし、すぐに立って続きを踊った。
ダンスが終わり、あたしはしゅうの所に行った。
するとしゅうとグループの人達は、いろんな人達と写真を撮っていた。
あたしは少し待ち、しゅうがあたしの所に来た。
「「お疲れさま。」」
あたしが言うと、しゅうはあたしの手を握り、歩き出した。
歩き、着いたのは3年教室。
「「いいの?入って。」」
「「3年は全クラス外で店出してるから平気。」」
:09/02/26 22:32 :F706i :☆☆☆
#150 [あい]
あたしは席に座った。
「「焼きそばうまかった?」」
「「すごいおいしかった。」」
しゅうは頭を撫でてくれた。
「「ソロ失敗しちゃった。あそこ、いつも失敗してたとこなんだ。」」
あれ?もしかして、しゅう落ちてる?
それはそうだよね…。
会う時間削ってまで練習したのにね。
「「でも、すごかったよダンス。かっこよかった。」」
:09/02/27 00:01 :F706i :☆☆☆
#151 [あい]
下を向いてたしゅうが上目使いであたしを見る。
……可愛い〜!!!笑
「「でもさ、ご褒美ないな。」」
さっき言ってたやつか。
しゅうの携帯がなったのかな?
しゅうは携帯を取り、誰かと話してる。
「「こうすけだ。店手伝えって。かなもいるから、行くか。」」
今しかないよね。
:09/02/27 00:04 :F706i :☆☆☆
#152 [あい]
しゅうが立とうとした時、あたしはしゅうにキスをした。
しゅうはかなり驚いた表情。
「「ご褒美。」」
あたしはしゅうに言った。
あたしからキスをするのは初めての事。
すごい恥ずかしかった。
「「何のご褒美?俺、ソロ間違えたけど。」」
「「頑張ったご褒美。失敗しちゃったけど、ダンスしてるしゅう、本当かっこよかった。」」
しゅうは嬉しそうに笑ってた。
「バカか。」って言いながら。
:09/02/27 00:19 :F706i :☆☆☆
#153 [あい]
文化祭は無事終わり、後夜祭は出ないで、しゅうとこうすけとかなでご飯を食べに行った。
かなとは文化祭の1日ですごく仲良くなって、遊ぶ約束なんかもした。
2人と別れ、あたしはしゅうの家に行った。
その日はしゅうの家に初お泊まり。
何回か遊びに行った事があったけど、その時しゅうのお母さんに会った事はなかった。
でもその日は、しゅうの家、電気付いてた。
「「親いるかも。」」
ちょっと恐い顔をしたしゅう。
あたし達は家の中に入った。
:09/02/27 00:27 :F706i :☆☆☆
#154 [あい]
リビングに入ると、煙草を吸う女の人。
しゅうのお母さんだろう。
机には封筒が。
中はお金だろう。
遊びに来た時も同じような封筒が置いてあり、中はお金だった。
「誰その子。」
しゅうのお母さんがあたしを見て言う。
しゅうは話し返す。
でも何を言ってるかはわからない。
しゅうが口を動かせば、あたしはしゅうを見る。
しゅうのお母さんが口を動かせば、あたしはお母さんを見る。
:09/02/27 00:40 :F706i :☆☆☆
#155 [あい]
しゅうのお母さんと目が合い、あたしは頭を下げた。
「耳聞こえないの?」
あたしは頷いた。
またしゅうと話し出すお母さん。
そして、封筒をしゅうに渡し、家を出ていった。
「「ごめん。何か変な雰囲気にしちまったな。」」
あたしは首を振る。
「「お母さん、何て?」」
あたしはしゅうに聞いた。
「「適当にやりなさいだってよ。」」
:09/02/27 16:06 :F706i :☆☆☆
#156 [あい]
「「お母さんは男の人の所に行ったの?」」
しゅうはあたしと目を合わせないで頷いた。
「「また金渡しにくるから大丈夫。自分の事は自分でできるし。」」
しゅうは笑って言ってたけど、作り笑いってわかった。
わかりすぎて、胸が痛いよ。
あたし達はしゅうの部屋に移動した。
一緒に撮った写真が壁に貼ってあり、あたしはそれを見てた。
:09/02/27 16:12 :F706i :☆☆☆
#157 [あい]
「「この変顔やばいよな。」」
しゅうも一緒に見て、言ってきた。
「「これからもいっぱい写真撮ろうね。しゅうともっと、もっと思い出いっぱい作りたい。」」
あたしがそう言うと、しゅうはキスしてきた。
ベッドに倒され、続くキス。
しゅうは
「怖い?」って聞いてきた。
正直怖かった。
初めてだし。
:09/02/27 21:12 :F706i :☆☆☆
#158 [あい]
でもしゅうだから大丈夫。
あたしは首を振った。
「「優しくするから。」」
しゅうはあたしを優しく抱きしめてくれた。
痛い。でも幸せだった。
あたしは自然と涙も出た。
この時初めてしゅうと一つになった。
「「あたし変な声出してなかった?」」
隣にいるしゅうに聞く。
「「出してないよ。」」
:09/02/27 21:18 :F706i :☆☆☆
#159 [あい]
頭を撫でるしゅう。
あたしはいつの間にか眠っていた。
目が覚めた時、部屋は真っ暗だった。
しゅうが消したのか。
あれ?隣にいたしゅうがいない。
あたしは起き上がり、部屋の電気を付けた。
やっぱりいない。
夜中だった。
ちょっとした時だった。
部屋に入ってきたしゅう。
頭にはタオル。お風呂入ってたのか〜。
:09/02/27 22:49 :F706i :☆☆☆
#160 [あい]
あたしもお風呂に入り、また部屋に戻った。
「「髪乾かしてやるよ。」」
しゅうがあたしの髪を乾かしてる間、あたしはずっとしゅうの事を見てた。
あたししゅうと付き合ってるんだな〜
たまたま道でぶつかって、たまたま再会して
仲良くなって、嘘もつかれた。
言い合いもしたし、笑いあったりもした。
しゅうからの告白で付き合い、それからもいろいろあった。
:09/02/28 01:13 :F706i :☆☆☆
#161 [あい]
しゅうは沢山苦労してると思う。
あたしは耳が聞こえないから、こんな付き合い初めてだろうし。
手話での会話。
周りが気になった時もあった。
でも気にしないで堂々といれるのも、しゅうのおかげ。
あたしはいろんなしゅうを見るたびに、どんどん惹かれていった。
この幸せずっとって思ってた。
あたしは全然思っていなかった。
しゅうが離れるという事。
:09/02/28 01:23 :F706i :☆☆☆
#162 [あい]
しゅうが離れるという事…
いや、しゅうを離してしまう事を…。
全然思ってなかった。
:09/02/28 01:47 :F706i :☆☆☆
#163 [あい]
季節はあっという間に冬。
その日はたくみとしゅうの家に行く日だった。
たくみは1人でも、遊びに行く事がある。
そして2人でゲームしたり、買い物なんかも一緒に行くぐらい仲よくなって。
お兄ちゃんと弟って感じだったな。
合い鍵を渡されてたから、あたしは鍵を開け中に入った。
玄関には、ブーツと大きな靴。
:09/02/28 01:58 :F706i :☆☆☆
#164 [あい]
リビングにいたのは、しゅうとしゅうのお母さん。
と、知らない男の人。
あたしとたくみに気付き、しゅうがあたしの所に来た。
「「ごめん。いきなり母さん来てさ。連絡すればよかったな。」」
「「帰るよ。」」
あたしがそう言うと、しゅうがお母さんの方を向く。
何かしゅうに言ったんだろう。
あたしはたくみを見る。
「「待ってだってよ。」」
:09/02/28 20:40 :F706i :☆☆☆
#165 [あい]
お母さんがあたしの所に来た。
紙を渡してきた。
そこには【しゅうと別れて】と書いてあった。
しゅうがその紙をあたしから奪い、見る。
お母さんに何か言ってる。
怒鳴ってる感じだった。
あたしは話がよく掴めなくて、ただ立ったままだった。
たくみに腕を掴まれ
「今日は帰ろう。」
そう言われ、そのまま玄関に引っ張られた。
:09/02/28 20:44 :F706i :☆☆☆
#166 [あい]
【しゅうと別れて】
しゅうのお母さんから言われた事。
あたしはたくみの後ろを、ゆっくり歩いていた。
すると手を掴まれ、振り向いたらしゅうがいた。
それを見たたくみは1人で帰っていった。
「「母さんと男の人帰ったから、来いよ。」」
あたしはしゅうの手を握り、家に向かった。
:09/03/01 02:00 :F706i :☆☆☆
#167 [あい]
テーブルの上には、あの紙が。
それを見たしゅうはぐしゃぐしゃにして、ゴミ箱に捨てた。
「「気にすんなよ。母さんが言った事なんて。」」
「「気にしちゃうに決まってんじゃん。」」
しゅうは困ったような顔をする。
テーブルには封筒。
またお金置いていったんだ。
「「あの2人、結婚すんだと。」」
しゅうからの言葉は、とても悲しい事だった。
:09/03/01 02:06 :F706i :☆☆☆
#168 [あい]
しゅうのお父さんと離婚した後、新しい男ができ、家にずっと帰ってなかった。
しゅうは渡されるお金だけでずっと1人だった。
結婚したら2人はこの家に戻ってくるらしい。
2人で住むには丁度いい広さだから。
そのかわり、しゅうは別のアパートを借り、1人暮らしをしろと言われたらしい。
家賃も生活費も払うからと。
そんな……。
何か勝手すぎるよ。
しゅうは家から追い出される。
:09/03/01 02:13 :F706i :☆☆☆
#169 [あい]
「「参ったよな。てか追い出すなら、家賃とか生活費とかいいし。離すなら、親やんないでほしい…。生活費俺じゃまだ稼げねぇし、ないと困るけどさ。でも離すならって…感じ。」」
しゅうを抱きしめたかった。
「「俺、この家しかなかったのに。ずっと母さんの事待ってたのに。いつ帰ってきてもいいように、待ってたのに…。」」
そう言ってしゅうは涙を流した。
しゅうが泣くとこなんて、初めてだ。
あたしはしゅうを抱きしめた。
:09/03/01 12:57 :F706i :☆☆☆
#170 [あい]
あたしはしゅうが泣き止むまで、ずっと抱きしめた。
しゅうは長い間泣いていた。
泣き止んだ時、しゅうの目は真っ赤だった。
1人で泣いてた事もあったのかな?
「「大丈夫?」」
しゅうは微笑んで頷いた。
「「もうこうなったら、仕方ねぇよ。俺、新しいアパートで暮らすよ。」」
そう…しゅうは言った。
:09/03/01 13:02 :F706i :☆☆☆
#171 [あい]
「「3人で暮らす事はできないの?」」
あたしはしゅうに聞いた。
「「できねぇよ。加藤さんは、俺の事嫌ってるしよ。俺も嫌だし。」」
でも…1人は寂しいよ。
「「それに俺もう高2だし、1人慣れてるし。」」
1人は寂しいよ…
しゅう、無理に笑わないでよ。
:09/03/02 00:50 :F706i :☆☆☆
#172 [あい]
「「もう高2って…。まだ高2だよ!!慣れてるって、嘘つかないでよ。」」
「「嘘なんかついてねぇよ。」」
「「じゃあ何で悲しい顔するの?無理して笑うの?1人は寂しいに決まってるよ。」」
するとしゅうは、あたしをその場で倒してきた。
手を動かさないよう、力強く抑えるしゅう。
「何も言うな。」
しゅうがそう言った。
わかるよう、ゆっくり喋るしゅう。
:09/03/02 00:55 :F706i :☆☆☆
#173 [あい]
「どうしようもない事だってあんだよ。お前に何がわかんだよ。」
手が痛い。
初めてかもしれない。
こんなしゅうを見たのは。
口は悪いけど、優しいしゅう。
今のしゅうは…恐いよ。
「お前んちと俺んちは違うんだよ。無理して笑ってなきゃなんねぇんだよ。」
そう言うと、突然キスしてきたしゅう。
いつもとは違う。
苦しいよ…。
:09/03/02 01:05 :F706i :☆☆☆
#174 [あい]
服に手が入り、あたしは抵抗した。
嫌だっ。
いつものしゅうじゃない。
あたしは泣き出してしまった。
しゅうは手を止め、あたしを起こした。
優しく抱きしめてきた。
涙が止まらず、泣き続けた。
手話をしていない。
聞こえない。
でも、ごめんってしゅうが言ってる気がした。
:09/03/02 01:11 :F706i :☆☆☆
#175 [あい]
しゅうが泣いたり、あたしが泣いたり、忙しい2人だよね。
あたしが泣き止み、しゅうが手話を始めた。
「「嫌だったよな?」」
あたしは下を向いた。
「「ちょっと恐かったよ。」」
しゅうはごめんって…。
「「俺、最低だな。あいが嫌がる事して。しかも恐がるような事。家族の事でムシャクシャしてるからって…本当ごめん。」」
あたしは首を振る。
:09/03/02 01:20 :F706i :☆☆☆
#176 [あい]
「「こうなったからには、本当もう仕方ないんだ。正直、やっぱ1人はきついし寂しいよ。でも、仕方ないんだって。だから、わかって?」」
しゅうはそう言った。
お母さんに自分の気持ち言わないで、暮らすって覚悟してるんだ。
あたしは、わからなかった。
離婚…再婚…
そんな事家にはなかったから。
しゅうがお母さんに気持ち言えば、一緒に暮らせるんじゃないか。
そう思ってた。
でも違うんだね。
:09/03/02 01:35 :F706i :☆☆☆
#177 [あい]
しゅうのお母さんは、一緒に暮らす事を望んでない。
一緒に暮らしたいと望んでるのは、再婚相手。
しゅうがいくら言っても、わかってくれないかもしれない。
そうしゅうは、思ってたんだよね。
だから、苦しい想いして悩んで悩んで出した結果なんだよね。
離れて暮らすって。
:09/03/02 01:39 :F706i :☆☆☆
#178 [あい]
またクリスマスが近づいてきた。
その日、仕事が終わり、しゅうと会う約束をしていたから、急いで待ち合わせ場所に向かおうとしていた。
施設を出て、歩いている時だった。
あたしは足を止めた。
前にいたのは、しゅうのお母さんだった。
「どうも。しゅうから、あなたの事いろいろ聞いて、会いに来ました。言ってる事わかる?」
あたしは頷いた。
なんだろう…
まさか会いにくるなんて。
思ってもなかった。
:09/03/02 01:50 :F706i :☆☆☆
#179 [あい]
ポケットに入ってる携帯がブーッブーッと鳴っている。
あたしは携帯を見た。
【仕事終わった?】
しゅうからのメールだった。
あたしはお母さんを見る。
すると「しゅう?」って聞いてきた。
あたしから携帯を取り、電源を切る。
「しゅうが来たら、うるさいから。」
そう言い、あたしに携帯を返してきた。
:09/03/02 01:54 :F706i :☆☆☆
#180 [あい]
「話したいの。」
しゅうのとこ行かなきゃ。
でも話って…何?
ベンチに座り、煙草に火を付けるしゅうのお母さん。
【あの、しゅうにメールしていいですか?一緒にいる事は言わないんで。今日会う約束してるんです。】
あたしはノートを見せる。
「どうぞ。」
あたしは携帯を開いた。
:09/03/02 11:50 :F706i :☆☆☆
#181 [あい]
電源を付け、しゅうにメールを打つ。
【ごめん。仕事長引きそうだから、家で待ってて。】
何?
あたし何でこんな手震えてんの?
しゅうにメールを送り、お母さんの方を向く。
「あなた凄いわね。耳聞こえないのに仕事して。しゅうと同い年でしょ?若いのに、あたしより偉いわ。」
あたしはじっと口の動きを見る。
:09/03/02 12:20 :F706i :☆☆☆
#182 [!]
続けて
:09/03/02 18:16 :F902iS :☆☆☆
#183 [あい]
:09/03/02 19:59 :F706i :☆☆☆
#184 [あい]
「しゅうは何で、あなたの事好きになったんだろうね?」
ちょっと笑った表情。
【何でそんな事思うんですか?】
あたしはノートに書いた。
吸ってた煙草を地面に捨て、ブーツで消すしゅうのお母さん。
「だって、しゅうが前付き合ってた子は耳聞こえたから。」
しゅうの元カノ。
1年半付き合ってた子だ。
:09/03/02 20:04 :F706i :☆☆☆
#185 [あい]
「あたしが家行くと、その子絶対いてね。住みついてるの?って思った。」
…………。
「あたしんちなのに。勝手な事してくれるわ。」
あたしは、えっ?って思った。
何でそう思うかな。
「「全然帰ってないのに、あたしんち?」」
あたしは手話で言ってしまった。
戸惑った顔をするから、間違えた事に気づき、ノートに書いた。
【全然帰ってないのに、あたしんちですか?】って。
:09/03/02 20:32 :F706i :☆☆☆
#186 [あい]
「はい?」
そう言われ、あたしはまたノートに書いた。
【お金渡す時しか帰ってきてないのに、あたしんちって。しゅうはずっと1人だったんですよ?】
あたしは顔を見た。
ノートを見て笑うお母さん。
「1人じゃないよ。彼女がいたもん。」
【彼女は家族じゃないです。しゅうはお母さんがいなくて、寂しかったはずです。】
しゅうは泣いてたから。
あたしはわかる。
:09/03/02 20:43 :F706i :☆☆☆
#187 [あい]
「ずっと1人だったから、慣れてるから平気だよ。これからも。」
本当にそんな事思ってんの?
ノートに書くのも嫌だ。
話せたら…耳が聞こえれば…
あたしはそう思った。
【慣れるわけないですよ。しゅうは、お母さんの子なんですよ?男だからって、高校生だからって、家族が離れ離れは辛すぎますよ。これ以上、しゅうに辛い想いさせないで下さい。】
早く書いたから、字ぐちゃぐちゃだった。
:09/03/02 20:52 :F706i :☆☆☆
#188 [あい]
ノートを見て笑うお母さん。
あたしの前に立ち、顔を近づけてきた。
「結構言う子だね。」
ブーッ…
鳴っている携帯が気になる。
「あたしはね、新しい生活のためにしゅうを手放すの。子には変わりない。でも一緒には住まない。」
そう言い、帰ってしまった。
あたしはちょっとの間その場にいて、しゅうの家に向かった。
:09/03/02 22:37 :F706i :☆☆☆
#189 [あい]
新しい生活のために、しゅうを手放す。
あたしは泣きそうになりながら、しゅうの家まで歩いた。
家の前には、しゅうが座っていた。
あたしに気付き、歩いてくるしゅう。
「「何やってんの?」」
「「遅いからさ。待ってた。」」
手を握ると、すごく冷たい。
:09/03/02 22:40 :F706i :☆☆☆
#190 [あい]
家で待っててって言ったのに。
もしかして、ずっと外にいたの?
あたしは耐えきれず、泣いてしまった。
何も知らないしゅうは、驚くはず。
何をどうしたらいいのか、わかんなかっただろうな。
「「ごめんね。本当ごめん。」」
「「どうしたんだよ?」」
家に入り、しゅうはココアを出してくれた。
:09/03/02 22:44 :F706i :☆☆☆
#191 [あい]
「「母さん来たの?」」
あたしは頷いた。
「「前の彼女は耳が聞こえた。何でしゅうは、あたしを好きになったんだろうって。」」
しゅうはあたしの頭を撫でた。
あの事は言えなかった。
生活のために、しゅうを手放す事。
それは絶対言わない…
「「母さんが言ってた事は気にすんなよ。言ったろ?俺は、耳が聞こえないお前を珍しいと思って好きになったんじゃないって。」」
:09/03/02 22:51 :F706i :☆☆☆
#192 [かおたん]
:09/03/02 23:39 :SH903i :SP5e9SLE
#193 [あい]
>>192 かおたんさん
ありがとうございます
またあとで更新します☆
:09/03/03 00:30 :F706i :☆☆☆
#194 [あい]
帰る時、あたしは段ボールに気付いた。
「「引っ越しの?」」
「「うん。明後日には引っ越すんだ。」」
明後日か。
明後日からお母さんと再婚相手が、ここに住む。
「「しゅう、何か困った事とかあったら言ってね?」」
「「別に大丈夫だよ。料理結構得意だし、洗濯物とか1人分だし楽だよ。」」
ニコッと笑うしゅう。
「「1人でいたくない時とか…呼んでいいんだからね?あたし、行くからね?」」
:09/03/03 07:50 :F706i :☆☆☆
#195 [あい]
「「ありがとう。」」
クリスマス。
夜、しゅうの家に行った。
しゅうと過ごす2回目のクリスマス。
もうすぐ付き合って1年にもなる。
慣れない料理。
あたしは料理がちょっと苦手。
でもしゅうにどうしても作りたくて…。
パンっとしゅうに頭を叩かれた。
「「バカっ!!それはこうだよ。」」
:09/03/03 11:38 :F706i :☆☆☆
#196 [あい]
しゅうに怒られ、怒られ料理をした。
「「あとは俺がやるよ。」」
「「でも…」」
えぇー!?あたしが作ろうと思ったのにー!!
「「料理作ってる俺の姿、やべーよ。惚れ直すなよ。」」
バカみたいな事を言うしゅう。
冗談だよって、後から言ったけど、あたしはもうガン見だった。
あたしとは全然違う。
手際よく、ちゃくちゃくと料理をするしゅう。
……かっこいい。
:09/03/03 11:43 :F706i :☆☆☆
#197 [あい]
食べてみたら、めちゃくちゃおいしいし。
「「あたしも料理うまくなりたいよ〜。」」
「「そんなんだったら、俺が教えてやるよ。」」
そんな話をしながら、あたし達は完食。
次はお楽しみのケーキだ。
しゅうと一緒に買ってきた、イチゴいっぱいのったケーキ。
切ろうとするしゅうの手を止めた。
「「このチョコ、食べたいから切んないで。」」
Merry Christmasと書いてあるチョコ。
それを、あたしはどうしても食べたかった。
:09/03/03 22:17 :F706i :☆☆☆
#198 [!]
読んでるからねぃ
:09/03/04 08:42 :F902iS :☆☆☆
#199 [ぐみ]
続き気になる
:09/03/04 08:44 :F904i :3AiVl0H2
#200 [あい]
>>198 !さん
また書き込みくれた
ありがとうございます
:09/03/04 11:18 :F706i :☆☆☆
#201 [あい]
:09/03/04 11:19 :F706i :☆☆☆
#202 [あい]
チョコをあたしにくれて、しゅうはケーキを切った。
あたしは物凄くワクワクしていて、ケーキをずっと見ていた。
「「いただきます。」」
さっき料理をあんなに食べたのに、まだ入る。
さすが別腹。
チョコも1人で食べてしまった。
「「俺にも少し残しとけよ。」」
しゅうに怒られ、…ちょっと失敗したな〜。笑
しゅうがいきなり顔を近づけてきた。
えっ…?何?
:09/03/04 11:23 :F706i :☆☆☆
#203 [あい]
口に生クリームが付いてたみたいで、指で取ってくれたしゅう。
そのままペロンと舐めるしゅう。
「「お前、興奮しすぎ。ケーキぐらいでバカかっ。」」
「「だって、クリスマス大好きだもん。ケーキおいしいし。」」
微笑むしゅう。
「お前、そうゆう餓鬼っぽいとこかわいいよな。」
そう言ったしゅう。
あたしは恥ずかしくなって、下を向く。
頭を撫でてきて、あたしはしゅうに抱きついた。
:09/03/04 11:29 :F706i :☆☆☆
#204 [あい]
最高のクリスマスだった。
元旦、1年記念日。
しゅうは家に泊まって、あたしと、あたしの家族みんなと過ごした。
しゅうは冬休み。
冬休みはほとんど家に泊まっていた。
本当毎日が幸せだった。
本当にうまくいってたんだよ?
あたしは仕事。しゅうは学校始まり、あたしのいつもの生活が始まった。
その日はしゅうと会う約束もしてなくて、仕事が終わったらまっすぐ家に帰った。
:09/03/04 22:44 :F706i :☆☆☆
#205 [あい]
「「あい、話があるの。」」
家に着いて、そう言ってきたのはママだった。
あたしは部屋に行き、着替えてリビングに行く。
たくみもいて、椅子に座っている。
何か変な雰囲気。
そんな事を思いながら、あたしも椅子に座る。
「「パパが帰ってきたらにしようと思ったけど、早い方がいいから。」」
ママが手話を始める。
机には、何かの資料みたいな物が置いてある。
「「あい、耳の手術しない?」」
手術…?
:09/03/04 22:50 :F706i :☆☆☆
#206 [あい]
突然の話。
「「何で急に?」」
あたしはママに聞く。
するとママは資料を開いて、あたしの前に差し出してきた。
「「ここの先生といろいろ話してね。あいの耳はね、手術すれば聞こえるようになるみたい。」」
ちょっと待って…。
「「ハッキリではないけど、聞こえないよりはいいでしょ。もう17歳だし、手術受けても平気だって。小さい時は無理だったけど。」」
そんな急に言われても。
手術って…。
:09/03/05 01:44 :F706i :☆☆☆
#207 [あい]
「「聞こえるようになるのは絶対なの?」」
横のたくみがママに聞く。
「「あたし達みたいにハッキリではないよ。でも聞こえるようになるのは確かだって。今よりも全然生活しやすいと思うをだけど…。」」
ママがあたしを見る。
そりゃあ、聞こえないよりは聞こえる方がいい。
でもあたしは、ちょっと恐かった。
手術だもん。
不安は持つ。
「「お前迷ってんの?」」
たくみがあたしに聞く。
:09/03/05 01:50 :F706i :☆☆☆
#208 [あい]
「「聞こえないままの可能性もあるって言うならわかるけど、聞こえるようになるのは確かなんだよ?悩む必要なくね?」」
たくみはあたしに言う。
しゅうもそう言うんだろうな。
しゅうとたくみは、口悪い所が似てる。
何か、しゅうに言われてるみたいだった。
「「あたしも、聞こえるようになりたいよ。でもちょっと恐いよ。」」
「バカじゃねぇの。そんな事言ってたら、何も出来ねぇじゃねぇかよ。」
手話をしないで言ってくるたくみ。
:09/03/05 02:11 :F706i :☆☆☆
#209 [あい]
あたしはたくみを睨む。
「「手術するのは、あんたじゃない。あたしなの。恐いに決まってんでしょ!!」」
あたしはそのまま、部屋に行った。
恐がって…まるで子供だ。
夜、しゅうが家に来た。
パパも帰ってきて、5人で話す事に。
たくみはイライラした様子で座っていた。
「「手術の事、お母さんに聞いたよ。どうすんの?」」
しゅうが言う。
「「ビビってんだよ、こいつ。餓鬼かよ。」」
たくみも手話をする。
:09/03/05 02:17 :F706i :☆☆☆
#210 [あい]
「「そんな事言うなよ。普通ビビるって。」」
しゅうがたくみに言う。
あたしは何も言えず、しゅうとたくみの手話を見ていた。
「「だって聞こえるようになるんだよ?何をビビるの?」」
「「聞こえるようになる事はわかってるよ。あいはちゃんと。でも手術って言葉だけでも、不安は持つって。お前にはわかんねぇ事だけどさ。」」
「「じゃあ、しゅう君にはわかんのかよ。」」
:09/03/06 13:27 :F706i :☆☆☆
#211 [あい]
そうたくみが言うと、しゅうはあたしを見る。
「「わかんないけどさ、あいの顔見たら、不安なのかな?って思うよ。」」
しゅう…。
あたしは決めた。
「「手術する。」」
聞こえるようになるならやる。
「「そう。大丈夫。みんな付いてるから。」」
ママがそう言ったあと、たくみの背中を叩いた。
「「仲直りしなさい。」」
:09/03/06 20:28 :F706i :☆☆☆
#212 [あい]
「「ごめんな。言い過ぎた。」」
目はあたしに向いてなかったけど、たくみは謝ってきてくれた。
「「手術の日は、俺も病院行くからな。」」
大好きな笑顔で言うしゅう。
家族がいるのにも関わらず、あたしはしゅうに抱きついた。
手術は6月。
すぐではなかった。
4月。
しゅうは3年生になった。
:09/03/06 20:34 :F706i :☆☆☆
#213 [ゆきな]
待ってました
!
いい家族ですね
更新がんばって(^-^)v
:09/03/06 21:33 :P903iX :☆☆☆
#214 [あい]
>>213 ゆきなさん
待ってたとか嬉しい
ありがとうございます
今からまた更新します
:09/03/07 01:52 :F706i :☆☆☆
#215 [あい]
しゅうの夢は美容師。
3年生になると進路の事でいっぱい。
しゅうは、専門学校に行く予定だった。
あたしは変わらず施設で仕事をしていた。
5月になり、手術1ヶ月前。
この5月だった。
あたしがしゅうから離れていったのは。
休みの事だった。
あたしはしゅうの家に遊びに行った。
もうすぐで着くって時に、しゅうからメールがきた。
【母さん来たんだけど、もう着いちゃう?】
:09/03/07 01:59 :F706i :☆☆☆
#216 [あい]
どうしよう。
もう目の前だよ…。
【まだ着かないよ。】
あたしは嘘をついた。
何か話でもあんのかな?
あたしは、どこかで時間を潰そうと思ってた時、しゅうが家から出てきた。
あたしの所に来た。
「「いるじゃん。嘘付かなくていいのに。入れよ。」」
「「お母さんと話してるんじゃないの?」」
しゅうは微笑んで言った。
「いい話。」
あたし達は家に入った。
:09/03/07 02:04 :F706i :☆☆☆
#217 [あい]
しゅうのお母さんが座っている。
「「いい話って何?」」
「「母さんが、一緒に暮らさないかって。」」
何で突然そう言ってきたのかはわからない。
でも再婚相手の人もそう言ってるみたいで、それを伝えに来たらしい。
新しい生活のために手放す。
そうしゅうのお母さんは言ってたのに、やっぱ一緒に暮らしたいんだね。
あたしはそう思っていた。
嬉しそうに説明をしてるしゅう。
:09/03/07 02:22 :F706i :☆☆☆
#218 [あい]
何かしゅう、可愛いな。
あんなに1人で大丈夫とか、強がってた事言ってたのに。
嬉しいに決まってるよ。
お母さんを見た時、紙に何か書いている。
その時、あたしの中で嫌な事を思い出していた。
【しゅうと別れて】
前に書かれた事がある。
そして渡された。
嫌な予感がした。
紙を渡された時、あたしはショックだった。
:09/03/07 02:34 :F706i :☆☆☆
#219 [あい]
【しゅうと別れてください。】
またこの言葉だった。
あたしは紙を見たあと、しゅうのお母さんを見た。
「いい?」
しゅうのお母さんが聞いてきた。
「「おい、何だよそれ!」」
しゅうが言う。
「しゅうは、受験生になったの。負担になりたくないでしょ?」
「「別にあいは負担になんかなってねぇよ。」」
あたしは泣きそうになった。
:09/03/08 12:36 :F706i :☆☆☆
#220 [あい]
「あんた、耳が聞こえない子とずっと付き合う気?大変よ。あたしだって、耳聞こえない子と接するのは難しいし、上手くもやっていけない。」
お母さんの口の動きを見るのが辛かった。
「別れないなら、一緒に住むのも無しね。」
「「何だよそれ。じゃあ住む話は無しでいいよ。あいと別れるのはやだ。」」
あたしはしゅうを見た。
「「何言ってんの。それはダメだよ。」」
あたしはしゅうに言う。
:09/03/08 12:41 :F706i :☆☆☆
#221 [あい]
「「しゅうはずっと1人で辛い想いいっぱいしたじゃん。お母さんから住もうって言われたんでしょ?ずっと望んでた事じゃないの?」」
「「でもそれでお前と別れろなんて、おかしいだろ。」」
でも、しゅうは嬉しそうにしてた。
お母さん勝手だなって思ったけど、やっぱ自分の子だもん。
しゅう…嬉しそうにしてたじゃん。
「「いいよ。母さん。」」
ダメだよ……。
:09/03/08 12:46 :F706i :☆☆☆
#222 [あい]
「「てか、勝手すぎるよ。ずっと俺の事なんかほったらかしにしてたくせに、1人で住めって離したくせに。急になんなんだよ。」」
「今までの事は謝るよ。しゅうには本当に悪い事した。これから、一緒に居なかった分、一緒に暮らして家族に戻ろうよ。」
あたしは家に帰り、ずっと考え事をしてた。
しゅうは負担にならないって言ってたけど、これかもずっとあたしといるのは、ダメなんじゃないか。
別れるのは嫌だよ。
でもしゅうとは、お母さんと暮らしてほしい。
:09/03/08 12:52 :F706i :☆☆☆
#223 [あい]
【俺、あいとは別れないから。母さんが何を言っても。全然住まなくてもいいしさ。今悩んでるんだったら、変な事考えるのやめろよ。】
しゅうから届いたメール。
【それと、ずっと俺の事気にしててくれてありがとう。話された時は本当に嬉しかったよ。一緒に住もう。あの言葉だけで、俺はもう充分だったからさ。】
あたしは決めた。
辛いけど、いいんだ。
数日後仕事が終わり、あたしはしゅうと会う事にした。
手を振るしゅうがいる。
:09/03/08 13:01 :F706i :☆☆☆
#224 [あい]
ダメだ…
泣きそうになっちゃう。
「「どっかご飯食べ行くか?」」
いつものしゅう。
あたしは裾を掴み、首を振る。
何かを感じとったのか、しゅうは掴むあたしの手を離し、歩き始めた。
あたしは手を掴み、しゅうは振り向く。
「「話ある。」」
「やだ。」
でも話さなきゃ。
あたしはしゅうの言葉を無視して、手話を始める。
:09/03/08 21:03 :F706i :☆☆☆
#225 [あい]
「「あたし、考えたの。」」
これでいいんだよね。
「「しゅうは、お母さんと暮らして。あたしとは別れよ。」」
しゅうは、悲しそうな顔をした。
あたしは手話を続ける。
「「しゅうのお母さんが一緒に住もうって言ったの、あたしもすごい嬉しい。すごいしゅうが辛かったの知ってるから。」」
泣いちゃダメだ。
あたしが泣いたら、しゅうが困っちゃうから。
:09/03/08 21:14 :F706i :☆☆☆
#226 [あい]
お母さんに離された時、しゅうは泣いてたから。
あたしが初めて見たしゅう。
辛かったの知ってるから。
寂しかったのも、ずっと溜めてきて出てきた涙だから。
あの時、しゅうを見るのが辛かった。
そして、一緒に住もう。
しゅうのお母さんが言いに来た時のしゅう。
すごい喜んでた。
あたしはあの時、嬉しそうなしゅうを見るのが…嬉しかったよ。
:09/03/09 01:09 :F706i :☆☆☆
#227 [あい]
「「これから専門行って、美容師になって、あたしなんかより全然いい人見つかるよ。」」
「「ちょっと待てよ…」」
「「あたしの事で一緒に住む事無しにしちゃダメ。お母さんが別れる事を望んでるなら、あたしはそうする。」」
しゅうの手話を無視し、あたしは一方的に話を進めた。
「「一緒に暮らして?」」
しゅうは下を向く。
これ以上の手話を見たくなかったのかな。
:09/03/09 01:33 :F706i :☆☆☆
#228 [あい]
「「お前、泣かないんだな。」」
しゅうが言ってきた。
「「悲しくないの?」」
悲しいよ。
だって嫌いになったわけじゃないのに。
でも……
「「悲しくない。」」
あたしはそう言った。
「「そっか。じゃあいいよ。お前と別れたくないのも、母さんと暮らしたいのも、どっちも望んでる。でもお前がそう言うなら別れる。」」
:09/03/09 19:34 :F706i :☆☆☆
#229 [あい]
しゅうは笑ってた。
悲しそうな感じで。
「「お前なら、こんな事になっても離れないって思ってたのに…。もういい…。」」
何かが刺さるような
そんな感じで胸が痛くなった。
あたしの言葉で…
しゅうの言葉で…
あたし達は終わった。
:09/03/09 19:40 :F706i :☆☆☆
#230 [あい]
その後何も話さず、しゅうは行ってしまった。
あたしは、歩いていくしゅうの背中を見えなくなるまで見ていた。
しゅうは1度も振り向かなかった。
終わった…。
あたしは家に帰り泣いた。
さっきまで我慢してた涙が一気に溢れ出してきて、ずっと泣いてた。
するとしゅうからメールがきた。
【お前の家にある俺の物全部捨てていいから。】
しゅうの物を全部集めた時、あたしは思った。
:09/03/09 19:47 :F706i :☆☆☆
#231 [あい]
あれ?
しゅうの荷物こんなに多かったっけ?
しゅうはそのまま置いてく事が多かったから、いつの間にかこんなに増えてたんだね。
家にあるもの。
あたしの幸せを表してた。
また涙が出てきた。
しゅう…本当にごめんね。
許してなんて言えないけど、本当に本当にごめんね…
:09/03/09 21:02 :F706i :☆☆☆
#232 [あい]
これでよかったんだよね?
しゅうはお母さんとまた暮らせる。
ずっと願って事じゃん。
これでよかったんだよね。
あたしはそう自分に言い聞かせながら、しゅうの荷物を片付けた。
:09/03/09 21:03 :F706i :☆☆☆
#233 [我輩は匿名である]
:09/03/10 00:32 :N703iD :ht..WoaI
#234 [ゆきな]
大丈夫ですかー?
更新楽しみに
待ってます(^-^)v
:09/03/12 16:37 :P903iX :☆☆☆
#235 [あい]
:09/03/12 19:29 :F706i :☆☆☆
#236 [あい]
手術が近づいてきた。
病院で手術の説明や、聞こえるようになってからの話。
「「聞こえるようになったら、話す練習もしなきゃね。」」
そうママが言った。
話す…。
小さい時に聞こえなくなり、それまであたしは普通に話せてた。
でも、聞こえるようになって上手く話せるだろうか。
変な感じじゃないか。
不安はあった。
そして、手術当日。
:09/03/12 19:36 :F706i :☆☆☆
#237 [あい]
その日は運悪く雨だった。
パパ、ママ、たくみ。
そしてこうすけとかなも来てくれた。
この2人が来てくれたって事は、もしかしたら…なんて。
しゅう…
来るわけないっか。
あたしになんか会いたくないよね。
「「頑張ってね。」」
みんなに言われ、かなからお守りも貰った。
:09/03/12 21:50 :F706i :☆☆☆
#238 [らぃあ]
主サンの小説すごく感動します
ゆっくりでもイィので最後まで書いてくださぃね
:09/03/13 00:30 :N701i :lexcE7k.
#239 [あい]
>>238 らぃあさん
そんな事言ってもらえて嬉しいです
今は無理なんでまた夜に更新します
:09/03/13 08:49 :F706i :☆☆☆
#240 [あい]
手術室に入る時、あたしは目を閉じた。
耳が聞こえるようになる。
みんなの声が聞きたいよ。
【何か聞こえたらボタンを押してください。】
この日は確認の日。
手術は無事に成功した。
目を覚ました時、みんなが声をかけていたが、そんなすぐに聞こえるようになるわけがない。
:09/03/13 21:20 :F706i :☆☆☆
#241 [あい]
あたしの耳にはイヤホン?何て言えばいいんだろう。
まぁ、耳に何かをはめた。
先生の手元には、いくつかのスイッチ。
あたしの手にはボタン。
先生がスイッチを押し、音が聞こえたらボタンを押す。
簡単な事だった。
先生がいろんなボタンを押す。
………聞こえない。
………聞こえない。
:09/03/13 21:24 :F706i :☆☆☆
#242 [あい]
聞こえないよ。
先生の手は確かに動いてる。
スイッチ押してるはずなのに…
聞こえない………
聞こえない……
えっ?今何か聞こえた。
かすかにだけど、ピーピーって聞こえた。
あたしはボタンを押す。
あっ!また聞こえた。
ボタンを押す。
:09/03/13 21:26 :F706i :☆☆☆
#243 [☆匿名☆]
あいさんの小説すごく読みやすいです!
それにあいさんの心が綺麗で感動しました(;_;)
応援してますヾ(≧▽≦)ノ♪♪
:09/03/14 01:41 :W52SH :9vaq2utc
#244 [あい]
>>243 匿名さん
嬉しいです
ありがとうございます
:09/03/14 02:45 :F706i :☆☆☆
#245 [あい]
「「本当に小さい音は聞こえないし、聞きづらいですね。でも普通の話声や、車の音、音楽、いろんな音が聞こえるようになる。」」
先生が話す事をママが通訳する。
それからあたしの生活は変わった。
前から怖くて乗れなかった自転車。
自転車に乗って、施設に行くようになった。
車が横を通る音。
クラクションの音。
小さい子達のじゃれあいの声。
かすかだったけど、聞こえる。
聞こえるんだ。
:09/03/14 02:55 :F706i :☆☆☆
#246 [あい]
「おはようございます。」
手話を使わないで、仕事場の人があいさつしてくる。
本当に聞こえるようになって、あたしの生活は変わった。
変わってない事は…
「「おはようございます。」」
あたしはまだ手話をやっていた。
最初の方は仕方ないと、ママ達も言っていた。
でも、月日がたっても、あたしは手話をやってた。
:09/03/14 03:02 :F706i :☆☆☆
#247 [我輩は匿名である]
やっぱこの小説好きです!楽しみにしてます(´∀`)
:09/03/14 11:31 :SH903i :KF/Qr/Zw
#248 [あい]
>>247 我輩は匿名であるさん
すごい嬉しいです
ありがとうございます
:09/03/14 17:41 :F706i :☆☆☆
#249 [あい]
「お前何で手話なの?」
家にいた時、たくみが聞いてきた。
家族もみんな手話無しで話をかけるようになった。
手話をしているのは、あたしだけ。
「小さい時喋れたんだから、喋れんだろ。」
たくみが言葉使い悪いのは、聞こえない時から知ってた。
聞こえるようになってから、本当に悪いんだなっていうの、知ったよ。
:09/03/14 17:52 :F706i :☆☆☆
#250 [あい]
「やめなさい。たくみ。」
ママは少し高くて、優しい声。
パパはママとは違って低い声。
みんなの声を知っていったよ。
「そんなすぐに喋れるわけないでしょ。」
ママがたくみに言う。
「でもこいつ、練習もしようとしないじゃん。何で?」
たくみがあたしを見る。
確かに、あたしは喋る練習をしていない。
:09/03/14 17:56 :F706i :☆☆☆
#251 [あい]
あたしは答えられなかった。
たくみから目をそらした。
「おい、こっち向けよ。早く答えろ。」
「「小さい時、確かにあたしは喋ってた。でもそれから全然話してないから…変な声が出ちゃうんじゃないかって…。」」
不安だった…。
たくみは笑った。
「バーカ。」
そう言ってデコピンをしてきた。
:09/03/14 21:45 :F706i :☆☆☆
#252 [あい]
「普段バカな事やってる奴が、何そんな事気にしてんだよ。バカにして笑うわけねぇじゃん。」
たくみの言葉で、元気が出た。
でも、あたしは声を出すという事をしていなかった。
家族みんな、気にしていたと思う。
手術からかなりたち、また冬がやってきた。
2回しゅうと過ごしたクリスマスが、またやってくる。
:09/03/15 01:04 :F706i :☆☆☆
#253 [あい]
あたしは、しゅうを忘れる事ができていなかった。
初めての彼氏だったし、すごく好きだった。
すごく幸せだったから、本当に好きになりすぎていたから、忘れられなかった。
しゅうは元気なの?
お母さんと仲良く暮らしてるかな?
受験は?
新しく彼女はできた?
あたしが耳聞こえるようになった事知ってる?
しゅうの事ばっかりだった。
:09/03/15 01:12 :F706i :☆☆☆
#254 [あい]
時々泣いちゃう時もあるんだよ。
勝手だよね…
あたしがしゅうを振ったのに。
あたしが離したのに。
あんなに大好きだった人を。
あんな大事にしてくれた人を。
しゅう…
:09/03/15 20:17 :F706i :☆☆☆
#255 [あい]
クリスマス。
あたしはあの場所に行った。
しゅうがクリスマスに連れてきてくれた場所。
1人で来るのは、大変だった。
途中までバイクだったから。
そこから見る景色は、あの頃と変わらず綺麗だった。
寒い中、あたしは1人で眺めていた。
:09/03/15 20:20 :F706i :☆☆☆
#256 [あい]
帰ろう。寒いな。
そう思ってた時だった。
ジャリジャリ…
誰かが後ろから来る。
1人じゃない…2人?
振り向いたら、そこにいたのはしゅうだった。
隣には、知らない女の子。
しゅうはすごく驚いた感じの表情だった。
……隣の人誰?
:09/03/15 20:22 :F706i :☆☆☆
#257 [あい]
「「何でここにいんの?」」
あっ…手話してる。
しゅうの声だっ…
初めて聞いた。
こうすけ、あたしが耳聞こえるようになった事言ってないのかな。
「「手話しなくていいよ。聞こえるから。」」
「えっ?まじ?」
あたしは頷いた。
「手術成功したんだ。おめでとう。」
………泣きそう。
:09/03/15 20:27 :F706i :☆☆☆
#258 [あい]
「「その人、彼女?」」
しゅうはその子を見て言った。
「うん。てか元カノ。」
あ…より戻したんだ。
「「そうなんだ。おめでとう。」」
あたしはそう言って、2人から離れていった。
「あい!!」
しゅうがあたしを呼んだ。でも、振り向かずあたしは歩いた。
:09/03/15 21:00 :F706i :☆☆☆
#259 [あい]
だって…涙が出てきたから。
しゅうの秘密の場所。
あたしだけに教えてくれた場所。
それはただの思い込みだね。
しゅうは…元カノにも教えたんだ。
涙が止まらなかった。
耳が聞こえてなかったら、足音にも気づかなかった。
足音が聞こえてなかったら、振り向かなくて、しゅうにも気づかなかった。
よりを戻した事も、知らずにすんだんだ。
:09/03/15 21:08 :F706i :☆☆☆
#260 [ゆきな]
やばいです
泣きそう(T_T)
:09/03/15 22:30 :P903iX :☆☆☆
#261 [あい]
>>260 ゆきなさん
毎回コメントありがとうございます
:09/03/16 00:33 :F706i :☆☆☆
#262 [あい]
耳が聞こえてなかったら…
そんな事思っちゃダメ。
しゅうの事は吹っ切んなきゃ。
彼女がいる事知って、いいじゃん。
これで吹っ切れるよ。
…これでいいじゃん。
:09/03/16 00:39 :F706i :☆☆☆
#263 [あい]
しゅうの事は考えないようにした。
考えないで仕事をして、普通に家に帰って、家で寝る。
次の恋をしよう。
焦らず、ゆっくりと。
あたしは普通の生活を送っていた。
ある日の仕事帰り。
あたしは、いつものように自転車で家に向かっていた。
雨上がりだったため、道は濡れていた。
マンホールのとこど滑ってしまい、あたしは転倒した。
:09/03/16 00:57 :F706i :☆☆☆
#264 [あい]
痛い…。
「大丈夫ですか?」
声をかけてきたのは、しゅうだった。
何で?何でこんなとこで会っちゃうのかな。
よく考えてみればここ、しゅうと出会った場所だ。
しゅうにぶつかって。
「お前喋れねぇの?」って…
あたし、こんな事まで覚えてる。
「立てるか?」
しゅうが手を差し出してきた。
:09/03/16 09:33 :F706i :☆☆☆
#265 [あい]
しゅうの顔を見て、あたしは泣いてしまった。
全然考えてなかったのに。
あたし…全然しゅうの事忘れる事できてないじゃん。
「何泣いてんだよ!!そんな痛いのか?」
涙止まんないよー!!!
:09/03/16 09:37 :F706i :☆☆☆
#266 [ゆか]
いっきに読みました
続き待ってます。
頑張って下さい
:09/03/16 12:47 :SH903i :☆☆☆
#267 [あい]
>>266 ゆかさん
ありがとうございます
あとで更新します
:09/03/16 19:04 :F706i :☆☆☆
#268 [あい]
あたしは下を向いてた。
覗き込むように、しゅうが見てきて「大丈夫か?」って。
ドキッとした…
あたしは立ち上がり、お礼を言う。
「自転車乗って施設行ってんの?」
しゅうが聞いてきて、あたしは頷く。
「ちょっと話そ?」
あたしは横に首を振った。
:09/03/16 21:34 :F706i :☆☆☆
#269 [あい]
「いいから話すぞ。」
しゅうはあたしの自転車を押して、歩き始めた。
あたしはその後ろを、付いていった。
公園に着き、しゅうはブランコに乗る。
あたしもブランコに座る。
「元気だった?」
先に話をしてきたのは、しゅうだった。
あたしはしゅうの方を向く。
微笑むしゅう。
:09/03/16 21:44 :F706i :☆☆☆
#270 [あい]
しゅうの笑顔だ。
あたし、ニコッと笑うしゅうの笑顔大好きだった。
小さい子みたいに可愛くて。
微笑む顔も好きだった。
久しぶりだな。
「「元気だよ。しゅうは?」
「まぁまぁ。」
キーッキーッて動くブランコ。
無言が続いた…。
:09/03/17 00:18 :F706i :☆☆☆
#271 [あい]
「「もう少しで卒業だね。」」
何か言わなきゃと思い、あたしは手話を始めた。
「おう。俺、専門学校行くんだ。」
しゅうは美容師になりたいんだよね。
この事もあたし覚えてるや。
「「お母さんは?」」
「一緒に暮らしてるよ。加藤さんとも、うまくやってる。」
そっか。よかったね…しゅう…
:09/03/17 00:22 :F706i :☆☆☆
#272 [あい]
「俺、母さんと一緒に暮らせてよかったと思ってる。お前と別れたの平気って訳じゃなかったけど。本当に別れたくなかったし。でも、別れてなかったら、俺はまだ1人で暮らしてたと思う。」
あたしは、しゅうの話をちゃんと聞いた。
「元カノとより戻したのは、お前と別れてちょっとしてから。いきなり連絡きて、やり直したいって。」
この話はあんま聞きたくないな。
:09/03/17 00:29 :F706i :☆☆☆
#273 [ゆか]
頑張って(T0T)
:09/03/17 00:31 :SH903i :☆☆☆
#274 [あい]
「お前と別れてムシャクシャしてて、軽い気持ちでより戻したんだ。今想うとバカだよな。」
…………。
「でも、やり直してからまたちゃんと好きになった。お前の事も考えないようになってた。」
しゅうは、拾い持ってた枝を折った。
「何でクリスマスの日、あそこにいたの?」
ずっと下を向いて話してたしゅうが、またあたしを見る。
「何でいたの?」
:09/03/17 00:35 :F706i :☆☆☆
#275 [あい]
:09/03/17 00:36 :F706i :☆☆☆
#276 [あい]
あたしは、何て言えばいいんだろう。
しゅうの事ずっと引きずってたなんて言えない。
今しゅうには彼女がいる。
困らせたらダメだ…
2人の仲を邪魔しちゃダメだ。
「ビックリしたよ。」
しゅうが言う。
「彼女に見せてやろうと思って連れて行ったら、お前がいんだもん。」
やっぱ…あたしだけにっていう場所じゃないんだ。
本当あたしバカだ…
:09/03/17 00:43 :F706i :☆☆☆
#277 [あい]
「来んなよな。まだあいは好きなのかなって、変な期待しちまったじゃん。」
頭をかくしゅう。
恥ずかしいんだ…
「お前が俺の事振ったんだよ?嫌いになったわけじゃないのはわかってる。あいは、俺のために別れたんだよな。何で、あそこにいたの?」
真剣な顔をしてるしゅう。
黙ってたらダメだ。
あたし、言わなきゃ。
:09/03/17 13:32 :F706i :☆☆☆
#278 [あい]
「「あたしは、しゅうを振った。でもずっと引きずってた。いつもいつも、しゅうの事を考えてた。クリスマスの日、もしかしたらしゅうに会えるんじゃないかと思って…だからあたしは、あの場所に行った。会えたけど…しゅうの隣には違う子がいた。だから、あたしは考えてないようにって…忘れようって…」」
あたしは手を止めた。
ダメだ…また泣きそう。
「「何で…何で今日会っちゃうかな。」」
:09/03/17 13:37 :F706i :☆☆☆
#279 [、]
:09/03/17 14:05 :SH905i :a06byC9A
#280 [あい]
>>279 、さん
ありがとうございます
頑張ります
夜また更新します
:09/03/17 16:57 :F706i :☆☆☆
#281 [彩]
メチャぃぃ話ッ!!
応援してます(o>ω<o)
頑張って下さいね
:09/03/17 19:10 :N04A :Lon6PJc2
#282 [あい]
:09/03/17 21:44 :F706i :☆☆☆
#283 [あい]
考えてなかった分の気持ちが溢れ出てきた。
やっぱりしゅうが好き。
「「話かけないでよ。しゅうの事やっと考えないようになってたのに…。」」
嘘…
本当は、話かけてきたのがしゅうで嬉しかった。
しゅうがいきなり抱きしめてきた。
あたしは離れようとしたが、しゅうは離そうとしない。
「ちょっとだけ。」
:09/03/17 21:52 :F706i :☆☆☆
#284 [あい]
抱きしめたまま、しゅうは話始めた。
「あい…お前が言いたい事はわかってる。彼女がいるのに、こんな事するなだろ?」
そうだよ…
しゅうには彼女いるじゃん。
「でも無理。やっぱお前の事好き。」
好き…。
しゅうからまたこの言葉が聞けるなんて。
「クリスマスの日から、あいの事ばっか。彼女と前みたいに戻ってきたと思ってたのに…。」
:09/03/17 22:03 :F706i :☆☆☆
#285 [あい]
「あい…好きだよ。」
そう言い、しゅうはあたしから離れて、じっとあたしを見る。
「彼女と別れる。」
「「でも、彼女の事好きなんじゃないの?」」
さっきそう言ってたじゃん。
彼女もいきなり、納得しないと思うよ。
「好き。ちゃんとまた好きになったよ。でも仕方ねぇじゃん。俺にとってお前は存在でけぇって、わかっちまったんだから。」
:09/03/18 00:39 :F706i :☆☆☆
#286 [あい]
「連絡するな。」
そう言い、あたし達はバイバイした。
連絡する…
そう言ったけど、しゅうからの連絡はなかった。
1週間…1ヶ月…
気づけば、4月になっていた。
しゅうは高校を卒業したな。
あたしから連絡した事もあった。
でも返事はこない、電話にも出ない。
どうして?
:09/03/18 13:39 :F706i :☆☆☆
#287 [ゆか]
気になる(→o←)
:09/03/18 19:41 :SH903i :☆☆☆
#288 [彩]
:09/03/18 22:34 :N04A :djgXPQj6
#289 [ゆきな]
がんばって
ヾ(^∇^)ノ
:09/03/20 08:24 :P903iX :☆☆☆
#290 [あい]
>>287 ゆかさん
遅れてすいません
今から更新します
:09/03/20 10:55 :F706i :☆☆☆
#291 [あい]
:09/03/20 10:55 :F706i :☆☆☆
#292 [あい]
>>289 ゆきなさん
遅れてすいません
頑張りますよー
:09/03/20 10:56 :F706i :☆☆☆
#293 [あい]
どうして連絡くれないの?
好きって言ったじゃん。
彼女とは別れるって。
まだ別れてないの?
あたしはずっと待っていた。
連絡きたら、やり直せたら今度こそ離さないって決めてたんだ。
でも、現実はそう甘くなかった。
しゅうを見たのは、休みの日だった。
:09/03/20 11:02 :F706i :☆☆☆
#294 [あい]
あたしは、しゅうの家に行こうとしていた。
何でもっと早く行かなかったんだろう。
そう思うけど、あの時は行くのが何故か恐くて、なかなかその行動ができなかった。
久しぶりに、この道を歩くな。
付き合っていた時は、何回も歩いてたな。
そう思っていた。
横を見た時、向かい側の歩道に見た事があるような、女の人が歩いていた。
:09/03/20 11:10 :F706i :☆☆☆
#295 [葵]
:09/03/21 04:37 :SH906i :NJcnj.j.
#296 [あい]
あれ…?
あの子クリスマスに見た子だ。
しゅうの彼女だ。
もう別れたのかな?
何かクリスマスに見た時より痩せた感じがした。
よく見てみれば、様子がおかしかった。
ボーっとしているのか、力が抜けた感じで歩いている。
今にも倒れちゃいそうな…
その時だった。
「さやか!!」
:09/03/22 01:15 :F706i :☆☆☆
#297 [あい]
声のする方を見ると、走ってくるしゅう。
彼女は振り向き、しゅうが手を引っ張っている。
嫌がって動かない彼女。
あたしは…それを見ていた。
2人は、あたしに気づいていない。
2人の会話は聞こえない。
でも言い合ったような感じ。
彼女は…泣いていた。
しゅう…あたしここにいるんだけど。
気づいてよ。
:09/03/22 01:17 :F706i :☆☆☆
#298 [ゆか]
頑張って(ToT)
:09/03/22 01:19 :SH903i :☆☆☆
#299 [あい]
別れてないの?
どうして一緒にいるの?
あたしに連絡くれなかった理由は、これ?
またあたしは1人で期待してたのかな…。
しゅう…あたしに気づいてよ。
「しゅ…う。しゅう!!」
あたしはしゅうを呼んだ。
そう、耳が聞こえるようになり、初めてあたしは声を出した。
しゅうって…
:09/03/22 01:22 :F706i :☆☆☆
#300 [あい]
:09/03/22 01:23 :F706i :☆☆☆
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