†horror†
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#401 [輪廻◆j6ceQ96kak]
意外にも返事は早く返ってきた。


『大丈夫。昨日はごめんね』

響歌はこの文章を見て安心し胸をなで下ろす。


続けてメールを打つ。


『私にできる事だったら何でもするのでいつでも言ってくださいね。あと何か仕事があったら紹介してください』

…と、送信。

⏰:11/07/23 00:43 📱:T004 🆔:SaD6jMfQ


#402 [輪廻◆j6ceQ96kak]
これまたすぐの返事。


『ありがとね。昨日はウチのせいでホントごめん!

うん、仕事あったらすぐ連絡するね』

彼女が落ち着いた事に安心した途端、突然空腹に襲われた。


響歌『そーいえば昨日からご飯食べてないや…』

お腹が大きく鳴る。


すぐにキッチンに向かいお湯を沸かし、袋から大量にあるカップラーメンを一つ取り出した。

⏰:11/07/23 00:51 📱:T004 🆔:SaD6jMfQ


#403 [輪廻◆j6ceQ96kak]
ラーメンを無我夢中ですすり、気がつくと2個目までいっていた。


食べ終わってベッドで寝転がっていると、携帯電話の着信音が響いた。


慌ててテーブルの上にあるのを取りに行って電話に出る。


響歌『…はい?』


『ザザザザザ……………あ゙あ゙あ゙あ゙……』

ノイズと共に人の唸り声のようなものが聞こえてくる。

⏰:11/07/23 01:02 📱:T004 🆔:SaD6jMfQ


#404 [輪廻◆j6ceQ96kak]
その声に、お昼前だというのに急に薄気味悪く感じて通話をすぐに切った。


着信履歴を見てみると


『非通知』

の文字。


何かのイタズラだと思い携帯電話の電源を切ってその場に放置し、再びベッドに寝転んだ。

⏰:11/07/23 01:06 📱:T004 🆔:SaD6jMfQ


#405 [輪廻◆j6ceQ96kak]
そして本を読んだりしていると、次第にあの電話の事は忘れていった。


…………。


響歌『もう17時か…』

窓からは赤い夕日が雲と雲の間から覗き込んでいる。


ベッドから起き上がって携帯電話を取り電源をつけた。


画面が現れてしばらくしてから出た表示に響歌は驚く。


『新着通知:101件』


響歌『は…? なにこれ…』

そのほとんどが着信履歴だった。

⏰:11/07/23 01:16 📱:T004 🆔:SaD6jMfQ


#406 [輪廻◆j6ceQ96kak]
順番に見ていくと全てが非通知で、更に留守録が入っている。


どうせさっきのようなイタズラだろうと思った響歌は、留守録を一つも聞く事なく履歴を全て消去した。


メールも来ていたので、受信ボックスを見る。


いわゆるメルマガなどがほとんどであったが、中に件名に『登録完了』と書かれたメールを発見した。

⏰:11/07/23 01:23 📱:T004 🆔:SaD6jMfQ


#407 [輪廻◆j6ceQ96kak]
恐る恐るそのメールの中身を見た。


――――――――――
Frm:DEATH net
Sb:登録完了

kyouka murai 様

この度はDEATH netに
登録頂きまして
誠にありがとうございます。

ID:******
PASS:******

お客様のポイント:500P

ポイント追加購入はコチラへ
――――――――――


…と、まるでどこかの出会い系サイトに勝手に登録され送られてくるメールのようだった。

⏰:11/07/23 01:37 📱:T004 🆔:SaD6jMfQ


#408 [輪廻◆j6ceQ96kak]
すぐに削除するが、メールは次々に送られてきた。


内容は


『人を殺してスッキリしませんか?』などという意味不明なものだった。


当然身に覚えのない響歌は、メールアドレスを変更する。


アドレス変更の知らせを他の友達や麗奈に送った。


メールが来なくなって安心したのも束の間、それから非通知の電話が何度もかかってきた。

⏰:11/07/23 10:47 📱:T004 🆔:SaD6jMfQ


#409 [輪廻◆j6ceQ96kak]
試しに出ると、相変わらずノイズに人の唸り声。


『あ゙あ゙あ゙あ゙……ザザザザザザ……』


響歌『いい加減にしてください! 警察に通報しますよ?』

そう言った途端―


『ザザザザザ……コロス!』

そこで電話はプツっと切れた。

⏰:11/07/23 10:53 📱:T004 🆔:SaD6jMfQ


#410 [輪廻◆j6ceQ96kak]
電話の向こうで何者かが最後に発した言葉に『戦慄』という言葉が脳裏をよぎり、恐怖を覚えた。


なんとなく落ち着かなくなり、部屋の鍵が閉まっているのを確認しにいき、他の窓なども閉め切った。


それからあの電話がきてからというもの部屋の中で誰かに見られていたり、背後から誰かにつけられているような錯覚に陥り、ベッドに潜り込んで引きこもる日々が続く。


電話は毎日のように、ひどい時は1日に200件近くの着信があり、ノイローゼになりつつあった。

⏰:11/07/23 11:02 📱:T004 🆔:SaD6jMfQ


#411 [輪廻◆j6ceQ96kak]
>>2-64 1話
>>65-261 2話
>>262-361 3話

時系列は現在3話→1話→2話となっておりますが、1話目から見て頂ければ幸いですm(_ _)m

⏰:11/07/23 12:04 📱:T004 🆔:SaD6jMfQ


#412 [輪廻◆j6ceQ96kak]
数日後―


響歌の携帯に再びDEATH netからのメールがきた。


内容は、メールアドレスの変更が完了したという事を伝えるものだった。


電話も相変わらず鳴る中、響歌はとうとうある疑惑を持ち始める。


響歌『誰かが…私の個人情報を悪用してる…?』

響歌のメールアドレスを変更した内容を伝えた人物は限られている。


その人物ら中に、響歌のメールアドレスを使って悪質なサイトに登録したのかもしれないと考えた。

⏰:11/07/25 01:59 📱:T004 🆔:.qVFQkJU


#413 [輪廻◆j6ceQ96kak]
その時、一瞬頭の中に一人の人物の顔が浮かんだ。


響歌『…麗奈…さん…?』

首を横にブルブルと振る。


響歌『あ、あり得ないよ。何考えてんの私…』

彼女を疑うなんてどうかしてる、と自分に言い聞かせた所で再びメール着信。


そっと携帯を開くと、そこには信じられない文章が待っていた―

⏰:11/07/25 02:04 📱:T004 🆔:.qVFQkJU


#414 [輪廻◆j6ceQ96kak]
――――――――――
Frm:DEATH net
Sb:おめでとうございます


kyouka murai 様

おめでとうございます。

あなたはこの度、142人目のターゲットに選ばれました。

近々、あなたの元へ会員の皆様がお伺いします。

栄光を称え、ポイントを進呈致します。


進呈ポイント:500P
――――――――――


…目を疑った。

その時、すぐにわかった。


『DEATH net』とは麗奈が言っていた『出会い系殺人ネット』の事であると。

⏰:11/07/25 02:12 📱:T004 🆔:.qVFQkJU


#415 [輪廻◆j6ceQ96kak]
突如、とてつもない恐怖と寒さを肌に感じた響歌は携帯電話の電源を切ってベッドに潜り込んだ。


響歌『なんで…なんで私なの…!』

あまりの恐怖と戦慄に涙がボロボロとこぼれ落ちる。



あの日からよく見ていた夢―


あの夢は、これから起きる出来事を予知していたのだろうか―?


そう考えれば考えるほど、眠りにつくのが怖くなった。


そして一日一日が過ぎるのも怖くなり、一日中部屋に閉じ込もる日々が続く。

⏰:11/07/25 02:20 📱:T004 🆔:.qVFQkJU


#416 [輪廻◆j6ceQ96kak]
携帯電話の電源も一切つけないで放置している。


それからあの夢は毎日見る様になった。


しかし不思議な事に、その夢は見る度に少しづつ内容が変わっていた。


手足を縛られ息ができない状態でいると、暗闇の向こうから少しづつ誰かが近づいてくるのだ。


顔は全く見えない。

男なのか女なのかさえも判別がつかない。


ただゆっくりとその人物は確実に響歌の元へ向かって進んできている。

⏰:11/07/25 02:26 📱:T004 🆔:.qVFQkJU


#417 [輪廻◆j6ceQ96kak]
夢が現実となる日―


運命は交錯する―



とある深夜の2時を過ぎた頃、響歌の部屋のチャイムが鳴らされた。


もうあの夢を見るのが精神的にも限界になった響歌は眠らずに明かりのついた部屋のベッドの上で体育座りをしていた。


深夜に鳴ったチャイムに鳥肌が立ち、嫌な汗が流れる。

⏰:11/07/25 02:33 📱:T004 🆔:.qVFQkJU


#418 [輪廻◆j6ceQ96kak]
すぐに部屋の電気を消して息を殺した。


チャイムが2、3回鳴らされた所でかすかに声がした。


『村井さん、村井さん!』

聞き覚えのある声だ。


響歌『武田さん…?』

響歌の部屋の隣に住む隣人の武田の声である。

⏰:11/07/25 23:23 📱:T004 🆔:.qVFQkJU


#419 [輪廻◆j6ceQ96kak]
再び部屋の電気をつけて玄関へ向かう。


ドアにある覗き穴からそっと外を見ると間違いなく武田の姿があり、安心した響歌はドアを開けた。


武田『遅くにごめんなさいね。あのね、最近村井さんの部屋の前になんか変な人達がいる事が多いから気になって』


響歌『…え?』

一瞬背筋が凍る。

⏰:11/07/25 23:41 📱:T004 🆔:.qVFQkJU


#420 [輪廻◆j6ceQ96kak]
武田『夜とかね、ゴミを捨てに行く時に見かけるのよ。おばさんの顔見たらすぐに逃げていくんだけど。何か心当たりとかあったりするの?』


響歌『ありませんありません!』

首を横に思い切り振って否定した。


武田『それで今さっきも見かけたのよ。怪しかったから注意しようとしたんだけど…すぐに逃げてったわ』


響歌『ど、どんな人達だったんですか…?』

怖いが思い切って聞いてみた。

⏰:11/07/25 23:46 📱:T004 🆔:.qVFQkJU


#421 [輪廻◆j6ceQ96kak]
武田『男の二人組よお。年齢は一人が30代、もう一人が40代くらいだったわ』

そんな二人と知り合った事もないが、響歌はすぐに彼らの正体を理解した。


響歌『デスネット…会員…』

響歌の独り言のようなその呟きを聞いた武田は首をかしげている。


響歌『わざわざ教えてくれてありがとうございます…』


武田『戸締まりはきちんとしておいた方がいいわよ。今は物騒だからねえ』

と、寒いのか体をぶるぶると震わせながら自分の部屋に帰っていった。

⏰:11/07/25 23:57 📱:T004 🆔:.qVFQkJU


#422 [輪廻◆j6ceQ96kak]
部屋に戻った響歌。


そのまま一睡もする事なく朝を迎えた。


朝の眩しい日差しが室内を照らす。


久しぶりに、ずっと放置していた携帯を拾い上げて電源をつける。


『新着通知:48件』

予想とは違い、以前よりは減っている着信。


電話とメールが半々で来ていた。


電話着信の履歴を見ると、非通知の中に麗奈の名前を発見する。

⏰:11/07/26 23:13 📱:T004 🆔:sv3qIVXs


#423 [輪廻◆j6ceQ96kak]
履歴によると昨日のお昼頃からの着信。


留守録も残されていたので、それを聞いてみる事にした。


『…響歌ちゃん? 麗奈です。ええと…昨日から蓮ちゃんが行方不明になりました。どこか心当たりがあったら教えて欲しいのでこれを聞いたら連絡ください。待ってます』

その留守録を聞き終わった後の響歌は放心状態で、力のなくなった手から携帯電話が床に落ちた。

⏰:11/07/26 23:25 📱:T004 🆔:sv3qIVXs


#424 [輪廻◆j6ceQ96kak]
数分後―


我に帰り、落とした携帯電話を手に取って麗奈に電話した。


『……もしもし?』

暗い声で彼女が出る。


響歌『麗奈さんすみません! 私…携帯の電源切ってて…』


『気にしないで…。それよりこれから会える?』


響歌『大丈夫です! あの! 蓮が行方不明って…』


『詳しい事は後で話すよ。響歌ちゃんの家の住所教えてくれる? すぐ行くから』

響歌は電話口で住所を言って、もう一度一言だけ謝ってから通話を切った。

⏰:11/07/26 23:36 📱:T004 🆔:sv3qIVXs


#425 [輪廻◆j6ceQ96kak]
携帯電話をテーブルに置いて部屋を見渡すと、あまりの汚さに気がつき片付けを始めた。


脱ぎっぱなしにしてある服などを洗濯機に放り込んでいる時、部屋のチャイムが鳴った。


響歌『は、早いな…』

先ほどの麗奈との通話が終わってから5分もしない間に、もうやって来たのかと驚く。


しかし麗奈しかいないと思った響歌はドアの覗き穴から外を確認する事もなくドアチェーンと鍵を外してドアを開ける―


あの日、麗奈が同居している蓮の家からタクシーでアパートへ帰宅する際、片道1時間近くかかった事を響歌は忘れていた―


ドアを開けた先には、二人組の見知らぬ中年の男が響歌を待ち受けていた―

⏰:11/07/26 23:50 📱:T004 🆔:sv3qIVXs


#426 [みゆ]
続き気になりますっ!


もう結末とか決めてたりはされてるんですか〜??

⏰:11/07/27 19:38 📱:841SH 🆔:apuPnhgg


#427 [輪廻◆j6ceQ96kak]
>>426さん

そう言ってくださると非常にやる気が出て嬉しいです。

結末は…構想はできてますね。

私はどんでん返し系のお話が大好きなので、この作品もできたらやりたいですね(^^)

というか内容がホラー路線からかなりズレちゃってますね(笑)

⏰:11/07/27 23:09 📱:T004 🆔:WPC53TuY


#428 [輪廻◆j6ceQ96kak]
男性二人は怪しい笑みを浮かべながら響歌の顔を凝視していた。


すぐにドアを閉めようとしたが、男性の一人がとっさにドアノブを向こうから力強く引っ張った。


そのあまりの力に響歌の身体ごと外へと引っ張り出される。


響歌『きゃあっ!』

小さな悲鳴をあげると、もう一人の男性が今度はいやらしい目つきで響歌を見た。

⏰:11/07/27 23:17 📱:T004 🆔:WPC53TuY


#429 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『かわいいね。こんなかわいい子がターゲットなんて可哀想だなぁ』

そう言って次は同情の目をした。


響歌『な、なんですかあなた達…』

身の危険を感じたらすぐ逃げれるように、階段側の方にゆっくりと歩み寄りながら言った。


『デスネットから連絡あったでしょ? 僕達、事務局から言われて君を殺すように言われてきたの』

そう言う男の顔は決して冗談を言っている表情ではない。

⏰:11/07/27 23:24 📱:T004 🆔:WPC53TuY


#430 [輪廻◆j6ceQ96kak]
ここいたらやばい。


直感でそう感じた響歌はとっさに後ろを振り向いて階段の方へ走った。


しかし、そこで階段を上がってきた誰かの体とぶつかる。


思わずその場にしりもちをつくようにして倒れた。


ゆっくり上を見上げると、見知らぬ男の姿があった。


『大丈夫?』

20代後半くらいの男はそう言って手を差し出したが、響歌はその男の体の横をすり抜けようとした。

⏰:11/07/27 23:31 📱:T004 🆔:WPC53TuY


#431 [輪廻◆j6ceQ96kak]
が―


男はその行動を読んでいたかのごとく、一瞬で後ずさりして階段の道を体で塞いだ。


反対側には中年の二人組がいる。


完全に行き場を失った響歌は、ふと右に目をやる。


『武田』

と書かれたプレート。

そう、隣人の武田の部屋が目についたのだ。

⏰:11/07/27 23:36 📱:T004 🆔:WPC53TuY


#432 [輪廻◆j6ceQ96kak]
彼女に助けを求めようと、武田の部屋のインターホンを押した。


本来ならばここで阻もうと男達が血相を変えてこちらへ走ってくると思っていたが、全くそんなそぶりを見せる事なく男達は黙って見ていた。


しばらく待つも、中から武田が出てくる様子はない。


その時、理解した。

この男達は武田が留守だと知っている…と。


『残念だったね。さあ、行こうか』

と、中年二人がゆっくりと近づいてくる。

⏰:11/07/27 23:45 📱:T004 🆔:WPC53TuY


#433 [輪廻◆j6ceQ96kak]
もうダメだと思いその場に崩れ落ちた時―


一台のパトカーがアパート前に停車した。


男達は『まさか!』と言わんばかりの表情を見せて逃げようとするも、パトカーから素早く降りてきた二人の警官にあっけなく取り押さえられた。


響歌は安心の溜め息を小さく吐いて立ち上がった。

⏰:11/07/27 23:51 📱:T004 🆔:WPC53TuY


#434 [輪廻◆j6ceQ96kak]
警官の一人が階段を上って、響歌の元へやってきた。


『大丈夫ですか?』

頼りになりそうなガタイのよう警官に言われ、すぐに『大丈夫』と答えた。


『このアパートの住人と名乗る方から、怪しい男数人がウロウロしていると通報がありましてね…』

それを聞いてすぐに通報したのが武田だとわかった。

⏰:11/07/27 23:54 📱:T004 🆔:WPC53TuY


#435 [輪廻◆j6ceQ96kak]
そしてその警官は響歌の耳元で小さく呟くように言った。


『命拾いしたな』

その言葉に、ゾクッと顔から背中にかけて冷たい風を感じた。


警官はニヤっと笑うと、階段を降りてパトカーへと乗り込んでいった。


響歌は完全に言葉を失った―

⏰:11/07/29 11:18 📱:T004 🆔:t7jC03ts


#436 [輪廻◆j6ceQ96kak]
武田『村井さん村井さん!』

ほうきを手にした武田が現れ響歌の名を呼ぶ。


彼女は心配そうな顔で階段を上ってくる。


武田『村井さん大丈夫? 怪我はない?』


響歌『はい、なんとか…』

力なく答えた。


武田『この近くを掃除してたら3人の男がアパートの前でウロウロしてたからね、気になって通報したのよ』

⏰:11/07/29 12:00 📱:T004 🆔:t7jC03ts


#437 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『ありがとうございます…』

彼女に感謝の気持ちを伝え、部屋に戻って麗奈が来るのを待った。



20分後―


チャイムが鳴った。

警戒しつつドアの覗き穴から外を確認。


向こう側には、茶髪で髪の長い麗奈が確かにいた。


安心してドアを開け彼女を中へ招き入れた。

⏰:11/07/29 12:07 📱:T004 🆔:t7jC03ts


#438 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『コーヒーでいいですか?』


麗奈『…ありがとう』

元気がないようだ。

よく見ると、寝ていないのか目が虚ろになっている。


温かいコーヒーを差し出し、麗奈の前に座った。


響歌『あの…大丈夫ですか?』


麗奈『…………』

返事がない。

ふと見ると、麗奈は下を向いたまま何やらぶつぶつと呟いていた。

⏰:11/07/29 12:13 📱:T004 🆔:t7jC03ts


#439 [輪廻◆j6ceQ96kak]
彼女にただならぬ雰囲気を感じた響歌は、思わずその場から後ずさりした。


同時に麗奈の口にした言葉が聞き取れてしまった。


『コ…ロ…シ…テ…ヤ…ル』

そう言って彼女はゆっくりと立ち上がる。


響歌は視線を麗奈の顔にやった。


麗奈の目は何か別のものを見ているような、まるで獲物を狙う獣のようである。


よく見ると唇も青紫色に変色していた。

⏰:11/07/29 12:19 📱:T004 🆔:t7jC03ts


#440 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌は身動きが取れず固まった状態で彼女を見ていた。


視線を外そうとしても、何かの力が働いているようで彼女の顔から外れない。


響歌『麗奈さん…?』

彼女はその獣のような目を響歌へ向けると、ゆっくり歩み寄ってきた。


『私、殺されるの…?』

そう心の中で問いかける。

⏰:11/07/29 12:25 📱:T004 🆔:t7jC03ts


#441 [輪廻◆j6ceQ96kak]
目をぎゅっとつぶり『これは夢だ!』と必死に心の中で言い続けた。


『ピンポーン』

チャイムの音で夢から現実に引き戻されたような感覚になりゆっくりと目を開けると、そこにさっきまでの麗奈の姿はなかった。


『響歌ちゃん、ウチ』

玄関の方から声がする。

麗奈のいつもの健康そうな声だ。

⏰:11/07/29 12:34 📱:T004 🆔:t7jC03ts


#442 [輪廻◆j6ceQ96kak]
急いでドアを開けた響歌は、外で待っていた麗奈に思い切り抱きついた。


麗奈『ど、どうしたの?』

響歌は子供のように泣きながら『麗奈さん』と何度も言い続けた。


なんとか落ち着きを取り戻し、再びコーヒーを麗奈に差し出す。


麗奈『ありがとう。ところで…何かあったの?』


響歌『いえ…なんでもないんです』

先ほどの事を話しても信じてもらえないと思い、口をつぐんで喋らなかった。

⏰:11/07/29 12:45 📱:T004 🆔:t7jC03ts


#443 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『それより、蓮がいなくなったって本当ですか?』


麗奈『うん。一昨日、朝起きたらいなくて…。蓮ちゃん携帯持ってないから連絡とれない状態なんだよね。結局それから家に戻ってきてないの』


響歌『心当たりとかは…?』


麗奈『わからない…。ウチとお父さんで探しに行ったりもしたんだけどね…』

それを聞いて心配と同時に胸騒ぎがした。

⏰:11/07/29 12:56 📱:T004 🆔:t7jC03ts


#444 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮とは中学の頃からお互いをよく知り合っていた存在だっただけに他人事とは思えなくなった響歌。


響歌『私も探します!』


麗奈『ありがとう。ウチも蓮ちゃんと親しかった人を当たってみる』

しばらくして、麗奈の携帯電話の着信音が鳴った。


麗奈『蓮ちゃんのお父さんからだ。ちょっと待ってね』

麗奈が電話で話をしている中、響歌は出掛ける準備に取りかかった。

⏰:11/07/29 13:08 📱:T004 🆔:t7jC03ts


#445 [輪廻◆j6ceQ96kak]
数分して、通話を終えた麗奈がゆっくりと言った。


麗奈『蓮ちゃん…見つかったって』


響歌『ほ、ホントですか?』

嬉しい報告に胸がホッとして体の力が段々抜けていくのがわかった。


麗奈『警察に…あの男に面会に行ってたみたい』


響歌『あの男って…』

安心したのも束の間、すぐに嫌な汗が流れる。

⏰:11/07/30 11:01 📱:T004 🆔:u/Ao7u1E


#446 [輪廻◆j6ceQ96kak]
麗奈『これから、蓮ちゃんのお父さんが警察に迎えに行くって』


響歌『あの! 私も行ってもいいでしょうか?』


麗奈『うん、行こう。じゃあウチの車乗って!』

二人はすぐに車に乗り込んで、蓮が行ったという警察署に向かった。

⏰:11/07/30 11:05 📱:T004 🆔:u/Ao7u1E


#447 [輪廻◆j6ceQ96kak]
1時間近くの距離を走った所で大きな警察署が見えてきた。


近くのコンビニに車を停車し、二人は門の方へ。


そこに蓮とその父親の姿があり、警官に頭を下げている所だった。


麗奈『蓮ちゃん!』

蓮は麗奈の声に反応し、後ろを振り返る。

⏰:11/07/30 11:18 📱:T004 🆔:u/Ao7u1E


#448 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮『…なんで村井までいるの?』

麗奈から響歌へ視線を向けて言う。


麗奈『響歌ちゃんはアンタの事をすごい心配してたんだよ? そんな言い方ないんじゃない?』

麗奈が強い口調で言うと、蓮は無言でポケットに手を突っ込んでそっぽを向いた。


『おい蓮、ちゃんとこの子に礼を言うんだぞ。こんなお前でも心配してくれてる人がいるんだから』

父親がそう言って頭をポンと叩くと、蓮は拳をぶるぶると震わせはじめた。

⏰:11/07/30 11:31 📱:T004 🆔:u/Ao7u1E


#449 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮『うるせーよ! ホントの親父でもない癖に偉そうに言ってんじゃねーよ!』

突然の蓮の暴言に響歌は唖然とする。


そこには今まで見た事がない蓮の姿があった。


蓮『麗奈、悪いけど車乗せて』

響歌が、とりつく島がないとはこの事だと実感した時だった。

⏰:11/07/30 11:37 📱:T004 🆔:u/Ao7u1E


#450 [輪廻◆j6ceQ96kak]
麗奈の車に乗り込んだ三人。


運転中はシーンとした沈黙がずっと続く。


麗奈『お、音楽でもかけよっか』

この空気に息苦しくなったのか、麗奈はカセットテープを取り出しステレオにセットした。


陽気な音楽が流れると、今までの深い霧が一気に晴れたようだ。

⏰:11/07/30 11:48 📱:T004 🆔:u/Ao7u1E


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