*- エロチュウ -*
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#300 [亜夢]
:10/06/21 05:59
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#301 [亜夢]
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「俺はお前を信用してたのに……」
龍紀は切なそうに裕也の胸ぐらをつかんだ手を解いて言った。
「…俺にとって亜夢はすべてだった。 幼なじみで何年も一緒にいる子…この関係を壊したくない。 て、ただ俺は願うだけだった……」
でも、と裕也は続ける。
「あんたが俺から奪った!!! もっと魅力的になる亜夢をみるのが苦しかった。 …と同時に、悲しむ亜夢を見ると、あんたが憎かった…」
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:10/06/21 23:44
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#302 [亜夢]
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「―…」
龍紀は言い返せなかった。
確かにあたしは人を好きになることが出来た…でも同時に相手に対する嫉妬心や不安で押しつぶされそうになった…
と…
「…あっ皐月くん!!! 今電話しようとおもったところだったのよ。 時間がないから急いでっ!!!」
はやくはやく、とスタイリストの女の子が呼ぶ。
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:10/06/21 23:52
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#303 [亜夢]
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龍紀は聞こえないように舌打ちすると素早くスタジオへと走る。
「―…」
あたしと裕也の間で沈黙という重い空気が流れる。
「…亜夢…」
裕也はゆっくりあたしの肩に触れようとする。
「やだっ…」
あたしはその手を振り払う。
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:10/06/21 23:56
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#304 [亜夢]
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あたしが龍紀を信じればこんなことにはならなかった。 あたしが、裕也の優しさに甘えたから、こんなことになったんだ…
「―…」
あたしは何も言えなかった。
裕也との今までの関係が音をたてて崩れていった。
あたしを想ってしてくれたことかもしれない。 でも、あたしのことを考えずに自分の気持ちを優先したんだ、裕也は―…
あたしは何も言わず店に戻った。
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:10/06/21 23:59
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#305 [亜夢]
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休憩時間なんて一瞬で終わったように思えた。 龍紀が隣のブースで撮影しているとおもうと胸がバクバクいった。
外をちらっとみると裕也の後ろ姿が見える。 あと数時間あるのに、待ってるつもりなんだろう。
「お疲れさまです―…じゃあ髪の毛お願いします。」
担当がたまたまあたしがアシストしてる人だった。
「お願いします。」
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:10/06/22 00:02
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#306 [亜夢]
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龍紀があたしの目の前でセットされている―…
視線はあたし、携帯の行き来をしてた。
あたしは赤の他人なんかじゃない。 龍紀は初めての恋人…すべて一緒にしてきた。
異性とのはじめての…
嬉しい気持ち、楽しい気持ち、もどかしい気持ち、切ない気持ち、恥ずかしい気持ち、いやな気持ち、不安な気持ち…
たくさん、たくさん…
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:10/06/22 02:41
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#307 [亜夢]
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「こないだ雑誌読みましたよー皐月さん。」
担当の西川さんが【響皐月】に声をかける。 それはどうも、と愛想笑いする龍紀。
「なんか…恋愛のおはなし…切なくなりました。」
「ああ…お客さんにはうまいこと話作ったね、て言われたけどね…」
くすくす笑って龍紀が言った。
「私も正直…作り話かと思いましたけど…あたしが過去にあった体験と似てたので。」
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:10/06/22 02:45
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#308 [亜夢]
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「そのときの彼氏が置き手紙して、さよなら…とだけと、鍵がテーブルの上にあったこと…今でも忘れられないです……」
西川さんが苦笑いをして言った。
それ…あたし?
「俺は1ヶ月くらい…なにも喉に通らなくて、やっと吹っ切れそうになって…過食症ですよ。 だから少し太りましたけど。」
でも…と龍紀が続ける。
「彼女が今おれを必要とするなら……すぐにでも連れさらいたい……」
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:10/06/22 02:48
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#309 [亜夢]
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「彼女にほかの男がいても?」
「…そのときに彼女が幸せなら、俺はなにもいいませんよ…」
切なそうにあたしを見て微笑んだ。
「あたしっ……」
「亜夢、いま幸せか?」
龍紀がそっと言う。
西川さんは驚いた顔であたしを見る。 また【響皐月】をみて、え?て表情をつくる。
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:10/06/22 02:51
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#310 [亜夢]
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「……」
沈黙が広がる。
「今お前は裕也といて幸せなら…それでいいんだ。 たとえ、故意に俺たちの別れがあったとしても……おまえが、"今"幸せなら俺はいいんだよ。」
幸いほかのお客さんは店内にいなかった。
ただ、流れる音楽だけが耳にはいった。
外にみえる裕也の背中。
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:10/06/22 02:54
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#311 [亜夢]
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「あたしは―…」
裕也がいいの?
龍紀と戻りたいの?
ううん…違う。 あたしは裕也を龍紀の代わりにしてたの?
龍紀に会って、すぐに裕也への感情がなくなってしまったの?
「―…」
答えなんてすぐでなかった。
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:10/06/22 02:55
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#312 [亜夢]
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「俺は…一目惚れしてどうしようもなくて、ホストていう職業だからお前には相手にされないって思ってた。 でも違った。 俺のこと……まるごと愛してくれた。」
けど、と続ける。
「俺はお前が悩んでることに気づいてやれなかった。」
ごめん…頭をさげれないからか、龍紀は目を閉じてそうあたしに伝えた。
西川さんはただただビックリしてて、ただただ仕事に集中してた。
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:10/06/22 02:58
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#313 [亜夢]
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「ごめん…あたし、わかんない。 龍紀のことで悩んでるときに裕也があたしの支えだった。 けど…裕也があたしに心配にさせるようなことをしてたんなら……」
あたしの頭の中は何年も掃除されてない倉庫みたいになってた。
「わかんない……」
幸せか、幸せじゃないか。
分からないはずなんてないのに、あたしははぐらかしてしまった。
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:10/06/22 03:01
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#314 [亜夢]
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撮影が終わり、あたしも片づけをすれば帰れるというときだった。 ガラス越しに裕也と龍紀の姿が見えた。
もしかして―…
あたしは素早く片づけをしてタイムカードをきると、たばこを吸うふたりが何も喋らず立ってこちらに目を向ける。
どっちか…選べってこと?
できないよ―…
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:10/06/22 03:03
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#315 [亜夢]
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裕也は…
龍紀からあたしを奪い取るくらい、自分のものにしたくて、ってことはあたしのことが凄く好きで…
でも
龍紀は…
あたしに無理強いしない。 でも想いはずっと強くて、すべてあたし優先で考えてくれてる… あたしが幸せなら、いいと。
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:10/06/22 03:08
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#316 [亜夢]
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あたしは…
…の手をとった。
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:10/06/22 03:09
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#317 [亜夢]
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「いいのか?」
後ろを振り返りながら彼は言った。
あたしは首を縦に振る。
やっぱり…あたしの手はこの手にフィットする。
彼があたしを求める。
同時にあたしも彼を倍求める…
手をつないでるだけでも幸せ。
…なら、いいんだよね?龍紀。
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:10/06/22 03:11
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#318 [亜夢]
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龍紀はあたしがほかの誰かと幸せになったらほんとに幸せなの?
ねえ……
「お前は俺のもんじゃないとだめだっ…」
ぎゅうっと抱きしめる。
ねえ、裕也……
あたしはあなたの手に簡単に落ちてお互い恋をしたのかな?
それとも…あたしは、ただ龍紀の想いを断ち切るため?
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:10/06/22 03:13
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#319 [亜夢]
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あたしは
…龍紀の手を取った。
裕也があたし達にした行為が許せなかったとかではない。
ただ…
あたしは龍紀と居たかった。
あたしを一番に考えてくれる龍紀と…
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:10/06/22 03:16
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#320 [亜夢]
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まるでこの1年は…嵐のようだった。
龍紀との出会いから恋愛…不安と嫉妬…裕也からのアプローチに、よりかかってしまったあたし、…付き合って穴を埋めようとして…時間が経って…嘘が事実になる。
どちらとも居れる可能性があった今、あたしは龍紀といる。
「お、亜夢みてみて!!!」
旅行のパンフレットをみてはしゃぐ龍紀の肩のうえにあごを乗せてあたしはのぞき込む。
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:10/06/22 03:19
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#321 [亜夢]
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「わっ…」
屋久島の写真。
「すごくない?実はさ…今度店で慰安旅行があるんだけど、俺行く予定ないから…亜夢とどっかいこっかな〜と想ってさ☆」
わあい♪あたしは両手を挙げて喜ぶと龍紀は子供みたいに無邪気に笑う。
「それに…亜夢の誕生日じゃん?」
はじめて一緒に過ごせるの誕生日。
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:10/06/22 03:22
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#322 [亜夢]
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ふたりでソファに寝転がってあ―だこ―だいいながら旅行だったり他愛もない話をする。
たまにキスしたり、たまにふざけて龍紀が胸をさわったり、じゃれ合う…ただ、それだけで幸せ。
「あ……」
龍紀がなにかを思い出したように言った。
「ん?どしたの?」
いや、とTVをまじまじと見始める龍紀。
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:10/06/22 03:26
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#323 [亜夢]
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あたしは特に気にしなかった。
そのとき龍紀がなにを思い出したかも……
まさか、過去のあったことをまた、振り返るなんて…今しあわせ絶頂期のあたしには思いがけないことだったから―…
***
あいつの兄弟―…
俺は初めて会うんだっけ?
***
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:10/06/22 03:29
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#324 [亜夢]
:10/06/22 03:32
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