言葉
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#251 [あい]
あたしは答えられなかった。
たくみから目をそらした。
「おい、こっち向けよ。早く答えろ。」
「「小さい時、確かにあたしは喋ってた。でもそれから全然話してないから…変な声が出ちゃうんじゃないかって…。」」
不安だった…。
たくみは笑った。
「バーカ。」
そう言ってデコピンをしてきた。
:09/03/14 21:45 :F706i :☆☆☆
#252 [あい]
「普段バカな事やってる奴が、何そんな事気にしてんだよ。バカにして笑うわけねぇじゃん。」
たくみの言葉で、元気が出た。
でも、あたしは声を出すという事をしていなかった。
家族みんな、気にしていたと思う。
手術からかなりたち、また冬がやってきた。
2回しゅうと過ごしたクリスマスが、またやってくる。
:09/03/15 01:04 :F706i :☆☆☆
#253 [あい]
あたしは、しゅうを忘れる事ができていなかった。
初めての彼氏だったし、すごく好きだった。
すごく幸せだったから、本当に好きになりすぎていたから、忘れられなかった。
しゅうは元気なの?
お母さんと仲良く暮らしてるかな?
受験は?
新しく彼女はできた?
あたしが耳聞こえるようになった事知ってる?
しゅうの事ばっかりだった。
:09/03/15 01:12 :F706i :☆☆☆
#254 [あい]
時々泣いちゃう時もあるんだよ。
勝手だよね…
あたしがしゅうを振ったのに。
あたしが離したのに。
あんなに大好きだった人を。
あんな大事にしてくれた人を。
しゅう…
:09/03/15 20:17 :F706i :☆☆☆
#255 [あい]
クリスマス。
あたしはあの場所に行った。
しゅうがクリスマスに連れてきてくれた場所。
1人で来るのは、大変だった。
途中までバイクだったから。
そこから見る景色は、あの頃と変わらず綺麗だった。
寒い中、あたしは1人で眺めていた。
:09/03/15 20:20 :F706i :☆☆☆
#256 [あい]
帰ろう。寒いな。
そう思ってた時だった。
ジャリジャリ…
誰かが後ろから来る。
1人じゃない…2人?
振り向いたら、そこにいたのはしゅうだった。
隣には、知らない女の子。
しゅうはすごく驚いた感じの表情だった。
……隣の人誰?
:09/03/15 20:22 :F706i :☆☆☆
#257 [あい]
「「何でここにいんの?」」
あっ…手話してる。
しゅうの声だっ…
初めて聞いた。
こうすけ、あたしが耳聞こえるようになった事言ってないのかな。
「「手話しなくていいよ。聞こえるから。」」
「えっ?まじ?」
あたしは頷いた。
「手術成功したんだ。おめでとう。」
………泣きそう。
:09/03/15 20:27 :F706i :☆☆☆
#258 [あい]
「「その人、彼女?」」
しゅうはその子を見て言った。
「うん。てか元カノ。」
あ…より戻したんだ。
「「そうなんだ。おめでとう。」」
あたしはそう言って、2人から離れていった。
「あい!!」
しゅうがあたしを呼んだ。でも、振り向かずあたしは歩いた。
:09/03/15 21:00 :F706i :☆☆☆
#259 [あい]
だって…涙が出てきたから。
しゅうの秘密の場所。
あたしだけに教えてくれた場所。
それはただの思い込みだね。
しゅうは…元カノにも教えたんだ。
涙が止まらなかった。
耳が聞こえてなかったら、足音にも気づかなかった。
足音が聞こえてなかったら、振り向かなくて、しゅうにも気づかなかった。
よりを戻した事も、知らずにすんだんだ。
:09/03/15 21:08 :F706i :☆☆☆
#260 [ゆきな]
やばいです
泣きそう(T_T)
:09/03/15 22:30 :P903iX :☆☆☆
#261 [あい]
>>260 ゆきなさん
毎回コメントありがとうございます
:09/03/16 00:33 :F706i :☆☆☆
#262 [あい]
耳が聞こえてなかったら…
そんな事思っちゃダメ。
しゅうの事は吹っ切んなきゃ。
彼女がいる事知って、いいじゃん。
これで吹っ切れるよ。
…これでいいじゃん。
:09/03/16 00:39 :F706i :☆☆☆
#263 [あい]
しゅうの事は考えないようにした。
考えないで仕事をして、普通に家に帰って、家で寝る。
次の恋をしよう。
焦らず、ゆっくりと。
あたしは普通の生活を送っていた。
ある日の仕事帰り。
あたしは、いつものように自転車で家に向かっていた。
雨上がりだったため、道は濡れていた。
マンホールのとこど滑ってしまい、あたしは転倒した。
:09/03/16 00:57 :F706i :☆☆☆
#264 [あい]
痛い…。
「大丈夫ですか?」
声をかけてきたのは、しゅうだった。
何で?何でこんなとこで会っちゃうのかな。
よく考えてみればここ、しゅうと出会った場所だ。
しゅうにぶつかって。
「お前喋れねぇの?」って…
あたし、こんな事まで覚えてる。
「立てるか?」
しゅうが手を差し出してきた。
:09/03/16 09:33 :F706i :☆☆☆
#265 [あい]
しゅうの顔を見て、あたしは泣いてしまった。
全然考えてなかったのに。
あたし…全然しゅうの事忘れる事できてないじゃん。
「何泣いてんだよ!!そんな痛いのか?」
涙止まんないよー!!!
:09/03/16 09:37 :F706i :☆☆☆
#266 [ゆか]
いっきに読みました
続き待ってます。
頑張って下さい
:09/03/16 12:47 :SH903i :☆☆☆
#267 [あい]
>>266 ゆかさん
ありがとうございます
あとで更新します
:09/03/16 19:04 :F706i :☆☆☆
#268 [あい]
あたしは下を向いてた。
覗き込むように、しゅうが見てきて「大丈夫か?」って。
ドキッとした…
あたしは立ち上がり、お礼を言う。
「自転車乗って施設行ってんの?」
しゅうが聞いてきて、あたしは頷く。
「ちょっと話そ?」
あたしは横に首を振った。
:09/03/16 21:34 :F706i :☆☆☆
#269 [あい]
「いいから話すぞ。」
しゅうはあたしの自転車を押して、歩き始めた。
あたしはその後ろを、付いていった。
公園に着き、しゅうはブランコに乗る。
あたしもブランコに座る。
「元気だった?」
先に話をしてきたのは、しゅうだった。
あたしはしゅうの方を向く。
微笑むしゅう。
:09/03/16 21:44 :F706i :☆☆☆
#270 [あい]
しゅうの笑顔だ。
あたし、ニコッと笑うしゅうの笑顔大好きだった。
小さい子みたいに可愛くて。
微笑む顔も好きだった。
久しぶりだな。
「「元気だよ。しゅうは?」
「まぁまぁ。」
キーッキーッて動くブランコ。
無言が続いた…。
:09/03/17 00:18 :F706i :☆☆☆
#271 [あい]
「「もう少しで卒業だね。」」
何か言わなきゃと思い、あたしは手話を始めた。
「おう。俺、専門学校行くんだ。」
しゅうは美容師になりたいんだよね。
この事もあたし覚えてるや。
「「お母さんは?」」
「一緒に暮らしてるよ。加藤さんとも、うまくやってる。」
そっか。よかったね…しゅう…
:09/03/17 00:22 :F706i :☆☆☆
#272 [あい]
「俺、母さんと一緒に暮らせてよかったと思ってる。お前と別れたの平気って訳じゃなかったけど。本当に別れたくなかったし。でも、別れてなかったら、俺はまだ1人で暮らしてたと思う。」
あたしは、しゅうの話をちゃんと聞いた。
「元カノとより戻したのは、お前と別れてちょっとしてから。いきなり連絡きて、やり直したいって。」
この話はあんま聞きたくないな。
:09/03/17 00:29 :F706i :☆☆☆
#273 [ゆか]
頑張って(T0T)
:09/03/17 00:31 :SH903i :☆☆☆
#274 [あい]
「お前と別れてムシャクシャしてて、軽い気持ちでより戻したんだ。今想うとバカだよな。」
…………。
「でも、やり直してからまたちゃんと好きになった。お前の事も考えないようになってた。」
しゅうは、拾い持ってた枝を折った。
「何でクリスマスの日、あそこにいたの?」
ずっと下を向いて話してたしゅうが、またあたしを見る。
「何でいたの?」
:09/03/17 00:35 :F706i :☆☆☆
#275 [あい]
:09/03/17 00:36 :F706i :☆☆☆
#276 [あい]
あたしは、何て言えばいいんだろう。
しゅうの事ずっと引きずってたなんて言えない。
今しゅうには彼女がいる。
困らせたらダメだ…
2人の仲を邪魔しちゃダメだ。
「ビックリしたよ。」
しゅうが言う。
「彼女に見せてやろうと思って連れて行ったら、お前がいんだもん。」
やっぱ…あたしだけにっていう場所じゃないんだ。
本当あたしバカだ…
:09/03/17 00:43 :F706i :☆☆☆
#277 [あい]
「来んなよな。まだあいは好きなのかなって、変な期待しちまったじゃん。」
頭をかくしゅう。
恥ずかしいんだ…
「お前が俺の事振ったんだよ?嫌いになったわけじゃないのはわかってる。あいは、俺のために別れたんだよな。何で、あそこにいたの?」
真剣な顔をしてるしゅう。
黙ってたらダメだ。
あたし、言わなきゃ。
:09/03/17 13:32 :F706i :☆☆☆
#278 [あい]
「「あたしは、しゅうを振った。でもずっと引きずってた。いつもいつも、しゅうの事を考えてた。クリスマスの日、もしかしたらしゅうに会えるんじゃないかと思って…だからあたしは、あの場所に行った。会えたけど…しゅうの隣には違う子がいた。だから、あたしは考えてないようにって…忘れようって…」」
あたしは手を止めた。
ダメだ…また泣きそう。
「「何で…何で今日会っちゃうかな。」」
:09/03/17 13:37 :F706i :☆☆☆
#279 [、]
:09/03/17 14:05 :SH905i :a06byC9A
#280 [あい]
>>279 、さん
ありがとうございます
頑張ります
夜また更新します
:09/03/17 16:57 :F706i :☆☆☆
#281 [彩]
メチャぃぃ話ッ!!
応援してます(o>ω<o)
頑張って下さいね
:09/03/17 19:10 :N04A :Lon6PJc2
#282 [あい]
:09/03/17 21:44 :F706i :☆☆☆
#283 [あい]
考えてなかった分の気持ちが溢れ出てきた。
やっぱりしゅうが好き。
「「話かけないでよ。しゅうの事やっと考えないようになってたのに…。」」
嘘…
本当は、話かけてきたのがしゅうで嬉しかった。
しゅうがいきなり抱きしめてきた。
あたしは離れようとしたが、しゅうは離そうとしない。
「ちょっとだけ。」
:09/03/17 21:52 :F706i :☆☆☆
#284 [あい]
抱きしめたまま、しゅうは話始めた。
「あい…お前が言いたい事はわかってる。彼女がいるのに、こんな事するなだろ?」
そうだよ…
しゅうには彼女いるじゃん。
「でも無理。やっぱお前の事好き。」
好き…。
しゅうからまたこの言葉が聞けるなんて。
「クリスマスの日から、あいの事ばっか。彼女と前みたいに戻ってきたと思ってたのに…。」
:09/03/17 22:03 :F706i :☆☆☆
#285 [あい]
「あい…好きだよ。」
そう言い、しゅうはあたしから離れて、じっとあたしを見る。
「彼女と別れる。」
「「でも、彼女の事好きなんじゃないの?」」
さっきそう言ってたじゃん。
彼女もいきなり、納得しないと思うよ。
「好き。ちゃんとまた好きになったよ。でも仕方ねぇじゃん。俺にとってお前は存在でけぇって、わかっちまったんだから。」
:09/03/18 00:39 :F706i :☆☆☆
#286 [あい]
「連絡するな。」
そう言い、あたし達はバイバイした。
連絡する…
そう言ったけど、しゅうからの連絡はなかった。
1週間…1ヶ月…
気づけば、4月になっていた。
しゅうは高校を卒業したな。
あたしから連絡した事もあった。
でも返事はこない、電話にも出ない。
どうして?
:09/03/18 13:39 :F706i :☆☆☆
#287 [ゆか]
気になる(→o←)
:09/03/18 19:41 :SH903i :☆☆☆
#288 [彩]
:09/03/18 22:34 :N04A :djgXPQj6
#289 [ゆきな]
がんばって
ヾ(^∇^)ノ
:09/03/20 08:24 :P903iX :☆☆☆
#290 [あい]
>>287 ゆかさん
遅れてすいません
今から更新します
:09/03/20 10:55 :F706i :☆☆☆
#291 [あい]
:09/03/20 10:55 :F706i :☆☆☆
#292 [あい]
>>289 ゆきなさん
遅れてすいません
頑張りますよー
:09/03/20 10:56 :F706i :☆☆☆
#293 [あい]
どうして連絡くれないの?
好きって言ったじゃん。
彼女とは別れるって。
まだ別れてないの?
あたしはずっと待っていた。
連絡きたら、やり直せたら今度こそ離さないって決めてたんだ。
でも、現実はそう甘くなかった。
しゅうを見たのは、休みの日だった。
:09/03/20 11:02 :F706i :☆☆☆
#294 [あい]
あたしは、しゅうの家に行こうとしていた。
何でもっと早く行かなかったんだろう。
そう思うけど、あの時は行くのが何故か恐くて、なかなかその行動ができなかった。
久しぶりに、この道を歩くな。
付き合っていた時は、何回も歩いてたな。
そう思っていた。
横を見た時、向かい側の歩道に見た事があるような、女の人が歩いていた。
:09/03/20 11:10 :F706i :☆☆☆
#295 [葵]
:09/03/21 04:37 :SH906i :NJcnj.j.
#296 [あい]
あれ…?
あの子クリスマスに見た子だ。
しゅうの彼女だ。
もう別れたのかな?
何かクリスマスに見た時より痩せた感じがした。
よく見てみれば、様子がおかしかった。
ボーっとしているのか、力が抜けた感じで歩いている。
今にも倒れちゃいそうな…
その時だった。
「さやか!!」
:09/03/22 01:15 :F706i :☆☆☆
#297 [あい]
声のする方を見ると、走ってくるしゅう。
彼女は振り向き、しゅうが手を引っ張っている。
嫌がって動かない彼女。
あたしは…それを見ていた。
2人は、あたしに気づいていない。
2人の会話は聞こえない。
でも言い合ったような感じ。
彼女は…泣いていた。
しゅう…あたしここにいるんだけど。
気づいてよ。
:09/03/22 01:17 :F706i :☆☆☆
#298 [ゆか]
頑張って(ToT)
:09/03/22 01:19 :SH903i :☆☆☆
#299 [あい]
別れてないの?
どうして一緒にいるの?
あたしに連絡くれなかった理由は、これ?
またあたしは1人で期待してたのかな…。
しゅう…あたしに気づいてよ。
「しゅ…う。しゅう!!」
あたしはしゅうを呼んだ。
そう、耳が聞こえるようになり、初めてあたしは声を出した。
しゅうって…
:09/03/22 01:22 :F706i :☆☆☆
#300 [あい]
:09/03/22 01:23 :F706i :☆☆☆
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