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#1 [ゆうと]
お前は恋に恋するタイプ…
そんなことを言われたのはつい最近だ。
ショックだった。
「そんなんで自分の女守れるわきゃねーだろこの芋野郎!」
そう言い返してやったが、せせら笑われた。
:09/10/31 01:59
:F902iS
:DINsBX2g
#2 [ゆうと]
俺は今年で21歳になった小林 佑翔(こばやし ゆうと)※漢字違うけど本名
恋に恋するヤツ発言をしたのは俺の親友・ユウキ。
ユウキの言葉にカチンときた。
でも、俺の過去の恋愛を巡っていくと、確かにそうかもしれないって思うようになった。
:09/10/31 02:07
:F902iS
:DINsBX2g
#3 [ゆうと]
───2年前───
当時、俺は18歳だった。
高校卒業後、大学という次のステップが待っていた。
俺は頭のいい方じゃない。むしろパッパラパーだ。因数分解なんてこの世のものじゃないし、サイン・コサイン・タンジェントなんて小島よしお並にどうでもいい…
:09/10/31 02:13
:F902iS
:DINsBX2g
#4 [ゆうと]
俺はガキンチョの頃からバスケット大好き人間だった。
三度の飯よりバスケ…
頭パッパラパーな俺が大学に入学できるのは、バスケットがあったから…
バスケのスキルはそこそこだったし、それなりの結果出してたから推薦をもらえた。
K大学に入学が決まり、入学までの約1ヶ月はとことん遊びまくろう♪
そう考えていた。
:09/10/31 02:20
:F902iS
:DINsBX2g
#5 [ゆうと]
2月…
「3月から入寮なので、よろしくお願いします」
そんな通知が送られてきた。
母は、
「え〜?入寮3月…3日?」
と、あたふたしている。
通知を読み、幾度となくマスオさん混じりの「え〜?」を連呼する母を見て、俺はクスクス笑っていた。
「ユウト!あんた3月には入寮だって…もう1ヶ月もないよ」
「クスクス…ゴホン!…あぁ、うん」
俺は力なく答えた。
:09/10/31 02:29
:F902iS
:DINsBX2g
#6 [ゆうと]
決まったもんは仕方ない…
よっしゃ!
準備しましょか!
3月1日に卒業式…
その2日後には、もうK大学(以下、K大)の寮に入るんだ…
ワクワクドキドキする反面、緊張でプルプルワナワナしていた俺だったが…
そうだ!
ユウキも一緒だから頑張れる!
そう!
ユウキと俺は同じ大学に入学が決まっていたのだ。
:09/10/31 02:36
:F902iS
:DINsBX2g
#7 [ゆうと]
そして迎えた3月3日…
入寮に向けて引っ越しを始めた。
父さん、母さんは忙しい中、俺の引っ越しのために仕事を休んで手伝ってくれた。
はるばるとK大まで…
父「いい男になれよ」
母「辛くなったらいつでも呼ぶんだよ」
そう言うと、母さんを乗せた父さんの運転する車は見えなくなった。
見えなくなった瞬間、胸がジーンってなって寂しさを感じた。
お泊まり保育以上の寂しさだった。
:09/10/31 02:46
:F902iS
:DINsBX2g
#8 [ゆうと]
そんな寂しさは、約3分後には忘れられることになる。
「引っ越し終わった?」
ユウキが部屋に入ってきた。
「あ〜、まだ細々してるヤツ片付けないと…ってかお前、何ニヤニヤしてるん?」
「いい事聞いたんだぁ♪」
「何?何?」
「あのね、この寮の隣、今工事中じゃん?何ができると思う?」
「…コンビニ?知らん」
「女子バスケ部の寮だよ」
:09/10/31 02:59
:F902iS
:DINsBX2g
#9 [ゆうと]
「えぇ〜?」
驚いた。
俺もマスオさんになっていた。
やっぱり俺って母さんの息子なんだな…
「いいのかよ!男子寮の横に女子寮って…」
「なぁ。驚きだよな」
「ってか、K大に女子バスケ部ってあったんだ…」
「何言ってんだよ…女バスとか1部でバリバリじゃねーか。世間は男バスができたことにビックリしてるんだよ」
:09/10/31 03:08
:F902iS
:DINsBX2g
#10 [ゆうと]
(1部、2部…ってあって強いチームほど2部→1部って上がっていくわけです)
「知らなかった」
「ま、とりあえず頑張ろうな。あ!もうちょいしたらさ、吉野家行こうや♪腹減った」
ユウキのこのお誘いで、第1回目のすれ違いが生じることになる。
:09/10/31 03:17
:F902iS
:DINsBX2g
#11 [ゆうと]
(補足:男子バスケット部は俺らが第1期生です)
PM7:30〜
「吉野家ってこの近く?」
「うん。さっきここへ来る途中見つけた♪」
ユウキの地理力と勘はハンパじゃない。
俺とユウキはそれぞれのチャリに乗り、暗くて静かな道をチリンチリン鳴らしながら颯爽と駆け抜けた。
この季節の夜はまだ少し冷える。
俺はそんな季節がたまらなく好きだ。
すると…
:09/10/31 03:30
:F902iS
:DINsBX2g
#12 [ゆうと]
蛇行しながらこちらへやってくる2台のチャリ族発見。
いかにも『なんかスポーツやってます』的な格好をした女2人だった。
…それだけは覚えてる。
俺達は何も気にすることなく、そのチャリ2台とすれ違った。
向こうはコソコソ話しながらこちらを見ていたようだが…
とりあえず視線だけは感じていた。
:09/10/31 03:41
:F902iS
:DINsBX2g
#13 [ゆうと]
吉野家には30分ほどで着いた。
近くにあると言っていたのにだいぶかかったな。
牛丼を食べ→ダイソー→雑貨屋
の流れで、K市を満喫した。初めて見るK市は、俺の住んでいた町よりはるかに都会で、にぎやかで、明るかった。そんなK市を、俺は一目で好きになった。
帰宅…
明日は服屋に行こうとか、生活用品を見に行こうとか、ユウキとあれこれ約束してお互い部屋へと戻った。
:09/10/31 21:15
:F902iS
:DINsBX2g
#14 [ゆうと]
部屋へ戻り、残りの荷物を片付けた。
寮といっても個室だったから、1人暮らしのようなものだ。
ベッドの上に転がり、雑誌を読んでいた。
ピンポーン
呼び鈴が鳴り、ドアを開ける。
N県から来ていたアキヒロだ。アキヒロは馴れ馴れしいことで地元で有名だったようだ。
「名前アキヒロだっけ?入りなよ」
「おじゃま〜」
:09/10/31 21:26
:F902iS
:DINsBX2g
#15 [ゆうと]
「ちょっと散らかってるけど気にしないで!」
「大丈夫」
アキヒロはベッドにドカンと座り込んだ。
読んでいた雑誌がグシャッという音をたて、アキヒロの尻の餌食となった…
アキヒロはお構いなしにニヤニヤしながら口を開く。
「なんとかユウトだよね?俺人の名前覚えれないからさぁ(笑)」
「小林だよ」
そんな感じの会話が続き、話しているうちに仲良くなっていったっぽい。
:09/10/31 21:34
:F902iS
:DINsBX2g
#16 [ゆうと]
そして本題!
「あ!そうだ…さっき女バスの先輩が来たよ」
アキヒロがニヤニヤしながら話し出す。
「へぇ。何しに?」
「新しく出来る寮を見に来たんだって。あと5日くらいで完成だから下見に来たらしい」
そういえば…
「もしかしてバスケのスウェット着てた人?2人?」
:09/10/31 21:39
:F902iS
:DINsBX2g
#17 [ゆうと]
「そーそー。知ってんの?」
「あ、いや…さっきそこの道路でそれらしき2人組とすれ違ったから。でも顔は見えなかったよ」
「そうなんだ。1人可愛い人いたよ!」
アキヒロは嬉しそうに言った。
「なんていうか…可愛いけどドSって感じのさぁ(笑)俺Mだからああいう人好きかも(笑)」
アキヒロのニヤニヤは最高潮に達した。
:09/10/31 21:47
:F902iS
:DINsBX2g
#18 [ゆうと]
それからはアキヒロの今までの彼女の話だの、俺のタイプは…だの、過去の武勇伝だの、頼んでもいないことを延々と聞かされるハメになった。
アキヒロは背が高く、手足が長くてスタイルがいい。
ただ、顔がアンガールズの田中だけど…
アキヒロはしゃべり疲れたらしく、部屋へ戻っていった。
俺は踏み潰された雑誌を読んでいたんだが、その『女バスの可愛い人』という人物が気になり始めた。
:09/10/31 21:58
:F902iS
:DINsBX2g
#19 [ゆうと]
顔くらい見とけばよかったな…
ちょっとした後悔はあったものの、実際はまったく知らない人だから翌日には忘れていた。
K市に来て2日目…
昨日の約束通り、午前中にユウキとK市をぶらぶらした。
午後からは、男バスの新1年生全員でカラオケに行った。
新1年生は全員で8人。この8人だけでスタートするのだから、バスケをする上で多少難しい面がある。
そんな8人はすぐに仲良くなった。
:09/10/31 22:17
:F902iS
:DINsBX2g
#20 [ゆうと]
1日中遊ぶことは久しぶりだった。
明日からは練習が始まるんだ。
部屋に戻ってからは、荷物の中から練習着を引っ張り出すことに専念した。
ちゃんと片付けたつもりだったのに、どこに何があるのか分かんねぇ…
:09/10/31 22:23
:F902iS
:DINsBX2g
#21 [ゆうと]
その時だ。
外から話し声が聞こえてきた。
数人はいる。
アキヒロの調子こいてる時の甲高い笑い声、ユウキの声もする。その他数人はいたみたいだ。
寮周辺は静かなご近所…
その話し声がうるさかったのか、入浴後っぽい股引を履いたじいさんまでもが登場し、うるせー的なことをガミガミ言っている。
そのにぎやかな御一行は寮へと入ってきた。
:09/10/31 22:33
:F902iS
:DINsBX2g
#22 [ゆうと]
ピンポーン…
御一行が俺の部屋へ来たようだ。
ドアを開けると、
「起きてた〜?ユウト君」
アキヒロの様子がおかしい。1人でビール飲んでて酔っ払ったらしい。
おいこら未成年…
「ちょっ…お前酒くせーよ。ってか隣のじいさんキレてたじゃん」
「生きてるから大丈夫〜!あ、上田さん、こいつが小林ってやつです」
:09/10/31 22:41
:F902iS
:DINsBX2g
#23 [ゆうと]
上田さん…?
アキヒロの横に小柄な女性が立っている。
「K高の子だよね?ってか昨日自転車ですれ違ったみたいだね〜」
ニコニコして俺に話しかけてくる。
「K高知ってるんすか?」
「うん!バスケ部強かったじゃん(笑)」
(K高は俺の出身です。ゴチャゴチャしててすみません)
:09/10/31 22:48
:F902iS
:DINsBX2g
#24 [ゆうと]
「ってか、女バスにK高出身の子がいるからさ。後輩が来るっていうから見てみたいって思って♪」
初対面なのに照れることなく淡々と話す彼女の名前は『上田』というらしい。
上田 彩乃(うえだ あやの)
昨日アキヒロが言っていた『可愛い人』は、たぶんこの人だろうと予想がついた。
アキヒロの顔を見ると、酔いとは別に顔が赤くなっている。
それで確信がついた。
:09/10/31 22:54
:F902iS
:DINsBX2g
#25 [ゆうと]
御一行は俺の部屋に入ってきた。
軽く1時間はいろんな質問攻めに合ったと思う。
上田さんと一緒に来ていたもう1人の女バスの先輩は、ミクさんという人。
2人とも4年生だと言う。
アキヒロ、ユウキ、上田さん、ミクさん、俺の5人はすぐに仲良くなった。
:09/10/31 23:04
:F902iS
:DINsBX2g
#26 [ゆうと]
大学の寮生活は、高校の時よりはるかに自由が利く。
まだ入学はしていなかったが…ってか、まだK市に来て2日目なのだが、すべてが新鮮で楽しかった。
上田さん達は4年生ということで、俺達に比べてすべてがしっかりして見えた。
もっと仲良くなりたいな…
「ねぇ、そろそろ帰ろうか。マコちゃん待ってるよ」
:09/10/31 23:11
:F902iS
:DINsBX2g
#27 [ゆうと]
「…マコちゃん?」
アキヒロが目を丸くして聞く。
「うん。マコちゃん。アヤの彼氏」
ミクさんは上田さんのことを『アヤ』と呼ぶ。
「そうなんだ。…そりゃあ、彼氏いますよねぇ」
アキヒロは残念そうに笑いながら言う。もう酔いは覚めたみたいだ。
寮を出て少し行った所に1台の赤い車が停まっていた。
俺達に気付くと、『マコちゃん』はエンジンをかけた。
:09/10/31 23:16
:F902iS
:DINsBX2g
#28 [ゆうと]
「押しかけちゃってごめんね〜。楽しかった。ありがとう♪またね!」
上田さんは助手席に、ミクさんは後ろに乗り込んだ。
運転席の窓が開いた。
『マコちゃん』はニコッと笑い、頭をちょこんと下げた。
暗かったから顔はよく分からなかったけど、大人の男!っていうオーラは感じ取れた。
:09/10/31 23:20
:F902iS
:DINsBX2g
#29 [ゆうと]
俺は返す言葉がなくて、
「彼氏さんですよね?今度ドライブ連れて行ってくださいよ♪」
と言った。
『マコちゃん』は照れ臭そうに笑い、小さく頷いた。
上田さんも笑って
「今度ね♪」
なんて言ってた。
ユウキは
「その時は俺も!」
と言った。
アキヒロは引きつり笑いを演じていた。
:09/10/31 23:25
:F902iS
:DINsBX2g
#30 [ゆうと]
俺達は赤い車を見送った。
『マコちゃん』はクラクションを2回鳴らし、上田さん達2人は手を振ってくれた。
大学生の恋愛ってなんか大人だなぁ〜
なんて思ってた。
小学校の頃は恋愛なんか興味なし、中学校の頃は彼女との登下校、高校はいろいろ発展して〜…ってな感じで恋愛を経験してきた。
そんなものがちっぽけなものに思えたと同時に、今までの恋愛の価値観が子供に思えた。
:09/10/31 23:40
:F902iS
:DINsBX2g
#31 [ゆうと]
あのクールな感じの『マコちゃん』も、俺みたいな恋愛を経験してきたのだろうか…
俺も大人になれるのだろうか…
その一瞬で、いろんなことを考えた。
:09/10/31 23:45
:F902iS
:DINsBX2g
#32 [ゆうと]
翌日…
女バスが練習するコートの横で、8人の新生男バスは集合した。
監督の大川さんの指導の下でやっていく。
女バスはできたばかりの男バスに興味深々でこちらを見ていた。
:09/11/01 01:50
:F902iS
:1/hxFirQ
#33 [ゆうと]
練習が始まった。
個々のスキルを見せようと、みんな張り切っていた。
アキヒロは自分のバッシュの紐を踏んづけて転び、恥ずかしかったみたいでブルーになっていた。
そんなこんなで練習は終わった。
初日ということもあってかなり楽なメニューだった。
:09/11/01 01:54
:F902iS
:1/hxFirQ
#34 [ゆうと]
練習が終わったのは昼過ぎ…
春休みということもあり、大学内は静かだった。
めちゃくちゃ心地よい風が吹いていた。
綺麗なピンク色の桜の花びらが風に舞い、K大を明るく包み込んだ。
チャリで寮まで帰る。
坂道を一気にかけ降りると、去年まで見ていた桜の木とは違う桜の木に出会う。
K高内の桜は少なかった。
だから季節を感じる。…なんてことはなかった。今目の前にある桜の木は、圧倒的な存在感を感じさせてくれる。
:09/11/01 02:06
:F902iS
:1/hxFirQ
#35 [ゆうと]
ユウキとアキヒロ、もう1人男バスのリョータと俺の4人で昼からK市に遊びに行くことになった。
準備をして、バスに乗っていざ出陣!
TSUTAYAを発見した。しかもかなりデカい
俺の地元のTSUTAYAの10倍はある…
それほど俺の地元はショボかった…
バスを降りてTSUTAYAへ向かう。
「あれ?」
:09/11/01 02:16
:F902iS
:1/hxFirQ
#36 [ゆうと]
後ろから声がした。
振り向くと上田さんだった。
「あらー!4人で来たの?」
「はい…ってか、あれ?上田さん1人ですか?」
「いや、彼氏と」
「そうなんだ」
仲良しカップルなんだな…
「あの…彼氏さんって今…どこにいます?」
アキヒロは『マコちゃん』が気になって仕方がないようだ。
:09/11/01 02:22
:F902iS
:1/hxFirQ
#37 [ゆうと]
「ん?彼氏?たぶん雑誌のとこにいるよ」
アキヒロが顔をよく見てみたいと言う。
俺もこの前見た、あのクール&大人な『マコちゃん』がどんな人なのか気になっていたから見てみたかった。
「えー?彼氏見たいの?あんまりカッコよくないよ?」
「まっさかぁ!見るだけ見るだけ…」
「…あれ!」
上田さんの指差す方に後ろ姿の『マコちゃん』はいた。
:09/11/01 02:28
:F902iS
:1/hxFirQ
#38 [ゆうと]
買うものが決まったのか、ナイスタイミングで振り返り、こっちに近づいてくる。
手には雑誌を持ち、ポケットから財布を取り出した。
「…」
「…」
「…」
「…」
4人一緒に言葉を失った。
え?こいつが上田さんの彼氏?
え?この上田さんの?
↑たぶん、4人共通してこんなこと考えてたと思う。
:09/11/01 02:34
:F902iS
:1/hxFirQ
#39 [ゆうと]
上田彩乃さんは声は少しハスキー、小柄で、髪がサラサラで肩より長め、顔は広末涼子と北川景子を足して2で割ったような感じだ。
世間でいう美人の部類に入る。
俺が想像していた『マコちゃん』は音をたてて崩れていった。見事に期待を裏切ってくれた。
髪は無造作に伸びていて(決しておしゃれとは言えない)、目がシャキーンで、タラコ唇…
顔のこと抜きにしても、その容姿ば不潔"という印象が残った…
:09/11/01 02:45
:F902iS
:1/hxFirQ
#40 [ゆうと]
「アヤ、聞いて。最新刊出てたよ」
ヌメヌメした声で『マコちゃん』は話す。
「車のやつでしょ?よかったじゃん。買ってきなよ」
『マコちゃん』は嬉しそうにレジへ向かった。
おい…誰か1人くらい「かっこいいですね」とか言えや!
↑(4人共通の心の声)
「あたしの彼氏、車のことしか頭にないからね〜(笑)いっつもあんな本ばっか読んでるんだよ」
「あ…あはははは…」
↑(これが精一杯の返事)
:09/11/01 02:53
:F902iS
:1/hxFirQ
#41 [ゆうと]
「まだTSUTAYAん中見るの?」
上田さんは優しく聞いてくれた。
「いや…別に用事ないから次行こうかなぁ…って」
「そうなんだ。じゃあさ、みんなでマクドナルド行かない?マコがおごってくれるからさ(笑)車は頑張れば後ろに4人乗れるし(笑)」
空腹だった俺らは遠慮がちに、またはしめしめと言わんばかりに返事をして、マクドナルドに行くことになった。
アキヒロは乗り気じゃないけど…
:09/11/01 03:05
:F902iS
:1/hxFirQ
#42 [ゆうと]
会計を済ませた『マコちゃん』が戻ってきた。
「ごめんね、待った?」
「別にぃ。ねえ、この子達もさ、一緒にマクドナルド行きたいって」
「お!みんなで行こか」
「マコバイト代入ったんでしょ?」
「やられた(笑)俺がおごるから、みんな心配しなくていいよ」
わーい
↑(アキヒロ以外)
:09/11/01 03:11
:F902iS
:1/hxFirQ
#43 [ゆうと]
「じゃあ、後ろに乗って…乗り切るかな?」
「詰め込めば入る♪ごめんね、狭いけど(笑)」
『マコちゃん』と上田さんの会話は、どこかほんわかするものがある。
飾ってなくて、ものすごく自然で…
そう考えている時に、マコちゃんcarはエンストした。よく見ると、だいぶ前の型の車だ。
車の雑誌読んでるんじゃなかったんかい…
:09/11/01 03:18
:F902iS
:1/hxFirQ
#44 [ゆうと]
マクドナルド…
注文を終え、ハンバーガーやポテトを乗せたお盆を持って席に着く。
「今日、ミクさんは一緒じゃないんすか?」
ユウキが話を切り出す。
「ミクはバイトだよ」
ピリリリリリ…
「電話だ」
『マコちゃん』は席を立ち、外に出た。
「あの、上田さんと彼氏さんって付き合ってどれくらいなんすか?」
:09/11/01 03:26
:F902iS
:1/hxFirQ
#45 [ゆうと]
「今年で4年目だよ♪」
「4年?!長っ肇
「彼氏さんって何してる人なんすか?」
「マコはあたしと同じ学部だよ。クラスもずっと一緒なんだ」
「え?大学生?…あ、別にそういう意味じゃ…」
「あはは、よく言われる(笑)老けてるよね」
確かに三十路って感じの雰囲気を醸し出してる。アンバランスなカップルに見えるけど、実は調和が取れてるのかも…と思わせるくらい、お互いのことを理解してるようだ。
:09/11/01 03:33
:F902iS
:1/hxFirQ
#46 [ゆうと]
『マコちゃん』が戻ってきた。
上田さんの隣に座り、ハンバーガーを食べ始めた。
「あ、そうだ。アヤ、今日夜は拓弥達と飲み行くけどどうする?」
「あたし行かないよ。電話拓君から?」
「そう。Wデートしようぜみたいなこと言ってたよ。一緒行こ!」
「え〜?……すぐ帰るなら別にいいけど」
「んじゃ、7時に待ち合わせだから、ちょい前くらいに迎え行くよ」
:09/11/01 13:30
:F902iS
:1/hxFirQ
#47 [ゆうと]
「2人仲良いんすね〜」
ユウキがそう言うと、2人は照れくさそうに笑った。
同時に、アキヒロの中で何かがキレた。
「…すみません。ちょっとう○こしてきます」
と言い、立ち上がる。
「いちいち報告すんなよ(笑)」
みたいな会話でギャハハとなったけど、10分〜15分…
アキヒロは帰ってこない。
何かを察した俺は、こっそり抜け出して、アキヒロに電話をかけた。
:09/11/01 13:37
:F902iS
:1/hxFirQ
#48 [ゆうと]
プルルルルル…
プルルルルル…
プルルル…ガチャ
「…しもし?」
「もしもし?お前何してんの?」
「………」
「う○こじゃないんだろ?今どこだ?」
「……バス乗った」
「…は?なんで?帰ってんの?」
「ユウト後で俺の部屋来て。お前だけだぞ。他のやつは呼ばないでな」
電話が切れた。
:09/11/01 13:44
:F902iS
:1/hxFirQ
#49 [ゆうと]
俺は店の中へ戻った。
「アキヒロは?」
「…ああ。なんか猛烈に腹が痛くなったからって慌てて帰ったみたい(笑)昨日ビール大量に飲んで、めちゃくちゃ食べてたみたいだから(笑)心配かけてすみませんだって」
「そうなんだ。よかった」
上田さんがニッコリ笑った。
夕方…
『マコちゃん』と上田さんにお礼を言い、俺達3人はバスに乗り、寮へと戻った。
後から知ったことだけど、女バスの旧寮はK市内の街中にあったみたいだ。
:09/11/01 13:50
:F902iS
:1/hxFirQ
#50 [ゆうと]
約束通り、俺は1人でアキヒロの部屋に行った。アキヒロはベッドに転がり、お香を炊いていた。
「…急にどうした?上田さんの彼氏が原因か?なんか言われたん?」
アキヒロは座り、うつむいた。
「上田さん心配してたぞ」
「…俺さ、好きかも…上田さんのこと」
「…あのさ…上田さんに出会ってまだ3日目だよ?ってか、地質2日目だよ?」
:09/11/01 15:10
:F902iS
:1/hxFirQ
#51 [ゆうと]
やっぱりか…と言わんばかりに俺は話した。
俺の予想は的中した。
「あの男が羨ましいぜ。あんなに可愛い彼女捕まえてさ。あ〜ムカつく。なんであんなブサメンなんかが…」
「でもさ、人の良さそうな感じはしたよな?なんか大人の恋愛って感じで…」
「…お前それ本気で言ってんの?あんなナヨナヨしてて、デレデレした不潔男が?信じらんねー」
:09/11/01 15:22
:F902iS
:1/hxFirQ
#52 [ゆうと]
「確かにカッコよくもなんともないけど、上田さんとめちゃくちゃ仲良しだったじゃん。4年も続くワケだわな」
「仲良しなのは分かってるよ。だからムカつくんだよ」
「アキヒロは上田さんのどこを好きになったの?」
「笑顔、優しさ、可愛さ、あのドSっぽいところ//」
さっきの半泣きだった顔は打って変わってニヤニヤしだした。
:09/11/01 15:40
:F902iS
:1/hxFirQ
#53 [ゆうと]
「まぁ、頑張れよ…」
「冷たいな…あ、そうだ。ユウト上田さんのメルアド分かる?」
「分かんない」
「なら教えとくからさ。上田さんとメールしてみてよ」
「なんで俺が?!」
「いいじゃん。上田さんとお前も仲良くなれば、いろいろ…ね♪」
「ね♪ってなんだよ、ね♪って…」
:09/11/01 16:20
:F902iS
:1/hxFirQ
#54 [ゆうと]
アキヒロの考えは、つまりこんなもんだ…
俺が上田さんとアキヒロの繋ぎ役…中間的存在になってくれってことだろう…
アキヒロから上田さんのアドレスを聞き、部屋に戻ってからメールを送った。
:09/11/01 16:25
:F902iS
:1/hxFirQ
#55 [ゆうと]
俺のメール内容↓
「こんばんは。K高出身の小林佑翔です。今日はありがとうございました」
数分もしないうちに返事が返ってきた。
「お疲れ様♪今日は楽しかったよぉ!また行こうね」
そんなこんなでやり取りが続き、また1日が終わった。
:09/11/01 16:33
:F902iS
:1/hxFirQ
#56 [ゆうと]
翌日も午前中に練習があった。
体育館が片面しか使えない関係で、男女混合で練習をすることになった。
みんなの視線は、ユウキと俺とリョータに集まった。
ユウキと俺は高校からずっと一緒にやってきてたからコンビplayが炸裂し、俺とリョータ、ユウキとリョータの息もピッタリだった。
歓声が起こることが嬉しかったのだが…
:09/11/01 16:43
:F902iS
:1/hxFirQ
#57 [ゆうと]
上田さんの登場だ。
昨日の笑顔を感じさせない、真剣な表情でボールを持った。
そして、周りに的確な指示を出す。
小柄な上田さんはポイントガードだ。
(180pの俺はフォワード)
ナイスplayが出ると、上田さんは笑顔になる。
ミスをしても、ごめーんと言いながら笑っている。
昨日はそこまで思わなかったが、アキヒロの言う通り、上田さんの笑顔はめちゃくちゃ可愛かった。
:09/11/01 16:58
:F902iS
:1/hxFirQ
#58 [ゆうと]
193pのアキヒロは、1人ずば抜けて背が高いから目立つ。
アキヒロも気合いを入れてplayしている。
練習を通して、男女仲良くなっていった。
3時間の練習は、あっという間に終わった。
:09/11/01 17:03
:F902iS
:1/hxFirQ
#59 [ゆうと]
女バスの新1年生とも仲良くなった。
特にアキナとチヒロという子達とは、よく絡むようになった。
仲良くなったその日に、ユウキ、俺、アキナとチヒロの4人で昼飯を食べに行った。
話が合うことから、まったく気を遣わない友達になっていくことになる。
:09/11/01 17:19
:F902iS
:1/hxFirQ
#60 [ゆうと]
学生は大金は持っていない。
だから安くで長居できるファミレスに入った。
地元のこと、これからのことで話が盛り上がってきた時、
「ねぇ、男バスの土井君(アキヒロ)ってさ、彩乃さんのこと好きでしょ」
チヒロがパスタをフォークにクルクルに巻きつけながら言った。
:09/11/01 17:32
:F902iS
:1/hxFirQ
#61 [ゆうと]
「なんで?」
「だって〜…しつこいくらい彩乃さんにメール送ってるみたいだし、私やアキナにも彩乃さんのこと教えてってしつこいんだもん」
「チー(チヒロ)にきたメールすごかったよね。彩乃さんの細かいプロフィール知りたいからって出身地とか実家の住所とか電話番号聞いといてって…」
「…マジかよ」
ユウキは苦笑いでドリンクを飲んでいた。
俺は昨日、アキヒロに上田さんのこと好き発言を聞いたばかりだ。
しかも、誰にも言わないでくれとあれほど念を押されたのに…
:09/11/01 23:05
:F902iS
:1/hxFirQ
#62 [ゆうと]
あれから5日後…
隣の女子寮が完成した。明日には全員寮に移動してくるみたいだ。
上田さんとのメールは、毎日の俺の日課になっていた。
恋愛感情とかまったくなしの、普通のメール。
「明日引っ越しだよぉ。大変だぁ…4年生から順番に荷物入れていくみたい。…そこでユウト君にお願いなんだけど…」
:09/11/01 23:11
:F902iS
:1/hxFirQ
#63 [ゆうと]
「なんですか?」
「明日の引っ越し手伝ってもらいたいなぁ〜って思って(笑)」
あれ?
アキヒロが上田さんの手伝いするって言ってたのに…
しかもかなり張り切って…
「俺は全然構わないけど、アキヒロが上田さんの手伝いするって…」
:09/11/01 23:14
:F902iS
:1/hxFirQ
#64 [ゆうと]
電話がきた。上田さんからだ…
「もしもし?」
「もしもしユウト君?あたしだけど…」
「あぁ、はい。お疲れ様です」
「お疲れ様♪明日の…さ、引っ越しのことなんだけど…」
:09/11/01 23:20
:F902iS
:1/hxFirQ
#65 [ゆうと]
「はい、なんかアキヒロが上田さんの手伝いするんだ!ってめちゃくちゃ張り切ってましたよ。明日に備えてもう寝たみたいだし…」
「だから電話しても出ないんだ…困ったなぁ…」
「起こしましょうか?ってか、なんかあったんすか?」
:09/11/01 23:23
:F902iS
:1/hxFirQ
#66 [ゆうと]
「あ、起こさなくていいよ。いやね、最近ちょっと土井君が、恐いっていうかなんていうか…」
アキナとチヒロが言っていたことだ。
「あぁ、ちょろっとは聞いてるけど…」
「メール返さないことがあったのね…そしたら土井君から鬼のようにメールとか電話がかかってきて…」
どうやらアキヒロの行動は、どんどんエスカレートしてきているようだ。
:09/11/01 23:36
:F902iS
:1/hxFirQ
#67 [ゆうと]
「げ…マジすか?じゃあ明日はどうするんすか?」
「ん〜…だから明日はマコに手伝ってもらうからって断ろうと思ったのね…」
「マコさんが来たらアキヒロ何するか分かんないっすよ。それに、マコさん見ると変な刺激になるかもしれないし…」
「やっぱりぃ?どぉしよ…」
:09/11/01 23:41
:F902iS
:1/hxFirQ
#68 [ゆうと]
「じゃあ、明日は俺とユウキで仕事振り分けてやりますよ」
「どういう意味?」
「とりあえず、明日の引っ越しの時に分かりますから。10時には荷物がこっちに届くんすよね?だったら、10時に入居する部屋で待っててください。他の先輩にも、そうやって伝えててください」
:09/11/01 23:45
:F902iS
:1/hxFirQ
#69 [ゆうと]
「よく分かんないけど、まぁいいや♪じゃ、明日お願いね」
「了解です。じゃ、おやすみなさい」
電話を切り、俺はユウキと明日の作戦を考えることにした。
そして翌日10時…
先に4年生が到着して、それぞれの部屋に入っていった。
:09/11/01 23:48
:F902iS
:1/hxFirQ
#70 [ゆうと]
続いて、荷物を載せたトラックが到着した。
アキヒロが『上田』と書かれたダンボールを探し始める。
「んじゃ、仕事振り分けるね。AグループとBグループに分けてるからそれ通りに…」
「は?何それ。グループとかあんの?」
アキヒロはやっぱり食いついてきた。
「うん。Aはアキヒロ、リョータ、ケンタロウ、コウイチのデカ組ね。Bがシュン、ヒロユキ、俺とユウキのチビ組」
:09/11/01 23:57
:F902iS
:1/hxFirQ
#71 [我輩は匿名である]
「テキトーにやりゃあいいじゃん。いちいちグループとかだりぃよ」
案の定、アキヒロはキレだした。
「チビ組が荷物運んだ方が要領いいかもな。だってデッカいのとちっちゃいのがゴチャゴチャしてたら正直ダルいし、出入りがコンパクトでスムーズに行くかも」
コウイチが意見を出してくれた。この一言に、かなり救われたな…
:09/11/02 00:08
:F902iS
:M91w052E
#72 [ゆうと]
↑(ハンネ抜けてた)
アキヒロはぶつぶ文句を言っていたが、さすがに折れたみたいでトラックの荷台へと乗り、ダンボールを降ろす作業に入った。
俺とユウキの勝手な意見に何も文句を言わず、作業してくれた5人には本当に悪いなぁと思いながらも、心の中でありがとうをつぶやいた。
:09/11/02 00:13
:F902iS
:M91w052E
#73 [ゆうと]
チビ組の俺ら4人は、降ろされたダンボールを受け取っては運び、受け取っては運びの作業を繰り返し行った。
グループ分けしたのはいいけど、実際はこっちの作業の方がキツい。
それから何時間経っただろうか…
最後の新1年生の分まですべて終わった頃は、みんなクタクタになっていた。
:09/11/02 00:18
:F902iS
:M91w052E
#74 [ゆうと]
女バスの寮に電気が灯る。
それだけで、暗くて静かなこの辺りが一気に明るくなったように感じる。
引っ越しが全部終わり、女バスからお礼のメールが数件届いた。
一件一件見ていると、誰かが俺の部屋の呼び鈴を鳴らした。
:09/11/02 00:23
:F902iS
:M91w052E
#75 [ゆうと]
ガチャッ…
そこにはアキナが立っていた。
「おう!アキナ」
「お疲れ様!今日はありがとうね」
「いえいえ♪んで、どうした?」
「もう晩ご飯食べたかなぁって思って」
「まだだよ。今作ろうかコンビニ行こうか迷ってたところ」
「ホント?ねえ、じゃあ食べに行かない?あたしもまだ食べてないんだ」
「いいね。じゃあちょっと待ってて」
:09/11/02 00:29
:F902iS
:M91w052E
#76 [ゆうと]
パーカーをはおって準備をする。
電話が鳴った。
上田さんだ。
「もしもし?」
「あ、ユウト君?今日ありがとうね。めちゃくちゃ助かった♪」
「いえいえ。もう荷物片付きました?」
「あとちょっと残ってるくらいかな。…今暇?」
「いやぁ…ちょっと今から外行ってきます」
「そうなんだ。ユウキ君とかと一緒に?」
:09/11/02 00:34
:F902iS
:M91w052E
#77 [ゆうと]
「いや、今日はユウキは一緒じゃないっすよ」
「そうなんだ。誰と行くのぉ?」
「アキナです。女バスの」「…そっか。じゃあいいや。またね」
プツッ
あれ?
上田さんの様子がなんかおかしい。
ま、いっか。
ケータイをポケットにしまい、鍵をかけた。
「ごめん、行こ」
:09/11/02 00:39
:F902iS
:M91w052E
#78 [ゆうと]
「ここは美味しいって評判だよ!」
アキナが自信満々に紹介してくれた店は洋食屋だった。
ちょっとオシャレな店だったけど、俺もアキナも構わずバスケの格好…スウェットで入店した。
パスタやペンネグラタンやらパンやらサラダやらデザートが出てきた。
コース料理を頼んだからテーブルにはVIP料理が並んだ。
:09/11/02 00:47
:F902iS
:M91w052E
#79 [ゆうと]
アキナは整った顔立ちだ。鼻筋がスッと通ってて、綺麗な二重。
だからこういうコース料理なんかを食べてると、どこかの国のお姫様みたいだ(スウェットだけど)
「あ!このグラタンめちゃくちゃウマい!」
「でしょ?チーズが一級品らしいよ。あたしもここに来た時はこのグラタン目当てって言っても過言じゃないな〜」
:09/11/02 00:55
:F902iS
:M91w052E
#80 [ゆうと]
完食し、しばらく雑談タイムに入った。
「そろそろ帰ろっか」
レジに向かい、俺はポケットから財布を取り出した。
「あ!いいってユウト君!」
「なんで?俺が出すよ。いい店紹介してもらったんだから」
「何言ってんの。引っ越しのお礼だよ。だから今日ここに来たんだよ」
:09/11/02 01:02
:F902iS
:M91w052E
#81 [ゆうと]
「何言っ…バカ。いいよ気持ちだけで。じゃあ割り勘にしよ」
「ほんの気持ちだから。お願い!今日だけ!お礼させて…ね?」
そう言うとアキナは会計を済ませ、俺の背中を押して外に出た。
「なんか…ごめんな」
「違うのよ。ほんのお礼だから」
「じゃあお言葉に甘えて…ごちそうさまでした」
「美味しかったでしょ?」
「そりゃあもう…」
:09/11/02 01:08
:F902iS
:M91w052E
#82 [ゆうと]
「よかった!」
アキナはニッコリ笑った。
そりゃあもう、眩しい笑顔でしたわ。
「帰る?どっか寄る?」
「DVD借りたいんだよね。明日の夜女バスで上映会やるんだ」
「へぇ〜。楽しそう」
「ユウト君もおいでよ。なんなら加藤君(ユウキの名字)とかも誘ってさ」
「行く行く!んで何借りるの?」
「ん?ソウ3」
:09/11/02 01:15
:F902iS
:M91w052E
#83 [ゆうと]
「ソウ3?げ…あのグロいやつだろ?」
「そうだよ。2見た人多かったから3見ようってなったんだ♪あれ?ユウト君そういうの苦手?」
「い、いや。苦手じゃないよ」
「じゃあ明日一緒に見ようね!TSUTAYAは遠いからゲオ行こ♪」
…そんなこんなで帰宅。
:09/11/02 01:20
:F902iS
:M91w052E
#84 [ゆうと]
アキナも自分の部屋に戻っていった。
俺も部屋に戻り、風呂入ってからベッドに転がりこみ、爆睡した。
今日はとにかく疲れた。
また明日練習がある。
あ、準備してない…
まぁ、いっか…
:09/11/02 01:25
:F902iS
:M91w052E
#85 [ゆうと]
翌日も午前中に練習があった。
今日はコートが一面使えるから、男女別々。
練習前…
体育館の入り口で上田さんに会った。
「おはようございます♪」
「あ…おはよ」
ニコリとはしたものの、フイッと顔をそむけられ、小走りで先に体育館に入っていった。
:09/11/02 01:30
:F902iS
:M91w052E
#86 [ゆうと]
あれ…?
俺…なんかやらかしたっけ?
いつもの上田さんじゃない…
まぁいいや。後で部屋行ってみよ!
特に気にせず、練習に取り組んだ。
今日は、昨日のグラタン率いるコース料理でパワー全開だ!
シュートが面白いくらい入る入る♪
:09/11/02 01:34
:F902iS
:M91w052E
#87 [ゆうと]
そして練習終了後…
「上田さん!」
「ああ、ユウト君」
「今日なんか…元気ないっすね」
「そんなことないよ」
「そうすか?あ!あとで部屋行っていいですか?初女子寮ってことで上田さんの部屋見てみたいし(笑)」
:09/11/02 01:38
:F902iS
:M91w052E
#88 [ゆうと]
「…ごめん。今日これからマコと会う約束してるから…」
「え?あ…そうなんだ。じゃあ、しょうがないな」
俺はキョドりながら笑って答えた。
上田さんも笑っていた。でも、なんかぎこちない笑顔…
体育館からアキナが出てきた。
「あ、ユウト君!」
:09/11/02 01:44
:F902iS
:M91w052E
#89 [ゆうと]
「アキナ」
「お疲れ〜♪ユウト君、今日調子よかったでしょ。シュートばんばん決めてたね♪」
「うん」
「シュート決まった時ユウト君ニヤニヤしてたよ。それ見てあたしが笑ってしまったし(笑)」
「うそ…俺ニヤニヤしてた?キモッ」
「ウケる(笑)」
:09/11/02 01:49
:F902iS
:M91w052E
#90 [ゆうと]
アキナの弾丸トークに耳を傾けながら横を見た。
上田さんがいない…
いつもの上田さんなら、ノリがよくて一緒に笑ってるはずなのに…
夜にでも上田さんの部屋に行ってみよう。
モヤモヤしたままじゃ、なんか落ち着かない。
帰りはユウキとアキヒロにDVD上映会の話をしながら帰った。
:09/11/02 01:54
:F902iS
:M91w052E
#91 [ゆうと]
部屋に戻り、洗濯機を回す。
呼び鈴も鳴らさず、アキヒロが入ってきた。
「聞いて。昨日から上田さんまったく返信くれないんだけど…」
「疲れてたんじゃね?」
「しかも今日とか、かなり不機嫌だったし…どうしたんだろ」
やっぱり不機嫌だったんだ…
しかも昨日の夜から…
やっぱり何かあったんだ。
:09/11/02 02:00
:F902iS
:M91w052E
#92 [ゆうと]
昼からの上映会には、俺とユウキとアキヒロが参加した。
要するに、いつものメンバーだ。
なんかこの3人以外、基本的におとなしいヤツばかりだ。
初めての女子寮は、新築のいい匂いがした。
上映会はアキナの部屋で行われた。
気が付けば、隣には常にアキナがいたな…
:09/11/02 02:05
:F902iS
:M91w052E
#93 [ゆうと]
そして、気が付けばアキナは俺のことを『ユウト』と呼んでいた。
ソウ3を見ている時も、終わった後も、アキナは隣にいた。
それがごく自然で、当たり前のようになっていた。
:09/11/02 02:08
:F902iS
:M91w052E
#94 [ゆうと]
夜…
俺は近くの自販機にジュースを買いに行った。
すると、ちょっと先の方でオンボロの赤い車が停まった。
見たことあるかも…
『マコちゃん』carだ…
上田さんが降りてきた。『マコちゃん』がバイバイと言ってもそっけない態度で、寮へと入っていった。
:09/11/02 02:13
:F902iS
:M91w052E
#95 [ゆうと]
『マコちゃん』carが俺の方へ近づいてきた。
俺に気付いた『マコちゃん』は覚えていたのか、手を振ってきた。
暗がりでキュピーンと光る黒縁メガネは『マコちゃん』を、より一層おっさん化させる不気味なアイテムとなっていた。
お世辞にも、似合ってるとは言えない…
:09/11/02 02:16
:F902iS
:M91w052E
#96 [ゆうと]
『マコちゃん』carは、そのまま大きな通りまで出ていった。
俺は冷たいジュースを片手に、意味もなく『マコちゃん』を見送った。
…上田さん帰ってきたんだ。
とりあえず部屋に戻ろう。
:09/11/02 02:44
:F902iS
:M91w052E
#97 [ゆうと]
「お疲れ様です。今から部屋行っていいですか?」
メールを送った。
10分しても返ってこない…
20分経ったのに返ってこない…
電話をかけた。
電話も出ない。
ヤバい…
俺本当になんかやらかしたのかも…
:09/11/02 02:51
:F902iS
:M91w052E
#98 [ゆうと]
仕方ない…
会いに行ってみよう…
上田さんの部屋は102号室。
それだけを頼りに女子寮へ向かった。
ピンポーン…
しーん…
:09/11/02 02:55
:F902iS
:M91w052E
#99 [ゆうと]
ヤバい…
これはヤバいぞ…
本格的にヤバい…
リアルにヤバい…
今までの俺の行動を思い返してみたけど、これといった原因は見当たらない…
一体どうして…?
♪♪♪♪
ケータイが鳴った。
電話…上田さんだ…
「あの…もしもし?」
:09/11/02 02:58
:F902iS
:M91w052E
#100 [ゆうと]
「もしもし?」
「あの…すみません。何度も…」
「ああ、ごめんね。お風呂入ってたから…」
よかった…
風呂だったんだ…
「そうですか。あの…今部屋の前にいます」
「誰の?」
「上田さんの」
:09/11/02 03:01
:F902iS
:M91w052E
#101 [ゆうと]
:09/11/02 03:04
:F902iS
:M91w052E
#102 [ゆうと]
電話が切れ、鍵をガチャガチャとあける音が聞こえてきた。
「…ユウト君!びっくりした」
「すみません(笑)今、大丈夫ですか?」
「…うん。どうぞ…」
「お邪魔します!」
:09/11/02 03:46
:F902iS
:M91w052E
#103 [ゆうと]
部屋の中は、ダンボールが数個はあったもののスッキリと片付いていた。
そして、新築の匂い…
上田さんの部屋は、赤メインのインテリアが多かった。
赤いテーブルの上には、学校の教科書やレポート用紙が置かれている。
:09/11/02 03:52
:F902iS
:M91w052E
#104 [ゆうと]
「キレイな部屋っすね」
「そうかな、ありがと」
「赤好きなんですか?」
「なんか自然と赤が揃ってた(笑)あ、適当に座ってね」
「失礼します」
:09/11/02 03:55
:F902iS
:M91w052E
#105 [ゆうと]
上田さんはキッチンへ行った。
俺は部屋を見渡した。
『マコちゃん』との2ショットの写真が3枚ほど飾られている。
今より少し髪の短い上田さんと、日焼けして今より少し肌の黒い『マコちゃん』が、笑って一緒にポーズを取っている。
この部屋にアキヒロが来たら大変なことになるだろうなぁ…と思いながら俺は写真を見つめた。
:09/11/02 04:02
:F902iS
:M91w052E
#106 [ゆうと]
上田さんが戻ってきた。
「ごめんね、烏龍茶しかなかった。よかったら飲んでね」
「あ、ありがとうございます」
俺は烏龍茶を一口飲み、フーッと呼吸をして、話を切り出した。
「あの…上田さん」
「ん?」
:09/11/02 04:05
:F902iS
:M91w052E
#107 [ゆうと]
「なんていうか…その…俺…何かしました?」
「え?」
「なんつーか…今日とかほら…上田さん、元気ないですねみたいなこと言ったじゃないすか…」
「うん…で?」
「…そういうのが嫌とか…じゃないんですか?」
「そういうのってどういうの?」
「いや、だから…」
:09/11/02 04:10
:F902iS
:M91w052E
#108 [ゆうと]
なんと説明したらいいのやら…
テンパる俺に、ついに上田さんから質問がきた。
「じゃあ、ちょっと聞くけど、ユウト君ってさ…」
「はい…」
「人の名前呼ぶ時、なんか使い分けてんの?」
「はいぃ?」
:09/11/02 04:15
:F902iS
:M91w052E
#109 [ゆうと]
「ほら…だってユウト君さ、みんなには呼び捨てじゃん。ユウキ!とかアキヒロ!とか」
「まぁ、それは…」
「アキナ…とかさ」
「アキナ…まぁ、そうだけど、上田さんは先輩じゃないですか」
「でも、ミクのことはミクさんって呼ぶじゃん」
:09/11/02 04:21
:F902iS
:M91w052E
#110 [ゆうと]
「最初にアキヒロから上田さんとミクさんって教えられたから…なんかそのまま…使ってるのかも」
「そっか…」
「呼び捨てに特別な意味はないっすよ」
「そうだよね…いや…あたしもごめんね…なんか誤解させちゃったね」
「いや…俺の方こそ…申し訳ないです」
:09/11/02 04:30
:F902iS
:M91w052E
#111 [ゆうと]
やっと笑顔が戻った。
俺は上田さんの笑顔を見て、ホッとした。
何をそんなに不安に思っていたのか…と思わせるほど、上田さんの笑顔はいつも通りで、自然だった。
でも、上田さんは他に言いたいことがあったんじゃないか…
そう思いながら部屋に戻り、眠りについた。
:09/11/02 14:46
:F902iS
:M91w052E
#112 [ゆうと]
翌日も午前中に練習があった。
いつも通り体育館へ向かう。
体育館の入り口近くで、上田さんはバッシュの紐を結んでいた。
「おはようございます。彩乃さん!」
上田さんはいつもの笑顔を見せた後、かすかに照れる仕草を見せた。
「おはよう」
ニッコリと笑って挨拶を返してくれた。
:09/11/02 16:11
:F902iS
:M91w052E
#113 [ゆうと]
そうか…
上田さんって呼ばれるのが嫌だったんだ…
確かに、名字で呼ばれるより名前で呼んだ方が親しみ持てるもんな。
じゃあ、これからは上田さんじゃなくて彩乃さんって呼ぼう。
そして、練習前のランニングを始めた。
:09/11/02 16:23
:F902iS
:M91w052E
#114 [ゆうと]
練習は少しずつ難易度を増してきた。
我らが大川監督は、それなりの知名度がある。
だから、より高いレベルを求めているようで…
8人に対してコート一面は広すぎてかなりきつい。
フットワークなんかをすると、休む暇なく順番が回ってくる。
それでも、死に物狂いで練習をこなしていった。
:09/11/02 16:34
:F902iS
:M91w052E
#115 [ゆうと]
約3時間後に練習は終了した。
高校の部活引退したあと、ちゃんと動いとけばよかったな…
体が重い重い…
ゾロゾロと帰りだした頃、俺はシューティングを始めた。
シュートは入るのに、体が重い…
「ユウト!まだ帰らないの?」
:09/11/02 16:39
:F902iS
:M91w052E
#116 [ゆうと]
アキナだ。
「うん。シューティングするからさ」
「偉〜い!じゃ、あたしパス出してあげる♪どうせ暇だし(笑)」
「暇つぶしかよ(笑)サンキュー。目標100本な!」
そして100本決まるまでアキナはずっと付き合ってくれた。
:09/11/02 17:05
:F902iS
:M91w052E
#117 [ゆうと]
帰りにアキナの部屋に寄り、シュートを拾ってくれたお礼に缶ジュース1本を届けた。
喜んでくれた。
アキナの部屋は2階にある。
俺は階段を駆け降りて部屋に戻ろうとした。
…ミクさんに会った。
「あ、ミクさん。お疲れ様です」
:09/11/02 18:33
:F902iS
:M91w052E
#118 [ゆうと]
「ユウト!どした?誰かに会ってきたん?」
(ミクさんは会ったときから俺達のことを呼び捨てで呼ぶ)
「はい、ちょっとアキナのとこに」
「そうなんだ。ねーねー、昼食べた?」
「まだっすよ。ユウキ達と今から外出しようかな〜なんて考えてたところです」
:09/11/02 18:37
:F902iS
:M91w052E
#119 [ゆうと]
「ホントに?ってかあんた達外食ばっかでしょ?もったいないよ〜」
「作るのがダルいんすよ(笑)」
「節約しなさいよ。じゃあ、これからあたしの部屋おいで。作ってあげる」
「マジっすか?!やったぁ」
「ユウキとかも呼んでさ。オムライス作るからもうちょいしたらおいで」
:09/11/02 18:42
:F902iS
:M91w052E
#120 [ゆうと]
嬉しかった。
早速ユウキとアキヒロに連絡をして、ミクさんの部屋に行った。
キッチンには材料が並べられていて、忙しそうに動き回るミクさんがいた。
「あ、あんた達も食器洗ったりするの手伝って」
それくらいのことならなんでもやりますよ〜!
:09/11/02 19:51
:F902iS
:M91w052E
#121 [ゆうと]
ガチャガチャッ…
「よかった〜。間に合った!」
彩乃さんが買い物袋を下げて、部屋へと入ってきた。
「アヤごめんね。ニンジンとケチャップがないとは誤算だったわ」
「いいよいいよ、これくらい」
彩乃さんは猛ダッシュで買い物に行ったのか、息切れ切れで話をしていた。
:09/11/02 19:57
:F902iS
:M91w052E
#122 [ゆうと]
「彩乃さん、買い物行ってきたんすか?ニンジンとケチャップなら俺の部屋にあったのに」
「あらホント?ま、いいや。どうせいつか使うだろうし」
彩乃さんは笑った。
「…なぁ、ユウト」
アキヒロに呼ばれ、部屋の隅っこへ連れていかれた。
:09/11/02 20:00
:F902iS
:M91w052E
#123 [ゆうと]
「なんだよ」
「お前、いつから上田さんじゃなくて、彩乃さんって呼ぶようになった?」
怒ってもなく、笑ってもないアキヒロに迫られるように聞かれた。
げっ…
「さ、最近だよ最近。だってメールとかしてるし、流れで呼ぶようになったって感じでさ」
:09/11/02 20:04
:F902iS
:M91w052E
#124 [ゆうと]
「いつの間にそんな親しくなったんだよ…」
「別に深い意味なんてねーよ。だったらお前も彩乃さんって呼べばいいじゃねーかよ」
「…ま、いいや。俺あとで上田さ…彩乃さんの部屋行ってみるわ!男バスで俺が一番最初に行くって決めてたんだ♪」
:09/11/02 20:08
:F902iS
:M91w052E
#125 [ゆうと]
ごめん…
俺昨日行ったばかり…
「…そっか。行ってきなよ」
「おうよ♪」
アキヒロはルンルンで席に着いた。
俺はスプーンや食器を並べ、ユウキは玉ねぎやニンジンの皮むきを始めた。
:09/11/02 20:22
:F902iS
:M91w052E
#126 [ゆうと]
「アヤは座っててね♪」
「はぁい!」
彩乃さんも席に着き、作業するとこを見ていた。彩乃さんはこの前ミクさんに料理を作ってあげたらしい。
だから今回はミクさんの番ってことで。
トントントントン…
ミクさんは手際よくハムや野菜を切っていく。
:09/11/02 20:27
:F902iS
:M91w052E
#127 [ゆうと]
その包丁さばきには目を奪われる。
「すげぇ…ミクさん」
「ね!ミクすごいでしょ。料理上手なんだよ!前はガ○トの厨房でバイトしてたし!」
「へー、すごっ」
俺と彩乃さんの会話が気になるのか、会話ちゅうによくアキヒロと目が合ったのを覚えてる。
:09/11/02 20:44
:F902iS
:M91w052E
#128 [ゆうと]
「俺、なんか手伝いますよ!」
「ホント?じゃあ、そこの皮むき器を洗ってサヤカ(女バスの2年)のとこに返してきてもらっていい?」
「いいですよ。2階でしたよね」
ユウキとミクさんの会話だ。
最近妙に仲良くなっている気がする。
そういえば、毎日メールしてるとか、この前2人で飯食いに行ったとか言ってたな…
:09/11/02 20:52
:F902iS
:M91w052E
#129 [ゆうと]
1人目のオムライスができた。
「すげ〜!料理屋のオムライスみたい!」
「ホントだ。ミクまた腕あげたね♪」
「ありがと♪」
…そして人数分のオムライスが完成し、みんなで記念撮影、んで食べ始めた。
「旨っ!」
アキヒロはガツガツ食べている。
:09/11/02 20:57
:F902iS
:M91w052E
#130 [ゆうと]
アキヒロの隣に彩乃さんは座っていた。
というか、アキヒロが彩乃さんの横に移動してきた。
コソコソと何かを伝えている。
「彩乃さん!俺後で部屋行くからさぁ、夜は部屋にいてくださいよ♪んで、今度俺に料理作って♪」
彩乃さんは困った笑顔を見せた。
:09/11/02 21:02
:F902iS
:M91w052E
#131 [ゆうと]
ユウキとミクさんは気付いていないようだ。
彩乃さんは、チラッと俺の方を見てきた。
SOSを要求しているようだ。
こんだけしつこく言われれば、そりゃあ誰だって嫌がるだろうよ…
彩乃さんは
「ごめんね、あたし今日もマコんとこ行くから…」
アキヒロは
「…またですか?」
:09/11/02 21:44
:F902iS
:M91w052E
#132 [ゆうと]
「またですかって言われても…」
俺はアキヒロに嫌われるの覚悟で
「しょうがないだろ。2人付き合ってんだから、いつ会おうが2人の勝手じゃん」
「…俺がどれだけ楽しみにしてたか、お前が一番分かってんだろ?」
「そうだけど、だったらまた次の機会に行けばいいだろ?」
:09/11/02 21:51
:F902iS
:M91w052E
#133 [ゆうと]
「まぁ…確かにな…」
静まり返ったものの、その場はなんとか解決した。
アキヒロも多少のショックを隠しきれず、ずっとうつむいているばかり。
食べ終わって片付けをする頃…
「なぁユウキ…アキヒロは?」
「部屋戻ったんじゃねーの?」
:09/11/02 21:55
:F902iS
:M91w052E
#134 [ゆうと]
片付けが終わり、アキヒロの部屋に行く。
鍵はかかっていなかった…
「アキヒロ?入るよ」
返事はない。
中に入ると、座椅子にもたれかかってボンヤリしている。
「ユウト…ごめんな」
:09/11/02 21:59
:F902iS
:M91w052E
#135 [ゆうと]
ギョッとした。
アキヒロから謝罪の言葉を聞くなんて…
「いや…つーか、難しいな。俺彼氏いる女を好きになったことないからさ。いいアドバイスも何もできないや…」
「俺もだ…こんな気持ち初めてだ」
どうやら彩乃さんに対しては本気らしい。
:09/11/02 22:03
:F902iS
:M91w052E
#136 [ゆうと]
「とりあえずさ、少し様子見てみようや。今のままじゃ行っても何にもならないと思うよ」
「…うん」
頑固者のアキヒロだけど根は素直なヤツだ。だからストレート過ぎる表現をしてしまうのかもしれない。
さっきみたいに…
アキヒロは少し寝るといい、ベッドに入った。
俺も部屋に戻った。
:09/11/02 22:10
:F902iS
:M91w052E
#137 [ゆうと]
昼からはかなり暇だった。
どこか行くにも体は疲れてきついし、無駄遣いしたくないし…
「暇だな…」
そう思っているうちに、いつの間にか眠りについていたみたいだ。
気がついたら夕方になっていた。
「ん〜?」
ケータイの画面が眩しい。
けっこう寝てたんだな…
:09/11/02 22:16
:F902iS
:M91w052E
#138 [ゆうと]
メールが2件、着信が1件。
メールは彩乃さんとアキナ。着信は彩乃さん。
「あら、2時間も前だ。何かあったのかな」
とりあえずメールを開く。
アキナは暇だから漫画貸して的なメール。
彩乃さんからは、夕方会える?のメール。
:09/11/02 22:21
:F902iS
:M91w052E
#139 [ゆうと]
彩乃さんに電話した。
「彩乃さん今日…マコさんに会うって…」
「さっきの土井君のやつ?とっさの嘘ついちゃった…あのさ、後で部屋行っていいかな?」
「俺は別に構わないすけど」
「ホント?じゃあ…今7時半過ぎだから…8時くらいに行ってもいい?」
「いいっすよ」
:09/11/02 22:26
:F902iS
:M91w052E
#140 [ゆうと]
んじゃ、先にアキナに漫画持っていこう。
「遅い!ずっと待ってたのに!」
「ごめん。なんか疲れて寝てた♪何がいいか分かんないから何冊か持ってきたよ」
漫画を入れた紙袋を渡した。
「サンキュー♪暇つぶしだし、なんでもいいよ(笑)あ!one pieceだ♪」
:09/11/02 22:32
:F902iS
:M91w052E
#141 [ゆうと]
「じゃあな。読み終わったら次のヤツ部屋から勝手に持ってっていいから」
「マジ?わかったぁ♪」
そして部屋に戻る。
彩乃さんが来る前に少し掃除しとこう。
テレビを消して、音楽をかけた。
この前ユウキにやいてもらったレゲエのCD。
:09/11/02 22:38
:F902iS
:M91w052E
#142 [ゆうと]
「ごめんね、あたし来ちゃって迷惑じゃなかった?」
「いやいや全然!さっきまで暇すぎて寝てたんすよ。いいお客さんだ(笑)」
「そう?それならいいけど」
「何飲みますか?お茶かコーラか…あ!缶ビールいっちゃいます?(笑)」
「ビールいらな〜い(笑)じゃあお茶ちょうだい」
:09/11/02 22:43
:F902iS
:M91w052E
#143 [ゆうと]
ペットボトルにお茶を注ぎ、彩乃さんに差し出した。
「ありがとう」
「今日はマコさんには会わないんすか?」
「毎日は会いたくないかな(笑)長く付き合ってるとそうなっちゃうのかも」
「へぇ。でも4年目ってスゴいですよね。じゃあ入学してからすぐ付き合ったって感じですか?」
:09/11/02 23:35
:F902iS
:M91w052E
#144 [ゆうと]
「…まぁね」
「…ああ。ほんで、今日はどうしたんすか?俺に会いたくなっちゃったとか?」
「はいはい(笑)いや、土井君に嘘ついちゃったからさ。あたしの部屋の電気が点いてたらおかしいでしょ?んで非難してきたの」
「そうなんだ」
:09/11/02 23:40
:F902iS
:M91w052E
#145 [ゆうと]
「まぁ、それもあるけどユウト君といろいろ話したいなぁ…って思って」
そう言うと、彩乃さんはいつになく質問攻めを仕掛けてきた。
K高のこととか、バスケのこととか、地元のこととか。
んで恋バナに入った。
「ユウト君は今まで何人の子と付き合った?」
:09/11/02 23:44
:F902iS
:M91w052E
#146 [ゆうと]
「俺ですか?中学の時に2人、高校の時に3人…そんなもんかな?」
「今は?付き合ってる子いるの?」
「今はいないっすよ。寂しいことに…募集中です(笑)」
「へぇ〜。いないんだぁ。なんか意外」
:09/11/02 23:47
:F902iS
:M91w052E
#147 [ゆうと]
「そうですか?俺彼女いそうに見えます?(笑)」
「見える!だってすごい人懐っこいし、優しいし、カッコいいし、女は普通ほっとかないよ」
「カッコいいとか…嬉しいこと言ってくれますね(笑)」
「だってカッコいいんだもん」
わぁお…
:09/11/02 23:51
:F902iS
:M91w052E
#148 [ゆうと]
「ってか、男バスと女バスの1年生って仲良しだよねぇ」
「ですね。まぁ、同じ学年っていうのもあるし」
「ユウト君はアキナと付き合ってるのかと思った」
「アキナですか?まぁ、確かに仲はいいっすね」
:09/11/02 23:56
:F902iS
:M91w052E
#149 [ゆうと]
「もし告られたりしたら付き合う?アキナと」
「どうかなぁ?それはその時にならないと分からないかも」
「…だよねー」
そう言うと彩乃さんはお茶を一気に飲み干した。
しばらく沈黙が続いた。
:09/11/02 23:59
:F902iS
:M91w052E
#150 [ゆうと]
ブーーーン ブーーーン…
アキナさんのケータイが鳴った。
「はい?どうした?うん…うん…で?そう…あはは…そうなんだ…よかったね…で?うん…あっそう…ってかごめん。今ちょっと友達と会ってるから…は?もう寝るし…」
今の彩乃さんは、ものすごく鋭い目をしている。怒ってるような、寂しそうな…
:09/11/03 00:07
:F902iS
:XshxQ3iM
#151 [ゆうと]
電話を切った彩乃さんはいつもの表情に戻った。
「ごめんね〜。マコからだった」
「マコさんですか。あの…喧嘩しました?」
「喧嘩じゃないよ(笑)毎日毎日この時間に電話がくるから、なんかしつこくてさ。寝てたら寝てたで起きるまで電話かけてくるし…」
:09/11/03 00:11
:F902iS
:XshxQ3iM
#152 [ゆうと]
「愛されてるじゃないですか」
「そう思う?でも長年付き合ってるのに、毎日はさすがにキツいよ」
びっくりした。
…同時にショックだった。
この前TSUTAYAやマクドナルドで見た2人はほんわかしてて、仲良しで、まったく自然なカップルで…
実際はそうでもないのかな?
:09/11/03 00:15
:F902iS
:XshxQ3iM
#153 [ゆうと]
「さて…と!そろそろ戻ろうかな」
「早いな。もう10時過ぎか」
「うん。男子は明日休みでしょ?」
「そうですよ。なんか大川監督機嫌よかったから(笑)」
「いいなぁ。2日間休みってことでしょ?明後日は部活休みの日だし」
:09/11/03 00:20
:F902iS
:XshxQ3iM
#154 [ゆうと]
「そっか!2日間休みになるんだ♪よっしゃ!」
「大川監督たぶん明後日が部活休みの日って忘れてるんだよ、きっと」
「でしょうね。大川監督には内緒ですよ♪」
「はいはい(笑)いいなぁ」
今日は彩乃さんにアキヒロのこと聞くつもりだったのに…
質問に圧倒されて何も聞けなかったなぁ…
:09/11/03 02:05
:F902iS
:XshxQ3iM
#155 [ゆうと]
翌日…
俺は久しぶりに昼まで寝ていた。
「眠っ…ってか寝過ぎたなこれ…」
ベランダに出て布団を干す。
隣の女子寮は静かだった。
まだ練習中なのか、誰も帰ってきてないようだ。
:09/11/03 02:09
:F902iS
:XshxQ3iM
#156 [ゆうと]
ユウキから着信が入ってた。
「もしもし?」
「お前まだ寝てただろ!」
「当たり。どした?」
「トラ○アルってとこ発見したんだけどさ、そこめちゃくちゃ安いんだよね。今から行ってみない?」
「どの辺?」
「学校行く道の反対側をず〜っと真っ直ぐ行けば分かる。フライパンとか鍋が安くで買えるんだ♪とりあえず準備したらチャリ置き場集合な!」
:09/11/03 02:19
:F902iS
:XshxQ3iM
#157 [ゆうと]
お前は主婦かよ…
とりあえず準備して外に出た。
「うわー。お前超寝起きって感じ(笑)」
ユウキが笑っている。
「マジ眠くてさ…でももう大丈夫!」
「よし。じゃ、行こうぜ」
春の昼間のポカポカ陽気…
あ、また眠くなってきた。
:09/11/03 02:25
:F902iS
:XshxQ3iM
#158 [ゆうと]
約20分後…
噂のトラ○アルに着いた。
予想してたよりはるかに汚い店だ…
「なぁ、ここで買うの?」
「…とりあえず、中の方は大丈夫だよ、きっと」
入店。
中は普通の食料品売り場がズラーッと並んでいた。
:09/11/03 02:29
:F902iS
:XshxQ3iM
#159 [ゆうと]
「ほらな!普通じゃん」
「上もなんかあるみたいだな」
「鍋とかフライパンは台所用品だから…2階だ♪行くぞ!」
ユウキのテンションは益々あがっていった。
あれも欲しい、これも欲しいで台所用品だけで1万近く使ったみたいだ。
:09/11/03 02:33
:F902iS
:XshxQ3iM
#160 [ゆうと]
「ユウトはなんか買わないん?」
「俺は食料品買おうかなって思って」
「あ!俺も肉とコンソメ頼まれてたんだ!1階だろ?降りようぜ」
「頼まれてたって誰に頼まれたん?」
「え?ミクさん」
:09/11/03 02:39
:F902iS
:XshxQ3iM
#161 [ゆうと]
「ミクさんか…ってか最近ユウキとミクさん仲いいよな」
「まぁな♪」
「好きとか…だったりする?」
「まぁな♪」
「ふーん…え?本気で?」
「うん」
ユウキは当たり前じゃん!と言わんばかりに堂々と答えた。
:09/11/03 02:43
:F902iS
:XshxQ3iM
#162 [ゆうと]
「え、マジで?ホントに?」
「ホントだよ(笑)嘘ついたところでって感じじゃない?」
「へぇ〜…そうなんだ」
「そうなんですよ♪」
付き合っているのかと聞くと、時間の問題だと言った。
ユウキは今まで年下としか付き合ったことがないから俺はビックリした…
:09/11/03 02:48
:F902iS
:XshxQ3iM
#163 [ゆうと]
「っつーか、そういうお前はどうなのよ?」
「何が?」
「西川(アキナの名字)」
「アキナ…?なんで」
「お前…みんな噂してるぞ(笑)」
「アキナ…か。付き合ってはないけど」
「くっついちゃえばいいじゃん♪あんな可愛い子、この辺じゃなかなか見つからないぜ」
:09/11/03 02:55
:F902iS
:XshxQ3iM
#164 [ゆうと]
そっか。
だから昨日彩乃さんが聞いてきたんだ。
でも、噂になるようなこと何もしてないけど…
「でも、そうなるとだな。1人だけ絶対に賛成しない人が出てくるんだ」
「誰だよ」
「上田さん」
「?!」
:09/11/03 03:00
:F902iS
:XshxQ3iM
#165 [ゆうと]
「どういうことだ?っつーか、何言ってんの?」
「…お前も鈍いヤツだなぁ(笑)」
「だって…マコさんいるのに」
「彼氏はいるよ。でも、この間から上田さん、なんかおかしいんだ」
「おかしいって何が?」
「ん?いろいろさ。そのうち分かると思うよ♪」
:09/11/03 03:06
:F902iS
:XshxQ3iM
#166 [ちな]
ノンフィクションを面白いって言っていいのか分からないですけど、
読んでてめっちゃ楽しいです♪
更新
頑張って下さいね
((

'V`

)

+゜
:09/11/03 07:35
:SH903i
:Umq/ntYo
#167 [ゆうと]
ちなさん
コメありがとうございます!
誰も読んでくれてないのかな〜って思ってたのに…(/_・、)
ぜひ読んでください

更新頑張りますね♪
ありがとうございます!
:09/11/03 16:32
:F902iS
:XshxQ3iM
#168 [ゆうと]
(続き書きます!)
俺はユウキの言っていることがよく分からなかった。
心のどこかに、何かが引っかかってる感じがした。
ある程度買い物を済ませ、ゲーセンに行ったりしながら寮に帰った。
:09/11/03 18:31
:F902iS
:XshxQ3iM
#169 [ゆうと]
それからは、休み2日間をenjoyし、また練習が始まり→帰って飯食って→ユウキ達と絡み→アキナ達と絡み→彩乃さん達と絡み→寝る→また練習…
の生活を繰り返し、特に何事もなく過ぎていった。
約2週間後…
:09/11/03 18:35
:F902iS
:XshxQ3iM
#170 [ゆうと]
ユウキとミクさんが付き合い始めた。
ユウキから気持ちを伝えたら、ミクさんは照れながらもニッコニコでユウキの気持ちに応えてくれたみたいで…
アキヒロの行動はおさまりつつあるものの、好き好きアピールはまだ続いていた。
俺は2週間前とまったく変わらない生活を送っていた。
:09/11/03 18:39
:F902iS
:XshxQ3iM
#171 [ゆうと]
そんなある日…
ユウキとミクさんから夕食に誘われた。
この3人での夕食は初めてだ。
近くのカフェに行くことになった。
俺は1人で席に付き、向かい側にユウキとミクさんが座った。
なんだこの空気は…
:09/11/03 18:44
:F902iS
:XshxQ3iM
#172 [ゆうと]
2人はニコニコして、一緒にメニューを見ていた。
それぞれが注文し終わると、ミクさんが口を開いた。
「2人とも、もうこの生活には慣れた?」
「俺は高校のときから寮生活だったら別に普通だよ。ユウトは家から通ってたもんな」
「まぁ、でも寮生活には慣れましたよ。けっこう楽しいです」
:09/11/03 18:48
:F902iS
:XshxQ3iM
#173 [ゆうと]
「そっか♪でも大学始まったらけっこうダルいよ(笑)でも1年のうちはまだ楽かも」
「そうなんですかぁ…」
ユウキとミクさんの話だの、バスケの話だのダラダラと会話が続いた。
「あー、そういえば…」
:09/11/03 18:54
:F902iS
:XshxQ3iM
#174 [ゆうと]
ミクさんに視線を向ける…
「アヤ…のことなんだけど…最近なんかおかしいんだよねぇ」
俺は飲んでいたコーラを噴き出しそうになった。おかげさまで鼻の中にコーラが入場してきた。
向かいのユウキは俺の方を見てニヤニヤしている。
:09/11/03 18:58
:F902iS
:XshxQ3iM
#175 [ゆうと]
「なんていうか…元気がないとかじゃないんだよ。なんか、ふとした瞬間ボーってしてたり…」
「げほっ…ズビバビ〜(鼻かんで)」
「一番おかしいのは、最近マコちゃんの誘いを全部断ってること。用事もないのに…マコちゃんからあたしにメールで『アヤどうかしたの?』とか送ってくるくらいだよ」
:09/11/03 19:38
:F902iS
:XshxQ3iM
#176 [ゆうと]
「なんかいろいろあったんじゃないですか?喧嘩とか…」
「喧嘩だったらマコちゃんからあんなメール送られてくるはずないのよね。昨日、一昨日はオールシカトされたって言うし…うーん…喧嘩かなぁ」
俺はなぜか、心臓がバクバクした。
昨日、一昨日?
昨日も一昨日も、俺の部屋に彩乃さん遊びに来ましたよ…?
:09/11/03 20:14
:F902iS
:XshxQ3iM
#177 [ゆうと]
そうとは言えず、話を聞くことに専念した。
「後で部屋行ってみようかなぁ」
「行ってみなよ。心配なら直接本人から聞かないと解決できないじゃん。もしかしたら上田さん…誰にも言えない悩みとか抱えてたりするんじゃないの?例えばだけどさ」
ユウキはうっすらと笑みを浮かべていた。
:09/11/03 20:23
:F902iS
:XshxQ3iM
#178 [ゆうと]
夕食を済ませ、店を出る。
美味しそうだと思って頼んだピザも、味が分からなかった。
そして帰宅…
ミクさんは女子寮に入っていった。
俺はユウキにCDを借りようと思っていたけど、今はそんな気分になれない。
部屋に帰るなりベッドに転がり込み、気持ちを落ち着かせた。
まさかね…
そんなワケない…はず
:09/11/03 20:31
:F902iS
:XshxQ3iM
#179 [ゆうと]
呼び鈴が鳴った…
「開いてますよー」
アキナが入ってきた。この前貸した漫画を入れた紙袋を持っている。
「やっほ!漫画返しに来た♪次のヤツ貸してね」
「いいよ」
アキナは漫画を紙袋に詰め込み始めた。
「じゃ、借りて行きます♪」
:09/11/03 20:37
:F902iS
:XshxQ3iM
#180 [ゆうと]
そう言うとアキナはテーブルの上に何かを置いて出ていった。
…紙だ!
よく見るとそれは手紙だった。
『ユウト♪マンガありがとうね〜!いい暇つぶしになったわ(笑)今度はあたしの少女マンガ貸してあげる(笑)またご飯食べ行こうね。いつもありがとう♪アキナ』
:09/11/03 20:42
:F902iS
:XshxQ3iM
#181 [ゆうと]
「少女マンガかよ(笑)」
俺は手紙を折りたたみ、テーブルに置いた。
明日はアキナと昼飯行こうかな♪
…でも、なんかモヤモヤする。
1時間後…
ユウキからメールがきた。
「俺の部屋来てハァト」
:09/11/03 21:11
:F902iS
:XshxQ3iM
#182 [ゆうと]
「で…どうよ?」
「何が?」
「さっきミクが話してたこと」
「あー…」
なんとも言えない。
何が起こっているのか、こっちが聞きたいくらいなんだから…
「俺が思うに、上田さんは彼氏に対して完璧に冷めてる!」
:09/11/03 21:17
:F902iS
:XshxQ3iM
#183 [ゆうと]
「そりゃ4年も続けば、そういう時期もあるだろ」
俺は、ユウキの言葉をまともに受け入れなかった。
「だいたい、喧嘩かもしれないんだろ?ってか、マコさんと彩乃さんの問題じゃん。俺らにはなんの関係もないだろ」
「…さっきミクが上田さんトコ行ってきた」
「…」
「上田さんには好きな人ができた。マコさんじゃない」
:09/11/03 21:25
:F902iS
:XshxQ3iM
#184 [ゆうと]
「え…?」
「俺も詳しいことはよく分かんない。でも、ミクにはハッキリそう言ったらしい…誰にも言うなよ」
「…うん」
状況把握に時間がかかった。
「詳しいこと聞きたいならミクんトコ行ってみな。俺が聞いたのはそれだけだから」
:09/11/03 21:45
:F902iS
:XshxQ3iM
#185 [ゆうと]
「いや…遠慮しとくよ」
「そうか?まぁ、俺らがワーワー騒いだところでって感じだしな(笑)しばらく様子見よう……ってか今なんか聞こえなかった?」
「別に。なんで?」
「なんかこう…クラクションみたいな…」
「クラクション?!」
嫌な予感がした。
:09/11/03 21:55
:F902iS
:XshxQ3iM
#186 [ゆうと]
ベランダに出てみる。
…何もない。
「気のせいだよ、たぶん」
……ってば…
「え?」
「なんか聞こえたぞ、隣の広場だ!」
『離してってば!!』
「暗くて見えねー………あ!赤い車…ユウト!赤い車だ!」
:09/11/03 22:00
:F902iS
:XshxQ3iM
#187 [ゆうと]
「赤い車?!」
「その木の後ろだ!あれ上田さんじゃねーか?」
「ってことは、あれはマコ(ちゃん)?…なんかヤバいぞ!行こう!」
階段を降りていく。
広場には女バスが数人来ていた。
「ちょっと…坂田君、落ち着いて!」
「いい加減に…誰かぁ!」
:09/11/03 22:08
:F902iS
:XshxQ3iM
#188 [ゆうと]
俺とユウキは広場へと走った。
「ちょっとマコさん…何やってるんすか!!」
『マコちゃん』は彩乃さんの首根っこを強引につかみ、車の中へ引きずり込もうとしている。
「俺らの問題だ!大したことじゃねーよ!いちいち大勢集まってんな!」
「ふざけんな!彼女嫌がってんじゃねーかよ。離してやれよ!」
:09/11/03 22:14
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#189 [ゆうと]
普段チキンな俺は、無意識に『マコちゃん』の腕を離そうと飛びかかっていた。
「なん…だ…よ、お前には…関係ねー…だろが!」
「いいから離せ!」
『マコちゃん』の腕は予想以上に貧弱だった。スルリと離れた。
でも女にとったら、男の力にはかなわない。
:09/11/03 22:20
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#190 [ゆうと]
彩乃さんは、その場に崩れ落ちるように倒れた。女バスが周りを囲み、『マコちゃん』から離れた場所へ連れて行った。
よかった…
フッと油断した…
「ユウト!!!」
「え?」
バコッ…
不意打ち右ストレートをくらった…
:09/11/03 22:25
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#191 [ゆうと]
俺はよろめいた。
んで火が付いた…
「この糞ジジイ…やんのかコラ…」
『マコちゃん』が近づいてくる。
俺は身構えた。
「ごめん!」
:09/11/03 23:39
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#192 [ゆうと]
『マコちゃん』はひざまずいた。
そして下を向いたまま、何度もごめんを繰り返す。
「…ユウトっていったな……痛かったよな…ごめん…ごめんな…本当にごめん」
体の力がスーッと抜けた…
『マコちゃん』は、しばらくその場を動かなかった。
俺もしばらくそのまま立っていた。
:09/11/03 23:44
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#193 [ゆうと]
ミクさんの指示で、全員寮の中へ移動した。
「一体どういうこと?こんなにたくさんの人を巻き込んで!」
ミクさんは『マコちゃん』を怒鳴りつけた。
『マコちゃん』は、またごめんを繰り返すばかり…
「ヘタすれば警察沙汰になるとこだったんだよ?しかもこんな静かな近所で…何考えてんの?」
:09/11/03 23:51
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#194 [ゆうと]
「本当にごめん…ごめんなさい…」
ミクさんは眉をしかめた。
「…アヤは?」
「あの…彩乃さんの部屋に連れていきました」
「そっか。ありがとう。…とりあえず2人、ちゃんと話し合いなよ。今日は止めときな…アヤは話せる状態じゃないから…」
:09/11/03 23:57
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#195 [ゆうと]
この場の出来事はとりあえず解決し、『マコちゃん』も帰っていった。
「あ、ユウトは大丈夫だった?」
「大丈夫です」
「ごめんね、いろいろ迷惑かけちゃったね…みんなにもね…」
女バスは、恐くて泣いている人もいた。
:09/11/04 00:01
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#196 [ゆうと]
ゾロゾロと部屋へ帰って行った。
アキナに呼ばれた…
アキナもさっきの広場にいたみたいだ。
気付かなかった。
アキナの部屋に入った。
「あ〜あ…殴られちゃったね(笑)氷あるから冷やしなよ」
「…ありがと」
アキナはキッチンへ行き、小さいビニール袋に氷を詰め、持ってきた。
:09/11/04 00:05
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#197 [ゆうと]
アキナは、俺が座っている座椅子の前に膝を付いた。
「はい、どうぞ。ちょっと腫れてるかも」
「…サンキュー」
「まったく…1人で向かっていくなんてアホだね、アホ(笑)」
「ホント俺アホだな(笑)状況を把握する前に体が動いてた」
:09/11/04 00:10
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#198 [ゆうと]
笑うと左のホッペがズキンと痛む。
しかし…あんな貧弱な腕だったのに、こんなに痛いパンチをくらうなんて…
どこにそんな力があるっていうんだよ…
「……アキナ?」
アキナは顔を上げない。
…泣いていた。
:09/11/04 00:14
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#199 [ゆうと]
「…バカ!バカ!」
小さな肩を震わせながらバカ!を連呼するアキナを見つめていた。
「バカユウト!本当にバカだよ…!」
「ごめんな、アキナ…」
アキナは俺の肩に顔をうずめて泣いていた。
「ごめんな…怖かったな…」
俺はアキナを抱きしめた。
:09/11/04 00:21
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#200 [ゆうと]
アキナの頭を軽くポンポンした。
「怖かったん…じゃないよ…あんたのこ…とが…心配だった…んだ…よ」
泣きじゃくって途切れ途切れに話しているアキナの言葉が嬉しかった。
「そうか…でも、俺は大丈夫だから…」
「なん…で?」
「ん?アキナが氷くれたから」
アキナは笑った。
:09/11/04 00:27
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