記憶を売る本屋さん
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#211 [我輩は匿名である]
次の朝。

曇り空の下で、薫と響子はいつものように話している。

「…ここまで、夢の方はどうなった?」

「えっと…屋上で洗濯物手伝ってもらって、仲良くなって、ご飯に行って、

もう1回ご飯に行った時に、『私とお付き合いして下さい』って言われて…。

“私”は『はい』って返事して、お付き合いする事になった。

今日は、ドライブに連れていってもらった」

「そうか」

順調だな。薫は少し笑う。

⏰:10/03/30 12:32 📱:N08A3 🆔:3m0ZWZ2s


#212 [我輩は匿名である]
「(初めて会ったのは3月、ドライブに行ったのは7月…。

…本よりも進むのが早いのか…?)」

薫は黙って考えていた。

「…でも、まだ顔はわからないんだ」

響子は残念そうに言う。

「そのうち見えるよ」

「…そうだよね」

薫に言われて、響子は笑った。

⏰:10/03/30 12:33 📱:N08A3 🆔:3m0ZWZ2s


#213 [我輩は匿名である]
「…変な事言うけど…夢なのに、…好きなんだ、あの人のこと」

恥ずかしいそうに、響子は途切れ途切れに話す。

薫はそれを見て優しく笑う。

「なんかね、夢だと思えなくて。覚めなかったらいいのにって思うくらい」

「覚めないと困るだろ」

「それはそうなんだけどね」

それに、もうすぐそれは現実になるよ。

薫は心の中で呟いた。

⏰:10/03/30 12:33 📱:N08A3 🆔:3m0ZWZ2s


#214 [我輩は匿名である]
今日は怜奈は、直人に一言も話し掛けて来なかった。

「お前、昨日何か言ったのか?」

帰り道、直人は薫に聞いた。

「あぁ、『悪いけど諦めてくれ』って釘刺しといた」

「よくやるな」

「付きまとわれると面倒だろ?香月に何かあっても困るしな」

薫は参ったように髪を触る。

「まぁそうだよなぁ」

「あーゆー危なそうなやつは、はっきり言っといた方がいいんだよ」

薫はいつになく、少し苛立っているようだ。

⏰:10/03/30 13:24 📱:N08A3 🆔:3m0ZWZ2s


#215 [我輩は匿名である]
怜奈を良く思っていないのだろう。

「そういえば、昨日たまたま香月がいたから、一緒に帰ってきたんだ」

直人は適当に話を変える。

「へぇ、初めて喋ったんじゃないか?」

「あぁ。なんか、女の子らしい奴だな」

「何だよそれ。…まぁ、男っぽくはないけど」

薫は笑う。

「お前の事、『他の子とは違う』って言ってたぞ。多分、雰囲気が」

「そんな事言ってたのか?」

⏰:10/03/30 13:24 📱:N08A3 🆔:3m0ZWZ2s


#216 [我輩は匿名である]
「騒がないからな、お前」

「騒ぐのはお前だけで十分だろ」

「何だよそれ!」

嘲笑う薫に、直人はギャーギャー騒ぐ。

「(…ふぅん、香月っていうんだ。あの女)」

2人の会話を、曲がり角の陰から怜奈が聞いていた。

しばらく2人の後ろ姿を見た後、冷たい笑顔を浮かべてその場を離れた。

⏰:10/03/30 13:25 📱:N08A3 🆔:3m0ZWZ2s


#217 []
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600

⏰:10/03/30 14:13 📱:SO905iCS 🆔:F62lBiEg


#218 [我輩は匿名である]
結局、日曜になるまでまた何も起こらなかった。

5月5日。

約束はなくなったが、要はとりあえず、あの場所に行ってみることにした。

直人もそれが正しいだろうと、黙って景色を見つめる。

もしかしたら、あの場所にいるかもしれない。

要も直人も、少し緊張気味だ。

あと角を2つ曲がってまっすぐ行けば、あの場所に着く。

「あの…」

1つ目の角を曲がる寸前、誰かが要に話し掛けてきた。

⏰:10/03/30 19:38 📱:N08A3 🆔:3m0ZWZ2s


#219 [我輩は匿名である]
振り替えると、細身で綺麗な女性が、困った顔で立っている。

「はい?」

「この辺の方ですか?ちょっと道に迷ってしまって…」

マジかよ。直人も困ったように女性を見返す。

「えっと…どこに行きたいんですか?」

「姫崎公園に…」

「あぁ…結構迷っちゃいましたね」

「遠いんですか?」

「歩いて20分ぐらいかかるんです。…説明しにくいしなぁ…」

要は腕を組んで考える。

⏰:10/03/30 19:38 📱:N08A3 🆔:3m0ZWZ2s


#220 [我輩は匿名である]
そして、「ちょっとここで待ってて下さいね」と言って走りだした。

晶が来ていないか確認しておく為だ。

しかし、やっぱり晶は来ていなかった。

「…来てないな。じゃあいいか」

要はそう言って、また来た道を戻る。

「すいません、待たせちゃって。…僕が一緒に行きます」

「えっ?でも、何か予定があったんじゃ…」

「いえ、散歩してただけですから。行きましょう」

「ごめんなさい、ありがとうございます」

⏰:10/03/30 19:39 📱:N08A3 🆔:3m0ZWZ2s


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