浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#722 [笹]
後ろを覗き込めば
狂気に犯された女が
あの真っ赤な爪で頭を掻きむしり
急に老いぼれたようで
‥まるで化け物
「あの子さえ居なくなれば‥
あんたはあたしの物だった
あの子が邪魔をしたんだ!!」
:10/02/18 20:22 :D905i :4LI2ZH.E
#723 [笹]
立ち止まり
真っ直ぐ前を見据えた壱助さんは
黙ってそれを聞いていた
「‥今度はその娘かい?!
どうしてあたしじゃ‥」
俯き滴る雫
こぼれた血液と混ざり合い
怪しく濁る
:10/02/18 20:23 :D905i :4LI2ZH.E
#724 [笹]
‥この人は
壱助さんを愛してたんだ
あの涙は
さっきあたしが流したものと
きっと同じ
憎しみや嫉妬
嫌らしい欲情に埋もれた
透き通ってたはずの心
なんだか
わかる気がした‥
:10/02/18 20:23 :D905i :4LI2ZH.E
#725 [笹]
「‥ちょいと、貴女は
履き違えてしまった」
ぽつりそう言い残して
振り向きもせずに、
―‥そして悲しい顔をした。
_
:10/02/18 20:24 :D905i :4LI2ZH.E
#726 [笹]
:10/02/18 20:29 :D905i :4LI2ZH.E
#727 [笹]
:10/02/18 20:31 :D905i :4LI2ZH.E
#728 [笹]
誰かに対する愛情は
大きければ大きいほど
失った時の悲しみが
憎しみに変わる
人格をも変えてしまう
愛は何よりも暖かく
そして恐ろしくもある
:10/02/21 18:50 :D905i :lVW6ewV2
#729 [笹]
:
:
あたしの母親と
あの遊女さんは
同じ顔をしてた気がする
酷く狂気におかされて
憎しみが溢れ出して‥
だけどその目の奥は
不釣り合いなほどに
孤独の悲しみに濡れ
未来に瞳を曇らせていた
:10/02/21 18:50 :D905i :lVW6ewV2
#730 [笹]
愛されたいと思うのも
愛したいと思うのも
‥人間の本質で
愛する人がいて初めて
心の支えができる
母親を許すわけじゃない
妹を殺す事も許されない
だけど‥
:10/02/21 18:51 :D905i :lVW6ewV2
#731 [笹]
「‥壱助さん」
「気になります、か」
あの表情が頭から離れない
ずしりとした感覚が
頭の先から流れ出す
「あの遊女さん‥、」
「妹を‥殺しました」
「‥双子の?」
「えぇ、」
:10/02/21 18:51 :D905i :lVW6ewV2
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