*THE GOD OF DEATH*
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#401 [ま-イ子]
これは何に対する懺悔?


父に? それとも、


――――この人に?




悔いる過去は
変わることをせず

彼女を苦しめ
あたしを蝕んでゆく

.

⏰:08/01/08 15:17 📱:SH903i 🆔:C8JPCuP2


#402 [ま-イ子]

ぽたり。



頬に落ちたそれは
滑り落ち
液体であることを示す

ゆっくりと、
彼女の顔を見ると


ぐしゃぐしゃになった
泣き顔が

悲哀で溢れた瞳が


あたしの視線の先に。

.

⏰:08/01/08 15:22 📱:SH903i 🆔:C8JPCuP2


#403 [ま-イ子]
(そんな眼で見ないで)


悲しみ 哀しみ 憎しみ

それらが混ざり合い


罪悪感へと、変わる





自然とあたしの瞳からも
雫が流れ落ちた

.

⏰:08/01/08 15:26 📱:SH903i 🆔:C8JPCuP2


#404 [ま-イ子]
あたしがこの人を
憎めない理由は

もう一つあるのだ





この人は、あたしを







殺そうとしない

.

⏰:08/01/08 15:28 📱:SH903i 🆔:C8JPCuP2


#405 [ま-イ子]
いくら憎しみを
与えられようとも

いくら痛みを
与えられようとも



この人は今まで


あたしを

殺そうとしなかった

.

⏰:08/01/08 15:31 📱:SH903i 🆔:C8JPCuP2


#406 [ま-イ子]
必要最低限な
お金は与えるし

食料だって買っておく




理由なんて、

わかるはずはない


けれど、

(錯覚する)

.

⏰:08/01/08 15:34 📱:SH903i 🆔:C8JPCuP2


#407 [ま-イ子]



愛されてるんじゃ

ないかって。


⏰:08/01/08 15:35 📱:SH903i 🆔:C8JPCuP2


#408 [ま-イ子]
そんなことない、と
考えてみるものの

それ以外の理由が
見つからないのも
また事実で。




幼い頃から

それだけを希望に


―――生きてきた

.

⏰:08/01/08 15:39 📱:SH903i 🆔:C8JPCuP2


#409 [ま-イ子]
「‥‥ッ‥うっ‥‥う‥」


上から鳴咽が聞こえる
もちろん、それは
彼女のもので。

両手で顔を覆いながら
泣いている


いつの間にか足は
退けられていて
新鮮な酸素が身体に入る


でも、もうそんなことは
どうでもよかった

.

⏰:08/01/08 16:00 📱:SH903i 🆔:C8JPCuP2


#410 [ま-イ子]
今、目の前で
泣いているのは


いつもの"あの人"
なんかじゃ、ない



こんなにも弱々しい


こんなにも、

何かを求めるような
瞳をしている

.

⏰:08/01/08 16:06 📱:SH903i 🆔:C8JPCuP2


#411 [ま-イ子]

―――貴女は‥














「お 母 さ ん … ?」


.

⏰:08/01/08 16:09 📱:SH903i 🆔:C8JPCuP2


#412 [ま-イ子]
ぴくり、と反応し
彼女の鳴咽が途絶えた



(-----戻って)


優しい頃の貴女に


(-----戻って)


夫を純粋に
愛していた貴女に

.

⏰:08/01/08 16:23 📱:SH903i 🆔:C8JPCuP2


#413 [ま-イ子]
あたしの願いを
知ってか知らずか

顔を覆っていた手が
徐々に離れていく



そこに、あったのは






母の冷めた瞳と、
無表情な顔


.

⏰:08/01/08 16:29 📱:SH903i 🆔:C8JPCuP2


#414 [ま-イ子]

「‥‥‥‥‥ぇ‥‥」


さっきまでの"母"は?

あたしの、お母さん…



―――――ガッ!


「っ痛…ッ!」

突然髪の毛を掴まれ
痛さに顔が歪む

.

⏰:08/01/08 22:36 📱:SH903i 🆔:C8JPCuP2


#415 [ま-イ子]
ぐい、と持ち上げられ
母との距離が近くなった


「‥今、何て言った‥?」


未だ無表情のまま
あたしに問い掛ける

「…っ………ゃ、…」

緊張と恐怖で声が出ない


「今何て言ったって
聞いてんだよ!」


.

⏰:08/01/08 23:11 📱:SH903i 🆔:C8JPCuP2


#416 [ま-イ子]
――――ガンッ!


鈍い音が室内に響く

頭を壁に打ち付けられ
痛みを通り越して
何も、感じない


(‥何が‥起こったの?)


思考回路を
閉ざされた脳は
現在を理解出来ずにいた

.

⏰:08/01/08 23:21 📱:SH903i 🆔:C8JPCuP2


#417 [ま-イ子]
「…"お母さん"…だって?
……………ふ、………
…あははははははは!!」


突如大声で笑い始めた母
あたしはそれを
只、黙って見上げるしか
出来ない



「あはははは!、………」


ぴたり、と笑い声が止み
母の顔が歪んでゆく

.

⏰:08/01/08 23:32 📱:SH903i 🆔:C8JPCuP2


#418 [ま-イ子]
「…また…………」


一気に声が低くなり
恐怖が増幅する


「また"お母さん"だなんて
言ったら、あんたなんか
殺してやる!






(――---今、何て…?)

.

⏰:08/01/08 23:36 📱:SH903i 🆔:C8JPCuP2


#419 [ま-イ子]
見開かれた目に映るのは
鬼の様な形相の母



―――――どうして、




只、呆然としている
あたしを睨みながら
母は言葉を続ける



その言葉で、
全ての謎が解けた

.

⏰:08/01/08 23:40 📱:SH903i 🆔:C8JPCuP2


#420 [ま-イ子]

「もう二度と、
"あの人の顔で"
お母さんだなんて
言うんじゃないよ!」











(――--そういうことか)

.

⏰:08/01/08 23:45 📱:SH903i 🆔:C8JPCuP2


#421 [ま-イ子]
以前探し物をしてた時に
偶然発見したアルバム

それには幸せそうな
父と母が写っていた


(本当に幸せそうだった)



その時初めて見た
父の顔に驚愕した

.

⏰:08/01/08 23:58 📱:SH903i 🆔:C8JPCuP2


#422 [ま-イ子]

なぜなら、その顔は














あたしと

恐ろしく似ていたから

.

⏰:08/01/09 00:01 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#423 [ま-イ子]

つまり、こういうこと





あたしは"この人"に







愛されていたわけじゃ

なかったんだ

.

⏰:08/01/09 00:03 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#424 [ま-イ子]
只、父と似ている
あたしを

憎み、愛しく想い


傷付け、束縛し





その存在を

確かめていたんだ

.

⏰:08/01/09 00:07 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#425 [ま-イ子]


殺さなかったのも



あの悲しそうな瞳も


"母"と言った事に
憤怒したことも






全 て が 繋 が る


.

⏰:08/01/09 00:11 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#426 [ま-イ子]

この人は、


あたしなんか
見ていなかった




ずっと今まで

父を重ね

父だけを見て

父だけを望んだのだ

.

⏰:08/01/09 00:14 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#427 [ま-イ子]
殺さなかったんじゃない


――殺せなかったのだ


自分の自己満足の為に






それだけの為に

あたしは"生かされていた"

.

⏰:08/01/09 00:16 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#428 [ま-イ子]

「…………ふふ、……」



(なんて、滑稽なの)



何事だ、というような眼で
あたしを見る母に微笑む





(なんて、愚かなの
貴女も……あたしも…)

.

⏰:08/01/09 00:25 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#429 [ま-イ子]

愛されていなかった


所詮この人も、

自分の為に
あたしを――――--




あたしは、何の為に ?


何 の 為 、 に

産 ま れ た の

.

⏰:08/01/09 00:28 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#430 [ま-イ子]





あ た し の 中 で

何 か が 壊 れ た




.

⏰:08/01/09 00:30 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#431 [ま-イ子]
「…ふ、…あはははははははははは!!



笑い出すあたしを見て
目を見開く彼女

先程とは逆の立場に
満足感を覚えた



溢れ出る、

笑いが止まらない

.

⏰:08/01/09 00:36 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#432 [ま-イ子]

「…………ひっ…!」



母は初めて見る
あたしの豹変ぶりに
恐怖を覚えたのか

放る様にあたしを床へ
投げ付け、後退る



(……おもしろい、
おもしろいよ………)

.

⏰:08/01/09 00:42 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#433 [ま-イ子]
這い蹲る体勢から
起き上がろうと
手を動かした


ぬるり。


顔を上げると
赤い液体が点々とある

不思議に思い
頭に手をやると
ズキッ、とした痛みと共に
手が赤く染まった

.

⏰:08/01/09 00:50 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#434 [ま-イ子]
(…ああ、さっきの…)

壁に打った時に
切ったのだろう

今まで気付かなかった



じっ、と手を見つめる


これを染めてるのは


…赤、 朱、 紅 ……

.

⏰:08/01/09 00:56 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#435 [ま-イ子]
にんまり、と
口角が上がる

上体を起こし彼女を
前髪の隙間から見ると
未だ目を見開き
怯えていた


「――…どうしたの‥?」


あたしが口を開くと
彼女の身体が
びくり、と跳ねた

.

⏰:08/01/09 01:01 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#436 [ま-イ子]
「何を、そんなに
怯えているの……?」


微笑みながら
四つん這いで
彼女に近付く


「……こ、な…い で‥」


震える足で後退りながら
途切れ途切れに
言葉を紡ぎ出している

.

⏰:08/01/09 01:05 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#437 [ま-イ子]
それでもあたしは
確実に近づいて行く


―--ずる、ずる、


顔を青白くした彼女は
腰を抜かしたのか
その場に尻餅をついた

「----や、……いや…」

首を横に振りながら
尚もあたしから
離れようとする

.

⏰:08/01/09 01:11 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#438 [ま-イ子]
彼女まであと数歩


「…ねえ、見て……
……綺麗でしょう…?」


血がべっとりと着いた
左手を見せる

震える彼女の瞳には
映っていないけれど


「‥好き、よね‥赤‥」

.

⏰:08/01/09 01:15 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#439 [ま-イ子]
伸ばした左手で
彼女の頬に触れた

あたしが指を滑らすと
そこには赤い曲線が



「あたしが、今……






染めてあげる


.

⏰:08/01/09 01:20 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#440 [ま-イ子]



この日から、


あたしの中で


何かが変わった



⏰:08/01/09 01:22 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#441 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
第4章 狂変

終わりました!
長かった… ←
久しぶりにたくさん
更新いたしました
今からアンカー貼ります

‐‐‐‐‐‐‐‐

⏰:08/01/09 01:25 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#442 [ま-イ子]

THE GOD OF DEATH

>>1-2

第1章
>>3-76

第2章
>>81-138

第3章
>>143-191

第4章
>>197-349
>>362-440

⏰:08/01/09 01:30 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#443 [極◆UVERtV6RnU]
更新たくさん遅くまでお疲れさまでしたI
読んでてめっちゃ楽しかったですP
また次もがんばってくださいツ

おやすみなさいM

⏰:08/01/09 01:33 📱:W51S 🆔:8FMcJ2HA


#444 [ま-イ子]

THE GOD OF DEATH

>>1-2

第1章
>>3-76

第2章
>>81-138

第3章
>>143-191

第4章
>>197-280
>>281-349
>>362-440

⏰:08/01/09 01:34 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#445 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
4章長すぎた
勝手ながら、
区切らせていただきました

‐‐‐‐‐‐‐‐

⏰:08/01/09 01:35 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#446 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
>>443 極さま_

ありがとうございます!
頑張っちゃいました
応援の言葉
すごくうれしいですッ
次も頑張ろうと思います

遅くまで読んで頂き
ありがとうございます(*''*)
おやすみなさい★

‐‐‐‐‐‐‐‐

⏰:08/01/09 01:40 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#447 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
次から次へと続きが
頭に浮かんでくる!(д)←
はやく完結
させたいなあ…

今日は寝ます(゚3!)
明日(今日)また更新します〜
おやすみなさいっ

‐‐‐‐‐‐‐‐

⏰:08/01/09 02:10 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#448 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐

見づらい、などの意見
受け付け中です


‐‐‐‐‐‐‐‐

⏰:08/01/09 19:54 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#449 [我輩は匿名である]
いえいえッット
とッても見やすいです

⏰:08/01/09 20:35 📱:W51S 🆔:8FMcJ2HA


#450 []
4章終わったンですね~面白かったです続きも頑張ってくださいx

⏰:08/01/09 20:49 📱:W51S 🆔:ah2CTXtU


#451 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
>>449 匿名さま_

見やすいですか
うう…泣きそうです ←
ありがとうございます!


>>450 骸さま_

お待たせして
申し訳ありません
応援ありがとう
ございます!(、∀`)
これからどんどん
更新いたします

‐‐‐‐‐‐‐‐

⏰:08/01/09 21:30 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#452 [ま-イ子]

THE GOD OF DEATH

>>1-2

第1章
>>3-76

第2章
>>81-138

第3章
>>143-191

第4章
>>197-280
>>281-349
>>362-440

⏰:08/01/09 21:31 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#453 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐

よし、更新
しようかな(・ω・)


‐‐‐‐‐‐‐‐

⏰:08/01/09 23:15 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#454 [ま-イ子]
-・-第5章 捜査-・-

⏰:08/01/09 23:45 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#455 [ま-イ子]

「………ふぅー…」



溜め息混じりに
息を吐き出すと
白い煙が空中を舞った

短くなった煙草を
灰皿に押し付け

逆の手に持っていた
資料に目を通す




「………妙な事件だ…」

.

⏰:08/01/09 23:52 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#456 [ま-イ子]

―――ガチャッ



「あ、警部。
此処にいらしたんですか」


声のした方に
視線を向けると

スーツに身を包んだ
後輩が扉から
顔を出していた


「………何か用か」

.

⏰:08/01/09 23:57 📱:SH903i 🆔:JMqgoNq2


#457 [ま-イ子]

直ぐに視線を戻し

吐き捨てる様に言うと

「そんな言い方しなくても
良いじゃないっスか」

男は苦笑いしながら
扉を閉め、俺の元へと
近付いて来た


「馬鹿野郎。
俺はお前の暇潰しに
構ってやる程
優しくもないし
暇でもねーんだよ」

.

⏰:08/01/10 00:05 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#458 [ま-イ子]

「暇潰しって…………
…あ、これって

"例の事件"ですか?」

言いかけた言葉を止め
俺の後ろから
資料を覗き見る


「………………ああ。
どうも、謎だらけでな」


短く刈った頭を
ガシガシ、と掻きながら
資料を見る目を細めた

.

⏰:08/01/10 00:16 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#459 [ま-イ子]

「…まあ…そうでなければ
犯人なんて

直ぐ捕まってますよ」

「そりゃそーだ。」

後輩の言葉に
納得させられた

(なんか悔しいな)

ギシ、という音を立てて
椅子から立ち上がり
扉へと向かう


「あれ、何処行くんすか?」

.

⏰:08/01/10 00:20 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#460 [ま-イ子]

「現場検証だよ。

………お前も行くか?」

のけ反る形で
後ろの奴に聞くと
「いいんスか?」なんて
顔を輝かせている


(半分冗談だったんだが)



「……着いて来い。」

上着を翻し
部屋を後にした

.

⏰:08/01/10 00:27 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#461 [ま-イ子]


俺の名前は

柳田 信司(ヤナギダ シンジ)

職業は、刑事

34歳 既婚者

(ちなみに、もうすぐ
三歳になる娘がいる)


と、自己紹介は
この辺にしておこう

.

⏰:08/01/10 00:39 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#462 [ま-イ子]

「…そういえば、警部」


ああ、こいつは
俺の後輩の峯(ミネ)だ

(覚えやすいだろう)

ハンドルを握り
シートベルトを
締めている


「現場検証って……
何処行くんですか?」

.

⏰:08/01/10 00:45 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#463 [ま-イ子]

「……そうだな。
一番最近起きた所が
いいだろう」


パラ、と資料をめくり
丸印が多々付いている
地図を見る

「北川ですね?
わかりました。」


エンジンが掛かり
車は走り出す

.

⏰:08/01/10 00:52 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#464 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐※

この物語はフィクションなので
人物・場所などは
私の勝手な創りものです


※‐‐‐‐‐‐‐‐

⏰:08/01/10 00:55 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#465 [ま-イ子]

「…それにしても、

本当に謎だらけな
事件ですね。」

数分の沈黙の後
峯が口を開いた


「…………ああ。

"連続誘拐事件"


今までにも何度か
起こった事件だか…
今回のは異例だ。」

.

⏰:08/01/10 01:03 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#466 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐

>>465

×起こった事件だ

〇起こった事件だ

すいません


‐‐‐‐‐‐‐‐

⏰:08/01/10 01:07 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#467 [ま-イ子]


"連続誘拐事件"



連続と言っているものの
その被害の多さは
今までの比ではない

ここ半年近くで
約90人の被害が
出ているのだ


これは尋常では、ない


.

⏰:08/01/10 01:13 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#468 [ま-イ子]

それに――――…



「数だけでなく
今までと決定的に
違う点は

"誘拐する手口"だ。」



書類に留められていた
数枚の写真を眺める

.

⏰:08/01/10 01:18 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#469 [ま-イ子]

この数カ月、俺達が
動かないわけがない

誘拐が行われる度に

辺りを捜索し
聞き込みをした


しかし、毎度毎度
見つかるのは――――

.

⏰:08/01/10 01:24 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#470 [ま-イ子]

「被害者の、血痕だけだ。」


一枚の写真を
運転している峯に見せる

そこに写っているのは


大量の血に染まっている
コンクリート



横目でちらっと見た峯は
僅かに眉を寄せた

.

⏰:08/01/10 01:29 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#471 [ま-イ子]

「その量では…もう…」


語尾を濁らせる峯の
言いたい事は、分かる

「手遅れだろうな」


ポケットから出した
煙草に火をつけながら
続きを代弁する


峯の顔が
明らかに曇った

.

⏰:08/01/10 01:38 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#472 [ま-イ子]

「…気にしてるのは
そこじゃねえ」


窓を開けて煙を吐き出す
少し肌寒い空気が
車内に入り込む


「分かっていますよ
………死体、ですね。」


「そうだ。
被害者はおろか、
死体さえ
見つかっていない。」

.

⏰:08/01/10 01:43 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#473 [ま-イ子]

行方不明者が出ると
必ず新しい血痕が
見つかる


「この量だ。
死んでいておかしくない」

だが、死体は
何処にもないのだ


血痕が見付かった
場所から
死体を隠せる場所は
警察が殆ど探した

.

⏰:08/01/10 01:48 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#474 [ま-イ子]

約90人もの死体なんて
隠し通せる訳がない


しかし、
見つからないのだ


こんなことは
絶対に有り得ないのに



「…故に、この事件には
別名があってな……」

.

⏰:08/01/10 01:54 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#475 [ま-イ子]


この事件の、
もう一つの名は――ーー










" 神 隠 し "


.

⏰:08/01/10 01:59 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#476 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐

区切りがいいので
今日はここまでにします

キャラ作りが難しい
柳田さんがお気に入り
だったりします(・・)←

ではでは、また明日
おやすみなさい


‐‐‐‐‐‐‐‐

⏰:08/01/10 02:02 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#477 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐

第1章〜第4章
>>452

第5章(執筆中)
>>454-475

‐‐‐‐‐‐‐‐

⏰:08/01/10 02:07 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#478 [☆anon☆]
めちゃめちゃおもしろぃデス
また楽しみにしてます

⏰:08/01/10 02:10 📱:SH903i 🆔:r.Ok5hC2


#479 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐

>>478 ☆anon☆さま_

おもしろいだなんて、
最高の褒め言葉です(;_;)
皆様の応援に
本当に励まされて
おります
ありがとうございます


‐‐‐‐‐‐‐‐

⏰:08/01/10 11:46 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#480 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐

更新しようかなっ(*¨)b


‐‐‐‐‐‐‐‐

⏰:08/01/10 12:09 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#481 [ま-イ子]
――――――‥

「着きました、警部。」


峯の言葉とほぼ同時に
車が止まり

俺はくわえていた煙草を
使われていないであろう
車内の灰皿に入れた

ドアを開け外に出ると
ひんやり、とした空気が
身体を包み込む

(もう、11月だな…)

.

⏰:08/01/10 12:18 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#482 [ま-イ子]

車から降りると

そこは住宅街

しかし人通りは少なく
遠くから聞こえてくる
車の音だけが耳に入る


足を進めると
コツ‥コツ‥とした音が
周りに響き渡った


「…あそこだな…」

.

⏰:08/01/10 12:23 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#483 [ま-イ子]

そう呟く俺の
目線の先は


黄色いテープで仕切られ
その中は、そこだけ
違う空間のように
真っ赤だった


一応手に持っている
資料と確認してみたが

間違いないようだ

.

⏰:08/01/10 12:27 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#484 [ま-イ子]

ゆっくり近付くと
その光景に
吐き気を感じた



地面にはそれこそ
大量の血が付いているが
住宅を仕切る塀にまでも
飛び散った血痕が
生々しく残っている


「……酷いっスね…」


峯がその場所を
見つめながら呟いた

.

⏰:08/01/10 12:34 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#485 [ま-イ子]

「…一昨日起こったものだ
もう血は乾いているな。」

黄色いテープを跨ぎ
現場へと入る
塀に付いてる血痕に触れ
指先を見てみたが
いつもの肌色だ


「被害者とされているのは
この近辺に住む男性だ。
一昨日から行方不明で
今だ発見されていない」

淡々と言う俺の説明を
峯は静かに聞いている

.

⏰:08/01/10 12:41 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#486 [ま-イ子]

「捜索中だが…………
まあ、見つかる可能性は
低いだろうな。」


今までと同じ手口なのだ
見付けるのは困難だろう


――――ザリッ

地面の血痕にも
触れてみるが
塀に付いたものと
変わらなかった

.

⏰:08/01/10 12:49 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#487 [ま-イ子]

「………………。」


しゃがみ込み、いきなり
無言になった俺の顔を
峯が覗き込む


「………警部?
どうかされまし…」

「妙だと思わないか」


峯の言葉を遮り
言葉を放つと
へ?と素っ頓狂な
声が聞こえた

.

⏰:08/01/10 12:54 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#488 [ま-イ子]

「この血の量からして
死んでいておかしくない
なのに死体がない
ということは、

犯人が運んだと
言うことになる。」

「でもそんな痕跡
ないですよね。」


峯はキョロキョロと
辺りを見回しながら
言葉を返して来た

.

⏰:08/01/10 12:58 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#489 [ま-イ子]

「その方法も謎だが、
1番の謎は……………

"何故そんな事をしたか"

ということだ。」

「見付かったら困るから
とかじゃないんですか?」


きょとん、とした顔で
首を傾げて聞いてきた


(やはりお前はまだ青いな)

.

⏰:08/01/10 13:04 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#490 [ま-イ子]
「そう考えるのが
普通なんだが……
ならば何故、犯人は
"わざわざ殺してから"
運んでいるのか。」

未だ頭に?を浮かべてる
峯を横目に続ける

「死体を運ぶなんて、
そう簡単な事じゃない。
それに、見付かりたく
ないのであれば
こんな人目に付く場所で
殺したりなんかせずに
隠してる場所へ連れて行き
殺した方が楽だろう?」

.

⏰:08/01/10 13:12 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#491 [ま-イ子]

ああ、と感心する峯

(おせーぞ)


「それをしない、
ということが
何を意味するのか……」


短く生えた顎髭に
触れながら考え込む

.

⏰:08/01/10 13:48 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#492 [ま-イ子]

「血痕が見つかっている
場所は、バラバラだ。
死体を一カ所に
集めているとは

考えにくいんだが…」

地図を見ると
丸印はあちこちに
付いていた


「それなら、何人かは
見付かってもいいはず…
……………ですよね?」

.

⏰:08/01/10 13:54 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#493 [ま-イ子]
自信なさ気に
聞いてきた峯に
ああ。と返事をすると
顔が明るくなった

(単純な奴)

そんなコイツに呆れる


「犯人は何を
考えているのか――…」

はぁ、と大きく溜息をつき
ガシガシ、と頭を掻いた

無意識にポケットへ
手を伸ばし煙草を取る

.

⏰:08/01/10 14:02 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#494 [ま-イ子]

「一昨日の被害者と
今までの被害者との
関係は?」


「今のところ無しだ。
今までの被害者達で
共通する所もバラバラ。
全員に共通しているのは
"この街に住んでいる"と
いう所だろうな…」


それだけ一気に言うと
煙草に火をつける

.

⏰:08/01/10 14:13 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#495 [ま-イ子]

「次の犯行の予測も
つかない…………
お手上げっスね…」



肩をすくめ峯は
溜息をついた

それにつられて俺も
息を吐き出す


「どうしたもんか…」

.

⏰:08/01/10 14:38 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#496 [ま-イ子]

重たい沈黙が流れる

峯は顎に手を添え
考え込み

俺は灰になっていく
煙草を眺めていた


少しずつ
長さを増していく灰は
重力に耐え切れなくなり

地へと
落ちていった

.

⏰:08/01/10 14:50 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#497 [ま-イ子]

あーーーー!!



突然の峯の大声が
住宅街に響き渡る


「な、なんだよ!
いきなり大声で!」


驚いた俺もすこし
声を張り上げた

当の本人は俺を指差し
口をパクパクさせている

.

⏰:08/01/10 15:36 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#498 [ま-イ子]

「なんだよじゃ
ないですよ!

何、現場に灰なんか
落としてんスか!!」

「なんだそんな事かよ」


冷静を取り戻した俺は
再度煙草に口をつける

なにやってんスか〜、と
峯は慌てた様子で
血痕の上に落ちた灰を
手で掃いていた

.

⏰:08/01/10 15:40 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#499 [ま-イ子]

俺はその様子を
見下ろしながら

再度煙草を口にくわえる


煙を肺に入れた瞬間
冷たい風が頬を掠めた


はらはら、と灰が舞う


流れ落ちてゆく粒子を
目で追い掛けた

.

⏰:08/01/10 20:51 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#500 [ま-イ子]

(―――――――ん?)


目を細め
見ていた場所を確認し
そこに近付いた

しゃがみ込み、
"そこ"に触れる


―――やっぱり、だ

.

⏰:08/01/10 21:26 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


#501 [ま-イ子]

そこにあったのは


細い、割れ目


(まるで、何かが
刺さっていたかのような)


じ、と見ていると
後ろから話し掛けられた


「…………警部……
ちょっとコレ、
見て頂けますか?」

.

⏰:08/01/10 21:30 📱:SH903i 🆔:zb3FNp4s


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