危ナイ兄弟愛ノカタチ:)BL
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#781 [東脂ヤ転
キィー…ッ

屋上の扉が軋む音を立てながらゆっくりと開く。今朝来た時よりも風は無く、代わりに雲の隙間から少し光が刺していた。
「もう晴れても良いのにね…」

そんな空を見ながら彩華は呟いた。
俺は彩華の言葉に返事も返さず、未だ言い訳の言葉を探している。
だが、探すには時間が経ち過ぎていた。

「鳴ちゃん…」

彩華が俺の名を呼ぶ。
それが合図のように俺の胸は早鐘を打ち始める。
[こうなったら…]

もう適当に何か言っておくしかない、そう心に決めた時、

「北原君に聞いたよ。
それならあたしも…納得出来たから」

次に彩華の口から発せられた言葉は予想外のものだった。

⏰:08/09/19 16:38 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#782 [東脂ヤ転
「…え?」

彩華の言っている意味が全く分からない。
北原が…何だって?

しかし彩華は俺の動揺した様子を違う意味に捉えたのだろう。
俺に柔らかく微笑んだ。

「始めから正直に言ってくれたら、あんな責めるような言い方しなかったのに。
本当、鳴ちゃんは優しいね」

"正直に言う"?
北原は彩華に何を言ったんだ?
彩華の穏やかな表情とは逆に俺は混乱していた。

どうやら北原が言っていた通り"何とかしてくれた"みたいだ。
普通ならここで喜ぶべきなのかもしれない。自分じゃ何とも出来なかった問題を、北原が手助けしてくれたんだから。

⏰:08/09/20 10:57 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#783 [東脂ヤ転
[だけど…]

それでも俺の胸はざわついて止まない。
言いようの無い不安が込み上げる。

「それじゃあ…あたしこれから部活だし、行くね」

沈黙に耐えかねたのか、突然彩華はいつも以上に明るい声で言った。
「行くね」この言葉が俺には「さよなら」にも聞こえた。

彩華の声に俺は顔を上げると、今朝とは違い彩華は何故か諦めたような笑顔を浮かべていた。

長いようで短かった彩華との付き合いが、こんなにもあっけなく終わろうとしている。

⏰:08/09/20 11:00 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#784 [東脂ヤ転
「…今までありがとな」

俺は何とかそれだけ言うとぎこちなく笑った。
それにつられるように彩華も微笑むと、小さく頷く。その目はまた涙が込み上げているように潤んでいた。

彩華は俺の視線に気付いたのか慌てて目をこすると、照れくさそうに笑って小走りで屋上を後にした。

「…終わっ…た」

誰も居なくなった屋上で一人、俺は溜め息をつく。ある意味解放感と罪悪感の入り混じった溜め息。

最後の彩華の笑顔があまりに真っ直ぐで、俺の胸は罪悪感でいっぱいだった。

⏰:08/09/20 11:09 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#785 [東脂ヤ転
「鳴、別れられたんだ?」

その時だった。
突然背後から名を呼ばれ俺は身を強ばらせる。
振り返らなくても、声の主が誰かは見当がついた。
俺の名前を唯一、この学校で呼び捨てにする奴。

「…北原」

俺はゆっくりと振り返りながら言った。
名前を呼ばれた本人は何故か嬉しそうに微笑むと、俺の方に近付いて来る。

それと同時に、止み始めていた筈の風が屋上に再び吹き始める。

⏰:08/09/20 11:53 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#786 [東脂ヤ転
「良かったじゃん上手く別れられて。俺の言った通りになったろ?」

風に揺れる髪型を気にしながら北原は俺にそう訊いた。
妙に愉し気な北原の態度が気になったものの、俺は北原の方に向き直る。

「お前さ…彩華に何て言ったの?」

「まぁまぁ〜良いじゃんそんな話は後で!
それより大事な話が有るんだよ、俺は!」

北原は俺の言葉を遮るように声を上げる。
俺はそんな北原を怪訝な顔で見つめる。

「大事な話?何だよ?」

今の俺にとっては彩華についての話が最も重要な話なのだが、一応北原の話を聞こうと応えを促した。

⏰:08/09/20 15:41 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#787 [東脂ヤ転
「林とちゃんと別れられたことだし」

「…?あぁ…」

「鳴、俺と付き合わない?」

「………は?」

一瞬の沈黙の後、俺は思わず耳を疑った。
誰が誰と付き合いたい…って?

「気付かなかった?
俺はずっとお前が好きだったんだよ」

北原は至って冷静に話を続ける。

どうやら冗談でもふざけているワケでも無いようだ。
北原の目から本気だといことが分かる。

「そんなこと…突然言われて…も」

何かの罰ゲームかとも思える状況が俺を襲う。
しかし、罰ゲームはそれだけではなかった。

⏰:08/09/20 16:10 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#788 [東脂ヤ転
「まさか断ったりしないよな?
兄貴とは平気でキスとか出来るお前がよ」

北原の一言で俺は全身が凍りつくような感じを覚えた。
今までの混乱とは比にならない程のパニックに陥りそうになる。
僅か一瞬の間に。

「何…意味分かんないこと言うなよ、北原」

やっとのことで出て来た言葉は酷く弱々しい反論の言葉だった。

「今更隠すなって。ほら」

俺とは逆に驚く程冷静な北原は、俺に自分の携帯を差し出した。

⏰:08/09/20 16:23 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#789 [東脂ヤ転
。+★アンカー

>>1-45
>>46-90
>>91-135
>>136-180
>>181-225
>>226-270
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>>541-585
>>586-630
>>631-675
>>676-720
>>721-765
>>766-788

⏰:08/09/20 18:34 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#790 [東脂ヤ転
携帯に映し出しされていたのは携帯で撮影された画像だった。
目を凝らして見るとそこには、二人の男がトイレの手洗い場でキスしている画像だというのが分かった。

"二人の男"、それがまさしく俺と静兄だ。

俺は自分の目を疑った。だが良く撮れている写真にはハッキリと俺達が写っている。

「これ…参観日…の」

「そうだよ、あの日に俺が隠し撮った写メ。
ただ鳴の後を追ってトイレに入ろうとしただけだったのに、まさかこんな写メが撮れるなんてな」


北原の声は何故か愉し気に聞こえる。
俺が今まで見たことの無い程妖しく笑う北原。

⏰:08/09/21 12:35 📱:W52P 🆔:hUTP8CHk


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