馬鹿だらけ(BL)
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#140 [生茶]
俺と吉田と相田の家は、小さい頃から仲が良い。だから、お互いに第2、第3の家みたいな感じだった。今回もそのせいだろう。
「うわぁ久しぶりだなぁ」
吉田は俺の部屋を見回しながらそう言った。
「もう2年経つからな」
散らばった夏休みの課題やら雑誌やらをまとめながら返答した。
「2年経っても部屋の汚さは変わってないな」
「うるせぇな」
吉田は楽しそうに笑いながら、俺のベッドに横たわった。

⏰:08/05/04 18:31 📱:PC 🆔:84FyVaTM


#141 [生茶]
「彼女できた?」
俺が吉田の隣に座ると、吉田が唐突に聞いてきた。俺は何も考えず、いないよと言った。
「さらば青春って感じだな」
また吉田がケラケラと笑う。俺もつられて笑った。
「そっか、まぁ俺もいないけど。お前で十分!」
そう言いながら、吉田は俺に抱きついてきた。

⏰:08/05/04 18:38 📱:PC 🆔:84FyVaTM


#142 [生茶]
「やりたい…」
吉田が抱きついたまま言った。
「駄目だよ、相田が…」
「相田…には悪いけど、俺はお前が好きで、お前は俺が好きなんだろ?相田はどこにも入ってないじゃん」
「何だよそれ。相田だけ仲間外れじゃんか」
「相田相田って言っても、もう帰ってこないよ…。なぁ、もういないんだよ」
俺は妙に腹が立った。
「吉田がそんなこと言うとは思わなかった」
「な、何だよ。でもいつまでも相田に気を配ってなんかいられないだろ」
怒りと悲しみが入り混じる。
「いなくなったって、相田は…」

⏰:08/05/04 18:42 📱:PC 🆔:84FyVaTM


#143 [生茶]
「もういい」
「…」
「はっ…なせ!」
黙ったまま固く抱きつく吉田を強引に引き離し、部屋を出ようとする。
「どこ行くんだよ」
後ろで吉田の声が聞こえる。でも俺は何も言わず、部屋を出た。

⏰:08/05/05 18:42 📱:PC 🆔:WkkIwbDs


#144 [生茶]
その日は、吉田は俺の部屋で寝た。でも俺たちは一言も喋らなかった。
俺は朝早くから部活に出かけ、吉田家は俺が帰って来る前に家を出た。
非常に腹が立っていた。相田はもういないんだから俺とやれ、冗談じゃない。何でそんなに相田を他人扱いできるんだ。
俺は部屋で一人、相田との思い出を頭の中で再生した。何度も、何度も楽しかった思い出を再生した。

⏰:08/05/05 18:48 📱:PC 🆔:WkkIwbDs


#145 [生茶]
相田はもういない。けど、思い出は消えない。と、どこかで聞いたような言葉を思い出した。確かにその通りだった。相田とは、思い出の中でいつでも会えた。

⏰:08/05/05 18:53 📱:PC 🆔:WkkIwbDs


#146 [生茶]
相田は、俺のことをどう思っていただろう。親友、と思ってくれていただろうか。それとも、俺に見せたあの笑顔の数々は、偽りのものだったのだろうか。
頭の中で、物事は悪い方向へと進んでいた。

⏰:08/05/05 22:27 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#147 [生茶]
時間は、平凡に過ぎ去っていった。俺は高校を卒業し、大学生になった。既に一人暮らしを始めて2ヶ月になった。時々、母さんから差し入れが届いた。

⏰:08/05/05 22:30 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#148 [生茶]
大学から帰宅し、電気を付ける。いつも同じ動作を繰り返していた。
決して住心地の良いアパートとは言えない。日当たりもあまり良くないし、隣の部屋からは、毎晩酒に溺れた夫が妻と口喧嘩をしているのが聞こえる。

⏰:08/05/05 22:36 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#149 [生茶]
そんな夜、帰宅した俺は、机の上のプリントに紛れていた1枚の写真を見つけた。
それは、あの日、あの3人で撮った写真。そう。俺と吉田と相田の最後の写真。
何でこんな所にあるのだろう。不思議でたまらなかった。

⏰:08/05/05 22:39 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#150 [生茶]
俺は机の前でその写真を暫く見つめていた。
その写真があった場所を見てみても、他に写真は無かった。不思議だった。

⏰:08/05/05 22:42 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#151 [生茶]
3人の無邪気な笑顔を見ているうちに、俺は吉田とのことを思い出した。そういえば、あの時喧嘩したまま、連絡をとっていない。まだ、怒っているだろうか。

⏰:08/05/05 22:44 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#152 [生茶]
いや、違う。
俺が怒ったんだ。吉田は俺が欲しくてたまらなかっただけだ。
写真を机の上の目立つ所に置いて、その日は物思いにふけった。

⏰:08/05/05 22:47 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#153 [生茶]
ある日、俺はあの写真を持って、ある場所へ向かった。
他に特に持つ物は無く、必要な物だけをカバンに詰めて電車に乗った。

⏰:08/05/05 22:49 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#154 [生茶]
「あら、翔じゃないの」
「久しぶり」
まず着いたのは、実家。母さんが驚いた顔で迎えてくれた。連絡も何もしていなかったからだ。
「なぁに?お金に困ったの?」
少し久しぶりのリビングでくつろいでいると、母さんが笑いながら言った。

⏰:08/05/05 22:56 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#155 [生茶]
「違う違う」
母さんが持って来てくれたお茶を飲みながら、俺も笑う。
「ちょっと教えて欲しいことがあるんだけど」
「何?」

⏰:08/05/05 22:57 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#156 [生茶]
俺は母さんから、メモ用紙に書かれた手書きの地図を貰って、再び出掛けた。
「いってらっしゃい」
母さんが玄関で手を振った。
俺はメモ用紙を片手に、次の目的地に向かった。

⏰:08/05/05 23:00 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#157 [生茶]
目的地は、実家からそんなに遠くもない場所にあった。
敷地に入ってからは、記憶を頼りに歩いた。人はあまり来ていなかった。

⏰:08/05/05 23:02 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#158 [生茶]
前方に、男がいる。顔はよく見えない。しかし俺には、一目で誰だか分かった。
俺は相田の墓の前で立っている男に近寄る。

⏰:08/05/05 23:04 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#159 [生茶]
「吉田」
男はゆっくりこちらを向いた。まるで、俺が来ることを知っていたかのように。
「相田が会わせてくれたんだよな」
「うん」
吉田が、懐かしい笑みを浮かべた。俺もつられて笑う。

⏰:08/05/05 23:07 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#160 [生茶]
「久しぶり」
「久しぶり」
吉田が右手を俺の前に出した。俺も右手を吉田の右手に組ませる。卒業式の日と同じように、握手を交わした。
「相田が、俺らに仲直りしてほしかったんだ。幸せになってほしかったんだ」
吉田が言った。

⏰:08/05/05 23:11 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#161 [生茶]
「あの時はごめん」
「俺の方こそごめん」
お互いに謝った。
「ずっと好きだった。いや、愛してる」
「俺も。吉田を愛してる」

⏰:08/05/05 23:15 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#162 [生茶]
相田のくれた奇跡を、俺たちは笑顔で受けとめているよ。心から感謝してるよ。相田もきっと、天国で笑っているだろう。
俺たちは今、あの写真のように、3人で笑っている。そんな気がする。

終わり

⏰:08/05/05 23:20 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#163 [生茶]
私語

これで、この小説は完結致しました。
今まで読んで下さっていた皆様、ありがとうございました!!

途中から内容がガラリと変わってしまったので、BLを期待していて下さった方には大変申し訳ないです

⏰:08/05/05 23:25 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#164 [生茶]
私語

そのうちまた、新しい小説を書きたいと思っています。書く力がついていないうちは大変見苦しいものになるのですが…

それでは

⏰:08/05/05 23:29 📱:N905imyu 🆔:☆☆☆


#165 [りゅう]
すごいよかったです
感動しました


主サンお疲れ様です

⏰:08/05/06 01:29 📱:D705i 🆔:vRHMSvvw


#166 [生茶]
○りゅうさん

読んでいて下さってありがとうございます^^
感動して下さいましたか!それは嬉しい事です!

⏰:08/05/06 18:51 📱:PC 🆔:zh79iqXM


#167 []
感動です

⏰:10/02/07 18:53 📱:SH01B 🆔:axv19xeU


#168 [我輩は匿名である]
>>1-60
>>61-120
>>121-170

⏰:10/02/18 04:55 📱:S001 🆔:2AsXEtLw


#169 [わをん◇◇]
(´∀`∩)↑a

⏰:22/11/03 22:07 📱:Android 🆔:DPKzmpdw


#170 [わをん◇◇]
>>140-170

⏰:22/11/03 22:10 📱:Android 🆔:DPKzmpdw


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