浮 き 世 の 諸 事 情 。
最新 最初 🆕
#101 []
第三九章 【秘密、現れて】
>>88-100
*。*。*。*。*
謎の急展開
お互い探り合い←
恋愛模様は一旦中止w
奥深い話が書きたいです ^q^

あぁ早く
絡まってほしいのにw
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⏰:10/04/19 20:43 📱:D905i 🆔:2Nqm1ljI


#102 [笹]
【本編アンカー/35〜】
>>2-19
>>21-33
>>36-63
>>66-81
>>88-100

【番外編】
>>84-86

⏰:10/04/19 20:44 📱:D905i 🆔:2Nqm1ljI


#103 []



それは季節に似合わず
肌寒い日だった


「財布‥落としましたぜ」

財布と言うか
小さな巾着袋が
金物がこすれる音を立てて
その主の袖口からこぼれた

⏰:10/05/02 20:51 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#104 []
 
「あぁ!これは申し訳ない!!
俺としたことが‥」

拾い上げて埃をはらったそれを
手のひらに乗せてやれば
かしこまって頭を下げられる

「いえ、いえ」

緩く微笑み背を向ければ
軽く引かれた着物の袖

⏰:10/05/02 20:51 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#105 []
 
「一杯‥どうですか?」

できた笑い皺
人の良さが滲み出る

先程の巾着を持ち上げ
"おごらせてくれ"と言った


小さな木枯らしが
肌をかすめた夕暮れ

⏰:10/05/02 20:52 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#106 []



「あんた面白い人だなぁ!!」

「いえ、いえ」

相手方の男は
どうやら"出来上がった"ようで
首や耳のあたりまで赤くして
ぐいっと肩を組んできた

⏰:10/05/02 20:52 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#107 []
 
「いいなぁ‥旅かぁ」

完全に緩みきった顔
男に抱かれたって嬉しかない
そっちの気は
流石にありゃあしない


抱き寄せられた体を
投げるようにして任せれば
にこにこと笑い満足げ

⏰:10/05/02 20:52 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#108 []
 
「俺も旅したいさぁー。
できるなら、あんたみたいに
1人でいろーんなとこ‥」


馬鹿でかかった声は一転
萎んで終いにはかすれて消えた

もう片方の手で酒瓶を握り
何かから逃れるように
喉の奥に流し込んでいた

⏰:10/05/02 20:53 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#109 []
 
「何か、厄介なことでも
‥あるんで?」

横目で問えば
困ったように笑ってた

「んあぁ‥んん」

「まぁ、誰にでも‥
そんなものは有ります、よ」

「あぁそうだ!!
聞いてくれるか?あんちゃんよ」

⏰:10/05/02 20:53 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#110 []
 
肩に乗っていた手に
ぐいっと引き寄せられた

酒の甘ったるい臭いが
顔にかかる

自分もこんなに酒臭いのかと
少しばかり気落ちした


「娘がな、居るんだけどな」

⏰:10/05/02 20:54 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#111 []
 
溢れんばかりの笑み
この先の言葉に
だいたいの検討はつきますが‥


「それがさ、もう‥
可愛くて可愛くて仕方ないんだ!」

そんな事を言われて
抱き寄せられた私に
あんたは何を求めてるんだ‥

⏰:10/05/02 20:56 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#112 []
 
「ほぉう」

「もう今年で十になるんだが
最近じゃあお姉さんになって‥」

「へぇ、はぁ」

「ほんとに何というか‥
いい子でなぁ、」

その瞬間
父親の目つきになった
力強く、その上暖かい

⏰:10/05/02 20:57 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#113 []
 
「危なっかしい所もあるが、
責任感と正義感が強くて‥
唯一の‥励みなんだ」

少しばかり低くなった声
読みとれるのは
暗闇に埋もれた絶望


娘を語る口調は
暖かくも悲しみに濡れていた

⏰:10/05/02 20:57 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#114 []
 
「そりゃあ‥いい娘さん、ですね」

「‥」

その男は突っ伏したまま
ぴくりともしなかった

人々の騒がしさに埋もれた姿は
たった独りだけ
取り残されたような
別の空気をまとって見えた

⏰:10/05/02 20:58 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#115 []
 

酔いつぶれた‥か


ため息ひとつ
猪口を持ち上げ飲み干す液体

普段よりも苦味を感じた

⏰:10/05/02 20:58 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#116 []



「なぁ‥あんちゃん。」

‥起きてたんですか

「あんた、名前は?」

「壱助‥と申します」


突っ伏したままの頭に答えれば
"ふぅん"と弱々しく唸った

⏰:10/05/02 20:58 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#117 []
 
「なぁ‥壱助」

「何、か」

「頼みが‥あるんだ」


少しばかり嫌な予感がした
酔った勢いだと
投げてしまえばそれまでだが

口調は先ほどより
はっきりしている

⏰:10/05/02 20:59 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#118 []
 
「俺に‥もしものことがあったら」

「娘を頼む‥とでも?」

否定を求めて問ったんですが、ね

「あぁ‥何でわかった?
やっぱりあんた、徒者じゃないな」

「‥奥さんは?」

⏰:10/05/02 20:59 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#119 []
 
「死んだよ。娘を産んですぐに‥
今は‥別の女と暮らしてんだ」


そしてまた酒を口にした
小刻みに震えていた手が
苦しみのあまり
酒に逃げ続けた事を物語っていた

⏰:10/05/02 21:00 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#120 []
 
「娘には、その女が母親だって
‥そう言ってある。」

「何、故」


「可哀想だった‥。
何も知らずに"お母さんは?"って

‥"死んだ"なんて、言えなかった」

⏰:10/05/02 21:00 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#121 []
 
途切れ途切れの言葉が
妙に奥に突き刺さった

何とも言えない
もどかしさを覚えた


「幸せになってほしいんだ
香夜には‥妻の分まで‥」

やっと顔を上げ
此方に向けられた顔は
父親の顔だった

⏰:10/05/02 21:01 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#122 []
 
最愛の人の死を迎え
絶望に満ちたその瞳は
守らねばならぬものを
確かに持っていた


「香夜に何一つ‥
父親らしいことを
‥してやれなかった。
仕事ばかりで、あまり時間も‥

だからせめて
守りたいんだ。あの子を」

⏰:10/05/02 21:01 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#123 []
 

「あんた‥もしかして」



ふと過ぎるのは暗黒の世界
目に浮かぶは褐色の液体

鼓動が乱れた

⏰:10/05/02 21:02 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#124 []
 


「壱助‥香夜を頼む」



決意に満ちた目は
恐怖に脅えてなどいなかった

ただ一心にひたすらに‥

⏰:10/05/02 21:02 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#125 []
 


香夜さん‥私には任務がある



―‥貴女を守る任務が、ね

_

⏰:10/05/02 21:03 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#126 []
第四十章 【受け継いだ、思い】
>>103-125
*。*。*。*。*。*
久々更新です(´・ω・`)ども

いやー暗い重い複雑w
元々こんな展開になるはずじゃ←
だから最初のほうと
つじつま合ってなかったら
見逃してくださいww

突っ込みどころ満載ですが
さらっと読んでください ^^え
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⏰:10/05/02 21:08 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#127 [笹]
【本編アンカー/35〜】
>>2-19
>>21-33
>>36-63
>>66-81
>>88-100
>>103-125

【番外編】
>>84-86

⏰:10/05/02 21:09 📱:D905i 🆔:sxqRlBYk


#128 []
*゚*。*゚*

「あれ‥?
ない‥ないない‥」

「朝から騒がしい、ですね」


それはある雨の日のこと

いつものように
壱助さんの顔面攻撃を食らい
目を覚ましたわけですが‥

⏰:10/05/03 22:20 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#129 []
 
「ないんですぅーっ!!」

「‥」

もう今は
そんな呆れた視線なんて
気にもならない

ないんですよ‥あたしの‥

「か ん ざ し ーっ!!!」

⏰:10/05/03 22:21 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#130 []



雨音が強くなる

屋根にぶつかる雫は
ばちばちと打ち抜くようで
液体だということを
忘れさせるくらいだった


「あたしの簪!!
‥知りませんか?
確か昨日枕元に‥あれぇ?」

⏰:10/05/03 22:21 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#131 []
 
枕元を見ても
枕を持ち上げて揺すって見ても
どこにも見当たらない


部屋中をじっと見回し
昨夜の記憶を辿る

⏰:10/05/03 22:21 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#132 []
 
「簪くらい‥
いいじゃあないですか、ねぇ」

「よくなーいっ!!
お気に入りなのに‥」


何処までもこの人は悠長で
興味がないのか何なのか
どうせ人事だと思ってるんでしょ

もー‥。

⏰:10/05/03 22:22 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#133 []
 
少し膨れっ面で髪をかきむしれば
壱助さんが自分の枕を見つめた

「形見か‥何かですかい?」

そう言って
とりあえずと言った様子で
枕を持ち上げた

絶対探す気ないわ‥

⏰:10/05/03 22:22 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#134 []
 
「いや‥ただ
可愛いから気に入ってたんです」

「ほぉう‥
そりゃあ、どんな?」

結局すぐに枕を下ろし
いつものように茶を煎れはじめ

「えっと‥
簪自体は黒くて、
飴色の硝子玉の飾りが‥」

⏰:10/05/03 22:23 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#135 []
 
「飴色‥ねぇ」

少し考えるようにして
顎に添えられた細長い指

そしてつられるように
艶容な唇が弧を描いた


「‥はぁ。
もういいです。
自分で捜します、自分で」

⏰:10/05/03 22:24 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#136 []
 
茶を啜り一息つく姿を見ると
ひとりで騒いでる自分が
惨めに思えてくる


無くしたあたしが悪いんです
自分の物は自分で管理しろ
そういうことですよね


雨音がさらった
少しばかりの心意気

⏰:10/05/03 22:24 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#137 []
 
湿気に犯された畳を拭うように
着物が擦れる音がした


「ちょいと、野暮用に‥」

「え‥
あたしの簪は??」

「今、自分で捜すと
仰ったじゃあ‥ないですか」

⏰:10/05/03 22:24 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#138 []
 
「うぅん‥
でも外雨降ってるし‥ねぇ?」


ちらり外に向いた壱助さんの視線
右手に握られた真っ赤な番傘

ガサッと紙が擦れるような音
こんなもので
何故雨を防げるのかと
不思議に思う

⏰:10/05/03 22:25 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#139 []
 
そして此方に向けられた視線は
相変わらず鋭いもので

「ちょいと‥野暮用に」

「‥い、いってらっしゃい」


雨の中に埋もれた真っ赤な色は
遠く遠くに姿を消した

⏰:10/05/03 22:26 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#140 []
 
「んうぅ‥簪‥」

雑に髪をたくし上げ
そのまま手を離せば

切りっぱなしの
伸びかかった黒髪が
だらしなく揺れていた

⏰:10/05/03 22:26 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#141 []



「はぁ‥やっぱりない」

部屋中いたるとこを捜した
なのにない

なんで?なんで?

「まぁ‥あれも
だいぶ使い込んで‥
飾りの部分が欠けてたんだけど」

⏰:10/05/03 22:27 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#142 []
 
新しいの買い直そうかなぁ‥


ふと後ろに気配を感じ
振り返れば

「うわっ!!
お‥お帰りなさいっ」

髪が濡れていた
ぽたり落ちた雫が頬を伝った

⏰:10/05/03 22:27 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#143 []
 
「壱助さん?
傘‥さしてたんじゃ?」

水も滴るいい男。
うん‥悪くないかも

真っ白な首筋から一滴
胸元をすり抜けて
着物の奥に消えた

それを目で負えば
雫の行方が気になって
胸が高鳴る

⏰:10/05/03 22:28 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#144 []
 
「ちょいと‥
破れちまいやして、ね」

やはり紙は脆いのか‥
にしても
どれだけ大きな穴が‥

「ふぅん‥ほんとに?」

「まぁ、いいじゃあないですか」

⏰:10/05/03 22:29 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#145 []
 
壱助さんの声が
上から降り注いで

後ろから
ぎゅうっと抱きしめられた

湿った着物が首筋に貼り付く


「んえ‥あの‥」

⏰:10/05/03 22:29 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#146 []
 
「まるっきり同じとは
‥なかなか言えませんが、」

少し冷えた手がうなじに触れた


綺麗な指に絡まる髪
高く持ち上げられれば
首筋にすうっと空気が抜けた

⏰:10/05/03 22:30 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#147 []
 
「飴色‥ですぜ」

華奢に鳴いた硝子玉
鏡を覗けばきらきら光った

「壱助さん‥これ‥」

「さすがにもう‥これじゃあ」

「あ‥それ」

⏰:10/05/03 22:30 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#148 []
 
今にも硝子玉が落ちそうに
ぷらぷらとだらしない簪

鏡越しに見つめれば
すっと壱助さんの懐の中へ

「もしかして‥わざわざ」

「香夜さん‥」

「‥はい?」

⏰:10/05/03 22:31 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#149 []
 
「ちょいと体が‥冷えます故‥」

優しく首元を抱いた腕は
雨に濡れて冷たくて


「今暫く‥このままで」



たった一時の、幸せを‥

⏰:10/05/03 22:31 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#150 []
【おまけ】
「本当に穴開いたんですか?」

「‥人助け、ですよ」

「はぁ?何ですかそれ」

「あの番傘も‥
綺麗な娘さんの手に渡り
さぞかし‥幸せでしょう、ね」

「‥色男め」

⏰:10/05/03 22:36 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#151 []
番外編 【飴色の雫】
>>128-150
*。*。*。
はい思いつきですw
後半何がなんだか ←

壱助さんサプライズ好き ^^ω
案外健気だ w
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⏰:10/05/03 22:39 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#152 [笹]
【本編アンカー/35〜】
>>2-19
>>21-33
>>36-63
>>66-81
>>88-100
>>103-125

【番外編】
>>84-86
>>128-150

⏰:10/05/03 22:40 📱:D905i 🆔:92Bmo8C2


#153 []



全てを語られた
途切れ途切れの記憶が
全てつなぎ止められた

壱助さんの手によって‥


自分の記憶を信じ切ってたから
隠れた真実に息が止まる

⏰:10/05/17 13:21 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#154 []
 
「貴女の父上は
‥死と向き合った」

そんなことを言われたって
簡単に飲み込めずに喉に絡まる

お父さんはあたしを救うため
命を捨てたこと

"アレ"は母親ではないこと

壱助さんがお父さんの代わりに
あたしを守ってくれてること

⏰:10/05/17 13:21 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#155 []
 
‥何から処理したらいい?
これは知るべき事実なのか
それさえもわからなかった


視界が揺れる
右へ、左へ‥
灰色に染まった世界
じわりと濁った


「どうして‥ですか?」

⏰:10/05/17 13:21 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#156 []
 
一番気にかかる
一番疑問に思うのは

「どうして‥お父さんの頼みを?」


たった一晩共に飲んだだけだ

よくわからない男の
わけのわからない頼みを
どうして受け入れた?

⏰:10/05/17 13:22 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#157 []
 
嘘かもしれない
酔った勢いかもしれない

何を根拠に、何を理由に
あたしの傍に‥貴方は‥


「何となく‥ですか、ね」

「‥んえ?」

予想もしていなかった
曖昧な宙に浮いたような返事に
気の抜けた声が漏れた

⏰:10/05/17 13:22 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#158 []
 
「何となく‥ですよ」

「何となくで人を見殺しにして
何となくで‥あたしを?」

妙な憤り
何か正確な理由を
予想していたわけではないけど

ちゃんとした理由が欲しかった
このもどかしさを
埋めてほしかった

⏰:10/05/17 13:23 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#159 []
 
そしたら何故か
気持ちに整理が付きそうで‥


「あるじゃあないですか‥
根拠は無くとも‥ねぇ」

「じゃあ‥どうして
お父さんを助けて‥」

「よく魘されたもんです、よ
あの生々しい残虐さ‥」

⏰:10/05/17 13:23 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#160 []
 
被せられた声は
遠くを見つめているような
それでいてまだ
生々しさを保ったままで

飛び散った褐色の液体
へばりつくような呻き声
鼓膜を突き破る悲鳴

あの光景を
貴方は同じように見てた

⏰:10/05/17 13:23 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#161 []
 
「眠りにつくたびに
襲われるものですから‥
単純に‥寝るのを止めましたが」

とんだ冷酷人間だ
そう思っていたけれど


もしかしたら
あたしなんかより
重い恐怖を背負っていたのかも

⏰:10/05/17 13:24 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#162 []
 
「香夜さんと父上‥
両方を救うことなど
‥容易い事でした。」

「‥壱助さん」

「しかし‥
私には、その先が見えず
‥助けた所で
お二方が幸福かどうかなど
わかりゃしなかった。」

⏰:10/05/17 13:24 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#163 []
 
少年が母親に
傷つけられていたあの時
壱助さんはあたしに
同じ様なことを言った

『助けた所で
貴女は少年を養えますか?
それが彼にとって
幸せだとは限らない。』


救い出すだけが勇気じゃない
見過ごす勇気は絶大だ

⏰:10/05/17 13:24 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#164 []
 
「死を覚悟することは
そう‥容易いことではない」

壱助さんを
いつも遠くに感じた

すぐ近くにいるのに
どこか遠くて


壱助さんは
いつも真っ直ぐ先を見つめてた

⏰:10/05/17 13:25 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#165 []
 
あまり笑わないし
いつだって冷静で

だけど本当は
誰よりも感情豊かで
それをただ胸の内に秘めて
常に一番正しい道を
選んできたんだ



‥何も知らなかった
明かされた鋼鉄の真実

⏰:10/05/17 13:25 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#166 []
第四一章 【躊躇いの先に】
>>153-165
*。*。*。*
のろま更新すみませぬ(´・ω・`)
なんせこんな展開の予定じゃ
なかったもんd‥ ←

壱助さんの素性を
明らかにしたかったんですが
文章力ユーモアに欠けるため
なかなか上手くいきませんな。
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4676/

⏰:10/05/17 13:31 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#167 []



あたしを守るため
死を惜しまなかった父

その父にあたしを任せられ
‥それじゃぁ、壱助さん

「死んで‥しまうの?」


もう目の前で
大切な人を失うのは嫌だ

⏰:10/05/17 13:32 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#168 []
 
自分のためだと言われたって
独り残されたあたしは
どう生きたらいい?

生きる術が見つからないじゃない
ただ辛いだけじゃない

そんな思いまでして
生きたいなんて‥思えないよ

⏰:10/05/17 13:32 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#169 []
 
「‥まぁ、それが私の使命
"生き甲斐"とでも
言っておきましょうか、ね」


目を伏せて笑った
苦笑でもない作り笑いでもない
どこか満足げな笑みだった

⏰:10/05/17 13:33 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#170 []
 
あたしは壱助さんの為なら
死んだって構わない
そう思っているのに‥



どうして、そう
みんな身勝手なの?

⏰:10/05/17 13:33 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#171 []
 
「見殺しにした‥からです。
罪償いです、よ
私なりの‥償い。」

つり上がった唇
綺麗に弧を描いて
切ないため息がひとつ


「まぁ‥そんなのは
只の言い訳にしか
‥過ぎないのもしれません、ね」

⏰:10/05/17 13:34 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#172 []
 
ばちりと目があった
いつもの鋭さはどこか柔らかくて

まるで自分に呆れるかのように
軽く鼻であしらった


「義務じゃあない‥
私の意思です、よ」

「意思?」

⏰:10/05/17 13:35 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#173 []
 
「まぁ、まぁ
こんな重い話は‥
性に合わないでしょう」


正座から足を崩し
胡座をかいて
少しだけはだけた着物

息苦しかった空間が
あっという間に解けた

⏰:10/05/17 13:35 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#174 []
 
「香夜さん‥ちょいと手を‥」

「手?」

「此方に‥、」


浮かんだ笑みは怪しくて
何か企んでるに違いない

この手を差し出したら
食いちぎられるかもしれない‥
失礼かもしれないけど
それくらい不気味な笑みで

⏰:10/05/17 13:36 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#175 []
 
躊躇いながら右手を見つめれば
ぴくりと微かに飛び跳ねた


出し惜しみすれば
早くしろよと鋭い視線


「はい‥手」

「‥遅い」

⏰:10/05/17 13:37 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#176 []
 
「すみませ‥ぎゃああっ!!」


やっぱり食いちぎられるのかと
疑ってしまうほど‥
勢い良く手を捕られ
引きちぎれるほど強く引かれた


「ななな‥なになにな‥」

「もう少し‥
色っぽい声出せませんかい?」

⏰:10/05/17 13:37 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#177 []
 
「余計なお世話‥あぁです」

目の前に映るは純白の肌
すっと潔く伸びた鎖骨
見上げればもうすぐそこに
‥艶容な唇に甘い吐息


「‥あ、の」

「何、か」

⏰:10/05/17 13:38 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#178 []
 
「近い‥気が」


少しでも動いたら
触れてしまいそうで

思考が停止してしまわぬよう
忙しなく働く鼓動
乱れた重低音が漏れないように
そっと中心に意識を寄せた

⏰:10/05/17 13:38 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#179 []
 
「何か不都合でも、お有りで?」

「え‥あぁ」

「‥香夜さん」


ごくり息を飲む
魚のように泳ぐ目を
覚悟を決めてきつく閉じる

⏰:10/05/17 13:39 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#180 []
 
「ん‥」

唇に軽く触れたのは
冷たく美しい指先だった
緩く唇の輪郭をなぞる
気が散漫する


長い睫が柔らかく揺れた

⏰:10/05/17 13:39 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#181 []
 
「貴女が望むなら‥
独りにはしません、よ
貴女を守り、最期まで‥共に」

穏やかな表情が降り注いで
包み込むように
そっと唇が触れた


言葉になんかしてないのに
壱助さんはいつも
あたしが望む言葉をくれる

たっぷりの雫を目に浮かべ
こぼれぬように小さく頷いた

⏰:10/05/17 13:41 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#182 []
 
熱くなる頬をそのままに
甘い時に包まれて



惜しげもなく照らす月明かり

‥淡く揺れる二人影

⏰:10/05/17 13:42 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#183 []
第四二章 【溶け合った、二人影】
>>167-182
*。*。*。*。*
あまりにも重い話が
長引きそうだったんで
壱助さんに切り上げてもらった←

※これは番外編ではありませぬ。
めでたく結ばれた‥のか?
よくわからないもどかしさw
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4676/

⏰:10/05/17 13:46 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#184 [笹]
【本編アンカー/35〜】
>>2-19
>>21-33
>>36-63
>>66-81
>>88-100
>>103-125
>>153-165
>>167-182(2章連続更新)

【番外編】
>>84-86
>>128-150

⏰:10/05/17 13:48 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#185 []
 
質問があったので
補足説明いたします ^^*

小説に組み込めれば
一番よかったんですが
どうも文章力に欠けるので
お許しくだされ(´・ω・`)

⏰:10/05/27 21:19 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#186 []
 
香夜ちゃんのお家は
借金取りに追われて?まして
お父さんは一応仕事あるんですが
なかなかいい稼ぎがなく
借金取りの怖い人たちが
毎日毎日家にやってくる。
(お父さんがいない時に)

それに耐えかねた義理の母が
人身売買と言うことで
香夜ちゃんを売るということで
交渉成立。

お父さんは家に帰ると
どこか清々してるような義母に
不信感を抱きそれ察する

⏰:10/05/27 21:20 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#187 []
 
当日
借金取りに香夜ちゃんを引き渡す
恐怖に脅えた香夜ちゃんは
唯一頼れるお父さんに
必死に助けを求める。

大切な一人娘を
連れて行かれてたまるかと
前日に死を覚悟してまで
助け出すと決意したお父さんは
香夜ちゃんを無理やり
輩の手から奪い取る。

話が違うと逆上した輩たちは
目の前に現れたお父さんを
刀で斬り倒した。


義理の母は自分の計画を狂わされ
愛する夫を亡くした悲しみを
香夜ちゃんに対する憎しみに変え
その日から虐待を始めた。

⏰:10/05/27 21:21 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#188 []
 
と言うことです ^^
自分の頭の中では
こういう設定だったんですが
なかなか組み込める機会がなく
言葉足らずになってしまいました

本当に申し訳ない(´・ω・`)

質問してくれた方
非常に助かりました !!
ありがとうございます **

たびたび
自分の中で思ってるだけで
文章にしてないことがあるので
わからなかった時は
気軽に聞いてください ^^*

これからものろま更新ですが
お付き合いのほど
よろしくお願いします( ・ω・ )

⏰:10/05/27 21:21 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#189 []


そして平凡‥平凡‥?
またいつものような生活に戻る


あんまり深入りはできなかった
だけどそれでよかったのかも
きっともう少し大人になって
心の準備ができたら
全部包み隠さず‥


心の準備と言えば‥あぁ

⏰:10/05/27 21:22 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#190 []



成り行きと言うか
そんな感じで呆気なく
‥壱助さんに唇が奪われた

体は冷たいのに
まるで別人かのように温かくて
その上、引き締まり
無駄な肉のない体とは違い
大福みたいにやわらかい

⏰:10/05/27 21:22 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#191 []
 
一瞬にして
こんな思いが頭を駆け巡り
現実だと思えば
頬は熱くなるばかりだった

「んん‥」

こういう時はどうしたらいいのか
経験不足なあたしには
何一つわからない

息はしていいのかとか
目は瞑るべきなのか‥とか

⏰:10/05/27 21:23 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#192 []
 
心の準備が間に合わなくて
驚きにかっと開いた瞼を
ゆっくりと閉じてみて

うっすら隙間から見える
柔らかな睫や通った鼻筋
毛穴などないんじゃないか?
‥そんな馬鹿なことは有り得ない

「ん‥んん」

⏰:10/05/27 21:23 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#193 []
 
遂に息苦しさも限界に達し
眉間にしわが寄った
壱助さんの着物の襟あたりを
ぐいっと掴み合図をしても
一向に離れる気配なし


まさか‥これは‥
一種のお仕置き?拷問か?
接吻にて窒息死‥

うぅん悪くないかも‥

⏰:10/05/27 21:24 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#194 []
 
若干遠のく意識を横目に
やっと離れた唇

余裕たっぷりなその唇の隙間から
小さく息が漏れていた


壱助さんの吸う分の空気まで
吸ってしまう勢いで
肺の隅から隅までに
部屋中の酸素を取り込んだ

⏰:10/05/27 21:24 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#195 []
 
「すぅ‥はぁ‥。」

「ほぉう‥」

「あの‥えと‥」

近すぎてぼやけていた顔が
少し離れてみてはっきり見えた

さっきまでの甘い時間に
恥ずかしさわ覚えて
胸のあたりから
どくどくと熱を帯びてきた

⏰:10/05/27 21:25 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#196 []
 
「物足りない‥と」

先ほどまで触れあっていた
艶容な唇がつり上がる

「我慢ならない‥か」


自分の手が
壱助さんの首に回ってることに
はっと気づく

⏰:10/05/27 21:25 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#197 []
 
離そうとしたときには
‥もう手遅れで


「欲しがり‥です、ね」

「ちが‥」


違うこともない。図星です

⏰:10/05/27 21:26 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#198 []
 
壱助さんはいい香りがする
お花みたいな匂い
金木犀に近い甘い匂い

ふわり香って
再び視界がぼやける


「ああ‥あの!!」

「何、か」

⏰:10/05/27 21:27 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#199 []
 
そんな接吻に
脳内を洗脳されてる場合じゃない

はっきりさせなきゃいけない
今が‥そのとき


魚のように泳ぐ目を
ぴたりと彼に向けて


「あの‥
壱助さんは‥何なんですか?」

⏰:10/05/27 21:27 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#200 []
 
「何、と申しますと?」


のどが乾く
ぴりぴりとした感覚が
のどの奥を突き抜ける

その感覚が声を押し付けて
中身のない弱々しい音となって
口から漏れた

⏰:10/05/27 21:28 📱:D905i 🆔:LasqqonI


#201 []
 
「あたしと壱助さんの‥
関係って‥何なんでしょう?」


どんな答えが返ってきても
怖じ気付いてはいけない

呼吸をやめた
取り込んだ空気を
体いっぱいに溜めたまま
その返事を待つ

⏰:10/05/27 21:28 📱:D905i 🆔:LasqqonI


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