ダイスキ。

カチカチッ‥

(よしっこれでOKっと‥)

ピッ

茜は携帯を閉じると枕に顔をうずめた―‥

(今日の和紀はすごい甘かったぁ‥ただの幼なじみの時とはやっぱり違うね)

思い出してはドキドキする。

♪♪♪♪♪

(返信はやっ‥)

驚いたけど少しにやけつつ

を開く。

――――――――――――From 和紀
Sub Re：初

だね

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿確かに笑
ﾒｱﾄﾞ知らなかったのはびっくりだった!!

てか今日茜のクラス行ったんだけどいなかった‥

――――――――――――

(あ‥すっかり忘れてた;
しかも呼び出されてたなんて言えないし‥)

カチカチッ

ピッ

(送信っと‥)

♪♪♪
次は５分後位に返信が来た。

――――――――――――From 和紀
Sub Re：Re：Re：初

だね

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿メイドがトイレとか行くなよ‥笑

てかメイド服見たかった

ダチが皆茜可愛かったっていったから殴っといたし

――――――――――――
(和紀‥変態なの??笑

しかもヤキモチ焼いちゃって‥可愛すぎだよ‥///)

付き合ってから始めてみる和紀の一面が次々とあって、

私は一つずつ、そんな和紀を宝物のように胸にしまう。

その日は疲れていたけど、夜中の二時まで

してしまった。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
―‥時は流れ

　　　高三の七月―‥

これから私達の淡い恋は‥子供時代を終える。

私はもちろんまだ和紀と付き合っていた。

和紀は引退前なので部活で忙しい日々を送っている。

勉強？

もちろん私は受験組。今年の夏は受験勉強に励むつもり。

でも和紀は―‥和紀は―‥

それは、三ヶ月前に遡る。

四月に進路希望用紙が担任の先生から渡された。

ちなみに四月からやっと共学になり、美佳とも和紀とも一組で同じクラスになれた。

ただ早百合は前ちゃん(前田君)と同じ三組。

刹と拓海と、早百合の彼氏の沖田君は二組になった。

もちろんいきなり共学になったわけだから皆意識しまくりで‥///

カップルの数が爆発的に増えた。

「それじゃぁ～今はなんとなくで良いから書いて金曜提出な～」

いちいち語尾を延ばすこの先生の話し方もやっと慣れてきた。

「あっかっね!!進路どうすんの??」

休み時間、憂鬱そうな茜とは裏腹に美佳が尋ねる。

「‥あたし何にも夢とかないんだよねー;」

「そかぁ;まぁ今はまだ良いって言ってたし♪じっくり考えてけば良いって!!」
「うん‥そういや美佳は??」

「あたしは子供好きだし‥保育士なろうって///」

「わ‥美佳似合いそう!!ぴったり!!」

そう言うと美佳は恥ずかしそうにはにかんだ。

(美佳‥本当ぴったりだし‥夢あっていいなぁ‥)

茜が悩んでいるのを見つけた和紀が会話に入る。

「茜‥あせんなって」

優しくいう和紀はまた一段と大人っぽくなった。

「‥うん‥

てか和紀ッ‥なんであたしが毎回聞いてんのに教えてくれないの??」

(そんなに言えない大学なの‥??)

和紀は頭も良いので有名大学に進学するとは思うんだけど‥今までいっこうに教えてくれなかった。

「うーん‥‥‥‥‥どしよっかなぁ

まぁそろそろ教えても良っか‥

笑うなよ??」

渋々和紀が進路調査用紙を見せてくれた。

(えっ嘘??見せてくれるんだ‥)

正直意外で

私と美佳はまじまじと紙を見つめた

「これ本気でいってんの??」

冗談にもならないほど真面目な字で第一希望の所には六文字が書いてある。

紙には和紀の汚い筆跡で

ただ

サッカー選手

そう書いてあった。

うちの学校のサッカー部の強さも

和紀の実力も

彼女として恥ずかしいけど全然知らない。

けど本気!?

私も美佳もはただただ驚くばかり。

訂正です‥

×美佳もは
〇美佳も

「カズー」
「かーずきー」

他クラスから刹と前ちゃんが片手に進路用紙らしきものを持って現れる。

そして和紀の紙を見て

刹「ってかどこのチーム入りたいか考えてる??」

サラっと言った。

(ぇえ‥!?そうくる!?ここは驚くところでしょ!!!)

ポカンとした顔で美佳と顔を合わしていると

「どしたの??」

これまた普通に前ちゃんがいって。

ちらっと見える刹と前ちゃんの紙には和紀のと同じ文字が並んでいた。

美佳・茜「「ぇええええ!!??」」

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊高三七月

和紀・刹・前田は毎日部活、それと地元のクラブチームでもサッカーを頑張っている。

三人の実力が何故有名じゃなかったか

部活では強いメンバーに恵まれず、地区大会優勝さえも出来なかったから。

茜達は知らなかったが

和紀達は物足りなくてクラブチームに高二から入っていた

クラブチームでの活躍は本当に凄いらしく

少なかったスカウトマンが、七月になった今ではかなりの多さ。

まだ試合を見たことはないけど‥和紀達は着実に夢へと歩き出してることがわかった。

(和紀がちっちゃい時からの夢だもんね‥

最近なかなか会えないけど‥しょうがない、か‥)

私が和紀の部屋を見ると今日もまだ明かりがついていない

(和紀も頑張ってるんだし‥!!)
今日も必死に勉強勉強。

しばらく勉強をしていると

和紀の部屋に明かりがついた。

(お疲れ様‥)
心の中でいつものように言うとｺﾝｺﾝ‥と小石の当たる音がした。

「え‥??」

和紀と久しぶりに逢える‥そう思うだけで胸が高鳴る。

ガラッ

パジャマを着替えもせずにベランダに出る

すぐそばの部屋から和紀がひょこっと顔を出した。

「‥久しぶり」

疲れ切った顔で和紀は続ける。
「‥あんね、今度の日曜空いてる??」

久しぶりに和紀の低い声を聞いた―‥

独特の低くて甘い声

私は少し緊張しながら応える。

「もちろん‥空いてるけど??何??」

「‥試合、見に来て欲しいんだ」

和紀は小さな声で言った。

(え‥?)
私は驚いた。

気が散るとかなんとか言って、私や美佳が試合に来るのをいつも拒んでた人。

その張本人から誘われたから。

「見て良いの‥??」

疑いつついうと
和紀はフッと笑った。

「茜に‥応援してほしいんだ。

その試合に来るかもしんない。

実は１番行きたかったプロチームからのスカウトマンが。」

和紀は俯きがちに真剣な顔で言った。

「あたし‥心の底から応援する///ふぇ‥」

なんだか嬉しくて涙が出てしまう。

「泣くなって!!

とにかく俺‥頑張るから。茜顔近づけて??」

「ぅん///」
もう何度もキスしてるのに
大好きな和紀とだから慣れたことなんてない。

私は恥ずかしいけど顔を近づけた。

すると優しく和紀はキスをする―‥

唇の後そっとおでこにキスをして和紀は
「おやすみ」
といって微笑んだ。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

次からいよいよ物語も後編に突入です

見てくださってる方‥いらっしゃいますか??

みてます

頑張って

見てます

頑張って下さい！

うぅ

ありがとうございます

皆様には本当元気付けられます‥

では後編に入ります

>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-1000

―‥ねぇ和紀、

この日全ての運命が動き出したんだよね。

あたしが和紀を止めれば良かったのかな―‥
――――――――――――
「美佳ぁ!!遅いっ!!」

目の前にいるのは息をきらした美佳。

「ごめん茜っ!!メイクに手間取った～;」

さん

ｱﾝｶｰありがとうございます

いつも見てます
はっぴーえんど
ぢゃない系ですカ?

そういう美佳は確かにばっちりメイク。

(しょうがないか;刹もいるし‥)

刹はまだ彼女と続いているみたいなのに美佳は、“あの”美佳は刹に片思いし続けている。

そんな美佳は最近前にもまして綺麗になっていく。

「そのメイクなら刹も惚れちゃうね♪」

めいさん

あわわ///ありがとうございます

ハッピーエンドじゃないかどうかは‥もう決まっていますが言えないです

すみません

ですが読んでくださる方に納得してもらえるような終わり方にはするつもりです

美佳を冷やかすと
「そっ‥かなぁ///」

美佳ははにかんだ。

(美佳マジ可愛すぎ!!!刹の彼女さんには悪いけど‥刹とくっついてほしい‥!!)

「‥あ;もう試合始まってる」

美佳の遅刻のおかげでもうキックオフしてしまったみたい。

「ひゃあー茜マジごめん;」
「いーから!!とにかく急ごっ」

茜達はミュールなのに競技場まで走った。

ハァッ‥ハアッ‥

久しぶりに走ったもんで‥着いたときには二人とも呼吸を乱していた。

「きゃあああッ」

二人がどのグランドに行けば良いのか迷っていると、前方から黄色い声が聞こえた。

「あそこのグランドだね笑」

「決まり笑」

こんな競技場でやってるのに女の子達からの声援をあびるなんて、和紀達以外考えられない。

はっぴ-えんどが
いいです

茜と和紀がずっと
幸せでいてほしいです

グランドに着くと‥観客席にいたのは

ビデオ録ってるスカウトマンらしき人達と

十数人くらいの関係者らしき人達、

そして三十人近い女の子達。

‥あまりに予想を超えていたので、美佳と吹き出してしまった。

めぐみるくさん

初めまして

コメありがとうございます

うぅ

何ともお答え出来ませんが‥どうぞ茜と和紀を温かい目で見守ってやってください

「ふぅ。」

女の子達の集団から少し離れた席に座る。

―そして超本気の観戦モード―

「あっあれ和紀だ」

「ぇ!!どこどこ??」

サッカーのルールが全く分からない茜はあちこち必死に探す。

「あっ!!いた!!」

‥和紀は青いユニフォームに十番の背番号をつけて

フィールドを駆け抜けていた

―‥ユニフォームは他の誰よりも似合っていて

指示を次々と出す和紀はいつもと別人のようで

君にまたキュンとさせられるんだ///

和紀にボールが回るたび、
和紀がボールをカットするたびに

女の子達はキャーキャー言う。

でも好きの気持ちはまけない。

言葉を発することが出来ないほど‥私は和紀から目が離せないから。

素人目で見てもわかる。

ドリブルの速さ

周りを見る力

和紀は全て飛び抜けていて

そんな和紀につられるようにチームのプレーが輝き出す。

そこにいる誰もが和紀の１プレー１プレーにくぎづけになった。

刹も、前ちゃんもキラキラとしていて

三人ともなんて楽しそうなんだろう‥

―憧れるしかなかった。
―見つめるしかなかった。

‥ピィーッピーッピィーー‥

長いホイッスルの音が響き渡り試合終了を告げる。

私達はまるで長い夢を見ていたかのようにぽーっとグランドの選手を見続けた。

試合は３―０で和紀達の圧勝だった。

「‥すごいね」
「‥うん‥」

まだ現実に戻れない。
和紀、刹、前ちゃん

こんなにすごかったんだ。

しばらく感動にひたっていると私達に気付いた三人が、手をふってくれた。

和紀も笑顔で手をふっている

―ドクンッ―

何だろうこの気持ち。

言葉に表せないほど‥涙が出るほどに溢れ出るこの気持ち。

‥あぁ。

これが愛してるっていう事か。

頭の片隅で思った。

めっちゃ面白くて毎日みちきてます

やっぱ主さん天才です

これからも頑張って下さい

応援してます

しばらく息も出来なくて。

やっと息が吸えるようになると

和紀達は打ち上げがあるので

先に帰ることにした。

空はもう暗くなり始めた帰り道、和紀から一通の

が届いた。

みちきてじゃなくてみにきてですね

何度もごめんなさい

頑張って下さい

美希さん

毎日だなんてありがとうございます

てっ天才じゃないですけど‥そういってもらえると嬉しいです///照

これからもよろしくです

――――――――――――From 和紀
Sub やった

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿スカウトされて、来年からチーム入り決まった

つか今日来てくれてありがと

家帰ったら打ち上げしよ

窓空いてるから先部屋で待ってて

　 -END-
――――――――――――

(いつもより絵文字が多い‥よっぽど嬉しいんだろうなぁー‥///)

美佳と別れて

部屋に戻ってから返信をうつ。

カチカチカチッ
‥‥ピッ

を送信して私は和紀の部屋に入った。

一人で和紀の部屋に入るのはもちろん初めて。

(エロ本とかやっぱあるのかな‥///笑)

私は何故か一人テンションを上げて和紀を待つ。

そして和紀の今日の活躍を思い出していた。

瞼に焼き付いた和紀はあまりに格好よくて

“これが私の彼氏ですっ”

って全世界の人に自慢したかった。

和紀になんておめでとって言おうか

幸せに浸り考える。

ふと気付くともう夜の８時。

(どんだけ長い打ち上げだよ!!!)

そう、一人で突っ込んでる時―‥

♪♪♪♪♪♪♪

私の携帯がけたたましく鳴った。

(あっ和紀からだ!!)

そう思って着信ボタンを押すと出たのは

「もしもし!?」

刹だった。

「もしもしっ茜!?刹だけど」

「どしたのー??刹、和紀は??」

「茜、今和紀ん家だろ??和紀の親いるか??」

(どうしたの‥刹

ねぇなんで慌ててるの??)

「和紀ん家は共働きだから１０時ぐらいにならないと帰ってこないよ‥??

ねぇ、和紀は‥??」

すごく、嫌な予感がした。

「茜だけでも来て。

〇〇病院だから‥」

刹は電話を切ろうとした。
「ねぇ!!!刹!!!和紀は!!??」

つい怒鳴ると

「酔っ払いの車に跳ねられた‥ｶﾞﾁｬｯ‥ﾂｰﾂｰﾂｰ」

刹は震えた泣きそうな声で言うと電話を切った。

和紀??

―‥お願い嘘だといって。
―‥お願い夢なら覚めて。

私は裸足で外に出て急いでタクシーを捕まえた。

「〇〇病院までお願いします‥早く行ってください!!」

タクシーの運転手はびっくりしていた。

でも、とにかく早く和紀の元へ。和紀、和紀‥

ポケットに入っていた財布から千円札を取り出し運転手に押し渡す。

お釣りも受け取る前に病院に入り、受付で和紀の名前を叫んだ。

「‥和紀は、和紀はどこですか!!」

「え;あっ先ほど運ばれた一之瀬和紀さんのお友達‥??」

「和紀!!和紀はどこ!?」

私は半ば狂乱しながら聞いた。

「突き当たって右の‥あっまって‥!!」

私は最後まで聞かずに走り出す。

角を曲がると

刹と前ちゃんとクラブチームの顧問らしき人

私はそこで不安に堪えられなくなって泣き崩れた。

「和紀‥和紀はどこ‥??」
刹と前ちゃんが抱きしめてくれながら言った。

「和紀は今手術中。茜‥大丈夫だから落ち着こう」って。

でも二人もがたがたと震えていて‥どうしようもないほど恐かった。

しばらくして和紀の両親が駆け込んで来た。

さっきの私と同じように和紀の名前を叫びながら―‥

私は泣き崩れたままだった。
恐い‥恐いよ和紀。

今日一緒に打ち上げしようって言ったじゃん‥

今日スカウトされたって言ったじゃん‥

‥

ビーッ‥

手術中のランプが、消えた。

中から大柄の医者が出て来た―‥

「和紀っ和紀は!?」
和紀の両親がつめよる

すると医者は

「手術は成功し、息子さんは一命を取り留めました‥」
疲れ切った笑顔で答えた。

「ほー‥‥‥‥‥」

その場にいた全員が安堵のため息をついた。

良かった‥和紀‥良かった‥

泣きながら私はそう思った。
―君がいない世界なんて考えられない。
おいてかないでおいてかないで‥おいてかないで―

ねぇ和紀‥助かったと聞いたはずなのにこの不安は何で拭い去れないの‥??

私は‥二日間寝られなかった。

三日目に和紀が目を覚ますまで。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

「‥ぁ‥」

「和紀ッッッ!!!起きたの―‥??」

和紀は手術後の三日目にやっと目を覚ました。

嬉しくて、嬉しくて‥‥嬉しくて。

「‥あ‥かね‥??」
「うっ‥ふぇ‥和紀ぃ～～!!!」

「何泣いてんだよ‥‥そっか‥俺‥事故ったんだっけ。」

和紀は苦笑いを浮かべて言った。

「もー‥本っ当に心配したんだからね??ｸﾞｽｯ」

「ごめんな‥ってか俺よく生きてたな‥笑」

「頭打撲に、両足骨折、肋は二本も折れて生きてるんだから奇跡だよ‥///」

そう言うと何故か和紀の顔色が‥変わった。

見間違いかと思うほど一瞬で、、すぐ笑顔に戻る。

「‥どしたの??」

勇気を出して聞いてみた。

「‥なぁ普通って‥怪我したとこ‥痛いよな‥??」
「う‥うん」

「頭ずきずきするし、あばらもいてーんだけど

足が‥全く痛くねーし

太股から下ぴくりとも動かせない。」

―‥‥‥‥‥

‥‥拭い去ることの出来ない不安はこれだった。

神様がいるのなら、答えてください‥

どうして和紀なの‥

どうして和紀の夢を奪うの‥
あたしが変わらせてください。

その後すぐに再検査。

手術した医師から和紀の両親だけに

「残念ながら‥神経が傷ついてしまって‥足から下はもう‥一生動かないでしょう‥」

こう伝えられたと知った時、、ただひたすらに

運命を呪った。

今日の更新はここまでです

感想等もし宜しければこちらに頂けると嬉しいです

http://bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3315/

貼れてない

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3315/
です

失礼します

>>1-100
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>>301-400
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>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-1000

さくら

さん

ｱﾝｶｰありがとうございます

―‥和紀は

自分の足がもう“一生”動かないことを

まだしらない―‥

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
私は和紀の両親に言われてちゃんと学校に通い始めた。

でも学校にいても考えるのは和紀の事ばかり。

和紀が怪我したという噂は物凄い勢いで広まり

ものすごい数の面会者が和紀を訪れた。

でもそれは最初だけ。

面会に飽きた人達が一人、また一人来なくなる。

今でも来るのは

先生、刹、前ちゃん、美佳、、、そして私。

こんな時友情って何なんだろうって思わずにはいられないんだ―‥

私は毎日和紀の所へ通う。

連絡手段は電話と、会うことだけだった。

ﾏﾅｰﾓｰﾄﾞの携帯は、和紀が事故ったあの日どこかで無くしてしまったから

も出来ない。

二ヶ月、三ヶ月‥和紀が入院してかなりの日がたった。

そして―‥最近和紀はどんどんマイナス思考になって‥

あの大好きないたづらっぽい笑顔は

もう‥滅多に見られない。

「失礼します」

病院のドアを開ける。

「‥‥‥。」

最近和紀は見舞に来る茜を見なくなった。

今日も背を向けたまま。

「今日は遅れてごめんね??ちょっと委員会があって‥」

持ってきた林檎の皮をむきながら言った。

「‥うそつき。」

背を向けている和紀がぼそって言う。

「男とあってたんでしょ‥??」

(‥またか;)

「委員会だってば;」

「じゃー後で美佳にも聞いとく」

「‥‥うん」

和紀は日に日に‥厭味っぽく、嫉妬深く‥そして私を信じなくなっていく。

そんな和紀を見るのが哀しくて、辛くて、代わってあげたくて‥

今日も一人、家で涙を流す。

和紀‥不安でしょうがないんだよね‥??

‥私はどこにもいかないよ??