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#301 [亜夢]
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「俺はお前を信用してたのに……」

龍紀は切なそうに裕也の胸ぐらをつかんだ手を解いて言った。

「…俺にとって亜夢はすべてだった。 幼なじみで何年も一緒にいる子…この関係を壊したくない。 て、ただ俺は願うだけだった……」

でも、と裕也は続ける。

「あんたが俺から奪った!!! もっと魅力的になる亜夢をみるのが苦しかった。 …と同時に、悲しむ亜夢を見ると、あんたが憎かった…」

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⏰:10/06/21 23:44 📱:F02B 🆔:d897jUrM


#302 [亜夢]
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「―…」

龍紀は言い返せなかった。

確かにあたしは人を好きになることが出来た…でも同時に相手に対する嫉妬心や不安で押しつぶされそうになった…

と…

「…あっ皐月くん!!! 今電話しようとおもったところだったのよ。 時間がないから急いでっ!!!」

はやくはやく、とスタイリストの女の子が呼ぶ。

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⏰:10/06/21 23:52 📱:F02B 🆔:d897jUrM


#303 [亜夢]
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龍紀は聞こえないように舌打ちすると素早くスタジオへと走る。

「―…」

あたしと裕也の間で沈黙という重い空気が流れる。

「…亜夢…」

裕也はゆっくりあたしの肩に触れようとする。

「やだっ…」

あたしはその手を振り払う。

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⏰:10/06/21 23:56 📱:F02B 🆔:d897jUrM


#304 [亜夢]
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あたしが龍紀を信じればこんなことにはならなかった。 あたしが、裕也の優しさに甘えたから、こんなことになったんだ…

「―…」

あたしは何も言えなかった。

裕也との今までの関係が音をたてて崩れていった。

あたしを想ってしてくれたことかもしれない。 でも、あたしのことを考えずに自分の気持ちを優先したんだ、裕也は―…

あたしは何も言わず店に戻った。

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⏰:10/06/21 23:59 📱:F02B 🆔:d897jUrM


#305 [亜夢]
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休憩時間なんて一瞬で終わったように思えた。 龍紀が隣のブースで撮影しているとおもうと胸がバクバクいった。

外をちらっとみると裕也の後ろ姿が見える。 あと数時間あるのに、待ってるつもりなんだろう。

「お疲れさまです―…じゃあ髪の毛お願いします。」

担当がたまたまあたしがアシストしてる人だった。

「お願いします。」

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⏰:10/06/22 00:02 📱:F02B 🆔:y0EXPsFg


#306 [亜夢]
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龍紀があたしの目の前でセットされている―…

視線はあたし、携帯の行き来をしてた。

あたしは赤の他人なんかじゃない。 龍紀は初めての恋人…すべて一緒にしてきた。

異性とのはじめての…

嬉しい気持ち、楽しい気持ち、もどかしい気持ち、切ない気持ち、恥ずかしい気持ち、いやな気持ち、不安な気持ち…

たくさん、たくさん…

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⏰:10/06/22 02:41 📱:F02B 🆔:y0EXPsFg


#307 [亜夢]
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「こないだ雑誌読みましたよー皐月さん。」

担当の西川さんが【響皐月】に声をかける。 それはどうも、と愛想笑いする龍紀。

「なんか…恋愛のおはなし…切なくなりました。」

「ああ…お客さんにはうまいこと話作ったね、て言われたけどね…」

くすくす笑って龍紀が言った。

「私も正直…作り話かと思いましたけど…あたしが過去にあった体験と似てたので。」

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⏰:10/06/22 02:45 📱:F02B 🆔:y0EXPsFg


#308 [亜夢]
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「そのときの彼氏が置き手紙して、さよなら…とだけと、鍵がテーブルの上にあったこと…今でも忘れられないです……」

西川さんが苦笑いをして言った。

それ…あたし?

「俺は1ヶ月くらい…なにも喉に通らなくて、やっと吹っ切れそうになって…過食症ですよ。 だから少し太りましたけど。」

でも…と龍紀が続ける。

「彼女が今おれを必要とするなら……すぐにでも連れさらいたい……」

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⏰:10/06/22 02:48 📱:F02B 🆔:y0EXPsFg


#309 [亜夢]
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「彼女にほかの男がいても?」

「…そのときに彼女が幸せなら、俺はなにもいいませんよ…」

切なそうにあたしを見て微笑んだ。

「あたしっ……」

「亜夢、いま幸せか?」

龍紀がそっと言う。

西川さんは驚いた顔であたしを見る。 また【響皐月】をみて、え?て表情をつくる。

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⏰:10/06/22 02:51 📱:F02B 🆔:y0EXPsFg


#310 [亜夢]
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「……」

沈黙が広がる。

「今お前は裕也といて幸せなら…それでいいんだ。 たとえ、故意に俺たちの別れがあったとしても……おまえが、"今"幸せなら俺はいいんだよ。」

幸いほかのお客さんは店内にいなかった。

ただ、流れる音楽だけが耳にはいった。

外にみえる裕也の背中。

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⏰:10/06/22 02:54 📱:F02B 🆔:y0EXPsFg


#311 [亜夢]
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「あたしは―…」

裕也がいいの?

龍紀と戻りたいの?

ううん…違う。 あたしは裕也を龍紀の代わりにしてたの?

龍紀に会って、すぐに裕也への感情がなくなってしまったの?

「―…」

答えなんてすぐでなかった。

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⏰:10/06/22 02:55 📱:F02B 🆔:y0EXPsFg


#312 [亜夢]
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「俺は…一目惚れしてどうしようもなくて、ホストていう職業だからお前には相手にされないって思ってた。 でも違った。 俺のこと……まるごと愛してくれた。」

けど、と続ける。

「俺はお前が悩んでることに気づいてやれなかった。」

ごめん…頭をさげれないからか、龍紀は目を閉じてそうあたしに伝えた。

西川さんはただただビックリしてて、ただただ仕事に集中してた。

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⏰:10/06/22 02:58 📱:F02B 🆔:y0EXPsFg


#313 [亜夢]
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「ごめん…あたし、わかんない。 龍紀のことで悩んでるときに裕也があたしの支えだった。 けど…裕也があたしに心配にさせるようなことをしてたんなら……」

あたしの頭の中は何年も掃除されてない倉庫みたいになってた。

「わかんない……」

幸せか、幸せじゃないか。

分からないはずなんてないのに、あたしははぐらかしてしまった。

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⏰:10/06/22 03:01 📱:F02B 🆔:y0EXPsFg


#314 [亜夢]
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撮影が終わり、あたしも片づけをすれば帰れるというときだった。 ガラス越しに裕也と龍紀の姿が見えた。

もしかして―…

あたしは素早く片づけをしてタイムカードをきると、たばこを吸うふたりが何も喋らず立ってこちらに目を向ける。

どっちか…選べってこと?



できないよ―…

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⏰:10/06/22 03:03 📱:F02B 🆔:y0EXPsFg


#315 [亜夢]
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裕也は…

龍紀からあたしを奪い取るくらい、自分のものにしたくて、ってことはあたしのことが凄く好きで…


でも


龍紀は…

あたしに無理強いしない。 でも想いはずっと強くて、すべてあたし優先で考えてくれてる… あたしが幸せなら、いいと。

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⏰:10/06/22 03:08 📱:F02B 🆔:y0EXPsFg


#316 [亜夢]
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あたしは…













…の手をとった。

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⏰:10/06/22 03:09 📱:F02B 🆔:y0EXPsFg


#317 [亜夢]
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「いいのか?」

後ろを振り返りながら彼は言った。

あたしは首を縦に振る。

やっぱり…あたしの手はこの手にフィットする。

彼があたしを求める。

同時にあたしも彼を倍求める…

手をつないでるだけでも幸せ。

…なら、いいんだよね?龍紀。

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⏰:10/06/22 03:11 📱:F02B 🆔:y0EXPsFg


#318 [亜夢]
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龍紀はあたしがほかの誰かと幸せになったらほんとに幸せなの?

ねえ……

「お前は俺のもんじゃないとだめだっ…」

ぎゅうっと抱きしめる。

ねえ、裕也……
あたしはあなたの手に簡単に落ちてお互い恋をしたのかな?

それとも…あたしは、ただ龍紀の想いを断ち切るため?

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⏰:10/06/22 03:13 📱:F02B 🆔:y0EXPsFg


#319 [亜夢]
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あたしは

…龍紀の手を取った。




裕也があたし達にした行為が許せなかったとかではない。

ただ…

あたしは龍紀と居たかった。

あたしを一番に考えてくれる龍紀と…

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⏰:10/06/22 03:16 📱:F02B 🆔:y0EXPsFg


#320 [亜夢]
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まるでこの1年は…嵐のようだった。

龍紀との出会いから恋愛…不安と嫉妬…裕也からのアプローチに、よりかかってしまったあたし、…付き合って穴を埋めようとして…時間が経って…嘘が事実になる。

どちらとも居れる可能性があった今、あたしは龍紀といる。

「お、亜夢みてみて!!!」

旅行のパンフレットをみてはしゃぐ龍紀の肩のうえにあごを乗せてあたしはのぞき込む。

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⏰:10/06/22 03:19 📱:F02B 🆔:y0EXPsFg


#321 [亜夢]
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「わっ…」

屋久島の写真。

「すごくない?実はさ…今度店で慰安旅行があるんだけど、俺行く予定ないから…亜夢とどっかいこっかな〜と想ってさ☆」

わあい♪あたしは両手を挙げて喜ぶと龍紀は子供みたいに無邪気に笑う。

「それに…亜夢の誕生日じゃん?」

はじめて一緒に過ごせるの誕生日。

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⏰:10/06/22 03:22 📱:F02B 🆔:y0EXPsFg


#322 [亜夢]
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ふたりでソファに寝転がってあ―だこ―だいいながら旅行だったり他愛もない話をする。

たまにキスしたり、たまにふざけて龍紀が胸をさわったり、じゃれ合う…ただ、それだけで幸せ。

「あ……」

龍紀がなにかを思い出したように言った。

「ん?どしたの?」

いや、とTVをまじまじと見始める龍紀。

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⏰:10/06/22 03:26 📱:F02B 🆔:y0EXPsFg


#323 [亜夢]
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あたしは特に気にしなかった。

そのとき龍紀がなにを思い出したかも……

まさか、過去のあったことをまた、振り返るなんて…今しあわせ絶頂期のあたしには思いがけないことだったから―…

***

あいつの兄弟―…

俺は初めて会うんだっけ?

***

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⏰:10/06/22 03:29 📱:F02B 🆔:y0EXPsFg


#324 [亜夢]
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こないだの更新から読みたいひとは
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⏰:10/06/22 03:32 📱:F02B 🆔:y0EXPsFg


#325 [亜夢]
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「あ.....」

俺は思った。

もうすぐマナブの命日だった。

あっという間に時間が過ぎる。

俺はもう22歳の年になってた。

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⏰:10/06/22 06:53 📱:PC 🆔:vp.J4.Ao


#326 [亜夢pc]
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マナブの命日には勿論、亜夢も連れていく予定だった。

もう華も普通に生活出来ているくらいだし、ひさびさにマナブに会いにいくんじゃないだろうか。

マナブという名の親友がいなくなって7年もの時間が経ってしまっていた。

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⏰:10/06/22 06:56 📱:PC 🆔:vp.J4.Ao


#327 [亜夢pc]
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ひさびさに華に連絡をする。

<もうすぐマナブの命日だけど、あの坂...行くのか?>

勿論華にとってマナブの命日はいい日ではない。 あの日に彼女は4年もの眠りにつくことになってしまったんだから...

返事はすぐには返ってこなかった。

<彼女つれていくの?>

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⏰:10/06/22 06:59 📱:PC 🆔:vp.J4.Ao


#328 [亜夢pc]
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俺は何にも戸惑うことなく、「うん」と返事をした。 すると次はすぐに返事がかえってきた。

<じゃあ行きたくない...>

やっぱり百合香が言ってた通りで華は多分俺に未練がある。 自分が命を落としかけた日に、大事な俺たちの思い出に、彼女を連れてくる意味が華には理解できないんだろう。

俺はマナブっていう大事な連れにはすぐに亜夢のことは紹介したかった。

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⏰:10/06/22 07:01 📱:PC 🆔:vp.J4.Ao


#329 [亜夢pc]
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「今週末、俺実家かえるけど....」

俺は伺うようにして亜夢に問いかける。

「うん?分かったよ〜。」

"一緒に行く"とか可愛らしく言ってくれれば誘いやすいのに〜と思いながら、すねた顔をする龍紀。

「誘ってくれればいいじゃん。」

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⏰:10/06/22 07:03 📱:PC 🆔:vp.J4.Ao


#330 [亜夢pc]
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思わず笑う亜夢。 つられて龍紀も苦笑いしながら"一緒に帰る?"と聞く。

「龍紀ってたまに、甘えん坊だよね。 いつもオラオラ言うくせにい〜.....」

「エッチのときはね☆」

にかっと満面の笑みを見せる龍紀。 いまだに電気をつけてなんてとてもじゃないけど出来ないあたしにとっては、本当に恥ずかしいのが下ねたとかそっち系だ。

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⏰:10/06/22 07:04 📱:PC 🆔:vp.J4.Ao


#331 [亜夢pc]
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「実はさ...マナブの命日だから実家かえろうかなって。 まあ親父達にも紹介したいし、せっかくだからお前も俺と一緒に親友の墓参りきてくんない?...天国にいったやつだけど、紹介してやりたいからさ。」

会わせて欲しい、と正直に思えた。

しかも龍紀のご両親は初対面だから正直緊張する。

「俺の学生時代のときの、思い出の場所とかいろいろみにいこー?」

うん、と元気よく返事する。

思い出の地は、誰かにとっては思い出したくない地にもなるってことを、そのとき龍紀はさほど、気にしてはなかった。

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⏰:10/06/22 07:07 📱:PC 🆔:vp.J4.Ao


#332 [亜夢pc]
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時間が経ち、週末になった。

夏前の少しじめじめした季節だ。

あたしは龍紀の助手席に乗り込むとペットボトルを片手に元気よく『しゅっぱーつ!』と大声をあげる。

休みを取った龍紀とは2日ゆっくりできるってわけだ。

数時間運転しては休憩所にとまったりして、ふたりで遠出するのは初めてだったから運転中でも凄く楽しかった。

「わーもうすぐ?もうすぐ着くの?」

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⏰:10/06/22 07:10 📱:PC 🆔:vp.J4.Ao


#333 [亜夢pc]
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道路標識の案内のところに書かれた龍紀の地元の名前。

そうしてる間に車は停まって、立派な家の前であたしは、あっけにとられたまま、鐘を鳴らして、誰かが出てくるのを待つ。

早速ご両親?

「龍紀☆ おかえり〜!入りなさいっ。 あら...あらま!彼女?ま〜かわいい〜」

龍紀そっくりで長身のお母さんがあたしを手招きしている。

うわああ、緊張する。///

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⏰:10/06/22 07:12 📱:PC 🆔:vp.J4.Ao


#334 [亜夢pc]
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ご両親は沢山の手料理をテーブルにずらあっと並べるとあたしと龍紀を隣同士にして、ご飯を食べながらお喋りしましょう、となった。

龍紀がコソコソ、と耳元で言う。

「俺の親、こうして食べるときに上品かとか、出来てるかとか見るから、気をつけろよ。」

苦笑いして親指をたてると『頑張って』と口パクで言う龍紀。 そんなんなら、来るまえにレッスンでも受けておくんだったよ〜〜

馬鹿龍紀!

でもちゃんと作法はお父さんとお母さんに教えてもらったからいけるはず♪

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⏰:10/06/22 07:14 📱:PC 🆔:vp.J4.Ao


#335 [亜夢pc]
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「へえ、龍紀の彼女にしては出来る女の子ね!びっくりだわ。」

にんまり微笑む御母さん。

お父さんは終止無言だし、あたし何を喋ったらいいの?

「明日こいつ連れてマナブに会いにいってくるよ。」

「あ、そういえば...マナブ君の双子の弟がこっちに帰ってきてるみたいなのよ。 顔も全然似てないみたいだけどね。 お墓参りで会うかもね。」

「忍ってやつだっけ?」

「そうそう。」

マナブさんには双子の弟さんがいたんだ...

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⏰:10/06/22 07:17 📱:PC 🆔:vp.J4.Ao


#336 [亜夢pc]
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その日の夜はご両親と龍紀とあたしで近くの銭湯になぜだか行った。

あたしの場合は家族で銭湯なんて入りにいったりしなかったので何故だか新鮮だったし、楽しみだった。

龍紀は何故だか銭湯がかなり好きみたいで、スキップしながらお父さんとじゃれあっている。

「うふふ、亜夢ちゃんのおかげかしらね。」

「え?」

「龍紀があんな風に子供みたいに、楽しそうにできるのは、亜夢ちゃんのおかげじゃないかなって。」

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⏰:10/06/22 07:19 📱:PC 🆔:vp.J4.Ao


#337 [亜夢pc]
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「あの子はマナブの死から、いやな思いをしたりしたからね...考え方が皆を見下すようになってしまって、一時期は自分の子供でも可愛くない、と思えたわ。 でも今は楽しそう。 毎日充実してるのかしら?」

嬉しそうにお母さんは微笑むと長い黒い髪の毛を束ねてタオルで包み込んだ。

「そうだと嬉しいです。 でもあたしは龍紀さんから、たくさん元気を貰ってます。」

「そう。」

嬉しそうに微笑むお母さん。

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⏰:10/06/22 07:21 📱:PC 🆔:vp.J4.Ao


#338 [亜夢pc]
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男同士もいろんな話をしたみたいで、さっきまで無口だったお父さんも何かとあたしに質問してくるようになった。

4人で家に戻っているときに龍紀が「あ...」とまた言葉をもらす。

「あら、華ちゃんじゃない。」

お母さんが気づいて玄関に近寄っていく。

ひさびさにみる華さんは何だか少し痩せた気がした。

「ご無沙汰してます。 皆さんで銭湯いってらしたんですね。 ごめんなさい、お邪魔してしまって。 久しぶりにお母さん達にご挨拶しようとおもって...」

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⏰:10/06/22 07:24 📱:PC 🆔:vp.J4.Ao


#339 [亜夢pc]
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4年ぶりに目覚めてから龍紀の両親には会ってなかったようだ。

「今回のことで、龍紀にも大変迷惑をかけたので....」

なんだか変な雰囲気。

「全然迷惑じゃないよ。 俺、いまは全部貯金してるし。」

別に嫌味じゃないし、認めたくもないんだろう。
確かに愛し「た」けれど、もう愛し「てる」じゃなくなったってことをハッキリさせたかったみたい。 どうやら龍紀はね。

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⏰:10/06/22 07:25 📱:PC 🆔:vp.J4.Ao


#340 [亜夢pc]
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「龍紀、あしたマナブのとこにお墓参りいく?」

「当たり前だろ。」

「じゃあ待ち合わせしましょうよ。 亜夢ちゃんはいかないんでしょう?」

当たり前のように行かないことになってるあたし。 なんだか華さんは、龍紀に未練たらたらな気がする。

「亜夢は来るよ。 俺が紹介したいんだよ、マナブに。 だから無理矢理連れてかえってきた。」

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⏰:10/06/22 07:27 📱:PC 🆔:vp.J4.Ao


#341 [亜夢pc]
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そのあとは沈黙だった。

華さんは適当に龍紀の両親とお喋りして帰っていった。 そうか、近所なんだものね。

「なんか華が明日、墓の駐車場に13時に待ち合わせだって。 何で一緒に墓参りしたいんだろう。 わかんね〜。」

龍紀はつまんなさそうに手足をのばすと寝ようっていってあたしの腕を引っ張った。

こういう元気があるときは龍紀がエッチしたい日だ。

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⏰:10/06/22 07:29 📱:PC 🆔:vp.J4.Ao


#342 [亜夢pc]
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「亜夢......」

龍紀の部屋はちゃあんと残ってある。

ベッドも机もそのまんま。

それに帰ってくるって連絡を受けてたからか、お布団にはいい香りの芳香剤がいっぱい鼻にはいってくる。

「あっ...たっつ...」

実家でまで愛し合うなんてどうかしてる。///

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⏰:10/06/22 07:30 📱:PC 🆔:vp.J4.Ao


#343 [亜夢pc]
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翌日13時。

この墓参りが終わったから夕方と夜は龍紀の思い出の街巡りにつきあって、そのまま車でふたりの家に戻ってくる予定だ。

13時をすぎても華さんは来なかったので、ふたりで早速マナブさんのお墓にむかった。

ばけつには水、花芝を持って、お墓を綺麗に掃除すると、夏前だからといって水をたくさんかけてあげた。 ふたりでお線香をあげて、しっかり手をあわした。

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⏰:10/06/22 07:32 📱:PC 🆔:vp.J4.Ao


#344 [亜夢pc]
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「兄さんはお前のことなんて、もう親友とも思ってないはずだよ。」

と後ろから声が聞こえた。

マナブさんの双子の弟?

隣をみると龍紀がびっくりした顔でそのひとを見つめてる。 あたしには誰だか分からない。

「まさかだろ?俺もびっくりしましたよ。 まさか俺の兄貴の親友があんただったなんてね...うちの店のナンバーワン【響皐月】さん。」

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⏰:10/06/22 07:34 📱:PC 🆔:vp.J4.Ao


#345 [亜夢pc]
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***

マナブの双子の弟{忍}は

俺の店で一番俺を嫌っているあの男だった。

俺の太客を利用して爆弾して、関係を切れさせたりするような男。

こないだの裕也が起こした事件にもかかわっている男。

朝日だ。

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⏰:10/06/22 07:35 📱:PC 🆔:vp.J4.Ao


#346 [亜夢pc]
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朝日が俺の目の前で「兄貴」やら「兄さん」やら白々しく呼んでることさえ、血縁者じゃない俺にはイラっとさせた。

「お前なんか...マナブが死ぬときにも駆けつけなかったくせに...」

「そのときはそれより大事なことをしてたんですよ。【響皐月】さん。」

彼の後ろからひょこっと顔をだしたのは華さん。

もしかして、これを知って華さんは待ち合わせしようとか言ってたんじゃ...?

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⏰:10/06/22 07:37 📱:PC 🆔:vp.J4.Ao


#347 [亜夢pc]
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「あんたって酷いよね。 あの日...兄貴が何しにバイクを走らせたか、黙ってるんだろう?で、華さんと付き合った。 マナブが聞いたらどう思う?」

そうだ。

言わないほうがいいと勝手に判断した秘密。

それはマナブが15のとき亡くなった日...バイク運転してたのは、華に告白しにいくためだった。

でも俺は、それを華に言ってしまうと酷く傷つく、と思って心の箱のなかに閉まっておいたのだ。

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⏰:10/06/22 07:39 📱:PC 🆔:vp.J4.Ao


#348 [亜夢pc]
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「俺の口からはマナブの想いを伝えることができない。 だからこそ、今のいままで黙ってきた...」

「違うだろ。 あんたは華さんのことを独り占めしたかったんだ。」

「マナブを殺してまで俺は華を自分のものにしたかったって意味か?頭大丈夫かお前!」

死ぬ間際にも来なかった弟。

俺の幸せをぶち怖そうと必死な男。

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⏰:10/06/22 07:40 📱:PC 🆔:vp.J4.Ao


#349 [亜夢pc]
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「俺は絶対に許さない。 兄貴が死んで華さんと付き合ったのに事故にあって目が覚めたからってさよなら、するような男...俺は絶対に許さない!」

***

あたしには状況がよく把握できなかった。

過去の話は聞いたけど、誰が誰なんてわからない。

ただ、分かることは、マナブさんの弟が龍紀を恨んでいること、それから華さんはあたしが憎くてたまらないこと。

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⏰:10/06/22 07:42 📱:PC 🆔:vp.J4.Ao


#350 [亜夢]
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安価
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>>251-300

パソコンのほうが更新はやいですね
活用していきます

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⏰:10/06/22 07:45 📱:F02B 🆔:y0EXPsFg


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