*- エロチュウ -*
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#401 [亜夢]
:10/07/20 02:28
:F02B
:xPuQ7aqs
#402 [亜夢]
-
なんで運命はこうもふたりを引き寄せるんだろう?
「亜夢だろっ…?」
あたしの右手をぎゅっと握りしめて言う。
そんな切なそうな声であたしの名前を呼ばないで…あたしは汚れた蝶になった。 人をだます夜の世界にとけ込んだ蝶になった。
「………」
「…あのときはごめん…」
龍紀が深々と頭をさげていった。
-
:10/07/20 04:34
:F02B
:xPuQ7aqs
#403 [亜夢]
-
「…もう大丈夫。 綺麗さっぱり忘れちゃってたから。 …元気そうでよかった。 じゃあね。」
あたしは右手をふりほどいてエレベーターのボタンを押した。
「だめ…帰らせない。」
「営業で色かけるならほかでやってほしいんですけど。 あたし、家で待ってる彼氏いるから、じゃあ…っ」
開かれるエレベーターのドアが閉めかけたくらいに手に名刺。
はじめてあった時のような感覚…
-
:10/07/20 04:37
:F02B
:xPuQ7aqs
#404 [亜夢]
-
あたしが受け取らずに1階におりると、階段で降りてきたのか息を切らした龍紀がそこにいた。
「…ほかに男いてもいい。 からっ…」
あたしに男なんていなかった。 あれからデートはいっても、一緒になる男なんていなかった。 龍紀よりいい、と思える男に3年間あえなかった。
「あのときあたしを捨てといて―…都合いいね。」
あたしは背中をむけて右手をあげるとタクシーを拾った。
-
:10/07/20 04:40
:F02B
:xPuQ7aqs
#405 [亜夢]
-
「俺にもうチャンスはない…?」
亡くなったマナブくんのため、天涯孤独でいると断言した龍紀が、なんでこんなに必死にあたしを呼び止めるの?
「―…あのさ、本気ならいつでもオトしにきてよ。 …はい。」
あたしは逆に自分の名刺を龍紀にあげた。
「…お前、キャバクラで働いてるのか?」
「…龍紀の商売がどんなものか気になって…正直、天職だとおもってるよ。 じゃ。」
-
:10/07/20 04:43
:F02B
:xPuQ7aqs
#406 [亜夢]
-
高いピンヒールを脱ぎ捨ててまず手を洗ってうがいをする。
たくさん付けたアクセサリーを全部はずすと、髪の毛についてるピンを一本一本丁寧にぬいては、いつものケースにちゃんと保管する。
化粧を落としてちゃんとお肌の保湿をしてあげてから、あたしは鞄の整理をした。
朝の5時だ。
「はあ……」
すると外ポケットにはいってあったのは【響皐月】の名刺。
-
:10/07/20 04:46
:F02B
:xPuQ7aqs
#407 [亜夢]
-
【club LAURA 代表取締役 響皐月】と堂々とかかれた名刺。
あたしはパソコンを開いて検索をするとどんどん出てくる彼についての情報。
最近龍紀は独立してホストクラブをオープンしたようだ。 まだスタッフも数がしれているが、代表取締役がなんせ売り上げも組数も半端ないため、なかなか商売繁盛しているらしい。
「…掲示板?」
あたしは《★club LAURA響皐月★》とかかれた掲示板を発見する。 いろいろかかれているなか、気になる記事を発見する。
-
:10/07/20 04:51
:F02B
:xPuQ7aqs
#408 [亜夢]
-
掲示板には様々なことがかかれてた。
〔皐月って絶対枕してくんない!!!! 誰かされたことある?〕
〔してくれないから逆に燃える笑 てかあたしは昔の彼女が…て話を聞いたけど。〕
〔前の店のときの彼女?〕
〔あの長髪でモデル体型のひと?〕
〔店に呼んでない本彼いるって聞いた。〕
〔車一緒に降りるとこみた!!!〕
〔でもそれ数年前じゃない???〕
-
:10/07/20 05:20
:F02B
:xPuQ7aqs
#409 [亜夢]
-
〔最近女と帰るとこみない。〕
〔あたし帰ったよ

〕
〔↑潰し乙〕
〔てかどんだけ通っても寝てくれないで有名だね、このひと。〕
〔彼女いるのかな?〕
〔今引っ越して小さな部屋と犬1匹でくらしてるらしい

写メみた

〕
〔あむちゃん★といぷーだよねっ〕
〔元カノなにしてるひとなの?〕
-
:10/07/20 05:23
:F02B
:xPuQ7aqs
#410 [亜夢]
-
〔皐月が一回長期間休んだときなにかあったのかな?〕
〔てか地元の友達が皐月の元カノ知ってるかもって!!!〕
〔知りたい

〕
〔あたしも知りたい

〕
〔枕してくれないかな…〕
〔長期間休んだときは実家でいろいろあったらしいよ。 噂だとそのときに彼女と分かれたらしい。〕
-
:10/07/20 05:26
:F02B
:xPuQ7aqs
#411 [亜夢]
-
恐ろしいくらい詳しくかかれた掲示板の内容に鳥肌がたった。
でもあたしの名前…犬につけてたなんて、うれしすぎて泣きそうだった。
今すぐ彼の胸の内に飛び込めるなら、すぐにでもそうしたかった。
あたしは枕に顔をうずめて眠りにつく。
「あ〜…やっば!!!!」
あたしは化粧道具と着替えを簡単にまとめると元職場であるセットサロンへ向かう。
-
:10/07/20 05:28
:F02B
:xPuQ7aqs
#412 [亜夢]
-
「亜夢ちゃんお早う!!!」
おはようございます、とあたしがアシストしてた担当に声をかける。
髪型はいつもおまかせする。 ただ、今日のドレスがどんなものかだけ伝えて、あとは担当の好きなようにやってもらう。
「…あ〜…遅刻するとこだったあ…」
あたしは辞めてからも毎日ここにセットしに来る。
「今日同伴ないの?」
「はい、明日になっちゃって…」
-
:10/07/20 05:31
:F02B
:xPuQ7aqs
#413 [亜夢]
-
PPP…
知らない番号から鳴る。 あたしは思わず営業の声でもしもし、と出る。
「亜夢、いまどこ?同伴するから待ち合わせしよ。」
なぜか声が近くに聞こえる。
「今セットしてる…」
「あれ…」
ぱっと鏡越しにうつったのは龍紀だった。
-
:10/07/20 05:33
:F02B
:xPuQ7aqs
#414 [亜夢]
-
担当もびっくりして
「あれっ…ふたりってつきあってたんじゃなかったっけ…?」
と困惑しながらもコソコソとあたしに耳打ちする。
「同伴しよ。」
「やだ。 出勤ふつうにする。 外で会いたくないもん。」
「亜夢…店以外じゃないと真面目な話できないだろ。 俺1回もおまえ店によんでないじゃん。」
-
:10/07/20 05:35
:F02B
:xPuQ7aqs
#415 [亜夢]
-
じゃあもういい、と目を反らすあたしをみて龍紀は笑って言った。
「強がりやめよーよ。 おまえ興味ない人間とはしゃべらないだろ。 …俺のこと試してるだろ?な?」
龍紀はハアとため息をついていった。
「今日はとりあえず同伴するから時間頂戴。」
龍紀は隣のセット面に座ると自分もセットしてもらいはじめた。
あたしは支配人に電話して同伴の報告をすると残りの化粧に集中した。
-
:10/07/20 05:39
:F02B
:xPuQ7aqs
#416 [亜夢]
-
ふたり同時にセットが終わると龍紀はすぐに支払いをあたしと自分のぶんをして外に出た。
たばこを吸ってるんだろう。
「より戻したら報告してね★」
楽しそうにほほえむ担当。 …でも確かにあたしは強がりで、ただ相手にしてもらいたいけど素直に言えないだけだ。
水商売をしてから見栄を張るようになった。 そのせいかなあ?
あたしは化粧を終えると龍紀の待つ外へ出る。
-
:10/07/20 05:41
:F02B
:xPuQ7aqs
#417 [亜夢]
-
…わかってる。
あたしは龍紀とすぐにでもよりを戻したいことくらい分かってる。
なにが真実で嘘で偽善なのかなんて本人以外分からない。
作ってるなら真相を知らないほうが幸せ。
だまされてるなら夢見てたほうが幸せ。
でもあたしは期待してしまう。
やっぱり龍紀はあたしのもので、あたしは龍紀のものなのかもって…何があろうと思ってしまう。
-
:10/07/24 06:27
:F02B
:6a11yNQE
#418 [亜夢]
-
「亜夢っ…」
うれしそうに微笑むと龍紀はあたしの腕を引っ張った。
「グラサンでもすれば?お客さんにバレたらやばいでしょ。 だって…代表取締役なんだし…」
あたしは振り解こうとしても後ろ姿の龍紀は振り返りもしなかった。
近くに停めてあった車をピピッと遠隔操作であけると懐かしい車…
「のって?」
-
:10/07/24 06:29
:F02B
:6a11yNQE
#419 [亜夢]
-
しばらくするとあのマンションの前にいた。 龍紀と一緒に過ごしてたあのマンション。
「…何のつもり?」
あたしは背中を向けようとする。
「見せたいものがあるんだ!!!!」
子供みたいに無邪気に笑う龍紀が誘惑してるようには思えなかった。
そうだった。
このひとはあたしの前では【響皐月】なんかじゃないんだ。
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:10/07/24 06:31
:F02B
:6a11yNQE
#420 [亜夢]
-
カチャ―…
玄関が彼の背中越しにみえる。 またあのマットでスリッパ置いてある。
壁にあった写真もデコレーションもそのまま。
「あむ〜〜〜」
甘えたような声で言う龍紀にびっくりして彼の手元をみると…トイプードル!!!!
「か〜わあい〜♪」
大の犬好きのあたしのそのまま家にあがってずっとあむと遊んでた。
-
:10/07/24 06:34
:F02B
:6a11yNQE
#421 [亜夢]
-
「俺ってきもい?」
という龍紀の声にあたしはやっとあむから目を離した。 は?と言う顔を作ると
「亜夢の名前からとって……未練たらたらだろ?」
と言った。
普通は気持ち悪いとか気色悪いらしいけどあたしにとってはとても愛らしいことに思えた。
首を横に振る。
ちがう、うれしいよって。
-
:10/07/24 06:36
:F02B
:6a11yNQE
#422 [亜夢]
-
…て言いたかったのに、言えない。
「亜夢がいなくなってから……ひとりになると寂しくてさ。 犬が彼女みたいな。 笑えるだろ。」
苦笑いして肩を落とす龍紀。
「…俺って勝手だよな…、おまえを切り離したのにまた戻りたいなんて都合いいこと…」
ハアとため息をつく。
「〜…また一緒にいたい…」
目をあわせずに龍紀は言った。
-
:10/07/26 20:47
:F02B
:7L5GNZDA
#423 [亜夢]
-
あたしは考えた。
…どうすれば幸せになれる?
あたし達は一度別れた。 あたしは幼なじみによりかかって彼らの策略になんて気づきもしなかった。
真相がわかった後に手をとったのは長年いっしょにいた裕也じゃなく龍紀だった。
やり直せると思った矢先に掘り返された過去の誰かの想い。
責任がとれない…意味のわからない状況から龍紀はやっぱりあたしが必要といってくれてる。
3度目の正直なのかな。
-
:10/08/02 07:21
:F02B
:UJTKjLQY
#424 [亜夢]
-
トイプードルのあむがあたしをきらきらした目でみてくる。
そうだった。
最初から龍紀はホストの響皐月でも、過去に縛られた龍紀でもなかった。
あたしの龍紀だった。
「――うん、やり直そう…龍紀。」
あたしはあむの頭をなでながら言った。 久しぶりにふれあう唇。
そのまま一緒に同伴で店にきたけど、あたしはいろんなことを想像した。 また龍紀との生活が始まるんだ、と想って…
-
:10/08/02 07:25
:F02B
:UJTKjLQY
#425 [亜夢]
:10/08/02 07:28
:F02B
:UJTKjLQY
#426 [亜夢]
-
龍紀が同伴してくれて数時間して、彼は自分の仕事に向かうためチェックしてかえっていった。
ロッカールームにいって休憩しようといすに腰かけた瞬間だった。
まゆらと、もうひとり女の子があたしに詰めかける。
「ねねっ…さっきのって【響皐月】だよねっ?」
まゆらは若干興奮気味。 もうひとりの子は腕をくんであたしをにらみつけてる。
……さてはお客さんか。
-
:10/08/02 07:34
:F02B
:UJTKjLQY
#427 [亜夢]
-
「そうそう、あたしの元彼と仲良しだったんだ…彼。 たまたまセットサロンで会って同伴してやるよーって…完全に営業されてる気になっちゃったよー。」
あたしはアハハと笑った。
もちろんそれをはなしながら右手で携帯をカチカチ動かしてつじつまが合うように龍紀にメールをする。
「だって…かおりちゃん♪よかったね、被ってなくて。 てゆうか、むしろ協力してもらったらいいじゃん♪」
つんつんした女の子はあたしに近寄ってくる。
-
:10/08/02 07:37
:F02B
:UJTKjLQY
#428 [亜夢]
-
「あたしっ…さあにゃんのこと大好きなんだけど…色も枕もかけてくれなくて…どんなひとがタイプなのかな…」
さあにゃん、て皐月ににゃんを付けたからか。 あたしはかなり違和感をかんじながら彼女の話を親身にきいた。
「あたし大好きだった彼氏まで、どうでもよくなるくらい…さあにゃんが好きで…」
さあにゃん?
あれ?
…………
-
:10/08/02 07:41
:F02B
:UJTKjLQY
#429 [亜夢]
-
浮かび上がるのは……
夏川力!!!!
彼女の名前は佳織。 お互い大好きだったのに水商売をはじめた彼女がはまったのはホストだった。

をみれば、さあにゃんというホストに対するラブメールでいっぱい…
さあにゃん=響皐月?
-
:10/08/02 07:44
:F02B
:UJTKjLQY
#430 [亜夢]
-
まさか…
龍紀の呼び名がさあにゃんってお客さんのなかではなってるかもだし、第一佳織ってなまえは源氏名じゃなくて本名だし。
まさかね。
「さあにゃんに付き合ってる女がいるようならあたしに報告してね♪あたし…その女マジで殺しちゃうっ♪」
「…怖あ〜!!!! かおりちゃん冗談きついよう。」
まゆらが笑いながら言う。 この女があたしの言ったこと信じてくれるひとでよかった。
-
:10/08/02 07:51
:F02B
:UJTKjLQY
#431 [亜夢]
-
「さあにゃん♪今さっき夢ちゃんと同伴してたでしょ〜…かおにゃんも同じ店なんだぞっ!!! …うん、うん。 今度同伴してね?」
かおりちゃんは早速【響皐月】に電話してる様子だ。
「えっ…お金ないよ…店いけない…」
少し声のトーンが低くなる。
「…店いかないと会ってくれないんだあ…」
龍紀はたぶん《そうだよ》と言ったんだろう。 龍紀は絶対に優しくしない。 お金を使わない客は要らないだけだと言っていた。
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:10/08/02 07:54
:F02B
:UJTKjLQY
#432 [亜夢]
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「かおり…風俗いこうかなあ…」
電話越しにグチをこぼすかおりちゃん。
こういう気をひかせるような言葉には龍紀でなく【響皐月】は普通に答える。 《そう想うならいけばいいんじゃね?》と。
「さあにゃん…そんなこと言うんだ!!!! 大嫌いっ!!!」
ぶちっと切った電話。
うるうると涙をためて今にも泣き出しそうな彼女。
-
:10/08/02 07:57
:F02B
:UJTKjLQY
#433 [亜夢]
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「さあにゃんに…あたし必要とされてないの分かる。 けど…必要とされたい。 それが金のためにあたしが必要ならそれはそれでいい…」
かおりちゃんを少しかわいそうに思えた。
女の子は好きになったらなかなか抜け出せない子達ばかりだ。
水商売をしてる子には愛情に飢えてる子だって多いのだ。
「どうしたら振り向いてくれるかな…」
かおりちゃんは週6でフルに働いてるらしい。 店に行くのは週4以上。 ほぼ働いた給料すべて龍紀に使ってるみたいだ。
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:10/08/02 08:01
:F02B
:UJTKjLQY
#434 [亜夢]
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〔てか今日エンジェルズに女と入ってったけど誰あの女?〕
〔新人の夢って女。〕
〔なんでその女の店に同伴なわけ?〕
〔イロカノ?〕
〔あの子ホストいかないよ。〕
〔本カノ????〕
帰宅して龍紀の掲示板をみると炎上してた。 あたしと龍紀のこと何件もかいてあった。
-
:10/08/02 08:04
:F02B
:UJTKjLQY
#435 [亜夢]
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〔どんな子?かわいいの?〕
〔普通。 スタイルはいいけどちび。〕
〔まあ可愛いんじゃね?〕
〔えーーー…たっちゃんがキャバクラに同伴してくれるとかうらやましい…〕
〔しかもシャンパン卸してた。〕
〔詳しく情報くれ。〕
〔その子サイトに顔のってる???〕
〔ぶす。〕
〔↑ひがみ乙。〕
-
:10/08/02 08:07
:F02B
:UJTKjLQY
#436 [亜夢]
-
翌日から見知らぬ女の子に話しかけられたり、かおりちゃんには龍紀について根ほり葉ほり聞かれた。
確かにあたし達はまた復縁できた。
けど心配なのはお互いの営業に支障がでるでないの問題だ。
第一、あたしは今の生活が気にいっている。 頑張ればがんばるほど稼げる業界だ。
そして龍紀はいまや新店club LAURAの代表取締役にまでのぼりつめていた。
恋愛より仕事…ならあたし達は成立できない、そんな気がした。
-
:10/08/04 01:45
:F02B
:kiYcjHnQ
#437 [亜夢]
-
「夢ちゃんホスクラ行くけど一緒にどう?」
「ごめんなさいっ…今日実家なんでお先に失礼します〜」
あたしは付き合いでもなるべくホストクラブにいくことを避けた。
もし龍紀の店なら、気まずいしまた変な噂を飛ぶからだ。
〔てかエンジェルズ夢について情報知ってる子書き込みして!!!〕
というスレまでたった。
あたし達にプライバシーなんてものはない。
-
:10/08/04 01:50
:F02B
:kiYcjHnQ
#438 [亜夢]
-
〔あんまり絡みないけどいい子だよっ〕
〔可愛いよね。 男より仕事て感じの子かなあ。〕
〔マイナスイメージないかも笑〕
〔皐月の彼女なの?〕
〔昔からの知り合いらしいけど〕
いろいろかかれてる掲示板。 リアルタイムでどんどん表示されてゆく。 ずうっと下を押し続けてたまたま離したところにかかれた文字をみてあたしはヒヤッとした。
〔あたし全部知ってるよ。 このふたりのことなら何でも。〕
-
:10/08/04 01:54
:F02B
:kiYcjHnQ
#439 [亜夢]
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ここ数日であたしは凄く悩むようになってまた痩せてしまった。 理想体重よりも下回っている。
「…もうバラしときゃいいじゃん…」
龍紀はあたしを後ろから抱きしめながら言った。 あたしたちはキャバ嬢とホストで恋に落ちたわけじゃない…
ただあたしのバーにきてたホストだってだけ。
なのに…
なんで神様はあたし達をこうもじゃまするの?
望まれない恋愛なの?
-
:10/08/04 19:08
:F02B
:kiYcjHnQ
#440 [亜夢]
-
今のあたしはあきらめそうになりながら細い橋をふらふらと体力もなく進んでる状態だった。
無気力で…毎日話にでるのはあたしと龍紀のことや、あたしより【響皐月】のこと。
疲れた。
「もうやだ…」
あたしは龍紀に何度も泣きついた。 夜の商売をしてるとこんなに追いつめられるんだ。 そして相手が龍紀だからよけいにも。
「ごめんな…俺がおまえとより戻りたいからって無駄なことしたから…こんなにおまえを追いつめて…」
-
:10/08/04 19:11
:F02B
:kiYcjHnQ
#441 [亜夢]
-
「後先考えずに…同伴なんかしてごめん…」
龍紀は優しくあたしの頭を何度もなでてくれた。
…好きでも一緒にいられないって…やっぱりあるのかもしれないなんて、何度も頭の片隅に寄せながらも出てくるのはそんな言葉ばかり。
「亜夢は仕事辞めたくないの?」
現状ではもう今回のせいで折れてしまいそうだった。
夜の世界から消えればあたしは何も言われなくなるとおもった。
-
:10/08/04 19:14
:F02B
:kiYcjHnQ
#442 [亜夢]
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でもあたしにもプライドがあった。
「………だもんっ」
龍紀はえっ?と聞き直すとあたしの口元に自分の耳を近づけた。
「負けないんだもん…」
関係ない。 水商売って擬似恋愛の場みたいな雰囲気はあるけど、あたしたちだって本当の恋愛はする。
関係ないよ!!!!
「…大丈夫。 噂は本当だけど、そんな噂あるんですねーって笑ってとばしちゃえばいい。」
うん、とあたし達は強く手を握った。
-
:10/08/04 19:17
:F02B
:kiYcjHnQ
#443 [亜夢]
-
〔あたし知ってるよ。〕
という掲示板の書き込みは…嘘か本当かはしらない。
でもいいよ。 バラしたきゃバラせばいい、あたし達の絆は何度もじゃまがはいってちぎれそうになりながらも、ちゃんと元通りに結ばれてるから…
「じゃある意味堂々とデートしてもいいんじゃね?」
「で掲示板にかかれるんでしょ。 あのふたりがどこどこで手つないで歩いてたとか。」
あたし達はほんとに笑って吹き飛ばしてた。
-
:10/08/04 19:22
:F02B
:kiYcjHnQ
#444 [亜夢]
-
気が楽になってからあたし達はふたりでAMUの散歩にいったり、
ふたりでパジャマを着て、近くのスーパーに買い物にいったり、
海をふたりで走り回って遊んだり、
いろんなカップルらしいことをした。
あたしをお客さんだとか色彼だって叩けばいい。 それはあたし達だけが知ってる秘密の関係。
しあわせなひととき―…
そんなひとときが大事…
-
:10/08/04 19:25
:F02B
:kiYcjHnQ
#445 [亜夢]
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「あ―…飲みすぎかなあ…気分悪いぃぃ…」
あたしはそんなに飲み過ぎた記憶もないのに気分悪さに何度もトイレに行った。
隣で寝てた龍紀もおきてきてあたしの背中を寝ぼけながらさすってくれた。
「…だいしょうぶぅ?」
目をこする龍紀。
「たぶん体調崩れてるんだとおもう…最近アフターも同伴もしまくってたから……今日休み取っててよかった。 ゆっくりするよ。」
うん、というと龍紀はベッドに戻った。
-
:10/08/04 19:28
:F02B
:kiYcjHnQ
#446 [亜夢]
:10/08/04 19:35
:F02B
:kiYcjHnQ
#447 [亜夢]
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勿論体調が悪いからといって出勤しないはずがなかった。
お客さんと同伴して出勤してまたアフター…友達との付き合いもあったりと睡眠時間がどんどん減ってく。
「またかあ……」
あたしは最近生理が遅れることが何度もあった。 かなり不定期にくるために常時常備しておかなくてはならなかった。
「…病院いったほうがいいかな?」
ホルモンバランスを崩すのはよくない。 だからあたしは産婦人科に相談しにいくことにした。
-
:10/08/15 04:28
:F02B
:uWCWZ30.
#448 [亜夢]
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どうされましたか?と言う質問に最近の生活習慣などを答える。
と、突然台に股をひろげて座らされる。 まさか…あたしは思いながら目を伏せた。 異物がはいってくる感覚…からすぐに足をおろすようにいわれる。
恥ずかしすぎる格好は今でも忘れられない。
先生はグローブをはずして席つくとあたしにも座るように伝えた。
「…そうですね…」
-
:10/08/15 04:34
:F02B
:uWCWZ30.
#449 [亜夢]
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「おめでとうございます。」
あたしの中でその言葉が木霊する。
「えっ……」
「3か月ですね。 だいぶ育ってます…エコーでみますか?」
あたし【妊娠】してるの?…
「あ……はい…」
無意識のまま仰向けに寝ころぶと画面になにかがうつる。 白黒のもやもや……赤ちゃん?
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:10/08/15 04:37
:F02B
:uWCWZ30.
#450 [亜夢]
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先生が説明してくれることはすべて右から左だった。 あたし龍紀との子供を妊娠してるんだと思うと、おなかをすごく大事に思えたし、重く感じた。
あたしは診察室をでて病院のひとたちに頭をさげるとそのまま家にかえった。
ベッドで横になってる龍紀の髪の毛をそっとさわる。
「あ……亜夢?…」
やんわりと微笑む彼の笑顔。 あたしのなかでは龍紀がくれる答えなんて予想できてた。
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:10/08/15 04:40
:F02B
:uWCWZ30.
#451 [亜夢]
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「龍紀……あたしねっ…」
電話が鳴ってる。 寝ぼけながらも龍紀は電話をとった。 相手はお客さんだろう……
結婚とか子供とかそんな話をしてるみたい。
「俺いまなんかガキいらねえよ。」
邪魔なだけだろ?と龍紀は言った。
「大体新店あけてすぐに結婚とか洒落になんないじゃん…」
龍紀のことば…だよね?
-
:10/08/15 04:42
:F02B
:uWCWZ30.
#452 [亜夢]
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電話が終わった頃にはあたしの心は折れかけてた。
さっきのは龍紀じゃない…【響皐月】のことばなんだから信じるな、と。
「あ、あのさ……」
あたしは龍紀の服の裾を持ちながら言う。
正直怖い…
「あたし妊娠してるみたい……」
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:10/08/15 04:44
:F02B
:uWCWZ30.
#453 [亜夢]
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さっきの響皐月の言葉を無視してあたしは言った。 喜んでくれるとか無理っていわれるとか、そんな難しいこと考えてなかった。
ただ事実を伝えたくて……
「まじで…?」
龍紀の顔が一瞬曇ったのをすぐあたしは悟った。
嬉しくないんだ…………
「ほんとに妊娠してるのか?」
あたしは深くうなずく。
-
:10/08/31 17:38
:F02B
:hMRyFu0g
#454 [亜夢]
-
病院でもらった写真。 赤ちゃんの形がみえるもの。 あたしの、あたしたちの大事な結晶が目にみえてそこにある。
「これ……」
あたしはそれを突き出して彼にみせる。
「病院いってきたんだ………」
目をごしごし擦って重そうな体を起こすと手にもってしっかりと見た。
「まじだ………」
龍紀はマジ?とかしか口にしてくれなかったからあたしの心臓は張り裂けそうだった。
-
:10/08/31 18:10
:F02B
:hMRyFu0g
#455 [亜夢]
-
「で、どうする?」
龍紀は真剣なまなざしであたしを見た。
産むとか産まないとかの決断をあたしに求めてるってこと?
「…あたしは……」
「俺はなっ……男なら夢紀(ゆうき)にして女なら亜紀(あき)がいいなあ………」
ううん…といいながら眉間にしわを寄せて考えてる龍紀。
へ?
なまえのはなし?
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:10/08/31 18:14
:F02B
:hMRyFu0g
#456 [亜夢]
-
「産んでいいの?……」
あたしは目に涙をためながら言った。
「ばっ……なに泣いてんだよっ…」
龍紀は大きな体であたしをすっぽり胸元におさめた。
「当たり前じゃん。 俺はもっと早くてもよかったけどなっ。」
にこにこしながら龍紀があたしにちゅっとキスをする。
あたしはこのキスで龍紀の魔法にかかった。
あたしは龍紀がすき。。。
-
:10/08/31 18:35
:F02B
:hMRyFu0g
#457 [亜夢]
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時間は経った----
あたしはすぐに水商売をあがって龍紀の専業主婦状態になった。
毎日意外と暇ながらも楽しくて仕方なかった。
少し変なのは夕方におきて掃除や洗濯をしてご飯をつくると夜に出勤する彼を見送ってあたしは朝の営業終了の時間まで待った。
大きなおなかを撫でながら、いろんな音楽や英語のテープを子供に聞かせた。 あたしは太らないように気をつかいながらもやはりふっくらとしてきた。
そんなあたしを龍紀は可愛いっていうけど………
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:10/09/06 01:20
:F02B
:WXVz9/yo
#458 [亜夢]
-
実は、まだあたしたちは籍を入れてない。
龍紀がうちの父親に認められなかったからだ…
案外何も言われないと思いながらも、龍紀は黒髪にしてビシッとしたスーツを身にまとうと、正座であたしをくださいと頭を下げた。
お母さんは喜んで泣いてくれたけど、お父さんは龍紀の仕事のことで納得ができなかった。
ホストというものにやっぱり偏見を抱いてた。
あたしだって最初はそうだったもの……
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:10/09/06 01:23
:F02B
:WXVz9/yo
#459 [亜夢]
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龍紀と出会ったのはあのバーでのことだ。
トイレでイチャつくナンバー1の有名ホスト【響皐月】こそが龍紀だ。
渋いお酒を飲みながら、ごつい指輪をした細い指でカラカラと氷をまわすのが悪い癖だ。
あたしのことを「あむむ」とよんでは絡んでくる色男。
…彼のキスから魔法にかかった、あの夜のこと…
あたしの初恋。
あたしの初めてのひと。
全部が全部、龍紀と初めてだ。
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:10/09/17 05:24
:F02B
:r0dloFRo
#460 [亜夢]
-
今は店を任されてる管理職になって下の子達を育てあげてきた。
あたしが水商売をあがった後を期に、響皐月は掲示板でたたかれて…ここ最近まで大変だった。
けど、先月でランキングにはいることからの引退…完全に下の子達にプレイさせる、バックアップの存在になった。
所詮ホストなのかもしれない。
だけど龍紀はホストを踏み台にして重大な役についた。
それは普通の昼の仕事をしてる人間でも飛躍しかねること…
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:10/09/17 05:28
:F02B
:r0dloFRo
#461 [亜夢]
-
「お願いします…娘さんを僕にください。」
これで何度目だろう…龍紀があたしの父親に頭をさげに家に押し掛けたのは…
お母さんは「あなた、もう許してあげて」とそっと父の腕を手を添えるけど、かたくなに腕を組みつづけるお父さんは、そっぽを向いたままだ。
あたしは今まで黙って龍紀とお父さんをみてきたけれど、思わず
「…お父さん…龍紀はあたしを大事にしてくれてるよ? 不自由のない生活をさせてくれるし、あたし達こんなにまじめに付き合ってる。 お父さんはあたしの子供の顔さえみてくれないの?」
といってしまった。
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:10/09/17 05:32
:F02B
:r0dloFRo
#462 [亜夢]
:10/09/17 05:34
:F02B
:r0dloFRo
#463 [亜夢]
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ずっと黙っていようと思ってた。 でもあたしはそれを吐き出してしまった。
お父さんは目が点になってた。
あたしが意志を尊重して言葉を発する子じゃないことをお父さんは知ってた。
だから余計に―…
「わかった…納得できるように努力はする。」
大事な娘だもんね。
どこの馬の骨のホストにとられるのはやっぱり寂しいもんね、お父さん。
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:10/09/20 00:58
:F02B
:CAQFsQGw
#464 [亜夢]
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出産予定日まであと1か月をきった。
あたしはいろんな友達を招いてホームパーティーをやったりもした。
桜も呼びたかったけれどさすがに呼べずにいた。 【響皐月】に思い入れがあるひとはきちゃまずいと思ったんだ。
「遊びにきたよ〜♪」
親友ありさは子供服をたくさんもって遊びにきてくれる。 なにせ女の子だから、あたしとありさはテンションあがりまくり。
ふたりで買い物に行ってはコレでしょアレがいいよね、と買い物してる。
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:10/09/20 01:04
:F02B
:CAQFsQGw
#465 [亜夢]
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元彼でもある幼なじみの裕也…は、知らない女の子と一緒だ。
「あ、こいつ…あずみって言うんだ。 最近仲良くて、おまえのプリクラみたら会いたい♪て聞かなくて…」
デレデレしながらしゃべる裕也。 ああ、なるほど…彼女に気があるのかあ。
あたしはありさと目を合わせてくすくすと笑った。
「はじめまして、亜夢です。」
「わあ♪プリクラよりかわいい。 ゆうくんからは話をよく聞いてますっ。」
でもこの小さくてかわいい子…どこかで見覚えがあるんだよなあ……
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:10/09/20 01:07
:F02B
:CAQFsQGw
#466 [亜夢]
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「龍紀さんは―?」
「あ、そうだ。 もう起こさなきゃ!!!」
あたしは裕也に言われた言葉で時計をみる。 いつもの起床時間。 龍紀の目覚まし時計はあたしのキス…て彼のなかでは決まってるんだそう。
「龍紀…」
チュ……
軽くふれる唇。 目をごしごしして片目をあけると龍紀があたしを確認する、今にも眠りにつきそうな目で。
「亜夢……セックスしてぇ……俺死んじゃう……」
////
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:10/09/20 01:10
:F02B
:CAQFsQGw
#467 [亜夢]
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ここ最近の龍紀といえばあたしの妊娠で欲求不満になりすぎて、あたしたちのベイビーにまで嫉妬する始末だ。
「……俺たちのベイビー早くでてこーい。 俺のかわいい亜夢を独り占めすんなよう……」
とかいいながら毎日まいにち楽しそうに雑誌の赤ちゃんをみてにやにやしてる。
寝ぼけたまま、龍紀は頭をぽりぽりかきながら風呂場に向かう。
あたしは居間にもどって裕也、ありさ、あずみちゃんとお菓子を食べながらおしゃべりしてた。
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:10/09/20 03:44
:F02B
:CAQFsQGw
#468 [亜夢]
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龍紀はそのままお風呂→ベッドルーム→洗面所をいきいきしてたので、みんなに軽くしか挨拶できないまま玄関に走る。
「いってくる♪」
チュっと龍紀はあたしの唇を触る。 うん、と答えると物足りなさそうな顔をして腕をまわしてくると強引なキス……
同棲してだいぶ経つ。 もうすぐあたしの誕生日に籍を入れることも決まったけど、どうしてこんなにどきどきするんだろ?
あたしはいってらっしゃい、と声をかけると龍紀は笑顔で走ってった。
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:10/09/20 03:48
:F02B
:CAQFsQGw
#469 [亜夢]
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「あ、そうだ!!! ちょっとあたしたち買い物いってくるねっ!!!」
と言ってありさ、裕也、あずみちゃんが入れ違いに部屋をでていってしまった。
あたしはつまらない〜…とおもいながらキョロキョロ部屋を見回すと電球がひとつ消えてた。
¨高いとこは登るな¨て龍紀に言われたけどA型てこういうの気になって仕方ないんだよね。
脚立をだしてゆっくりのぼってくと誰かが戻ってきた様子だった。 あたしは背中をむけてたからそのまま
「脚立持ってて〜…」
といった。
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:10/09/20 03:51
:F02B
:CAQFsQGw
#470 [亜夢]
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それは本当に一瞬だった。
トン…
背中を押されると同時に時間がゆっくりすぎてまるで落ちるまではスローモーションだった。
ドタンッ…
脚立が転がりあたしはおなかからその衝撃を受けた。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い…………
あたしは涙を流しながら何度も叫んだ。
「助けて……」
と。
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:10/09/20 03:53
:F02B
:CAQFsQGw
#471 [亜夢]
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あたしは気づいたらベッドの上だった。
ありさと裕也とあずみちゃんが泣いていた。
あたしは目をゆっくりぱちぱちさせてみんなをキョロキョロとみた。
「……ごめんね亜夢……あたしたちが買い物いくねって言ったから……」
実は3人で分担して買い物をして盛大にお祝いしようと思ってたところだったみたい。
最初に大荷物をもって戻ってきたのはありさだった。 みたのは血と……おなかをおさえて倒れた亜夢。
救急車で病院まできたんだと。
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:10/09/20 03:57
:F02B
:CAQFsQGw
#472 [亜夢]
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あたしは誰かに押されたなんかいえなかった。 とりあえず赤ちゃんの無事がわかればそれでいいとおもった。
「それでね……」
ありさは泣きじゃくる。
あたしはお医者さんの言ってることが右から左だった。 もうなにも考えられなくて頭は真っ白。
ありさは裕也とあずみちゃんを帰らせたみたい。
あたしの携帯で家族と龍紀に電話してるのを覚えてる。
あたしの赤ちゃん、死んじゃった。 おなかの中で。
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:10/09/20 03:59
:F02B
:CAQFsQGw
#473 [亜夢]
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あと1か月で会えるねって何度もお話したのにね。
パパはあなたのこと夢紀(ゆき)て名前にしようと思ったんだって。 亜紀と悩んだみたいだけどね。 やっぱり夢があるほうがいいよな〜て言ってた。
あたしとありさで沢山お洋服買ったんだよ!!!! ピンクのふりふりの服とか、かわいいおもちゃとか。 たくさん……
両親までもなにがいいかなっておもちゃみてくれてたよ。
龍紀はあたしのおなかとあなたの小さな体をなでなでしてくれてたんだよ、毎日まいにち。
キスしておやすみもした……
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:10/09/20 04:02
:F02B
:CAQFsQGw
#474 [亜夢]
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あなたに会いたかった…
数日後死産としてあたしの中から小さな命は消えてしまった。
あたしはなにも食べれず笑えず泣けず…毎日がすごく楽しくなくなった。
毎日ありさは来てあたしの好きなお笑いのDVDだったり、雑誌をもってきてくれた。
お母さんはあたしの大好物をつくってもってきてくれたりした。
龍紀はただ手を握りしめて一緒にいてくれた。
でもむなしさが消えなかった。
あたしが脚立にのぼらなければ……
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:10/09/20 04:05
:F02B
:CAQFsQGw
#475 [亜夢]
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少し落ち着いてからふたりで家に戻った。
それからちょっとあたしの体調と心の傷が癒えたくらいのときに…
龍紀は一週間休みをとってくれた。
1日目はゆっくり掃除したり、家でまったりした。
そういえば、ベイビーのおもちゃ達はなくなっていた。 気を使って片づけてくれたんだろう。 考えずにすむように…
2日目はふたりでドライブにいって思い出のあのレストランにいった。 おいしいものを少しだけたべた。 まだ沢山は食べられないから。
3日目はあたしの実家でみんなでご飯をした。
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:10/09/20 04:09
:F02B
:CAQFsQGw
#476 [亜夢]
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4日目。
あたしが行きたいと何度もいってたドックランの広場にあむと3人で行った。 あむはほかのわんちゃん達と仲良くできてるみたい。 少しピクニック気分だった。
5日目は、龍紀の実家にもどってマナブさんに挨拶をしてお泊まりして帰った。
6日目は今日。
早起きして龍紀の実家からふたりの家に戻ってる。 あたしは最近龍紀がいないと全く寝れなくなってしまってた。
「なあ…亜夢……」
龍紀は運転しながらあたしに声をかける。
「うん?」
-
:10/09/20 04:13
:F02B
:CAQFsQGw
#477 [亜夢]
:10/09/20 04:31
:F02B
:CAQFsQGw
#478 [亜夢]
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「俺はいいんだよ…おまえがいれば…」
みんな赤ちゃんがいなくなったのを悔やんでた。 赤ちゃんがいなくなったことで病んでるあたしを可哀想と頭をなでた。
でも龍紀はそれと別であたしだけ、あたしがいれば、と何度も言ってくれた。
龍紀に独占されたいわけじゃない。
だけどどこかでその言葉が欲しかったとおもう。
「俺はまじで悔やんだよ…おまえより先にそれを気づいたら大丈夫だったのに、とかたくさん…でもおまえが無事でよかった。」
にこりとほほえむ龍紀になぜだかあたしは泣けた。
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:10/09/20 04:47
:F02B
:CAQFsQGw
#479 [亜夢]
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「俺が亜夢と結婚しようて言ったのは赤ちゃんが出来たからじゃない。 おまえごと欲しかったからだ。 …だから……」
おっと、とあわてて言うのをやめる龍紀。
「家にかえってからにしよう。」
車を地下の駐車場にとめて龍紀とあたしは部屋にはいろうとすると、あずみちゃんがエントランスに立ってた。
にこりとほほえむ彼女。
あたしは駆け寄って声をかける。
「龍紀♪あずみちゃんこないだ家着てたの覚えてる?」
あたしは龍紀の顔をみた。
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:10/09/20 04:51
:F02B
:CAQFsQGw
#480 [亜夢]
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龍紀は唖然とした顔をしてる。
「お前……なんで?」
「あたしをだまし続けたお返しをしにきたのよ、¨龍紀¨くん。」
このふたり…知り合い?
「そしてあんたもね!!!! 協力するて言ってたくせに…鼻で笑ってたんでしょ!!!! 絶対許さないんだから!!!!」
あずみちゃん………
!!!!
CIELのときにきてた片思いの女の子が確かあずみちゃんだった気がする…
モデルみたいに可愛い【響皐月】のお客さん。
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:10/09/20 04:54
:F02B
:CAQFsQGw
#481 [亜夢]
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「…裕也と仲良くなったのも、すべてあの日のため…皐月に裏切られたんだから、あたしは悪くないっ……」
わかった、と龍紀は言った。
「十分苦しめただろ。 お前俺たちがつきだしたら犯罪者だぞ?人ひとりの命を奪ったんだぞ? それに俺はホストだ。 でも嘘はついてない。 ただお前が夢見ただけだよ。」
でも、と龍紀は続けた。
「期待を持たせる言い方をしてたなら謝る。 でも俺愛せないんだ、こいつしか。 こいつに会う前に出会ってればあずみとは違う形になれてたのかもな……」
あずみちゃんは泣きながらあたし達から去った。
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:10/09/20 04:58
:F02B
:CAQFsQGw
#482 [亜夢]
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もう起こったことは¨仕方ない¨で済ませれる事件ではなかったけど…あたし達も夢紀を失ったことで沢山学んだ。
母親にならなくてはならない強さと、人間の死がいかにあっけないものか…
それから…
「亜夢…お前をずっとこれからも愛し続けるよ、なにがあっても……」
龍紀との深い愛に確信した…
「あたしも……」
それから
「抱いてもいい?」
男は妊娠中やはり欲求不満になることを……
-
:10/09/20 05:02
:F02B
:CAQFsQGw
#483 [亜夢]
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あたしの誕生日に無事に籍を入れた。
あたし達は左手の薬指に同じものをつけた。
夢紀の墓標もたてた。
いまはふたりで子作り…でもなく、新婚さんて感じで毎日ラブラブな生活をすごしてる。
ふたりで凄く大事な時間…
夢紀のために次の子は大事に丈夫にうまれてきてほしい…と願いながら、あたしは自分の人生録を書き終えたこととします。
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:10/09/20 05:05
:F02B
:CAQFsQGw
#484 [亜夢]
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その後のあずみちゃんはって?
罪を犯した意識か龍紀の前にはあらわれてないんだって。 裕也にのちのちはなすとびっくりしてたけど。
そういえばプレイヤーをあがった【響皐月】といえば大々的に結婚したことをはじめて発表したホストとして知られて雑誌ではひっぱりだこだそう。
相変わらず違うビジネスに手をだしたりと忙しいみたい。
元カノの華は…なんと朝日ことマナブの双子の弟・忍と電撃結婚。
マナブが愛した女華を生涯守り抜くと誓ったとか。 兄弟愛なのかわからないけど華はかなりのもてる女だったわけね。
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:10/09/20 05:09
:F02B
:CAQFsQGw
#485 [亜夢]
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ありさは龍紀が紹介したお金持ちな男の子と付き合ってるみたい。 ロマンチストなありさだけど彼はかなりくさ〜いことしてくれるみたいで喜んでる。
裕也は龍紀の開いたバーで店長をやってる。 あのころは天敵になってた裕也と龍紀がまさかビジネスでつながるなんてね!!!!
桜は…【響皐月】が結婚した発表をしたと同時にAVデビューしたんだって。 源氏名がなんと…【響皐月】。 絶対うらまれてるよっていうと龍紀は鳥肌たててた。
あたしと龍紀は…
思い出のマンションを引っ越して15階から25階へ。
前よりひろくて龍紀のオフィスに近い。
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:10/09/20 05:13
:F02B
:CAQFsQGw
#486 [亜夢]
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そんなとこかな。
あたしが書き終えたくらいに龍紀が後ろからぎゅうってしてくる。
「もぉ…エッチ……」
体じゅうを触られながらするキスはあたしを熱くさせる。
…これは魔法。
魔法のキス。
---完結---
-
:10/09/20 05:16
:F02B
:CAQFsQGw
#487 [亜夢]
:10/09/20 05:18
:F02B
:CAQFsQGw
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