危ナイ兄弟愛ノカタチ:)BL
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#631 [東脂ヤ転
「・・・静が怒るんやったら分かるけど、何で明が怒る必要が有るん?」
熱くなるイッチーをよそに俺はますます混乱していく。
そうだ、前からそれは疑問だった。
俺が何をしようが誰と寝ようが、正直明には関係の無いことだし、迷惑をかけているつもりも無い。
それなのに明は必要以上に俺に絡んでは、いつも傷付いたような表情(カオ)をしている。
[そんなに腹立つなら関わらんかったらえぇのに・・・俺みたいな奴に]
明が俺を哀しい眼で見る度、俺はそんなことを思っていた。
:08/06/18 11:06
:W52P
:☆☆☆
#632 [東脂ヤ転
「自分のことになるとほんま鈍感ですねぇ・・・圭ちゃんは」
イッチーは空いた皿を引きながら呟く。
「俺が鈍感〜??」
その言葉に俺がイマイチピンと来ていないのに気付いたのか、イッチーは俺の前に座り直して苦笑する。
「だって圭ちゃん気付いてはらへんでしょ?
明さんが圭ちゃんを好きやってコト」
「・・・・・・・・・は?」
一瞬、イッチーが何て言ったのか理解出来なかった。っていうか何語を喋ったのかも理解出来なかった。
それ位俺の頭の中は大混乱していた。
あの明が・・・
俺の事を・・・・・・
「・・・・・・好き!?」
:08/06/19 19:13
:W52P
:☆☆☆
#633 [東脂ヤ転
「いーや・・・いやいやいやいやいや!!!!絶っっ対無いやろ!!有り得へん!!」
「有り得へんって何が?
明さんが圭ちゃんを好きやってことがですか?」
イッチーがサラッと言ってのけたその言葉に俺は何度も大きく頷いた。
混乱中の大混乱に陥っている俺を横目に、イッチーはまた席を立って厨房に戻る。
そんなイッチーを逃がさんばかりと俺はカウンター席に勢い良く座り直す。
:08/06/21 21:47
:W52P
:☆☆☆
#634 [さき]
更新されてる


頑張ってくださぃね?
:08/06/21 21:50
:SH902iS
:0sktQpJ.
#635 [東脂ヤ転
さきサンへ(^^)★
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3324/★*☆*★*☆*★*☆「じゃあ逆に、何で有り得へんって思うんですか?」
使い終わった皿やらコップやらを洗い始めながらイッチーは俺に尋ねる。
「何で・・・って理由はなんぼでもあるやん!
例えばやなぁ明は俺のこと毛嫌いしとるし、俺の前で笑ったことなんかないし・・・」
いくら思い返してみても明が俺のことを好きだなんて、思い当たる節もない。そりゃそうだ。
俺はずっと、明に嫌われてると思ってたから。
:08/06/23 08:53
:W52P
:☆☆☆
#636 [東脂ヤ転
「・・・っていうか!お前は明からいつそんな話を聞いたんや!?」
未だ動揺しながらそう言うと、涼しい顔でイッチーは笑う。
「明さんは何にも言ってませんよ?
まぁ・・・見てたら誰でも気付くと思いますけど」
出たよ、イッチーの"見てたら分かりますよ"発言。
[見てて気付けたら苦労せぇへんわ!!!!]
腹立つほど爽やかな笑顔のイッチーを見ながら、俺は思わずそう叫びたくなった。
それと同時に俺の頭の中はぐるぐると色んな思想が駆け巡る。
次に明と会う時、俺はどんな顔すれば良いんだ・・・!?
:08/06/25 09:16
:W52P
:☆☆☆
#637 [東脂ヤ転
「それより圭ちゃん、これから静さんの家行くって言ってませんでした?」
「あ、ほんまや忘れとった」
昨日はあんな形でクビを言い渡されてしまったから、俺はこれから静の家に謝りに行こうと思っていたのだ。
時計を見ると11時半過ぎ。出発するには丁度良い時間だ。
「ハァーー・・・ほなそろそろ行くわぁ〜・・・コーヒーご馳走さぁん」
俺はそう言うと重い腰を上げてイスを引く。
「ちょ・・・ッ!!めちゃくちゃテンション低いじゃないっすか!
僕のせいちゃいますよね!?」
イッチーは心配しているような口ぶりの割に、思いっきり笑いながら俺の肩を叩く。
:08/06/25 11:24
:W52P
:☆☆☆
#638 [我輩は匿名である]
:08/06/26 23:53
:P703i
:o3hhYymM
#639 [東脂ヤ転
[のん気やなぁ〜誰のせいでテンションだだ下がりやと思ってんねん!]
そんな事を思いながら、俺はまたひとつ溜め息をついてテーブルに目をやると、携帯に着信があったことに気付く。
不信に思い携帯を開くと、着信の欄に何度か同じ名前が表示されていた。
"ナオ"
昨日店でヤろうとしていた子の名前だ。
:08/06/27 10:30
:W52P
:☆☆☆
#640 [東脂ヤ転
「もしかして明さんからメールですか?」
イッチーが嬉しそうに携帯を覗き込むので、それを避けるように俺は素早く携帯を閉じた。
「いや、おかんからやったわ!」
「・・・・・・圭ちゃんのお母さんって今どこにおるんやったっけ?」
「・・・フランス」
墓穴掘ったぁぁぁぁ!!!!
俺のおかんは仕事でフランスと日本を行き来する生活を送っている。
おかんとも仲が良いイッチーも、もちろんそのことは知っていた。
とっさについた嘘は・・・大失敗である。
:08/07/02 08:46
:W52P
:☆☆☆
#641 [東脂ヤ転
「そんな嘘つくってことは・・・圭ちゃんまだ色んな男と付き合ってるんですね?」
「・・・・・・はい」
こういう時のイッチーは本気で怖い。
下手したら多分俺のおかんより怖いんちゃうかって思う。
「もー・・・ほんまに知りませんよ!?」
シュンとしている俺を見かねたのか、イッチーはそれ以上強くは言わず、ドアを開けながらそう言った。
開いたドアからは少しキツめの風が流れ込む。
:08/07/03 17:35
:W52P
:☆☆☆
#642 [東脂ヤ転
「イッチー堪忍(カンニン)な。俺って寂しがり屋やから、誰かが側に居てくれなアカンのよ。」
ドアを押さえながら目をしかめているイッチーに俺は笑いかけて、力なくそう言う。
生ぬるい風邪が、俺の長い髪をからかうように掠めていく。
:08/07/10 08:35
:W52P
:☆☆☆
#643 [東脂ヤ転
「圭ちゃん」
手を振ってその場を立ち去ろうとしたその時、イッチーが小さな声で俺を呼び止めた。
「その"誰か"を・・・圭ちゃん、間違えてはりますよ。」
「・・・・・・え?」
瞬間、今日一番の風邪が吹き、イッチーの帽子を攫っていく。
静とは違う真っ直ぐな黒髪が風に揺れ、静とは違う瞳が俺を刺す。
「またのお越しを、お待ちしてます」
何か言わなきゃいけなかったのに加えて先に、イッチーに笑顔でそう言われてしまった。
俺が何も言えなかったのはきっと、俺が見て見ぬフリをし続けてきた事を・・・完全に見抜かれていたからだ。
:08/07/10 08:59
:W52P
:☆☆☆
#644 [我輩は匿名である]
頑張って
:08/07/10 11:51
:F703i
:CIWBCzZ.
#645 [東脂ヤ転
>>644ありがとうございます!
***********
「何か暑い・・・」
もう梅雨だと言っても、この暑さは例年に無い暑さじゃねーか、と思ったのがつい、いつもの癖で大きな独り言を言ってしまった。
通り過ぎて行く人々は皆、休日らしく楽しそうに笑っている。
そこに一人不似合いな俺。
[っていうかこんな時に笑えるワケねぇよ。]
どんな景色や物を見ていても、圭吾のことばかり思い出してしまう。
"明"って、俺を呼ぶ圭吾のことを。
しかもその度に自分の甘さに嫌気がさして、自己嫌悪に陥って・・・最近その繰り返しばっかだ。
:08/07/10 12:19
:W52P
:☆☆☆
#646 [東脂ヤ転
とりあえず外へ飛び出した俺は昔の知り合い、早乙女 壱(サオトメイチ)の店に向かっていた。
静の店に居た頃から壱は、頭の回転の早い、俺をイラつかせない奴だった。
それ以来、壱が静の店を辞めた後も、圭吾のことで気持ちが不安定な時とかはよく壱の店に行っている。
しかも大概、切羽詰まった時にしか行かないようにしているんだけど・・・
[俺やっぱダメかも・・・]
眩し過ぎる太陽にまでイラついている俺は、一体いつになったらこんな気持ちから解放されるんだろう。
:08/07/10 18:10
:W52P
:☆☆☆
#647 [はな]
:08/07/13 00:13
:SH905i
:AZV/eNqc
#648 [東脂ヤ転
>>647アンカーありがとうございます!
***********「あれ・・・明さんじゃないですか?」
「・・・は?」
突然誰かに声を掛けられ、思わず変な声を上げてしまった。
「やっぱり、明さんだ」
その声に振り返って見た時、改めて変な声を出しそうになる。
「や・・・大和?」
「久しぶりっすね明さん」
:08/07/13 23:17
:W52P
:☆☆☆
#649 [東脂ヤ転
少し長めの茶髪に、長い手足と赤いフレームの眼鏡。
間違いなく高校時代の後輩、三輪大和(ミワヤマト)だ。
高校卒業以来の約2年振りの再会にしては余りに突然で、俺は驚きを隠せずにいた。
「お前・・・全然変わってないな」
あの頃と少しも変わっていない大和に、俺は少し頬がゆるむ。
「先輩こそ相変わらず可愛いっすね」
にっこり笑ってそう言う大和を前にして思い出す。
そう言えば・・・コイツはこうやって調子を狂わす奴だった。
:08/07/14 09:08
:W52P
:☆☆☆
#650 [東脂ヤ転
「それよりこんな所で何やってんの?」
大和のタラシ発言はスルーしといて、俺は無難な質問を投げかける。
ただ話しかけるだけでも、俺は大和を見上げるカタチになってしまう。
「いや、ちょっと買い物があってそのついでにぶらついてたんすよ。
明さんは?」
「俺は知り合いのカフェに(圭吾のことを相談しに)行こうとしてたとこ」
たわいない会話なのに節々で圭吾を想う俺がいる。原因はきっと、大和がちょっと圭吾に似ているから。
:08/07/14 11:07
:W52P
:☆☆☆
#651 [東脂ヤ転
「カフェ!?良い響きー!一緒に行っても良いっすか!?」
「え!?」
カフェという単語のどこにテンションが上がったのか、大和は嬉しそうに目を輝かせる。
「まぁ・・・別に良いけど」
[壱も変に深読みする奴じゃないし・・・大丈夫だよな]
壱の店に"誰か"を連れて行くのは正直気が引けたけど、大和に断る理由も無かったので俺は渋々頷いた。
「じゃあ早く行きましょ!俺喉乾いちゃってて」
ほぼ強引に俺の手を引く大和を見ながら、昔のことを俺は思い出していた。
:08/07/14 11:53
:W52P
:☆☆☆
#652 [東脂ヤ転
大和はもともと同じ部活の後輩だった。
他人に優しくしたりするのが苦手だった俺は、特定の奴としか関わろうとしなかった。
そんな中、
『明さん!一緒に練習行きましょうよ』
懲りもせず、毎回毎回俺に声を掛けて来た唯一の後輩、それが三輪大和だ。
"お調子者の憎めない後輩"
大和に抱いていた感情はただそれだけだった。
それは昔も今も変わらない。
でも、
大和は違っていた。
:08/07/14 12:15
:W52P
:☆☆☆
#653 [東脂ヤ転
「いらっしゃいま・・・あれ珍しい」
ウチからそう遠くない郊外にある洒落たカフェ。その店の若きオーナー、早乙女壱は俺を見た瞬間とびきりの笑顔を見せる。
「久しぶり、壱」
「今日は珍しいお客さんが多いなぁ」
さっきまで読んでいたと思われる料理本を片付けながら、壱は嬉しそうに言う。
:08/07/14 16:07
:W52P
:☆☆☆
#654 [我輩は匿名である]
:08/07/14 16:28
:SH904i
:VeOTkTrI
#655 [東脂ヤ転
「"多い"って、さっき誰か居たのか?」
俺は意味深な壱の言い方が引っかかって少し強めに尋ねた。
「いや別にちょっと懐かし・・・」
そこまで言うと壱は突然顔を上げる。
その目線はしっかりと大和を捉えていた。
「・・・友達、ですか?」
壱は俺と大和を交互に見ながら尋ねる。
いつもとは違う壱の目つきに、俺は何故か変に戸惑う。
:08/07/14 21:36
:W52P
:☆☆☆
#656 [東脂ヤ転
「あ、挨拶遅れました!
俺は明さんの高校の後輩で、三輪大和って言います。」
この微妙な空気を感じ取ったのか、大和はいつもの爽やかな笑顔で壱に軽く頭を下げた。
「あぁいや、俺も明さんの後輩で今はこの店のオーナーやってます、早乙女です。
まぁ俺はバイトの後輩ですけど。」
壱の方もいつもと変わらない爽やかな笑顔で大和に挨拶する。
[何だ・・・俺の勘違いか]
そう思って軽く胸を撫で下ろした瞬間、壱としっかり目が合ってしまった。
その目は、まるで「あとで話がある」と言わんばかりの鋭い目つきだ。
:08/07/14 21:50
:W52P
:☆☆☆
#657 [東脂ヤ転
ーピルルルル・・・ッ
「あ、ちょっとすみません・・・」
壱にカウンター席を案内されたのとほぼ同時に、大和との携帯が鳴り席を立つ。
「大和もコーヒーで良い?」
ドアに向かって歩き出した大和にそう訊くと、大和は笑顔で頷いた。
「良い後輩ですね〜」
大和が外に出たのを見届けてから、茶化すように壱は言った。
「・・・アイスコーヒー2つな」
俺は何となく気まずくて壱の言葉を聞き流す。
壱なら大和のことも気にしないだろうと思っていたんだけど・・・ どうやらそうもいかないらしい。
:08/07/15 11:11
:W52P
:☆☆☆
#658 [東脂ヤ転
「っていうか前に明さんが言ってた、"唯一俺に告白してきた変わり者"って・・・」
その言葉を聞いた瞬間、飲んでいた水を吹き出しそうになる。
俺の反応を見て壱は更に俺に近付く。
「やっぱり〜!あの子なんですね!?」
・・・何でこんなにコイツは鋭いんだろう・・・。
ムカつく程に!!
「あ"ー!!だから困ってんだよ!!」
俺は思わず声を張り上げてしまった。
さすがの壱も驚いて目を丸くしている。
:08/07/15 11:37
:W52P
:☆☆☆
#659 [東脂ヤ転
「・・・高校の時大和に告られて、俺は断ったんだよ。"他に好き奴が居るから"って」
外から大和の声が微かに聞こえる。
あんなに良い奴なのに今も昔も、俺は好きになれずにいた。
「そしたらその時大和がさ言ったんだよ」
『じゃあ・・・次に俺と会う時に紹介して下さいよ、明さんが好きなその人を。』
凄く真っ直ぐな瞳だった。何で俺はコイツを好きになれないんだろう、って自分にイラついた。
でも本当はもう遅かった。
その時既に俺は、圭吾と出逢ってしまっていたんだ。
:08/07/15 11:52
:W52P
:☆☆☆
#660 [東脂ヤ転
「じゃあ紹介すれば良いじゃないですか。圭ちゃんを。」
しゃあしゃあと言ってのける壱に、俺は思わず蹴りを入れたくなった。
「出来るワケねぇだろ!!
そんなことしたら圭吾に俺の気持ちがバレ・・・」
「バレたって良いじゃないですか」
その時突然、壱の声色が変わった。
普段は俺にたてついて来ない壱なだけに、壱の様子がいつもと違うことに気付く。
:08/07/15 11:59
:W52P
:☆☆☆
#661 [東脂ヤ転
「いつまで明さんはそうやって悩み続けるんですか?」
壱の黒い瞳から目が離せない。
「早くしないと圭吾さん捕られちゃいますよ?」
壱は静かにそう言った。俺はその言葉の意味が読み取れず、怪訝な表情をする。
「でもアイツは静が好きなんだよ!
そんな奴に、打ち明けたところで何も変わんねぇよ」
吐き捨てるようにそう言うと、自分の台詞に傷ついている自分が居た。
[俺って・・・マジで勝手だな]
また嫌な感情が湧き上がってくる。
:08/07/15 12:10
:W52P
:☆☆☆
#662 [東脂ヤ転
「圭ちゃんはもう静さんのこと好きちゃいますよ?」
俺が俯いたその時、壱は俺の前にアイスコーヒーを置きながら言った。
「・・・・・・はぁ!?何で!?」
俺は余りに突然のことに驚いて勢い良く顔を上げる。
そんな俺の様子を見て、壱は少し可笑しそうに笑った。
:08/07/15 21:50
:W52P
:☆☆☆
#663 [東脂ヤ転
「確か・・・静さんの今の恋人に全くかなう気がしないから、って言ってはりました」
大和の分のアイスコーヒーを作りながら、壱は微かに笑って言う。
「恋・・・人って・・・」
あの義弟のことか。
確かに、自分のことを"静兄"って呼ばせるくらいだ。
"紫穂"と同じか、それ以上に大事にしてるっていう証拠だよな。
[でもそれって・・・]
『フラれたぁ・・・』
突然、昨日の圭吾を思い出す。
:08/07/16 08:53
:W52P
:☆☆☆
#664 [我輩は匿名である]
:08/07/16 09:02
:F903i
:n4s5HYss
#665 [東脂ヤ転
リビングで大の字になって弱音を吐いていた圭吾。いつもに増して空元気だった圭吾。
アイツ・・・もしかして、
「圭ちゃん傷付いてるんちゃいます?」
その時また、俺の心を見透かすように壱が口を開いた。
そんな壱を俺は驚いたような表情(カオ)で見つめる。
「自分で静さんに対して"諦める"やなんて言葉を言った圭ちゃん、初めて見ましたもん」
壱の入れてくれたコーヒーの良い香りが店中に広がる。
それと同時に、俺の胸には違う感情が芽生える。
何で・・・気付いてやれなかったんだ・・・!
:08/07/16 12:06
:W52P
:☆☆☆
#666 [東脂ヤ転
「俺・・・ちょっと出てくる・・・ッ」
考え出したら止まらなくなって俺は勢い良く席を立った。
「明さん」
2人分のコーヒー代を置いて店を出ようとした時、壱が俺を呼び止めた。
「圭ちゃんは"俺は寂しがり屋やから、誰かが側に居てくれなアカンのや"って言ってました」
カウンター越しに壱の声が俺のところまで響く。
「でも圭ちゃんは今、その"誰か"を見失ってて、間違った温もりを求めてるんです」
俺は黙って壱の言葉を噛み締める。
「明さん・・・圭ちゃんの側に居てあげて下さい」
壱は苦笑して俺に軽く頭を下げた。
本当、お節介焼きなところが圭吾にそっくりだ。
:08/07/16 12:16
:W52P
:☆☆☆
#667 [東脂ヤ転
「・・・また来るな」
俺はそれだけ言うと壱に軽く手を振ってドアを開けた。
中とは違って生暖かい風が俺の頬を掠める。
[言葉にしなきゃわかんねぇよあの馬鹿・・・!!]
思い返せば返す程、圭吾がどれだけ落ち込んでいるのかが痛い程良くわかる。
高校生の時から静だけを見てきて、紫穂が離れていった時も言えば静を支えていたのは圭吾だった。
それなのにいつも静の中には圭吾じゃない"誰か"が居て。
[叶わない想いなんて、持ってるだけ不便だよな]
俺が圭吾を想っても叶わないように、圭吾は静への想いを叶わないのに捨てられないで居る。
何で俺達って、こんなに不器用なんだろう。
:08/07/16 12:29
:W52P
:☆☆☆
#668 [東脂ヤ転
「先輩・・・ッ!?」
「!?」
突然袖を強く引かれ、俺は驚いて振り返る。
そこには息を切らして俺を見つめる大和が居た。
「どこ・・・ハァッ・・・行くんですか!?」
その瞳はあの日と同じ、逸らしたくなる程真っ直ぐな瞳だ。
「どこ・・・って・・・」
俺はそこまで言うと言葉に詰まる。
逃げ出したくなる程の日差しが射している。
「・・・明さんが好きな人の所ですか?」
先に沈黙を破ったのは、大和だった。
俺は何も応えられず大和を見つめる。
:08/07/17 08:32
:W52P
:☆☆☆
#669 [東脂ヤ転
「俺は・・・今でも明さんが好きです」
大和は乱れた息を整えながらきっぱりそう言う。人生二度目に受ける告白はやっぱり慣れなくて、思わず顔が火照る。
でも、
「大和・・・俺は・・・」
「知ってます。明さんは俺を好きじゃないって。」
俺が言おうとした言葉を、遮るように大和は続ける。
無理矢理つくった大和の笑顔は、見ているこっちが悲しくなりそうなものだった。
:08/07/17 17:57
:W52P
:☆☆☆
#670 [東脂ヤ転
「それでも良いんです。
それでも、俺が明さんを好きなことは変わらないんで。」
多くの通行人が通る、大通りの真ん中で受ける告白は、思わず心揺れるものだ。
[何で・・・こんな・・・]
何でこんな俺をそんなに好きだと言ってくれるんだろう。
こんなに優しい大和の側に居れば、もう辛くないだろうか。
圭吾を好きでたまらないこんな気持ちを忘れられるだろうか。
また生暖かい風が俺の頬を掠めた、その時。
「明・・・?」
聞き覚えのある声が後ろから俺を引き止める。
「・・・・・・圭吾・・・」
:08/07/17 18:25
:W52P
:☆☆☆
#671 [東脂ヤ転
「こんなとこで何してんねん・・・ってアレ・・・お連れさん?」
何も知らない圭吾はいつもの脳天気な顔で近付いて来る。
あまりにタイミング良く本人が登場したせいで、俺は動揺を隠せない。
しかも大和はそんな俺をしっかりと見つめていた。
「聞いとる?明・・・」
「俺は明さんの後輩なんです、高校の。」
圭吾が俺の顔を覗き込もうとしたその時、大和が笑顔で間に入った。
:08/07/17 18:54
:W52P
:☆☆☆
#672 [東脂ヤ転
「後輩!?なんやぁ〜俺はてっきり明の彼氏さんか何かかと思ったわぁ!!」
「!?」
ー・・どういう意味だ?
俺の中の何かが曇る。
「いやな、いっつも俺のことばっか構ってくれるんは有り難いけどな、明もそろそろ良い人見つけぇや〜?」
圭吾の様子が少しいつもと違うのに、今の俺にはそれを気にかける余裕がない。
そんな様子を大和はただ黙って見つめている。
:08/07/18 09:33
:W52P
:☆☆☆
#673 [東脂ヤ転
「何が・・・言いたいんだよ?」
込み上がってくる感情を必死で抑えながら、俺は圭吾を睨む。
「だからぁ、明も俺なんかのことはほっといてえぇから、その後輩君みたいな可愛い彼氏さんをつくりぃな!
俺もそうするし」
いつになく饒舌な圭吾は次から次によく喋る。
それも、俺を傷付けるような言葉ばかりを選んでいるように。
「・・・・・・黙・・・れ」
早く彼氏をつくれだと?大和みたいな?
俺が・・・
俺が大和の告白をどんな気持ちで・・・・・・
どんな気持ちで受け止めていたかも知らないで。
:08/07/18 09:55
:W52P
:☆☆☆
#674 [東脂ヤ転
どんなに想っても届かない想いがあるんだって、こんなカタチで知りたくなかった。
言いようのないこの感情は、俺の口から誤った言葉を紡ぐ。
「そうだよ・・・俺達付き合うんだ」
俺は大和の袖を掴んで圭吾に向き直る。
「・・・・・・・・・え?」
さすがの圭吾もこの言葉には驚きを隠せないようだ。
[そんなに俺から離れたいなら・・・お望み通りにしてやるよ、圭吾]
悲しさを通り越して、何故か酷く冷たい気持ちに俺は浸っていく。
:08/07/18 10:59
:W52P
:☆☆☆
#675 [サクラ
]
:08/07/18 14:02
:F704i
:EtTR0d1Q
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