もぅえぇわ!
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#201 [だーいし]
マヤの素朴な疑問にキヨシも乗っかる。
『確かに。なんで?』
『あぁ、ここ部室にしようかなと思てな!もしどっちか学校休んでも1人で練習出来るしな!ほら!』
ヒロシが窓の隅を指差す。
『って人体模型じゃん。』
『で、なんでここを部室にすんの?』
:12/01/04 03:02
:S003
:gYrv84dY
#202 [だーいし]
『ここはキヨシと初めてガッツリ喋ったとこやねん。なんちゅうか「始まりの場所」っちゅうかな。ここがええねんな。』
『キヨシ…』
『ふーん。そうなんだ。で、どうすんのよ顧問。』
『困ったな〜。とりあえず明日にするか!明日までに各自案を持ち寄ろうや!』
『そうだな。分かった。じゃあ、また明日。』
『え、ちょ、いいの?』
3人は部室を出た。
:12/01/04 03:16
:S003
:gYrv84dY
#203 [だーいし]
その日の帰り道。
マヤとヒロシは家路についていた。ちなみに家は隣通しだ。
『てかキヨシ、あんた塾やめた事お母さんに言ったの?』
『いや、まだ。』
『ちょっと大丈夫なの?あんたんち厳しいんじゃないの?』
『ま、まぁそのうち言うよ。』
『お父さんもたまにしか帰ってこないんだからちゃんとしなよ。』
『わ、分かってるよ。じゃあな。』
キヨシは足早に去っていった。
:12/01/04 04:43
:S003
:gYrv84dY
#204 [だーいし]
次の日、朝のHR。
教頭がクラスに入る。
『はい、静かにー!えぇ、担任の松本先生が昨日ですね陸上部の指導中に左膝を複雑骨折して入院する事になった。』
ざわめくクラス
『静かに!で、新しく臨時で帝都東高校から応援でこのクラスを担当する先生を紹介する。はい、入って。』
教頭の一言で臨時の先生が教室に入ってきた。
:12/01/04 05:04
:S003
:gYrv84dY
#205 [だーいし]
そこには中肉中背の30代の男性がいた。
『臨時でこのクラスの担任になりました。今田と申します。短い間ではございますがよろしくお願いします。』
まばらな拍手が飛び交った。
昼休み。
ヒロシはパソコン室に忍び込んだ。
『やっぱり……、そうだ。』
そして、放課後。
ヒロシ・キヨシ・マヤの3人は部室にいた。
:12/01/04 05:11
:S003
:gYrv84dY
#206 [だーいし]
『2人のクラスに臨時の担任が来たんだって?』
マヤがバームクーヘンを食べながら言った。
『あぁ。松本が複雑骨折したみたいで。』
『顧問断ったからバチが当たったのよ!』
『2人ともいいかな?』
ヒロシが立ち上がった。
『どうしたの?』
:12/01/04 06:47
:S003
:gYrv84dY
#207 [だーいし]
『臨時担任の今田先生な、元芸人やねん。』
『えっ?』
2人はヒロシの方を凝視する。
『まぁ芸人言うてもインディーズやけどな。俺がまだ大阪におる中2の時によく、インディーズ芸人が集まるライブハウスに行ってたんや。そこで今田先生も漫才しててな。いっつもウケててな、それはめっちゃおもろかってん。でも、ある日を境にパタッと来んようになってな。誰も行方は知らんかった。まさか、こんなとこで会えるとわな。』
:12/01/04 06:53
:S003
:gYrv84dY
#208 [だーいし]
『そうだったんだ…。』
『でな、2人とも。俺に考えがあんねん!』
2人はさらにヒロシを凝視する。
『今田先生を漫才部の顧問にする!』
『なるほど。元芸人の観点で助言をしてもらうって訳だね。』
『おいキヨシ、なんで先言うねん!』
『ご、ごめん。』
『そうと決まれば行きましょ!』
3人は職員室に向かった。
:12/01/04 06:57
:S003
:gYrv84dY
#209 [我輩は匿名である]
:12/01/04 10:20
:Android
:76.5O9bY
#210 [だーいし]
:12/01/04 14:46
:S003
:gYrv84dY
#211 [だーいし]
『今田先生なら裏庭に行ったわよ。』
職員室で他の教師から情報を得た3人は裏庭に向かった。
裏庭の花壇の花に水をやる今田。
『先生。』
『やぁ、えっと小林君に鈴木君だっけ!?君は……?』
『隣のクラスの宮本と申します。』
『宮本さんね。覚えておくよ。』
:12/01/04 14:53
:S003
:gYrv84dY
#212 [だーいし]
『先生、なんで水やりをしてるんですか。』
キヨシは聞いた。
『これか?先生な花に水をやるのが好きなんだよ。帝都東でも毎日やってたんだ。いい大人なのに変わってるだろ?ハハハ』
今田は笑いながら水をやり続ける。
『ザ・ピスタチオ……』
ヒロシはボソッと呟いた。
と今田から先ほどの笑顔が消え、ホースから水が出なくなった。
:12/01/04 14:59
:S003
:gYrv84dY
#213 [だーいし]
『ザ・ピスタチオどうして解散したんや先生?あんなにおもしろかったやないですか!』
今田は戸惑いながらも無理矢理笑顔をつくり
『な、随分昔の事知ってるんだね、小林君。』
『どうしてなんや?』
黙り込む今田。
『あっ、変な事聞いてゴメンな先生!アッハハハ。あのな、先生俺ら今、「漫才部」っていうのやってて先生にその顧問やってほしいねん。顧問おらな文化祭でられへんくてな。だから先生に』
『断る!!』
今田の声が校舎の壁に反響した。
:12/01/04 15:09
:S003
:gYrv84dY
#214 [だーいし]
『ご、ごめん大きな声出して。じゃ先生失礼するよ。』
今田はホースを片付け去っていった。
『なによ!あれ!あんな言い方しなくてもいいじゃない!』
ヒロシとキヨシは黙ったままだった。
:12/01/04 15:15
:S003
:gYrv84dY
#215 [だーいし]
次の日。1年C組マヤのクラス。
『次は、体育か…』
次の授業が体育のため教室の後ろにあるロッカーに向かう。
『あれ?ない。』
ロッカーにあるはずの体操着がない。その間に他の生徒は体育館に向かっていく。
教室にはマヤ一人になった。
ふと、ゴミ箱に目がいく。
そこにはあるはずのないマヤの体操着が捨ててあった。
マヤはいじめにあっていた。
:12/01/05 01:39
:S003
:w3r/fQqk
#216 [だーいし]
放課後。部室。部屋にはキヨシだけ。
『ヒロシのやつどうしたんだろ。急にいなくなって…』
ガチャ…
『ちょ、キヨシ手伝ってくれ。』
ヒロシがテレビを抱えながら部屋に入ってきた。
『な、何してるんだよ!わ、分かったこっち持つね。』
2人は机にテレビを置いた。
:12/01/05 01:48
:S003
:w3r/fQqk
#217 [だーいし]
『ふ〜疲れた〜。いやーバレるかと思ったわ〜。』
『どうしたのこれ?』
『いや〜この部屋テレビなかったやん。だから。視聴覚室から余ってんの持ってきてん!』
『「持ってきてん!」ってどうしてだい?』
ヒロシは顔をくしゃくしゃにし笑いながら自分のカバンをあけた。
:12/01/05 01:52
:S003
:w3r/fQqk
#218 [だーいし]
バササササと音を立てて中からDVDが大量に出てきた。
『こ、これは?』
『お笑いDVDや〜!!キヨシに漫才とはなんぞやって言うのを勉強してもらおうと思ってな。まっオレも人の事言われへんけどな!』
『ヒロシ…ありがとう!』
『かめへん!かめへん!』
ヒロシは手を振りながら部屋を出ようとする。
:12/01/05 01:58
:S003
:w3r/fQqk
#219 [だーいし]
『どこに行くんだい?ヒロシ。』
『オレが、今田先生を説得するわ。何としても。それまで待っといてくれ。顧問捕まえたら、漫才練習しような。』
『うん。任せたよ。』
ヒロシは笑顔を見せて部屋を出た。
一息つきキヨシはDVDを見ていく事に。
ピリリリリリ……
携帯が鳴る。母からの着信。
キヨシは出ずにじっと鳴りやむのを待った。
母からの着信は今日で何度目だろう。
:12/01/05 02:06
:S003
:w3r/fQqk
#220 [だーいし]
裏庭に移動するヒロシ。
そこには今田が花に水をやっていた。
『断る!!』
今田の声が脳裏をよぎる。
後ろを振り返る今田。
『やぁ。この前はゴメンね。あんな大きな声出して。』
『いや、全然大丈夫っす。』
『こんな事言うのはあれなんだけど、もう僕の前で漫才の話はしないでくれるかな。もちろん「漫才部」の顧問の件も正式に断るよ。』
『先生……』
:12/01/05 02:15
:S003
:w3r/fQqk
#221 [だーいし]
それでも引き下がらないヒロシ。
『先生、俺らのコンビ絶対におもろくなると思うねん!ザ・ピスタチオに負けないような…』
今田は無言でヒロシを見つめた。何とも言えない哀しみにみちた顔をしていた今田にヒロシは言葉を詰まらした。
『じゃあ、失礼するよ。』
今田はその場を去ろうとした。校舎の入口の扉を開けて今田は立ち止まった。
『これだけは言っておくよ小林君。ただ「おもしろい」だけじゃダメなんだ。犠牲が多すぎるよ、漫才は…』
扉が閉まって。
ヒロシは何も言えなかった。
:12/01/05 02:22
:S003
:w3r/fQqk
#222 [だーいし]
数日後の放課後。部室。
キヨシは1人でDVDを見ながら何かをメモしていた。
ガチャ
『よう、キヨシ。』
『ヒロシ。』
ヒロシが机にカバンを置く。
『なんやまたマヤちゃんおれへんやん。』
『そうなんだよ。最近はあまり教室にもこないしね。まぁいいんじゃない?まだマネージャーとしての仕事はないわけだし。』
:12/01/05 04:36
:S003
:w3r/fQqk
#223 [だーいし]
『ま〜せやな。』
ピリリリリ……
キヨシの携帯が鳴る。母からの着信。
『ん?キヨシ電話ちゃうか?出んでえぇんか?』
『え、あああ、大丈夫。最近、イタズラ電話や間違い電話が多いんだよ。』
『ふ〜ん。そっか。』
『そ、そんな事よりどう今田先生は?』
:12/01/05 04:38
:S003
:w3r/fQqk
#224 [だーいし]
『これだけは言っておくよ小林君。ただ「おもしろい」だけじゃダメなんだ。犠牲が多すぎるよ、漫才は…』
今田の言葉が脳裏をよぎる。
『ん、あああ、それがな後もう少しやねん!あと一息ってとこかな。』
『そう。頑張ってね!』
『お、おう!』
ヒロシとキヨシは互いの大きな問題を解決出来ずにいた。
:12/01/05 04:43
:S003
:w3r/fQqk
#225 [だーいし]
『では、すいません。お先失礼します。』
『おや?もう仕事は片付いたんですか?今田先生。』
『教頭先生。はい。』
『早いですね〜さすがです!このまま松本先生と変わってほしいぐらいだ。』
職員室が笑いに包まれる。
『ではまた明日。』
『お疲れさまでした。』
:12/01/05 04:45
:S003
:w3r/fQqk
#226 [だーいし]
時計は20時を少し過ぎていた。今田は帰り道、夕食を買うため家の近くのコンビニに向かっていた。
『あれ?今ちゃん?今ちゃんだろ?』
『????大崎先輩?あぁーご無沙汰してます!』
『やっぱ今ちゃんや〜!!懐かしいな〜!!10年ぶりぐらいか〜』
『ですかね!お久しぶりです!』
:12/01/05 04:51
:S003
:w3r/fQqk
#227 [だーいし]
『へいっ久々の再開に乾杯♪』
『か、乾杯。』
2人は近くの居酒屋へ
今田が先ほどグラスを合わせたのは大学の1つ先輩の大崎。
『いや〜ホンマ懐かしいな!最後いつやあれ会ったの、大学のあれかな、ままえぇか。』
『先輩はスーツ姿って事は出張か何かですか?』
『ん〜ん、大学出て神奈川の会社に就職決まってん。で、今日は取引先がこの辺にあるからきてん。で、まさか今ちゃんに会えるとはやっぱ世間は狭いな♪』
:12/01/05 04:58
:S003
:w3r/fQqk
#228 [だーいし]
『で、今ちゃんは大阪から仕事かなんかできてんの?』
『いや、僕はこっちに住んでるんすよ。』
『へえっ?東京で「芸人」やってんのか?』
今田の顔が少し曇る。
『今、僕教師やってるんです。』
大崎は食べようとした焼き鳥を皿に戻した。
:12/01/05 05:03
:S003
:w3r/fQqk
#229 [だーいし]
『教師?なんでや?』
『芸人は……もういいんです。』
『お前、まさかあれが原因で…』
『違います!!…違います。先輩。』
今田の顔がこわばった。
大崎はそれを察知した。
『そっか…。もったいないな〜。「漫才サークル」の時は、今ちゃんピカ一やったのにな〜』
大崎は焼き鳥を食べた。
:12/01/05 05:07
:S003
:w3r/fQqk
#230 [だーいし]
『「夢」だけでは何とも…』
『まっそうか。オレも結局普通のサラリーマンやしな〜。まぁええわ、今日は昔話をつまみに呑もうや♪』
『はい、付き合います。』
昔話は夜中まで続いた。
ホテルに宿泊している大崎と別れ、少し酔いながらも自分の家にたどり着く今田。
:12/01/05 05:11
:S003
:w3r/fQqk
#231 [だーいし]
散らかったアパートの一室。 蛍光灯を付けずに布団に倒れこむ。
『今田、ありがとな。』
この言葉が今田の脳の中でスピーカーのように拡声され何度も何度も、何度も何度も繰り返される。
その瞬間、今田は右手で両目を覆い大泣きした。
時計は夜中の3時を少し過ぎたところだった。
:12/01/05 05:17
:S003
:w3r/fQqk
#232 [だーいし]
次の日。放課後の部室。
『どや?DVDの調子は?』
『僕なりに気付いた点をノートに書いてみたよ。』
キヨシはヒロシにノートを渡した。
『凄いやん!こんなギッシリ!じゃあ、そろそろ漫才の練習すっか。』
『え?顧問の件は大丈夫なのかい?』
『えっ?ま、まぁ、その、そろそろ漫才もやっといた方がいいかなと思って。顧問と両立しながらするから。』
『そうか。よし!頑張ろう。』
:12/01/05 05:25
:S003
:w3r/fQqk
#233 [だーいし]
『じゃあ、まずはお互いにDVDをめっちゃ見たと思うからこの「ジャンヌダルク」のネタを完コピしよか!』
『完コピ?』
『そう!まずは漫才のリズムっていうのを体に叩きこむで!セリフは一言一句同じで。もちろんタイミングも。』
『わかった!』
『じゃあ、行こう!はい、どーもジャンヌダルクで〜す♪』
練習は夜まで続いた。
:12/01/05 05:30
:S003
:w3r/fQqk
#234 [だーいし]
学校からの帰り道。
家の近所の公園のブランコが揺れている。
『マヤ??』
キヨシはブランコに近づいた。
『部活にこなくてこんな所には来るだ。』
『き、キヨシ!?お、おどかさないでよ。』
『なんで部室に来ないんだ?』
:12/01/05 05:33
:S003
:w3r/fQqk
#235 [だーいし]
『まだ部活も始まってないのに、マネージャーは必要ないでしょ!!』
『まぁね。横でお菓子食べるやつがいないから練習に専念できるよ!』
マヤは下を向いた。
『ねぇ、キヨシ。』
『ん?』
『今、楽しい?』
『なんだよそれ!?』
キヨシは隣のブランコに座る。それと同時にマヤはブランコを飛び降りる。
:12/01/05 05:37
:S003
:w3r/fQqk
#236 [だーいし]
『今、楽しいって聞いてんの!!』
『楽しいよ!部活やり出してから毎日発見ばかりだからね!』
『………そ、ならよかった♪キヨシが楽しかったら、私も楽しいから。』
そう言うとマヤは地面に置いてあったカバンを持って、キヨシの方を一度も見ずに去った。
『おい、待てよ!ったく、なんだよアイツ…。』
次の日からマヤは学校に来なくなった。でもその事実は、今のキヨシの耳には入ろうにも入らなかった。
:12/01/05 05:43
:S003
:w3r/fQqk
#237 [だーいし]
キヨシ宅。
家に入る前に、マヤの家を見るが2階の部屋は明かりが消えていた。
ガチャ…
扉を開けた。
『キヨシ…こちらに来なさい。』
リビングから母が出てきた。
『母さん…帰ってたんだ……』
キヨシはリビングに向かった。
:12/01/05 15:52
:S003
:w3r/fQqk
#238 [だーいし]
『そこに座りなさい。』
椅子に座るキヨシ。
『キヨシ、塾勝手に辞めたんだって。熊井君のお母さんから聞いたわ。塾やめて何やってるの?』
『…………。』
『勝手にやめたのね。いい?あなたは母さんと父さんのように東大に行かなきゃダメなの。母さんと父さんの顔に泥を塗らないでね。』
:12/01/06 01:45
:S003
:yWZePEFw
#239 [だーいし]
ずっと下を向いて黙り込むキヨシ。
『黙ってないで何かいいなさい。』
『…………。』
『キヨシ!……まぁいいわ。この事は父さんに言いますから。近いうちに父さんが家に帰ってくるから。その時、言います。』
キヨシは黙って部屋に戻った。キヨシはベッドに倒れ込み、天を仰いだ。
:12/01/06 01:50
:S003
:yWZePEFw
#240 [だーいし]
次の日。放課後、部室。
『違うて!キヨシ!』
『な、何が!?』
『完コピは完コピやけど、キヨシにはリズムがないねん!なんかセリフをただ単に言うてるだけって感じやねん!』
『ご、ゴメン。』
『もぅ1回行くで!』
『ちょっと、いいかい?』
:12/01/06 02:11
:S003
:yWZePEFw
#241 [だーいし]
『やっぱり部として成り立ってないのに練習するのはって…』
『なっ……』
キヨシは痛い所をついた。
『意味のない練習なんてないねん!!』
『ヒロシ、こればかりは綺麗事ではすまされないよ。』
『もぅいい!!今日は終わりや!』
:12/01/06 02:19
:S003
:yWZePEFw
#242 [だーいし]
そう言うとヒロシはカバンを持って出ていった。
外に出てため息をついた。
『確かに…意味ないかもな。』
ヒロシもどこかで不安を抱いていた。
部室に残ったキヨシ。
『ちょっと、言い過ぎたかな…マヤは何をしているんだ。』
:12/01/06 02:24
:S003
:yWZePEFw
#243 [だーいし]
その夜、キヨシのケータイにヒロシからメールが。
「やっぱ今田先生を説得してから練習しよう。 ヒロシ」
キヨシは
「わかった。」
と返信した。
:12/01/06 03:25
:S003
:yWZePEFw
#244 [だーいし]
その日からヒロシとキヨシの口数は減っていった。
休み時間。キヨシはC組へ。
教室を出る男子生徒に話しかける。
『あの、宮本さんいるかい?』
『あぁ、先日から休んでるねー。』
『わかった。ありがとう。』
マヤに電話をかけるが留守電。
『これで、何回目だよ。家行ってみるか。』
:12/01/06 03:35
:S003
:yWZePEFw
#245 [だーいし]
放課後。キヨシはマヤの家へ。
ピーンポーン♪
ピーンポーン♪
応答はない。
『やった事ないけど…』
キヨシは小石を何個か手にとり、マヤの部屋の窓に当てる。
カーテンがチラッと開いた。 しばらくして玄関の鍵が開いた。
:12/01/06 03:42
:S003
:yWZePEFw
#246 [だーいし]
『キヨシ…』
『よう。いいかい?入って。』
『う、うん。』
マヤが自分の部屋に案内する。
『懐かしいな〜。小学生ぶりか、マヤの部屋に入ったのは』
『たぶん、そうかな。』
キヨシは床に、マヤはベッドに座った。
:12/01/06 03:45
:S003
:yWZePEFw
#247 [だーいし]
『学校………なんで来ないの?』
マヤが下を向いたがすぐキヨシの方を向き
『ちょっと最近、調子が悪くてさ。疲れがドッときたのかな。』
マヤは作った笑顔で言った。
『今もちょっと、体調悪いから悪いけど帰ってもらえる?』
『……わかった。じゃあ、お大事に。』
そういうとキヨシは部屋を出た。
マヤの頬に何かがこぼれた。
キヨシは何かを確信した。
:12/01/06 16:52
:S003
:yWZePEFw
#248 [だーいし]
そろころヒロシはレンタルビデオショップにいた。
『悩んでる時はお笑いよりラブコメディーっと』
ヒロシは洋画のラブコメディーコーナーにいた。
ふと視界にお笑いコーナーが見えた。
『今田先生や………』
今田はお笑いコーナーでずっと立ち止まっていた。
:12/01/06 17:05
:S003
:yWZePEFw
#249 [だーいし]
今田はしばらく立ち止まったあと、その場を後にした。
『今田先生!』
入口付近でヒロシは声をかけた。
『あぁ、小林君か。』
『DVD借りひんのか?』
『……。お腹すいてないかい?』
:12/01/06 17:18
:S003
:yWZePEFw
#250 [だーいし]
2人は近くのファミレスへ
『いや〜めっちゃ食った〜。ごちそうさま♪』
『トホホ…よく食べるね。』
今田は財布の中身を気にしていた。
『今田先生、先生はいつまでいるんすか?』
『あぁ、どうやら松本先生骨折の他にも体悪かったみたいでしばらく入院するみたいなんだ。』
:12/01/06 18:19
:S003
:yWZePEFw
#251 [だーいし]
『そうなんや!じゃあ、まだチャンスはあるわけや!』
『…………。小林君、君はどうしてそこまで漫才がしたいんだい?』
不意打ちをつかれたようにヒロシは困った。
『ん〜〜〜。なんやろ。「笑顔の意味が分かったら生きている感じがする」からかな。』
『なっ…。』
今田は硬直した。
:12/01/07 01:44
:S003
:UTNO8QVw
#252 [だーいし]
『今田ぁ、笑いの意味が分かると「生きてるな〜」って感じんねん。』
今田の頭の中でこの言葉がこだまする。
『たけちゃん……?』
『先生?せんせー?せんせーい!?』
『あぁあ、ゴメン。そっか。』
『先生、「たけちゃん」って誰ですか?』
今田は大きく息を吐き語りだした。
:12/01/07 01:55
:S003
:UTNO8QVw
#253 [だーいし]
『中学高校と湿気った生活送ってたから大学生活はパッといきたいな〜』
今田はネクタイをし背広を着た。
今日は大学の入学式だ。
入学式が終わり外へ出ると、在校生達がサークルの勧誘をしていた。
『うわ〜こーゆーのってドラマだけかと思ってたけどホンマあるんや〜。やっぱここは飲みサーかな。』
今田は飲みサーの看板の方に向かった。
:12/01/07 02:14
:S003
:UTNO8QVw
#254 [だーいし]
『君、君!今、飲みサーのに入ろうとしてるやろ〜。』
馴れ馴れしく肩を組んでくる男性。
今田は腕を振り払った。
『ちょ、誰ですか。』
『どうも「漫才サークル」の大崎です。』
『漫才サークル?』
『飲みサーなんてあれやで、全然活動してないで!モテへんしな!その点漫才はな…』
『あの、そもそも漫才に興味がないんで…失礼します。』
:12/01/07 02:28
:S003
:UTNO8QVw
#255 [だーいし]
その場を去ろうとする今田。
『ちょちょちょ。待って待って!話だけでも!モテるで〜』
腕を引っ張りながら話す大崎。
『モテる?』
『ここが部室やで〜。今、コーヒー入れるから適当に座ってて!』
漫才サークルの部室…
部屋は散らかっておりお世辞でもキレイとは言えなかった。
:12/01/07 02:37
:S003
:UTNO8QVw
#256 [だーいし]
『モテると聞いてついついきちゃったな〜。』
『ふぇっ、コーヒー。』
『あ、ありがとうございます。漫才サークルは先輩1人なんですか。』
『んなわけあるかい!もう1人おんねんけど、今出てて。』
コンコン
『おっ帰ってきたぞ!』
:12/01/07 04:31
:S003
:UTNO8QVw
#257 [だーいし]
『大崎!1人漫才サークルに勧誘成功した…なんやお前も1人連れてきとるやん。』
『山崎!紹介する…あっ名前何やったっけ?』
『今田です。』
『あぁ、今田君や。』
『紹介する、北野くんや。』
『北野たけしです!よろしくお願いします!あれっ?』
北野は今田に近づいて顔をまじまじと見る。
:12/01/07 04:37
:S003
:UTNO8QVw
#258 [だーいし]
『今田ってあの今田やん!』
『ん??』
『ほらっ中学一緒やった!』
『たけちゃん??たけちゃんかい??』
『せやせや!おぉー久しぶりやんけぇー!!』
大崎と山崎は顔を見合わせる。2人は久しぶりの再会に酔いしれていた。
:12/01/07 04:40
:S003
:UTNO8QVw
#259 [だーいし]
北野の後押しもあり、今田は漫才サークルへ正式に入部した。部員は大崎・山崎・北野・今田の4人。
大崎は山崎と『サキザキ』というコンビを組んでいた。
そんなある日の部室。
部長である大崎が
『2人のコンビ名俺らが決めたるわ!』
と言った。
:12/01/07 04:44
:S003
:UTNO8QVw
#260 [だーいし]
『よっ!』
と言いながら拍手する山崎。
大崎(おおさき)と山崎(やまざき)だから命名された「サキザキ」というネーミングセンス。2人はあまりいい気がしなかった。
『ん〜せやな〜。あんまお互いパッとしてないからな〜。あっお互い顔が「ピスタチオ」みたいやから「ザ・ピスタチオ」でいいやん!なぁ、山崎!』
『いいね〜決まりやな!』
北野と今田は顔を見合わせた。
予感は的中した。
:12/01/07 04:48
:S003
:UTNO8QVw
#261 [だーいし]
『「ザ・ピスタチオ」結成記念にかんぱ〜い♪』
『かんぱ〜い♪』
北野と今田はグラスを交わした。
『てか今田ぁ、「ザ・ピスタチオ」ってひどすぎひん?』
『確かに。ネーミングセンス悪すぎ。』
『でも、なんか気に入ってたりして。』
『言えてる。』
2人はファミレスで大笑いする。
:12/01/07 04:53
:S003
:UTNO8QVw
#262 [だーいし]
『今田ぁ、タバスコとって。』
『さっきからその無駄なちっちゃい「ぁ」やめろ!中学の時に流行ったやつやん!』
タバスコを渡しながら言う。
『ハハっ!覚えてた?懐かしいな〜。』
『なぁ、たけちゃんは初めから漫才サークルに入ろうと思ったの?』
『ん〜。せやな。ちっちゃいころからお笑いが好きやってな。高校出たらお笑いの養成所入ろうと思てんけど、親に「大学は出とけ!」言われて。そしたら「漫才サークル」があるってなってな。』
:12/01/07 04:59
:S003
:UTNO8QVw
#263 [だーいし]
『へぇ〜。』
『今田ぁは?』
『オレは……モテたいから。』
北野がソファの上でズッコける。
『なんやねんそれ〜!理由!まぁでも、今田ぁは喋り達者やからいいコンビになると思うわ。』
『ありがとう。』
2人は夜中まで盛り上がった。
:12/01/07 05:03
:S003
:UTNO8QVw
#264 [だーいし]
学祭当日。
2組は出番を前に舞台袖で緊張していた。
『やぱ、緊張するな。。』
大崎と山崎は震えていた。
『サキザキさん!頑張りましょう!僕たちはこの為に頑張ってきたんだから!』
北野がサキザキを励ます。
『なんで、お前らに…』
最後まで言う前にサキザキの出囃子『翼の折れたエンジェル』が流れた。
『いくぞ!はいどうも〜サキザキで〜す。』
『選曲センスもないんかい。』今田は呟いた。
:12/01/07 05:12
:S003
:UTNO8QVw
#265 [だーいし]
『お疲れさまでした!』
部室で大きな拍手が起こる。
『ピスタチオめ〜俺らよりウケやがって!!』
大崎が2人に嫌みを込めて言い放つ。
『いえいえ。そんなことないですよー。』
『棒読みやんけ!!』
今田のボケに山崎が鋭くツッコむ。
:12/01/07 17:28
:S003
:UTNO8QVw
#266 [てる]
まんぴーのGすぽ
:12/01/07 17:29
:iPhone
:NJDbtfPU
#267 [だーいし]
ドッと部室が揺れる。
『いや〜、ホンマにおもろかったわ。お前らなら絶対に売れる。なぁ、山崎。』
『あぁ。間違いない。』
サキザキは珍しく真面目なトーンになった。
『ありがとうございます!』
2人は心から喜んだ。
そして2人は年々学祭で爆笑をとり続けた。
そして、卒業後インディーズだがデビューを果たす。
:12/01/07 17:42
:S003
:UTNO8QVw
#268 [だーいし]
ザ・ピスタチオの人気は他のコンビより遥かに凄かった。 ライブが終わると出待ちするファンもいた。
2人の願いは同じだった。
「プロになってテレビに出演、冠番組をいくつも持つ」
ライブをする事にその思いは大きくなっていった。
そんなある日の出来事だった。
:12/01/07 17:49
:S003
:UTNO8QVw
#269 [だーいし]
ライブ終わり。
いつものように出待ちするファン。その中にスーツを着た男性がいた。
『ザ・ピスタチオの今田さんと北野さんですね?』
2人は顔を見合わせる。
『そうですけど。』
今田が答える。
『少しお時間よろしいですか?』
:12/01/07 17:52
:S003
:UTNO8QVw
#270 [だーいし]
3人はファミレスへ。
『申し遅れました。私、吉木興業の藤原と申します。』
藤原は2人に名刺を渡す。
『よ、吉木興業ってあの…?』
北野は今田の方を見た。
吉木興業とは日本のお笑い界の大手事務所。テレビに出ているタレントのほとんどがここに属している。
『で……僕たちに何のようですか?』
今田は言った。
『はい。単刀直入に言いますと2人は我が事務所からデビューしてもらいたいのです。』
:12/01/07 18:00
:S003
:UTNO8QVw
#271 [だーいし]
『なっ……』
突然の事に2人は黙り込む。
『マジですか??よっしゃぁぁぁぁ!!!やったな、今田ぁ!!!!』
『たけちゃん!!!!』
2人は喜びのあまり座ったまま抱き合った。
藤原は続ける。
『お二人のネタは実にすばらしい!観客の心を掴むネタばかりだ。インディーズにしておくのはもったいない。』
『ですよね!ですよね!』
北野が食い気味で言う。
:12/01/07 18:05
:S003
:UTNO8QVw
#272 [だーいし]
『ただ、2人のネタは決してテレビ向きではない。』
2人から笑顔が消えた。
藤原は続ける。
『北野君のボケ、今田君のツッコミは互いに天下一品だ。しかし、それが反発し合って良さをいかしきれていない。実に惜しいコンビだよ。』
『………どういう事ですか?僕らをデビューさせてくれるのに否定するなんて…』
:12/01/07 18:10
:S003
:UTNO8QVw
#273 [だーいし]
『実はね、君たちみたいなコンビがもう1組いてね。そのコンビのボケと今田君が組み、ツッコミが北野君と組む。それは2組とも素晴らしいコンビになるよ。次世代のお笑い時代を担う2組にね。』
2人は黙ったまま。
『そして、その2組には全国放送のゴールデンの冠を持ってもらう。人気・知名度は全国区になるよ。悪い話ではないと思うが…どうだろ?』
2人は黙ったまま。
:12/01/07 18:15
:S003
:UTNO8QVw
#274 [だーいし]
『まぁ、考えていてくれ。返事は後日で。それじゃお先に。』
藤原は1万円をテーブルに置き、その場を後にした。
2人は近くの河川敷へ。
『どうする、たけちゃん。』
『オレは断ろうかな。やっぱり今田ぁじゃないと意味ないしな。』
北野は笑顔で言う。
『今田ぁはどうなん?』
『オレは…』
今田は空を見上げた。
『オレは、解散した方がえぇと思う。』
:12/01/07 18:21
:S003
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#275 [だーいし]
北野は目を見開いた。
『な、何言うてんねん!今日初めて会うたようなヤツの話を鵜呑みにするんか?』
『少なくとも僕たちよりかは、プロだよ。』
『今田ぁ、目ぇ覚ませ、な。』
『目を覚ますのはたけちゃんの方だよ!!』
今田は一喝した。
:12/01/07 18:26
:S003
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#276 [だーいし]
『所詮、「インディーズ」なんやで!!出待ちするファンや人気が出てもインディーズはインディーズ。これはチャンスやで、たけちゃん。』
『今田ぁ、でもオレ今田やないと…』
『いつまでも夢見る年頃じゃないやろ!!』
『なっ………』
北野は絶句した。
:12/01/07 18:31
:S003
:UTNO8QVw
#277 [だーいし]
『オレもたけちゃんとずっと漫才をしたい。でも、このままじゃいけない。チャンスはすぐそこに、そこにあるんや!!』
『……そっか。確かにそうかもしれんな。』
『たけちゃん、一緒にお笑い界を引っ張ろう!』
『………おう。』
『明日、藤原さんに電話しとくよ!』
『わかった。』
『じゃあ。』
『おう。』
今田は土手の階段を上っていった。
『今田ぁ。』
今田は振り返らずに立ち止まる。
:12/01/07 21:28
:S003
:UTNO8QVw
#278 [だーいし]
『今田ぁ、笑いの意味が分かると「生きてるな〜」って感じんねん。』
今田は何も言わない。
『またいつか、漫才しようや!今田ぁ。』
今田は振り返らずに頷いた。
その帰り道、今田は大泣きした。
:12/01/07 21:31
:S003
:UTNO8QVw
#279 [だーいし]
そして、今田と北野は別々の相方とデビューする事になった。
そして、今田のコンビの冠番組初収録の日を迎えた。
収録前の楽屋。
ガチャ。
『今田君!』
『藤原さん!ご無沙汰してます!』
『元気がいいね〜。若手はそうでなきゃ!』
『ありがとうございます!』
『君たちには期待しているんだ!頑張って!』
『はい!』
:12/01/07 21:36
:S003
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#280 [だーいし]
『明日は北野君のとこも初収録なんだ。』
『そうなんですか。』
『まぁ、関係ないか。とにかく頑張って!』
『はい!』
藤原は出ていった。
『よし!頑張ろう!』
今田は並々ならぬ闘志を燃やしていた。
:12/01/07 21:39
:S003
:UTNO8QVw
#281 [だーいし]
『はい、今田さん入られま〜す!!』
ADが今田を紹介し、今田がスタジオに入る。
『よろしく〜今田ちゃんと石田ちゃ〜ん。Dの吉岡で〜す。』
チャラいD吉岡が話しかける。
『おはようございます!』
『2人には期待してるから〜、頼むよ〜。』
『はい!』
『で、今田ちゃん頼んでた高校の卒アル持ってきてくれた〜?』
:12/01/07 21:46
:S003
:UTNO8QVw
#282 [だーいし]
『あぁ、すいません。楽屋に忘れてきちゃいました。ちょっと取りにいってきます!』
『いいよ〜ADに…』
吉岡が言い切る前に今田は走り出した。
楽屋に戻る今田。
カバンに入ってある卒アルを手にとる。
テレビがつけっぱなしだった。
『チッ、あいつ消してけよ。』
今田がリモコンを手にとる。
:12/01/07 21:49
:S003
:UTNO8QVw
#283 [だーいし]
「え〜、繰り返しお伝えします。速報で入りました情報によりますと14時すぎ渋谷区内にありますマンションで住人が刺され重体、重体です。刺されたのは「北野たけし」さん24歳。都内の病院に運ばれましたが重体との事です。犯人は現在逃走中で……」
卒業アルバムが手から落ちた。テレビに映っているのは紛れもなく今田の知る北野だった。
『た……た、たけちゃん。。』
今田は部屋を飛び出した。
:12/01/07 21:58
:S003
:UTNO8QVw
#284 [だーいし]
ニュースでは「都内の病院」としか言っていなかった。
今田は東京で一番大きい病院に行くため、タクシーに飛び乗った。
『すいません、東京病院まで!急いで下さい!』
運転手は慌てて車を発進する。今田の電話がひっきりなしにかかる。
今田は確認するが出てる余裕はない。
:12/01/08 01:37
:S003
:a9OFN8iY
#285 [だーいし]
『運転手さん!ラジオ!大きくして!』
車内のラジオから先ほどの事件の事が流れていた。
『あぁぁ、はい、、』
運転手が音量を上げる。
『え〜先ほどからお伝えしております渋谷マンション殺傷事件の犯人がたった今現行犯逮捕されました。犯人は後藤アツシ容疑者26歳。被害者の北野たけしさんとはお笑いコンビを組んでいるとの情報も入っております。』
:12/01/08 01:46
:S003
:a9OFN8iY
#286 [だーいし]
『ま、マジか………』
今田は信じられなかった。
そして、タクシーは東京病院に到着した。
急いでタクシーを飛び降りる。
『すいません!北野たけしという男性が搬送されませんでしたか?』
受付で尋ねる。
『少々お待ちください。………今、緊急手術中です。』
今田は手術室の方へ走り出した。
:12/01/08 01:51
:S003
:a9OFN8iY
#287 [だーいし]
どれぐらい走ったか。
汗が止めどなくでる。
手術室の前に到着する。
「手術中」
入口の看板が赤く光っている。
『たけ……ちゃん。』
今田は近くのソファーに座り、両手で頭を抱えた。
:12/01/08 01:57
:S003
:a9OFN8iY
#288 [だーいし]
何時間待っただろうか…
いつの間にかケータイは鳴らなくなっていた。
『今田くん?』
頭上で声がした。
顔を上げる今田。
『おばさん…。』
そこにいたのは北野の母親だった。
:12/01/08 02:13
:S003
:a9OFN8iY
#289 [だーいし]
交わした会話はこれだけだった。
北野の母親は今田の隣に座った。
今田が病院に到着してから6時間が経った。
「手術中」の明かりが消えた。その瞬間、2人は立ち上がった。
中から手術を終えた医師が出てきた。
『親族の方ですか?』
『はい…』
母親が答える。
:12/01/08 02:42
:S003
:a9OFN8iY
#290 [だーいし]
『たけしは…たけしは…』
『手術は成功です。一命はとりとめました。しかし、まだ予断は許されない状況です。』
『よかった…』
今田はとりあえず胸を撫で下ろした。
北野は病室に移った。
:12/01/08 02:48
:S003
:a9OFN8iY
#291 [だーいし]
病室に移ってから3日…
北野は呼吸はしているが意識は戻らない状況だった。
それでも、今田は見守り続けた。
『今田くん、1回帰らなくて大丈夫?』
『はい、大丈夫です。』
『お仕事とか大丈夫なの?』
『えぇ、大丈夫です。』
大丈夫ではなかった。
無断で収録を抜け出した事が問題になり、番組は打ち切り。 今田と石田の新コンビも解散となった。
:12/01/08 02:55
:S003
:a9OFN8iY
#292 [だーいし]
後で分かった事だが後藤が北野を刺した理由は「ネタ合わせが上手く行かずカッとしたから」だった。
しかし、今田は自分が北野をこういう状況に追いやったと責めた。あの時、北野の言う通りインディーズで活動していたら…
自分を責めて、責めて、責め立てる今田。
『今田くん、何か買ってくるわ。』
『はい。』
母親が病室を出ていく。
:12/01/08 03:02
:S003
:a9OFN8iY
#293 [だーいし]
今田は北野が横たわっているベッドの横に椅子を並べて、自分を責めていた。
『…………だ……。』
『……ま………だ……』
『い……ま………だ……』
『たけちゃん??』
立ち上がり北野を見つめる。
呼吸器をしている北野のがゆっくりと目を開けていく。
:12/01/08 03:09
:S003
:a9OFN8iY
#294 [だーいし]
ガチャ
『今田くん、パンでよか』
『おばさん!!!たけちゃんが!!!たけちゃんが目を覚ましたよ!!!』
母親がビニール袋を放り投げ駆け寄った。
『たけしぃ!たけし!』
『かぁ……ちゃん…』
『よかった、、』
母親は思わず泣き出した。 そして、今田も泣いた。
:12/01/08 03:12
:S003
:a9OFN8iY
#295 [だーいし]
北野は驚異的な回復力をみせ、呼吸器を外して普通に喋れるようになった。
『かあちゃん、腹減ったよ〜。』
『まぁ、この子ったら。』
『たけちゃん、まだメシを食える体じゃないんだ。分かるやろ?』
『今田ぁ、点滴は食うた気せんて。』
今田と母親は笑った。
:12/01/08 05:06
:S003
:a9OFN8iY
#296 [だーいし]
その日の夜。
『…………、今田ぁ?オレ寝てたんか?』
『あぁ、目覚めたかい。』
今田は食べていたサンドイッチを無理矢理口に押し込んだ。
『あれ?母ちゃんは?』
『あぁ、1回大阪に帰ったよ。明日の朝一でまた来るって。』
『そうか……。なぁ、今田ぁ』
『ん?』
:12/01/08 05:11
:S003
:a9OFN8iY
#297 [だーいし]
『これでまた一緒に漫才できるな……』
『えっ?』
今田は目を見開いた。
『お前は収録ボイコットして吉木興業干されたし、オレの相方はムショやろ今。』
『…………。』
『これは神様の手荒い祝福や思うねや。「もう1度今田と漫才やれて」いう。』
『たけちゃん…。』
:12/01/08 05:17
:S003
:a9OFN8iY
#298 [だーいし]
『えぇやん。別にテレビ向きじゃなくてもインディーズでもよ。オレは今田ぁと漫才を「ザ・ピスタチオ」として漫才をしたい。』
今田は思わず泣き出した。
『何泣いてんねん…。オレ、1日でも早く退院するから…今田はおもしろいネタ考えといて。』
今田は泣きながら頷く。
:12/01/08 05:21
:S003
:a9OFN8iY
#299 [だーいし]
『だから…もぅオレを捨てんといてくれ…。ましてや刺さんといてくれ。』
北野のは冗談混じりに言った。
『アホか…』
今田は涙を拭きながら言う。
『今田、ありがとな。』
北野は今田の手を差し伸べた。今田も手を出し固く握手をした。
翌朝、母親が来た。
今田は家に帰って寝る事にした。
ほぼ不眠不休だったため、布団に潜るやいなや深い眠りについた。
:12/01/08 05:32
:S003
:a9OFN8iY
#300 [だーいし]
目覚めたら夕方近くになっていた。
ふとケータイで時間を見る。
17時すぎ。
「留守電1件」
『ん?』
今田はケータイを耳に近づけた。
ピー
『ぃ、い今田くん!?今すぐ病院来て!!たけしの、たけしの病態が急変したの!!早く来』
ピー
今田は家を飛び出した。
:12/01/08 05:39
:S003
:a9OFN8iY
#301 [我輩は匿名である]
気になるぉ
:12/01/08 20:44
:K007
:☆☆☆
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