*THE GOD OF DEATH*
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#401 [ま-イ子]
これは何に対する懺悔?
父に? それとも、
――――この人に?
悔いる過去は
変わることをせず
彼女を苦しめ
あたしを蝕んでゆく
.
:08/01/08 15:17 :SH903i :C8JPCuP2
#402 [ま-イ子]
ぽたり。
頬に落ちたそれは
滑り落ち
液体であることを示す
ゆっくりと、
彼女の顔を見ると
ぐしゃぐしゃになった
泣き顔が
悲哀で溢れた瞳が
あたしの視線の先に。
.
:08/01/08 15:22 :SH903i :C8JPCuP2
#403 [ま-イ子]
(そんな眼で見ないで)
悲しみ 哀しみ 憎しみ
それらが混ざり合い
罪悪感へと、変わる
自然とあたしの瞳からも
雫が流れ落ちた
.
:08/01/08 15:26 :SH903i :C8JPCuP2
#404 [ま-イ子]
あたしがこの人を
憎めない理由は
もう一つあるのだ
この人は、あたしを
殺そうとしない
.
:08/01/08 15:28 :SH903i :C8JPCuP2
#405 [ま-イ子]
いくら憎しみを
与えられようとも
いくら痛みを
与えられようとも
この人は今まで
あたしを
殺そうとしなかった
.
:08/01/08 15:31 :SH903i :C8JPCuP2
#406 [ま-イ子]
必要最低限な
お金は与えるし
食料だって買っておく
理由なんて、
わかるはずはない
けれど、
(錯覚する)
.
:08/01/08 15:34 :SH903i :C8JPCuP2
#407 [ま-イ子]
:08/01/08 15:35 :SH903i :C8JPCuP2
#408 [ま-イ子]
そんなことない、と
考えてみるものの
それ以外の理由が
見つからないのも
また事実で。
幼い頃から
それだけを希望に
―――生きてきた
.
:08/01/08 15:39 :SH903i :C8JPCuP2
#409 [ま-イ子]
「‥‥ッ‥うっ‥‥う‥」
上から鳴咽が聞こえる
もちろん、それは
彼女のもので。
両手で顔を覆いながら
泣いている
いつの間にか足は
退けられていて
新鮮な酸素が身体に入る
でも、もうそんなことは
どうでもよかった
.
:08/01/08 16:00 :SH903i :C8JPCuP2
#410 [ま-イ子]
今、目の前で
泣いているのは
いつもの"あの人"
なんかじゃ、ない
こんなにも弱々しい
こんなにも、
何かを求めるような
瞳をしている
.
:08/01/08 16:06 :SH903i :C8JPCuP2
#411 [ま-イ子]
:08/01/08 16:09 :SH903i :C8JPCuP2
#412 [ま-イ子]
ぴくり、と反応し
彼女の鳴咽が途絶えた
(-----戻って)
優しい頃の貴女に
(-----戻って)
夫を純粋に
愛していた貴女に
.
:08/01/08 16:23 :SH903i :C8JPCuP2
#413 [ま-イ子]
あたしの願いを
知ってか知らずか
顔を覆っていた手が
徐々に離れていく
そこに、あったのは
母の冷めた瞳と、
無表情な顔
.
:08/01/08 16:29 :SH903i :C8JPCuP2
#414 [ま-イ子]
「‥‥‥‥‥ぇ‥‥」
さっきまでの"母"は?
あたしの、お母さん…
―――――ガッ!
「っ痛…ッ!」
突然髪の毛を掴まれ
痛さに顔が歪む
.
:08/01/08 22:36 :SH903i :C8JPCuP2
#415 [ま-イ子]
ぐい、と持ち上げられ
母との距離が近くなった
「‥今、何て言った‥?」
未だ無表情のまま
あたしに問い掛ける
「…っ………ゃ、…」
緊張と恐怖で声が出ない
「今何て言ったって
聞いてんだよ!」
.
:08/01/08 23:11 :SH903i :C8JPCuP2
#416 [ま-イ子]
――――ガンッ!
鈍い音が室内に響く
頭を壁に打ち付けられ
痛みを通り越して
何も、感じない
(‥何が‥起こったの?)
思考回路を
閉ざされた脳は
現在を理解出来ずにいた
.
:08/01/08 23:21 :SH903i :C8JPCuP2
#417 [ま-イ子]
「…"お母さん"…だって?
……………ふ、………
…あははははははは!!」
突如大声で笑い始めた母
あたしはそれを
只、黙って見上げるしか
出来ない
「あはははは!、………」
ぴたり、と笑い声が止み
母の顔が歪んでゆく
.
:08/01/08 23:32 :SH903i :C8JPCuP2
#418 [ま-イ子]
「…また…………」
一気に声が低くなり
恐怖が増幅する
「また"お母さん"だなんて
言ったら、あんたなんか
殺してやる!」
(――---今、何て…?)
.
:08/01/08 23:36 :SH903i :C8JPCuP2
#419 [ま-イ子]
見開かれた目に映るのは
鬼の様な形相の母
―――――どうして、
只、呆然としている
あたしを睨みながら
母は言葉を続ける
その言葉で、
全ての謎が解けた
.
:08/01/08 23:40 :SH903i :C8JPCuP2
#420 [ま-イ子]
「もう二度と、
"あの人の顔で"
お母さんだなんて
言うんじゃないよ!」
(――--そういうことか)
.
:08/01/08 23:45 :SH903i :C8JPCuP2
#421 [ま-イ子]
以前探し物をしてた時に
偶然発見したアルバム
それには幸せそうな
父と母が写っていた
(本当に幸せそうだった)
その時初めて見た
父の顔に驚愕した
.
:08/01/08 23:58 :SH903i :C8JPCuP2
#422 [ま-イ子]
なぜなら、その顔は
あたしと
恐ろしく似ていたから
.
:08/01/09 00:01 :SH903i :JMqgoNq2
#423 [ま-イ子]
つまり、こういうこと
あたしは"この人"に
愛されていたわけじゃ
なかったんだ
.
:08/01/09 00:03 :SH903i :JMqgoNq2
#424 [ま-イ子]
只、父と似ている
あたしを
憎み、愛しく想い
傷付け、束縛し
その存在を
確かめていたんだ
.
:08/01/09 00:07 :SH903i :JMqgoNq2
#425 [ま-イ子]
殺さなかったのもあの悲しそうな瞳も
"母"と言った事に
憤怒したことも
全 て が 繋 が る
.
:08/01/09 00:11 :SH903i :JMqgoNq2
#426 [ま-イ子]
この人は、
あたしなんか
見ていなかった
ずっと今まで
父を重ね
父だけを見て
父だけを望んだのだ
.
:08/01/09 00:14 :SH903i :JMqgoNq2
#427 [ま-イ子]
殺さなかったんじゃない
――殺せなかったのだ
自分の自己満足の為に
それだけの為に
あたしは"生かされていた"
.
:08/01/09 00:16 :SH903i :JMqgoNq2
#428 [ま-イ子]
「…………ふふ、……」
(なんて、滑稽なの)
何事だ、というような眼で
あたしを見る母に微笑む
(なんて、愚かなの
貴女も……あたしも…)
.
:08/01/09 00:25 :SH903i :JMqgoNq2
#429 [ま-イ子]
愛されていなかった
所詮この人も、
自分の為に
あたしを――――--
あたしは、何の為に ?
何 の 為 、 に
産 ま れ た の
.
:08/01/09 00:28 :SH903i :JMqgoNq2
#430 [ま-イ子]
:08/01/09 00:30 :SH903i :JMqgoNq2
#431 [ま-イ子]
「…ふ、…あはははははははははは!!」
笑い出すあたしを見て
目を見開く彼女
先程とは逆の立場に
満足感を覚えた
溢れ出る、
笑いが止まらない
.
:08/01/09 00:36 :SH903i :JMqgoNq2
#432 [ま-イ子]
「…………ひっ…!」
母は初めて見る
あたしの豹変ぶりに
恐怖を覚えたのか
放る様にあたしを床へ
投げ付け、後退る
(……おもしろい、
おもしろいよ………)
.
:08/01/09 00:42 :SH903i :JMqgoNq2
#433 [ま-イ子]
這い蹲る体勢から
起き上がろうと
手を動かした
ぬるり。
顔を上げると
赤い液体が点々とある
不思議に思い
頭に手をやると
ズキッ、とした痛みと共に
手が赤く染まった
.
:08/01/09 00:50 :SH903i :JMqgoNq2
#434 [ま-イ子]
(…ああ、さっきの…)
壁に打った時に
切ったのだろう
今まで気付かなかった
じっ、と手を見つめる
これを染めてるのは
…赤、 朱、 紅 ……
.
:08/01/09 00:56 :SH903i :JMqgoNq2
#435 [ま-イ子]
にんまり、と
口角が上がる
上体を起こし彼女を
前髪の隙間から見ると
未だ目を見開き
怯えていた
「――…どうしたの‥?」
あたしが口を開くと
彼女の身体が
びくり、と跳ねた
.
:08/01/09 01:01 :SH903i :JMqgoNq2
#436 [ま-イ子]
「何を、そんなに
怯えているの……?」
微笑みながら
四つん這いで
彼女に近付く
「……こ、な…い で‥」
震える足で後退りながら
途切れ途切れに
言葉を紡ぎ出している
.
:08/01/09 01:05 :SH903i :JMqgoNq2
#437 [ま-イ子]
それでもあたしは
確実に近づいて行く
―--ずる、ずる、
顔を青白くした彼女は
腰を抜かしたのか
その場に尻餅をついた
「----や、……いや…」
首を横に振りながら
尚もあたしから
離れようとする
.
:08/01/09 01:11 :SH903i :JMqgoNq2
#438 [ま-イ子]
彼女まであと数歩
「…ねえ、見て……
……綺麗でしょう…?」
血がべっとりと着いた
左手を見せる
震える彼女の瞳には
映っていないけれど
「‥好き、よね‥赤‥」
.
:08/01/09 01:15 :SH903i :JMqgoNq2
#439 [ま-イ子]
伸ばした左手で
彼女の頬に触れた
あたしが指を滑らすと
そこには赤い曲線が
「あたしが、今……
染めてあげる」
.
:08/01/09 01:20 :SH903i :JMqgoNq2
#440 [ま-イ子]
この日から、
あたしの中で
何かが変わった
:08/01/09 01:22 :SH903i :JMqgoNq2
#441 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
第4章 狂変
終わりました!
長かった… ←
久しぶりにたくさん
更新いたしました
今からアンカー貼ります‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/01/09 01:25 :SH903i :JMqgoNq2
#442 [ま-イ子]
:08/01/09 01:30 :SH903i :JMqgoNq2
#443 [極◆UVERtV6RnU]
更新たくさん遅くまでお疲れさまでしたI
読んでてめっちゃ楽しかったですP
また次もがんばってくださいツ
おやすみなさいM
:08/01/09 01:33 :W51S :8FMcJ2HA
#444 [ま-イ子]
:08/01/09 01:34 :SH903i :JMqgoNq2
#445 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
4章長すぎた
勝手ながら、
区切らせていただきました‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/01/09 01:35 :SH903i :JMqgoNq2
#446 [ま-イ子]
:08/01/09 01:40 :SH903i :JMqgoNq2
#447 [ま-イ子]
:08/01/09 02:10 :SH903i :JMqgoNq2
#448 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
見づらい、などの意見
受け付け中です!‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/01/09 19:54 :SH903i :JMqgoNq2
#449 [我輩は匿名である]
いえいえッット
とッても見やすいです
:08/01/09 20:35 :W51S :8FMcJ2HA
#450 [骸]
4章終わったンですね~面白かったです続きも頑張ってくださいx
:08/01/09 20:49 :W51S :ah2CTXtU
#451 [ま-イ子]
:08/01/09 21:30 :SH903i :JMqgoNq2
#452 [ま-イ子]
:08/01/09 21:31 :SH903i :JMqgoNq2
#453 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
よし、更新
しようかな(・ω・)‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/01/09 23:15 :SH903i :JMqgoNq2
#454 [ま-イ子]
-・-第5章 捜査-・-
:08/01/09 23:45 :SH903i :JMqgoNq2
#455 [ま-イ子]
「………ふぅー…」
溜め息混じりに
息を吐き出すと
白い煙が空中を舞った
短くなった煙草を
灰皿に押し付け
逆の手に持っていた
資料に目を通す
「………妙な事件だ…」
.
:08/01/09 23:52 :SH903i :JMqgoNq2
#456 [ま-イ子]
―――ガチャッ
「あ、警部。
此処にいらしたんですか」
声のした方に
視線を向けると
スーツに身を包んだ
後輩が扉から
顔を出していた
「………何か用か」
.
:08/01/09 23:57 :SH903i :JMqgoNq2
#457 [ま-イ子]
直ぐに視線を戻し
吐き捨てる様に言うと
「そんな言い方しなくても
良いじゃないっスか」
男は苦笑いしながら
扉を閉め、俺の元へと
近付いて来た
「馬鹿野郎。
俺はお前の暇潰しに
構ってやる程
優しくもないし
暇でもねーんだよ」
.
:08/01/10 00:05 :SH903i :zb3FNp4s
#458 [ま-イ子]
「暇潰しって…………
…あ、これって
"例の事件"ですか?」
言いかけた言葉を止め
俺の後ろから
資料を覗き見る
「………………ああ。
どうも、謎だらけでな」
短く刈った頭を
ガシガシ、と掻きながら
資料を見る目を細めた
.
:08/01/10 00:16 :SH903i :zb3FNp4s
#459 [ま-イ子]
「…まあ…そうでなければ
犯人なんて
直ぐ捕まってますよ」
「そりゃそーだ。」
後輩の言葉に
納得させられた
(なんか悔しいな)
ギシ、という音を立てて
椅子から立ち上がり
扉へと向かう
「あれ、何処行くんすか?」
.
:08/01/10 00:20 :SH903i :zb3FNp4s
#460 [ま-イ子]
「現場検証だよ。
………お前も行くか?」
のけ反る形で
後ろの奴に聞くと
「いいんスか?」なんて
顔を輝かせている
(半分冗談だったんだが)
「……着いて来い。」
上着を翻し
部屋を後にした
.
:08/01/10 00:27 :SH903i :zb3FNp4s
#461 [ま-イ子]
俺の名前は
柳田 信司(ヤナギダ シンジ)
職業は、刑事
34歳 既婚者
(ちなみに、もうすぐ
三歳になる娘がいる)
と、自己紹介は
この辺にしておこう
.
:08/01/10 00:39 :SH903i :zb3FNp4s
#462 [ま-イ子]
「…そういえば、警部」
ああ、こいつは
俺の後輩の峯(ミネ)だ
(覚えやすいだろう)
ハンドルを握り
シートベルトを
締めている
「現場検証って……
何処行くんですか?」
.
:08/01/10 00:45 :SH903i :zb3FNp4s
#463 [ま-イ子]
「……そうだな。
一番最近起きた所が
いいだろう」
パラ、と資料をめくり
丸印が多々付いている
地図を見る
「北川ですね?
わかりました。」
エンジンが掛かり
車は走り出す
.
:08/01/10 00:52 :SH903i :zb3FNp4s
#464 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐※
この物語はフィクションなので
人物・場所などは
私の勝手な創りものです
※‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/01/10 00:55 :SH903i :zb3FNp4s
#465 [ま-イ子]
「…それにしても、本当に謎だらけな
事件ですね。」
数分の沈黙の後
峯が口を開いた
「…………ああ。
"連続誘拐事件"
今までにも何度か
起こった事件だか…
今回のは異例だ。」
.
:08/01/10 01:03 :SH903i :zb3FNp4s
#466 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
>>465
×起こった事件だか
〇起こった事件だが
すいません‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/01/10 01:07 :SH903i :zb3FNp4s
#467 [ま-イ子]
"連続誘拐事件"
連続と言っているものの
その被害の多さは
今までの比ではない
ここ半年近くで
約90人の被害が
出ているのだ
これは尋常では、ない
.
:08/01/10 01:13 :SH903i :zb3FNp4s
#468 [ま-イ子]
それに――――…「数だけでなく
今までと決定的に
違う点は
"誘拐する手口"だ。」
書類に留められていた
数枚の写真を眺める
.
:08/01/10 01:18 :SH903i :zb3FNp4s
#469 [ま-イ子]
この数カ月、俺達が
動かないわけがない
誘拐が行われる度に
辺りを捜索し
聞き込みをした
しかし、毎度毎度
見つかるのは――――
.
:08/01/10 01:24 :SH903i :zb3FNp4s
#470 [ま-イ子]
「被害者の、血痕だけだ。」
一枚の写真を
運転している峯に見せる
そこに写っているのは
大量の血に染まっている
コンクリート
横目でちらっと見た峯は
僅かに眉を寄せた
.
:08/01/10 01:29 :SH903i :zb3FNp4s
#471 [ま-イ子]
「その量では…もう…」
語尾を濁らせる峯の
言いたい事は、分かる
「手遅れだろうな」
ポケットから出した
煙草に火をつけながら
続きを代弁する
峯の顔が
明らかに曇った
.
:08/01/10 01:38 :SH903i :zb3FNp4s
#472 [ま-イ子]
「…気にしてるのは
そこじゃねえ」
窓を開けて煙を吐き出す
少し肌寒い空気が
車内に入り込む
「分かっていますよ
………死体、ですね。」
「そうだ。
被害者はおろか、
死体さえ
見つかっていない。」
.
:08/01/10 01:43 :SH903i :zb3FNp4s
#473 [ま-イ子]
行方不明者が出ると
必ず新しい血痕が
見つかる
「この量だ。
死んでいておかしくない」
だが、死体は
何処にもないのだ
血痕が見付かった
場所から
死体を隠せる場所は
警察が殆ど探した
.
:08/01/10 01:48 :SH903i :zb3FNp4s
#474 [ま-イ子]
約90人もの死体なんて
隠し通せる訳がない
しかし、
見つからないのだ
こんなことは
絶対に有り得ないのに
「…故に、この事件には
別名があってな……」
.
:08/01/10 01:54 :SH903i :zb3FNp4s
#475 [ま-イ子]
この事件の、
もう一つの名は――ーー
" 神 隠 し "
.
:08/01/10 01:59 :SH903i :zb3FNp4s
#476 [ま-イ子]
:08/01/10 02:02 :SH903i :zb3FNp4s
#477 [ま-イ子]
:08/01/10 02:07 :SH903i :zb3FNp4s
#478 [☆anon☆]
:08/01/10 02:10 :SH903i :r.Ok5hC2
#479 [ま-イ子]
:08/01/10 11:46 :SH903i :zb3FNp4s
#480 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
更新しようかなっ(*¨)b
‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/01/10 12:09 :SH903i :zb3FNp4s
#481 [ま-イ子]
――――――‥
「着きました、警部。」
峯の言葉とほぼ同時に
車が止まり
俺はくわえていた煙草を
使われていないであろう
車内の灰皿に入れた
ドアを開け外に出ると
ひんやり、とした空気が
身体を包み込む
(もう、11月だな…)
.
:08/01/10 12:18 :SH903i :zb3FNp4s
#482 [ま-イ子]
車から降りると
そこは住宅街
しかし人通りは少なく
遠くから聞こえてくる
車の音だけが耳に入る
足を進めると
コツ‥コツ‥とした音が
周りに響き渡った
「…あそこだな…」
.
:08/01/10 12:23 :SH903i :zb3FNp4s
#483 [ま-イ子]
そう呟く俺の
目線の先は
黄色いテープで仕切られ
その中は、そこだけ
違う空間のように
真っ赤だった
一応手に持っている
資料と確認してみたが
間違いないようだ
.
:08/01/10 12:27 :SH903i :zb3FNp4s
#484 [ま-イ子]
ゆっくり近付くと
その光景に
吐き気を感じた
地面にはそれこそ
大量の血が付いているが
住宅を仕切る塀にまでも
飛び散った血痕が
生々しく残っている
「……酷いっスね…」
峯がその場所を
見つめながら呟いた
.
:08/01/10 12:34 :SH903i :zb3FNp4s
#485 [ま-イ子]
「…一昨日起こったものだ
もう血は乾いているな。」
黄色いテープを跨ぎ
現場へと入る
塀に付いてる血痕に触れ
指先を見てみたが
いつもの肌色だ
「被害者とされているのは
この近辺に住む男性だ。
一昨日から行方不明で
今だ発見されていない」
淡々と言う俺の説明を
峯は静かに聞いている
.
:08/01/10 12:41 :SH903i :zb3FNp4s
#486 [ま-イ子]
「捜索中だが…………
まあ、見つかる可能性は
低いだろうな。」
今までと同じ手口なのだ
見付けるのは困難だろう
――――ザリッ
地面の血痕にも
触れてみるが
塀に付いたものと
変わらなかった
.
:08/01/10 12:49 :SH903i :zb3FNp4s
#487 [ま-イ子]
「………………。」
しゃがみ込み、いきなり
無言になった俺の顔を
峯が覗き込む
「………警部?
どうかされまし…」
「妙だと思わないか」
峯の言葉を遮り
言葉を放つと
へ?と素っ頓狂な
声が聞こえた
.
:08/01/10 12:54 :SH903i :zb3FNp4s
#488 [ま-イ子]
「この血の量からして
死んでいておかしくない
なのに死体がない
ということは、
犯人が運んだと
言うことになる。」
「でもそんな痕跡
ないですよね。」
峯はキョロキョロと
辺りを見回しながら
言葉を返して来た
.
:08/01/10 12:58 :SH903i :zb3FNp4s
#489 [ま-イ子]
「その方法も謎だが、
1番の謎は……………
"何故そんな事をしたか"
ということだ。」
「見付かったら困るから
とかじゃないんですか?」
きょとん、とした顔で
首を傾げて聞いてきた
(やはりお前はまだ青いな)
.
:08/01/10 13:04 :SH903i :zb3FNp4s
#490 [ま-イ子]
「そう考えるのが
普通なんだが……
ならば何故、犯人は
"わざわざ殺してから"
運んでいるのか。」
未だ頭に?を浮かべてる
峯を横目に続ける
「死体を運ぶなんて、
そう簡単な事じゃない。
それに、見付かりたく
ないのであれば
こんな人目に付く場所で
殺したりなんかせずに
隠してる場所へ連れて行き
殺した方が楽だろう?」
.
:08/01/10 13:12 :SH903i :zb3FNp4s
#491 [ま-イ子]
ああ、と感心する峯
(おせーぞ)
「それをしない、
ということが
何を意味するのか……」
短く生えた顎髭に
触れながら考え込む
.
:08/01/10 13:48 :SH903i :zb3FNp4s
#492 [ま-イ子]
「血痕が見つかっている
場所は、バラバラだ。
死体を一カ所に
集めているとは
考えにくいんだが…」
地図を見ると
丸印はあちこちに
付いていた
「それなら、何人かは
見付かってもいいはず…
……………ですよね?」
.
:08/01/10 13:54 :SH903i :zb3FNp4s
#493 [ま-イ子]
自信なさ気に
聞いてきた峯に
ああ。と返事をすると
顔が明るくなった
(単純な奴)
そんなコイツに呆れる
「犯人は何を
考えているのか――…」
はぁ、と大きく溜息をつき
ガシガシ、と頭を掻いた
無意識にポケットへ
手を伸ばし煙草を取る
.
:08/01/10 14:02 :SH903i :zb3FNp4s
#494 [ま-イ子]
「一昨日の被害者と
今までの被害者との
関係は?」
「今のところ無しだ。
今までの被害者達で
共通する所もバラバラ。
全員に共通しているのは
"この街に住んでいる"と
いう所だろうな…」
それだけ一気に言うと
煙草に火をつける
.
:08/01/10 14:13 :SH903i :zb3FNp4s
#495 [ま-イ子]
「次の犯行の予測も
つかない…………
お手上げっスね…」
肩をすくめ峯は
溜息をついた
それにつられて俺も
息を吐き出す
「どうしたもんか…」
.
:08/01/10 14:38 :SH903i :zb3FNp4s
#496 [ま-イ子]
重たい沈黙が流れる
峯は顎に手を添え
考え込み
俺は灰になっていく
煙草を眺めていた
少しずつ
長さを増していく灰は
重力に耐え切れなくなり
地へと
落ちていった
.
:08/01/10 14:50 :SH903i :zb3FNp4s
#497 [ま-イ子]
「あーーーー!!」
突然の峯の大声が
住宅街に響き渡る
「な、なんだよ!
いきなり大声で!」
驚いた俺もすこし
声を張り上げた
当の本人は俺を指差し
口をパクパクさせている
.
:08/01/10 15:36 :SH903i :zb3FNp4s
#498 [ま-イ子]
「なんだよじゃ
ないですよ!
何、現場に灰なんか
落としてんスか!!」
「なんだそんな事かよ」
冷静を取り戻した俺は
再度煙草に口をつける
なにやってんスか〜、と
峯は慌てた様子で
血痕の上に落ちた灰を
手で掃いていた
.
:08/01/10 15:40 :SH903i :zb3FNp4s
#499 [ま-イ子]
俺はその様子を
見下ろしながら
再度煙草を口にくわえる
煙を肺に入れた瞬間
冷たい風が頬を掠めた
はらはら、と灰が舞う
流れ落ちてゆく粒子を
目で追い掛けた
.
:08/01/10 20:51 :SH903i :zb3FNp4s
#500 [ま-イ子]
(―――――――ん?)
目を細め
見ていた場所を確認し
そこに近付いた
しゃがみ込み、
"そこ"に触れる
―――やっぱり、だ
.
:08/01/10 21:26 :SH903i :zb3FNp4s
#501 [ま-イ子]
そこにあったのは
細い、割れ目
(まるで、何かが
刺さっていたかのような)
じ、と見ていると
後ろから話し掛けられた
「…………警部……
ちょっとコレ、
見て頂けますか?」
.
:08/01/10 21:30 :SH903i :zb3FNp4s
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