*- エロチュウ -*
最新 最初 全 
#101 [亜夢]
-
BBBB…
「亜夢ちゃん、おはよう。 もう来てる?」
「今エレベーター待ってますよ!!!」
「じゃあ今日はこなくていい。 響皐月クンのお客さんが君に会いたがってる…酔っぱらってるから少し面倒なんだよ。」
「あ…わかりました。」
どしたの?て顔で龍紀はアタシを見つめた。
タイミングよくエレベーターが1階に到着する。
-
:10/05/23 23:22
:F02B
:UUkC3.iQ
#102 [亜夢]
-
「店長いわく、龍紀のお客さんが酔っぱらってきてて…アタシのこと聞いてくるみたいで…とりあえず帰りなっていわれた。」
到着したはずのエレベーターは2階へとあがっていく。
「やば…」
階段の脇のところに引っ張られて龍紀と隠れる。
背中に密着してるよ―///
チーン…
中からでてきたのは確か【あやの】ってお客さんだった。
-
:10/05/23 23:26
:F02B
:UUkC3.iQ
#103 [亜夢]
-
「朝日…アンタ情報はほんとなんでしょうね。」
携帯で話しながらエレベーターを降りてくる【あやの】。
「今日は欠勤みたいだけど―…アタシ、皐月の女があんなしけたbarの女だったら潰してやるんだからっ!!!
…絶対皐月に媚び売ったにきまってるわよ。 皐月みたいないい子は、ああゆう子受け止めちゃいそうだしね。」
ふんっと彼女はいった。
アタシそんな風にしたつもりなかったのに―…
-
:10/05/23 23:29
:F02B
:UUkC3.iQ
#104 [亜夢]
-
後ろからぬくもりが消えた。
と、振り向いてまた覗くと龍紀があやのさんの携帯を取り上げてた。
「朝日―…おまえそんなことまでして、俺を潰したいのか?」
優しい笑顔と声が消えてる。
「とりあえず明日ミーティングで話そうか。 じゃあな。」
「さ…皐月…」
「たまたま資料とりに店よったらこれか。」
-
:10/05/23 23:32
:F02B
:UUkC3.iQ
#105 [亜夢]
-
取り上げた携帯を彼女にかえす。
「じゃあな。」
「皐月っじゃあなって―…」
龍紀は彼女の腕を振り払う。
「爆弾したり、店に迷惑かけたり、そういうことする客は俺は要らない。」
龍紀はポケットから煙草をとって火をつける。
「俺…人のことを金と思えるほど人間腐ってないけど、普通にできないやつは死ぬほど嫌いだ。」
-
:10/05/23 23:55
:F02B
:UUkC3.iQ
#106 [亜夢]
-
あやのって女の人は泣いてそのまま走っていった。
確か彼女は龍紀の大事なお客さんだったはず…なのに―
「亜夢? もういいよ。」
アタシはきょろきょろしながら龍紀のそばによった。
「龍紀…大丈夫?」
「ん…」
少し苦笑する龍紀。
-
:10/05/23 23:58
:F02B
:UUkC3.iQ
#107 [亜夢]
-
「大丈夫♪俺には亜夢がいるからさっ☆」
困った顔から一瞬に可愛い笑顔にかわる龍紀。
「…告白がこのビルってのは嫌だから…仕事休みになったことだし、ご飯いこっか☆」
龍紀はしっかりアタシの手を握って駐車場にむかう。
「なに食べる?」
「なに食べる?」
ふたりで恋人みたいに時間を過ごす。
-
:10/05/24 00:05
:F02B
:mV7d2WvI
#108 [亜夢]
-
龍紀が連れてってくれたご飯屋さんは、綺麗で少し暗めの洒落たお店だった。
海辺の近くで、barカウンターから見える景色は夜でも最高だ。
「おなか空いたっしょ?何でも食べなさい☆」
すっとアタシの座ってる椅子に手を置く龍紀。 アタシは背中にその存在をかんじてドキドキする。
いまもたれ掛かったら…肩抱かれるのかな、とかいろいろ。 短い時間に考えてしまう。///
-
:10/05/24 03:28
:F02B
:mV7d2WvI
#109 [亜夢]
-
好きなものをお互い頼んで、アタシがワイン好きだからといって、白を一本空けてくれた。
ふたりで乾杯をする。
薄い照明で見える彼のまつげ、鼻、瞳、くちびる―…
いつからアタシはこんなに意識するようになんだろう。
やっぱりあのキスの日から?…
「ん、これ美味しいね。」
あーんして、といってくる龍紀の言うことをきいて口を開けるアタシって、なんだか自然だった。
-
:10/05/24 03:31
:F02B
:mV7d2WvI
#110 [亜夢]
-
「門限とかないの?」
「ないよ。 いつも朝まで仕事してるからぜんぜん。」
「…じゃあもうちょっとだけ、ゆっくりする?」
龍紀はグラスをまわしながら言う。
彼の癖だ。
「うん―…」///
「亜夢。 俺、好きだよ。 亜夢のこと…」
ドキン―…
-
:10/05/24 03:34
:F02B
:mV7d2WvI
#111 [亜夢]
-
「今すぐ自分の物にしたい。 ほんと、…会ったときからずっと、気になった。」
初めてアタシ達が会ったのは店じゃない。
たまたま、酒屋に行ってたアタシが戻ってくるときにエレベーターの前にいたのが【響皐月】だった。
エレベーターのなかで話しかけてきて「今度いくね☆」といわれてから同伴の待ち合わせでよく使われるようになった。
「俺は亜夢がホストを偏見してると思ってたから、正直こわかったよ。 亜夢を好きになることも。」
-
:10/05/24 03:38
:F02B
:mV7d2WvI
#112 [亜夢]
-
「でも―…もうどうしようもないんだ。 好きな気持ちを食い止める自信がない。」
男の人からの告白。
こんなに心臓がバクバクして、どうしようもないものなの?
「大事にする自信はあるよ。 でも―…仕事のことは理解してほしい…亜夢に理解してもらえたらそれが支えになる。」
透明にすきとおった白ワインをのどに通す。 ひんやりして思考回路をまともにしてくれる。
いまのアタシはパニックだ。
-
:10/05/24 03:41
:F02B
:mV7d2WvI
#113 [亜夢]
-
「つきあってくれないかな…?」
龍紀はアタシの手を握りしめて言った。
「―…」///
アタシは火照ってる。
たぶん答えは決まってるけどでてこないんだ。
「駄目?…」
肩を落とす龍紀。
「………さい。」
-
:10/05/24 03:44
:F02B
:mV7d2WvI
#114 [亜夢]
-
###
ちょっとまって、俺…
今“ごめんなさい”って言われた?
最後の語尾しか聞こえなかった。
たぶん嫌々て今日もきてくれたんだろうし、彼氏いないとかいって、居たりするんだろうなあ…
聞き直したほうが余計傷つくかなあ…
「なんて?…」
「だ、大事にしてください…〜」///
え///
###
-
:10/05/24 03:47
:F02B
:mV7d2WvI
#115 [亜夢]
-
大事にしてください、と言った瞬間、龍紀はポカーンと口を開けた。
ええと…///
「龍紀?」
名前を呼ぶだけでも恥ずかしい。
「亜夢、それっておまえの彼氏は…俺ってこと?」
首を縦に振る。
「俺らつきあったってこと?」
また同じように頷く。
-
:10/05/24 03:49
:F02B
:mV7d2WvI
#116 [亜夢]
-
「うわっ…やば…」///
グラスに入ってた白ワインを飲み干す龍紀。
バーテンダーが空のボトルを持って、次の飲み物を聞く。
「あのさ、今俺が告白したらOKもらえたんだけど…」
「おお!!! おめでとうございます☆」
「お祝い事はやっぱシャンパンだね。」
子供みたいに顔をくしゃくしゃにして笑いかける龍紀がすごく可愛く思えた。
-
:10/05/24 03:52
:F02B
:mV7d2WvI
#117 [亜夢]
-
「じゃあこれからも宜しくってことで乾杯…☆」
散々スタッフに祝ってもらって乾杯を今ふたりっきりでしている。
「どうする?」
「えっ…」///
「俺、今日は亜夢を家に帰すつもりないんだけど…」
右手をアタシの左手に重ねる龍紀。
「ええと…」///
-
:10/05/24 03:55
:F02B
:mV7d2WvI
#118 [亜夢]
-
「俺のもんにするってこと…」
耳元で囁く龍紀。
「あ…えと…」///
アタシ初めてだよ?と耳打ちすると、優しくすると返事をかえす龍紀。
繋いでた手をはなすと肩を抱き寄せて自分の右肩にアタシの頭をよせる。
心臓の音が聞こえそう。
「代行よんでもらえます?」
バーテンにそう声をかけると頬にキスされた。
-
:10/05/24 03:58
:F02B
:mV7d2WvI
#119 [亜夢]
-
座席でもずっとアタシは龍紀と手を繋いでる。
キスもエッチも初めての人になるんだったら…重くないかな?
少し不安だった。
「ついたよ。」
車を駐車場までいれてもらって支払いをすると手を引っ張って、15階にある龍紀の玄関まできた。
エントレンスと外観からすでにいいマンションてのはわかったけれど。
-
:10/05/24 04:01
:F02B
:mV7d2WvI
#120 [亜夢]
:10/05/24 04:04
:F02B
:mV7d2WvI
#121 [亜夢]
-
>>094-120***
玄関をあけると物凄く綺麗な景色がひろがった。
廊下からすぐみえるのはガラス張り。 15階からの景色…きらきらと輝くネオンや、夜中なのにオフィスビルの電気がまだついている。
「すごい―…」
「綺麗?気にいった?」
後ろからぎゅうっと抱きしめる龍紀。
-
:10/05/24 04:08
:F02B
:mV7d2WvI
#122 [亜夢]
-
「たっ龍紀―…」///
驚いて振り向くと、すっと唇が重なる。
アタシは、ぎゅっと龍紀の腕のところを掴んだ。 背中はガラス張りにもたれかかる。
「亜夢…」
右手を腰のところに絡みつけ、左手で頭を優しく持ち、抱き寄せられる。
「亜夢、抱きしめたら折れちゃいそう…」
頭をなでなでされる。
気持ちいい―…
-
:10/05/24 04:13
:F02B
:mV7d2WvI
#123 [亜夢]
-
「明日講義は?」
「ん…お休みだよ…」
なら大丈夫だな、と言って龍紀は軽くアタシを抱き上げるとどこかに向かった。
ドアをあけると広がったのは、ひとりでは不十分すぎる空間。
クイーンサイズあるであろうベッドに優しく寝かされると、龍紀は自分が着ていたパーカーを素早く脱ぐとTシャツも脱ぎ捨てた。
「亜夢、抱いてもいい?」
耳元であつい吐息と共にそんな言葉をいわれる―///
-
:10/05/24 04:16
:F02B
:mV7d2WvI
#124 [亜夢]
-
「まっ…前も言ったけど、アタシ…キスもその…エッチも龍紀がはじめてだから…えと、そのお…」///
「ほんとに?…俺が最初の男で後悔しない?」
「龍紀がアタシでもいいなら…アタシは大丈夫。」
アタシは多分終始赤面だ。
「いいに決まってるじゃん。 俺はずっと亜夢とこうしたかった。」
-
:10/05/24 04:20
:F02B
:mV7d2WvI
#125 [亜夢]
-
寝転がってるアタシに多い被さるように龍紀が唇を重ねてくる。
「…龍紀、電気とかって…」
「俺は亜夢をみたいけど、恥ずかしいなら切ろうか?」
もちろん頷く。
裸をみて嫌いになられたら困るもん。
「亜夢…」
耳元を触りながら唇と唇がふれあう。
-
:10/05/24 05:41
:F02B
:mV7d2WvI
#126 [亜夢]
-
何度キスを交わしただろう…
唇をあわせながら、優しく胸を触る彼の手。 そこから服が脱がされてって、くすぐったいけれどお互い下着だけになった。
変な気分―…
キスすればするほど、もっとほしくなる、彼のことを。
「亜夢、すごっ…」
パンツに手をのばした龍紀は言った。 火が口からでるほど恥ずかしい。 でもキスをされると絡みつく体と体―…
-
:10/05/24 05:44
:F02B
:mV7d2WvI
#127 [亜夢]
-
ブラのホックを外される。
アタシは思わず両手で乳房を隠すけど、駄目だよ、と両手を剥がされて大きな手が代わりに包みこんでくる。
「やだっ…はずかしっ…」
アタシは手で顔を隠す。
「亜夢お願い…そのかわいい顔は見せて。」
熱い息をはきなから、龍紀の舌はアタシのすべてを這う。
「あっ…」///
-
:10/05/24 05:48
:F02B
:mV7d2WvI
#128 [亜夢]
-
「…―」///
キスを何度も重ね、体中を味わわれ、何度も好きといわれ、
アタシは龍紀と初体験をした。
それは痛かったけれど、龍紀が優しくしてくれたのと、何度も愛撫してくれたからか、そんなに緊張もせずに結ばれた。
アタシは龍紀の腕に絡みつくようにして眠りについた。
ふたりとも裸のままで。
-
:10/05/24 05:51
:F02B
:mV7d2WvI
#129 [亜夢]
-
周りの子が言ってたのを思い出す。
体の関係になった瞬間に、相手のことをもっと独占したくなるって。 もっと相手が欲しくなるって。
そうかもしれない。
今龍紀がものすごく近くに感じる。
「ん…」
寝ぼけたまま、龍紀はごろっと転がるとアタシをぎゅうっと抱きしめた。
「あ―…む…」
-
:10/05/24 05:54
:F02B
:mV7d2WvI
#130 [亜夢]
-
ふたりが起きたのは昼すぎだった。
「おはよ…」
アタシはふにゃふにゃ言いながら、龍紀の胸元に飛び込む。
「亜夢…だめ…」///
男の子なんだから、ね?という龍紀。
「朝はたっちゃってるんだから…したくなるだろっ―」
龍紀はアタシの上に乗っかっていった。
ああ、そゆこと。 ///
-
:10/05/24 05:57
:F02B
:mV7d2WvI
#131 [亜夢]
:10/05/24 05:59
:F02B
:mV7d2WvI
#132 [亜夢]
-
昼に起きたのに、何度も愛しあって、お話して―…てしていると勝手に時間がすぎた。
「龍紀、そろそろ準備しなきゃじゃないの?」
「まだ大丈夫…どっかご飯でも食べにいこっか〜☆」
龍紀はキーと財布だけ持つとグラサンをかけて、行こうといった。
「アタシすっぴん…」
「これ貸しといたげる♪むしろあげる。」
ずっと欲しかったでかサングラス。
-
:10/05/24 11:59
:F02B
:mV7d2WvI
#133 [亜夢]
-
「…!!! 龍紀、だめだよ。 こんな高価なものいただけないよっ…」
結構いい値段するブランドだ。
「だってつけないもん。 俺のために使ってよ。 俺のもの、使うのはいや?」
龍紀はそういうとこやっぱりホストだ。
「ありがと…」
素直にお礼を言うと手を繋いで外にでた。
「うわっ…雨ふってる。」
ふたりでひとつの傘に入ってコンビニまで走る。
-
:10/05/24 12:02
:F02B
:mV7d2WvI
#134 [亜夢]
-
「あそこの喫茶店でランチするかっ!!!」
もう夕方。
でも寝起きでそんなにがっつり食べれるわけでもなく、そんなこんなでマンションの目の前にあるカフェでご飯。
「でも亜夢、化粧しててもスッピンでもかわいいんだけど…」///
龍紀はアイスコーヒーを飲みながら言う。
「やっぱり変わるよっ…」
「ささっとご飯食べて家送るよ。 出勤だろ?」
あ―…!!!
-
:10/05/24 12:05
:F02B
:mV7d2WvI
#135 [亜夢]
-
すっかり自分のこと忘れてしまってた。
あぶないあぶない…
「龍紀はしっかりしてるよね。 安心するよ…」
とため息をついて自分の情けなさを自覚する。
「おまえの面倒は俺がみるから大丈夫♪…てか実家出れるなら一緒に住もう?」
―…ドキン。
初キスで初体験、ちゃんとした初彼氏と初☆同棲てやつですかっ?!!!
展開はやくないっ?
-
:10/05/24 12:08
:F02B
:mV7d2WvI
#136 [亜夢]
-
「まあ…俺はいつでも一緒に住めるから、心と…体の準備できたらおいで?」
毎日こんな日が続くと思うと、体はもちそうにない。
「わかったよ…」///
アタシは頷いてサンドウィッチをほうばる。
「まだ余裕はあるから、急がなくていいんだよ。」
2つ上の男性てこんなに落ち着いてて、出来る人で優しいんだろうか?
アタシはある意味、龍紀のことを不思議におもえた。
-
:10/05/25 03:36
:F02B
:/lfQaG8k
#137 [亜夢]
-
家の前まで送ってくれた龍紀は頬に軽くキスをして、後でな…と頭を撫でた。
「あっあとさ…」
ポケットから何もついてない鍵を渡される。
「?」
「これ俺ん家の鍵。 寂しいときや、会いたいとき…待っててくれるときは、これ使ってはいって。」
キュン―…
「わかったよ。」///
大事なありがとう、を言いそびれてアタシは車から降りた。
-
:10/05/25 03:39
:F02B
:/lfQaG8k
#138 [亜夢]
-
結構ぎりぎりに出勤して、急いでタイムカードを切った。
「あっぶない―…」
はあはあ、と息を切らしながらアタシは店長に挨拶をする。
「…皐月クンも悪いひとだね…」
苦笑しながらバンドエイドを持ってきた店長。
―…?
「変な虫寄せ付けないようにか、たんに忘れてたかどっちかだけど。」
といって首もとを指さすマスター。
-
:10/05/25 03:42
:F02B
:/lfQaG8k
#139 [亜夢]
-
洗面所で自分の首筋を眺めると赤いシミみたいなのが2つも並んであった。
アリサが元彼のとき言ってた気がする―…
キスマークの話。
(昨夜彼氏激しくって首とか胸とかキスマークだらけで、ファンデで隠すの大変だったよお…)
「あ―…」///
店長から貰ったバンドエイドでうまく隠れた。
変な虫を寄せ付けないため…か。
だといいな。///
-
:10/05/25 03:57
:F02B
:/lfQaG8k
#140 [亜夢]
-
いつもまったり飲みにくるお客さん達が早い時間にくると、終電前にだいたいの常連さんは、帰宅する。
12時前に満卓だったのに、もう最後のお客さん。 彼も会計をカウンターに置くとまた、といってドアを出た。
「ありがとうございます。」
と言って頭を下げる。 頭をあげると龍紀が手をひらひらさせてカウンターの決まった場所に座る。
「あ…いらっしゃいませ。」///
なんか照れくさい。
-
:10/05/25 04:02
:F02B
:/lfQaG8k
#141 [亜夢]
-
アタシはロックグラスに氷をカラカラと入れる。 そのうえからscotch whiskyを注ぐ。
「はい…」
ありがと、といつもの笑顔の龍紀。
「今日同伴だからココで待ち合わせ…」
そっか、とアタシは微笑む。 カウンターははさんでいるのに、―龍紀に触れたい…。
「こんな近くにいるのに触れたら駄目って、まじで鬼だよなあ〜カウンター嫌いになりそう。」
―…///
同じこと考えてるんだ。
-
:10/05/25 04:05
:F02B
:/lfQaG8k
#142 [亜夢]
-
「まあ亜夢が家に着てくれたら、そばで居れるからぜんぜんいいよ。」
毎日はでも無理だもんなあ〜…と龍紀はすねた子供になる。
「親に相談してみるよ。」
アタシはカウンターに両腕を置いてにっこり微笑むと龍紀の曇った顔も太陽に照らされる。
「ありがと…亜夢。」
このときはアタシは耐えれると思った。
彼の職業のことを絶対に受け止めれるとおもってた―…
-
:10/05/25 04:10
:F02B
:/lfQaG8k
#143 [亜夢]
-
同伴というと、普通1時に出勤なのに、遅くに店へ行けるという特権がある。
龍紀が同伴のときにココを使う理由は、ある程度飲ませておかないと、お金がないのにお酒を卸したりするからだそうだ。
ホストといえば、もちろん人気になればなるほど、忙しいときは時間をきっちり区切ってローテーションさせなくてはならない。
もちろん違う卓で女の子が龍紀にシャンパンを卸す。 ライバル意識で卸す子もいれば…
別卓にいかせたくないために、席を離れようとすると高価なものを卸したりする。
ちゃんとしたホストはその女の子の性格や発言で、どうなるかをインプットしてある。
-
:10/05/25 04:15
:F02B
:/lfQaG8k
#144 [亜夢]
-
もちろん嘘だってつく。 綺麗じゃなくても綺麗と言わなくてはならないし、会いたくなくてもきてもらわなくては困る。 …会いたいと言う。
その営業方法はいろいろだ。
色をかける(気を持たせるような素振りや発言をして相手をその気にする)や、枕(色プラス肉体関係で彼女である、や特別である、と思わせるやり方)
本営(一番彼女に近い存在。 一緒に住んでまるで彼女。 でもほんとはお金しかみず、用なくなればさよならする)
友営(友達みたいな感覚でただホストを楽しむだけ。 お互い厚い信頼関係でできている)
-
:10/05/25 04:21
:F02B
:/lfQaG8k
#145 [亜夢]
-
解釈の仕方を人それぞれなので、一色単にはいえない。
「今から来るお客さんは嫉妬すんなよ…」
携帯でメールを打つとパチンと閉じてそう言った。
チリンチリン♪
「さ〜つ〜き〜っ☆」
小柄でモデルみたいに細いお客さん。 うさぎみたいにピョンピョン跳ねてて、すごくかわいい。
「おはようのちゅ、は?」
-
:10/05/25 04:31
:F02B
:/lfQaG8k
#146 [亜夢]
-
「ドンペリ卸してくれるならいいよ。」
「今日持ち合わせないも〜ん…皐月は未収させてくれないし〜…」
「金ないなら来るなよ…」
この子には凄く冷たい龍紀では…なく【響皐月】。
「ねえねえ、お姉さんど〜おもう〜?アズミに超つんつんしてない〜?」
「おいアズミ。」
「あんっ…皐月ちゅう〜…」
「もしもし?おお、どうした?」
-
:10/05/25 04:44
:F02B
:/lfQaG8k
#147 [亜夢]
-
電話をとり、龍紀はすぐに店外にでていった。
「あ〜あ…どうしたら相手してくれるんだろう…」
ね、と苦笑しながらアタシはグラスを布巾で綺麗に拭く。
「アズミね〜…もう2年も皐月のこと知ってるけどねえ〜…キスしたことないの…」
しょんぼりしながらカルアミルクを飲む彼女は、大きなため息をつく。
「2年も片思いして、それから皐月には頑張って貰いたくて風俗いってるんだもん…」
-
:10/05/25 04:47
:F02B
:/lfQaG8k
#148 [亜夢]
-
「みてみてっ☆」
携帯の待ち受けにはキメ顔をしてる龍紀の顔とピースしたうさぎみたいな彼女。
「かあ〜いいでしょ〜♪」
嬉しそうにキラキラした目で待ち受けを見つめてる。
アタシ―…優越感、なんて思えなかった。
なんだか話を聞いてて切なくなってしまった。
「彼女いるなら…あきらめつくし、その子がいい子なら…否定しないんだけどなあ〜やっぱ居たらショックかなあ〜…」
-
:10/05/25 04:52
:F02B
:/lfQaG8k
#149 [亜夢]
-
「アズミ頑張るからっ☆ お姉さん応援してねっ!!!」
はい、と一応答えた。
龍紀がこのお客さんが必要なら、仕方ないのかもしれない。
「おまたせ。」
店いこっか、とジャケットをさっととる。
「いいよっ!!! 皐月のぶんも払うんだからっ〜♪」
ありがとうございました、の言葉とともにふたりは3Fにある店に向かった―…
-
:10/05/25 04:58
:F02B
:/lfQaG8k
#150 [亜夢]
:10/05/25 05:00
:F02B
:/lfQaG8k
#151 [亜夢]
:10/05/25 05:04
:F02B
:/lfQaG8k
#152 [亜夢]
-
彼女と【響皐月】が店から出た後、アタシの胸に針金が刺さったような気分になった。
―…嫉妬してるわけじゃない。
ただ、あの子が龍紀にむけた目が、表情が…かわいすぎて純粋すぎて、アタシは決していい気分にはなれなかった。
やっぱり龍紀のお客さんだったとして幸せになってもらいたい。
でも…
そういう考えなら龍紀と別れる…ことになるよね。 みんなの【響皐月】なのだからアタシだけで独占しないもの。
-
:10/05/26 06:55
:F02B
:fatKJEd6
#153 [亜夢]
-
無意識のうちに気づいたら家の布団に寝転がってた。
考え事をすると、すごく眠くなるのはなんでだろう。
アタシは目をゆっくり閉じるとすぐに眠りの森の中に住みました。
BBBB…
バイブが耳元で鳴ってるけどアタシは無視した。
-
:10/05/26 07:00
:F02B
:fatKJEd6
#154 [亜夢]
-
偽善者なのかな―…
あれからなぜかアタシは龍紀の家に足も踏み入れなくなった。
会う場所は此処だけ。
「いらっしゃいませ―…」
「亜夢、なんでメールも電話もとってくれないの?」
泣きそうになりながら龍紀は言う。
答えは、【わからない】んだ。
-
:10/05/31 03:47
:F02B
:RUsf33YU
#155 [亜夢]
-
アタシは、龍紀を知ってしまったから、いまでは【響皐月】は嫌い。
彼のお客さんを見るのは抵抗はない。 【響皐月】は女を見下してる。 相手にしようとしない。 ―…興味がない。
龍紀は、甘えたなのに独占欲が強くて、常に連絡をとりあいたい。
それがたまに混合してわからなくなる。
「…なんで龍紀は、ホストをはじめたの?」
あたしは率直に聞いた。
-
:10/05/31 04:01
:F02B
:RUsf33YU
#156 [亜夢]
-
「…」
いつものスコッチをじいっと見ながら眉毛を下げる。
「そうだな…俺、言ってないもんな…」
ため息をはあ、と吐いた。
「まず簡潔に言うと俺にはかなりの額の金がいる。」
理由は…?
「17のときの彼女が、植物状態なんだ―…」
-
:10/05/31 04:04
:F02B
:RUsf33YU
#157 [亜夢]
-
カシャン!!!!―…
マスターがいる奥からグラスが落ちる音がした。
「店長?…」
「ん…何もないよ。 ぼおっとしてただけさ。」
にっこり微笑むマスター…また話は龍紀に戻る。
17歳の彼女だったひとが
植物状態であること。
-
:10/05/31 04:07
:F02B
:RUsf33YU
#158 [亜夢]
-
「その日…
俺の親友の命日だった。
15のときに1トントラックの下敷きになった親友は、顔をみても確認できないほどだったよ。
いまだに思い返してしまう…
そんな彼が亡くなった場所へバイク2台走らせて行ったんだ。
花を添えて…
でも俺は知ってた。
俺の親友が華のことを好きだったことを…ずっと前から。
-
:10/05/31 04:10
:F02B
:RUsf33YU
#159 [亜夢]
-
「華はそのときの俺の彼女だった。
だいたいつきあって2年くらいだったかな。 親友が亡くなってからずっとそばにいた。
親友の想い人をつれてきたのが間違えだったのかは、わからない…
俺と華は一緒に並んで帰ってたんだ。
交差点で別れるときに華が俺は浮気者だとか何度も言ってきて…なぜか喧嘩になったんだ。
俺はカッとなって、『おまえなんか消えてなくなれっ』て笑いながら言うとその場を去った―…」
-
:10/05/31 04:13
:F02B
:RUsf33YU
#160 [亜夢]
-
「その次の日―…突然の全校集会だった。 なぜか悪い予感がした。 全身虫唾が走った…
『2年B組の笠屋華さんが○×交差点付近で酒酔い運転した男にはねられました…今は重体で病院で検査をしているところです。 お見舞いなどはできる状態じゃないから担任に確認してからいくように。』
―…
絶句だったよ。
自分が言った消えてなくなれて言葉が怖くなった。
俺はすぐに体育館を飛び出した。
-
:10/05/31 04:18
:F02B
:RUsf33YU
#161 [亜夢]
-
「華の家族には会ったことがなかったから、病院で初めて両親にあった。
『はじめまして…おつきあいさせてもらっている龍紀と言います…』
俺は真っ赤に腫れた目をこすりながら頭をさげたよ。
そしたら華のお母さんにこう言われたんだ。
『なんでなの?なんで家まで送らないのよっ…彼氏だったんでしょ?ねえ!!!!!』
涙があふれてる彼女の目をまともにみることができなかった…」
-
:10/05/31 04:21
:F02B
:RUsf33YU
#162 [亜夢]
-
ふうとため息をついてスコッチをのどに通すと龍紀はまた話し出す。
「―…全部俺のせいにされたよ。
そうなのかもしれないけど、17の俺にはつらかった。
高校にいっても悪い噂は広がり、
華と付き合ってる間にも女が他にいるだとか…実は少年院にはいってたとか…
わけのわからない噂で埋め尽くされた。
白い目で見られ続けたよ。」
-
:10/05/31 04:24
:F02B
:RUsf33YU
#163 [亜夢]
-
「だから俺は逃げてきた。
そんな地元で暮らす自信がなかったんだ。
でも重みを感じた俺は華の両親にいったんだ。
『目が覚めるまで、治療費は僕が全部しますから…!!!!』
それは両親も喜んでくれた。
でも俺が莫大な医療費を払えることに驚いた華の両親だが、俺が気にしてることを知って、お金をゆするようになった…」
-
:10/05/31 04:28
:F02B
:RUsf33YU
#164 [亜夢]
-
―…
15歳で味わった親友の惨い死に方。
17歳まで2年も付き合った彼女の交通事故。
白い目でみられ世間から逃げなくては耐えきれなかった龍紀の心。
そして彼女の両親からの龍紀に対するお金の要求…
「だから金は死ぬほど欲しい…」
龍紀は前にいってた。
人をだましてるわけじゃない、彼女たちがお金で俺達を買いにくるだって…
-
:10/05/31 04:31
:F02B
:RUsf33YU
#165 [亜夢]
-
「すぐにこの位置にまでのぼりつめた。 それからまだ上がる時なんだよ。」
ここは、ただの俺の意地だけどね、と口元をゆるませる龍紀。
「でもつくづく嫌になるときもあるよ…俺嘘なんてつきたくないもん、ほんとは。」
煙草に火をつける。
「金をもらってるから優しくするわけでもない。 ホストなんか擬似恋愛の世界に、ただ女の子が一線を飛び越えてしまっただけなんだよ。」
頭をかかえる龍紀にアタシはなにもいえなかった。
-
:10/05/31 04:35
:F02B
:RUsf33YU
#166 [亜夢]
-
なんで龍紀は全部背負い込もうとしてるんだろう。
「だから彼女は作れなかった…」
彼女が起きないままだからかな。
「でもお前に落ちてしまった。」
ホストが言う臭い台詞なんていらない。
ただその胸に頭をうずめて、大きな腕で包みこんでほしい…
「過去のこと話すのつらかった…?」
まあね、と苦笑いする龍紀。
-
:10/05/31 04:38
:F02B
:RUsf33YU
#167 [亜夢]
:10/05/31 04:40
:F02B
:RUsf33YU
#168 [亜夢]
-
あたしって…そう考えるとあまりにも平凡で、あっけない人生なのかもしれない。
龍紀はいろんな悲しいこと、苦なことを経験してるからこそ、いまの龍紀があって【響皐月】がある。
「俺…何度も恨んだよ。 俺の親友を殺したドライバーや華をこんな状態にした飲酒運転した奴―…それから、華の両親を狂わした金…」
全部嫌いだよ、と言った。
そのときから、4年が経っての今…
龍紀はこれからをどうするんだろう?
-
:10/05/31 10:06
:F02B
:RUsf33YU
#169 [亜夢]
-
「―…」
そのとき、誰かの心の中の火が消えてしまったことを私たちは気づく余地もなかったんです。
龍紀が過去を話してくれた日は、あたしは龍紀の家にいた。
別にそれ以上を聞くわけじゃない。
ただ、抱きしめてあげたら楽になるんじゃないかと想った。
-
:10/05/31 10:09
:F02B
:RUsf33YU
#170 [亜夢]
-
***
今日も仕事がおわったのは朝方。 俺は後輩たち何人かをつれて、よく行ってる定食屋にいった。
夫婦で切り盛りしてる小さな軒だ。
「はいっ…スタミナ焼き一丁ね〜」
「おばちゃん俺頼んでないよ?」
するとふんわり微笑むおばちゃんが鼻をこすった。
「あんた今日元気ないからね!!!! 美味しいご飯食べて元気になってもらわないと、あんたらしくないでしょっ!!!!」
-
:10/05/31 10:14
:F02B
:RUsf33YU
#171 [亜夢]
-
―…涙が出るかとおもった。
ここ数年、ずっとこの話は誰にも言わずに隠していた。
なぜか亜夢にはいえる、受け止めてくれる気がした。
なんの予想かもわかんないけど。
「おばちゃん…サンキュ…」
たぶん俺は目が潤んでたのかもしれない。 子供みたいだったのかもしれない。
でも今日ぐらいイイ気がした。
今日は我慢しなくていい…
-
:10/05/31 10:16
:F02B
:RUsf33YU
#172 [亜夢]
-
おなかいっぱいで家に帰るとまだ、見慣れない女性物の靴に…美味しそうなにおい。
まさか…
「亜夢―…」
そこには毛布にくるまってソファで寝ている亜夢がいた。
テーブルには朝ご飯みたい。
ラップを小皿全部にかけて手紙もかいてある。
『今日はつらかったよね…ごめんね。 でも亜夢がそれを溶かしてあげるからね。』
-
:10/05/31 10:20
:F02B
:RUsf33YU
#173 [亜夢]
-
俺たちの初夜みたいに、亜夢を抱き上げてベッドルームにつれていき、布団をかける。
普段あまり食べない俺だけど…
おばちゃんの愛情と同時に、亜夢の愛情までたくさんはいってきて、俺は小皿を全部きれいに食した。
おなかは膨れて動きにくいけど、心は満たされた気がした。
-
:10/05/31 10:22
:F02B
:RUsf33YU
#174 [亜夢]
-
それからふたりは亜夢の両親にちゃんと挨拶をして、同棲することがきまった。
先月末で全部の荷物が運びこまれた。
あたしは毎日、龍紀の嫁みたいなことをしている。
洗濯に料理でしょ、それから掃除に買い物しにいったり…すごく充実してる。
「もう子供欲しいもん、俺。」
あたしを後ろからしっかり抱きしめながらそう言う龍紀。
あたし達は幸せの絶頂期だった。
-
:10/05/31 10:28
:F02B
:RUsf33YU
#175 [亜夢]
-
でもある日のことだった。
たまたま月曜に忘れ物に気づいて出勤ではないけれど、CIELに行ったときだった。
こそおりとドアを開ける。
これが唯一のドアの鐘をならさない方法だった。
「―…なんだ…」
なんと龍紀の声がした。
またマスターとお話してるんだろう、アタシは勢いよくドアを開けようとしたときだった…
-
:10/06/01 04:05
:F02B
:69y7jz22
#176 [亜夢]
-
「週に1回でもいいんだ…」
マスターから聞いたことない必死なお願い。 それが龍紀に対してだった。
「もしかしたら…目をさますかもしれない…」
この展開って―…
「華はずっと君を待ってるのかもしれない…」
マスターって実は―…
「育てた親はああかもしれんが、華を誰よりも愛してるのは僕だよ。」
-
:10/06/01 04:07
:F02B
:69y7jz22
#177 [亜夢]
-
***
俺は華の両親を知ってる。
でも母親と離婚した昔の旦那の子供だとはしらなかったし、
…ましてやマスターが華の父親だったなんて想いもしなかった。
たしかに、
俺は目を覚ました華をどうするんだろう。 そして、今愛する亜夢をどうしたらいいんだろう。
わからない。
-
:10/06/01 04:10
:F02B
:69y7jz22
#178 [亜夢]
-
でも華に話しかけて起きるなら、キスして起きるならひとときの王子様になればいい。
でも彼女の記憶は17の俺に恋してる女の子のままなんだ。
「会わないほうが…いいに決まってますよ。」
4年も経って汚くなった俺を受け止めるのも、現在の彼女を愛してるのも、大きすぎて知らないほうがいい気がする―…
「そうなのかもしれない…けど…」
涙を流しながら、もう一度あの子の笑顔がみたいんだ…と言葉をこぼした。
-
:10/06/01 04:13
:F02B
:69y7jz22
#179 [亜夢]
-
俺と親友のマナブは最強だった。
学校で目立ってたし喧嘩は強いし、大変女にもモテた。
「C組のちかちゃん頂きっ☆」
「いいよ〜俺味見しといてあげたし…上手だったよ?」
いつもライバル視してるのはお互いだった。
それが普通で楽しかった。
華はそれを遠くから見て微笑んでるような柔らかい女の子だった。
-
:10/06/01 04:16
:F02B
:69y7jz22
#180 [亜夢]
-
「A組の坂本華ね〜…」
じいっと見つめながらいつもマナブはそう言った。
いつもなら【食われる前に食べておかなきゃ】とか面白いこと言って調子狂わすのに、出来てなかった。
もちろん俺はすぐわかる。
「〜…お前ああゆうのがタイプか?」
えっと驚いた顔する少年マナブ。 顔真っ赤にして大丈夫か?(笑)
-
:10/06/01 04:19
:F02B
:69y7jz22
#181 [亜夢]
-
俺は知ってた。
意外と照れ屋で見栄っ張りで…女の子の前ではかなり強いのをアピールしたりする。 ただの自慢だが。
「俺が声かけてあげる☆」
ノリノリの俺は向こう側の廊下にいる華に手をぶんぶん振った。
「ねえ〜君が華ちゃん?」
「はい〜☆」
ドキンと胸がはじまる…
…
:10/06/01 04:31
:F02B
:69y7jz22
#182 [亜夢]
-
ほんわりした笑顔。
色素の薄いさらさらの髪の毛。
華奢なからだ。
すらっとのびる足。
俺までその返事だけで坂本華にドキンとしてしまった。
「お…俺らと仲良くしてよ」
「え〜…ふたりともチャラくて有名だから嫌だよっ!!!!」
華はくすくす笑いながらいった。
-
:10/06/07 05:12
:F02B
:kZ685P4M
#183 [亜夢]
-
それから俺、マナブ、華と華の親友:百合恵とよく遊ぶようになった。
廊下ではなしたり放課後遊びにでかけたり。
「ねえ、華て好きな人いる?」
百合恵が聞いてるところをたまたま階段で耳にする俺とマナブ。
このときはお互いわかってた…
お互いが華を好きなことくらい。
「…まあ、ね?」
-
:10/06/07 05:15
:F02B
:kZ685P4M
#184 [亜夢]
-
「あのふたりのどっちかでしょ?」
「さあ〜…」
百合恵と華はきゃっきゃ言いながら教室にはいっていった。
俺たちはいつもどおり学校の屋上にむかってねころがった。
気持ちいい風―…
「恨みっこなしだもんな…」
「ああ。 マナブ告白しね〜の?」
首を横に振るアイツ。
-
:10/06/07 05:17
:F02B
:kZ685P4M
#185 [亜夢]
-
「…絶対無理だ。」
自信がないと顔を伏せた。
「俺…華の好きなやつはお前なんだよ。 凄い好きだからわかる。 見てると実感する…」
俺はなにもいえなかった―…
翌日に電話が鳴った。
「今から華の家行って告白してくる!!!」
決心がついたのかマナブはそう言った。
-
:10/06/07 05:20
:F02B
:kZ685P4M
#186 [亜夢]
-
「駄目で元々だろっ…」
たぶんいつもみたいにニカッと笑ったんだろう。
また後で報告の連絡をいれるから、と言ってマナブは電話を切った。
数時間経っても電話は鳴らない。
ああ、もしかしたら付き合って何かしてるのかもしれない―…
どうせ明日会うし、
聞けばいいんだよな。
聞けば。
-
:10/06/07 05:22
:F02B
:kZ685P4M
#187 [亜夢]
-
…夜中に電話が鳴ってる。
俺は目を擦りながらドアをあけるとパジャマを着たお母さんが顔を真っ青にして飛んできた。
「龍紀っ…―」
お母さんはそのまま何もいわずに車を出すとなぜか病院に向かった。
いやな予感がする―…
「先にいって…」
俺は母さんに言った。
「亡くなったの…」
-
:10/06/07 06:06
:F02B
:kZ685P4M
#188 [亜夢]
-
「マナブ君が亡くなったのよ、龍紀…」
嘘だ。
俺さっき電話したし。
「悪い冗談だな…夜中に。 あの横田おじさん?体調ずっと悪かったもんな?」
マナブのお母さんとお父さんが目に入る。
なんで泣いてるの?
マナブのお母さんは電話してる。
「忍…はやくかえってきなさいっ…」
-
:10/06/07 06:09
:F02B
:kZ685P4M
#189 [亜夢]
-
俺は会ったことないがマナブには双子の弟がいる。
すぐに家をでて年上の女と住んでるとか変なことは聞いた。
「…おばちゃん、マナブは?」
「たっちゃん…」
仲良しだったからマナブのお母さんとは色々話したり、ご飯をごちそうになったりした。
笑顔のおばちゃんが
俺にみせたくしゃくしゃな顔。
-
:10/06/07 06:11
:F02B
:kZ685P4M
#190 [亜夢]
-
「あの子…いってきます!!! て笑顔で出かけたの。 夜にでるなんかいつもだし、なにも心配してなかったわ… 無免許を止めなかったあたしが悪いんだけど…
トラックの運転手が居眠り運転で反対車線にでたらしいのよ… 運悪くマナブはタイアの下敷き…」
俺は首を横に振った。
「…顔はみないほうがいいわ…」
俺は激しく首を横に振る。
ここからでも見える。
白い布をかぶった誰かが寝てるくらいわかってる。
-
:10/06/07 06:14
:F02B
:kZ685P4M
#191 [亜夢]
-
「…マナブ?…」
告白できなかったのか?
俺はそっと白い布をとる。
「―――!!!!!」
思わず絶句してしまった。
顔が確認できる状態ではなかった。
「おばさん、マナブじゃないよ…うん、やっぱ違うんだよ…」
「たっちゃん…」
おばさんの赤くなった目をみればみるほど俺はその場から逃げたかった。
-
:10/06/07 06:16
:F02B
:kZ685P4M
#192 [亜夢]
-
まさか。
そんなはずはない。
日があけて…学校にいかなくてはならない時間になった。
「まさかな…?」
俺は普通に登校して席についた。
バタバタと華と百合恵が俺の元にやってくる。
「嘘でしょ?…」
「ねえ、龍紀…マナブが死んだなんて嘘だよね!!!!」
-
:10/06/07 06:18
:F02B
:kZ685P4M
#193 [亜夢]
-
「き…昨日会った…」
病院で、白い布をかぶってた、息をしてない…あれがマナブ?
「わかんないよ…俺マナブがいなくなった実感なんてこれっぽちもないんだよ!!!」
なんであいつの席が空っぽなんだ?
なんで朝会であいつの名前が何度もでてくるんだ?
なんであいつが俺の隣にいないんだ?
なんで?
「お〜いマナブ…」
-
:10/06/07 06:21
:F02B
:kZ685P4M
#194 [亜夢]
-
もう返事がかえってこなくなって1か月が過ぎた。
学校に行く意味もなくなった。
百合恵は酷く精神的に落ち込んでしまった。
華は俺と百合恵を交互に心配しては連絡をくれたり家まできたこともあった。
まさかいえない―…
あの日マナブは華に告白しに行こうとしてたってことは、とてもじゃないけど口に出せなかった。
-
:10/06/07 06:23
:F02B
:kZ685P4M
#195 [亜夢]
-
華が俺の家にほぼ毎日来るようになった。
俺たたは言葉を交わすこともない結ばれた。 マナブの命日もふたりで手をあわせにいった。
あとから知ったことは…
百合恵がひどくマナブのことを好きだったということ。
それから華はずっと俺のことを好きだったということ。
秘密は
マナブの最後の想い…
-
:10/06/07 06:26
:F02B
:kZ685P4M
#196 [亜夢]
-
***
華は好きだ。
俺らにとってあの時間は大事だった。
いまだに覚えてる。
あの日の笑顔や俺に絡みつく愛しい体。
忘れられない場所や言葉。
忘れてしまいたい痛い過去。
華は好きだったんだ。
でも華はまだ俺の夢をずうっとみているんだ。
-
:10/06/07 06:28
:F02B
:kZ685P4M
#197 [亜夢]
-
気づいたら2031号室の前にいた。
坂本華―…
あのときはそうだったのに17のときに笠屋になったんだな。
マスターの名字が坂本だ、それですべてのつじつまがあう。
「―…」
コンコン。
もちろん誰も返事をしない。
「華―…」
真っ白い病室にはちょこんと痩せた華がいた。
-
:10/06/07 06:31
:F02B
:kZ685P4M
#198 [亜夢]
-
起きたら、奇跡がおきたら俺はどうしたらいいんだろう―…
じっと見つめる華の寝顔。
看護婦のお姉さんがはいって俺に挨拶をした。
「あら…お見かけしたことがないですが…」
俺は軽く会釈をする。
「事故当時に付き合ってた本庄です…華がお世話になってます…」
まあ、と看護婦さん。 過去形にしたほうがいいのか現在進行形がいいのかなんてわからなかった。
-
:10/06/07 06:35
:F02B
:kZ685P4M
#199 [亜夢]
-
もう数時間経っただろう。
動かない華のまつげをじいっとみてた。
俺は時計をみて席をたつ。
(もう行かないと遅刻するよな―…)
俺は荷物をもって去ろうとした。
いや、もしかしたら…
俺は華の唇のちかくに可愛いキスを残した。
華は俺の初恋の相手。
もしかしたらおとぎ話みたいなことがおきるんじゃって少し期待はしてた。
-
:10/06/07 06:38
:F02B
:kZ685P4M
#200 [亜夢]
:10/06/07 06:40
:F02B
:kZ685P4M
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194