【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
最新 最初 🆕
#1 [◆vzApYZDoz6]
コラボ企画第1弾!
イラスト板の絵師の方々が描いた絵から想像して小説を書こう!

こちらは小説投下スレです。
何かあれば総合案内所まで↓
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/9108/

>>2-5に小説投下の際の注意とか諸々

⏰:08/10/04 01:48 📱:P903i 🆔:pZXk7L.U


#2 [◆vzApYZDoz6]
小説投下の際の注意!

・投下は11月3日(月)、12:00〜26:00を予定しています

・投下の前に、必ず『今から投下します』という投下宣言をしてください!
宣言は早かった方が先になります。同時に2人が宣言したら、先に宣言した方がまず投下、それが終わってから次に宣言した方が投下、という感じになります。
また、誰かが投下中の場合は宣言は控えてください。

⏰:08/10/04 01:49 📱:P903i 🆔:pZXk7L.U


#3 [◆vzApYZDoz6]
・投下が終わったら、アンカーで自分の作品をまとめて下さい。それが投下終了の合図にもなるのでお願いします

・2作品以上投下する作家さんは、宣言は1回でおkです。1度宣言したら続けて全ての作品を投下しましょう

・やむを得ず投下ストップする際は、必ず「投下ストップします」とレスしてください。
戻ってきたら再び投下宣言をして(もちろん誰かが投下中の場合は終わってから)、投下再開してください。
この場合は順番に関わらず、再投下する作家さん優先で投下します

⏰:08/10/04 01:49 📱:P903i 🆔:pZXk7L.U


#4 [◆vzApYZDoz6]
アンカー

>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-1000

⏰:08/10/04 01:50 📱:P903i 🆔:pZXk7L.U


#5 [◆vzApYZDoz6]
関連スレURL

【コラボ企画】秋のラノベ祭り総合案内所【withイラスト板】
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3967/

【コラボ企画】秋のラノベ祭り作品スレ【with小説板】
bbs1.ryne.jp/r.php/illust/1144/

【コラボ企画】秋のラノベ祭りまとめスレ【withイラスト板】
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3968/

⏰:08/10/04 01:50 📱:P903i 🆔:pZXk7L.U


#6 [@斜線]
 





この絵で描かせて貰います。ではstart

⏰:08/10/15 14:20 📱:PC 🆔:Ez2gXYgU


#7 [@斜線]
 



はりわすれたory

jpg 23KB
⏰:08/10/15 14:21 📱:PC 🆔:Ez2gXYgU


#8 [@斜線]
簡単に登場人物紹介

画像むかって堰Fユウキ、:マサヤ

⏰:08/10/15 14:23 📱:PC 🆔:Ez2gXYgU


#9 [@斜線]
 



二十一歳童貞。

好きで童貞をやってるわけじゃないけど、この年までリアルに女とやったことがない。

別にもてないわけでもない。
それなりに告白とかされたりして、普通の成人男性並に欲求だってある。

だけどどうしてか一度も本番を迎えたことがない。

⏰:08/10/15 14:26 📱:PC 🆔:Ez2gXYgU


#10 [@斜線]
同性愛に興味があるわけでもない。


今日もマサヤは嘆いている。

『なんで俺たちって彼女いないんだろう』
何度となく聞かされたこの言葉。
双子の兄のユウキはうんざりしながらも、弟を宥めないわけにはいかなかった。

『まーいつか出来るって』
ユウキが煙草を燻らせながら答える。

『聞き飽きたよその言葉。俺らもう21だぞ』

⏰:08/10/15 14:31 📱:PC 🆔:Ez2gXYgU


#11 [@斜線]
マサヤは激しい口調でユウキに怒鳴った。

『年なんか関係ないでしょ…』
残りが僅かになった煙草を空き缶に落とすとユウキは立ち上がった。
『世の中には童貞のまま死ぬ奴だっているだろーよ』

ケケッと笑いかけるが
マサヤはとんでもない、といった表情だ。
『…ユウキは童貞で死んでも良いかも知れないけど、俺はイヤだね』

⏰:08/10/15 14:35 📱:PC 🆔:Ez2gXYgU


#12 [@斜線]
一卵性双生児なのに、ユウキとマサヤの思考は全く噛み合わない。

二本目の煙草に火をつけながら
ユウキはぼんやりと空を眺めた。

屋上から見る秋の空は高く澄んでいて
童貞とかそういう俗物的なことを考えているのが阿呆らしくなる。

『そんなことよりさ〜…職安行く方が先じゃん』

平日の真っ昼間にマンションの屋上に上がって煙草を吹かす…

兄弟揃ってニート生活を続けて行くには
そろそろ金が尽きてきていた。

⏰:08/10/15 14:40 📱:PC 🆔:Ez2gXYgU


#13 [@斜線]
『職探しより女探すほうが先』

マサヤは相変わらずの口調のまま愚痴を言っている。
そんなに女に餓えているなら尚更仕事を探すべきだろうが…のど元まで込み上げてきた言葉を飲み込み
ユウキは笑って流した。

『お前のグチに付き合ってたら頭いたいわ…俺ハローワーク行ってくる』

『…ご自由にー』

⏰:08/10/15 14:46 📱:PC 🆔:Ez2gXYgU


#14 [@斜線]
ユウキは履き物だけ変えて、近所の職業紹介所に向かった。

(あーかったりー…なんか面白いことでも起きないもんかね)

チャリに跨り、車道を走る。

『あのー…仕事探しに来たんですけど』
会社の玄関で受付嬢らしき女に声をかけた。

『今日は履歴書はお持ちですかぁ?』
女はにこやかに答える。

『無いです』
ユウキの返答を聞き、女の顔が引きつった。

⏰:08/10/15 14:52 📱:PC 🆔:Ez2gXYgU


#15 [@斜線]
『でしたら―…また明日、履歴書をご持参の上こちらに来ていただけますか?』

要するに今日は帰れという意味なのだ。
ユウキは居心地が悪くなり、そのまま何も言わず職安所を後にした。


家に帰るとマサヤに何を言われるか分からないので

あてもなく川縁をチャリを押しながら歩いた。

⏰:08/10/15 14:56 📱:PC 🆔:Ez2gXYgU


#16 [@斜線]
(だりー…)

川沿いの道で一人黄昏れていると、いきなり背後で甲高い声が上がった。

『助けてー!』

何事かと振り返ると、女と二人組の男が揉み合っている。
どうやら女のバッグを引ったくるつもりのようだった。

『ナンなんですか!!やめてください!!』
女は喚き散らしている。

⏰:08/10/15 15:00 📱:PC 🆔:Ez2gXYgU


#17 [@斜線]
ユウキは立ち上がり、三人の間に入った。

『何やってんだよ』
『うるせぇ!!!!お前はすっこんでろ』
一人の男がユウキにつかみかかる。

『二対一は卑怯だろ』
『うっせーな!!!!』
ユウキと男達が言い合いになっているうちに、野次馬が集まってきた。

『喧嘩か?』『警察呼ぶか』等々声があがり、
男達も面倒になったのか
そのままバッグも取らずにその場から逃げた。

⏰:08/10/15 15:06 📱:PC 🆔:Ez2gXYgU


#18 [@斜線]
男達も野次馬も去り、残ったユウキと女は誰かが呼んだらしい警察のパトカーに乗せられ、事情聴取を受けた。

『大変な目に遭いましたね』
調書を取り終え解放された時には、外は真っ暗だった。

『本当に…ご迷惑おかけしました』
女はユウキに頭を下げた。

『いえ、気にしないでください。じゃ…』
『あの…お名前伺ってもいいですか?お礼がしたいので…』
『あーお礼とかいいですよ。気にしないで。ではこれで』

ユウキは派出所前で女と別れた。

⏰:08/10/15 15:14 📱:PC 🆔:Ez2gXYgU


#19 [@斜線]
家に帰ると案の定、マサヤからの「どうだった」の質問攻めだった。

どうもこうも言いようがないので
ユウキは「疲れたから先に休む」とだけ言い風呂に入った。

 

…翌朝

『今日も職安行くのかよ?』
朝飯を頬張りながら、マサヤは聞いた。
『…まーな』
『じゃ俺も行くわ』

⏰:08/10/15 15:18 📱:PC 🆔:Ez2gXYgU


#20 [@斜線]
『珍しいな』
『まじで金ないからさ。リアルにあと二万円しかない』
『…』

ニートも金がなけりゃできない。

働きだしても給料が入るまで
二万で食いつないでいくのは不可能だ。

『この際ドカタでいいか。日給のところさがそう』

⏰:08/10/15 15:21 📱:PC 🆔:Ez2gXYgU


#21 [@斜線]
その日のうちに日当八千円の建築の仕事(バイト)が見つかった。

今日からの採用と言われ、二人はTシャツに着替えてチャリで職場に向かった。

力仕事のきつさは半端無い。
しかもモノがどこにあるかわからないから
ぱしりにも使えない。
ニート歴三年の二人はすぐにばてた。

『座ってんじゃねー!』
先輩に怒鳴られながら、何とか終業時刻まで働いた。

ミーティングが終わると親方らしき人物がその日の給料を支払ってくれた。

⏰:08/10/15 15:28 📱:PC 🆔:Ez2gXYgU


#22 [@斜線]
収入は二人合わせて一万円とちょっと。
初日だから色々さっ引かれた。
家に帰るなりマサヤは不機嫌をぶちまけた。

『ちっ!!!!疲れ果ててこんだけかよ!!』
マサヤは当たり散らした。

いつものようにユウキが宥めても聞く気配はない
『仕方ないだろ…明日も頑張ろーや』
『俺はイヤだね!!!!ユウキが働いて金入れろよ!!!!』

⏰:08/10/15 15:30 📱:PC 🆔:Ez2gXYgU


#23 [@斜線]
『ざけんな!なんで俺がお前の分まで働かなきゃいけないんだよ!!』
『兄貴なんだから、当然だろ』
『双子で兄弟も糞もあるか』

二人は口論の末殴り合いになった。

いつものように喧嘩が始まった。手加減などない。
疲れているのに殴り合った。

⏰:08/10/15 15:33 📱:PC 🆔:Ez2gXYgU


#24 [@斜線]
お互い鼻血と汗と切り傷で、顔面血だらけだった。
それでも喧嘩が収まるには時間がかかる。

『…ハァ…ハァ…』
息切れしながらも睨み付け合う。


そこに、まるで空気を読まずに“ピーンポーン”というチャイムオンが鳴り響いた。

⏰:08/10/15 15:37 📱:PC 🆔:Ez2gXYgU


#25 [@斜線]
チャイム音で一気に冷静には慣れた二人だったが、
この容姿で出ていっていいものか、顔を見合わせた。

『ユウキが出ろよな!』
『…わかったよ…』
ユウキは近くにあった雑巾で顔を拭いながら
玄関のドアを開けた。

『はーい…どちらさまー』

⏰:08/10/15 15:40 📱:PC 🆔:Ez2gXYgU


#26 [@斜線]
『…あ』

そこには、あの女が立っていた。

『あんた―』

女はユウキの血みどろの顔を見て相当驚いたらしい。

『スイマセン!間違えました』
そう言って帰ろうとした。
『待てって!間違えてないよ、多分。今俺こんなんですけど…』
女の細い手首を掴む。

『あー…じゃああの昨日の…?』
女が確認するように覗き込んでくる。

⏰:08/10/15 15:45 📱:PC 🆔:Ez2gXYgU


#27 [@斜線]
『そーです。でもよく家が分かりましたね』
『あ、いえ…あの…迷惑かと思ったんですがどうしてもお礼がしたくて。あの後刑事さんにお聞きしたんです』

『…そうですか。えっと…取り敢えず上がってってください。
男二人でむさ苦しい家ですけど』
ユウキは頭を掻きながら
女を促した。
『え、いえ!ここで結構です…』

⏰:08/10/15 15:48 📱:PC 🆔:Ez2gXYgU


#28 [@斜線]
疲れたから落ち

⏰:08/10/15 18:25 📱:PC 🆔:Ez2gXYgU


#29 [◆vzApYZDoz6]
乙です…と言いたいところですが
>>2見ましたか?

投下は11月3日です
フライングですよw

⏰:08/10/15 23:28 📱:P903i 🆔:9qc7j1.2


#30 [紫陽花→渚坂 さいめ]
あげまーす(・∀・)

投下開始です!!!!!

⏰:08/11/03 00:05 📱:F905i 🆔:WY17HTaw


#31 [あんみつ]
今から投下します!
使わせてもらうイラストは、
NO、003
NO、010
NO、032
の3つです!

⏰:08/11/03 12:57 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#32 [あんみつ]
あ、タイトルは
「受け継がれし者」です。

⏰:08/11/03 12:59 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#33 [あんみつ]
 

はるか昔、もう一つの世界の国々で大規模な争いが起きた。

人々の寂しさ、憎しみ・・・それらが合わさって、いつしか大きな闇が生まれた。

その闇の暴走を止めるべく、国々は、それぞれの土地にまつわる神の協力の下、闇を封印することに成功した。

しかし、それは一時的なもので、闇が暴走しようとした時、再び封印の儀式を行う必要がある。
.

⏰:08/11/03 13:01 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#34 [あんみつ]
 
封印するためには、一人の神につき、一人の選ばれた他の世界の人間の力が必要であった。

それぞれの国からの神と、それに選ばれた人間たちが集まった時、真の力を発揮する。

そうして、神々と人間たちは、協力しあって生きてきたのだ。

.

⏰:08/11/03 13:02 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#35 [あんみつ]
――――――――


手作りのパンと乳製品の香りが立ち込め、棚に色とりどりの果物が並ぶ店内。

売り場の椅子に座って、自分の胸にかかったペンダントを手に取り、それを懐かしそうに見つめる一人の男がいた。

透明な石のはめ込まれたそれは、窓から差し込む光に当たってキラキラと輝く。

男は目をつむっては開き、再びそれを見つめては、また目を閉じる。
.

⏰:08/11/03 13:03 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#36 [あんみつ]
 
しばらくそれを繰り返して、男はそっと微笑んだ。

まるで、懐かしい思い出の蓋を開けて楽しむように。

男が仕事に戻ろうと立ち上がろうとする。

その時、ペンダントの中央にはめ込まれた石が赤く光った。

それに気付いた男は、目を見開いた後、何度もまばたきを繰り返す。

そして呟く。

「・・・とうとうきたか」

.

⏰:08/11/03 13:04 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#37 [あんみつ]
 

カランカランッ

「アーク!牛乳一本」

店のドアが勢いよく開いて、一人の少年が入ってきた。

アークと呼ばれた男は、一気に現実に引き戻される。

少年は慣れたように棚から牛乳を取り出し、男の前に置いた。
.

⏰:08/11/03 13:06 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#38 [あんみつ]
 
男は自分の首に下げたペンダントを外しながら、少年をじっと見つめる。

「・・・?なんだよ?」

訳が分からないといった様子の少年。

「・・・ん、何でもないよ」

そんな少年を見て、アークは納得したようににっこりと微笑んだ。

.

⏰:08/11/03 13:06 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#39 [あんみつ]
 

「ほら、牛乳。・・・と、これはおまけ」

言いながらアークは、小さな包みを取り出し、牛乳の横に置く。

「まじで?何それ?」

「んー・・・開けてからのお楽しみ」

少年の質問に、アークは意味深な笑みを浮かべて言った。

また飴かなんかだろ、そう思った少年は、その笑みを気にもとめない。

「ふーん、サンキュ」

それだけ言って、財布の中を覗く。
.

⏰:08/11/03 13:07 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#40 [あんみつ]
 
少し小銭をチャラチャラ言わせた後、お札を1枚取り出した。

アークはそれをちらりと見て、また少年に視線を戻す。

そして、口を開いた。

「・・・なぁ、ルキ。封印された闇の話知ってるか?」

「・・・?神と人間が協力して・・・ってやつ?」

ルキと呼ばれた少年が答えると、アークはその通りといった風に頷いた。

ルキは、それが何だよといった風な顔でアークを見る。
.

⏰:08/11/03 13:08 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#41 [あんみつ]
 
アークはそれが分かったのか、

「いや、知ってるならいいんだ」

それだけ言うと、ルキからお札を受け取って、おつりを取り出す。

おつりを受け取りながらも、どうも納得のいかない顔のルキに、アークは少し考えた後口を開いた。

「・・・俺の昔の話をしようか」

「アークの?」

ルキは聞きたい聞きたいと、台の上に身を乗り出す。

そんなルキを見て、アークは満足げにほほえんだ後、話し始めた。
.

店内 [jpg/15KB]
⏰:08/11/03 13:11 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#42 [あんみつ]
 
「もう十年前だから・・・俺が十六の時。ちょうど今のルキと同い年だな」

「うんうん」

ルキは相槌を打ちながら、今まで一度も聞いたことのないアークの昔話に耳を傾ける。

アークは少しためた後、

「俺は、もう一つの世界に行った」

そう、言った。

.

⏰:08/11/03 13:12 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#43 [あんみつ]
――――――――


「・・・なぁ、さっきもここ通ったよな?」

「・・・」

「・・・なぁってば」

「・・・」

「なぁ、アーク!」

「だぁーもう!うるさいな!」

「・・・」

俺たちは、深い森の中にいた。

背の高い木々に囲まれて、右も左も分からない。
.

⏰:08/11/03 13:14 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#44 [あんみつ]
 
俺が怒鳴り気味で言うと、後ろにいたそいつは黙り込んでしまった。

こっちが後ろめたい気分になってくる。

(あーくそ・・・もとはといえばこれが・・・)

俺は、自分の首にぶら下がっているペンダントを睨んだ。

赤い石のはめ込まれたそれは、俺の気持ちとは正反対にキラキラと輝く。

・・・話は数時間前にさかのぼる。

.

⏰:08/11/03 13:15 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#45 [あんみつ]
 

「これ、あげるよ」

親が買い出しに行っている間店番をしていた俺に、見慣れない客が牛乳と一緒にペンダントを台の上に置いた。

そう、それがこれ。

「・・・え?」

急なことに戸惑っていると、そいつは牛乳の分のお金を置いて、さっさと店を出て行ってしまった。

慌てて追いかけようと席を立った瞬間、ペンダントが輝きを増して、あまりの眩しさに俺は思わず目を閉じる。
.

⏰:08/11/03 13:16 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#46 [あんみつ]
 
そして、再び目を開けたら・・・

「・・・ここ、どこだ?」

森の中にいた。

初めは夢だと思った。

けど、肌を撫でる風の感触。

鼻をかすめる森のにおい。

耳に届く鳥のさえずり。

それらのすべてが夢にしてはあまりにリアルで、俺は何度も瞬きした後、自分の頬をつねる。

「・・・痛い」
.

⏰:08/11/03 13:17 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#47 [あんみつ]
 
俺は呟き、そして認識した。

・・・これは夢じゃない。

俺は、ここにいるんだ。

「夢じゃないって分かったか?」

突然後ろから声がして、振り向いた。

そこにいたのは、俺の肩の高さぐらいの背の男の子。

赤いな髪は短く、額に小さな傷がある。

そいつは驚く俺を見て、生意気そうな顔でにっと笑った。
.

⏰:08/11/03 13:18 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#48 [あんみつ]
 
「ま、軽く自己紹介でもしようか」

そう言って、少し大きめの石に腰掛ける。

そいつは、立ち尽くす俺をよそに口を開いた。

「封印された闇の話知ってるか?」

.

⏰:08/11/03 13:19 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#49 [あんみつ]
 

そいつの名前はレジー。

ここの近くにある国にまつわる火の神。

・・・とてもそうは見えないが。

封印された闇の話は、言い伝えなんかじゃなくすべて本当で、俺は、再び暴走し始めた闇を封印するべく選ばれた人間の一人。

・・・以上、レジーの話。

.

レジー [jpg/36KB]
⏰:08/11/03 13:21 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#50 [あんみつ]
 

が、こんなこといきなり言われて、はいそうですか、なんて言えるわけがない。

「な、分かったか?とりあえず俺の国に行こう。力使うの久々だからこんな所に出ちゃって」

「・・・」

「どした?」

「・・・冗談じゃねぇ!俺は帰る!」


・・・そして、今に至る。

止めるレジーの言葉も聞かずに、当てもなく歩き続けた結果がこれ。

(こんなペンダントのせいで・・・)
.

⏰:08/11/03 13:22 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


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