こちら満腹堂【BL】
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#801 [ひとり]
【第三十五話/知ってる?しっかり洗ってあるジョッキはリング状の泡がくっきりでるんだってよ】
俺が店の前まで行くと、そこには既にひろむがいた。
『遅っせーよ』
『悪り悪り、てかお前鍵は?』
『忘れた。けど取り帰るのメンドイから待ってた』
『あっそ』
.
:11/07/25 21:58 :Android :uLO90tJY
#802 [ひとり]
低血圧なひろむは早番の時いつもテンションが低い。
『……』
俺が鍵を開けるのを眠そうな目でただひたすらに見守っている。
『……』
俺も特にこちらから話しかけることはしない。鍵のガチャガチャゆう音や、シャッターの立て付けがギギギギ唸る音だけが響く。
『……あ』
.
:11/07/25 22:04 :Android :uLO90tJY
#803 [ひとり]
普段なら中に入って一服をするまでろくに喋らないひろむが、珍しく張りのある声をあげた。
ガラガラガラ
『ん?なした』
『いや、そいやーお前んちにも届いた?』
『なにが』
『す――...』
『はざーす』
.
:11/07/25 22:13 :Android :uLO90tJY
#804 [ひとり]
ひろむが何か言いかけたところで後ろからかかった声に振り返ると、津久井が立っていた。
『おう、はよ』
『はよ』
軽く挨拶を返した所でシャッターがちょうど上まで上がりきった。
.
:11/07/25 22:18 :Android :uLO90tJY
#805 [ひとり]
『あれ、なんか弘さん腕筋めっちゃついてないすか?』
『あ?あぁ、最近また筋トレ始めた』
『いいよなー絶対つきやすい体質ですよね、俺なんか鍛えても鍛えても・・・』
『シーチキンと卵だよ』
『ビルダーっすねー』
二人はそのまま筋肉の話に花を咲かせながら店の中へと消えていった。
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:11/07/26 00:19 :F02A :A/aVvrPE
#806 [ひとり]
一人取り残され俺。
『「す」ってなんだよ』
宙ぶらりんになったままの話の続きが気になるも、先ずは一服だと、遅れて店に入った。
.
:11/07/26 00:22 :F02A :A/aVvrPE
#807 [ひとり]
結果、ひろむが言いかけた「す」の続きは聞けぬまま店が始まり、ランチになり、遅番の奴らが出勤し、仕込みになり、そして夜の営業が始まろうとしている。
『あ、そいやー朝の話しの続きなんだけどよ』
その頃になって、やっと気付いたひろむが話しかけてきた。
『おう』
『あれさ、す――』プルルル
『『・・・・・・』』プルルル
『鳴ってんぞ』
.
:11/07/26 00:29 :F02A :A/aVvrPE
#808 [ひとり]
『悪い』
『ん』
なんだってこういいタイミングで。
ひろむは電話にでると『お疲れさまですー』だの『こちらこそお世話になってますー』だのと口上を垂れている。
恐らく仕入れ先のおとくいさん。とかだろう。
.
:11/07/26 00:32 :F02A :A/aVvrPE
#809 [ひとり]
ほいでもってそのまま『今近くに?』『了解です、私も向かいますんでー』とかなんとか言うが早い。
そのまま身一つ、財布だけをケツポケに突っ込みひろむは店を出ていった。
オイオイ、だからー「す」の後が気になんだろーがよ「す――・・」なんだよったくよー。
もやっとするぜチクショーめ。
.
:11/07/26 01:30 :F02A :A/aVvrPE
#810 [ひとり]
『どうしたんですか、ブザ…ブスッとして』
『お前今"不細工"って言おうとしたべ』
『めっそーもない』
『いいよ、顔に描いてあんだよ』
根岸は仏頂面な俺の横へ来てマリネにする為の玉葱を切り刻んでいる。
.
:11/07/26 20:33 :Android :p7cjSAYw
#811 [ひとり]
『で、何が原因でそんな不細工面になってるんです?』
『言っちゃったなッッ!もう言っちゃった不細工ってッッ!!』
『……』
『はいそして出ましたー!"うるせーよ"って表情だけでアピールでましたぁぁぁ!!何なの!?目だけで演技する役者気取りなの!?リアクション芸人馬鹿にすんなよッッ!?!?』
『いや、思ってねーしうぜーな』
『ほら出たッッツ!!!』
.
:11/07/26 20:40 :Android :p7cjSAYw
#812 [にゃんき]
根岸の性格大好きです
続きがめっちゃ気になります
ひとりサン、頑張ってください
:11/07/27 00:05 :N03A :Pcj81E/6
#813 [我輩は匿名である]
あげます
:11/08/11 19:49 :P06B :FmzzQeCo
#814 [はるな]
あげます (`・∀・)b
ずっと見てたから、更新されてて嬉しー!!
:11/08/15 09:46 :iPhone :BACfIC5U
#815 [我輩は匿名である]
あげ(;o;)
:11/11/01 00:53 :Android :w6Ji6F8A
#816 [辛姫]
更新まってます
:11/12/21 10:03 :SH705i :kNOBWCQw
#817 [我輩は匿名である]
ずっと見てましたー
更新もうしないのかな?
:12/08/30 21:50 :iPhone :xqCEAQug
#818 [ひとり]
『もうわかったから。で、そんなに眉間に皺を寄せてるのは何でなんすか?』
『いやさ、今朝から中途半端になってる話しがあって、続きが気になって仕方ないんだわ』
『ふーん。普段は細いことに頓着しない三田さんが、珍しいですね』
『・・・否定はしないけどよ、ちょっとは心遣いしろよ、お前も日本人の端くれだろ』
『嫌だな、それって日本人の悪い癖ですよ?思ったことをきちんと伝え合わなくては、本当の信頼関係は築けないんです』
『お前が今どの立ち位置から話しているのかわからないが、ちょっともっともな事言わないでもらっていいか?』
駄目だ。一向に話が先に進まない。
『ちょっと外のボード仕舞ってくるわ』
諦めて、一先ず通りに出しているボードを回収に向かう。
.
:12/09/16 12:12 :Android :8K9twFOI
#819 [ひとり]
『ん?』
その途中、何気なく手を突っ込んだケツポケ。指先に当たった何かを引き抜くと。
『あぁ、そういえば』
すっかり忘れていたが、今朝がた郵便ポストから抜き取った、宛名不明の手紙。一体誰から送られたものなのか?それを確かめるべく、表に出たところで、俺は封を切った。
開くと同時に、仄かにいい匂いがした。
無意識のうちにそれを深呼吸するようにして吸い込む。それから中に入っていた便箋を取り出すと、そこには丁寧な字で、簡潔にこう書かれていた。
─────
──────────
望へ
突然の手紙で驚かせてしまったらごめんなさい。
お久しぶりです。
突然ですが、帰国することとなりました。
会いに行きます。楽しみにしててね。
.
:12/09/16 12:33 :Android :8K9twFOI
#820 [ひとり]
『これって・・・マヂでか』
最後に書かれていた、差出人の名前。
『すみれ・・・』
.
:12/09/16 12:35 :Android :8K9twFOI
#821 [ひとり]
【休憩】
はい、皆様こんにちは。
大変、大変お待たせいたしました。
ひとりです。
あれ?誰も待っていないですって?
そうかーそうだと薄々感じてはいたんだよなー。だよなー、そりゃそうだよなー。
・・・でも!そんな中でもあげて下さった 、少数派の皆様のために!!
更新して参ります。
ありがとうございます!ありがとうございます!!!
:12/09/16 12:44 :Android :8K9twFOI
#822 [ひとり]
【第三十六話/梅は苦手だけど、練り梅はいけるの】
三田さんが変だ。
あの人の場合、いつも変だけど、今日は特に変だ。なんつーか、
挙動不審。
店にお客さんが入って来る毎に、何故か小走りで確認しに行く。何度も、何度も。
いやいや、あんたの持ち場はキッチンだろうが。
.
:12/09/16 12:50 :Android :8K9twFOI
#823 [ひとり]
そしてまた。
『らっしゃーせー!』
津久井の声に反応して、表に行こうとしてるし。
『はいはい、ストップストップ』
いい加減に目障りだ。行ったり来たり、気が散って仕方ない。
丁度俺の横で、豆腐サラダの仕上げにかかっていた三田さんの、肩を掴んで動きを制した。
.
:12/09/16 12:54 :Android :8K9twFOI
#824 [ひとり]
『ん?何だよ?』
「なんだよ」はこっちの台詞だ。
『何をそんなにソワソワしてるんですか、友達でも来るんですか』
すると、何故か三田さんは狼狽えだした。
『と、と、友達、うん、友達・・・かなー』
なんだ。「かなー」って。
.
:12/09/16 13:07 :Android :8K9twFOI
#825 [ひとり]
で、またフロアに行くし。駆け足だし。
その日は、終始そんな感じで落ち着きがない三田さんを、横目でチラチラ見ながら1日が終わった。
客引きよく、レジ金の差異もなし。
腕の時計に目をやれば、時間はまだ11時半を少し過ぎたところ。
こんな日にはきっとまた・・・
.
:12/09/16 13:19 :Android :8K9twFOI
#826 [ひとり]
『姐さんが言うことは〜?』
突然、声を張った滝さん。
『『『ぜった〜い!!!!』』』
それに続くオーディエンス。
やっぱり、そうなるんだ。
『では!』
『いざ参らん!』
『長谷部城へ!!!』
長谷部城とは。なんとも守りの緩そうな名前だ。
.
:12/09/16 13:24 :Android :8K9twFOI
#827 [ひとり]
肩を組んだ滝さんとノジコさんを先頭にして、店をでる一向。
もちろん参加するんだろうと、三田さんを探すと、一人店の隅。何か紙切れのようなものを凝視している。
真一文字に結んだ口元。
『三田さん』
入口のドアを開いて声をかける。が、返答がない。電池が切れたかの様に、微動だにしない。
『三田さん!』
『・・・へっ!?ん!?!?何だ、どした!?!?』
『早く、皆外で待ってますよ』
『あぁ・・おうよ』
「悪りぃ悪りぃ」と言いながら、チンタラとこちらに向かって歩いてくる三田さん。
本当に、今日は変だ。
.
:12/09/16 22:19 :Android :8K9twFOI
#828 [ひとり]
俺が出勤して間もなくはこんな調子じゃなかった筈だ。
いつからだろうか。どの辺りから様子が・・・
───────ブラックボード
そうだ、仕舞いに行くと出ていって、いやに戻りが遅くて、それで────────
あの時、何かあったんだ。俺は直感した。
.
:12/09/16 22:27 :Android :8K9twFOI
#829 [ひとり]
丁度、ドアを開いて待つ俺を、横切ろうとした三田さん。まるっきり、心ここにあらず。といった風だ。
はぁ、と溜め息をついて、自分の足元に視線を落とした。
『ちょっと、早く出てくださいってば、閉めますから』
落とした視界の隅に、中途半端に立ち止まった三田さんの足を捉えて。
言いながら、顔を上げた俺の目の前の三田さんは、さっきまでの脱け殻のような様から一転。何故かバッキバキに目玉(メンタマ)をひんむいていた。
戦慄く口元。
.
:12/09/16 22:48 :Android :8K9twFOI
#830 [ひとり]
『す・・・・す・・・・・』
『す?』
必死になって、何事か言おうとする、その人の視線を辿れば。
鼻を掠める、仄かな香り。
真っ暗な夜に、パン、とそこだけスポットライトを当てたような。
世界が一気に華やいだ感覚。
三田さんは、振り絞るように。
『すみれ───────!』
.
:12/09/16 22:50 :Android :8K9twFOI
#831 [ひとり]
【休憩】
こんばんは。わんばんこ。ひとりです。
第三十六話、完結いたしました。
遂に現れた!彼女の名はすみれ!!!
名前からして儚げ!女子力はカンストッッ!ってかんじです ( ゚∀゚)・∵.グハッ
あーあーどうなんだーどうすんだー。
ひとりにも収集がつかない予感がムンムンです ( ゚∀゚)HA-HA-HA
:12/09/16 23:04 :Android :8K9twFOI
#832 [ひとり]
【第三十七話/二次会の相談はよそでしてくれ】
これって、夢?それとも、幻?
グイッ
『痛デデデデデッッツ!?!!!?───ってぇなァァア!!!!』
突然の頬の痛みに、「何すんだコノヤロー」と身をよじる。いつの間にか横にいた滝が、俺の頬肉をねじりあげていた。
『いや、夢かなんかかと思って・・・』
信じられないといった表情(カオ)で、一点を見つめる。なら、自分の頬をつねればいいだろ。加減がないんだよ、このバカ。
頬のピリピリした痛みを、掌でゴシゴシと擦って紛らせる。
やっぱ──────
本物だもんなぁ──────
.
:12/09/17 10:31 :Android :l7CvryUY
#833 [ひとり]
どういった経緯でかわからないが、気付くと俺は長谷部の家の、いつもの部屋に居た。
なにも変わらない見慣れた空間に、一つだけの違和感。その原因、すみれは俺の正面で笑っている。
両側には、ひろむとべぇやん。二人が何か言う毎に、「あはは」と、笑いかたのお手本のように、綺麗に笑って見せる。
「で、望は元気だった?」
傍観していた俺。突然自分に話題を振らないでくれ!てか、そんなに見つめないで!穴が開くから!!ホールが空いてしまうからッッツ!!!!
.
:12/09/17 10:49 :Android :l7CvryUY
#834 [ひとり]
『おぉう、おう、元気元気!』
「おぉう」って何だし。声、裏返ってんじゃねーよ。恥ずかしいな、俺。
『こいつは元気だけが取り柄だからな!』
滝くん、君は黙っていようか。すみれもね、「そうだった」とか同調しないで、調子乗るから。
『ねぇ、ところで私、突然お邪魔しちゃって大丈夫だったの?』
『あぁ、大丈夫大丈夫!』
考えなしの滝が即答した。
『コイツらは、職場の連中だからよ』
『そうなの、ごめんなさいね、突然こんなに夜分遅くにお邪魔してしまって。私、美丘すみれと言います。美しい丘の美丘に、名前は平仮名ですみれ。よろしくね』
すみれは、慣れた感じでサラッと自己紹介をした。それを受けて。
『私のことはノジコって呼んで、皆そう呼ぶから。よろしく、すみれさん』
『俺、津久井って言います。津久井真希。すみれさん、めっちゃ美人っすね!この人達にこんな美人の知り合いがいたなんて・・』
.
:12/09/17 11:22 :Android :l7CvryUY
#835 [ひとり]
『一言余計なんだよ』
左隣に胡座をかいていたひろむが、津久井の頭をこづく。
『痛てッッ!』
それを見たすみれは、口元にそっと手を添えて、控えめにクスクスと笑っている。
『で、君は?』
『俺は・・』
次に、すみれが声をかけたのは───────
.
:12/09/17 11:58 :Android :l7CvryUY
#836 [ひとり]
『根岸っていいます。初めまして』
『初めまして、根岸くん。よろしくね』
『はい、よろしくお願いします』
心臓に悪いわッッツ!
何これッッッ!?何この感じッッッ!?
いやいや、別に二人にしたら何気ないやり取りだ。落ち着け、落ち着くんだ望。
俺の心の臓は、ものっそい勢いで暴れまくっている。
昔の彼女と、今の、彼氏?
.
:12/09/17 11:58 :Android :l7CvryUY
#837 [ひとり]
嗚呼、寿命が縮まる。5年くらい縮まる。
早く!早く終われ、この下りッッツ!!
『はい!はい、はい!!!』
その場の空気を、一刀両断する勢いで。
割って入ってきたアキ。
『私、根岸アキです!ゆうちゃんとは、従兄弟同士です!』
『あら、そうなの?』
『はい!あの、すみれさんに、1つ質問していいですか?』
『もちろん、何かしら?』
.
:12/09/17 12:18 :Android :l7CvryUY
#838 [ひとり]
『あの、すみれさんってー』
ん?何だか、嫌な予感が・・・
『もしかして、てか、正解だって、確信しちゃってるんですけどー』
待ってー、待ってねアキちゃーん、お前、今なに言おうとしてるんだー。おじさん、胸騒ぎがさっきまでの比じゃあないぜー。
『のんちゃんの、元カノさんですよね!?』
はい、アウトー。
.
:12/09/17 13:05 :Android :l7CvryUY
#839 [ひとり]
【休憩】
こんにちは、ひとりです。
第三十七話、完結です!
アキのトラブルメーカースキル発動!!
空気を読めないのか、はたまたわざとか。わざとであって欲しい、そんなひとりです(´・∀・`)ぁ
:12/09/17 13:56 :Android :l7CvryUY
#840 [我輩は匿名である]
ひとりさん更新ありがとうございます!!
わー…アキ邪魔しないでー。すみれさん…クラッシャーにならないですかね?心配です!笑
もーずっと根岸といちゃこらしちゃっててください!そして根岸に思う存分愛されてください、三田さん!!!笑
:12/10/05 02:10 :iPhone :qIpIanw2
#841 [にゃんこ]
:12/10/12 20:10 :SA002 :u5PQGx3M
#842 [我輩は匿名である]
読みたい(o^^o)
:13/05/21 02:23 :Android :fmlsuEYM
#843 [我輩は匿名である]
大好きなのであげ!
:13/06/12 00:30 :F02A :x11eez0w
#844 [○○&◆.x/9qDRof2]
(´∀`∩)↑a
:22/10/02 03:14 :Android :Ltpo.xA.
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