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#1 [ゆうと]
お前は恋に恋するタイプ…


そんなことを言われたのはつい最近だ。

ショックだった。


「そんなんで自分の女守れるわきゃねーだろこの芋野郎!」

そう言い返してやったが、せせら笑われた。

⏰:09/10/31 01:59 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#2 [ゆうと]
俺は今年で21歳になった小林 佑翔(こばやし ゆうと)※漢字違うけど本名


恋に恋するヤツ発言をしたのは俺の親友・ユウキ。

ユウキの言葉にカチンときた。

でも、俺の過去の恋愛を巡っていくと、確かにそうかもしれないって思うようになった。

⏰:09/10/31 02:07 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#3 [ゆうと]
───2年前───


当時、俺は18歳だった。
高校卒業後、大学という次のステップが待っていた。

俺は頭のいい方じゃない。むしろパッパラパーだ。因数分解なんてこの世のものじゃないし、サイン・コサイン・タンジェントなんて小島よしお並にどうでもいい…

⏰:09/10/31 02:13 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#4 [ゆうと]
俺はガキンチョの頃からバスケット大好き人間だった。
三度の飯よりバスケ…


頭パッパラパーな俺が大学に入学できるのは、バスケットがあったから…
バスケのスキルはそこそこだったし、それなりの結果出してたから推薦をもらえた。

K大学に入学が決まり、入学までの約1ヶ月はとことん遊びまくろう♪


そう考えていた。

⏰:09/10/31 02:20 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#5 [ゆうと]
2月…


「3月から入寮なので、よろしくお願いします」

そんな通知が送られてきた。

母は、
「え〜?入寮3月…3日?」
と、あたふたしている。
通知を読み、幾度となくマスオさん混じりの「え〜?」を連呼する母を見て、俺はクスクス笑っていた。

「ユウト!あんた3月には入寮だって…もう1ヶ月もないよ」

「クスクス…ゴホン!…あぁ、うん」

俺は力なく答えた。

⏰:09/10/31 02:29 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#6 [ゆうと]
決まったもんは仕方ない…
よっしゃ!
準備しましょか!


3月1日に卒業式…
その2日後には、もうK大学(以下、K大)の寮に入るんだ…

ワクワクドキドキする反面、緊張でプルプルワナワナしていた俺だったが…

そうだ!
ユウキも一緒だから頑張れる!

そう!
ユウキと俺は同じ大学に入学が決まっていたのだ。

⏰:09/10/31 02:36 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#7 [ゆうと]
そして迎えた3月3日…

入寮に向けて引っ越しを始めた。
父さん、母さんは忙しい中、俺の引っ越しのために仕事を休んで手伝ってくれた。
はるばるとK大まで…


父「いい男になれよ」
母「辛くなったらいつでも呼ぶんだよ」

そう言うと、母さんを乗せた父さんの運転する車は見えなくなった。
見えなくなった瞬間、胸がジーンってなって寂しさを感じた。

お泊まり保育以上の寂しさだった。

⏰:09/10/31 02:46 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#8 [ゆうと]
そんな寂しさは、約3分後には忘れられることになる。


「引っ越し終わった?」

ユウキが部屋に入ってきた。

「あ〜、まだ細々してるヤツ片付けないと…ってかお前、何ニヤニヤしてるん?」

「いい事聞いたんだぁ♪」

「何?何?」


「あのね、この寮の隣、今工事中じゃん?何ができると思う?」


「…コンビニ?知らん」


「女子バスケ部の寮だよ」

⏰:09/10/31 02:59 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#9 [ゆうと]
「えぇ〜?」

驚いた。
俺もマスオさんになっていた。
やっぱり俺って母さんの息子なんだな…


「いいのかよ!男子寮の横に女子寮って…」

「なぁ。驚きだよな」

「ってか、K大に女子バスケ部ってあったんだ…」

「何言ってんだよ…女バスとか1部でバリバリじゃねーか。世間は男バスができたことにビックリしてるんだよ」

⏰:09/10/31 03:08 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#10 [ゆうと]
(1部、2部…ってあって強いチームほど2部→1部って上がっていくわけです)


「知らなかった」

「ま、とりあえず頑張ろうな。あ!もうちょいしたらさ、吉野家行こうや♪腹減った」

ユウキのこのお誘いで、第1回目のすれ違いが生じることになる。

⏰:09/10/31 03:17 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#11 [ゆうと]
(補足:男子バスケット部は俺らが第1期生です)
PM7:30〜
「吉野家ってこの近く?」
「うん。さっきここへ来る途中見つけた♪」

ユウキの地理力と勘はハンパじゃない。
俺とユウキはそれぞれのチャリに乗り、暗くて静かな道をチリンチリン鳴らしながら颯爽と駆け抜けた。

この季節の夜はまだ少し冷える。
俺はそんな季節がたまらなく好きだ。

すると…

⏰:09/10/31 03:30 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#12 [ゆうと]
蛇行しながらこちらへやってくる2台のチャリ族発見。
いかにも『なんかスポーツやってます』的な格好をした女2人だった。


…それだけは覚えてる。

俺達は何も気にすることなく、そのチャリ2台とすれ違った。
向こうはコソコソ話しながらこちらを見ていたようだが…

とりあえず視線だけは感じていた。

⏰:09/10/31 03:41 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#13 [ゆうと]
吉野家には30分ほどで着いた。
近くにあると言っていたのにだいぶかかったな。

牛丼を食べ→ダイソー→雑貨屋

の流れで、K市を満喫した。初めて見るK市は、俺の住んでいた町よりはるかに都会で、にぎやかで、明るかった。そんなK市を、俺は一目で好きになった。

帰宅…
明日は服屋に行こうとか、生活用品を見に行こうとか、ユウキとあれこれ約束してお互い部屋へと戻った。

⏰:09/10/31 21:15 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#14 [ゆうと]
部屋へ戻り、残りの荷物を片付けた。
寮といっても個室だったから、1人暮らしのようなものだ。

ベッドの上に転がり、雑誌を読んでいた。

ピンポーン

呼び鈴が鳴り、ドアを開ける。
N県から来ていたアキヒロだ。アキヒロは馴れ馴れしいことで地元で有名だったようだ。

「名前アキヒロだっけ?入りなよ」

「おじゃま〜」

⏰:09/10/31 21:26 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#15 [ゆうと]
「ちょっと散らかってるけど気にしないで!」

「大丈夫」

アキヒロはベッドにドカンと座り込んだ。
読んでいた雑誌がグシャッという音をたて、アキヒロの尻の餌食となった…
アキヒロはお構いなしにニヤニヤしながら口を開く。

「なんとかユウトだよね?俺人の名前覚えれないからさぁ(笑)」

「小林だよ」

そんな感じの会話が続き、話しているうちに仲良くなっていったっぽい。

⏰:09/10/31 21:34 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#16 [ゆうと]
そして本題!

「あ!そうだ…さっき女バスの先輩が来たよ」
アキヒロがニヤニヤしながら話し出す。

「へぇ。何しに?」

「新しく出来る寮を見に来たんだって。あと5日くらいで完成だから下見に来たらしい」

そういえば…

「もしかしてバスケのスウェット着てた人?2人?」

⏰:09/10/31 21:39 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#17 [ゆうと]
「そーそー。知ってんの?」

「あ、いや…さっきそこの道路でそれらしき2人組とすれ違ったから。でも顔は見えなかったよ」

「そうなんだ。1人可愛い人いたよ!」

アキヒロは嬉しそうに言った。
「なんていうか…可愛いけどドSって感じのさぁ(笑)俺Mだからああいう人好きかも(笑)」

アキヒロのニヤニヤは最高潮に達した。

⏰:09/10/31 21:47 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#18 [ゆうと]
それからはアキヒロの今までの彼女の話だの、俺のタイプは…だの、過去の武勇伝だの、頼んでもいないことを延々と聞かされるハメになった。
アキヒロは背が高く、手足が長くてスタイルがいい。
ただ、顔がアンガールズの田中だけど…


アキヒロはしゃべり疲れたらしく、部屋へ戻っていった。

俺は踏み潰された雑誌を読んでいたんだが、その『女バスの可愛い人』という人物が気になり始めた。

⏰:09/10/31 21:58 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#19 [ゆうと]
顔くらい見とけばよかったな…

ちょっとした後悔はあったものの、実際はまったく知らない人だから翌日には忘れていた。


K市に来て2日目…
昨日の約束通り、午前中にユウキとK市をぶらぶらした。
午後からは、男バスの新1年生全員でカラオケに行った。
新1年生は全員で8人。この8人だけでスタートするのだから、バスケをする上で多少難しい面がある。
そんな8人はすぐに仲良くなった。

⏰:09/10/31 22:17 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#20 [ゆうと]
1日中遊ぶことは久しぶりだった。

明日からは練習が始まるんだ。
部屋に戻ってからは、荷物の中から練習着を引っ張り出すことに専念した。
ちゃんと片付けたつもりだったのに、どこに何があるのか分かんねぇ…

⏰:09/10/31 22:23 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#21 [ゆうと]
その時だ。

外から話し声が聞こえてきた。
数人はいる。
アキヒロの調子こいてる時の甲高い笑い声、ユウキの声もする。その他数人はいたみたいだ。

寮周辺は静かなご近所…
その話し声がうるさかったのか、入浴後っぽい股引を履いたじいさんまでもが登場し、うるせー的なことをガミガミ言っている。
そのにぎやかな御一行は寮へと入ってきた。

⏰:09/10/31 22:33 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#22 [ゆうと]
ピンポーン…

御一行が俺の部屋へ来たようだ。
ドアを開けると、

「起きてた〜?ユウト君」
アキヒロの様子がおかしい。1人でビール飲んでて酔っ払ったらしい。
おいこら未成年…


「ちょっ…お前酒くせーよ。ってか隣のじいさんキレてたじゃん」

「生きてるから大丈夫〜!あ、上田さん、こいつが小林ってやつです」

⏰:09/10/31 22:41 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#23 [ゆうと]
上田さん…?

アキヒロの横に小柄な女性が立っている。

「K高の子だよね?ってか昨日自転車ですれ違ったみたいだね〜」

ニコニコして俺に話しかけてくる。

「K高知ってるんすか?」
「うん!バスケ部強かったじゃん(笑)」


(K高は俺の出身です。ゴチャゴチャしててすみません)

⏰:09/10/31 22:48 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#24 [ゆうと]
「ってか、女バスにK高出身の子がいるからさ。後輩が来るっていうから見てみたいって思って♪」

初対面なのに照れることなく淡々と話す彼女の名前は『上田』というらしい。

上田 彩乃(うえだ あやの)

昨日アキヒロが言っていた『可愛い人』は、たぶんこの人だろうと予想がついた。

アキヒロの顔を見ると、酔いとは別に顔が赤くなっている。
それで確信がついた。

⏰:09/10/31 22:54 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#25 [ゆうと]
御一行は俺の部屋に入ってきた。
軽く1時間はいろんな質問攻めに合ったと思う。
上田さんと一緒に来ていたもう1人の女バスの先輩は、ミクさんという人。
2人とも4年生だと言う。
アキヒロ、ユウキ、上田さん、ミクさん、俺の5人はすぐに仲良くなった。

⏰:09/10/31 23:04 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#26 [ゆうと]
大学の寮生活は、高校の時よりはるかに自由が利く。
まだ入学はしていなかったが…ってか、まだK市に来て2日目なのだが、すべてが新鮮で楽しかった。

上田さん達は4年生ということで、俺達に比べてすべてがしっかりして見えた。

もっと仲良くなりたいな…


「ねぇ、そろそろ帰ろうか。マコちゃん待ってるよ」

⏰:09/10/31 23:11 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#27 [ゆうと]
「…マコちゃん?」
アキヒロが目を丸くして聞く。

「うん。マコちゃん。アヤの彼氏」

ミクさんは上田さんのことを『アヤ』と呼ぶ。


「そうなんだ。…そりゃあ、彼氏いますよねぇ」
アキヒロは残念そうに笑いながら言う。もう酔いは覚めたみたいだ。

寮を出て少し行った所に1台の赤い車が停まっていた。

俺達に気付くと、『マコちゃん』はエンジンをかけた。

⏰:09/10/31 23:16 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#28 [ゆうと]
「押しかけちゃってごめんね〜。楽しかった。ありがとう♪またね!」

上田さんは助手席に、ミクさんは後ろに乗り込んだ。

運転席の窓が開いた。

『マコちゃん』はニコッと笑い、頭をちょこんと下げた。
暗かったから顔はよく分からなかったけど、大人の男!っていうオーラは感じ取れた。

⏰:09/10/31 23:20 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#29 [ゆうと]
俺は返す言葉がなくて、
「彼氏さんですよね?今度ドライブ連れて行ってくださいよ♪」
と言った。

『マコちゃん』は照れ臭そうに笑い、小さく頷いた。

上田さんも笑って

「今度ね♪」
なんて言ってた。

ユウキは

「その時は俺も!」
と言った。

アキヒロは引きつり笑いを演じていた。

⏰:09/10/31 23:25 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#30 [ゆうと]
俺達は赤い車を見送った。

『マコちゃん』はクラクションを2回鳴らし、上田さん達2人は手を振ってくれた。


大学生の恋愛ってなんか大人だなぁ〜

なんて思ってた。

小学校の頃は恋愛なんか興味なし、中学校の頃は彼女との登下校、高校はいろいろ発展して〜…ってな感じで恋愛を経験してきた。

そんなものがちっぽけなものに思えたと同時に、今までの恋愛の価値観が子供に思えた。

⏰:09/10/31 23:40 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#31 [ゆうと]
あのクールな感じの『マコちゃん』も、俺みたいな恋愛を経験してきたのだろうか…

俺も大人になれるのだろうか…

その一瞬で、いろんなことを考えた。

⏰:09/10/31 23:45 📱:F902iS 🆔:DINsBX2g


#32 [ゆうと]
翌日…
女バスが練習するコートの横で、8人の新生男バスは集合した。

監督の大川さんの指導の下でやっていく。

女バスはできたばかりの男バスに興味深々でこちらを見ていた。

⏰:09/11/01 01:50 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#33 [ゆうと]
練習が始まった。

個々のスキルを見せようと、みんな張り切っていた。
アキヒロは自分のバッシュの紐を踏んづけて転び、恥ずかしかったみたいでブルーになっていた。




そんなこんなで練習は終わった。
初日ということもあってかなり楽なメニューだった。

⏰:09/11/01 01:54 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#34 [ゆうと]
練習が終わったのは昼過ぎ…
春休みということもあり、大学内は静かだった。
めちゃくちゃ心地よい風が吹いていた。
綺麗なピンク色の桜の花びらが風に舞い、K大を明るく包み込んだ。

チャリで寮まで帰る。

坂道を一気にかけ降りると、去年まで見ていた桜の木とは違う桜の木に出会う。
K高内の桜は少なかった。
だから季節を感じる。…なんてことはなかった。今目の前にある桜の木は、圧倒的な存在感を感じさせてくれる。

⏰:09/11/01 02:06 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#35 [ゆうと]
ユウキとアキヒロ、もう1人男バスのリョータと俺の4人で昼からK市に遊びに行くことになった。

準備をして、バスに乗っていざ出陣!

TSUTAYAを発見した。しかもかなりデカい
俺の地元のTSUTAYAの10倍はある…
それほど俺の地元はショボかった…

バスを降りてTSUTAYAへ向かう。


「あれ?」

⏰:09/11/01 02:16 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#36 [ゆうと]
後ろから声がした。

振り向くと上田さんだった。

「あらー!4人で来たの?」

「はい…ってか、あれ?上田さん1人ですか?」

「いや、彼氏と」

「そうなんだ」

仲良しカップルなんだな…

「あの…彼氏さんって今…どこにいます?」
アキヒロは『マコちゃん』が気になって仕方がないようだ。

⏰:09/11/01 02:22 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#37 [ゆうと]
「ん?彼氏?たぶん雑誌のとこにいるよ」

アキヒロが顔をよく見てみたいと言う。
俺もこの前見た、あのクール&大人な『マコちゃん』がどんな人なのか気になっていたから見てみたかった。

「えー?彼氏見たいの?あんまりカッコよくないよ?」

「まっさかぁ!見るだけ見るだけ…」

「…あれ!」
上田さんの指差す方に後ろ姿の『マコちゃん』はいた。

⏰:09/11/01 02:28 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#38 [ゆうと]
買うものが決まったのか、ナイスタイミングで振り返り、こっちに近づいてくる。
手には雑誌を持ち、ポケットから財布を取り出した。


「…」
「…」
「…」
「…」

4人一緒に言葉を失った。

え?こいつが上田さんの彼氏?
え?この上田さんの?

↑たぶん、4人共通してこんなこと考えてたと思う。

⏰:09/11/01 02:34 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#39 [ゆうと]
上田彩乃さんは声は少しハスキー、小柄で、髪がサラサラで肩より長め、顔は広末涼子と北川景子を足して2で割ったような感じだ。
世間でいう美人の部類に入る。

俺が想像していた『マコちゃん』は音をたてて崩れていった。見事に期待を裏切ってくれた。

髪は無造作に伸びていて(決しておしゃれとは言えない)、目がシャキーンで、タラコ唇…

顔のこと抜きにしても、その容姿ば不潔"という印象が残った…

⏰:09/11/01 02:45 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#40 [ゆうと]
「アヤ、聞いて。最新刊出てたよ」
ヌメヌメした声で『マコちゃん』は話す。

「車のやつでしょ?よかったじゃん。買ってきなよ」

『マコちゃん』は嬉しそうにレジへ向かった。


おい…誰か1人くらい「かっこいいですね」とか言えや!
↑(4人共通の心の声)


「あたしの彼氏、車のことしか頭にないからね〜(笑)いっつもあんな本ばっか読んでるんだよ」


「あ…あはははは…」
↑(これが精一杯の返事)

⏰:09/11/01 02:53 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#41 [ゆうと]
「まだTSUTAYAん中見るの?」

上田さんは優しく聞いてくれた。

「いや…別に用事ないから次行こうかなぁ…って」

「そうなんだ。じゃあさ、みんなでマクドナルド行かない?マコがおごってくれるからさ(笑)車は頑張れば後ろに4人乗れるし(笑)」


空腹だった俺らは遠慮がちに、またはしめしめと言わんばかりに返事をして、マクドナルドに行くことになった。
アキヒロは乗り気じゃないけど…

⏰:09/11/01 03:05 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#42 [ゆうと]
会計を済ませた『マコちゃん』が戻ってきた。

「ごめんね、待った?」

「別にぃ。ねえ、この子達もさ、一緒にマクドナルド行きたいって」

「お!みんなで行こか」

「マコバイト代入ったんでしょ?」

「やられた(笑)俺がおごるから、みんな心配しなくていいよ」


わーい
↑(アキヒロ以外)

⏰:09/11/01 03:11 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#43 [ゆうと]
「じゃあ、後ろに乗って…乗り切るかな?」

「詰め込めば入る♪ごめんね、狭いけど(笑)」

『マコちゃん』と上田さんの会話は、どこかほんわかするものがある。
飾ってなくて、ものすごく自然で…

そう考えている時に、マコちゃんcarはエンストした。よく見ると、だいぶ前の型の車だ。
車の雑誌読んでるんじゃなかったんかい…

⏰:09/11/01 03:18 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#44 [ゆうと]
マクドナルド…


注文を終え、ハンバーガーやポテトを乗せたお盆を持って席に着く。

「今日、ミクさんは一緒じゃないんすか?」

ユウキが話を切り出す。
「ミクはバイトだよ」


ピリリリリリ…
「電話だ」

『マコちゃん』は席を立ち、外に出た。


「あの、上田さんと彼氏さんって付き合ってどれくらいなんすか?」

⏰:09/11/01 03:26 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#45 [ゆうと]
「今年で4年目だよ♪」

「4年?!長っ肇
「彼氏さんって何してる人なんすか?」

「マコはあたしと同じ学部だよ。クラスもずっと一緒なんだ」

「え?大学生?…あ、別にそういう意味じゃ…」

「あはは、よく言われる(笑)老けてるよね」

確かに三十路って感じの雰囲気を醸し出してる。アンバランスなカップルに見えるけど、実は調和が取れてるのかも…と思わせるくらい、お互いのことを理解してるようだ。

⏰:09/11/01 03:33 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#46 [ゆうと]
『マコちゃん』が戻ってきた。
上田さんの隣に座り、ハンバーガーを食べ始めた。

「あ、そうだ。アヤ、今日夜は拓弥達と飲み行くけどどうする?」

「あたし行かないよ。電話拓君から?」

「そう。Wデートしようぜみたいなこと言ってたよ。一緒行こ!」

「え〜?……すぐ帰るなら別にいいけど」

「んじゃ、7時に待ち合わせだから、ちょい前くらいに迎え行くよ」

⏰:09/11/01 13:30 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#47 [ゆうと]
「2人仲良いんすね〜」

ユウキがそう言うと、2人は照れくさそうに笑った。

同時に、アキヒロの中で何かがキレた。

「…すみません。ちょっとう○こしてきます」
と言い、立ち上がる。


「いちいち報告すんなよ(笑)」
みたいな会話でギャハハとなったけど、10分〜15分…
アキヒロは帰ってこない。
何かを察した俺は、こっそり抜け出して、アキヒロに電話をかけた。

⏰:09/11/01 13:37 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#48 [ゆうと]
プルルルルル…
プルルルルル…
プルルル…ガチャ

「…しもし?」
「もしもし?お前何してんの?」

「………」

「う○こじゃないんだろ?今どこだ?」

「……バス乗った」

「…は?なんで?帰ってんの?」

「ユウト後で俺の部屋来て。お前だけだぞ。他のやつは呼ばないでな」

電話が切れた。

⏰:09/11/01 13:44 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#49 [ゆうと]
俺は店の中へ戻った。

「アキヒロは?」

「…ああ。なんか猛烈に腹が痛くなったからって慌てて帰ったみたい(笑)昨日ビール大量に飲んで、めちゃくちゃ食べてたみたいだから(笑)心配かけてすみませんだって」

「そうなんだ。よかった」
上田さんがニッコリ笑った。



夕方…
『マコちゃん』と上田さんにお礼を言い、俺達3人はバスに乗り、寮へと戻った。
後から知ったことだけど、女バスの旧寮はK市内の街中にあったみたいだ。

⏰:09/11/01 13:50 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#50 [ゆうと]
約束通り、俺は1人でアキヒロの部屋に行った。アキヒロはベッドに転がり、お香を炊いていた。
「…急にどうした?上田さんの彼氏が原因か?なんか言われたん?」

アキヒロは座り、うつむいた。

「上田さん心配してたぞ」
「…俺さ、好きかも…上田さんのこと」

「…あのさ…上田さんに出会ってまだ3日目だよ?ってか、地質2日目だよ?」

⏰:09/11/01 15:10 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#51 [ゆうと]
やっぱりか…と言わんばかりに俺は話した。
俺の予想は的中した。

「あの男が羨ましいぜ。あんなに可愛い彼女捕まえてさ。あ〜ムカつく。なんであんなブサメンなんかが…」

「でもさ、人の良さそうな感じはしたよな?なんか大人の恋愛って感じで…」

「…お前それ本気で言ってんの?あんなナヨナヨしてて、デレデレした不潔男が?信じらんねー」

⏰:09/11/01 15:22 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#52 [ゆうと]
「確かにカッコよくもなんともないけど、上田さんとめちゃくちゃ仲良しだったじゃん。4年も続くワケだわな」

「仲良しなのは分かってるよ。だからムカつくんだよ」


「アキヒロは上田さんのどこを好きになったの?」

「笑顔、優しさ、可愛さ、あのドSっぽいところ//」
さっきの半泣きだった顔は打って変わってニヤニヤしだした。

⏰:09/11/01 15:40 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#53 [ゆうと]
「まぁ、頑張れよ…」

「冷たいな…あ、そうだ。ユウト上田さんのメルアド分かる?」

「分かんない」

「なら教えとくからさ。上田さんとメールしてみてよ」

「なんで俺が?!」

「いいじゃん。上田さんとお前も仲良くなれば、いろいろ…ね♪」

「ね♪ってなんだよ、ね♪って…」

⏰:09/11/01 16:20 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#54 [ゆうと]
アキヒロの考えは、つまりこんなもんだ…

俺が上田さんとアキヒロの繋ぎ役…中間的存在になってくれってことだろう…


アキヒロから上田さんのアドレスを聞き、部屋に戻ってからメールを送った。

⏰:09/11/01 16:25 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#55 [ゆうと]
俺のメール内容↓
「こんばんは。K高出身の小林佑翔です。今日はありがとうございました」

数分もしないうちに返事が返ってきた。

「お疲れ様♪今日は楽しかったよぉ!また行こうね」

そんなこんなでやり取りが続き、また1日が終わった。

⏰:09/11/01 16:33 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#56 [ゆうと]
翌日も午前中に練習があった。
体育館が片面しか使えない関係で、男女混合で練習をすることになった。

みんなの視線は、ユウキと俺とリョータに集まった。
ユウキと俺は高校からずっと一緒にやってきてたからコンビplayが炸裂し、俺とリョータ、ユウキとリョータの息もピッタリだった。

歓声が起こることが嬉しかったのだが…

⏰:09/11/01 16:43 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#57 [ゆうと]
上田さんの登場だ。

昨日の笑顔を感じさせない、真剣な表情でボールを持った。
そして、周りに的確な指示を出す。
小柄な上田さんはポイントガードだ。
(180pの俺はフォワード)

ナイスplayが出ると、上田さんは笑顔になる。
ミスをしても、ごめーんと言いながら笑っている。

昨日はそこまで思わなかったが、アキヒロの言う通り、上田さんの笑顔はめちゃくちゃ可愛かった。

⏰:09/11/01 16:58 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#58 [ゆうと]
193pのアキヒロは、1人ずば抜けて背が高いから目立つ。

アキヒロも気合いを入れてplayしている。


練習を通して、男女仲良くなっていった。

3時間の練習は、あっという間に終わった。

⏰:09/11/01 17:03 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#59 [ゆうと]
女バスの新1年生とも仲良くなった。
特にアキナとチヒロという子達とは、よく絡むようになった。

仲良くなったその日に、ユウキ、俺、アキナとチヒロの4人で昼飯を食べに行った。
話が合うことから、まったく気を遣わない友達になっていくことになる。

⏰:09/11/01 17:19 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#60 [ゆうと]
学生は大金は持っていない。
だから安くで長居できるファミレスに入った。

地元のこと、これからのことで話が盛り上がってきた時、

「ねぇ、男バスの土井君(アキヒロ)ってさ、彩乃さんのこと好きでしょ」

チヒロがパスタをフォークにクルクルに巻きつけながら言った。

⏰:09/11/01 17:32 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#61 [ゆうと]
「なんで?」

「だって〜…しつこいくらい彩乃さんにメール送ってるみたいだし、私やアキナにも彩乃さんのこと教えてってしつこいんだもん」

「チー(チヒロ)にきたメールすごかったよね。彩乃さんの細かいプロフィール知りたいからって出身地とか実家の住所とか電話番号聞いといてって…」

「…マジかよ」
ユウキは苦笑いでドリンクを飲んでいた。
俺は昨日、アキヒロに上田さんのこと好き発言を聞いたばかりだ。
しかも、誰にも言わないでくれとあれほど念を押されたのに…

⏰:09/11/01 23:05 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#62 [ゆうと]
あれから5日後…

隣の女子寮が完成した。明日には全員寮に移動してくるみたいだ。


上田さんとのメールは、毎日の俺の日課になっていた。
恋愛感情とかまったくなしの、普通のメール。

「明日引っ越しだよぉ。大変だぁ…4年生から順番に荷物入れていくみたい。…そこでユウト君にお願いなんだけど…」

⏰:09/11/01 23:11 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#63 [ゆうと]
「なんですか?」

「明日の引っ越し手伝ってもらいたいなぁ〜って思って(笑)」


あれ?
アキヒロが上田さんの手伝いするって言ってたのに…
しかもかなり張り切って…


「俺は全然構わないけど、アキヒロが上田さんの手伝いするって…」

⏰:09/11/01 23:14 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#64 [ゆうと]
電話がきた。上田さんからだ…

「もしもし?」
「もしもしユウト君?あたしだけど…」

「あぁ、はい。お疲れ様です」

「お疲れ様♪明日の…さ、引っ越しのことなんだけど…」

⏰:09/11/01 23:20 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#65 [ゆうと]
「はい、なんかアキヒロが上田さんの手伝いするんだ!ってめちゃくちゃ張り切ってましたよ。明日に備えてもう寝たみたいだし…」

「だから電話しても出ないんだ…困ったなぁ…」

「起こしましょうか?ってか、なんかあったんすか?」

⏰:09/11/01 23:23 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#66 [ゆうと]
「あ、起こさなくていいよ。いやね、最近ちょっと土井君が、恐いっていうかなんていうか…」


アキナとチヒロが言っていたことだ。

「あぁ、ちょろっとは聞いてるけど…」

「メール返さないことがあったのね…そしたら土井君から鬼のようにメールとか電話がかかってきて…」

どうやらアキヒロの行動は、どんどんエスカレートしてきているようだ。

⏰:09/11/01 23:36 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#67 [ゆうと]
「げ…マジすか?じゃあ明日はどうするんすか?」

「ん〜…だから明日はマコに手伝ってもらうからって断ろうと思ったのね…」

「マコさんが来たらアキヒロ何するか分かんないっすよ。それに、マコさん見ると変な刺激になるかもしれないし…」

「やっぱりぃ?どぉしよ…」

⏰:09/11/01 23:41 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#68 [ゆうと]
「じゃあ、明日は俺とユウキで仕事振り分けてやりますよ」

「どういう意味?」

「とりあえず、明日の引っ越しの時に分かりますから。10時には荷物がこっちに届くんすよね?だったら、10時に入居する部屋で待っててください。他の先輩にも、そうやって伝えててください」

⏰:09/11/01 23:45 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#69 [ゆうと]
「よく分かんないけど、まぁいいや♪じゃ、明日お願いね」

「了解です。じゃ、おやすみなさい」


電話を切り、俺はユウキと明日の作戦を考えることにした。



そして翌日10時…
先に4年生が到着して、それぞれの部屋に入っていった。

⏰:09/11/01 23:48 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#70 [ゆうと]
続いて、荷物を載せたトラックが到着した。
アキヒロが『上田』と書かれたダンボールを探し始める。

「んじゃ、仕事振り分けるね。AグループとBグループに分けてるからそれ通りに…」

「は?何それ。グループとかあんの?」
アキヒロはやっぱり食いついてきた。

「うん。Aはアキヒロ、リョータ、ケンタロウ、コウイチのデカ組ね。Bがシュン、ヒロユキ、俺とユウキのチビ組」

⏰:09/11/01 23:57 📱:F902iS 🆔:1/hxFirQ


#71 [我輩は匿名である]
「テキトーにやりゃあいいじゃん。いちいちグループとかだりぃよ」

案の定、アキヒロはキレだした。

「チビ組が荷物運んだ方が要領いいかもな。だってデッカいのとちっちゃいのがゴチャゴチャしてたら正直ダルいし、出入りがコンパクトでスムーズに行くかも」

コウイチが意見を出してくれた。この一言に、かなり救われたな…

⏰:09/11/02 00:08 📱:F902iS 🆔:M91w052E


#72 [ゆうと]
↑(ハンネ抜けてた)

アキヒロはぶつぶ文句を言っていたが、さすがに折れたみたいでトラックの荷台へと乗り、ダンボールを降ろす作業に入った。


俺とユウキの勝手な意見に何も文句を言わず、作業してくれた5人には本当に悪いなぁと思いながらも、心の中でありがとうをつぶやいた。

⏰:09/11/02 00:13 📱:F902iS 🆔:M91w052E


#73 [ゆうと]
チビ組の俺ら4人は、降ろされたダンボールを受け取っては運び、受け取っては運びの作業を繰り返し行った。

グループ分けしたのはいいけど、実際はこっちの作業の方がキツい。



それから何時間経っただろうか…
最後の新1年生の分まですべて終わった頃は、みんなクタクタになっていた。

⏰:09/11/02 00:18 📱:F902iS 🆔:M91w052E


#74 [ゆうと]
女バスの寮に電気が灯る。
それだけで、暗くて静かなこの辺りが一気に明るくなったように感じる。
引っ越しが全部終わり、女バスからお礼のメールが数件届いた。
一件一件見ていると、誰かが俺の部屋の呼び鈴を鳴らした。

⏰:09/11/02 00:23 📱:F902iS 🆔:M91w052E


#75 [ゆうと]
ガチャッ…

そこにはアキナが立っていた。

「おう!アキナ」
「お疲れ様!今日はありがとうね」

「いえいえ♪んで、どうした?」
「もう晩ご飯食べたかなぁって思って」

「まだだよ。今作ろうかコンビニ行こうか迷ってたところ」
「ホント?ねえ、じゃあ食べに行かない?あたしもまだ食べてないんだ」

「いいね。じゃあちょっと待ってて」

⏰:09/11/02 00:29 📱:F902iS 🆔:M91w052E


#76 [ゆうと]
パーカーをはおって準備をする。

電話が鳴った。
上田さんだ。

「もしもし?」
「あ、ユウト君?今日ありがとうね。めちゃくちゃ助かった♪」

「いえいえ。もう荷物片付きました?」
「あとちょっと残ってるくらいかな。…今暇?」

「いやぁ…ちょっと今から外行ってきます」
「そうなんだ。ユウキ君とかと一緒に?」

⏰:09/11/02 00:34 📱:F902iS 🆔:M91w052E


#77 [ゆうと]
「いや、今日はユウキは一緒じゃないっすよ」
「そうなんだ。誰と行くのぉ?」

「アキナです。女バスの」「…そっか。じゃあいいや。またね」

プツッ

あれ?
上田さんの様子がなんかおかしい。
ま、いっか。
ケータイをポケットにしまい、鍵をかけた。

「ごめん、行こ」

⏰:09/11/02 00:39 📱:F902iS 🆔:M91w052E


#78 [ゆうと]
「ここは美味しいって評判だよ!」

アキナが自信満々に紹介してくれた店は洋食屋だった。
ちょっとオシャレな店だったけど、俺もアキナも構わずバスケの格好…スウェットで入店した。

パスタやペンネグラタンやらパンやらサラダやらデザートが出てきた。

コース料理を頼んだからテーブルにはVIP料理が並んだ。

⏰:09/11/02 00:47 📱:F902iS 🆔:M91w052E


#79 [ゆうと]
アキナは整った顔立ちだ。鼻筋がスッと通ってて、綺麗な二重。

だからこういうコース料理なんかを食べてると、どこかの国のお姫様みたいだ(スウェットだけど)

「あ!このグラタンめちゃくちゃウマい!」
「でしょ?チーズが一級品らしいよ。あたしもここに来た時はこのグラタン目当てって言っても過言じゃないな〜」

⏰:09/11/02 00:55 📱:F902iS 🆔:M91w052E


#80 [ゆうと]
完食し、しばらく雑談タイムに入った。

「そろそろ帰ろっか」
レジに向かい、俺はポケットから財布を取り出した。

「あ!いいってユウト君!」
「なんで?俺が出すよ。いい店紹介してもらったんだから」

「何言ってんの。引っ越しのお礼だよ。だから今日ここに来たんだよ」

⏰:09/11/02 01:02 📱:F902iS 🆔:M91w052E


#81 [ゆうと]
「何言っ…バカ。いいよ気持ちだけで。じゃあ割り勘にしよ」

「ほんの気持ちだから。お願い!今日だけ!お礼させて…ね?」

そう言うとアキナは会計を済ませ、俺の背中を押して外に出た。

「なんか…ごめんな」
「違うのよ。ほんのお礼だから」
「じゃあお言葉に甘えて…ごちそうさまでした」

「美味しかったでしょ?」
「そりゃあもう…」

⏰:09/11/02 01:08 📱:F902iS 🆔:M91w052E


#82 [ゆうと]
「よかった!」
アキナはニッコリ笑った。
そりゃあもう、眩しい笑顔でしたわ。

「帰る?どっか寄る?」
「DVD借りたいんだよね。明日の夜女バスで上映会やるんだ」
「へぇ〜。楽しそう」
「ユウト君もおいでよ。なんなら加藤君(ユウキの名字)とかも誘ってさ」

「行く行く!んで何借りるの?」
「ん?ソウ3」

⏰:09/11/02 01:15 📱:F902iS 🆔:M91w052E


#83 [ゆうと]
「ソウ3?げ…あのグロいやつだろ?」

「そうだよ。2見た人多かったから3見ようってなったんだ♪あれ?ユウト君そういうの苦手?」

「い、いや。苦手じゃないよ」
「じゃあ明日一緒に見ようね!TSUTAYAは遠いからゲオ行こ♪」


…そんなこんなで帰宅。

⏰:09/11/02 01:20 📱:F902iS 🆔:M91w052E


#84 [ゆうと]
アキナも自分の部屋に戻っていった。


俺も部屋に戻り、風呂入ってからベッドに転がりこみ、爆睡した。
今日はとにかく疲れた。

また明日練習がある。
あ、準備してない…
まぁ、いっか…

⏰:09/11/02 01:25 📱:F902iS 🆔:M91w052E


#85 [ゆうと]
翌日も午前中に練習があった。
今日はコートが一面使えるから、男女別々。

練習前…
体育館の入り口で上田さんに会った。

「おはようございます♪」
「あ…おはよ」

ニコリとはしたものの、フイッと顔をそむけられ、小走りで先に体育館に入っていった。

⏰:09/11/02 01:30 📱:F902iS 🆔:M91w052E


#86 [ゆうと]
あれ…?
俺…なんかやらかしたっけ?
いつもの上田さんじゃない…
まぁいいや。後で部屋行ってみよ!


特に気にせず、練習に取り組んだ。

今日は、昨日のグラタン率いるコース料理でパワー全開だ!
シュートが面白いくらい入る入る♪

⏰:09/11/02 01:34 📱:F902iS 🆔:M91w052E


#87 [ゆうと]
そして練習終了後…

「上田さん!」

「ああ、ユウト君」

「今日なんか…元気ないっすね」

「そんなことないよ」

「そうすか?あ!あとで部屋行っていいですか?初女子寮ってことで上田さんの部屋見てみたいし(笑)」

⏰:09/11/02 01:38 📱:F902iS 🆔:M91w052E


#88 [ゆうと]
「…ごめん。今日これからマコと会う約束してるから…」

「え?あ…そうなんだ。じゃあ、しょうがないな」
俺はキョドりながら笑って答えた。

上田さんも笑っていた。でも、なんかぎこちない笑顔…


体育館からアキナが出てきた。
「あ、ユウト君!」

⏰:09/11/02 01:44 📱:F902iS 🆔:M91w052E


#89 [ゆうと]
「アキナ」

「お疲れ〜♪ユウト君、今日調子よかったでしょ。シュートばんばん決めてたね♪」

「うん」

「シュート決まった時ユウト君ニヤニヤしてたよ。それ見てあたしが笑ってしまったし(笑)」

「うそ…俺ニヤニヤしてた?キモッ」

「ウケる(笑)」

⏰:09/11/02 01:49 📱:F902iS 🆔:M91w052E


#90 [ゆうと]
アキナの弾丸トークに耳を傾けながら横を見た。
上田さんがいない…
いつもの上田さんなら、ノリがよくて一緒に笑ってるはずなのに…


夜にでも上田さんの部屋に行ってみよう。
モヤモヤしたままじゃ、なんか落ち着かない。

帰りはユウキとアキヒロにDVD上映会の話をしながら帰った。

⏰:09/11/02 01:54 📱:F902iS 🆔:M91w052E


#91 [ゆうと]
部屋に戻り、洗濯機を回す。

呼び鈴も鳴らさず、アキヒロが入ってきた。

「聞いて。昨日から上田さんまったく返信くれないんだけど…」

「疲れてたんじゃね?」

「しかも今日とか、かなり不機嫌だったし…どうしたんだろ」

やっぱり不機嫌だったんだ…
しかも昨日の夜から…
やっぱり何かあったんだ。

⏰:09/11/02 02:00 📱:F902iS 🆔:M91w052E


#92 [ゆうと]
昼からの上映会には、俺とユウキとアキヒロが参加した。
要するに、いつものメンバーだ。
なんかこの3人以外、基本的におとなしいヤツばかりだ。


初めての女子寮は、新築のいい匂いがした。
上映会はアキナの部屋で行われた。

気が付けば、隣には常にアキナがいたな…

⏰:09/11/02 02:05 📱:F902iS 🆔:M91w052E


#93 [ゆうと]
そして、気が付けばアキナは俺のことを『ユウト』と呼んでいた。


ソウ3を見ている時も、終わった後も、アキナは隣にいた。
それがごく自然で、当たり前のようになっていた。

⏰:09/11/02 02:08 📱:F902iS 🆔:M91w052E


#94 [ゆうと]
夜…

俺は近くの自販機にジュースを買いに行った。
すると、ちょっと先の方でオンボロの赤い車が停まった。
見たことあるかも…


『マコちゃん』carだ…

上田さんが降りてきた。『マコちゃん』がバイバイと言ってもそっけない態度で、寮へと入っていった。

⏰:09/11/02 02:13 📱:F902iS 🆔:M91w052E


#95 [ゆうと]
『マコちゃん』carが俺の方へ近づいてきた。

俺に気付いた『マコちゃん』は覚えていたのか、手を振ってきた。

暗がりでキュピーンと光る黒縁メガネは『マコちゃん』を、より一層おっさん化させる不気味なアイテムとなっていた。

お世辞にも、似合ってるとは言えない…

⏰:09/11/02 02:16 📱:F902iS 🆔:M91w052E


#96 [ゆうと]
『マコちゃん』carは、そのまま大きな通りまで出ていった。

俺は冷たいジュースを片手に、意味もなく『マコちゃん』を見送った。




…上田さん帰ってきたんだ。
とりあえず部屋に戻ろう。

⏰:09/11/02 02:44 📱:F902iS 🆔:M91w052E


#97 [ゆうと]
「お疲れ様です。今から部屋行っていいですか?」

メールを送った。


10分しても返ってこない…
20分経ったのに返ってこない…

電話をかけた。
電話も出ない。

ヤバい…
俺本当になんかやらかしたのかも…

⏰:09/11/02 02:51 📱:F902iS 🆔:M91w052E


#98 [ゆうと]
仕方ない…
会いに行ってみよう…


上田さんの部屋は102号室。
それだけを頼りに女子寮へ向かった。


ピンポーン…







しーん…

⏰:09/11/02 02:55 📱:F902iS 🆔:M91w052E


#99 [ゆうと]
ヤバい…
これはヤバいぞ…
本格的にヤバい…
リアルにヤバい…


今までの俺の行動を思い返してみたけど、これといった原因は見当たらない…

一体どうして…?

♪♪♪♪

ケータイが鳴った。
電話…上田さんだ…

「あの…もしもし?」

⏰:09/11/02 02:58 📱:F902iS 🆔:M91w052E


#100 [ゆうと]
「もしもし?」

「あの…すみません。何度も…」

「ああ、ごめんね。お風呂入ってたから…」


よかった…
風呂だったんだ…

「そうですか。あの…今部屋の前にいます」

「誰の?」

「上田さんの」

⏰:09/11/02 03:01 📱:F902iS 🆔:M91w052E


#101 [ゆうと]
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-1000

⏰:09/11/02 03:04 📱:F902iS 🆔:M91w052E


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