こちら満腹堂【BL】
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#651 [ひとり]
付き合ってみて初めて解ったことなんだけど、根岸のキスは助走が長い。紳士的?て謂ってしまえるんだろうか。出だしっから息があがるほどにガツガツ来ることはまずなくて、いつも俺の様子を伺うように、スローでフラットなスタンスを崩さない。俺がそれに応える毎に、徐々に加速していく感じだ。

そうして優しく振る舞うことで、俺が焦れったい気持ちになってるなんて、きっとコイツは思いもしないんだろうが。俺は俺で、もっと求められたいなんて『恥ずくてとてもじゃないが謂える訳ねぇ』とプライドが邪魔をしている。

⏰:10/04/18 11:23 📱:F01B 🆔:Kn5n1jUU


#652 [ひとり]
でも今日は・・・・

いつもじゃあり得ないこの状況と、根岸の吐息と一緒に吸い込むアルコールの香りに酔ったせいにしてしまえ。

俺はそろりと腕を伸ばして。

「三田さん?」

俺の行動に驚いたのか、根岸が動きを止めた。俺達は見つめ合う。根岸の瞳に映る己の表情までがはっきりとわかる距離で。

「そんなんじゃ足りねぇよ」

「え?」

⏰:10/04/18 12:40 📱:F01B 🆔:Kn5n1jUU


#653 [ひとり]
「そんなんじゃ足りないっつってんだよ」

そろそろと伸ばしていた腕の動きを性急にして、ガバッと相手の首に巻き付けた。

「うおっ」

「そんな生温いんじゃ、俺は半勃ちにもなんねぇっつってんだ」

互いに基より承知のことだけど、我ながら色気も糞もあったもんじゃねぇ誘いかただ。それでも俺にとったら上出来。顔から火を噴く勢いで内なる羞恥心と闘った末の誘い文句だった。

⏰:10/04/18 13:45 📱:F01B 🆔:Kn5n1jUU


#654 [ひとり]
「何度も謂わせんな」

初めはキョトン顔だった根岸だが、次第にその瞳に何かが宿っていくのがわかった。ギラついている。健全な、二十代男子がそこに居た。

「謂ってくれるじゃないすか」

不適な微笑み。俺も同様に返した。

「止まんなくなっても知らないよ」

「どうだか」

謂っとくが、今はちょっとしたラブシーンな訳だけど、やっぱ俺達にセオリーなやり方はできそうもない。

⏰:10/04/18 13:52 📱:F01B 🆔:Kn5n1jUU


#655 [ひとり]
挑発。と謂ってしまえるような乱暴な誘いに乗った根岸は、さっきまでが嘘のように俺の唇にかぶりついてきた。

懐かしの歌謡曲が一瞬頭の中を過ぎる。男は狼なのよー気をつけなさいー。

まぁ、対する俺も狼。気をつけるも何も、上等じゃねぇか。

髪を鷲掴みにされ、身体を引き寄せられ、何度も角度を変えながら、奥まで舌で弄られる。

息つく暇がない

⏰:10/04/18 19:52 📱:F01B 🆔:Kn5n1jUU


#656 [ひとり]
でも、どうでも良かった。

苦しくなる呼吸も、キツい大勢も、そんなん関係ねぇ。


根岸───


俺の頭は、バカみたいにそれだけに占領されていく。

根岸、根岸、根岸、

奴の首に回していた腕に力を込め直す。

⏰:10/04/18 19:57 📱:F01B 🆔:Kn5n1jUU


#657 [ひとり]
すると、根岸はピタリと動きを止めて、俺を正面から射抜いた。


「三田さ、本気・・止まんない、俺、」

呼吸が苦しいのはお互い様だったようで、根岸は上がった息でつっかえつっかえそう謂った。

眉間に刻まれた皺が、本当に辛そう。

「根岸、」

「はい」

俺は奴の耳元に、こう、囁いた。

「止まんなくて、いんじゃね?」

⏰:10/04/18 20:32 📱:F01B 🆔:Kn5n1jUU


#658 [ひとり]
「三田さ・・」

「止めようなんて考えるから、苦しくなるんだ」

「・・・いいんですか、んな事、謂っちゃって」

「知らなかったのか?」

「何を」

「俺もお前と同じ気持ちだってこと」

「はは」

根岸は短く笑う。俺達はまた互いを求め始める。

⏰:10/04/18 21:23 📱:F01B 🆔:Kn5n1jUU


#659 [ひとり]
今この瞬間。俺の頭がお前で一杯になってるこの瞬間に、お前の頭も俺で一杯になったらいい。

そう強く、もう"思う"ってより、"願う"に近い気持ちで舌を交えた。

さっきまでひやりとしていた根岸の手が熱い。

いつの間にかそれは直に俺の肌の上を滑るように動き回っている。ただそれだけのことで興奮しちゃうんだから、俺も、俺の息子もそうとういかれてる。

「三田さん、下が苦しそうですよ」

「ば・・か・・・」

油断したらアハンとか謂っちゃいそうで、俺は歯を食いしばって堪えた。

⏰:10/04/19 10:54 📱:F01B 🆔:Szzdx9cw


#660 [我輩は匿名である]
>>600-700

⏰:10/04/19 13:20 📱:P03A 🆔:3sbxmL8g


#661 [ひとり]
「強がっちゃって」

目を瞑ったままでも、相手が微笑ったのが気配でわかる。

俺の前を寛げようと、根岸が手をかけたベルト。カチャカチャと響く音はやけにイヤらしい。

脳みそがドロドロに溶けてくみたいだ。もう、何も考えられない。ただ、根岸が欲しかった。根岸を、俺だけのものにしたかった。

「三田さん」

「根ぎ・・し」

「くわえていい?」

「一々聞くな・・・バカ」

するとまた、根岸が微笑った。そしてゆっくりと、自身(オレ)を包んだ。

「ぁ・・ん・・・」

⏰:10/04/19 23:08 📱:F01B 🆔:Szzdx9cw


#662 [ひとり]
まさかコイツとこんなことになるなんて、ちょっと前の俺なら考えられなかっただろう。うん、絶対。

でも人生、何が起こるかわからんもんだ。

まさか根岸が俺を好いてるなんて思いもしなかった。そんな根岸に俺が惚れるなんてのはもっと予想外だ。そんで今、ダチの家の便所に二人籠もってイソイソと"ナニ"に励もうってんだから、これまた予期せぬ事態な訳で。

べぇやん、ごめん。汚さないように、善処します。

それにしたって、根岸の舌使いがヤバい。

「・・・ぎし・・もぅ・・・」

「だしていいよ」

あぁ、チキショー、気持ちいいなコノヤロー。

根岸の肩に、乱暴に爪を立てた。

⏰:10/04/19 23:29 📱:F01B 🆔:Szzdx9cw


#663 [ひとり]
【休憩】

今晩はーひとりです。

第二十九話、完結。です★
振り返ってみると、なんだかてんこ盛りな回でした。ハイ。

おや、最後が中途半端だっておっしゃりたいんですね?いやいや、それがひとりなんですごめんなさいm(_ _)m

あ゙ぁぁぁ〜エロは難いんだよチキショォォォオ(;;´Д`)!!!!
誰かひとりにエロの書き方教えて下さい、三百円あげるから。ちーん

⏰:10/04/19 23:38 📱:F01B 🆔:Szzdx9cw


#664 [ひとり]
【第三十話/ほっけの人気】


点滅しだした信号。
正直謂って、泣きそうだ。

あぁ、わかった、わかったから、そんなにを引っ張らないでくれ。

「ゆうちゃーん、早くぅー」

アキに急かされて小走りに横断歩道を渡りきる。

「セーフ」

審判のように大きくセーフのジェスチャーをするアキは、いい具合に出来上がっている。

今駆けてきた後ろを見やれば、赤信号。でも別に、走る必要なんてないんじゃないかと思う。深夜二時半過ぎ。車なんて、忘れた頃にやってくるくらいのペースだ。

⏰:10/04/19 23:52 📱:F01B 🆔:Szzdx9cw


#665 [ひとり]
【訂正】

>>664

○ そんなに手を
× そんなにを

失礼しました。

⏰:10/04/19 23:54 📱:F01B 🆔:Szzdx9cw


#666 [ひとり]
手に食い込むビニール袋を右から左へ持ち替えて、アキの後を追う。

何してるのかって、見りゃわかるだろう、買い出しだ。

二人トイレに身を寄せ合ってイチャイチャしてたのが、随分と前のように思える。ダメだ、また泣きそう。

────
────────

三田さんが俺の肩に強く指を食い込ませた瞬間、予想外の事態が起きた。

ドンドンドン

「ねぇ、大丈夫ー?」

俺達はハッと顔を見合わせた。その時の三田さんったら、それこそ夢から覚めたような表情(カオ)だった。まぁ、俺もそれは同様だったんだろうが。

無遠慮に、続けて打ちつけられるドア。

ドンドンドン

⏰:10/04/20 00:04 📱:F01B 🆔:X3tyuUEE


#667 [ひとり]
見つめ合ったままで暫く呆けた俺達は、次のノックで我に返った。

ドンドンドン

これは不味い。何が不味いって、誰も来やしないという過信から、鍵をかけていないのが不味い。そして、三田さんの格好が不味い。それは本人も重々承知の事だったようで、三田さんは慌ただしくベルトを締めながら、素早く便座から立ち上がる。すると膝が俺の顔面にクリーンヒット。

「痛っ!!!!」

たまらず立ち上がると、今度は俺の後頭部が三田さんの顎に見事に決まった。

「「痛だッッ!!!!」」

密室の俺達はてんやわんやだ。

「ねぇー何してんのー?」

外の声は、こちらの様子を完全に訝しんでいる。

⏰:10/04/20 00:14 📱:F01B 🆔:X3tyuUEE


#668 [ひとり]
「もー本当に平気ぃ?開けるよ?」

やばい、やばいぞ、これはやばいッッツ!!!!!!

あの時の様子ったら、スローモーションで鮮明に思い返せる。

ガチャリと音を立てて回ったノブ。

素早く便座の蓋を上げしゃがみ込んだ三田さん。

俺もそれに習って瞬時にポージングを決めた。

キィ──・・

弱く鳴った扉が外に向けて開かれるのを背中で感じた。

⏰:10/04/20 00:23 📱:F01B 🆔:X3tyuUEE


#669 [ひとり]
「ゲェェェ・・ウッ・・・・ォ・・ウエェェエ・・ウブッッ・・げほっ、がっ、ぺっ」

「何、まだ吐いてんの?」

扉の先に立っていたのは、予想通りアキ。

「あぁ、うん」

俺は背中をさすりながらアキを見て頷いた。

「皆が心配して様子見て来いって」

三田さんは後ろ姿で、無言で手だけ上げて見せる。

「もう少ししたら戻るからって謂っといてくれ」

「・・・わかった」

了承したアキは、今来た廊下を戻って行った。

あ、危ねぇ・・・・

⏰:10/04/20 00:29 📱:F01B 🆔:X3tyuUEE


#670 [ひとり]
「ウッ・・・ブフッツ・・オゲェェエ!!!!」

三田さんは余念がない。アキの気配が完全に消えるまで、暫く演技を続けた。

「・・・・・行った?」

「はい、ご苦労様です」

「おう」

「どうします?」

「んーお前先戻っといて」

「分かりました」

⏰:10/04/20 08:45 📱:F01B 🆔:X3tyuUEE


#671 [ひとり]
俺は渋々ながら、少し先に皆の元へ戻り、アキに重ねて三田さんはゲロってるけど大丈夫ですと伝えた。

内心、かなり凹んだ。そりゃそうだろ。あと一歩って時にあれじゃあ・・・

そんな俺にアキが意気揚々こう提案してきた。

「買い出し行こう」

本当はそんな気分じゃないけど、皆の手前断れないし、少し外の空気を吸えば気持ちも上向くかと付いてきてみた。みたんだが。

「結構歩いた気ぃしない?」

「そうだな」

行きも帰りも頭ん中はさっきの三田さんの痴態で一杯。

「はぁ・・・」

小さな溜め息は、誰の耳にも届かず宙に消えた。

⏰:10/04/20 08:55 📱:F01B 🆔:X3tyuUEE


#672 [ひとり]
【休憩】

おはよーございます、ひとりです。

短いですが第三十話完結です。アキってば、またまたいい所で登場しちゃいましたね、可愛い奴です(´∀`)アーァ

⏰:10/04/20 08:58 📱:F01B 🆔:X3tyuUEE


#673 [ひとり]
【第三十一話/マグロのカマって、なんか盛りだくさん】


長谷部さんちで飲みをしてからもう一週間が経とうとしている。忙殺されそうな日々が続いていた。来月、またライブに出て欲しいと助っ人の依頼が入ったのだ。学生時代に組んでいたメンバーからの誘いとあっては断るわけにもいかない。

満腹堂と家とスタジオを行き来する日々で、気付けば辺りの景色はすっかり葉桜が目立つようになっている。

⏰:10/04/20 09:09 📱:F01B 🆔:X3tyuUEE


#674 [ひとり]
五月がすぐそこまで来ている。

満腹堂の裏口に置かれたベンチにかけて、紙切れを広げた。

五月の確定シフト。

三田さんに渡された時、こう謂われた。

『アキの誕生日、お前の休みにしといたから、祝ってやれ』

その言葉通り、二十二日の欄には根岸、休、と印刷されていた。

⏰:10/04/20 09:14 📱:F01B 🆔:X3tyuUEE


#675 [ひとり]
こんなん謂ったら確実に怒るだろうが、ぶっちゃけ忘れていた。アキの誕生日。

でも三田さん、何でわざわざ俺が休みとってまで祝ってやらなきゃなんないんすか?

謂われた時俺は素直に返した。

だってそうだろ。大学の友達だって少なくないアキの誕生日を、従兄弟がしゃしゃりでてわざわざ祝うってのは妙な話だ。

俺の疑問に、三田さんは何事かもごもご謂っていたけれど、よく聞き取れなかった。聞き返そうとしたら『この話はしまいだ』と請け合ってくれなかった。

何なんだ、まったく。

⏰:10/04/20 09:20 📱:F01B 🆔:X3tyuUEE


#676 [我輩は匿名である]
あげます

⏰:10/04/20 19:17 📱:SH03A 🆔:☆☆☆


#677 [ひとり]
>>676

匿名さん

あげありがとうございます(´_ゝ`)

⏰:10/04/21 00:24 📱:F01B 🆔:pGKtM.9w


#678 [ひとり]
「火、貰える?」

不意に差した影と頭上から降る声に顔を上げれば、目の前にノジコさんがいた。

「どうぞ」

俺はケツ一つ分横にずれながら、パンツのポケットから取り出したジッポをカチンと開けて着火した。

ベンチの開けたスペースに腰を落ち着けて、ノジコさんは灯したライターから火をとると、真上に向けて煙を吐いた。

「邪魔した?」

「いえ、全然」

⏰:10/04/21 00:32 📱:F01B 🆔:pGKtM.9w


#679 [ひとり]
「そう、なんかやたら難しい顔してたから」

「基がサスペンス顔なんで」

「あぁ、確かに"崖"、"二時間スペシャル"で検索したらヒットしそうな顔してる」

「それ、船越○一郎ですよね?」

「わかった?」

どうでもいい会話をしながら旨そうに煙草を吸うノジコさんを横目で見てたら、俺も吸いたくなってきて一本取り出す。

実際それは旨かった。

空は、よく晴れている。

⏰:10/04/21 00:39 📱:F01B 🆔:pGKtM.9w


#680 [ひとり]
「シフト?」

ノジコさんの視線は、俺の左手にあるシフト表を捉えていた。

「はい、来月の確定です」

「あたしも早く貰わにゃ」

「ノジコさん、来月連勤やばいっすね」

「え、マヂで?」

「はい、普通に週休二日制のリーマンみたいっすよ」

「うわ、萎えるわー」

⏰:10/04/21 00:44 📱:F01B 🆔:pGKtM.9w


#681 [ひとり]
言って嫌そうに顔をしかめたノジコさん。

それから俺達は互いに無言で煙草を楽しんだ。

吸い終わってしまえば、またノジコさんから話しかけてくる。

「そういや最近恋人とは上手くいってんのかよ」

寄越された話題は唐突過ぎて、一瞬反応が遅れた。

「俺恋人いるなんて話しましたっけ」

⏰:10/04/22 01:17 📱:F01B 🆔:5eZMuM6U


#682 [ひとり]
そうだ、謂った覚えがないのだ。なのに彼女はさも以前から知っていたかのような口振り。驚く俺の顔がおもしろいのか、横目でにやりと笑われた。

「今更すぎだな、いるんだろ?わかるよ」

喋ったその流れから自然と口元に二本目の煙草をくわえた。満腹堂は時代錯誤のヘビースモーカーが犇めいている。

「いつから」

「前、お前にここで質問された時から」

「ここで・・あぁ」

⏰:10/04/22 21:15 📱:F01B 🆔:5eZMuM6U


#683 [ひとり]
そういえばあったな。まだ、俺が想いを伝えるべきか否か迷っていた時分。

このベンチで今みたいに二人煙草を吸いながら、ノジコさんにとんでもない質問をしたところ、彼女自身からバイだと突然のカミングアウトがあった。あの時の言葉がなければ、自分はまだ思い切れずにいたかもしれない。

「去年からじゃないですか」

「そうだよ」

「そうだよって、でも、あの時はまだ付き合うとかは全然、可能性すらなかったんですよ」

⏰:10/04/22 21:46 📱:F01B 🆔:5eZMuM6U


#684 [ひとり]
「だろうね、あたしの言葉で踏ん切りでもついたかよ」

エスパーなのかと思うほど、ピタリと言い当てられてしまった。

「まいりました、何でもお見通しなんですね」

「まぁ、伊達に二十何年生きちゃないのよ」

"二十何年"なんつって、俺と大差ない年じゃないかとは思うが、確かに色々経験は積んでそうだ。

⏰:10/04/22 22:59 📱:F01B 🆔:5eZMuM6U


#685 [◆S2mRWfM3VE]
>>570-700

⏰:10/04/24 23:26 📱:SH705i 🆔:tY2027uY


#686 [我輩は匿名である]
あげ

⏰:10/04/25 23:08 📱:SH03A 🆔:☆☆☆


#687 [りんご]
あげーっ´ω`

⏰:10/04/26 17:35 📱:SH01B 🆔:r/9mJqac


#688 [我輩は匿名である]
あげ☆

⏰:10/04/29 11:59 📱:SA001 🆔:FF4XREoY


#689 [我輩は匿名である]
あげます

⏰:10/05/08 15:15 📱:SH906i 🆔:☆☆☆


#690 [ゆま]
あげりんこ
頑張ってください

⏰:10/05/11 12:22 📱:N08A3 🆔:Txp3sCe2


#691 [ひとり]
「でもあれっす、付き合えたからって、それで全て良しって訳でもないんすね」

「何、うまくいってないの?」

どういう訳だか、ノジコさんが相手だと俺は饒舌になる傾向がある。不思議な・・・包容力、とでも言うのだろうか。この人になら。そう思わせる何かがノジコさんにはあるんだ。

「うまくは・・・いってます」

「んだよそれ」

「でも俺、足んないんです」

「・・・・案外お前って欲張り?」

「めちゃくちゃ」

「人は見かけによんないなー」

⏰:10/05/20 09:39 📱:F01B 🆔:dUa5Yf5I


#692 [ひとり]
「意外ですか?」

「うん、かなり」

「俺もです」

「は?」

なんで当人のお前がそこに共感するんだよ。ノジコさんの顔は暗にそう謂っている。ですよね、ごもっとも。

俺は続けた。

「今まで知りませんでした。自分がこんなに欲張りで必死な、格好悪い奴だったって事。」

⏰:10/05/20 09:45 📱:F01B 🆔:dUa5Yf5I


#693 [ひとり]
「ぶふっ」

突然ノジコさんは吹き出した。

「なんだよ、こっちは真剣なんすけど」

そうだ、真剣に戸惑っている。今までこんな風に、誰かを強く求めるなんて事なかったから。来るもの拒まず、去るもの追わずな俺のスタンスは、今じゃどっかに置き忘れたらしく見る影もない。

順調な日々が続けば続くほど、いつか来るんじゃないかという『終わり』に恐怖する気持ちもでかくなるばかりだ。

⏰:10/05/22 19:17 📱:F01B 🆔:dAj/qkrs


#694 [ひとり]
静かにくっくと噛み締めるようにして一頻り笑ったノジコさんは、満足したのか『はぁ』と息を着いてベンチに深くかけ直した。

「いや悪い、根岸が真剣なのはよくわかる」

「じゃあ、笑わないでもらえますか」

「でもお前それ、完全のろけじゃん」

「は?」

いやいや、俺は不安なんだっつーののろけてんじゃないんだっつーの。

⏰:10/05/22 19:21 📱:F01B 🆔:dAj/qkrs


#695 [ひとり]
「つまりあれだよ、今がものっそい順調すぎて、これからもこの幸せが続くのかしらー怖いわーって事だろ?」

「・・・・・はい、その通りです。でもそれってのろけじゃなくね?」

「いや、お前は今のろけている」

そんな、断言されても・・・

俺は腑に落ちない思いを煙と共に吐き出した。

「つまりだ」

ノジコさんはぴっと人差し指を向けてくる。

⏰:10/05/22 19:26 📱:F01B 🆔:dAj/qkrs


#696 [ひとり]
「それだけお前は相手の事が、好きすぎちゃって好きすぎちゃって、なんかもーそんな自分が怖いのさ」

「・・・・はぁ」

「それっくらい自分は今相手が好き!好き好き好き!!!!・・・・と、私にのろけてんだよ、わかったか」

「『好き好き〜』の下り、なんかキモかったです」

ゴスッ

ゲンコツが降ってきた。痛い。

⏰:10/05/22 19:32 📱:F01B 🆔:dAj/qkrs


#697 [我輩は匿名である]
あげます\(^O^)/

⏰:10/06/06 23:25 📱:P01B 🆔:/xHVwEcw


#698 [我輩は匿名である]
あげω

⏰:10/06/12 10:58 📱:SA001 🆔:piXyYC0Y


#699 [我輩は匿名である]
あげ^^

⏰:10/06/22 06:37 📱:W61T 🆔:EVIDdQfQ


#700 [我輩は匿名である]
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700

⏰:10/06/23 21:46 📱:F02B 🆔:tzhKktzw


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